桐生さんの潜在能力に戦慄した日の放課後の部活動で全員が揃った時、リアス部長からの俺達に連絡事項が告げられた
「皆、今度の休日にソーナの建てた学校のオープンスクールの手伝いに向かう事は話したわね?実はそのオープンスクールに招かれる講師の一人が先だって兵藤家への訪問を希望されてるの」
ソーナ会長の建てたレーティングゲームに有用な様々な技術・知識を学べる学校はまだまだ宣伝の段階で教師なども十分な数を確保しておらず、色んな人達にオファーを掛けている段階だそうだ
将来的にシトリー眷属の大半が教師役に就くのだとしてもやはり大学卒業及びその間に人間界の教員免許取得などでノウハウをちゃんと学ぶ方が良いだろうからな
結局何が言いたいかと云うと『人手が足りない』の一言に尽きる
そんな状況にも関わらずソーナ会長が学校を創ったのはそれだけその夢を強く掲げていたからなのだろう・・・レーティングゲームで八百長しまくってる古き悪魔どもは滅べば良いと思う
そう思ってる中、ゼノヴィアが訪問について疑問を感じたのか質問をする
「・・・何故、イッセーの家なのだ?講師の方が様子を見たいというのはまだ解るがそれならばシトリー眷属の方に行くべきではないのか?」
当然と云えば当然の疑問を口にしたところでロスヴァイセさんの表情が微妙に歪む
「ああ、それはね。訪問される方はロスヴァイセのお祖母様なのよ。だから何方かと云えば学校関係というよりは孫の顔を見に来たと言った方が近いわね」
その説明に皆の視線が一斉にロスヴァイセさんに向かう
ロスヴァイセさんの表情は相変わらず硬いけど身内の訪問って微妙に気不味いですもんね
そんなロスヴァイセさんの反応に苦笑しつつリアス部長が補足説明してくれる
「ロスヴァイセのお祖母様のゲンドゥルさんは元ヴァルキリーで北欧でも名うての魔法の使い手なの。今回もソーナの学校には魔法の講師としてお越し下さるわ。皆、失礼の無いようにね」
『はい!』
「・・・はい」
テンション低めのロスヴァイセさんだったが流石にコレは為る様にしか為らんとして後日にゲンドゥルさんの訪問の日がやって来た
その日は部活や修行も少し早めに切り上げて指定された時間になるとイッセーの家の転移の間の専用魔法陣が光り輝き、その光が収まるとそこには一人の女性が立っていた
紺色のローブを着て年齢を感じさせないピッチリとした立ち姿だ
「初めまして、日本の皆さん。そこに居る孫がお世話に為ってます」
俺達全体を見渡した後で最後にロスヴァイセさんに視線が固定される
ロスヴァイセさんは相変わらず何処か落ち着かない様子だな
「ロスヴァイセの祖母、ゲンドゥルと申します。以後、お見知りおきを」
それからその場で自己紹介するには俺達の人数が多過ぎる為、VIPルームに移動してから一人ずつ挨拶を交わしていく
この場に居ないのは表に出せないオーフィスとオーフィスの付き添いのルフェイ(+フェンリル)だ。あとついでにアザゼル先生
先生は総督を辞めたと言っても何だかんだで忙しい人だからな・・・まぁリゼヴィムの野郎がトライヘキサなんて超級の爆弾を持ち込まなかったらもう少しマシだったとは思うが
とは言えあの人ならどれだけ忙しくても要領よく仕事を片付けて裏でコッソリ
「―――という訳でゲンドゥルさんは学校の近くで開かれる名うての魔法使い達の会合に出席するついでに講師の方も引き受けて下さったのよ」
リアス部長が言うにはその魔法使いの会合では古代の珍しい魔法や禁術の類が議題として取り上げられているらしく、悪魔や堕天使の研究員も派遣される予定らしい
「あとコレはオフレコなんだけど、今は各勢力で禁術や古代の魔法などを識る術者たちが行方不明になる事件が急増しているの」
そのセリフを聞いて今度は皆の視線がレイヴェルに集まる
「わ、私ですか!?」
驚くレイヴェルだがリアス部長が安心させるように軽く否定する
「いえ、レイヴェルが狙われる可能性は低いと見て良いでしょう。こういってはアレだけどレイヴェルの扱う禁術は贄を消費して術の規模を拡大・強化する構造自体は単純なものでしょう?『D×D』という戦力の中に居るレイヴェルを態々狙わなくても術式だけなら直ぐに手に入るわ」
「そうですね。狙われているのは主に門外不出の術式を知っているか、または自力で開発した術者が中心となっています。禁術程危険性は無くとも対価を払って力を得るというのはどの魔法にも魔力にも共通する世界の理です。そちらのお嬢さんは先ほどフェニックスと名乗っていましたね。成程、貴女の扱う禁術がどんなものかは推し量れますが、確かに狙われる危険性は少ないでしょう」
リアス部長の言葉にゲンドゥルさんも追従する
そりゃロスヴァイセさんも禁術の術式だけなら識ってた訳だし、秘匿度は低いのか
「術者たちを攫っているのがはぐれ魔法使いなのかクリフォトなのかは今の段階ではハッキリとはしていませんが、今回の会議では私達の研究テーマや一部の術式を一連の事件が解決するまでの間、封印するという話になっています。我々魔法使いにとって研究テーマ及びその魔法とは生涯を掛けて高めた半身とも云えるもの。それがどこの誰とも知れぬ悪辣な輩に利用させるくらいなら、実験を一時中断する方が遥かにマシという訳です」
因みにその術者たちに施す封印を担当するのは技術開発の先端を行き、異形の業界での信頼も高まりつつある
魔法使い達が自分で自分に封印を掛けても洗脳を受けたりすれば自力で解除しかねないからという理由らしい
例え封印解除の術式を別の場所に保管して本人もそれを忘れるような感じ(特定の条件で思い出す)で術式を組んだとしても結局は自分で練り上げた封印は自分のクセというものが現れる為、時間を掛ければ自力で解除という可能性も有るそうだ
真面目な話もそこそこにロスヴァイセさんの子供時代の話などの雑談を交えてから暫く(ロスヴァイセさんは赤面してた)、ゲンドゥルさんが表情を改めてロスヴァイセさんを見つめる
「さて、ロセ。私が今日此処に訪問した一番の理由はお前なら分かっていますね?・・・今、この場に居る男性は
その質問にロスヴァイセさんが咄嗟に返事が出来ないでるが彼女が再起動するまで僅かな間に少し気に為ったところをツッコませて貰う
「あの、ゲンドゥルさん。ギャスパーも男なのでこの場に居る男性は四人ですよ?」
俺はギャスパーの後ろに移動して肩に手を置いてそう言うと目を見開いて驚いていた
「あ、あらあら。私はてっきり男の子っぽい名前をした女の子だとばかり思っていました・・・そういう風習のある場所というのは存在しますからね―――まさかロセ!その子がお前の・・・」
「ち、違います!わ、私の彼氏はそちらに居る赤龍帝の兵藤一誠君です!!」
瞬間、リアス部長達を中心に部屋の空気が5度は下がった感じがした
そんな空気に構わず北欧のお二人の話は続いて行く
「ロセ、お前は勝手に家を出て、勝手に悪魔に転生し、勝手に日本の人間界で教員などをし始めて私に心配ばかり掛ける悪い孫です」
「うっ・・・それは・・・」
「悪魔になる事も教員に為る事もそれが悪いとまでは言いません―――第一にオーディン様がお前を日本に置いて行った事が事の始まりですからね。そちらには私も抗議を入れておきました・・・私がダメだと言っているのは私達に何の相談も無しにお前が自分で全部を決めてしまった事です。お前の場合は決断力が有ったというよりはその場の勢いで色々と決めたのでしょう?グレモリーの皆さんは実力・権力・人柄を兼ね備えた人達だったようですが、私は何時かお前が取り返しのつかない事柄まで勢いで決めかねないのではないかと心配しているのですよ」
「・・・耳が痛いな」
ゲンドゥルさんのクドクドとした説教にゼノヴィアが地味にダメージを受けている
まぁ教会の戦士が悪魔に転生とか完全に取り返しのつかない事柄だもんな。今は三大勢力で和平が結ばれてるけどゼノヴィアが悪魔に転生した時はそんな話は聞かされて無かった訳だし
「私は心配していたのですよ。勉強や魔法は出来ても大いに抜けた処のあるお前が遠い極東の地で他人に迷惑を掛けないでちゃんと教員を勤められるのかが―――そこでロセに直ぐに相談も出来てキチンとお前をその場に繋ぎ止められる彼氏が居れば安心出来ると伝えたら、既に彼氏が居ると言うものですからロセとその彼氏の顔を見に来たのです」
ロスヴァイセさんは顔を赤くしながらもイッセーの腕に抱き着く
「か、彼は伝説の赤龍帝です!それに悪魔に転生してから半年足らずで既に中級悪魔へ昇格しているという将来性もばっちりの人なんです!」
この状況にリアス部長たちも表情どころか思考も固まってしまっているな
「―――ふむ。冥界の事情などは私も知っていますが赤龍帝という知名度を除けばそちらの有間さんと木場さんも似たようなものではないのですか?それに木場さんは現在フリーのようですから安パイだったでしょうに、何故兵藤さんだったのですか?」
聴かれた疑問にロスヴァイセさんはあたかも今考えたであろう言い訳を重ねていく
「それは、有間君は彼女や婚約者が正式に決まっていたので私が入り込める余地は無かったですし、木場君は・・・えっと・・・彼はそう!イッセー君やイッキ君が好きなのでダメなんです!」
「「ッブ!!」」
俺とイッセーが同時に噴き出してしまった。幾ら何でもその言い訳は酷いですよ!・・・と云うかロスヴァイセさんもさり気なく俺達の事をそういう視線で見てたんですか!?
「そ、そうなのですか?」
「あはははは・・・二人の事が好きな事は否定しませんよ」
祐斗さぁぁぁん!?『友達として好き』って意味何だろうけど今この場では誤解を加速させる効果しか生まないぞそのセリフは!?
「そうですか・・・コレが文化の先進国とされる日本男子の実態なのですね。とんだライバルも居たものですね」
何か日本文化が誤解されてるぅぅぅ!?
「それにイッセー君は当時から冥界のヒーローでしたから、付き合うなら彼が良いかなって」
「ヒーロー、英雄の魂を誘うヴァルキリーとしての部分が彼に惹かれたのかねぇ?それで、彼とは付き合ってどれくらいになるんだい?」
「さ、三か月です」
それってもう一目惚れからのゴールインくらいじゃないとそうは為らないよね?
「ならもう既に男女の関係は結んでいると考えても良いんだろうね?」
この質問にはロスヴァイセさんも今まで以上に顔を赤く染める・・・まぁ俺とレイヴェルって時間だけ見れば二ヵ月くらいだしな
白音とは明確にどの辺りからと聞かれると少し困るけど
「そ、それはまだ私達結婚してる訳でもないし・・・大体私の貞操観念を植え付けたのはお祖母さんじゃないですか!」
「私は結婚前に関係を結ぶなとは言ってないよ。下手な男に簡単に体を許すなと言ったんだよ」
「わ、わたすだって男の子とエッチな事してぇさ!」
「そっだら、さっさと身ぃさ固めちまえつってんでしょが!」
おお、ヒートアップした二人が方言を使い始めたぞ
悪魔や魔法使いの言語翻訳能力や魔法で自動変換されるからそう聞こえるんだろうけど、見た目完全に北欧系の二人が日本語の方言を使ってるように聞こえるのは実際聞くと違和感が凄い
「コホン・・・良いでしょう。交際を認めます」
「・・・ほぁ!?」
「何を驚いているのですか。男女の在り方の認識に行き違いが有ったようですが、それは今、正されたでしょう?関係を結んでも良いと言っているのです。デートに行ってキスの一つでも済ませておきなさい。魔法使いの会議が終わった後でもう一度進展具合を聴きに来ますからね」
ゲンドゥルさんはそれだけ言い残すと「ではコレで失礼します」とお暇していった
如何やら会議の在る日まではソーナ会長が学校関係者用に用意した宿泊施設に泊まるらしい
「あの、イッセー君。今度一緒にデートに付き合ってくれませんか?もう・・・後には引けないんです」
「え、あの、はい。俺で良ければ・・・」
イッセーの袖を掴んで乙女な動作で上目遣いでイッセーに懇願するロスヴァイセさんにイッセーもしどろもどろながらに返事をした
なお、リアス部長達が再起動するのにその後数分の時間を要し、ロスヴァイセさんが必死に謝るという状況となっていた
イッセーとロスヴァイセさんのデートが決まってから暫く暗い顔をしていた女性陣はイッセーがそれぞれの女の子と買い物などに付き合うと云うプチデートの約束を取り付ける事により何とか機嫌を取っていた
翌日の放課後に二人はデートに向かう事になった。急すぎるとも思うけど週末まで時間がないし、体裁を取るだけなら一日掛かりの本格的なデートである必要も無い
デートの行く先はロスヴァイセさんが東京で一度行ってみたかった場所が在るんだとか言っていたらしいが、どうせ100均とか超激安スーパーとかその類なのだろう
俺の記憶が確かなら今日の二人と云うかロスヴァイセさんにユーグリット・ルキフグスが接触して来るはずだが俺としては特にやる事は無いんだよね・・・何故かと云えばクリフォトメンバーの中でもユーグリットが一番捕らえても倒しても影響の少ない雑魚(魔王級)だからだ
ぶっちゃけユーグリットを捕まえてもトライヘキサ復活計画を遅延させる事も出来ないだろう
要はリスクとリターンが全くつり合ってないのだ
もしもコレが聖十字架を持つ紫炎の魔女とかなら二人のデートにコッソリ付いて行って安全に捕まえられる隙を探す価値は有ったのだろうけどな
大量の一般人を巻き込む可能性が在る以上は残念ながら下手に刺激しないのが一番だろう
一応万が一イッセー達からSOSが在った場合を考えて今日は基本は家で待機だけどな
そんな中で今の俺はと云うと俺とルフェイとオーフィスにレイヴェルで死闘を繰り広げている処だ―――具体的には俺の操る何でも吸い込んでコピーする星の傭兵とオーフィスの操るエデンの
交代制なので黒歌と白音は今は観戦中だな
「ふはははは!秘儀!『ステージの端から落ちつつの敵吸い込み心中!』」
その名の通りステージから落ちるように飛びつつ目の前に居たラスボス亀さんを吸い込む
「あー!酷いですよ有間さん!これで私残機がゼロに!」
「だがこれで終わりじゃないんだよ!星の傭兵はステージ復帰力も高いからな!」
そう!完全に落ち切る前に中身を吐き出して空中ジャンプとファイナルソードを組み合わせればギリギリステージに復帰が可能なのだ!
「ルフェイの仇」
だが完全に復帰する前にオーフィスが上から投げた俺にとっての【じばく】テロの大先輩であるボンバー兵によってルフェイと共に俺の残機もゼロとなった
「・・・ぶい」
オーフィスがルフェイに一瞬だけVサインを出してルフェイが感動してオーフィスに抱き着く
その後最後に残った二人によるドラゴンと不死鳥の頂上決戦では『フェニックス・パンチ』の炸裂で勝敗が決したのだった
「ふふん!フェニックスだって時としてドラゴン相手にだって勝てますのよ!」
その後もマ〇オパーティーや普通にトランプなどをして過ごしていき、夜に差し掛かる辺りでリアス部長から緊急招集が掛けられた
思った通り、イッセーとロスヴァイセさんのデートにユーグリットが接触したようだ
「・・・そういう訳でして、クリフォトは私が学生時代にトライヘキサについて論文を書いた事を突き止めたようで今回一般人を半ば人質にする形で接触して来ました―――あの論文も提出した訳ではなく、かつてのルームメイトに軽く話しただけでしたのに、その記憶を探って私に接触して来たという事は奴らはトライヘキサに関する情報をなりふり構わずに集めているのでしょう」
兵藤家の会議室に集まったメンバーでロスヴァイセさんの報告を聞いている
白昼堂々ユーグリットが人間界で接触してきたという事で皆険しい表情だ
「何ていうかクリフォトって普通のテロリストとは一線を画してるわよね。関係の無い表の人間も巻き込む事を何とも思ってないみたい」
「ああ、普通は各神話体系の神々の信仰、その基盤とも云える人間界に大規模な被害を出すような真似をすれば世界中から派遣された実力者が優先的に自分達を狙ってくるものだ。だが奴らは既に世界中の神話体系にケンカを売った後だからな。今更コソコソする理由も無いという事だろう」
イリナさんの感想にゼノヴィアが自分の考えを述べる
世界中を敵に回した後だからこれ以上敵が増える事も無いって事だよな
「それでも各国の主要都市はそれぞれ裏では強固なセキュリティを張っているわ。確かにユーグリット程の力が有れば侵入も出来なくはないでしょうけれど、当然一度侵入されればセキュリティはより強固なものになる―――見つかる危険と都市部への二度目の侵入を難しくするリスクを負ってまでロスヴァイセに接触したという事はロスヴァイセが学生時代に書いたというレポートが奴らにとってそれ程大した代物であったという事かしら?」
言われたロスヴァイセさんも学生時代に途中で破棄したレポートがそこまで重要な要素を持っていたなどと云うのは実感湧かないみたいで微妙な表情だ
「兎も角、そろそろアザゼルとの定期連絡の時間だし、そっちも併せて聴いてみましょうか」
≪―――そうか、ロスヴァイセが狙われたか≫
ここ数日
≪お前らは最近名うての魔法使い達が拉致されている事件については知っているか?≫
その言葉に全員が頷くと先生は話を続ける
≪実はその術者たちには禁術や古代魔法を識っている事以外でも共通点が在ってな。全員トライヘキサの研究をした事のある術者ばかりだ。それも通常の解釈とはまた別の視点からトライヘキサを調べた者達だ・・・ロスヴァイセ、確認するがお前はトライヘキサを如何読み解こうとした?≫
「・・・私は異説である『616』からトライヘキサの事を調べました。『616』という数字を基に聖書を中心に各神話で起きた事件、伝承などから符合するものを見つけ出そうとしたのです」
≪そうか、やはりな。一応
最悪の事態=世界の滅亡に皆が不安気な表情に為るがアザゼル先生は安心させるように笑う
≪そんな暗い顔してんじゃねぇよ。お前ら以外にもトライヘキサ復活に対して『保険』は作るつもりだ。今度また各国の首脳陣が集まって色々意見を出し合わなきゃいけねぇがな≫
それって多分『隔離結界』だよな?この段階から計画され始めてたのか・・・まぁ復活させないのが一番だけどな。大体サーゼクスさん達が仮に居なくなったら折角現魔王派と古き悪魔たちの政治バランスが徐々に現魔王派に傾きつつあるのがひっくり返りそうだし、絶対に将来的に面倒臭い事件が起きるだろうしな
世界の為に我が身を犠牲にトライヘキサと戦う気概の在る実力と良識を持った神々や魔王がゴッソリ居なくなるとか悪魔サイドは古き悪魔だけど他の神話体系も絶対に問題児が台頭してくるぞ
≪よし、取り敢えずロスヴァイセはその学生時代に書いたというレポートを思い出せる限りで良いから書き起こしてこっちに転送してくれ。此方側でも可能な限り調査してみよう≫
するとロスヴァイセさんは手元に魔法陣を展開する
「実は、少し前から書き起こしてたんです。リゼヴィムがトライヘキサの復活を目論んでいると聞いたので少しでも役立ちそうな事が無いかと思いまして・・・」
異空間収納から取り出したレポートの束を今度は小型の転移魔法陣に乗せて転移させると映像のアザゼル先生の手元に資料が送られた
≪確かに受け取った―――しっかしお前も大したもんだよな。自然と祖母と同じ事を研究テーマに据えるんだからよ。血は争えないってやつか?≫
「―――私は、家の魔法を継ぐ事が出来ませんでしたので・・・」
ロスヴァイセさんが自嘲するように呟く
≪そうか・・・だが、俺が言いたいのがそう云うこっちゃ無いってのは分かってるだろう?今すぐ折り合いを付けろとは言わんが、お前さんも十分過ぎる程の才女だと思うぞ≫
その励ましの言葉にロスヴァイセさんも小さく「有難うございます」とお礼を言ってはいたが、表情は納得してない感じだな
その様子にアザゼル先生も苦笑気味だ
≪まっ、お前さんも折角彼氏が出来たなら慰めて貰え≫
「えっ、いや!イッセー君とは本当に付き合ってる訳じゃ・・・」
≪偽物でも結構じゃねぇか。お前は生真面目過ぎるから少しくらい一時の火遊びを覚えるべきだぜ?それがそのまま何時しか本物に為ってるかも知れんしな≫
偽りの恋人から本物の恋人にって何処のニセ〇イですか?
ロスヴァイセさんがその言葉を意識してイッセーの方をチラチラと目線が行くようになってアザゼル先生は≪お~お~、若い奴らは青春を満喫してるねぇ~。じゃ、俺はそろそろ退散するから後の事はイッセーに任せるぜ~≫と場を混乱させるセリフだけ残して通信を切ったのだった
・・・当然。イッセー取り巻く女性陣により場は混沌としたので俺に祐斗にギャスパーと黒歌達はそそくさと退室する事になった
▽
ソーナ会長がアガレス領の田舎に建てた学校のオープンスクールは土日の二日間を使って行われる
学校の名前はその田舎町の名前であるアウロスから取って『アウロス学園』だそうだ
所謂『シンプル・イズ・ベスト』ってやつである
俺達はセキュリティーの関係も有って数度の転移を経由して田舎町・アウロスへとやってきた
転移の光が収まるとそこには町の役員の方とサジが待っていた
「お待ちしておりました、リアス様。そして眷属の皆様」
役員の人の挨拶もそこそこに俺達はサジの案内の下アウロスの畑と風車と石造りの一昔前のヨーロッパ風の風景を楽しみつつ町の南端の方に在るというアウロス学園に向かって歩いて行く
「ああ~、空気が美味しいぜ~!冥界でそんな事言うのも変かも知れねぇけどな」
「全くだよ。人間の俺なんて対抗術式無しで過ごしたら割と高確率で死ぬぞ」
冥界の空気とか動植物とかって人間にとって害のある物が多いみたいだしな
「有間がその程度で死ぬってのが俺には想像つかねぇよ―――それは兎も角
有り余る広大な土地に対して悪魔は出生率が低いからね。日本のような人口過密国になってないからこそ田舎風景が残ってるって感じかな?
そうしてイッセーや教会トリオ達が将来引退したらこういう静かな場所で農耕でもして過ごしてみたいとか千年単位で先の事になりそうな話をしていたりするうちに目的地であるアウロス学園が見えてきた。驚きだったのはアウロス学園はかなり俺達の通う駒王学園を踏襲した形になってるって処だったな。流石に細部は違うけど第二の駒王学園と言っても良いくらいだろう
ソーナ会長が今の駒王学園の生活を気に入ってるのが伝わって来るようだ
正門から入り、本館に辿り着くとそこには既にソーナ会長が待っていてくれた
「会長、オカルト研究部の皆さんをお連れしました」
「サジ、ご苦労様でした。後は私が引き継ぎます。貴方は担当の場所に戻ってくれて構いません」
「はい。ではコレで失礼します」
お仕事モードでキッチリした挨拶を終えたサジは俺達男子組には「また後でな」とだけ小さく軽い挨拶を残して担当の場所とやらに去って行った
「改めて、おめでとう。ソーナ」
「ええ、有難う、リアス。まだ開校は先になりそうですが、それでもやっとここまで来れました」
お互いに自然と握手を交わして顔を綻ばせるリアス部長とソーナ会長
「さあ、中を案内しましょう」
握手を終えたソーナ会長が奥へ誘うように手を広げた
アウロス学園に集まっている子供たちは大凡10歳前後のようで、教室やグラウンドなどでソーナ会長が各地から呼んだであろう講師の方とサイラオーグさんの眷属の方々が中心になって授業を行っているようだ―――サジを始めとしたソーナ会長の眷属は基本的に講師の方の手伝いのポジションだな
「私の眷属は誰かにモノを教えるという経験を積んでいませんし、人生経験も豊富とは言えません。最初の内は講師の方の手伝いをしながらもそのノウハウを吸収して欲しいと思ってます」
子供たちにモノを教えながらも自分たちもついでに勉強中って事ですか
「どのくらいの数が来ているのかしら?」
「宣伝した後、口コミでもかなり噂が広がったみたいでして、予想よりもかなり多くの子供たちが来ています。数で言えば子供たちで200人以上、父兄の方や見学に訪れたこの学園を支持して下さる方々も併せれば500人は軽く超えているでしょう」
「父兄の方々だけでなく、有力者の方々まで来ているの!?」
貴族や上級悪魔の家の人も来ていると聞いてリアス部長は驚きの声を上げる
「ええ、流石に数は少ないですが是非とも直接授業の内容を見てみたいという方々もおりまして―――将来的にこの学園が軌道に乗れば、この学園の卒業生だけで眷属を構築する事を考えてる人も居る程です」
その言葉に皆が『お~!』といった反応を示す
「今の段階でそこまで熱を入れてくれる上級悪魔が居るだなんてね」
「その理由についてはもう少し後で判ると思いますよ。今は順番に案内していきましょう」
ソーナ会長の言葉にリアス部長は面白そうな表情を浮かべる
「ソーナ、貴女は何か目玉となるものを用意したのね?」
「ええ、有間君のアドバイスからとある伝手を辿ってみたのです」
すると今度は皆の視線がこっちに向いたな
「イッキが?」
「以前彼が生徒会室に来た時にこの学園の話になりましてね。その時に」
「そうだったのね。イッキは私達とは違う角度から物事を見る事が多いから今から楽しみだわ」
それを見ていたイッセーが俺にコッソリと耳打ちしてきた
「(おい、イッキ。お前一体何を言ったんだ?)」
「(もう直ぐ分かるんだから俺がネタバレ出来る訳ないだろうが!それに俺も思い付きを口にしただけでその後どうなったのか何て知らなかったんだよ!)」
そうしてソーナ会長の案内はまだまだ続いて行くのだった