【完結】異世界転生したら合法ロリの師匠に拾われた俺の勝ち組ライフ   作:ネイムレス

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クールな僕っ娘は好きですか?
うん、大好きさ!


第七話

 それは唐突に現れた。現れたパート弐。

 何だかごく最近、似たような状況になった気がするが、とにかくそれは平穏な日常に軽やかに現れたのだ。せっかく庭を掃き掃除していたというのに、これでは師匠にがんばったねって誉めてもらえないではないか。

 

「やあ、君が錬金術師さんのお弟子さんだね」

「いかにも俺はお弟子さんですが、アナタはどこの誰さんで何用でございますでしょうか?」

 

 それは、少々奇異な格好をした人物だった。背はあまり高くは無く、少年よりもやや小さいぐらいだろうか。短く整えた亜麻色の髪の上に小さい丸い鍔の帽子を乗せて、だと言うのにその体はパンツルックの上から皮の胸当てなどで部分的に守られている。そして、両の腰から下げられた二振りの剣が、その細身の体とは不釣り合いで更に異彩を放っていた。

 

「なに、僕の姉がずいぶん可愛がられたと聞いてね。僕も一度挨拶しておこうかと思ったのさ」

「姉……。ああ、ハウスキーパーさんの所のおねーちゃんの事か。まだほかにも家族が居るなんて知らなかったな」

 

 そう言えば顔立ちがどことなく似ていると思い、少年は納得がいってうんうんと何度も頷く。たしかに近況を語り合ったりはしたが、家族構成などはまるで聞いていなかった。仲良くなったと言うのに、少し勿体ない事をしたかと少年は思う。だがまあ、後で語り合うネタが増えたとも思えるので、今はとりあえず目の前の対処をしよう。

 

「そっかそっか、おねーちゃんも言ってくれればいいのにな。意外と水臭い所があるんだなぁ」

「ふふっ、そのおかげでこうして僕が直接会いに来る口実が出来たんだ、姉のそそっかしさは水に流してあげて欲しいな」

「はははっ、それもそうだな。いやそれにしても驚いたよ、まさかこんなに立派な『弟』さんがいるなんてさ」

 

 ピシリと、空気が凍り付いた。

 少年は不意に黙り込んで俯いてしまった相対者の様子に、『えっ? えっ? なに、急にお腹痛くなったの?』と的外れな事を考える。しかし、ぷるぷると全身を震えさせながらきっと睨み付けられると、相手が何を考えているかは一瞬で理解できた。

 あ、これ、食べたかったおやつをカラスに奪われた時の師匠と同じ顔だ。つまりは、目の前の人物は、今とても怒っていると言う事なのだろう。

 ちなみにカラスは魔具の力でおやつごと灰に。師匠は泣き崩れ、弟子はその姿に大いにハアハアしました。

 

「弟……。君は僕が男に見えたって事か……。そっかぁ、ふーん……」

「えっ!? 僕とか言ってたからてっきり……。普通にズボン履いてたし、鎧越しだとしても全然胸が目立ってなかったし……。え、本当に女の子……?」

 

 ブチィと、大気が怒りに震えた。

 男に間違われた少女が、無言のままスラリと腰の剣を静かに引き抜く。鞘から引き抜かれた二振りの刃は、陽光の元でギラリと鈍く輝く。少女が持つにはあまりにも武骨で、不釣り合いな存在であった。

 

「……ブッコロ」

「まて、時に落ち着け! 話し合おうじゃないか、貧乳はステータスだし希少価値なんだぞ! っていうか、俺はむしろチッパイの方が興奮する!!」

「ゼッコロおおおおおおお!!!」

 

 火に油を注ぐと言う表現が生易しくなる様な怒涛の挑発。少年の発言は清々しい程に屑だった。だが、争いを望んでいる訳では無い。ただただ、どこまでも自分の欲望に正直なだけなのだ。だって生前は、死ぬほど抑圧されていたから!

 

「ふっ、はっ! よっ、ほっ!」

「このっ、避けるな! 死ね!」

 

 両の剣が縦横に振るわれ、当たったらタダでは済まないだろう速度で迫って来る。だがこの少年とて、伊達に何度も師匠の罠を潜り抜けてはいない。剣自体ではなく、剣を振るう腕の動きを見て大きく飛び退いて躱す。素人に音速を超える切っ先など捕らえられるはずが無い。だから堅実に、間合いを離して回避するのだ。

 

 それに、彼女の剣には問題がある。そしてそれは、すぐさま彼女の体に変異として現れ出した。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ! くっ……、はぁぁ……」

 

 息切れである。そう、彼女の小柄で華奢な体格に対して、両手の剣は武骨であり重すぎるのだ。これが細身のレイピアであったなら幾らでも振るえたのだろうが、いかんせん彼女が振るっているのは肉厚の両刃剣である。それが二本ともなれば、振るうのに必要な体力は更に多く必要になってくるだろう。

 

「おーい、そろそろ両手動かなくなってきてるだろう。あんまり無理するなよー?」

「馬鹿に、するなっ!!」

 

 それでも暫くは意地で剣を振るい続けたが、額からの汗が顎から滴る頃には、彼女は息も絶え絶えになって両手をだらんと垂れ下げさせてしまった。もはや腕を上げる事も敵わないようだが、それでも立ったままで剣も手放さないと言うのは見上げた根性である。

 

「なんでまた、二刀流なんて酔狂な真似をしてるんだか。重すぎて攻撃自体も単調になってたし、その剣じゃ身体に合ってないだろう。せめて、一本を両手で持った方が良いんじゃない?」

「っ、駄目っ! 二本じゃないと駄目なの! 両手で自在に振り回せないと双剣使いになれないの!」

 

 なんだ急に口調を変えて来た、この少女剣士。疲れすぎた事で心の鎧まで剥がれ落ちたのか、いきなり涙目になって必死に訴えかけて来る。その姿は、先程まで見せていた凛々しさはどこへやら、まるでわがままを言う子供のよう。少年は初めて、目の前の少女が年相応に見え、やっぱり幼さは正義だなと強く思った。

 

「あー……、でもほら、体に合わない武器使ってるとまともに戦えないだろう? それとも、その剣じゃないと駄目な理由でもあるのか? 」

「うー……、細い剣じゃハサミみたいにガシャーンって出来ないんだもん。丈夫じゃないと、ガシャーン出来ないんだもん……」

 

 ハサミみたいに交差させると言う事だろうか、なるほど彼女はそう言う必殺技にあこがれていると言う事か。成る程と、少年は全てを理解した。この子あれだ、ちょっと早めの厨二病なんだ!

 

「ああ、剣を交差させて敵の首筋とか狙う感じの技か。それなら確かに細身の剣だと折れるかもしれないな」

「うん……」

「あれだろ、両手の剣で舞う様に敵を斬り裂いて、トドメの一撃でガシャーンだろ?」

「ん、そう。ガシャーンってするの!」

 

 何だこの少女可愛いな畜生。

 どうやら、この少女こっちの話し方の方が素の状態らしい。最初の頃のあの気取った話し方は、いわゆる理想の剣士像と言う奴なのだろう。そう思ったら、何だかもう真剣で斬りかかられた事も、全て許してしまえそうな気になって来た。だってほら、小さな女の子がする事ですから。可愛い小さな女の子がっ!

 

「やっぱ両手って所がポイントだよな。盾も良いけど、時代は攻めだよな。攻撃こそが最大の防御って言うしな」

「っっ!? ……ふっ、よく分かっている様じゃないか。どうやら君はよく分かっている側の人のようだね。であれば、先程の無礼は不問にしよう。あと……、いきなり斬りかかってごめんなさい……」

 

 もう超許した。殺人未遂? なんだっけソレ、刹那で忘れちゃった!

 そして、その後滅茶苦茶仲良くなった。姉の時と同じ様に日が暮れるまで、カッコイイ剣術や魔法について語り合いたまに実演し合う。ここまで来ればもう二人はマブダチさ。

 その日は村への帰り道を途中まで見送って、少年と少女剣士は笑顔でさよならを言い合った。

 

 そしてその夜。案の定、晩御飯は真っ黒に。師匠のにこにこ笑顔の圧力を感じながら、少年も笑顔でボリボリゴリゴリと夕餉を胃に流し込む。結局掃除出来なかったからね、仕方ないよね。でも、友達と遊ぶぐらいは許してくださいよシッショー!!

 少年は、複雑な女心と言う物を身をもって学ぶのであった。そこに正解は無い。

 




次は師匠がいっぱい出る話を書くんだ。書かせてくださいお願いします。
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