【完結】異世界転生したら合法ロリの師匠に拾われた俺の勝ち組ライフ   作:ネイムレス

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最初に謝っておきます。ごめんなさい。
今回の話は今までのイメージを破壊し尽くす可能性があります。
そして誰得な展開てんこ盛りです。


第三十八話

 その日、少年は果てしなく不幸であった。どのくらい不幸であるかと言えば、師匠に仕掛けた悪戯が即行でバレてめっちゃ説教された位不幸だ。

 せっかく隙を突いて、こっそりとローブのフードをラッコさんにしたと言うのに。つぶらな瞳で髭も付けている力作だよ。

 

「お前と言う奴はああああああああああああああ!! お前ー! おまえなー! 弟子がなー! 師匠をなー! げぇほっ! げほっ! ごほっ! カヒューッ! コヒューッ!」

「ああっ!? お師匠さんが怒りのあまり過呼吸になったですよ!? このひとでなしー! 謝れ、謝れ、早く謝って、です!」

 

 問題が大きくなったのは、ラッコさんフードを何時もの姉妹が目撃してしまった為だろう。恥ずかしいやら何やらで、師匠の怒りが有頂天。涙目になりながら、正座させた弟子の前で盛大にむせてしまう。

 多分こんなに取り乱した師匠を見るのは、少年を含めても初めての事だろう。それだけラッコフードの破壊力は凄まじかったと言う事だ。今も師匠の頭の上に、キュートなラッコの顔が鎮座しております。

 

「だが俺は謝らない。師匠のフードを弄って師匠を可愛くすることに対しては、絶対に引きません! 媚びへつらいません! 反省しません! だって、その為に今生きてますから!!」

「いや、流石に反省位はしようよ。お師匠さん、怒ってるんだか泣いてるんだか分からないような顔してるし。僕、こんなに感情をむき出しにしてるお師匠さん見るの初めてだよ」

 

 そんな師匠を前にして、少年は一欠けらも懲りた様子を見せなかった。怒られるのが怖くて、師匠に悪戯が出来るものか! ロリコンに後退は無いのだ。でも警察だけは勘弁な。

 そんな少年を嗜めるのは、姉妹のボーイッシュな妹の方。流石に、顔を真っ赤化にして泣きながら怒っている師匠を見ては、懲りていない少年を窘めずにはいられなかった。どうせ悪戯するならこっちにして欲しいとかは、少ししか思っておりません。

 

 はてさて、そんなふてぶてしい弟子を前にして、師匠はローブの袖でぐしぐし涙を拭ってそのまま少年に指を突き付ける。すわ何時もの電撃かバッチこいと構える少年と妹だったが、師匠は指を突き付けるだけで何もしない。その代わりとして、ニヤリと邪悪に微笑んで見せた。

 

「お前にも、同じ思いを味わわせてやる……」

 

 師匠がパチリと指を鳴らすと少年が真っ二つに――は成らずに、背後に居た筈の剣士少女が少年の事を羽交い絞めにした。そして、姉の方の農民少女がロープを手ににじり寄って来る。何時の間に結託したんだ師匠と姉妹。まさか、最初から!?

 そこからが、少年の苦難の始まりであったのだ。

 

 少年は抵抗もむなしくあっさりと拘束され、いつぞやの様に椅子に縛り付けられ身動きが取れなくなっていた。そしてそれを取り囲むのは、右に妹、左に姉。そして正面には、両手を組んで仁王立ちするお師匠様。彼女達の手にはそれぞれ、無数の衣服が握られていた。女物も男物も色々とあります。

 一体何が始まるんです? 大惨事大変だ!

 

「ヤメロー! シニタクナーイ! シニタクナーイ! シニタクナーイ!」

「物騒な事を言うな、何も取って食おうという訳では無い。ただ、お前にも辱められる側の気持ちを理解させてやるだけだ」

 

 同じ気持ちを味わわせるとはつまり、少年にも恥ずかしい格好をさせてやろうと言う事に他ならない。日頃のセクハラや悪戯へのうっぷんが、師匠の手についつい半ズボンを握らせてしまうのだ。怖くないよー。怖いのは師匠の趣味だよー。

 

「話は聞かせてもらいましたわ! そこの小生意気なのに、一発恥を掻かせられると聞いて来ましたの!」

「まためんどくさい奴が来たぁーっ!!」

 

 そして、唐突に現れる黒百合の魔法使いの弟子。師匠の家にズカズカと入り込んで来て、不敵な笑みを浮かべながら少年の包囲陣に加わる。その手にもった鞄を開け放ちながら、彼女は何時も通りに高笑いするのだ。

 

「オーッホッホッホ! こちらをご覧くださいませ! 王都で流行の高級化粧品の数々を、何故か、偶然、持参してまいりましたのよ! これを使って、私自らの手でキレイキレイにしてあげますわ!」

「何なんだこの手際の良さは! さては全員グルか!? そうなんだろう!? 特に姉妹二人ぃ!!」

 

 少年はあまりにも都合の良い展開に声を荒げるが、それに応える様な者はこの場には居なかった。孤立無援。せめて、せめて理由だけでも教えてくれ! どうしてお前らは裏切ったのだ姉妹達よ! 少年はぶるうたすに裏切られた人みたいに訴えた。

 

「こんな面白そうなこと、誘われなくても参加したいに決まってるじゃないですか! 今は悪魔が微笑む時代なんです!」

「ごめんね、僕って責められるのも責めるのも好きなんだ。何だったら次の訓練の時に報復してくれてもその……、いいよ?」

 

 ああ、お前等ってそういう奴だったよね! 特に妹の方!

 全てを諦めて項垂れた少年に、四人が一斉に飛び掛かって行った。少年の纏っていた衣服が剥ぎ取られ、そして無理やり着せ替えられると言う恥辱の宴が始まったのである。

 

 ケース壱。農民少女コーディネートの白いワンピース。

 

「季節感は初夏をイメージして、純白のワンピースに白い靴下を合わせてみましたです。シンプル故に素材を活かし、お化粧はせずに髪型だけを整えて清楚さを醸し出すのですよ!」

「あははっ、凄い凄い。姉さんの麦わら帽子も良く似合ってるね。すっごく可愛いよ」

「納得いきませんわ。どうしてこんなに体のラインが細いんですの……」

「ふむ、悪くは無いが、私の趣味ではないな」

 

 ケース弐。剣士少女コーディネイトの甘ロリフリフリ衣裳。

 

「こう言うのは僕には似合わないからね。でも、せっかくだから誰かに着てみて欲しくってさ。思ったよりも似合ってて、僕もびっくりしているよ。君って化粧で化けるタイプだったんだね」

「今度は金髪のウイッグをつけて、大きなリボンも装着です! かわいいかわいいお嬢様になりましたですね!」

「納得いきませんわ。どうしてこんなにファンデの乗りが良いんですの……」

「ふむ、これも悪くはないな。もっとも、手を加えすぎるのは趣味ではないが」

 

 ケース参。魔法使いの娘コーディネイトのクラシックメイド服。

 

「私の屋敷から持ってきた物ですが、存外に似合うのが悔しいですわね。ですが、その格好で給仕する姿はさぞや様になる事でしょうね。オーッホッホッホッ!」

「エプロンもしっかりした生地で凄くお高そうですね。頭のモブキャップがとってもキュートです!」

「姉さんのワンピースと違って長袖だけど、カフスも意匠が凝ってて何て言うか気品を感じるね。この服には長めのウイッグが良いかな。色は元の黒のままで良いか……」

「普段から家事を任せているが、この格好の方が捗りそうだな。まあ、私の趣味とはまた違うが」

 

 ケース四。師匠コーディネイトのフォーマルシャツとサスペンダー付き半ズボン。

 

「……………………うむ」

「うわっ、お師匠さん鼻血! 鼻血でてるから! 姉さん、笑ってないで布かなんか持って来てよ!」

「何て言うか、場違いに正装されたお坊ちゃんて感じですね。ぶふうっ! 蝶ネクタイがすっごく笑かしてくれるです!」

「ぷっ、くく……。ええ、正に少年っと言った感じですわねぇ。素晴らしくお似合いですわぁ、オーッホッホッホッ!」

 

 いっそ殺せ。少年は凌辱の限りを尽くされた女騎士の様に、全てに絶望した表情で囁いた。でも、死にたいと思っても殺してもらえるわけでも無く、例え舌を噛んだとしても直ぐ治るだろう。その後も、娘らの着せ替え人形として弄ばれる時間は続く。

 着ぐるみパジャマ、執事服、貴族学校の女子制服、タキシード、イブニングドレス、はてはマイクロビキニまで。男としての尊厳など、木っ端微塵に吹き飛ばされて神の世界に遊びに行ってしまった。今頃は神と肩を組んでラインダンスでもしている事だろう。

 

 少年は、暫くの間解放される事は無かった。男装と女装の中間の存在となり、延々と師匠たちに弄ばれるのだ。そして、逃げたいと思っても師匠に捕まえられるので、そのうち少年は考えるのを止めた。

 




最終話を書くのに耐える為に滅茶苦茶なギャグ回として書きました。
最終話は現在砂糖を吐きそうになりながら書いております。

って言うのは建前で、師匠に鼻血を出させたかっただけなんです。
ほんとうに、申し訳ありませんでした。

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