【完結】異世界転生したら合法ロリの師匠に拾われた俺の勝ち組ライフ   作:ネイムレス

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ほのぼの回です。


第十四話

 その日は、クッソ眠かった。

 前日に夜更かしをしたせいか、麗らかな日差しのせいかは分からないが、とにかく眠くて眠くて仕方がない。なんとかかんとか午前中に家事を終らせて、這う這うの体で昼食を取ったらもう限界だ。

 だから少年は、午睡をする事にした。眠い時、昼寝する。これ人類の知恵。

 

「せっかく良い天気だし、部屋で寝るのはもったいないよな……」

 

 師匠の家は森に囲まれた自然豊かな環境である。都会では決して味わえない様な、美味しい空気と目に優しいクソ緑。せっかくだからと、少年は手ごろな大木の陰に入りどっかりと背を預ける。木漏れ日を浴びながら深く息を吐けば、その意識はあっと言う間に微睡みの中に溶けて行った。

 

「むにゃむにゃ……、もう食べられないよ……。師匠のごはん食べられないよ……」

 

 若干悪夢を見ている様な、そうでもない様な。それでも師匠の夢を見て幸せそうな少年に、ひっそりと忍び寄る二つの影が。こっそりと近寄って来て、眠る少年の顔を左右から挟んで見下ろす。

 

「ふひひひ、寝てるです寝てるです。へぇ……、こんな顔して眠るんですね。こうしていれば、可愛い顔しているのに……」

「姉さん、あんまり騒ぐと起きちゃうよ。まあ、珍しい物を見たのは同意するけどね」

 

 それは、農民少女と剣士少女の姉妹であった。二人そろってと言うのは珍しいが、午後の予定が空いたので少年を遊びに誘いに来たのである。

 だが、そんな少年はのんびりと夢の中。二人は物珍しさからきゃいきゃいと眺めていたが、少年は騒いでも突いても起きやしない。そんな様子に次第に飽きが来て、眠気も出てきて……。

 気が付けば、大の字になる少年の左右で姉妹も仲良く眠り込んでしまっていた。やったね、両手に花だよ。

 

「…………、何をしているんだこいつ等は……」

 

 そんな寄り添って眠る三人を、今度は通りがかりに師匠が発見した。別に退屈だからって弟子を探しに来たわけじゃない。ただちょっと、お茶でも淹れてもらおうかなと思って探していただけである。

 そうして発見した弟子だが、なんと女子を二人も侍らせてお昼寝とは。呆れるやら何やらで、心中複雑なお師匠様。ちなみに女子と書いてギャルと読む。

 

「ふむ、子供は子供らしくか……。羨ましい物だな……」

 

 自分が一番小っちゃいくせに何言ってんだこのロリ。と、少年が起きていたらそう突っ込むだろう。しかし、少年は未だに夢の中。蹴り飛ばしても起きないのではないかと思えるほど、だるーんとだらしない顔で寝コケている。

 両側に少女を二人も侍らせて、そんなに幸せですかそうですか。見てるとモヤモヤして来る師匠。フードを目深に被って、足音をイラつかせながら家に向かって踵を返す。

 

「師匠……」

 

 弟子に呼ばれて、その師はがばっと勢いよく振り向いた。起こしてしまったのだろうか。まさか最初から起きていた? 慌てて顔をじっと見るが、弟子は相変わらず幸せそうに涎を垂らして眠っている。

 

「なんだ、寝言か……」

「むにゃ……。ししょー……、いっしょに……。ぬへへへへへへ……」

 

 一体どんな夢を見ているのだろうか。またぞろ、性欲の強いこの子の事だ、いやらしい事で頭がいっぱいになっているのかも知れない。いやらしい事を、左右の姉妹にしない保証もないだろう。監視は必要、そう必要かもしれない。

 そもそもどうして、師匠である自分が逃げるように退散せねばならないのか。小娘共が幸せそうに引っ付いて、羨ま――もとい、忌々しいにも程がある。思うが早いか、師匠はテクテクと来た道を戻って、呑気に眠る弟子と姉妹を見下ろした。

 

「……私の弟子だぞ。返せ……」

 

 不機嫌そうな顔のまま、ズイズイと少年の上に乗って師匠もまた昼寝に加わる。誰におもんぱかる事があろうか、これは師匠として当然の権利なのだと主張する様に。

 弟子の胸板に顔を伏せながら、師匠は目を閉じ堂々と眠りについて行った。

 

「……目を開けるとそこは天国だった」

 

 それから数時間程後。息苦しさを感じた少年が、呻きつつ目を覚ました。まるで何かに胸を押さえつけられている様だ。一体自分の体には何が起きているのだろうと確認してみれば、身体の上に師匠が乗って眠っていた。天使かな?

 

「なんだこれ、据え膳かな。こんな状況で我慢なんか無理ですよね解ります。生前から大事に温めてきた童貞ですが、今こそ捨てる時が来たようです。では、まずは熱い抱擁から!」

 

 が、両手が動かなかった。右を見れば農民少女が、左を見れば剣士少女が、少年の腕をそれぞれ抱えて浅い寝息を立てている。なんだこれ、ハーレムかな? だが、今はそのおかげで目の前の天使に手が出せない。出しにくい!

 

「んぅ……、もっと構えです……」

「ふふっ……、新しい剣技覚えたの見て……」

 

 くっそ、こっちもこっちで可愛いのが腹が立つ。こんなに可愛い寝顔を曇らせるなんて、ロリコンには出来やしない。力任せに振り払う事が出来ない以上、少年は目の前の師匠に手も足も出せないのだ。ちなみに足は、師匠が乗っているので動かせません。

 なんたる苦悩。なんたる苦痛。あと数センチ先に、師匠の愛しの唇があると言うのに!

 

「ま、仕方ないよね……」

 

 動けないならしょうがない。諦めたならば、後はこの環境を全力で楽しむべきだろう。右も左も上にすら女子が密着しているなんて、そんな状況はきっと一生に一度あるかないかだ。少なくとも前世にはなかった。

 柔らかさと暖かさと甘い香りに包まれて、後はもうせいぜいのんびりしてやろうじゃないか。

 

「これはこれで、幸せだなぁ……」

 

 ロリコンは、何時も心に、YESロリータNOタッチ(字余り)。変態という名の紳士にとっては、忘れてはならない初心である。え、もう十分触ってるだろって? 知らんな。自分から触っていないのでセーフです。少年的にはセーフなんです。

 結局、少年は日暮れになって肌寒くなるまで起きなかった三人を、生殺しの生き地獄のまま見守り続けたのであった。

 




セーフですよね?
皆さんもロリには紳士的にね。

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