グラウンドで魔力や魔法の実践的な講義で子供たちが懸命に腕を突き出して魔力弾や魔法陣を発現させようと頑張っている光景を見ながら渡り廊下を抜け、次に俺達が辿り着いたのは体育館だった
中に入るとこれまた子供たちの活気あふれる声が聞こえて来る
そしてそんな子供たちを指導しているのはサイラオーグさんだ
「いいか!パンチと云うのは腰を落として脇を絞めながらも真っ直ぐに前に突き出すのだ!」
「『はい!』」
丁度今は体術の正拳突きを教えているところだったらしい
学校の体育館という処を気にしなければまるで空手の道場のようだ
そしてそこでサイラオーグさんが俺達の存在に気付いたらしい
「見ろ!おっぱいドラゴン達が会いに来てくれたぞ」
「わぁ!おっぱいドラゴンだ~!」
「スイッチ姫もダークネスナイト・ファングも居る~!」
サイラオーグさんの言葉に子供たちが一斉に冥界の人気者達に群がって行く
・・・俺?何人か訝しんでいる子も居るみたいだけど俺のキャラであるオール・エヴィルって基本半裸で魔力で褐色肌ペイントしてバンダナ巻いて体中が怪しい紋様に包まれている状態だからな
頭に何か巻く訳でもなく、日本人らしい肌色で冬用の学生服を着ている俺は子供たちに気付かれてない状態です・・・ちょっと虚しいけどバレたらバレたで『死ねぇ!オール・エヴィル~』とかやられそうだからバレない方が良いのか?・・・う~ん。分からん
子供たちの興奮を発散させる為にもイッセーと祐斗が体育館のステージの上で即席のショーを演じている様子を見ながら俺達の所に寄って来たサイラオーグさんが声を掛けてくる
「学び舎とは良いモノだな。冥界にも貴族や限られた富裕層の通える学園は在るがそこには常に身分や利権、利害が付いて回る。だがここに集まった子供たちはただ只管真っ直ぐに夢に向かって進み、友と語らう事が出来る」
それを聞いたソーナ会長も目を細めて答える
「・・・日本は良い国です。誰にでも学ぶ権利がある。此処に集まった子供たちの多くは何らかの理由で通常の教育機関を利用できなかった子供たちばかりです―――才能が有っても身分が低かったり、逆に身分が在っても魔力の才能が無かったり・・・特に悪魔は魔力の有無を重要視するきらいがあるので他の能力が如何に優れていても魔力が不得手ならば入学拒否などといった事例も在るのが現状です」
「だからこそ、分け隔てなく手を差し伸べ、あらゆる可能性の成長を促すこの学舎を建造できたその意味は大きいと言える。俺の母が且つて聞かせてくれた事だ。魔力が足りなくとも他のモノ、腕力でも、知力でも良い。それらを伸ばし、結果として素晴らしい力を身に付ければ良いのだとな。俺は腕力担当だ。どの子供たちも一生懸命に拳を突き出してくれる―――只管壊して前に進むだけだったこの不格好な拳で子供たちに何かを伝えられる・・・それが堪らなく嬉しいと感じた」
二人の言葉を聞いてリアス部長はクスクスと笑う
「ふふ、ソーナもサイラオーグもすっかり先生の目をしてるわよ?」
「むっ、そうか?―――だがまだまだだ。今だって教育の本を読みつつ見様見真似だからな」
「誰しも初めてというのは在るものです。私達もこの学園も・・・子供たちも、まだちゃんと始まってすらいないのですから皆で盛り立てて行きましょう」
次期当主の三人が冥界の未来を想い描いている中でイッセー達のショーも山場を迎えつつあるようだ。ダークネスナイト・ファングの鋭い一閃におっぱいドラゴンが吹き飛ばされた
「おっぱいドラゴン頑張ってぇぇぇ!」
「そうだ!ピンチの時はスイッチ姫を呼ぶんだよ、皆!」
「そ、そうか!―――スイッチ姫~!」
「「「スイッチ~!」」」
おお、子供たちから自然とスイッチ姫を求める声が高まっていく
イッセーと祐斗の闘いだけサクッとやるはずだったのにな
「ほら、呼ばれていますよ、リアス」
「うむ、子供たちの期待には応えねばな!スイッチ姫よ!」
「もう!分かってるわよ」
背中を押されたリアス部長が通信用小型魔法陣で軽くイッセーに指示を送る
それを聞いたイッセーがステージの上で叫んだ
「サモン!おっぱぁぁぁぁぁいっ!!」
その声に合わせてリアス部長は転移魔法でステージの上に躍り出て行ったのだった
突発のヒーローショーを終えた俺達はサイラオーグさんと別れて本校舎の裏側から少し離れた場所に歩を進めていた
駒王学園ならばそこには我らがオカルト研究部の部室の在る旧校舎が存在している訳だが、このアウロス学園は新築の為、当然旧校舎など存在しない
そこに在るのは日本の道場めいた建築の建物や落ちたら水面に沈むようなアスレチック的な運動が出来る場所などが設けてある
何より此処に集っている子供たちや父兄の数が今まで見てきた中ではダントツだろう
そして今講師の方が居る道場の方に赴くと中には初老の男性が動き易そうな黒の装束を着ている
それを見たリアス部長が激しく反応した
「なぁ!?あ、あ、アレはまさしく―――NINJA!!」
それ以上の言葉が続かなかったのか口をパクパクさせているリアス部長を見てソーナ会長が怪しく眼鏡を光らせ、口元に笑みを浮かべる
リアス部長の言うように今講演しているのはまさしく忍者の格好をしているのだ
「そうです。あの方が我々が冥界の学園に対して中立派だった貴族すらも此方側に引き込めた最大の理由―――すなわちNINJAです」
その言葉を聞いて我に返ったらしいリアス部長が俺に詰め寄ってきて両肩を力いっぱい掴まれる
「イッキ!貴方NINJAに知り合いが居たなら何で教えてくれなかったの!?」
痛い痛い!これ普通の人間だったら肩の骨粉砕してるって!
リアス部長は設定こそ生かされてないけどスポーツも万能なんだから!―――いや、実際訓練とかやってるとリアス部長も接近されたら紙一重回避とかしつつ再び距離を開けようとするとか運動神経良くないと出来ない動きとかしてるんだけどね
「いえ、別に俺自身が知っていた訳じゃないですよ!と云うかリアス部長もその場に居たでしょうに―――ほらアレですよ。神ロキが攻めてきた時です」
そこまでヒントを出すとリアス部長も察したようだ
「!! サラマンダー・富田ね!」
「その通りです。彼、サラマンダー・富田は忍者に弟子入りして(河童)忍法を習得したと言っていました。だからアザゼル先生からヴァーリの伝手を辿ればサラマンダー・富田からその師であるという忍者の方に接触できるのではないかと考えたんです」
「ええ、その時はまだ『D×D』発足前だったので秘密裡に紹介して貰ったのですがね。彼は現代に忍者と忍術を代々伝承する由緒正しき忍者の方なのですよ」
それを聞いた生粋の日本育ちのイッセーが変な表情になる
現代に忍者が居るというのがまだ心情的に納得出来ないのだろう
リアス部長はリアス部長で「ック!私とした事が迂闊だったわ!」と悔しがってるし
「し、しかし、なんというか忍者が本当に居たって事にも驚きですが、よく悪魔の学校で忍術を教えるなんて了承してくれましたね」
「それは彼が伊賀流の方だったので、待遇しだいで頷いて頂けました」
「IGA流!お金と契約を重視する私達悪魔に近い性質のNINJAね!」
先程からリアス部長のテンションが壊れ気味である
「ソーナ会長!希望すれば私達でも講義を受けられるのだろうか!?」
「ゼノヴィアだけ抜け駆けなんてズルいわ―――わ、私もNINJUTSUを習えば天界の戦力アップ、ひいては主とミカエル様の為になると思うの!」
聖剣コンビがソーナ会長に詰め寄ってるな・・・と云うかゼノヴィアはテクニック方面を忍術で補うつもりなのか?
「NINJUTSUと魔法の融合はやはり模索するべきでしょうか?」
「私もNINJUTSUに禁術の類が無いのか知りたいところですわね」
皆なんだかんだで真剣に忍術を自分のスタイルに組み込めないか考えてるな
だが今は講義中なので取り敢えずは黙って講師の忍者の方(名前は
後で記録媒体が擦り切れるまで再生するつもりなのだろう・・・そんな目をしている
「皆さんは忍びとは鍛えた肉体で目的地へ潜入したり敵を打倒したりするものだと思っているかも知れませんが、それは間違いでは無いものの正解とも言えません。それは如何いう意味なのか。先ずはこちらを見て頂きましょう」
忍者の先生は直ぐ隣に置いてあった風呂敷を解くと中に並べてあったのはクナイや手裏剣、忍者刀、丸い玉(恐らく煙玉の類)、鉤爪など、如何にもと云った道具たちでそれを見た子供も大人も大興奮だ
「忍びは基本的に潜入も脱出も万一の時の戦闘も一人で潜り抜けなければなりません。それ故、まず大事なのは情報収集、そしてそれを基にこのように用途に合わせた様々な道具の中で最低限必要な物を取捨選択して持っていく必要が在ります。しかし、荷物を少なくしては有事の際に困ってしまう。だから忍者たちは知恵を絞ったのです」
そう言って彼は徐に忍者刀を手に取る
「例えば此方の刀ですが、日本刀でこそありますが、刀身に反りの無い真っ直ぐな刀です。これは潜入を旨とする忍びは戦う場合は狭い室内での戦闘となる時が多いため、小回りが利き、振り回すのではなく、突き刺す為の形状です。そして鞘の底に穴が開いているのが見えますでしょうか?コレは水の中に潜って隠れて移動する所謂水遁の術を使用する時のシュノーケリングの代わりになるのです。他にもこの刀に長い紐が付いており、これは刀の鍔の部分が少々大きめに造られているのは高い塀などを乗り越える際の足場として忍者刀を使い、その時に鞘に付いている紐を足に結んだり手に持つなどして後で回収する為のものなのです・・・一つの道具に多様な効果を持たせる。言葉にすれば簡単ですがこの忍者刀一つを完成させるのに幾人の忍びの先達が頭を悩ませたか・・・そう、忍者とはただコレらの道具を使いこなすだけの集団ではなく、あらゆる情報を集め、考え、時に新しいモノを創る研究者にして戦術家だったと言えるでしょう」
『おお~!!』
大人たちの関心する声が響き渡る。子供たちも瞳をキラキラさせてるな
「このアウロス学園では皆さんが様々な知識や技術を学ぶ事を推奨しているそうですね。私は皆さんに忍びの知識をお教えしましょう・・・ですが、皆さんが憧れる忍術を使いたいというので在れば、ただ真似るだけではいけません。忍びの持つ技を如何にしてキミたちの扱う魔力や魔法などで再現し、高められるのか、そのためにあらゆる手段を模索して下さい。そしてその視野を広げる為に様々な知識や価値観に触れて下さい・・・説教臭くなってしまいましたが、最後に一つコツをお教えしましょう。それは楽しむ事です。それが忍びを極める第一歩ですよ」
そう話を締め括った
「素晴らしい!噂を聞いてお忍びで来てみたが、まさか伝説のNINJAが本当に教鞭を取ってくれるとは!」
「そうだな。サタンレッド。忍びは研究者と聞いて私としては彼らをより近くの存在に感じたよ」
「サタンブルーも新しいのを創るのが得意だもんね☆私も眷属の枠はまだ空いてるし、追加の眷属はNINJAにしようかしら?」
「う~ん。面白そうだから良いんじゃないかな~?」
「そうか、サタングリーンは眷属を集めきってしまっているがサタンピンクはまだだったな。NINJAを眷属に迎えられるかも知れないと思うと羨ましいぞ」
「もう☆サーゼク・・・じゃなかった。サタンレッドには
「ハッハッハ!そうだったな!」
・・・うん。あそこに見える謎の戦隊ヒーロー達は見なかった事にしよう。だからイッセーはその視線を外そうな―――あ、新たに現れたグレイフィアさんことサタンイエロー(恐らく変装の為)に全員魔力でお縄になって連行されていったな
グレイフィアさんとかグレモリーの城をコッソリ抜け出すの大変だったろうに・・・
―――冥界のレーティングゲームが某忍ばない忍者であるナ〇トばりの選手が台頭し始めるのはもう少し未来の話であった
なお、コレに大変な興味・・・危機感を持った天使や堕天使にもコッソリ授業を受けに行った者が居て、天使NINJAや堕天使NINJAが生まれ、競争原理で彼らのSHINOBIの技は加速度的に高まって行く事になる
NINJAが世界の裏を支配する日はそう遠くないのかも知れない
現代に生きる忍者の方の話の後は外に出て刃引された手裏剣を的に投げる体験などで非常に盛り上がった・・・と云うかリアス部長達がその場を離れなかったので一講義まるまる居座ってから再び本校舎の方に戻る
丁度講義が終わって小休止の時間なので体育館から出てきた首にタオルを掛けたサイラオーグさんと出会う
「リアスのその様子なら
「あ、あら、分かってしまうかしら?」
「当然だ。リアスが元々日本に強い関心を持っていた事は昔から知るところだからな。そんなお前がかの伝説の戦士と出会って気分が高まらない訳は無かろう?」
舞い上がっていたのを即座に見抜かれたリアス部長は顔を赤くして恥ずかしそうだ
あと、さり気にサイラオーグさんも忍者を『NINJA』として認識してるのか
まぁ日本のサブカルチャーがワールドワイドになるのは良い事だろう
日本の神々もお喜びに為るに違いない!(すっ呆け)
そんな事を考えていると正門の方が一気に騒がしくなってきて子供たちの黄色い声が離れたこの場所にまで響いて来た
「如何やら来られたようだな」
「ええ、そうですね。私達も挨拶に伺いましょうか」
ソーナ会長とサイラオーグさんが正門に向かうので俺達も付いて行くとそこには灰色の髪をした端正な顔立ちの偉丈夫が居た
前にリアス部長とサイラオーグさんのレーティングゲームの時にゲストとして見た顔だ
「ッツ!
「マジかよ!皇帝まで来てるのか!?サプライズ過ぎんだろ!」
「
他の皆も驚く中でソーナ会長とサイラオーグさんの二人はそのまま歩を進めて子供たちに囲まれている
「ディハウザー・ベリアル様。本日はお越しいただき誠に有難うございます」
「仰って下されば迎えの一つも寄越しましたのに」
「いやいや、直前まで詰めていた仕事もあって、此処には何時頃着けるか判らなかったからね。授業の手伝いをしているキミたちの手を煩わせるような事が在ってはならないと思ったんだよ―――このオープンスクールの主役は誰よりもここに居る子供たちなのだから」
そう言って皇帝は近くに寄っていた子供の一人の頭を撫でる
撫でられた子供は目に見えて興奮し、周囲の子供は羨ましそうな視線を向けると共に"自分も自分も"とばかりに詰め寄るのを彼はポンポンと手早く且つ優しく撫でて行く
一瞬だろうと冥界で大人気の
「良い学園だ。此処に来る途中からでもこの学園のいたる場所が活気に満ちているのが伝わってきていたよ―――私も可能な限りこの学園を応援させて貰うよ。未来あるレーティングゲームの選手が育つ事は素晴らしい事だからね」
そこでディハウザーさんの視線が後ろに居た俺達に向けられる
「貴女はリアス・グレモリーにその眷属の皆さんだね?他にも例の対テロリストチーム『D×D』のメンバーも居る様だ。先日のサイラオーグとの試合は見事だったよ」
「直接は初めてお目に掛かります。そう言っていただけて光栄ですが、私としましては至らない処の多い試合でしたわ―――だからこそ精進を重ねて何時しか貴方にも挑戦したいと考えています」
「キミは若手悪魔の交流会でレーティングゲームの覇者に成るのが夢だと語ったそうだね。キミならば良い覇者と成れるだろう―――無論。私を倒せればだけどね」
リアス部長の挑戦に絶対王者は柔和な笑みの中に不敵さを滲ませながら応える。狙ってやったんだろうけどその『受けて立つ』という返答にリアス部長も嬉しそうな笑みに覇気を纏っている
「―――それにしてもコレで
「シーグヴァイラが・・・ですか?」
「うむ。実は
それから彼は俺達『D×D』のメンバーとも一人一人握手を交わしてくれた
ソーナ会長は俺達の方の案内も一通り済んでいたし、ディハウザーさんが来た事で彼の校内の案内に役割を切り替える・・・やっぱり人気者で忙しいみたいなので要所要所を見て回って子供たちに軽いファンサービスをしてからアグレアスに向かって行った
俺達は午後の授業から手伝いをする為に実際に授業に触れた事を踏まえた上で如何にして手伝うかの最終確認をしている
それぞれ魔力や魔法、神器や各種の駒の特性などの実演という形での手伝いやアーシアさんやイリナさんなんかはまだまだ冥界では確保の難しい教会関連の知識を披露している
黒歌は面倒くさがってたけど白音とレイヴェルに頼まれて仙術と妖術、魔力に魔法と違う種類の能力を同時発動するテクニック方面のウィザードタイプとしての技を披露している
俺の場合は仙術枠だ。仙術のやり方を教える訳にはいかないけど、"こういう技術も有る"と知る事は良い事だしな・・・仙術の授業に関してはもう少し年齢が高くて危険性を十分説いた上でそれなりの審査を通った一部の生徒にだけ教えるとか、そういう事になるのかね?
学園が如何しても難しいなら仙術使いの居る場所に留学みたいな感じで派遣するとか?なんにせよ、もしもやるとなれば面倒な感じになりそうだ
・・・と云うか仙術使えるのはこの場に俺と黒歌に白音の三人だけだからサポートというよりは授業に近い。まぁそれはアーシアさんやイリナさんも一緒だから文句は言えないんだけど初めての講義となると精神的に辛いな
昔俺が
時折黒歌や白音も手伝ってくれたけどね
夜になって子供たちが帰った後も明日の授業の準備や今日の講義・手伝いにおける反省点や改善点などを話し合い、元気一杯の子供たちに囲まれたおかげか充実感と同時に精神的にもかなりの疲労感を感じたので学生寮に在る公共の大きな風呂に入って疲れを癒す
まだまだ広い冥界の中にもアウロス学園一つだけなのでこの『誰でも通える学園』が冥界に浸透するまでは親元を離れないと通えないという子供たちも多いと予測されているし、各家庭の諸事情により学生寮が都合が良いという家庭も有るだろうという事でそれなりに大きい学生寮となっている
今風呂に入っているのは俺と祐斗にギャスパーだ
サイラオーグさん及びその眷属の方は明日のアグレアスの映画撮影で午前は向こうで過ごす為、夕食と打ち合わせをした後でアグレアスに向かった
向こうは向こうで別に打ち合わせをしているのだろう
シトリー眷属男子のサジとルガールさんはまだ打ち合わせの続きをしているので俺達の後で風呂に入るようだ。シトリー眷属はやはり俺達よりも気合が入っているな
「イッキ君。イッセー君は今居ないけど如何してるのか知ってるかい?」
シャワーを浴びてから浴槽に浸かっていると隣に座っていた祐斗が話しかけてきた・・・てか祐斗さん近いですよ?広いお風呂で友人同士が隣に浸かるのはまだしも肩が触れ合いそうになる距離まで詰めて来る必要ありましたか?
「イッセーは改めて一度学園を見て回りたいとさ。昼間はやっぱりなんだかんだ言って騒がしかったから細部まで見る余裕は無かったしな。今頃今日の出来事を振り返りながら明日と未来のこの学園について想いを馳せているんじゃないか?」
「イッセー君は子供たちの人気者だからね。やっぱりこういう学園には強く惹かれるところは有るのかも知れないね」
「だとしてもイッセーはその内子供たち相手でもおっぱいについて熱く語りだしそうだから子供たちの情操教育的に教師は向いてないとも思うんだよな・・・おっぱいドラゴンが浸透してる時点で冥界の未来が心配だよ、俺は」
そう返すと祐斗も苦笑いだ
まぁ俺も『おっぱいドラゴン』の配役の一人だから余り深くツッコミを入れるとブーメランになってしまう訳なのでここまでにしておこう
そこに丁度シャワーを浴び終えたギャスパーも湯船に浸かってきた・・・大きめのタオルを体に巻いて見た目乙女な格好だ
―――最早何も言うまい
「で、でも今日は皆慣れない事をして疲れてますし、明日も朝は早いですから出来れば早めに休んだ方が良いとも思いますけど・・・」
でもそこでふと疑問が湧いて来たので二人に質問する事にした
「・・・なぁ、今更なんだけど悪魔って陽の光に弱いんだろ?一応冥界にも昼間は在る訳だけど、なんで寧ろ深夜の時間帯に学園をやってないんだ?」
本来そっちが活動時間じゃね?
「い・・・言われてみれば・・・何ででしょう?」
いやギャスパー。お前は概要くらいは知っとけよ
「そうだね。確かに悪魔は陽の光を浴びると体が怠くなってしまうけど、冥界の場合は別に神聖視される太陽の光が直接降り注いでいる訳ではないから昼間の明るさでも特に体が怠くなったりはしないんだよ。勿論深夜の方が魔力とかも高まっていくけど悪魔たちが基本は人間界と同じように昼間に仕事をする事が多いのはレーティングゲームの影響じゃないかな?―――ほら、冥界は最近まで娯楽文化がレーティングゲームくらいしか無かったから、より高いレベルのゲームをする為にも必然的に本調子が出せる深夜に試合が開始されるだろう?」
「ああ、成程な。唯一の娯楽文化で尚且つレーティングゲームが浸透し始めた当初はテレビとかも在ったのか疑わしいし、他の一般人まで深夜に仕事をしていたら試合を見に行けないからか」
それに昼間に怠くならないと云うのなら例えば商いなどの仕事をしてる人達にとっては深夜で魔力及び戦闘能力が上昇したから何だって話だしな
それから少し昼間の忍者講義に出ていた実はクナイは忍者道具では無く当時の町民が普通に持っていた道具を武器として扱っていたという話で相手に警戒されないように日常の道具を武器にするという中二心を擽る話題で盛り上がったり(百地さんはボールペンや鉛筆を的に投げて深々と刺していた)してから風呂を上がってサジとルガールさんにバトンタッチした
学生寮の俺達に割り振られた二人部屋のベッドでせめてこれだけでもと瞑想をしていると風呂上りらしいイッセーが入って来た
因みに部屋割りは俺とイッセーにギャスパーと祐斗、サジとルガールさんの組み合わせだ
「如何だった?学園の散策は?」
「そうだな・・・半神の
瞑想を止めてイッセーに問いかけると迷走した答えが返ってきやがった
なんでも女子寮側のお風呂でお湯が出なくなってしまったようで生真面目に最後まで準備やらでお風呂の時間が遅くなってしまったロスヴァイセさんがもう俺達や男性スタッフは全員風呂に入ってるはずという事で男子のお風呂に入ったら同じく遅れてお風呂に浸かっていたイッセーと鉢合わせたようだ
相変わらずのラッキースケベ展開を何処でも発生させてる訳だけど別に羨ましくは無いかな?
黒歌達との関係が進んだ日から今まで手加減の一環としてか彼女達が家の風呂場に突撃して来る事は無かったのだが、今ではその・・・ね?
平穏無事な日も在ればそうでない日も在る訳です。はい
まぁ今日の話をしていく中でもロスヴァイセさんや魔法の話に触れると時折イッセーの目が遠くを見つめるような真剣な目になってるからきっと風呂場でシリアス展開が在ったのだろう
そうして二段ベッドの上と下で話していたのだが自然と会話が無くなった辺りでお互いに「お休み」と声を掛けて眠る事となった
明日は来ないのが一番だけど恐らくクリフォトの襲撃も在るだろうし、上手くいけばトライヘキサの復活を遅延させる事くらいは出来るかも知れないな
学園を守るのと同時に聖十字架を明日この段階で確保する
―――さあ、魔女狩りの時間だ!
紫炎の魔女さん逃げて超逃げて・・・逃がさないけど