【完結】異世界転生したら合法ロリの師匠に拾われた俺の勝ち組ライフ 作:ネイムレス
拙い出来ですがどうか読んでやってください。
端的に言えば、それは地獄のような日々でした。
月夜の晩に拾われて、好みの女子に育てられると言うドキドキ異世界生活。森の中にポツンと建てられた木製の一軒家に連れて来られ、今日から私とお前の二人暮らしだなと言葉を掛けられます。ご両親不在なんですか? それって常時二人っきりなんですか? やったー!
だと言うのに手も足も、声すら出せないと言う生殺しなんですか? やだー! 赤子さんの、長く苦しい試練の日々の始まりです。
女の子の家に連れて来られて、最初に貰った食事はミルクでは無くお薬でした。なんと赤子さんを拾った女の子は、自分の家で調剤を営む薬剤師だったのです。謎の葉っぱとか乾燥したよく分からない虫とかを粉にして煮込んだ怪しい色のお薬を、美味しいぞと魅力的な笑顔と共に差し出してくる女の子。
もちろん赤子さんは出されたものを全て頂きました。だって、凄く可愛い笑顔だったから。
次に判明した事ですが、白ローブの女の子は子育ての経験が皆無だと言う事が分かりました。むしろ、家事と言う物に才能が無いのではないかと思われます。料理を作れば必ず焦がし、おしめを取り換えるのにもひと騒動。洗濯は溜まってからでないとやらないし、掃除をする気は初めから無い。
そんな女の子が一人暮らしをして行けているのは、たまに知人らしき年配の女性がハウスキーパーとして訪ねて来てくれているからでした。年上は好みではない赤子さんでしたが、こればかりは背に腹は代えられません。
「先生、森の中で子供を拾って来るなんて、生活力無いのに無茶と言うか無謀ですよ。それにしても、この子ぜんぜん泣かない良い子ですね」
「そうだろう、私もそこが気に入っているんだ。あと、赤ちゃんの育て方教えてくださいお願いします……」
どうやら、年配の女性のおかげで待遇が良くなりそうです。これには思わず赤子さんもニッコリ。ただし、黒焦げの料理と毎日のお薬は途切れる事はありませんでした。差し出す女の子も変わらずニッコリ。
もちろん、両方とも赤子さんが美味しくいただきました。だって、凄く素敵な笑顔だったから。
そんな生活を数年間続けて、赤子さんはすくすくと育って行きました。幼年期を終えて、少年時代の始まりです。
「師匠ー? 朝ですよ師匠ー! おきてくださーい!」
少年の朝は早い。何故ならば、己の保護者が一切の家事をしないからだ。
朝起きて直ぐに水汲みと朝食の下ごしらえを終わらせて、自らの恩師を起こすべく個室の扉をノックする。コンコン、ゴンゴン、ドンドンドン! そんな具合に次第に乱暴にして行っても、起きてくる気配は全くありませんでした。
「師匠、起きないとベッドにもぐりこみますよ。はい、起きませんね入りますよ。入りました、お邪魔します」
起きて来ないならしょうがない。少年は慣れた手つきで個室のドアのカギを細い棒と針金でガチャリとピッキング解錠、音も立てずに室内へと侵入を果たす。
乱雑に本が詰まれ、少し埃臭い室内。カーテンが閉じられて薄暗い部屋の中を慎重に歩んで、まずは窓を開けて陽の光と新鮮な空気を取り入れる。
「……ううん…………、まぶしい……」
「シショー、まだ起きないんですかー? 本当にベッドにもぐりこみますよー?」
途端にベッドから聞こえて来る悩ましげな声と衣擦れの音。それに対して声を掛けるが、やはり起き出してくる気配は無かった。
だったらもうしょうがないよね? 少年は流れる様な動作で女の子の眠るベッドに、まずはその縁へと慎重に腰かける。それから暫し、薄く上下する胸元と、目を閉じて寝息を立てる様子をジーッと観察。
「ふぅ、今日も師匠は小さいなぁ(意味深)」
そう、女の子は赤子さんが少年になっても女の子のままだった。少年だけがすくすく成長して、女の子は昔の姿のまままったく変わっていない。そう、彼女はなんと種族的に年を取らないと言う、いわゆる合法ロリと言う奴だったのである。やったね!
「では、行きますね師匠……」
どこに行くのか。それはきっとエルドラド。誰もが求める理想の黄金郷。ベッドのシーツに手を掛けて、いざっと意気込み跳ね退けようとして――少年は雷に打たれて跳ね飛んだ。もうバチィ、ドカーンって感じに。
少年の体が殴られたように壁際まで吹っ飛ばされて、積んであった本の山に激突しもうもうと埃を巻き上げる。何を隠そう、女の子のベッドには邪な者が近づくと発動する魔法の罠が仕掛けてあったのだ。
「んあ……? ふあああああああっ……、もう朝か……。おはよう馬鹿弟子、今日も良い天気ね」
ここまで騒いだ所で、ようやくベッドから女の子が起き出した。薄手のシャツ以外に何も付けない無防備な姿に、普段は編んで結い上げる髪も解けた艶姿。惜しむらくは、それをまともに見られる者が、今は本の山に埋もれて黒焦げだと言う事だろう。
「また勝手に私の部屋に入ったわね。まあいいわ、さっさと朝食にしましょう? 今日はどんなご飯を作ってくれたのか楽しみだわ」
そう言い放ち、女の子は着替えを持ってすたすたと部屋を退出して行く。彼女は寝起きは何時も、朝食が出来上がるまでシャワーを浴びて身支度を整えるのが日課なのである。
そして、彼女は最後に頭だけを扉の隙間から見せて、漸く本の山から這い出して来た少年に声をかけた。
「ああ、その本を片付けるついでに今日は部屋の掃除もお願い。埃っぽくなって来ちゃったから、ちょうどいいでしょう?」
それっきり、扉をパタンと閉めて、少女は鼻歌を歌いながら立ち去ってしまう。その衝撃で、少年の頭に本の山からまた一冊、分厚い本が落っこちてきてガツンと当たる。結局ベッドには潜り込めないし、家事も掃除も押し付けられるしなんと言う理不尽か。
「……そりゃぁないっすよ、シッショー!!」
嘆く少年に応える者無し。惚れた弱みと言うのは、かくも厳しく辛い物なのである。
これが大体、今の少年と師匠の日課であった。
シッショー!!って言わせたくて書き始めただけの小説だった。
今は割と満足している。