転生するのは2回目でした!?   作:T・紫

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どうぞ!


幼少期

眩しい光、誰かが俺の名前を呼んでいるのが聞こえる。

そう、俺は転生したのだ。どうやらちゃんと原作知識は削除されてるみたいで、ここがどう言う世界なのか全く分からない。だがきちんと知識はある。。。

 

「……………ちゃん」

 

ディオニソス様のこともちゃんと覚えてる。転生させてくれた事に凄い感謝しているのだ。

 

だが、

 

「…………やちゃん」

 

だかしかしである!

 

「せいやちゃん……ママですよ〜」

 

目の前にいるのは大和撫子といった風貌で泣きぼくろのある美しい女性。

 

「この子はあまり泣かないのね〜」

 

そう。俺は赤ん坊なのである。

 

いやいやいやいやいや俺の前の年齢25よ!?もう大人と言って良いほど精神も成熟しきってるのよ?それで赤ちゃんプレイは………難易度高く無いですかねぇ……。

 

話そうとしても、出るのは泣き声だけ。

 

やめて!トイレしたわけじゃ無いから!下脱がそうとしないで!!母親かなりの美人だから凄い恥ずかしいの!!そこの父親ぁ!微笑んで無いで助けろぉ!!

 

 

……駄目だ、あらあら元気ねぇ……って……もうなるようになれ……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

8年後…………

 

ごめん、特筆すべきことが無いから飛ばした。。。。あ、今は小学校に通ってて、最近八重樫さんって女の子と仲良くさせて貰っています。はい。なんか精神年齢引っ張られるみたいで普通に彼女と遊んでて楽しいんだよねぇ〜つか、普通に可愛いし。。。。

 

母親の名前は、神韋楓。父親の名前は神韋凌牙。と言うらしい。

父親名前かっけぇー……。

 

 

「なぁ聖夜」

 

「何?」

 

「お前剣道やってみないか?」

 

「剣道?」

 

「そうだ俺と母さんの知り合いにな道場を経営してる奴がいてな。因みにそこの娘さんが聖夜と同い年だそうだ。…………どう思う母さん!」

 

「いいんじゃないかしら〜霧乃さんのとこの娘さん雫ちゃんって言ったかしら〜」

 

「お父さんとお母さんがそう言うならやってみようかなぁ剣道!」

 

「おぉ!いい声だ!じゃあ早速明日聞いてみるから、楽しみにしておけよ!」

 

ふむ。剣道か、神様には前の転生特典で武術武器術の才能を貰ったし、この世界がどう言う所か分からない今、力をつけておく事に異存は無いな!まぁ今でさえ十六夜並みのスペックだし普段はかなり抑えてるからそう言った意味では既に強いと言えるんだろうけど……。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

と、いうわけで次の日。

 

「ここが八重樫道場だ!」

 

あ、八重樫って昨日母さんも雫ちゃんって言ってたし知り合いって彼女の家のことだったんだね!

 

父親がインターフォンのボタンを押した。

 

『はい、どちらさまでしょうか?』

 

 対応してくれたのは落ち着いた女性の声だ。

 

「お、霧乃さんか!神韋凌牙だ!昨日言ってた息子を連れてきた」

 

『あら凌牙さん。いらっしゃい。鍵はかかっていませんから、そのまま中へどうぞ』

 

「「お邪魔します」」

 

お父さんとハモリながら門を潜る。

 

 直後、ヒュッという風切り音!

 

 横から父さんに向かって飛んできたソレを目でおってると……アレ?俺の方にも一個飛んできた。手元が狂っちゃったのかな。俺は体を半歩ずらしてかわす。

 

 あ、父さんとった。あ、割って中身を確認してる。あ、かなり吸い込んだのか泣いてる。なにやってるの父さん……

 

 父さんに連れられて客間まで向かう。

 

「久しぶりだ、凌牙腕は鈍っていないようでなによりだ」

 

「なんだあの球は!随分な挨拶じゃないか虎一」

 

「ふむ君が聖夜君だね?」

 

「神韋聖夜と言います。剣道を習いに来ました!」

 

「娘からよく君の名前が出てくるよ」

 

「え、八重樫さんがですか?」

 

「え、なになに。聖夜もう雫ちゃんと仲良くしてるの?」

 

「うん、学校で同じクラスなんだ」

 

すると、急に扉が開いて中から八重樫さんが出てくる!

 

「聖夜君!いらっしゃい!聖夜君も一緒に剣道するんだってね!楽しみ!」

 

「こんにちは八重樫さん一緒に頑張ろうね!」

 

「稽古の時間までまだ少しある。私は凌牙と話しているから雫は案内してあげなさい」

 

「うん、わかった!ついてきて聖夜君!」

 

八重樫さんに連れられて、客間を出て行く。ついでに父さんの後ろにいた男の人も会釈して。

 

 

 

「凌牙。あの子は何者だ?」

 

「へ?うちの息子だけど?」

 

「あの子、私の投げた劇薬ボールを見切ってかわしていたんだぞ?あの動き小学生で出来るのは天才だぞ」

 

「何言ってるのさ、虎一あの子がそんなこと出来る訳…「私も見ましたわ」霧乃さんまで……」

 

「まぁうちで剣術をやってればわかるさ」

 

「そうだね。取り敢えずうちの息子を頼んだ」

 

「あぁ任せなさい」

 

「ところで鷲三さんは?」

 

「父さんなら後ろに」

 

「うわ!ビックリした!!!気配消さないでくださいよ……」

 

「聖夜君は……私の存在にも気付いていたな……会釈をしていった」

 

聖夜に対して謎が深まる客間の一同。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そんなこんなで剣道を習い始めて2年。なんと小学生4年という若さで俺こと、神韋聖夜は全国大会で優勝を果たしてしまった。ちなみに、俺の強さは、虎一さん達にとっても驚きらしく、娘を頼むとまで言われてしまった。雫ちゃんが嫌がると思うけどなぁ……あ、剣道を始めた日の帰りに八重樫さんだと家族もいるから名前で呼んでくれといわれた。

 

俺、嫌われるような事したかなぁ……。

 

あ、ちなみに剣道の強さは最初は雫の方が強かった。が、しかーし十六夜スペックの俺は始めて1ヶ月で直ぐに抜かしてしまった……ので今は俺が色々と教えてあげてるのだ!

 

 

5年にあがると奴が現れた。

そう天之川光輝である。

あいつは俺たちの前に現れてそうそう、雫に向かって「雫ちゃんも俺が守ってあげるねなどと」宣ったのだ!

 

剣道では一切手加減をしなかった。イケメンめ……

というより俺はとことん天之川とは性格が合わなかったのだ。俺は少しやっただけでスポンジの様に吸収するのでそこまで練習しなくても強くなった。だからあまり練習もしない俺に、雫に教えてあげてる時など「雫に迷惑を掛けるな」などと意味不明な供述をしており……。

 

ついには、「俺が勝ったら雫に二度と近づくな!」などと勝負をふっかけてくるのだ。

勿論雫と離れるつもりなど毛頭ない俺は、瞬殺してやったわ。6年まで毎年全国大会優勝し、3連覇した俺を倒せると思うなよ!

 

 

が、そんな日常が続いたのも、小学校までだった。中学に上がる時、父さんが職場をちょっと変えたらしく隣町まで引っ越すことになった……。ちなみにそれを機に剣道もやめ、某史上最強の弟子を真似て柔術、空手、中国拳法、ムエタイ、あとついでに武器術を始めた独学で。流石、転生特典。スルスルと吸収されていくわ。

 

 引越しのことを伝えると雫はギャン泣き、それを見越してた訳ではないけど、雫に似合うだろうなぁと街で見つけた赤紫のシュシュを買っていたのであげた。いつもポニーテールでまとめてるのでそのうちゴム切れそうだなぁって思ってたから丁度良かった。

 

雫につけてと言われたので付けて上げた時こっちを向いた時の涙に濡れながらも心の底から喜んでくれたような笑顔は忘れない。

 

 

あぁ俺はこの時……いや既に初めて会った時から彼女に一目惚れしていた。見惚れるついでに何か言った気がするが忘れた。

 

 

中学に上がってからも連絡先を交換していたので毎晩電話をした。

どうやら、白崎さんという可愛らしい女の子と友達になったみたい。

俺からしたら雫も十分可愛いと言ったら無言で切られた。解せぬ。

 

ちなみに俺にもちゃんと友達出来たぜ?

南雲ハジメって言ってオタク趣味でめちゃくちゃ話の合う奴がな!

将来のことも見据えてすごい奴って言うのが俺の感想。

 

 

 

 

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雫SIDE

 

私には、気になる男の子がいる。

その子は私の学校に転校して来た子である。

 

私の家は八重樫道場と言いかなり有名な道場で門下生の人も沢山いる。そこで生まれた私は当たり前のように幼い頃から剣道をやっていた。お父さん曰く、私には才能があるらしい。

 

そんな事だから手にはマメが出来、短髪で揃えた髪型のせいで学校では男女なんて、悪口を言われていた。要するにいじめである。もともと溜め込みやすいタイプだった私は誰にも相談せずにただひたすらに耐えていた。

 

そんなある日のことである。彼が転校して来たのは。

 

「神韋聖夜です!よろしくね!」

 

まだ小学生だしカッコイイというよりかわいいって感じで、要するにヘナヘナしてて弱そうと言うのが私の印象だった。丁度隣の席になるらしく彼が話しかけて来た。

 

「聖夜です!よろしくね!名前はなんて言うの?」

 

「八重樫雫。よろしく」

 

どうせこの子も私の事男女とかなんとか悪口言うんだって思って少しぶっきらぼうに言ってしまった。けれど。

 

「よろしくね!」

 

彼は笑顔だった。

 

休み時間。いつも私の事をいじめてくる男の子が近くまで来て、

 

「おい、聖夜!そいつに近づかない方がいいぜ!」

 

あぁまたか……なんて思ってると。

 

「ヤダ!」

 

即答だった。しかもいい笑顔で。

 

「こいつ男女(おとこおんな)なんだぜ?近づいたらオカマがうつるって」

 

この年代でそう言う言葉を知っているのに驚きだけど更に驚いたのが次の彼の発言。

 

「えーと、日本にはね大体4%つまり100人に4人ほどはニューハーフの願望もしくは手術を受けてる人がいてね、これは意外と馬鹿にならない数値でね人口にすると500万人ほどの人がそういう考え方をしてるんだ。それを馬鹿にするってことはつまり500万人を敵に回すって事だよ?」

 

「な、なにいってんだよ……」

 

「十人十色って言葉があるように人それぞれなんだよ。いろんな人にそれぞれ特色があって個性があって、考え方がある。それを馬鹿にすると、人として成長出来なくなるよ?」

 

「何言ってんだよバカやろー!!」

 

「あ、行っちゃった。全く……八重樫さん普通に可愛いと思うんだけどなぁ……」

 

私は顔が真っ赤になっていくのを感じた。嬉しい。正直何を言ってるのか半分くらい理解できなかったけど、自分を女の子として見てくれてるんだっていうのは分かった。こういう風に言われたのは初めて。

 

その日から彼と良く遊ぶようになった。

放課後のギリギリまで彼と遊んだ。色んなことを教えてもらった。彼と一緒にいると心がポカポカして、今までキライだった剣道も頑張れた。お母さんにその事を話したら、お母さんは「あらあら、家を継ぐ人が現れたかしら」なんて言ってた。意味が分からなかったので聞いても「あらあら」としか言わない。お父さんに聞いたら「今度うちに連れて来なさい」って確かに家で遊んだ事ないから今度呼んでみよう!

 

 

学年が一個上がると彼は家に剣道を習いに来ると言う。とても楽しみだった。これで彼と一緒にやれば剣道だって楽しくなるって思った。結果その通りだった彼と一緒にやると言う事にドキドキして、とても嬉しかった。最初は私が教えてあげたりしていた。私の方が長くやってるし才能もあるからそうそう抜かされることはないだろうと思っていた。

 

しかしたった1ヶ月。それだけで彼は私より強くなっていた。でも不思議と嫉妬の感情はなく、寧ろ彼が私の事を守ってくれるんじゃないか、小さい時に夢見た白馬の王子様の様になってくれるんじゃないかと喜んだ。

 

 

4年生になって、彼が全国大会で優勝した。ニュースにもなったし新聞でも取り上げられていた。私はまだ県レベルで彼との差にちょっと絶望していたけど、そんなことはお構いなしに彼は私の事をちゃんと見てくれていた。ちゃんと側にいてくれた。

 

 

 

5年生にあがったらうちの道場に、天之川光輝君と言う男の子が入った。彼は私の事を守るなんて言ってくれたけど、彼自身は直接何かをしてくれる訳ではなかった。

むしろ私が天之川君の近くにいる事をよく思わない女子に靴を隠されたりなどといじめられたりした。

天之川君に言うと、天之川君は私の事をいじめない様に口だけで言うだけ言っていじめは陰湿にばれない様にさらにひどくなった。

 

その事を聖夜に、彼に言ったら、彼は「雫が可愛いから嫉妬してるんだ、ちょっと言ってくる」なんて言って、本当に解決してしまった。彼何を言ったんだろう?

 

あぁずっとこんな日常が続けば良いのに……そう思っていた。だけどそんなものは長く続かないのが世の常なのよね。

 

中学に上がる時も、勿論彼と一緒だと思っていた。学校から帰る時いつも一緒に遊んでいた公園に寄ってこうと彼が言ったので一緒に行った。そこで聞かされた引越しという衝撃の事実に私は思わず大泣きしてしまった。

 

後にも先にもここまであたふたしてる彼を見たのは初めてだったわ。

 

私に似合うからと赤紫色のシュシュを私の為に買ってくれてたみたい。可愛いそれを、つい私は付けて欲しいと頼んでしまった。けど嫌な顔1つせずに、付けてくれたのが嬉しくて彼の顔を見て笑顔になった。

 

「やっぱり雫は笑ってる顔が1番似合うよ。……雫何かあったら俺のことを呼んでくれ。何があっても俺が雫を守るから」

 

 

 胸にストンッと落ちた。

 

 あぁ、そんな風に言われたら好きにならない訳無いじゃない。分かってた最初から。あなたが転校して来た時あの時に言われた言葉が私の心の奥底に貼り付いて、離れない。

 

 神韋聖夜君。あなたの事が心の底から大好きです。

 

まだ面と向かっては言えないけど、いつか伝えられたら良いな…。

 

 

 




 ここまで呼んでくださりありがとうございます!
展開早いのは気にしないで……さっさと物語に移りたいのよ…

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