転生特典が自爆技ばかりなんだが?   作:風馬

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第二話 プレゼントは、ドアノブです?

天界行きのエレベーターに全員が乗り込んだ後、直ぐに上空に体が吹っ飛ばされるような感覚が襲い、次の瞬間には雲の上に立っていた

 

この雲とかどうやって足場として加工してるんだろうな?

 

そんな疑問も在るけど俺達はイリナさんとグリゼルダさんの先導の下、目の前に見えていた超巨大な扉の前まで歩いて行く

 

そして俺達が近づくとその荘厳な門はゆっくりと開いていった

 

「「ようこそ、天界へ」」

 

俺達が天国の入り口の門を潜るとその先に見えた光景は輝かんばかりの白に彩られた世界だった

 

雲の足場に道は白い石畳で舗装され、石造りの建物も基本は白だ

 

飛び交う天使たちは白い翼を広げているし、服装も白に装飾として少し金が混じってる程度

 

降り注ぐ光も白く輝いている

 

兎に角全部が白、白、白な世界だった

 

「うわっはぁぁぁ!!幻想的だなぁ!」

 

「確かにな・・・でもこれだけ白ばかりだと観光する分には良いけど、此処に住むとなれば彩りが欲しくなっちゃいそうだ」

 

最初から此処に生まれ住んでる天使たちは当たり前の光景で特に気にしないんだろうけどさ

 

まぁ天国は普通は観光に訪れるような場所では無いのだが

 

初めての天国に周囲をキョロキョロと見渡していた俺達にグリゼルダさんが先導しつつ天国について説明してくれる

 

「天界は全部で7つの層に別れています。今居る此処は第一層・・・第一天と呼ばれる所です。主に天使たちの働いている場所ですね。他には当時の神の子を見張る者(グリゴリ)のメンバーが主に集っていた第五天が現在は研究施設として活用されていますね。『御使い(ブレイブ・セイント)』のカードも第五天で生産されているんですよ」

 

途中で雲の上に浮いてる建物をイリナさんが指さして転生天使としてそこで働いてるとかいう話も耳にしながら俺達はまた別のエレベーター(という名の門)の在る場所まで辿り着く

 

そこからは一層ごとにチェックを受けつつどんどんと上の階層に昇って行った

 

「一般的に信者の魂が行きつく『天国』は第三天に在ります。今の天国に居る信者たちは基本的に三大勢力の和平が結ばれる前に此処に辿り着いた魂たちが大勢を占めていますので今回は悪魔の皆さんの見学はご遠慮させて下さい。無用な混乱を招いてしまいますからね」

 

死者の魂が集まる場所となれば時代ごとに価値観が違う人達が集まってもいる訳だ

 

それにそもそも和平が結ばれて半年経ってないし、その辺は仕方ないかな

 

「第四天は別名エデンの園。アダムとイヴのお話が有名よね!」

 

アダムとイヴね

 

俺の中のサマエルが且つて知恵の実を騙して喰わせた相手だよな

 

知恵の実か・・・諸説は有るけどやっぱりリンゴみたいな形なのかね?

 

美しい庭園だとして、やっぱり庭師を生業にして数千年のベテラン天使とかが管理してるのかな

 

個人的には一番見て見たい場所だけど、俺達の目的地は第六天なのでこの階層もスルーして第五天に辿り着く

 

勿論この階層もさっさと移動する訳だが近場に建ててあった建物とかは結構近代的な研究施設みたいな見た目でこの階層だけちょっと異質だな

 

そうして最後の検問を終えて第六天に向かうエレベーターに乗る前にグリゼルダさんが思い出したように注意事項を説明する

 

「言い忘れていましたが、天界は俗世の欲望に耐性が強くありません。此処より先の第六天はセラフの方々しか入れない『システム』の在る第七天に最も近い場所なので邪な考えは極力持たないようにお願いします」

 

その説明に全員の視線がイッセーに集中する

 

「イッセー先輩がエロエロな事を考えたら5秒以内に沈めます」

 

「うぅ・・・白音ちゃんが手厳しいぜ」

 

手早く心を落ち着かせる手法(K.O術)ですね

 

エレベーターを降りて第六天に辿り着いた俺達を最初に出迎えたのは見渡す限りの壁だった

 

正面に見える扉が地上100メートルくらいの大きさは有りそうだし、当然それを囲う壁はそれより一回り以上は高い

 

あの壁をぶち抜くのは苦労しそうだし、人外なら空を飛べると言っても多分あの壁の上空を無断で通り過ぎようとしたらエゲツ無いレベルの迎撃システムで撃ち落とされるんだろうな

 

そんな人間界の昔の戦争で使われてた破城槌程度では1000年経っても破れそうにない門を抜けると光り輝く光輪を背負った神殿が見えてきた

 

「あそこがセラフの方々が住まわれておられる現天界の中枢機関、『ゼブル』です。此処より上の最上層である第七天はセラフの方々以外は立ち入り禁止なので私達が足を踏み入れられるのは基本的にこの第六天までとなっています」

 

神の住んでいた第七天に居を構えるとか下手したら堕天しそうですもんね

 

「今、『ゼブル』は万一の時の為に内装工事で防備を整えている最中なので今回は中をお見せする事は出来ません」

 

あらら、そりゃまた残念。こんな機会でも無ければ此処まで来れないのに―――天界は観光スポットに良さそうな見た目してるけど俗なモノに弱いから実質無理な話だしな

 

『ゼブル』への道を外れて暫く歩くと花の咲き誇る中庭のような場所に辿り着き、そこにはミカエルさんがテーブルに座って待っていた

 

俺達に気付いたミカエルさんが立ち上がって挨拶してくれる

 

「これは皆さん。お久しぶりですね」

 

「お久しぶりです。ミカエル様。お招きいただき光栄ですわ」

 

リアス部長を筆頭に皆で挨拶を交わすとテーブルに座るよう促された

 

給仕の天使の女性の方がお茶を用意してくれる

 

「それでは皆さん。改めて今年はお疲れ様でした。私としても和平からここまで激動の年になるとは思ってもみませんでした。今の天界や冥界が平穏でいられるのは皆さんの尽力在ってこそです。一年前であれば天界で悪魔や信徒でもない人間と一緒にお茶をしているなんて想像も出来なかったでしょう。天界の代表としてお礼を言わせて頂きます。ありがとうございました」

 

ミカエルさんが今年一年の事を労ってくれるけど、多分後数日でクリフォトが攻めて来ますけどね

 

それからミカエルさんと一緒にクリスマス企画の内容で大まかな流れなどを確認していく

 

「―――はい。これで問題は無いようですね。そろそろ貴方方の町に今回の企画の立案者も到着している頃でしょうから細かい調整はその者と打ち合わせした方が良いでしょう。悪魔のお仕事や修行などでお忙しい皆さんを余り長く引き留めてもいけませんし、ここまでと致しましょうか」

 

ミカエルさんがそう締めくくり、そのまま解散の流れとなった辺りで遠くからサンタの格好をした天使の方がやってきた

 

「ミカエルさまぁ!」

 

「おや、ガブリエル」

 

「ガブリエル様」

 

現れたのは四大セラフの紅一点。ガブリエルさんだ

 

グリゼルダさんの『(キング)』でイリナさんにとってのミカエルさん的な立ち位置の方だな

 

ウェーブの掛かった金髪に間延びした声にたれ眼で天然おっとり系美人と云った感じかな?

 

直接お会いするのは初めてになる

 

「あら~?グリゼルダちゃんに『D×D』の皆さんですねぇ?初めまして、わたくし四大セラフのガブリエルと申します」

 

そう言ってガブリエルさんは頭を下げて挨拶してくれた

 

「ガブリエル様は天界一の美女で天界最強の女性天使の方なのよ!」

 

イリナさんが補足説明してくれたけど、そりゃあ四大セラフ唯一の女性ならそのまま最強の女天使という位置づけになるわな

 

すると突然イッセーの周囲を取り囲むように天使文字の結界のようなものが張られ、更には警報まで鳴り響いた

 

「うわっ!なんだコレ!?」

 

驚くイッセーにミカエルさんが苦笑しながら答えてくれた

 

「天界には天使の堕天を防ぐ為に一定以上の煩悩を検知したらそのように警告と堕天使化の一時的な抑制効果のある結界が作動するようになっています。如何やら悪魔の方であっても結界は作動するようですね。赤龍帝の煩悩に反応してしまったのでしょう」

 

ガブリエルさんと出会って煩悩解放された訳だな

 

「イッセー先輩。5秒以内に煩悩を追い出して下さい。でないと地獄に堕とします」

 

物理!?天界自体から叩き出すって意味ですか?

 

「いや白音ちゃん!そんな急に言われてもあんな素晴らしい天界一のお胸様を見て瞬時に切り替えるなんて俺には・・・」

 

「そうですか。なら、歯を食いしばって下さい」

 

白音が指をパキパキと鳴らしながらイッセーに近づいていくけど流石に天国でノックダウンされるというのは少し可哀そうか?

 

仕方ないから少し手伝ってやるか

 

「白音。ちょっと待ってくれ。俺が一言でイッセーの煩悩を消し去ってやるから」

 

「イッキ先輩?・・・先輩がそう言うなら、お任せします」

 

そうして未だに警報に包まれたイッセーを皆から引き離して耳元で囁く

 

「(イッセー、思い出せ。サイラオーグさんの眷属であるコリアナさんと戦った時のストリップショーの最後の瞬間を)」

 

あの最後に残るは下着を取るだけの時にコリアナさんがパンツから脱ごうとした時の事をさ・・・まぁ俺はレイヴェルに目を塞がれたから見えてはいなかったんだけどな

 

あの時のイッセーは興奮の絶頂にあったはずの精神が一瞬で凪いだ海のようになったはずだ。例え同じカテゴリーの趣味を持っているとしても細かなこだわりの違いというのは決して馬鹿に出来るものではない。漫画とアニメが同じという人やダンガムシリーズならどれも変わらないという人に憤りを感じるマニアは多いだろう

 

いや!寧ろ近しいジャンルだからこそ許せないモノというのが在るのだ

 

心の高ぶりを治める方法は単純でその真逆の心が冷める出来事を脳内で思い出してやれば良いのだ

 

事実。イッセーの周囲に展開していた結界は消え去った

 

「・・・イッキ。俺は今、心が寒いぜ」

 

イッセーの瞳に光が入ってないな

 

「そうか。良かったな。冷静になれて」

 

「良くねぇよ!お前は俺の煩悩を何だと思ってやがるんだ!」

 

少なくともこの場所では必要の無いものだと思ってるよ

 

真っ向から自分の性癖と対立するあの時の虚しさを思い出し、肩を落として覇気を無くしたイッセーと一緒に席に戻る

 

「イ、イッセー?貴方大丈夫?」

 

「リアス・・・ゴメン。天界一のおっぱいは後で思い出す事にするよ・・・」

 

「にゃはははは、ここまで見事にコントロール出来るなんて、流石は中学からの腐れ縁ね」

 

ローテンションのイッセーを見て黒歌は笑いを堪えられないと言った感じだ。まぁ、年がら年中エロ馬鹿共を沈めていたら手綱の握り方くらいは覚えるさ

 

何時もなら落ち込むイッセーを豊満な胸に抱いて励ますリアス部長や朱乃先輩も流石に天国では自重したらしい

 

「おんやぁ?オカ研の皆さんじゃないですか。あっ、天界に来るのって今日でしたっけ?」

 

「デュリオ。散歩は終わったのですか?」

 

ガブリエルさんの次に現れたのは『D×D』のリーダーのデュリオさんだ

 

散歩ってのは何時もの食べ歩きツアーなのかそれとも第三天(・・・)にでも行っていたのか

 

取り敢えず、詮索するのは野暮かな

 

「これはミカエル様。すみません、こんな忙しい時に休息なんて頂いちゃって」

 

「構いませんよ。忙しい時だからこそ、必要な休息というのは有るものです。それに貴方もクリスマスのプレゼント配りは手伝ってくれるのでしょう?」

 

「それは勿論任せて下さいっス。これでもプレゼントを配るのは得意なんで、あんまり準備の方は手伝えないけど当日はその分張り切ってプレゼント配りに勤しみますんでね」

 

天界のジョーカーも流石に忙しいみたいだ

 

ユーグリットからクリフォトの末端とはいえ拠点の情報も割れだしているみたいだし、いろんな場所の天候を大荒れにしてたりしてるんだろうな

 

「ミカエル様。例の件についても話しておいた方が宜しいのでは?」

 

グリゼルダさんがミカエルさんに進言し、ミカエルさんも頷く

 

「そうですね。知らせておいて損は無いでしょう―――現在、教会関係者が次々と襲撃を受けているのです。教会本部だけでなく、支部の重鎮にも死傷者が出ています。襲撃者は未だ不明ですが、現場には邪龍の気配が残されている事から恐らく・・・」

 

「クリフォト・・・ですね?」

 

リアス部長の推察にミカエルさんも頷いて返す

 

「ええ、確証こそ在りませんが、十中八九間違いないでしょう。敵の狙いが教会関係者という事以外判然としない今、駒王町の教会も標的となるかも知れません。注意しておいてください」

 

ミカエルさんの警告を最後に俺達は天界を後にしたのだった

 

 

 

 

 

天界での用事も終わり、俺達は再びイッセーの家の地下転移室に天界のエレベーターで戻ってきた

 

「リアス~!俺、俺イッキにイジメられて~!!」

 

煩悩禁止空間(天国)から解放された途端にリアス部長に泣きつくイッセーは取り敢えず無視して皆で天国の感想を言い合う事にした

 

と云うかイッセーの奴まだ引きずってたのか・・・

 

「あらあら、イッセー君ったら・・・それにしても素敵な場所でしたわよねぇ。やはり想像しているのと実際に目にするのでは感動が違いますわ」

 

「はい。あまり見て回れなかったのは残念でしたがまさか生粋の悪魔である私が天国に行く事になるなんて、ミカエル様ではありませんが想像も出来なかったですわね」

 

人間からの転生悪魔なら天国に行く事を大雑把に夢想する事は有っても、生まれた時から純血の悪魔であるレイヴェルやリアス部長は確かに欠片も考えた事無いだろうな

 

もしも考える機会が在るとするなら天界に攻め入ろうとする場合に如何攻めるべきかとかって非常に物騒な思案になるだろうし

 

「僕としてはセラフの住んでいるという『ゼブル』が気になったね。あの白亜の宮殿をケーキで再現出来たら面白いと思ったよ」

 

お菓子やケーキ作りに凝っている祐斗らしい意見だな

 

実際お城ケーキとかも有るし、祐斗のデコレーションケーキは新しい領域に突入しようとしているのか・・・しかし、悪魔が仮初でも天界の中枢でセラフの住処である『ゼブル』に噛り付き、咀嚼するというのは如何なんだ?

 

まぁそう言う事まで深く考え始めたらキャラ弁とかもアウトになってしまうからな

 

するとイッセーも今の会話の内にリアス部長の胸でSP(スピリチュアル・ポイント)を回復したみたいなので皆で一階のリビングに向かう事にする

 

因みにグリゼルダさんとは天界で別れている。向こうでまだ仕事が有る様だ

 

リビングに近づくと扉の向こうから楽し気な話声が聞こえてきた

 

皆でリビングに入るとイッセーのお母さんと神父服を着た栗毛の男性が談笑しているようだ

 

「やあ皆さん。お邪魔させて貰っているよ」

 

その男性を見てイリナさんが文字通り飛びついた

 

「パパ!」

 

「おお!マイエンジェル。元気にしていたかい?」

 

「勿論よパパ!―――皆、紹介するわね。私のパパで教会で牧師をしている・・・」

 

「紫藤トウジです。普段は教会のイギリス支部で働いていますが本日はイリナと一緒に仕事をする為に日本にやって来ました。クリスマスは一緒に盛り上げていきましょう」

 

クリスマスの駒王町のプレゼント配りを立案したのはこの人という訳だ

 

てか神父じゃなくて牧師なんだな

 

神父と牧師ってほぼ同じような立場だけど細かいところで違いが有るんだったっけ?

 

それからクリスマスの細かい打ち合わせをする前にそろそろ夕飯の時間という事で皆でイッセーの家で夕飯を頂く事になった

 

幸い俺の家の親に確認してみると夕飯の支度に取り掛かる直前だったらしく、今回は要らないという事は伝えたけどな

 

大人数ではあるがリフォームされて無駄に豪勢な俺とイッセーの家は台所も広い為、料理の出来るリアス部長に朱乃先輩、アーシアさんがイッセーのお母さんの手伝いをする事でどんどんと料理が出来上がっていく

 

俺達男衆(トウジさんは客人枠で除外)は料理を運んだりテーブルを拭いたりが主な仕事だ

 

台所が広いと言っても流石に4人以上は狭いから料理で手伝えることは無いからな

 

「それにしても俺もイッセーもそうだけど家にこれだけ女性陣が集まってると中々自分で料理する機会が訪れないよな・・・偶にはレイヴェル達と一緒に料理もしてみるべきか?」

 

「イッキ・・・お前料理出来んのか?」

 

「よぉし、イッセー。一度お前の俺に対する認識をちょっと掘り下げて聞いてみようか」

 

失礼な奴だなコイツは―――そもそも料理が壊滅的ならそんな提案をしたりなんか・・・そう言えばサジはソーナ会長の手料理(恐らく壊滅的)を何度も食べたんだっけ?

 

「一応答えておくとそこそこには料理を勉強した時は有るから最低限の基礎は押さえてると思うぞ。昔黒歌と一緒に山のサバイバルとかで修業してた時とか彼女に『下手のモノ喰わせられん!』って変な使命感に駆られた事もあったし、家に置いてあった料理本のレシピは一通り試したからな。別に料理の腕前を昇華させた訳じゃないけど、少なくとも下手な味付けとかはしないさ」

 

参曲(まがり)様の修行の時からだけど黒歌のスキンシップが段々と増えて来てた頃だったし『惚れさせてやる』って意気込んでた時期でもあったから細かいところまで気になっちゃったんだよな

 

「俺はそうだな。オカルト研究部に入るまでは玉子焼きとかそういう簡単なもの以外だと殆ど家庭科の調理実習くらいしか料理はしなかったな・・・夏休みには獣の皮を剥いで焼いたり適当な雑草と一緒にその辺に落ちていた歪んだ鍋で煮込んだりはしたけど・・・」

 

一から獣の解体をして食べるとか、いきなり山に放り込まれた割に根性有るよなコイツも

 

現代っ子だと拒否反応出る奴も多いだろうに

 

「雑草スープか。アレって最初は苦いけどその内舌が麻痺して意外と深みのある味わいに変わっていくんだよな」

 

肉からにじみ出た油で喉ごしもそれなりになるし

 

「分かるわ~。俺はアレで『不味い』と『苦い』が根本的に違うものなんだって心の底から理解出来たぜ。普段そんな事余り意識しないのにな」

 

ピーマンとかゴーヤとかが苦手な人は一度雑草スープで三日間ほどで良いから過ごしてみると良い。きっと克服できるから

 

まぁ知識ゼロでその辺の雑草を食べたら下手したら毒に当たってしまうので専門的な知識を持っているか仙術で解毒の印を結べない人は止めて置いた方が無難だけどな!

 

「ははは、僕はそういう道具も揃ってない完全現地調達の料理は流石にした事なかったかな」

 

「インドア派な僕には想像も出来ない世界ですぅ」

 

祐斗は兎も角、ギャスパーは世界が狭いぞ。想像くらい出来るだろうに・・・アレ?そう言えばハーフとはいえ少量でも血を吸う必要のあるギャスパーは獣の血でもイケるのかな?

 

ギャスパーを人里離れた山奥に放り込んだらその内ボロボロの服で熊や鹿の首筋に直接噛み付くワイルドな光景が見られたりするのだろうか?・・・ちょっと見てみたい

 

「ふむ・・・料理か。私は基本外食か任務の時は教会支給の携帯食だったから料理した事は無かったな。良し!私の女子力を高める為にも一度料理をしてみようか―――イッセー、その時は是非とも試食して感想を聞かせてくれ!」

 

「ああ!ゼノヴィアがちゃんとした意味で女子力という言葉を認識しているのね。以前は女子力を『女子の腕力』の事だと勘違いして只管筋トレに励んでいたのが嘘のようだわ!」

 

感動してるとこ悪いけどイリナさんも日本語がかなり怪しいからな

 

教会コンビは正直どっちもどっちだと思う

 

後日。ゼノヴィアとついでにイリナさんがイッセーに料理(劇物)を振舞い、胃袋に壊滅的なダメージを負わされたイッセーはロスヴァイセさんが心配して作ってくれた北欧式胃薬(劇物)で一日中寝込む事となってしまった・・・どんまい。同情はするよ

 

イッセーの家の女子で料理が出来るのって今まさに手伝いをしているあの3人だけだったんだな

 

その点では黒歌も含めて周囲の女の子全員が料理できる俺は恵まれているんだな

 

白音は最初は料理が出来なかったっぽいけどレイヴェルが指導したみたいだし

 

そうして雑談していると料理も出来上がったみたいで皆で食事を頂く事にする

 

話の中心は当然トウジさんなので俺達に向ける会話の内容は自然と幼い頃のイリナさんの話となり、当の本人は顔を赤くしていた

 

食べ終わって片付けも一段落してからトウジさんと一緒に会議室に移るとイリナさんは父親にぷくっと頬を膨らませて抗議している・・・流石に食事中に本気で止めに入る事は出来なかったからトウジさんのトークは終始止まらなかったからな

 

「もう!パパったら私の赤裸々な過去を全部話しちゃうんだから!」

 

「はっはっは!ゴメンよマイエンジェル。皆さんに是非イリナちゃんの魅力を知って欲しいと思ったら止まらなくってね」

 

イリナさんがトウジさんをポカポカと叩いていると部屋にアザゼル先生も入って来た

 

「お前ら、天界から帰って来たんだな―――あんたが紫藤イリナの父親か。初めましてだな。俺はアザゼル。神の子を見張る者(グリゴリ)の特別技術顧問をやっている者だ」

 

「貴方が堕天使の元総督殿ですか・・・お初にお目にかかります。教会のプロテスタントに属している牧師兼エージェントの紫藤トウジです。娘のイリナがお世話になっております」

 

堕天使の元トップの登場に姿勢を正して挨拶するトウジさん

 

俺達は何時も一緒で悪戯とかに巻き込まれてるから感覚が変になってるけど、本来アザゼル先生は超が三つくらいは付く大物だ

 

初対面ならこういう反応にもなるだろう

 

それからアザゼル先生も交えてクリスマス企画の細かいところを決めていく

 

どのメンバーがどの地区を担当するかとか、全部配り終えるのにどの程度時間が掛かりそうだとかそんな感じだ

 

「―――これで大体の事は決まりましたかな。後は当日に向けた下準備だけで良いでしょう」

 

そう締めくくったトウジさんは「ああ、そうそう!」と荷物を弄り始めた

 

「実はね。今回はイリナちゃんに特別なお土産を持ってきたんだよ」

 

そうして取り出したのはドアノブだ

 

ドアノブのみだ・・・アレが例のドアノブか

 

ドアノブをプレゼントに見せられたイリナさんも流石にこれには困惑した表情だ

 

「このドアノブを家の何処でも良いから扉に取り付けるんだよ。ほら、こんな感じにね」

 

トウジさんが廊下へ続く扉のドアノブをドライバーで取り外してプレゼントとして持ってきたドアノブを新たに取り付ける

 

そしてその扉を開くと俺達の部屋よりも大きい部屋に繋がっていた

 

天使の像や絵画などが飾られていて中央には丸い形の天蓋付きベッドが鎮座している

 

「この部屋は天使と悪魔が子作りしても堕天しない特別な結界が張ってある空間です。さっきのドアノブがこの専用の異空間へ繋げてくれるのですよ―――ミカエル様曰く『天使イリナ、兵藤一誠君。この部屋では何をしても問題ありません。色んな事を試してみて下さい。若い男女ですしね、そういう信仰も有るのでしょう』・・・との事です」

 

「『えええええええええええええええええええ!!』」

 

皆もそのぶっ飛んだ説明に絶叫するか呆れるかの二択のようだ

 

トウジさんがイッセーの手を取って目元に涙を浮かべて詰め寄る

 

「イッセー君。孫を!孫をよろしくお願いします!!」

 

「ええ、ああ、いや、その、えと・・・」

 

イッセーがしどろもどろに為っている・・・まぁ流石にそんな頼み事されたら反応に困るわな

 

「孫は男の子でも女の子でも構いませんよ。いや!寧ろ沢山子作りに励んで両方の孫の顔を見せて下さい!女の子だったらイリナちゃんに似て天使のように可愛い子になるんだろうなぁ・・・男の子だったらドラゴンのように勇ましく誇り高い男子になってくれそうだ。ああ、どっちの孫の顔も見れると思うと今から楽しみだ。最初は男の子?女の子?いやいやもしかしたら二卵性の双子で両方同時に拝めるという可能性も在る訳で・・・これから毎日天に祈りを捧げなければ!」

 

うん。この人イリナさんの父親だわ

 

一度自分の世界に入ると妄想が突っ走るところとかそっくりだわ

 

「バカバカバカバカ!パパのバカ!ミカエル様もなんでパパにこの部屋のドアノブを渡しちゃうのよ!もういや!恥ずかしくって私死んじゃいそう!」

 

イリナさんが部屋の角で俺達に背を向けて座り込んでしまった

 

トウジさんは・・・

 

「イリナちゃんもイッセー君も将来有望だから沢山子供が出来ても金銭面での不安も無いだろうし、やっぱり生きてる間にサッカーチームも組めるくらいの孫に囲まれてみたいなぁ。天使の翼を生やしたちっちゃい頃のイリナちゃんそっくりな孫に『お爺ちゃ~ん♪』なんて言われた日には私は・・・私はそのまま天に召されても良いのかも知れない・・・」

 

まだ妄想の世界から帰って来てないようだ

 

「―――こういう部屋、革新的だわ」

 

「ええ、この部屋に入ってしまえばやる事は一つだけですものね」

 

イッセーと中々仲が進展しない為かリアス部長達も段階飛ばしで子作り部屋で勢いに任せて押し倒す事を考えてるみたいだな

 

「う~ん。確かに良い部屋だけど私の場合そんな特殊な結界とか要らないし、寧ろ内装の方に技術を振ったのが欲しいかもにゃ~。ねぇねぇアザゼルっち!堕天使の技術でも似たようなの造れない?学園の屋上や教室、プール、橋の下まで色んなシチュエーションとそれに合わせた衣装も用意出来るエロ部屋!きっと売れると思うんだけどにゃ~?」

 

「お!それは良いアイディアだな。見られるかも知れないという緊張感で興奮する奴も居るし、そうでなくともその空間なら開放的なプレイを誰に憚る事も無く楽しめるという訳か。幾つかの空間を小分けで用意して行きかう人々は映像でONとOFFを切り替えられるようにして幅広いエロのニーズに応えられる部屋!この後早速開発担当者共に意見を通しておくぜ」

 

「意気投合してんなよ、エロ推進派共!!」

 

エロに寛容な悪戯っ子共が手を組んだらマジで始末に負えねぇ!

 

後、将来的には俺の部屋の中に何処にも繋がってない、ただドアノブを付けられるだけの扉を設置して貰いますからね!

 

それと持ち運び用のドアノブも一個!

 

密かな決意を胸に秘めながらも、結局その日は顔を赤くしたイリナさんに(子作り)部屋から追い出されたのを機に解散となったのだった




次回から本格的に物語が動き出しそうですね

エロエロシチュエーション部屋・・・良き!
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