あとついでに、文字数も総計100万字ごえですねww
ライザーとの模擬戦も終わり冬休みまで片手で数えられる程になった頃、今は部室でイッセーと軽く将棋を指していた
厳しい特訓の日々だからこそ、こういった遊び心も重要だと思う
とは言え流石に真剣勝負という訳でもなく、結構早指しで雑談しながらではあるがな
適当な雑談を繰り広げているとイッセーが少し固いトーンに変わる
「なぁイッキ・・・ちょっと真面目な話なんだけどさ・・・」
「ん?なんだよ?」
「俺達って寿命が一万年くらいは有る訳だろ?それに俺はもう種族からして悪魔に変質しちまっている・・・それ自体は別に自分で選んだ事でもあるから良いんだけどさ。松田や元浜なんかの友達とか、特に俺達の両親みたいな家族にはその辺り、如何接していくべきなのかなってさ・・・悪魔は成人すれば見た目は魔力で変化させられるみたいだけど、両親を一生騙していくって考えると気が引けるんだよな。だからと言って今の俺達の正体を打ち明けたら危険な戦いに身を投じてるって事で心配させちまうだろうし・・・いや、そもそも『悪魔に為った息子』を両親が受け入れてくれるのかなって思うとね」
少しどころかガチで真面目な話題ぶっこんで来たな
『悪魔に為った息子』ね・・・まぁ確かに一般人からしたら『悪魔』は基本悪いイメージで凝り固まってるからな
話も聞かないで一方的に拒絶!・・・とかも普通に考えたらあり得る訳だ
年の瀬が近づいてるからか将来的な事を漠然と考えるようになったのかな?
「―――そうだな。これはあくまでも俺の場合だけど、クリフォトの一件が片付いたなら両親に打ち明けても良いとは思ってるぞ」
そう言うと意外そうな顔を向けられたので続きを話す
「先ず、仕事が危険だから両親に心配させたくないって言うのは何も俺達『D×D』だけに限った話じゃない。日本の自衛隊・・・だとちょっとイメージしにくいかも知れないけど彼らだって有事の際には命懸けで戦う職業だ。海外の軍隊を含めて、それとどれ程違いがある?」
普通に銃が普及している国とかなら警察だって軍隊ばりに命懸けだろう
勿論多かれ少なかれ心配させてしまうのは心苦しいものが有るが、それを理由にそれらの職業を無くして良い訳でもない
それにクリフォトが居なくなればテロ自体は無くならないにしても強大な敵がそうポンポン出て来る訳でも無ければ、俺達だってそんな敵に無策で突っ込む訳でも無いだろう
「それにな。俺達が裏側の存在だって事は両親には話しても話さなくてもその危険度に然程違いは無いんだ。俺達『D×D』の家族の一般人・・・テロリストからしたら十分に標的としての優先順位は高い位置に在るはずだ。俺達の家もそうだけど、両親の仕事先とかでも三大勢力のエージェントが密かに護衛に就いているんだぞ?」
俺達は有事の際は前線で体張るけど、裏方の人達の日々の献身を忘れんな
「ああ・・・絶対に忘れないようにするぜ」
「最後に両親に打ち明ける理由だけど、これは完全に俺のエゴが含まれてる・・・俺は将来黒歌の事もレイヴェルの事も白音の事も九重の事も嫁に貰う訳だけど、その事を暗示で誤魔化したりしないでキチンと伝えたいし、祝って欲しい・・・日本じゃ一夫多妻制は認められてないから普通に『全員嫁にします!』ってのは流石に無理だろうからな」
八坂さんやレイヴェルの両親は祝ってくれるだろう。でも折角ならそこにちゃんと自分の両親も加えたいというただの我が儘ってやつだ
俺が苦笑しながらそう言うと部室内の皆の視線が突き刺さる
え・・・なに?
「そう・・・これがプロポーズ済みの男性の放つパワーなのね」
「っく!不覚にもちょっとカッコイイとか思っちまった!」
「あらあら、うふふ。白音ちゃんたちも本当に愛されていますわよねぇ」
「よし、イッセー!早速この場でリアス部長にプロポーズしろ!そうすればイッセーも覚悟が決まって私との子作りをそのまま受け入れられるようになるだろう!」
そう云えば他の皆の居る場所でこの手の発言をした事は無かったっけ?
自覚してから少し顔に熱が昇ったので誤魔化す為にテーブルに置いてあった朱乃先輩の淹れてくれた珈琲に口を付ける・・・うん。相変わらず美味しい
すると背後から"ふにょん"と極上の柔らかに頭が包まれた
「うっふふ~ん♪そんな事言われたら襲いたくなっちゃうにゃん♪」
「・・・でも、そうですね。イッキ先輩の御両親の事を気兼ねなくお義父さん、お義母さんと呼べたら素敵な事だとは思います」
「白音の言う通りですわね。隠し事が有る事は仕方ないにしても、これに関しては受け入れて頂ければそれが一番ではあります・・・問題はイッセーさんの不安と同じように私達が『悪魔』であるという点ですわね」
レイヴェルの言葉に白音もちょっとシュンとなってしまったな
ていうかよく見れば他の女性陣も心なしかさっきより表情が曇ってる
「そうだな。イッセー。何時か自分の口からばらすのも一生黙っているのも何方も一長一短だ。明確にどっちが正解なんて事は無い。ここで大事なのは心を定める事だと思うぞ?」
「心をって如何いう意味だよ?」
「俺は黒歌達の事も両親の事も大事だし、大切にしたい。でも仮にだけど両親から『悪魔』や『裏』についての理解が得られなかったとして・・・最終的に俺は黒歌達を選ぶ」
「!!」
目を見開いているイッセーを余所にそのまま続ける
「勿論。大団円になるのが一番だし、一度拒絶された程度なら何度だって説得もするさ。それに有事の際に両親の命を守る事も当然だ・・・でも、『幸せにする』という一点を見つめたなら、俺が選ぶのが黒歌達って事だ」
要はもしも悪い方向に話が進んだ時の為の覚悟って、少しだけ後ろ向きな覚悟なんだけどな
最後にそう付け加えるとイッセーは首を横に振る
「いや、そんな事はねぇよ。俺なんて『バレたら如何しよう』とか『拒絶されたら如何しよう』とか、そこで完全に思考が停止しちまってたんだからさ」
それは仕方ないとも思うけどな
俺は人生二度目だから普通の学生の精神性とは若干異なるって自覚は有るし
「それでも『もしも』を想定するってのは何事においても大事だろ。そりゃあ想定外なんて幾らでも在るだろうけど、例え答えは出ていなくても一度でも真剣に考えた事のある事柄なら動揺も最低限で済むだろうからな」
「―――成程な。なんだかんだ言って常に戦況を見定めて動くイッキらしい意見だぜ・・・それはそうとイッキお前・・・」
イッセーが将棋の次の一手を打つと同時に俺に指を突きつける
「話が進む度に後ろから黒歌さんに両脇に白音ちゃんにレイヴェルがどんどんとくっ付いていく様を見せつけて来るんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!」
それは俺に文句言うなよ
まさか俺に彼女達を引き剥がせとでも言うのか?
「そもそも話題を振って来たのはイッセーの方なんだから諦めろ・・・ほい王手で詰みだ」
「あ゛!」
集中が乱れたのか普通にさっきの一手は悪手だったからな
「まぁ両親の事に関しては焦る必要もないし、大学卒業辺りまでは考える時間を設けても良いとは思うぞ?」
寧ろ問題はリアス部長達の事だろう
途中で邪魔が入るってんならもういっその事全員集まってる時にでも纏めて告白なりプロポーズなりしちまえよ・・・と、思わんでもない―――何故かイッセーって性欲の積極性に反比例どころかマイナス突き破るレベルで恋愛方面は奥手だからな
あと、俺の家は家庭内の仲は基本円満だから楽観してる部分は有るとも思うけど、それはイッセーの家だって同じだろう・・・寧ろ『うぅ・・・イッセーにこんなに可愛いお嫁さんが沢山居るなんて・・・将来は孫たちだけのチームでサッカーとか出来るのかな』とかやってるであろうそっちの家の方が言っちゃなんだけど変なんだからな?
いや、俺のところの両親もレイヴェルのホームステイとか認めてる時点で似たようなもんか
信じられるか?暗示とか使って無いんだぜ?
クリフォトの件が片付いたらってさっきは言ったけど実際は学生終わり辺りになるのかね?高2の段階で万が一拒否られたら滅茶苦茶気まずいだろうし予防線は張って置くべきか・・・臆病で結構。デリケートな問題なんだから慎重すぎるくらいで丁度良いんだよ
そんな話をしていると部室の床に描かれた魔法陣が青白い光を放ち始めた
「あらあら、依頼が入ったようですわね」
朱乃先輩の言うようにこれはイッセー達に悪魔召喚のカード(『貴方の願い、叶えます』という非常に怪しいカード)で依頼が舞い込んだ時の光だ
常連さんとかだと事前予約とか指名依頼も入れられる機能とかも使ってたりもする
俺が高校一年の間白音を召喚してたのはこの機能だな
それ以外の突発的な依頼とかだと召喚主の思考・願いをある程度読み取って今動けるメンバーの中で適任の人が依頼に赴く形になっている
朱乃先輩が魔法陣に手を翳して調べるとリアス部長に報告する
「部長。如何やら新規の方で力仕事関係の依頼のようですわ」
力仕事・・・引っ越しの手伝いとかそこら辺か?
力仕事の依頼って悪魔なら別に『戦車』の白音とかでなくても問題無いんだろうけどね
「分かったわ。ゼノヴィアは1000本ノックの依頼が入ってるし、白音に頼もうかしら?」
1000本ノックの依頼ですか
ゼノヴィアはこういうスポーツ系の依頼を中心に熟してるよな
因みに同じ『戦車』のロスヴァイセ先生は今はまだ職員室で会議中だ
小柄な白音が力仕事とか出来んのかって初見の依頼者は思うかも知れないけど、そんな時は近場の重い物―――ベッドとか本棚とかをその場で片手で持ち上げれば黙るみたいだしね
と云うかグレモリー眷属でそういうのが得意そうな外見してるのってイッセーくらいしか居ない(祐斗は線が細い)から一々気にしてられないのだ
「それじゃあお願いね、白音」
「はい。部長」
白音が短く返事をしてから魔法陣で召喚カードを目印にした転移で依頼主の下へ転移して行った
白音が居なくなったので黒歌が同じ場所に座ってテーブルの上のお菓子に手を伸ばす
「う~ん。何時呼び出されるのか判らないってのも面倒よねぇ。今の私はどうあれ『はぐれ』という名のフリーだから気が向いた時に仕事するだけだけどにゃ~」
「別に召喚に応じる時間帯は基本決まってるんだからそこまで面倒じゃないだろうに・・・そう言えばリアス部長。やっぱりこういうのって時間外勤務を如何してもと頼まれたら割増料金で受けたりとかもするんですか?」
「内容に依るわね。やっぱり如何しても此方の都合が合わなければそもそも無理だし、割増料金という理由だけで受けていたら私達も身動きが取れなくなっちゃうわ。依頼の内容を詳しく聞いて、本来の時間帯で魔力とかの何らかの手段で代用できるならそうするし、如何しても無理なら昼間の呼び出しに応じる事にしている他の専門の悪魔に仕事を流すわね」
昼間の依頼専門の悪魔か・・・体が怠くなるだろうけど、他の悪魔と仕事がバッディングする事も少ないというメリットも有るんだろうな
そんな雑談をしているとリアス部長の耳元に小型の通信用魔法陣が現れた
「白音?如何したのかしら?・・・ええ・・・ええ・・・分かったわ。直ぐに向かうわね」
そう言ってリアス部長が席を立つ
何か問題でも在ったのだろうか?そう思ってるとリアス部長がこっちに視線を向けた
「イッキ、レイヴェル、黒歌。あなた達も一緒に来た方が良いわ」
「え?マジで何が在ったんですか?」
「―――如何やら白音を召喚したのがね。イッキのお母さまみたいなのよ」
おぉう・・・さっきこの手の話題したばっかだぞ
フラグ回収早過ぎるだろう
▽
イッセー達が心配そうにしている感じの中で見送られて俺達はリアス部長と一緒に転移魔法陣で俺の家まで転移していった
転移先はリビングだったようで両親共に揃っていてリビング中央のテーブルの椅子に座っている
白音はちょっと縮こまっちゃってる感じだな・・・まぁ白音からしたら心臓に悪すぎる状況だったろうし、仕方ないのだが
「イッキ!それに黒歌さんにレイヴェルちゃんにリアスさんまで!」
「おおう・・・テレポートなんてSFの世界の話だと思っていたよ」
どっちかと云えばファンタジー路線の世界ですよ
「白音、今は何処まで話したのかしら?」
「詳しい事はまだなにも・・・」
俺達も速攻で来たからそれも当然か
「話をするにも取り敢えずお茶を淹れるよ。レイヴェルは手伝ってくれ。その間に黒歌は椅子を人数別に移動させといて」
取り敢えず場を整える事にして黒歌とレイヴェルに頼む
「分かりましたわ」
「分かったわよ」
そうして全員で卓を囲んで心を落ち着かせる意味でハーブティーを行き渡らせてから先ずはリアス部長が話を切り出す
「さて、叔母様、叔父様。イッキもこの場に居る訳ですが、ここは白音の主でもある私から説明に入らせて頂きますわ」
その言葉に両親もオズオズと云った感じではあるが頷く
そうしてリアス部長は懐から一枚のカードを取り出す
「白音が最初に召喚された時、このカードに願い事をなされましたね?」
「・・・はい。もう直ぐ大晦日なので重たい物をどかして掃除する時に如何しましょうかという話になって、引っ越してから未整理だった小物とかを片付けていると何年か前に駅のチラシ配りだったかしら?それで貰ったそのカードが見つかったんです。棄てるつもりだったのがそのままになっていたみたいで、冗談半分で力持ちのお手伝いさんが来て欲しいと願ったら、白音ちゃんがいきなり魔法陣?みたいなもので現れてビックリしました」
年末の大掃除に向けて話し合ってる時に偶々仕舞い込んでいたカードを掘り起こしちゃったのね
俺がオカルト研究部に入部して俺の家にカードを配る事は無くなったとしても、それ以前に入手したカードもそりゃ可能性としちゃ在るよな
「そうでしたか。先ず、先程白音や私達が魔法陣でもって現れたようにこの世界の裏側には超常の存在という者達が住んでいます。悪魔、天使、堕天使、妖怪に各神話の神々など、他には人間にも霊能力者や陰陽師といった異能の力を持つ者も居ます。その中でこの場では私、白音、レイヴェル、黒歌の種族は悪魔なのです」
説明の為に立ち上がったリアス部長は悪魔の翼を展開する
皆で広げると邪魔だし、レイヴェルの翼は家が焦げるのでリアス部長のみだ
広げられた翼をまじまじと見つめる両親を余所に説明は続く
先ずは一通りの概要を勢いに任せて話してしまった方が良いからな
「悪魔は人間の願いを叶え、対価を得るという『信仰』を一つの糧としています・・・しかし近年では悪魔召喚用の魔法陣を態々描いて召喚を本気で試そうとするような人間は稀なのでこうして此方からカードを配って願いの有る依頼主の下に魔法陣で召喚されるのが一般的なんです」
リアス部長が「此処までは宜しいですか?」と尋ねると父さんはお茶で喉を潤してから「色々理解が追い付いてませんが、悪魔の世界も世知辛いのだと思いました」と変な返しをする
思考が可笑しなところに注目しているな・・・無理もないか
『悪魔』という人類の敵というイメージだけど今まで普通に過ごして来た白音たちな上に息子の俺も普通に同席してるからか警戒心MAXという感じではないのが幸いか
「次に悪魔の中にも階級というモノが存在します。その中でも上級悪魔と呼ばれる者達は悪魔以外の種族を悪魔として転生させる事が出来る特別な道具を魔王様から賜る事が出来るのです。私はそれを使い、妖怪であった白音を私の配下として転生させました・・・勿論合意の上での話です」
「白音ちゃんは元妖怪・・・なら、黒歌さんも?」
「ええ、私と白音は元々
母さんに話を振られた黒歌は猫耳と尻尾を出して答えた
「黒歌さん・・・」
それを見た母さんはテーブルに乗り出して黒歌の方にズイッと体を寄せる
「・・・何かにゃ?」
「その耳と尻尾。触っても良いかしら!」
「ま、まぁ構わないけど・・・」
黒歌の許可が出ると母さんはそのまま黒歌の猫耳を堪能し、テーブルの上に先端部分だけだけど移動させた黒歌の尻尾をニギニギしている
「ねぇ、白音ちゃんも猫耳出せるの?」
「は、はい」
母さんの圧に負けた白音が猫耳と尻尾を生やすと「キャアアアア!可愛いわぁぁぁ!!」とテンションうなぎ昇りになって父さんに「はしたないぞ」と諫められるまで撫でまわしていた
父さんは父さんで母さんが隣で暴走してたから逆に冷静な感じだったけど猫耳に気を取られて右手がソワソワしてた・・・セクハラになるから自制したんだろうけど撫でたかったんだろうな
「何て言うか・・・イッキ先輩の御両親である事を強く感じました」
「うふふ♪イッキも私や白音の耳や尻尾も好きよねぇ」
いやぁ、そこにフワフワの猫耳が在れば撫でるでしょう。普通はさ
「・・・続けても良いでしょうか?」
おっと、心なしかリアス部長の声音に呆れの色が見えるぞ
まぁ俺としては母さんが良い意味で場の空気を壊してくれたから良いんだけどね
「この場で私の眷属は白音だけですが、悪魔と為った以上は悪魔として仕事をして貰う必要が有るのでカードに込められた願いを叶える為に彼女が派遣されたのです・・・まさかイッキの御両親の召喚だったとは思いもしませんでしたけど・・・因みに私やイッキの所属しているオカルト研究部の部員は殆どが私の眷属悪魔です。顧問のアザゼル教諭は堕天使ですし、副顧問のロスヴァイセ教諭は私の眷属。他には天使もおりますし、ご子息の彼は知っての通り人間です」
「天使?天使と悪魔というと永遠に相容れない敵同士というイメージがあるのですが、現実には違うのですか?」
父さんがオカルト研究部には天使も居るという情報に驚いている
「確かに悪魔、天使、堕天使は三大勢力とも呼ばれ長年争ってきましたが、つい最近不毛な争いに終止符を打つべきだと三大勢力のトップ会談が開かれ、和平が成立しました。今は聖書以外の他の神話体系の勢力にも和平の申し入れに力を入れています」
「そう・・・なのですか・・・」
実は超常の存在が本当に居て、その上悪魔や天使が和平を結んでいるという価値観が崩れる情報になんかもう諦めたような雰囲気が滲みだしてきているな
「悪魔のお仕事とやらについては一先ず分かりました。一応お聞きしますが仕事の内容に釣り合わない法外な報酬を求めたりは?」
「私のところは明朗会計をモットーとしております。今回の白音への依頼内容からして金額で一万円を超える事は無いでしょうし、そもそも契約が成立しなければ当然、依頼料もゼロとなります」
「・・・遅い時間帯に瞬時に駆けつけてくれるお手伝いさんのお値段としては寧ろ安いくらいかも知れませんな。それで、話を聴く限りではイッキの居る部活動では人間では無い方々が集っているようですが、なぜそこにイッキが居るのでしょうか?」
「それは・・・」
言い掛けたリアス部長を片手で軽く制する
「リアス部長。そこから先は白音が召喚された事とは別問題なので俺から話しますね」
「―――そうね。では、お願いするわ」
全部の説明をリアス部長に任せてしまった方が気は楽なんだがそういう訳にもいかないだろう
それから一般人の依頼主への要点を絞った説明とかを両親にするのも変だし逆に面倒なので順を追って話す事にした
人間も超常の力を偶然宿す場合が在る事から始まり、神器の発現から独学の仙術の習得、小学生の終わりに黒歌と出会って中学の修学旅行で土蜘蛛の事件に巻き込まれてそこで正式に仙術の師から手ほどきを受けた事などを話していく
「―――そんな感じで事件を解決した報酬として猫妖怪の長老の
「・・・イッキ。貴方私達の知らない間にどれだけ大冒険してるのよ」
いやぁ、これでもここ半年の事件の密度に比べたら薄味もいいとこ何ですけどね
「それにしてもイッキと黒歌の仙術の師の方がまさかあの猫妖怪の大御所の方だったなんてね。白音を最初引き取る時に日本の猫妖怪の事について一通りは調べたから筆頭とも云えるその方の事は覚えているわ・・・イッキと黒歌の実力の高さの秘密が解った気がするわね」
確かに俺の基礎能力を叩き上げてくれたのは
「―――そう言えば
「ええ、そうね。イッキは最初は妖怪に伝手が有るとしか言ってなかったし、その後八坂様の事を知ったからてっきり八坂様の配下かそれでなくとも関西方面で仙術が扱える方の弟子になっていたんじゃないかって思い込んでたわ」
あ~、言われてみればそうだよな
俺って一応関西と関東の妖怪両方の重鎮とコネクションを持ってる訳だ
重鎮というか関西に関してはトップだし
「でもイッキ~?修学旅行の事を話すならもう一つ重要な事を話さないといけないんじゃないのかにゃ~?」
う゛っ、可能ならその事は最後に回したい気持ちは有ったんだけど、仕方ないか
「あ~、前に九重が家にお泊りした時のがあったけど、彼女がさっきの話に出てた京都を束ねる九尾の狐の八坂さんの娘さんなんだけど、覚えてる?」
オーフィスのお社を建てた時の事だからまだ一ヵ月程度ちょいしか経ってないんだけどね
「ええ、巫女服を着たとっても可愛い子だったわね。狐の妖怪・・・と言う事はもしかしてあの娘もケモ耳と尻尾を!?」
あ~、はいはい。抑えて抑えてね
まさか俺の母親が此処までケモっ娘属性持ちだったとは・・・流石に俺もここまでじゃないはずだし、遺伝子的に血が半分だからそれで抑えられてんのか?そんな疑いを持ってしまうな
「俺、あの娘と婚約してるんだよね・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
止めて!その沈黙と真顔はマジで止めて!
「・・・・・イッキ。貴方何時から幼女趣味に走るようになったの?」
「ちょっと待てぇぇぇ!!その反応は予想してたけど、多分に誤解を含んでいるからしっかり説明させて下さい!!」
「でもイッキ貴方、黒歌さんがガールフレンドなのでしょう?それは如何なったの?」
「黒歌も婚約者であと白音とレイヴェルも婚約者です!!」
クソ!絶対こんな感じになると思ってたぜ
その後、黒歌の合いの手(悪い意味で)も在り、八坂さんに翻弄されまくった婚約話とかも話していく事になる
レイヴェルとリアス部長は詳しい経緯は初めて聴く為か真面目な顔の中でもちょっと口元がニヤケそうになっているのが解る
それからお隣のイッセーが悪魔になったのをきっかけに俺もオカルト研究部に入部した事やイッセーの御両親はまだこの事を知らない事
裏の世界で色々事件が在ってレイヴェルは初めは俺への憧れの意味も在ってこの町にやって来てそれから好きになってくれた事
裏だと一夫多妻制は割と普通な事(ここ重要)も話しておいた
「そう・・・イッキに黒歌さんという彼女が居る割には白音ちゃんやレイヴェルちゃんとも仲が良すぎるとは感じていたけど、黒歌さんが何も言わないから黙っていたのだけどねぇ―――まさか全員お嫁さんに貰おうとしていた何ていうのは予想外だったわ」
頬に手を当てて困ったような嬉しいような表情を浮かべる母さんとは逆に父さんは腕組みして御堅い表情で真っ直ぐ俺の眼を見て来る
「結婚も視野に入れた上で貴女達が何時もとても仲が良いのは私達も十分知っているつもりです。今更複数の女性と付き合う事による家庭内不和などの危機などを問うのは愚問でしょう―――最後に一つだけちゃんと確認をしておきたい・・・お前は全員幸せにする覚悟は有るんだな?」
―――否定的な言葉で無くて良かった。その質問なら部室で言っていたように答えは決まっている
「はい。一生大切にします」
その言葉を最後に俺達の間に張られていた緊張の糸が緩んだのを感じたのだった
▽
あれから一通り細かい事情まで含めて説明し終わった時には最初に話し始めてから数時間は経っていた。極端に遅い時間に白音が呼ばれた訳でもないので今は大体夜の9時過ぎくらいだ
途中テロリストと戦う裏の部隊に所属しているという事でやはり心配させたけど、仮に此処で俺だけが戦いから降りたとしても黒歌はまだ抜けようと思えば抜けられるだろうけど白音やレイヴェルはそのまま戦闘の矢面に立つ事になるので絶対にそれは受け入れられないし、そもそも今はガチで地球が物理的に無くなるレベルで世界の危機なので此処で退く訳にはいかないと説得していった
「でも・・・他の皆さんは悪魔とか天使とか凄い存在なのでしょう?イッキが本当に戦力になるんですか?皆さんの足を引っ張ったりしてしまうんじゃ・・・」
母さんがそう言うと黒歌達女性陣が思わず顔を見合わせた
「叔母様。それは在り得ませんわ。『戦いに参加した』としか説明していなかったのでそう思うのも無理はないですがイッキの力は魔王クラスとされていますし、神々すらも下す力を有しています。実際に最上級死神を単身屠る戦果だって挙げています―――彼のお陰で最悪の事態を免れた事も一度や二度じゃありません。今、『D×D』の中で彼より格上と言えるのはかの西遊記で有名な孫悟空様以外に居りませんわ・・・彼の力は我々に不可欠なものです」
リアス部長がそこまで断言すると両親は困惑した感じだ
まぁいきなり息子が魔王クラスに強いなんて言われてもね
今まで散々裏の話をしてきた上でもキツイか
「う~ん。リアス部長。流石に実際目にしないと実感湧かないと思いますし、前のフェニックス眷属とのレーティングゲームの映像とか借りられませんか?ゲーム自体はグダつきましたけど、一応俺の戦ってる姿も映ってますし」
「そうね。それが良いかしら」
取り敢えずその日は最後にそれだけ取り決めて終了となった
一度転移で部室に荷物とかを取りに戻り、イッセー達に問題無いと伝えてからまた家に戻って来る
帰って来てから母さんが黒歌や白音の猫耳や尻尾を触ってからリアス部長が最初に出した悪魔の翼の触り心地が気になったらしく、生粋の悪魔として紹介されていたレイヴェルに翼を触らせて欲しいと願ったり、それにレイヴェルが自分は不死鳥なので炎の翼だから触る事は出来ないと断って(トレーニングルームで見せたりはした)代わりに白音が翼を生やしてまた撫でまわされたりした
「はぁ・・・」
「如何したレイヴェル?そんな溜息吐いて」
「イッキ様・・・いえ、何だか私だけケモ耳も尻尾も無ければ翼を触らせる事も出来ない事に一抹の疎外感を感じてしまいまして・・・」
あ~、両親が裏に対して結構寛容だったのは良かったんだけど、確かにレイヴェルって『分かり易い人外の特徴』におけるスキンシップは取れないもんな
正確には取った次の瞬間に溶けるレベルで燃えるからね
すると俺達の会話が聞こえていたのか母さんが今度はレイヴェルに抱き着く
「あらあら、そんな事気にしなくて良いのに―――私はレイヴェルちゃんの事も大好きよ?まさかイッキにこんなに可愛いお嫁さんが出来て、正式に私達の娘になってくれるなんて、こんなに嬉しい事もないわ。母親なのにイッキに嫉妬してしまいそうよ」
母親から嫁が可愛いと嫉妬されるのは勘弁してくれ
いやマジで反応に困るからさ
「そう言えばイッキ。私達も裏側の事情を知った今なら何処か近いうちにイッキのお嫁さんの皆の御両親にご挨拶したいのだけど」
「あっと、黒歌と白音はご両親は他界してて、九重も父親が居ないから八坂さんとレイヴェルの御両親だけって事になるけど」
そう言った途端"しまった!"という表情に変わったが黒歌と白音も『今更気にしてない』とフォローして、年始は毎回京都に赴いているし、レイヴェルの家にも三箇日は挨拶に行こうと考えていたのでその時に一緒に京都や冥界に行けるよう段取りする事になった
冥界行きの段取りは流石にリアス部長とレイヴェルに任せる事になるけど、その辺りは二人とも快諾してくれた
もうすぐ年末、でもその前にクリスマスがやって来る
両親に認められて天国での戦いも気合を入れて望めそうだ
一年記念で急遽書き上げましたけど、普通に次章のクリスマス編を書こうか迷ったんですが、此処は今まで焦点を当てて無かった家族の方を書いてみました
まさかイッキの母親がケモナーになるとはww