【完結】異世界転生したら合法ロリの師匠に拾われた俺の勝ち組ライフ   作:ネイムレス

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思いついたのを即興で書きました。


番外編その参(第四十一話)

 とある日。師匠の家に一通の手紙が届いた。そしてそれを手にして、黒ローブ姿の少年がどたどたと家の中を駆ける。そしてアトリエの中に飛び込むと、開口一番に元気に報告を開始するのだ。

 

「シッショー! 手紙が届いてますよー。なんかめっちゃ高級そうな高級紙で、封蝋がしてあるから大事そうな用件なんじゃないですかー?」

「手紙だと……? 差出人は誰になっている?」

 

 それに対応するのは幼い容姿の白フード。ご存知の方もそうでない方も、知って居て欲しい師匠その人である。

 

「差出人は……、ああ黒百合の魔法使いさんですね。師匠のライバルの若奥様」

「あれは若作りと言うのだ、覚えておけ。そうか奴からの手紙か……」

 

 物憂げな表情になった師匠にハイと手紙を受け渡す少年。受け取った師匠は中身を取り出すのかと思えば、次の瞬間には指輪型の魔具を発動させて手紙に火を放っていた。

 

「ほぎゃああああああああっ!!!??? なんばしよっとね、シッショー!!」

「何って、読まずに焼いただけだが? どうせつまらん内容だろう、読む価値もありゃぁしないさ」

 

 黒百合さんからお手紙着いたら、鈴蘭さんたら読まずに焼いたという訳である。少年が驚いている間にも、手紙は師匠の指先でメラメラと燃えて行く。最後には師匠がペイっと投げ捨て、手紙は空中で燃え尽きてしまった。

 

「あーあー、なんて事を……。師匠、幾ら可愛いからって、やって良い事と悪い事があるんですよ?」

「か、可愛いとか言うな! とにかく、アイツの手紙は別に焼いてしまっていい物なんだ。お前も、もう気にする必要は無いからな」

 

 ええーっとげんなりする少年だが、師匠の方はもうプイっと顔を背けて先程までしていた錬金作業に戻ってしまう。こうなった師匠は、何を言っても話を聞いてはくれないだろうと少年は判断した。

 仕方がないので、その後の少年の行動は一つだ。便箋と万年筆を用意して、自分の部屋に戻る。手紙の内容は、時節の挨拶やら何やらを書いてはいたが、要約すれば一言に尽きた。

 さっきの手紙の、ご用事は何でしょうか。

 

 

 それから暫くして、王都にある黒百合の魔法使いの住むお屋敷に一通の手紙が届けられた。それを彼女の私室に運んで来たのは、家令の者では無く孫娘でもあり弟子でもある魔法使いの娘である。

 

「お婆様。鈴蘭の錬金術師様からお婆様に当てて、お手紙が届いていますわ」

「あらまあ、珍しい事もある物ですね。あの偏屈がわざわざ手紙の返事を書いて寄越すなんて……」

 

 若奥様風の要望を持つ豊満な胸の落ち着いた美人が黒百合の師匠であり、その弟子もまた金糸の様な髪を長くのばしその胸は豊満であった。二人とも今は、屋敷の風貌にふさわしいシックなドレスを部屋着として着こなしている。

 

「あら、この宛名の字は……。なるほど、そう言う事ですか……」

「お婆様、宛名がどうかしましたの?」

 

 疑問符を浮かべて手紙に興味を示す孫娘を手で制して、黒百合の魔法使いはその手の中の手紙をピンっと弾いて飛ばす。そして、次の瞬間には宙を舞う手紙は、彼女の指先から放たれた炎の魔法で瞬時に燃え尽きてしまった。

 

「まあ!? お婆様、せっかくのお手紙を焼いてしまうなんて!?」

「良いのですよ。元々返事が来るはずの無い手紙なのですから、たまには仕返しをしてやるのも良い事なのです」

 

 師匠の方はニコニコと笑顔で納得していたが、弟子の方はどういう事なのかさっぱりである。尊敬する祖母であり師匠でもある彼女の事なので、まったく意味の無い行動などしない筈ではあるが納得出来るかと言えばいなであった。

 仕方がないので、魔法使いの娘は便箋と羽根ペンを用意して、こっそりと返信の手紙を用意する。少年以上に丁寧な時節の挨拶と近況の報告を認めつつ、最終的には手紙の内容はこの一言に尽きるのだ。

 さっきの手紙の、ご用事は何だったのでございましょう。

 

 

 この歪な手紙のやり取りはその後しばらく続き、何通もの手紙が読まれる事なく焼かれる事となった。それが解消されたのは、弟子同士が対決の為に直接会った時に、お互いが罪悪感に苛まれて謝り合った時だ。

 その後、弟子君と魔法使いの娘は時折手紙を出し合うペンフレンドになりました。

 




二時間ほどで書いたので、誤字があったら申し訳ありません。
こっちは本当に書きやすい作品だったんだなぁと痛感しますね。

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