転生するのは2回目でした!?   作:T・紫

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続け様に!


封印の部屋

その階層は、地面がどこもかしこもタールのように粘着く泥沼の様な場所だった。

 

「ハジメ、そろそろ元気だせよ……」

 

「あぁ……」

 

さっきからこれしか言っていない。

 

 

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フラム鉱石

艶のある黒い鉱石。熱を加えると融解しタール状になる。融解温度は摂氏50度ほどで、タール状のときに摂氏100度で発火する。その熱は摂氏3000度に達する。燃焼時間はタール量による。

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 いわゆる火気厳禁である。ハジメお手製の銃のお披露目も当分先だな。

 

武器に振り回されないように技能の訓練をしながらここまできたがこの仕打ちである。あまりにも酷い。

 

そして落ち込んでいるせいでハジメが全然戦えないので、先ほどから飛び出てくるサメのような生き物を貫手で胴体ごと貫いているせ聖夜。

 

1度殴ってみたものの物理衝撃を、緩和する性質を持っているみたいであまり効かなかったので、貫通させることにした。

 

 

 

 

 

二人の迷宮攻略は続いた。

 

あのタールザメの階層から更に五十階層は降りてきていた。あの階層のあとのハジメのヒャッハーぶりは凄かった。

 

それはもう俺の活躍がないくらいに。料理のおかげで習得した技能の気配感知で、サーチアンドデストロイを繰り返すハジメはどこか楽しそうであった。

 

まぁそれでもここまで安全に迷宮を攻略出来たのはひとえに神水と聖夜のおかげであった。

 

気配感知も無しに聖夜は魔物が出てくると即あの世行きにさせるし、怪我したり状態以上にかかっても神水と聖夜のドラクエ魔法で回復出来た。ハジメは一人だったらここまてサクサクと進んでないしかなり慎重に攻略することになってただろうなぁと、しみじみと感じていた。

 

因みに、1番厄介だったのは密林のような階層に出てきたムカデでである。実力的にではなく精神的に。無表情でギラグレイドを、唱えた聖夜にハジメは賞賛をおくった。

 

それでは実力的に1番キツかったのは何かと言うと、聖夜との実践を想定した組手である。

 

音速をこえ、光速の域に到達しそうな弾丸を視認して避ける化け物である。更に教え方も上手く、空手や柔術、中国拳法にムエタイなどの体術も仕込まれた。

 

「今なら、誰にも負けない気がする」

 

「じゃあ俺とまた戦うか?」

 

「勘弁してください!お前のは特訓では無く拷問だ!」

 

「何を言ってんだハジメ。あんなのタダの準備運動に過ぎないだろ」

 

「人権を無視するな!」

 

「え?人権なんてここにあると思ってんの?」

 

「はい。強くなるためですよね……分かってるよ……」

 

「まぁ、でも驚くくらいにハジメ吸収するからついついいろいろ仕込んじまった」

 

「少しは勘弁しやがれ……」

 

「魔法も完全に扱える様になれば、禁忌の獄を使って、ドラクエ魔法とかも覚えさせられそうだな」

 

「あ、それは是非覚えたいかも」

 

「まぁ、でもそれを抜きにしてもドンナーが

あれば充分だろ」

 

「それを目視で避けるやつが何言ってやがる」

 

そんな感じで階層を突き進み、気がつけば50層。未だ終わりの見えない迷宮攻略。現在ハジメのステータスはこうである。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:55

天職:錬成師

筋力:2300

体力:3200

耐性:3000

敏捷:2050

魔力:900

魔耐:900

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・体術・言語理解

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聖夜との、訓練の賜物である。

 

そして現在聖夜とハジメの目の前には高さ3メートルほどの両開きの扉があった。

 

「なんか明らかにボス部屋っぽいんだけど…」

 

「だな」

 

「下に続く階段はあったしハーフポイントみたいなものか?」

 

「さながらパンドラの箱だな。……さて、どんな希望が入っているんだろうな?」

 

「ねえ?それだったら他にも色々と不味いのが入ってるの前提なんだけど?」

 

「そのツッコミ待ってた!」

 

「軽いなぁ俺たち」

 

「それでも、俺は生き延びて故郷に帰るんだ。日本に、家に……帰る。邪魔するものは敵。それは間違いない。ならば殺すまでだ」

 

近くで見れば、益々豪華絢爛な装飾が施されておりら中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれていた。

 

「?こんな式見たことねぇぞ?」

 

「だったら話は簡単だ。ハジメ」

 

「何だ?」

 

「俺は手を使わずにこの扉を開けることが出来るぞ」

 

「は?手も使わずにどうやってだよ」

 

「それはなぁ!……………こうやってだよ!!」

 

扉に足をかけると、そのまま蹴破った。

 

「脆い脆い」

 

「あのなぁ…普通に錬成とかでも開けられるだろ……」

 

直後

 

ーーオォォオオオオオオ!!

 

野太い雄叫びが部屋全体に響き渡った。

 

二人で顔を見合わせると、苦笑する。

 

「まぁ、ベタっちゃベタだよなぁ…」

 

扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。

 

一つ目巨人の容貌はまるっきりファンタジー常連のサイクロプスだ。手にはどこから出したのか四メートルはありそうな大剣を持っている。未だ埋まっている半身を強引に抜き出し無粋な侵入者を排除しようとハジメの方に視線を向けた。

 

 その瞬間、

 

ドパンッ!

 

「ハジメ…変身中に攻撃は如何なものかと……」

 

「こいつらに気を使う必要は無いだろ?」

 

撃たれた右側のサイクロプスはビクンビクンと痙攣をし前のめりに倒れた。

 

 満を持して登場したのにこの仕打ち…ほら左の巨人もハジメのことなんてことしやがるコイツ!みたいな目で見てるし…まぁいいかこっちはこっちで倒すか。

 

「おい、デカブツ」

 

ビクッとしてこっちを見るサイクロプス。ちょっと可愛い。

 

「普通に殴りあってもいいが面倒だから、一撃で屠る。Emulation Start 『五番機構・刺式佇立態《ヴラド・ツェペシュの杭》』curse calling!」

 

「おぉ!初めて見るけどカッコイイ!」

 

「ふっ、まぁな……さて覚悟しろ」

 

杭を右手に持ち足に力を込める。

 

「その心臓貰い受ける!ゲイ・ボルク!!」

 

踏み込みの力を加えその杭をサイクロプスの目に目がけで投擲する!

 

第3宇宙速度でサイクロプスの目に向かう杭は接触の瞬間、音も立てずに頭部を粉砕し、後ろの壁に突き刺さりなおも止まらず壁の中へと消えていった。

 

本来の速度はマッハ2、およそ2469km/hらしいが、第3宇宙速度だと60100km/hだからなだいたい24倍だ。

 

「なんかレーザービームみたいに尾を引いてたんだけど……というかこんな時でもネタを挟む聖夜すごい」

 

「まぁ、こうなるな」

 

「俺が言えたことじゃないが聖夜もよっぽどだぞ!?……あ」

 

「どうした?」

 

「扉壊したけどもしかして、あの扉の窪みこいつらの魔石かなんかを嵌めたりすれば空いたんじゃ?」

 

「入ったら急に扉が閉まるみたいな仕掛けがなくなったことを考えれば十分だろ」

 

「ぐうの音も出ない」

 

 

扉の先の暗闇へと足を踏み入れると中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。

 

その立方体を注視していた聖夜とハジメは、何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。

 

よく確認しようと中に入るとそれは急に声を上げた。

 

「……だれ?」

 

 かすれた、弱々しい女の子の声である。すると、先程の〝生えている何か〟がユラユラと動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く。

 

「人……なのか?」

 

「ふむ……」

 

 〝生えていた何か〟は人だった。

 

上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗のぞいている。年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。

 

流石に予想外だった二人は硬直し、紅の瞳の女の子も二人をジッと見つめていた。やがて、二人はゆっくり深呼吸し互いに顔を向け合い頷くと決然とした表情で告げた。

 

「「すみません。間違えました。」」

 

そう言って部屋から出ていこうとする二人。

それを金髪紅眼の女の子が慌てたように引き止める。

 

「ま、待って!……お願い!……助けて……」

 

「嫌です」

 

「まぁ話くらいは聞いてやろうぜ」

 

ハジメの即答に可哀想に思った聖夜は援護を出す。

 

「あのな、こんな奈落の底の更に底で、明らかに封印されてる奴だぞ?パンドラの箱と例えたが希望どころか災厄の種しか無さそうだしここは去る一択だろ」

 

「ど、どうして……なんでもする……だから……」

 

「ん?今なんでもするって「この場でそういう事言うのやめてもらえます!?」

 

「やだなぁ、ハジメがピリピリしてたからすこし場の雰囲気を和ませようと」

 

それでも出ていこうとするハジメに泣きそうな表情で必死に声を張り上げる。

 

「ちがう!ケホッ……私、悪くない!……待って!私………………裏切られただけ!」

 

背を向けて歩いていたハジメがピタッと止まる。

 

ハジメは頭をかくと、苦虫を噛み潰したような表情で女の子に歩み寄る。

 

「裏切られたと言ったな?だがそれは、お前が封印された理由になっていない。その話が本当だとして、裏切った奴はどうしてお前をここに封印した?」

 

そこからは女の子の必死な身の上話。彼女は先祖返りのいわゆる吸血鬼とやららしい。すごい力を持ってるから、国のために頑張っていたのだが、家臣が必要無いと切り捨てたらしい。彼女のおじも、自分が王になるといい、彼女の強すぎる力を危険視して封印したと。

 

怪我をしても勝手に治るらしくそれは首を落とされてもらしい。他にも魔力の直接操作が可能だとか。

 

「……たすけて……」

 

「…………ハジメ」

 

やがてハジメはガリガリと頭を掻き溜息を吐きながら、女の子を捉える立方体に手を置いた。

 

「あっ」

 

ハジメは錬成を始める。だが、思ったよりも抵抗が強いらしい。

 

「ぐっ、抵抗が強い!……だが、今の俺なら!」

 

「まぁ待てハジメ、このあとめんどくさそうな予感するからあまり魔力を使うな。俺がやる」

 

「……任せる」

 

「お前が助ける意思を見せてくれただけで俺は嬉しいんだよ」

 

立方体に手をおき、禁忌の獄を開いて、中を解析する。

 

 雁字搦めの鎖みたいに封印されてるのか……なら、その鎖全てを断ち切る!

 

複数の鎖を断ち切るイメージをすると、立方体がドロッと融解し一瞬にして流れ落ちた。

 

解放された女の子がペタンと床に座り込むとらまだ封印から解放されたという実感が湧かないのだろう、呆然とハジメと聖夜を見ると、聖夜とハジメの手を掴み、震える声で小さく、しかしハッキリと告げた。

 

「……ありがとう」

 

ここまできて、初めて前のハジメの姿を垣間見た気がする。

 

ハジメと顔を合わせ、これで良かったのだと苦笑しあうと。

 

「……名前、なに?」

 

囁くように問いかけてきた。

 

「ハジメだ。南雲ハジメ。で、こっちが……」

 

「神韋聖夜。あんたは?」

 

女の子は、「ハジメ、セイヤ……」と繰り返し呼ぶと名前を答えようとして、思い直したようにハジメ達にお願いした。

 

「……名前、付けて」

 

「は?付けるってなんだ。まさか忘れたとか?」

 

「いや、前の名前が嫌なだけだろう、それならハジメに付けて貰った新しい名前が良いよな?」

 

「うん」

 

「はぁ、そうは言ってもなぁ…」

 

そういう言って考え込むハジメ。

 

「〝ユエ〟なんてどうだ? ネーミングセンスないから気に入らないなら別のを考えるが……」

 

「ユエ? ……ユエ……ユエ……」

 

「ああ、ユエって言うのはな、俺の故郷で〝月〟を表すんだよ。最初、この部屋に入ったとき、お前のその金色の髪とか紅い眼が夜に浮かぶ月みたいに見えたんでな……どうだ?」

 

 思いのほかきちんとした理由があることに驚いた。ハジメ、適当に名前付けると思ってた。

 

女の子がパチパチと瞬きする。そして、相変わらず無表情ではあるが、どことなく嬉しそうに瞳を輝かせた。

 

「……んっ。今日からユエ。ありがとう」

 

「おう、取り敢えずだ……」

 

「?」

 

礼を言う女の子改めユエは握っていた手を解き、着ていた外套を脱ぎ出すハジメに不思議そうな顔をする。

 

「これ着とけ。いつまでも素っ裸じゃあなぁ」

 

「……」

 

そう言われて差し出された服を反射的に受け取りながら自分を見下ろすユエ。確かに、すっぽんぽんだった。大事な所とか丸見えである。ユエは一瞬で真っ赤になるとハジメの外套がいとうをギュッと抱き寄せ上目遣いでポツリと呟いた。

 

「ハジメのエッチ」

 

「おい!それなら聖夜は……お前なんでもう離れてんだよ!」

 

「悪いな嫁持ちだから…」

 

「……ハジメのエッチ」

 

「何故2回目も言った!」

 

ユエはいそいそと外套を羽織る。ユエの身長は百四十センチ位しかないのでぶかぶかだ。

 一生懸命裾を折っている姿が微笑ましい。気分的にはお父さん。

 

さて、

 

「お二人さん敵さんのお出ましだぜぇ」

 

ハジメもその存在に気づいたのかソレが天井より降ってきたと同時に咄嗟にユエに飛びつき片腕で抱き上げると全力で〝縮地〟をする。

 

一瞬で、移動したハジメが振り返ると、直前までいた場所にズドンッと地響きを立てながらソレが姿を現した。

 

その魔物は体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。

 

 サソリだな……うん。

 

部屋に入った時はいなかった。

 

少なくともこのサソリモドキは、ユエの封印を解いた後に出てきたということだ。つまり、ユエを逃がさないための最後の仕掛けなのだろう。

 

ハジメは、腕の中のユエをチラリと見る。彼女は、サソリモドキになど目もくれず一心にハジメを見ていた。凪いだ水面のように静かな、覚悟を決めた瞳。その瞳が何よりも雄弁に彼女の意思を伝えていた。ユエは自分の運命をハジメに委ねたのだ。

 

その瞳を見た瞬間、ハジメの口角が吊り上がり、いつもの不敵な笑みが浮かぶ。

 

ひどい裏切りを受けたこの少女が、今一度、その身を託すというのだ。これに答えられなければ男が廃る。

 

「上等だ。……殺れるもんならやってみろ」

 

ハジメはユエを肩に担ぎ一瞬でポーチから神水を取り出すと抱き直したユエの口に突っ込んだ。

 

「うむっ!?」

 

試験管型の容器から神水がユエの体内に流れ込む。ユエは異物を口に突っ込まれて涙目になっているが、衰え切った体に活力が戻ってくる感覚に驚いたように目を見開いた。

 

衰弱しきった今の彼女は足でまといだが、置いていけば先に始末されかねない。流石に守りながらサソリモドキと戦うのは勘弁だ。

 

「聖夜!手出し無用だ!ユエを、任せた!」

 

「はいよ、ハジメが決めたことなら俺はお前の師匠として成長を見守ってやろうじゃ無いか」

 

「セイヤ、師匠?」

 

「おうともさ、あいつに闘い方を仕込んだのは俺だぜ?」

 

ニヒルに笑うハジメに目を向ける。

 

「邪魔するってんなら……殺して喰ってやる」

 




はい!という訳でもうお分かりでしょうが、ユエはハジメヒロインです!ここは原作通り!先に言っておくと聖夜は兄的ポジションに位置することになります!
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