転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

92 / 139
モンハンの新作が発表されてたのにちなんでサブタイ付けてみました


第四話 こんがり、焼けました!

アウロス学園二日目の朝、朝食を食べる為に食堂に集まっているとイッセーの下にアーシアさんとサジがやって来て話し掛けている

 

如何やら二天龍が歴代の赤龍帝と白龍皇の思念体の扱いに困っているらしくて、今の彼らだけでは話が平行線になっている為にサジの神器に宿るヴリトラとアーシアさんと契約しているファーブニルの意識をドラゴン繋がりで神器の深奥に呼び出し、意固地になってる歴代白龍皇たる『赤龍帝被害者の会』のメンバーを何とか説得を試みたいと云う事らしい

 

「―――でよ。夢でヴリトラが二天龍の助勢に向かうって伝えてきて起きてから神器に話し掛けても返答が無いし、マジなんだなってな。一応ヴリトラが居なくても神器は使えるけど、アイツが居ないと細かい制御が大変なんだよな」

 

「私の方も似たような感じです。夢でファーブニルさんが出てきまして、今はファーブニルさんとの繋がりが少し遠くに感じます」

 

「そっか、悪いな。そっちにも迷惑掛けちまってるみたいでさ」

 

「な~に、強くなる一環だってんなら構わねぇよ。ヴリトラが居ない今だからこそ、より精密な神器操作の技術を練習できるところだって在るだろうしな」

 

そんな会話も在りつつ朝食を食べてから改めて今日の予定を軽く確認してからオープンスクールの二日目が開始された

 

時折他の皆の授業の様子がチラホラと遠目に見受けられたが、多少は教える事に慣れたのか昨日よりも固さが無くなってる気がする

 

一度目二度目と授業をしたり、子供たちの人間界に対する質問なども飛び交う・・・『NINJAが居るならSAMURAIも居るんですよね!』とか答え辛い質問もしばしばだったけどな

 

でも実際日本の裏の術者では霊剣を扱う一族とかも居るみたいだし(生徒会の巡さんの家とかそんな感じだったらしい)探せば居るんじゃないかな?とは思っている

 

そんな感じに過ごしていたら背中に冷たいモノが走る感覚と共に突如として空が白く染まってゆき、周囲一帯が結界に閉ざされた

 

子供たちは空を見上げてるけど不安と云うよりは困惑している感じだ

 

今の処は空が白くなっただけだからな

 

そしてそこに校内アナウンスが鳴り響いた

 

≪グラウンドに居る体験入学生、父兄の方々、講師、スタッフの皆さんは速やかに校内に入って下さい―――繰り返します。グラウンドに居る体験入学性、父兄の方々、講師、スタッフの皆さんは速やかに校内に入って下さい≫

 

和気藹々とした学園の雰囲気は一転して殺伐とした空気を醸し出すようになってしまった

 

 

 

 

 

 

職員室に『D×D』のメンバーが集まっている

 

他の子どもたちや父兄の方々は皆体育館に集合して貰って椿姫副会長及びスタッフの人達が対応に当たっている。とは言え現状では情報が足りてないので中々に苦慮しているだろうが

 

その為俺達は分かっている分の情報を纏めている処だ

 

「・・・ダメね。外との連絡が取れないわ」

 

「此方もダメですわね。短距離転移は兎も角グレモリー領などへの転移は出来ませんわ」

 

「アグレアスや町の集会所との通信は繋がりました―――映像を出します」

 

ソーナ会長が空中にディスプレイを表示させるとその先にはサイラオーグさんとゲンドゥルさんの姿が映し出された

 

≪コレは如何なっている?≫

 

サイラオーグさんの開口一番の疑問の言葉に答えたのはゲンドゥルさんだ

 

≪如何やらこの地域一帯が敵対勢力の張った大規模結界に囚われてしまったようですね。此方で結界の規模を探ってみましたが、このアウロスの町と空中都市アグレアスを楕円形に包み込む形で結界が展開されているようです≫

 

それからの話合いの内容を纏めると次のような感じだ

 

・集会所に集まった魔法使いは軒並み大半の魔法を封じられてしまった事

 

・それを行ったのは恐らくは聖杯と偽物の赤龍帝の力で強化された千を超える魔法を操ったとされる伝説の邪龍、『魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)』 アジ・ダハーカだと推察される事

 

・大規模結界だが外と中の時間の流れが違う為(時間を操る黒歌のお墨付き)外からの援軍は余り期待できないという事

 

・敵の狙いはトライヘキサに関連の在る名だたる魔法使いと旧魔王時代の謎技術満載の空中都市、アグレアスに眠る『ナニカ』だろうと云う事

 

ザックリ言えばこんな感じだ

 

現状の把握が済んだので次は如何やってこの結界から皆で脱出するべきかの話に移行しようとした辺りでスタッフの一人が慌てた様子で職員室に駆け込んで来た

 

「如何されましたか?」

 

「じょ、上空に、映像が!」

 

その報せを聞いて俺達が校庭に出るとその言葉通りに空中に巨大なディスプレイが表示され《しばらくお待ちください》という文字がお花畑の映像と一緒に浮かび上がっている

 

「何だアレ!?ふざけやがって!!」

 

イッセーが怒りを露にしているが、毎度思うけど空中ディスプレイとか裏の世界の技術ってスゲェ

 

そんな他の皆とは温度差の有るであろう感想を抱いていると音声が流れてきた

 

≪え?なになに?もう放送繋げてあるの?なんだよ、オジサンまだ弁当食べてる途中なのは見れば分かるだろうに、せっかちだな~。分かった分かった出れば良いんでしょ出れば≫

 

この会話の流れからして映像を繋げたのって多分アジ・ダハーカなんだろうな・・・少なくともユーグリットって事は無いだろう

 

ワンチャンでラードゥンも有りか?・・・まぁ如何でも良いか

 

そうして映像が切り替わって銀髪の渋いオジサンが外見に似合わない軽すぎるノリで語りだす

 

≪チャオチャオ~★今を時めく皆のアイドル、リゼヴィムおじさんだよ~♪初めましての方もお久し振りな方も居るだろうけど、今回は大変な目に遭っているキミたちに優しくも状況の説明ってヤツをしてあげようと思ってね☆ほら、こういう状況で悪役が自分が不利になるのも気にせず説明して上げるのってお約束じゃん?やっぱりこういうのは形から入らないとね~★≫

 

軽い感じで悪意を振りまくリゼヴィムの姿に皆の不快感が更に高まる

 

不快感と嫌悪感が三割増しって感じだ

 

≪もうお気づきだと思うけどアグレアスとアウロスの町を丸ごと結界で囲っちゃいました♪それをやってくれたのは此方!聖杯によって強化復活を遂げた邪龍一の結界術の使い手である宝樹の護封龍(インソムニアック・ドラゴン)の『ラードゥン』さんです!≫

 

カメラが移動してラードゥンの姿を映し出す。隣ではリゼヴィムが「わ~、パチパチパチ~★」とかやってるな

 

≪それから今アウロスに集まってるっていう魔法使いの魔法も封じてる訳だけどそれを行ってくれたのはこれまた俺達のキーアイテムである『せい☆はい』で復活した魔源の禁龍(ディアボリズム・サウザンド・ドラゴン)の『アジ・ダハーカ』さんであります☆こちらのお二人にはコピーした赤龍帝の譲渡の力を渡した上で命を削るレベルの力の行使をお願いしてあるのでキミたちが此処から逃げる事は出来ません★削った命は聖杯で回復出来るから禁術仕掛け放題!結界の外とは時間の流れも隔絶してるから援軍は期待しないでね♪―――神滅具(ロンギヌス)と邪龍の組み合わせってスゲェェェ!!≫

 

「・・・そう言えばイッセーの能力とサジの能力って相性良いよな」

 

サジに宿るヴリトラって邪龍と龍王を兼任してる訳だし、先日の魔法使いの襲撃の時にはソーナ会長がイッセーとサジの能力を繋げて一方的かつ安定してはぐれ魔法使い達を蹂躙したみたいだしな

 

「お前それ今言う必要あったか!?」

 

「成程・・・確かに神滅具(ロンギヌス)と邪龍は危険視するべきですね」

 

「会長も乗らないで下さいよ!!ヴリトラは邪龍の中ではまだ理性的なんですからね!そうじゃないと龍王の称号は得られないですよ!」

 

二匹のドラゴン(宿主)が吼える中でもリゼヴィムの説明は続いて行く

 

≪何で今回こんな事をしたのかってぇと目的は二つね♪一つはアウロスの町に集まってる魔法使い達は如何にも俺達に非協力的みたいだし?邪魔になるかも知れないなら消しちゃおうってのが一つ。んで、もう一つは空中都市アガレスなんだけど、そこに眠るモノを貰っちゃおうって訳だよん♪―――ほら、アガレスって元々は俺のパパの持ち物だった訳じゃん?だったら息子の俺が相続しても良いよね★≫

 

戦で負けて戦利品として押収されたモノの権利を今更主張されてもなぁ・・・第一確かアガレスって創ったのは先代魔王のルシファーだけでなくて先代四大魔王が創ったやつだから、その理屈で言えばベルゼブブにレヴィアタンにアスモデウスも主張出来るじゃん

 

・・・主張した処で通る訳ないけどね

 

≪今、アガレスとアウロスには俺達クリフォトを打倒しようって言う『D×D』って奴らが居るんだろ?なに、その程度の情報は得ているぜ。折角だから勝負しようぜ☆邪龍の皆さんは好戦的だからさ、キミたちとぶつかって蹂躙したくって堪んないみたいなんだよ―――今から三時間後にアウロスとアグレアスの二か所を邪龍軍団が潰しに掛かるからさ、それが嫌なら止めてみな♪なぁ、止めてみせてくれって!≫

 

映像のリゼヴィムが指を打ち鳴らすとアウロスの町周辺を囲うように天高く燃える紫色の炎が噴き出してきた・・・今度は指パッチン成功したんだな

 

映像のリゼヴィムも若干ドヤって見える気がする

 

「紫炎ですか・・・これはまた厄介な相手が来ているようですね」

 

答えたのは俺達の後ろから近づいて来たゲンドゥルさんだ。魔法の大半を封じられている今、俺達と合流した方が良いと判断したのだろう

 

集会所の他の魔法使い達らしき気配もこの学園に集結しているようだな

 

ゲンドゥルさんが天高く聳え立つ紫炎を忌々しそうに見上げると無数の火柱たちはそのまま巨大な十字架の形へと姿を変えた

 

「十字の紫炎!神滅具(ロンギヌス)の一つ、『紫炎祭主による磔台(インシネレート・アンセム)』!」

 

正体を察したリアス部長が叫び、聖なる炎が相手だと聞いて他の悪魔の皆の警戒度が一層高くなる

 

≪うひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!そういう訳だから精々頑張ってくれよ♪ちゃお~★≫

 

リゼヴィムの癇に障る笑い声と共に映像は途切れ、俺達は防衛戦の準備に入るのだった

 

 

 

 

 

あの後直ぐにソーナ会長が中心になって町の住民を学園への避難誘導を開始した

 

スタッフの方々の手も借りてシトリーとグレモリーの眷属がスタッフの人達の護衛も兼ねて町中を廻っているところだ

 

今此処に居るのは俺とリアス部長にソーナ会長というこの場における各勢力の代表(俺は関西の妖怪枠)と万が一此処で今、戦闘が起きた時の為に火力重視で譲渡も出来るイッセーと広域を魔法で吹っ飛ばせる黒歌やロスヴァイセさんに回復役のアーシアさんだ

 

椿姫副会長も学園へ逃げてきた住民の誘導で学園の正門の辺りで活動している

 

大凡の指示を出し終えた辺りで再びアグレアスのサイラオーグさんと情報の擦り合わせ中だ

 

≪―――そうか、そちらは既に住民たちの学園への避難を開始しているのだな≫

 

「ええ、万が一を考えてこの学園の地下には強固なシェルターを優先して建造していたのが功を奏しました・・・実際に使われる事は無い方が良かったのですがね」

 

≪もっともな感想だが、今はその判断が正しかったものと捉えるしかあるまい。此方もシーグヴァイラが大公代行として頭の堅い役人や市長を早くも説き伏せて町の実権を握り、今は住民たちをアグレアスドームに避難させつつある。あそこはレーティングゲームのスタジアムだけあって各種防衛機能もかなり揃っているからな・・・此方は紫炎以外にもこの町自体を包む新たな結界が張ってあって容易に脱出は出来んのだが、そちらも同じか?≫

 

確かに遠目にも空中に浮かぶアグレアス半透明の結界に包まれて淵の辺りに此方と同じく十字の紫炎がぐるりと囲んでいるのが窺えるな

 

「ええ、紫炎もその先に展開している結界も一時的に穴を開ける事は出来るけど直ぐに閉じてしまうわ・・・それにその二重防壁の外には既に量産型の邪龍達が待ち構えているみたいだから住民を脱出させるなら大枠のこの周囲一帯を囲う大規模結界の外に直接逃がさないと意味が無いわ」

 

「ですので今、集会所に集まった魔法使いの方々が封じられてない部分の術式を組み合わせて全く新しい外に直接跳べる転移魔法を構築中です―――彼らが図抜けた術者の集まりだからこそ可能な離れ業と云えるでしょう」

 

確か魔法使いの一人に裏切り者が居るんだっけ?でも、現時点では誰なのか判らないからな

 

思案しているとロスヴァイセさんが前に出て脱出プランの補足説明をする

 

「この町の住民をその転移魔法で避難させる事が出来れば彼らにも逃げてもらい、私がその術式を引き継いでアグレアスに向かいます。例え私一人では無理でもイッセー君の譲渡の力も合わせればアグレアスの住民も結界の外へ逃がす事が出来るはずです」

 

≪そうか、それは有り難い。無論、邪龍共にみすみす町を襲わせるつもりは無いが、防衛戦において住民たちの安全が確保されるだけでも勝利条件の半分以上は達成できるようなものだからな≫

 

それに精神的にもゆとりが出来るというのもデカいからな

 

≪そちらの防衛力は如何なのだ?此方は俺とシーグヴァイラの眷属に加えてディハウザー殿の眷属も揃っているのに加え、アグレアスにも常駐の兵達は居る。我々が邪龍共を殲滅し、兵達には仕留めそこなった邪龍の足止めと可能ならば殲滅という形で働いてもらうつもりだが、そちらの町で真面に戦えるのはお前たちだけだろう?≫

 

「それは大丈夫よ。数の不足はギャスパーの生み出す闇の獣とイッキの使い魔が補うわ」

 

≪有間一輝の使い魔?≫

 

視線を向けられたので懐からイヅナを出してサイラオーグさんに紹介する

 

「コイツが俺の使い魔のイヅナです。70匹程に分身出来て一匹辺りの戦闘力もギリギリ上級悪魔程度・・・要は量産型邪龍と同じくらいの強さは有していますし、連携も完璧に熟せるのでギャスパーの獣と併せて全体のサポートを担って貰います」

 

『邪人モード』を手に入れた時は上位の中級悪魔程度だったが日々の修行と京都での無限ループ【一刀餓鬼】修行で俺自身の力も地味にクラスアップしているのだ

 

目指せ!イヅナ一匹最上級悪魔レベルである・・・上級から最上級辺りになると力の振り幅が酷くなり始めるから先は長いかも知れんけどな

 

≪ほぅ、その小さな使い魔一匹で邪龍と同格とはな―――分かった。過度な心配は無用なようだな。此方も片付き次第増援を送ろう≫

 

「いえ?逆にこっちが早く片付いてそっちに援護に向かうかも知れませんよ?」

 

≪ハッハッハ!成程、確かにそれもあり得るな―――その意気だ。我ら『D×D』はこのような時の為に結成されたのだ。俺達の手で守るぞ!冥界の住民を、未来有る子供たちをな!≫

 

「「ええ!」」

 

「『はい!』」

 

サイラオーグさんの力強い言葉に俺達もまた気合を入れて返したのだった

 

 

 

 

 

サイラオーグさんとの通信を終えてからそろそろリゼヴィムの指定した三時間が迫って来た。一応余裕を持って二時間前には全住民の避難は完了させている

 

避難所の方では子供たちが不安な様子ではあったが皆が明るい笑顔で『邪龍なんて楽勝でぶっ飛ばす』宣言をしていくと徐々に笑顔が戻りつつあるようだ

 

そして職員室で作戦の確認が行われた

 

「―――では今から発表する者達でタッグを組んで、この学園を中心に八方に散らばって防衛線を張って貰います。可能な限り前衛と後衛をバランス良く合わせたつもりです」

 

ソーナ会長が発表した組み合わせは次の通りだ

 

・リアス部長 + ベンニーア

 

・祐斗 + 椿姫副会長

 

・ゼノヴィア + 由良さん

 

・朱乃先輩 + 巡さん

 

・イリナさん + 花戒さん

 

・ルガールさん + 草下さん

 

・サジ + 白音

 

・イッセー + 仁村さん

 

ソーナ会長とギャスパーが中央の学園の校庭に陣取り状況を見つつソーナ会長が各地にギャスパーの闇の獣を振り分け、尚且ついざという時には結界術で敵の攻撃を防ぐ役割だ

 

イヅナはギャスパーの闇の獣のように味方の影に瞬時にワープとか出来ないので八方に散るチーム一つにつき八匹貸し出してサポートに入って貰う

 

アーシアさんとロスヴァイセさんにレイヴェルはイッセーの使い魔の龍帝丸が今ではヨットくらいの大きさに成長していたので、それに乗って戦場を飛び回っての味方の回復役

 

ロスヴァイセさんは防御魔法でアーシアさんの護衛をしつつ余裕があれば攻撃魔法を放ち、量産型邪龍の攻撃が例え直撃してもほぼノーダメージのレイヴェルは禁術砲台の役割だ

 

移動も龍帝丸が担ってくれるので禁術の発動にのみ集中できるので高火力支援が期待できる

 

・・・と、そこまで説明した辺りで校庭の方から此方が気付けるようにする為か、垂れ流しのオーラと大きめの通信用魔法陣が展開され始めた

 

一旦話し合いを中断してそちらに向かうと立体映像に紫のゴシック調の服装に紫の日傘を持った女性が映し出された

 

≪御機嫌よう悪魔の皆さん。私、『魔女の夜(ヘクセン・ナハト)』の幹部をしているヴァルブルガと申しますのん≫

 

リゼヴィムとはまた違った癇に障る喋り方だ

 

「(うわぁ・・・悪趣味だわぁ。高い身長も相まってゴシックドレスが殺人的なまでに似合ってないし、せめて後20年前にするべき恰好だろ、アレ)」

 

「(確かに・・・って云うかあの喋り方は全年齢でキツイにゃん)」

 

「(単にゴシック調のドレスというだけならまだしも無理にロリィタの要素を組み込もうとしてるから崩れてるんですのよ。あの髪の毛に取ってつけたような大量のリボンとか・・・もしかしてアレで若さを演出しようとしてるのでしょうか?)」

 

「(逆にそのせいで無理してるオバサンにしか見えないです)」

 

≪―――以後、お見知りおきをん♪・・・ってさっきから何ボソボソ言ってますのん!今スグに灰にしますわよん!≫

 

おお!瞬間的に激昂した。これなら『紫炎のヴァルブルガ』じゃなくて『激昂のヴァルブルガ』に改名しても良いんじゃないかな?

 

≪全くもうですわん。それで、銀髪の貴女がロスヴァイセって人で合ってるかしらん?一応貴女だけは無事に連れて来るようにとユーグリットさんにお願いされてるのよねん♪あんなイケメンにお熱を上げられるなんて羨ましいですわん≫

 

それを聞いたロスヴァイセさんは難しい表情で首を横に振る

 

「そちらに行く気も、協力する気も有りません。戦います」

 

≪まっ、そうよねん♪でもぉ、貴女以外は別に殺しちゃって良いから他の皆さんは私が燃え萌えしてあげちゃいますわん。存分に私の萌えで燃えちゃって下さいな♡≫

 

キャピキャピ声で『燃え』だの『萌え』だの言ってるヴァルブルガにとうとうサジも苦言を呈すようになってきたようで、仁村さんもそれに追従する

 

「(なぁ有間、兵藤。俺も段々堪えられなくなってきた。自分で『萌え~』とか言うのなんて一体何年前の死語だよ?)」

 

「(匙先輩に同意です。白音ちゃんとかならゴスロリ衣装で『萌え~』出来るんですけどね)」

 

「(多分十年以上は前じゃないか?ガキの頃にテレビの特集とかで見た覚えがあるけど直ぐにブームは去って行ったと思うぞ?ルフェイ主催の『オーフィス・ファッションショー』では白音やレイヴェルも服を持ち寄ったりしてるからな。似合う事は保証するぞ)」

 

「えっ!?なにそのファッションショー!チョー気になります!」

 

『オーフィス・ファッションショー』に反応した仁村さんがひそひそ声も止めて喰い付く・・・生徒会メンバーの中で彼女が一番ノリの軽い性格してるよね

 

「仕方ない。この戦いが終わったらルフェイさんに渡された『ウロボロス・メモリアルver.3』を貸して上げるからさ。最新号ではオーフィスメインだけど白音とレイヴェルも一緒に写ってるページも在るから」

 

その約束に仁村さんが「やった♪」と喜んでいる中、画面の向こうのヴァルブルガは額に青筋を浮かび上がらせている

 

≪良いですわん。元々殲滅するつもりでしたが貴方たちはより念入りに燃え萌えさせて差し上げますわん―――お覚悟なさってねん!≫

 

語気の強い感じにヴァルブルガの通信が切れた辺りでソーナ会長とリアス部長が溜息を吐いている

 

「イッキ、貴方態々相手を執拗に怒らせてどうするのよ?」

 

「いえ、作戦の内ですよ?ヴァルブルガがアウロスとアグレアスのどっちを襲ってくるか判らなかったので挑発しておけば本人が来るでしょう・・・それでソーナ会長。ヴァルブルガが通信してくる前の話なんですが俺と黒歌の配置は如何予定されてましたか?」

 

「・・・そうですね。お二人は今回はお一人ずつで対処に当たって欲しいと思っていました。正直貴方方の実力は今の私達の中では図抜けていますので遊撃隊として動いて欲しいのです」

 

「私は構わないにゃ。これでも一人で戦うのは慣れてるしね」

 

肯定の意を示す黒歌だけどそこに俺が待ったを掛ける

 

「いえ、それなんですが俺は黒歌と組んで良いですか?」

 

「・・・何故でしょうか?ヴァルブルガに関連の有る事ですか?」

 

「はい。邪龍筆頭格のアジ・ダハーカがアグレアスに向かっているみたいなので今の俺達にとって一番の脅威は聖遺物(レリック)であるあの紫炎です。アレが存在している限り何時までも一撃逆転の目を向こう側に残す事になる―――そこで、こう云うのは如何でしょうか?」

 

作戦を話すと皆微妙と云うか難しい表情だな

 

最初に言葉を発したのは顎に手を当てて考えていたソーナ会長だ

 

「―――確かに有間君の身体操作技術とオーラの操作技術がかの初代孫悟空にさえ迫る程の異常なレベルに在る事は私達も識るところです。有間君。一つだけお聞きします。問題無いのですね?」

 

俺が頷いて「はい」と返すとソーナ会長は「分かりました。私は有間君の作戦を支持します」と言ってくれて、他の皆も渋々と云った感じは拭えないものの了承してくれた

 

それから全員が指定された箇所(俺と黒歌は取り敢えず最初は空中に陣取った)に配置してから10分程待つと町をグルリと取り囲んでいた量産型邪龍達が一斉に吼え始めた

 

「開始の合図みたいにゃ」

 

「俺一人だったら『邪邪 風風』しながら適当に逃げ回ってれば、その内あいつ等全部のた打ち回って死ぬんだけどなぁ」

 

「それを言ったら私だって量産型程度なら景色ごと吹き飛ばせば終わりなんだけどにゃ~。まっ、しょうがないからチマチマ削って行きましょうか」

 

少し愚痴を垂れつつも俺はイヅナの妖気と混ぜた闘気弾で、黒歌は4種混合フルバーストで遠くに見える邪龍の内皆が防衛線を敷いて戦ってる場所の後方に居る邪龍達を優先して殲滅し、前線で戦ってる彼らへ後続の邪龍が押し寄せるその勢いを半減させる

 

ファーストアタックはそれでも良かったが邪龍達が戦線に近づいてくるとあまり後方に攻撃を加えるのも効率が悪くなってくるので、取り敢えず学園の正門の方から時計回りに廻りつつ邪龍の数を減らす・・・遊撃と言っても流石に最初の内から極端に押し込まれるような場所も無いからね

 

至る場所から雷光やら聖剣の波動やら魔力弾やらの爆発音が聞こえて来る

 

暫く戦っていると大量の邪龍達の気配に紛れて判らなかったが学園の北側のリアス部長とベンニーアが担当している場所に紫炎の火柱が立った

 

如何やら紫炎の魔女が来たようだ

 

 

 

[リアス side]

 

 

今、私の目の前の空中には聖十字架の使い手である魔法使い、ヴァルブルガが空中で魔法陣を足場にして私達の事を嘲笑うかのように見下している

 

挨拶代わりとして放たれたであろう紫炎の火柱は明らかに私もベンニーア狙っていなかった・・・無論、回避しなければ当たっていたでしょうけど、明らかに隙の有る一発だったわ

 

「うふふふふ、燃え萌えさせにやって来ましたわん♪貴女はグレモリーのお姫様ねん。貴女のその真っ赤なお髪に似合う、たっぷりの炎をプレゼントして差し上げますわん♪」

 

あの口振りだと狙って私の下に来た訳では無いようね

 

そう思いつつ先ずは通信機で状況を伝える

 

「此方北側、ヴァルブルガが現れたわ」

 

≪了解です。万一に備えて一度防衛ラインを引き下げます。北東の椿姫と木場君はリアス達と合流して、有間君と黒歌さんは準備に取り掛かって下さい≫

 

瞬時にソーナの指示が飛ぶ

 

私達悪魔に聖なる炎は弱点だけど出現させた鏡で受けた衝撃を倍にして返すカウンター系の神器である『追憶の鏡(ミラー・アリス)』を持っている椿姫と合流すればヴァルブルガが相手でも戦いの安定性が格段に上昇する。後はベンニーアと反撃しつつ後退してその時(・ ・ ・)を待つだけね

 

私は滅びの魔力で邪龍達を消し去りつつヴァルブルガに話し掛ける。如何やらお喋りが好きなタイプみたいだし、無駄にリスクを負って紫炎と相対する必要は無いものね

 

「ねぇ、紫炎の魔女さん。貴女達が今襲っているのは学園なの。だからと云う訳でもないけど、一つ教授して上げるわ」

 

「あらん?なにかしらん?」

 

「人間界の中世において『魔女狩り』と呼ばれる弾圧が巻き起こったわ。本物の魔女なら表の人間に簡単に捕らえられる事も無いでしょうし、実際に魔女裁判で処刑された人達は魔法とは何の繋がりも無い人達が大半だったとされているわね」

 

「・・・馬鹿にしているのん?その程度の知識は一般常識の範疇でしょうん?」

 

私が何を語るのか興味のあった視線は侮蔑を含んだものに変わる

 

その中で私の近くを飛んでいたイッキの使い魔の管狐の分身体の一体が一瞬だけ狐火を吐き出す―――如何やら準備が整ったようね

 

それに丁度祐斗たちも視認できるくらいに近づいて来たわ

 

「あら、御免なさいね。そんな喋り方をしている貴女の口から一般常識なんて高尚なセリフが聞けるとは思わなかったわ。でも、人の話は最後まで聴くものよ?―――魔女狩りでは様々な方法で人々が処刑された訳だけど、その中でも特に有名なものの一つに『火炙り』と云うものが在るのよ。貴女は他人を燃やすのが好きみたいだけど、一度燃やされてみるのも一興だと思わない?」

 

空中で紫の日傘をクルクル廻していたヴァルブルガが「なにを・・・」と言い掛けた瞬間、ヴァルブルガの全身が燃え上がった・・・いや、違うわね。一瞬そうだと錯覚してしまう程の全身の大火傷が突如としてヴァルブルガを襲ったのだ

 

「イ゛ッ!?ぎひゃああああああああああああああ!!!!?」

 

何の予兆も無く、突然全身を襲った堪えがたい苦痛にヴァルブルガは傘を放り出し、足場の魔法陣も町の周辺を囲う紫炎も維持できなくなり、真っ逆さまに地面に落ちる

 

だけど地面に落ち切る前の空中でやって来た祐斗が高速で突っ込み、ヴァルブルガの両手足を切り落として更には呪文の詠唱も封じる為に喉も潰す

 

ヴァルブルガの肉体から離れて地面に落ちた両手足はすかさず私が消滅の魔力でこの世から消し去り、フェニックスの涙による再生を阻害し、私自身素早くヴァルブルガに近づいて周囲の邪龍達の攻撃から祐斗たちに守って貰いながら彼女を魔法で雁字搦めに拘束した

 

「イッキ、黒歌。こっちの処理は終わったわよ」

 

≪了解にゃ。龍帝丸にこの黒焦げのイッキを転移させるから後は宜しくにゃ≫

 

そう、今回の作戦とはヴァルブルガが現れた際にイッキがオーラのコントロールで最低限の守りだけを施した状態で町の周囲に常に存在する紫炎の『攻撃』に態と突っ込んで【偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)】の効果を発動するというもの

 

態々イッキがそこまで体を張らなくても遭遇した者が尽力して足止めをし、遊撃隊のイッキと黒歌が駆けつけて倒せば良いのではないかと云う意見も在ったが、イッキ曰くヴァルブルガは吸血鬼の町でヴァーリチームを相手取りながらも逃げおおせるだけの力も有り、更には今回直接会話した感触では相手は只管自分が優位に立った状態で敵対者を甚振りたい下種な趣向の持ち主のようだから少しでも不利を悟れば転移魔法でさっさと逃げて、それこそ結界の外からの一方的な攻撃すらも仕掛ける可能性が有ったので確実に手早く『処理』した方が良いとの事だった

 

イッキの能力はイッキ自身が回復すれば呪いを掛けた相手もその傷は治ってしまう上にクリフォトは偽物のフェニックスの涙を製造しているのでイッキの能力の発動と同時に諸々の『処理』をしたのだ・・・自分の体を把握しきっていて重要器官はオーラでしっかりとガードする事ができ、身体操作の応用で一時的に痛覚遮断すらも扱えるという相変わらず訳の分からない技術を持つイッキでなければ間違っても許可など出せない作戦ね

 

「・・・私もカウンター使いですが、まるで参考にならない外法の業ですね」

 

「全くよ。例え同じ能力を持っていても、真似出来る気がしないわ」

 

椿姫の感想に思わず私も肩を竦めてしまった

 

イッキ自身が既に治療を受けているのか目の前で拘束したヴァルブルガの火傷痕が急速に治っていくが当のヴァルブルガは気絶してしまっているようね・・・この結界内でも私達は短距離転移なら使えるので拘束したヴァルブルガをソーナの下に転移で送り、ソーナの魔力の拘束の重ね掛けとギャスパーの闇の獣の見張りを立てる手筈となっている

 

そうして転移でヴァルブルガを送って一息着いた辺りで学園の南の方で大規模な爆発が巻き起こる

 

強大な邪龍の気配が二つ・・・一つは先日戦ったグレンデルのものだけど、邪龍筆頭格らしいアジ・ダハーカがアガレスの方に向かってるみたいだし、もう一つはラードゥンのものかしら?

 

南の方向なので相対してるのはイッセーだろう

 

私達の場所に北東の祐斗たちが駆けつけたという事は反対側の南西担当の白音と匙君がイッセー達と合流しているはず

 

イッセー一人で一匹を受け持って残りの三人でもう一匹を受け持てば互角とまでは言えなくとも十分戦えるはずだ

 

白音も三又に至ってから音速を超える動きが当たり前になって来ているし、彼女を中心に戦えば十分過ぎる程に時間が稼げるわね。その間に黒歌と回復を終えたイッキが合流すればグレンデルとラードゥンの二匹程度なら押し返せるでしょうね

 

・・・そう言えば遠くで白音の訓練を見学していたイッキが独り言で「アレはまさしく、サーヴァントの領域・・・」とか呟いてたのを偶然耳にした事が在ったけど、イッキは召使い(サーヴァント)に何を求めているのかしら?もしかしたらイッキの中でメイド(サーヴァント)筆頭であろうグレイフィアを基準に考えてない?―――数百を超えるグレモリー家の使用人達が全員音速越えで動き回るのが基準だったらとっくにグレモリー家が世界を征していたかもね

 

後でイッキの勘違いを正してあげるべきね(後日その事を話したら「聞いてたんですか!?うわ、恥ずかしっ!」と言っていたから冗談の類だったようだ)

 

量産型邪龍はまだまだ襲ってくるから私達はこの場を離れる訳にはいかないけれど、この調子なら私達の勝ちね!(不穏フラグ)

 

私達は仲間を信じて今は目の前の邪龍達を倒す事に注力していくのみよ!

 

 

[リアス side out]




イッキ「イッキ、逝きま~す!フレアドライブ&みちづれ!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。