【完結】異世界転生したら合法ロリの師匠に拾われた俺の勝ち組ライフ 作:ネイムレス
どうか読んでやってくださいませ。
それは、午後の昼下がりに起きた一幕。
「し、師匠……、くっ……はぁ……。これ以上は駄目ですよ……」
「どうした……、こんな物ではないだろう? もっと頑張れるはずだ……、ほら……」
まだ声変わりを迎えていない少年のくぐもった苦悶の声と、興奮を押し殺した師匠の艶めく声音が室内に響く。時はまだ日も明るい内だと言うのに、アトリエの室内には常には無い異質な空気が漂っていた。
「ああっ! だめ……、ダメです……。本当にもう、やめ……、ぐぅっ!」
「ふふっ、良いぞ……。凄く素直に反応して……、良い子だな。ほら、ここはどうだ……?」
あどけない容姿の少女が大きく手を動かせば、刺激に反応してビクリと少年の体が跳ねる。その様子を見て少女は喜色で頬を歪ませ、うっすらと上気した顔で更に愛し気に指を滑らせていく。少年が声を漏らすたびに、少女もまたうっとりとした溜息を零すのだ。
「ああっ! もう我慢できん! 電力アップだ!!」
「あへええええええっ!! そんなにしたら神経焼き切れちゃうのほおおおおおおおっ!! オッ! ホオォッ!?」
そして少年は、今日も元気に実験台として大活躍するのであった。これには師匠も大満足でニッコリ。やられた方の少年は、黒焦げにはなってはいないがグッタリ。
「うむ、やはり電撃の出力を上げる事で生物は自ずと、自らの反射で飛び跳ねるのだな。筋肉に作用する効果なのだろうか……。では逆に弱い電流ならば肉体をある程度操作できるのでは……」
ブツブツブツブツと、師匠は片手でメモを取りながら手の中の雷の魔具について思案する。今は師匠と弟子の日課である錬金術のお勉強の時間の筈なのだが、どういう訳か午前中の掃除の時間に少年が衣装ダンスに手を出した事がバレてお仕置きされる事となったのだ。
それがこの、人体に電流を流した際の反応観測実験なのである。我々の業界でも拷問です。本当にありがとうございました。
「よし、と。それではお仕置きはこのぐらいにして、そろそろ授業を始めようか。どうせダメージはもう回復しているのだろう?」
「はい、よろしくお願いします、シッショー!!」
お仕置きの後はご褒美の時間。愛しのお師匠様との二人きりで行われる、昼下がりのハチミツ授業の時間でございます。ドストライクな女の子との急接近。よだれズビッ、ってなもんですよ。
「さて、では今回は今まで教えた事の復習をしようか。基礎的な錬金術の概念は教えた筈だな? 正確に覚えられているかどうか確認するから、言ってみなさい」
「えーっと、錬金術師は道具や薬を作る際に、原材料に魔力を編み込んで品質を向上させることが出来ます。だからこそ錬金術で出来上がる製品には錬金術師ごとの個性が生まれます。それこそ作り方から魔力の込め方まで、千差万別で正解が無いのが錬金術……でしたよね?」
たどたどしくも、自身の中の知識を自分の言葉で形にしていく少年。それを師匠である少女は、うんうんと頷きながら見守る。
ただ習った事を丸暗記するのでは意味がない。習った事を自分の中で噛み砕き、自分自身のニュアンスとして理解する事が大切なのだと言うのが師匠の教えでした。
「そうだ、間口は広く、道筋もまた無限にありて、しかし真理はただ一つ。千差万別なのが錬金術だ。……よく覚えていたわね、偉いわよ」
少年の答えに満足した師匠は、彼の頭を優しく撫でながら微笑んでくれる。あまりの幸せな衝撃に、少年の魂はもう一度天に行きかけたが何とか踏みとどまった。こんな幸せな世界を手放して死んでしまうような奴がいるだろうか? いや、居ない(反語)。
年相応の少年の様にはにかんで照れながら、少年は耐える為に血がにじむほど奥歯を食いしばっていた。たとえ死んだとしても、死んでもこの世にへばり付いてやる!! その覚悟、正に不退転。
「世の中には本当に色々な錬金術師がいる。中には錬金釜をぐーるぐるっとしただけで、賢者の石からアップルパイまで作るような奴も居る。まあ、そんなのは本当に稀な存在ではあるが……。私の場合は知っての通り製薬を基礎としている」
言いながらアトリエの中をテクテクと歩み、アトリエの壁際にある薬品棚から粉末の入った小瓶をひょいと拾い上げる師匠。それを手に机に着いた少年の元へ戻り、彼の目の前にその小瓶を置いて再び語りを続ける。
「今日は実際にこの薬を作ってもらおう。今から必要な道具と材料を言うので、何時もの様にメモは取らずに覚えろ。メモを取るのは夜に自分の部屋に戻ってからだ」
これもまた師匠の教育方針の一つ。夜眠る前に習った事を書き出すと言う、日記ならぬ錬金日誌の作成を命じられているのだ。その方が必死に覚えるだろうし、復習も出来るので脳が鍛えられると言うのが師匠の言である。
それから、必死に覚えた素材を部屋のあちこちの棚から探し出し、師匠の使う錬金台を使わせてもらって少年の調合作業が始まった。大事なのは、正確な手順と分量、そして何よりも魔力を込める際の集中だ。
「そうだ、よーく集中しろ。お前には生まれついての高い魔力がある。大丈夫、アナタなら出来るわ……」
師匠が作業台を挟んで正面に立ち、ゴリゴリ素材を削る少年を見守りながら応援してくれている。優しく、甘い囁き。慈愛に満ちた目が、声音が、少年に一身に向けられていた。何これ幸せすぎて死にそう。いや、死にたくない。
いかんいかん、集中集中。集中しなければ。一点に集中しなければ――あ、この位置だと覗き込んで来る師匠の胸元から中身が見え……。
少年はかつてない程に集中した。見えそうで見えない師匠の肌着に。
結果。
「失敗しちゃった!!」
「…………」
テヘペロっと舌を出して誤魔化してみる少年と、無表情からニコッと愛らしい笑みを浮かべるお師匠様。バチィと、雷の魔具から再び雷撃が放たれて、アヒィと少年の甲高い悲鳴が響き渡る。
そんなこんなで、本日の授業はしめやかに終了。この続きは、また翌日へと続くのであった。
錬金術については、もっと深く設定を練りたいと思っています。
今回はとりあえずの触りだけ。