ラ・ウールの登場と共に、フィーネは怒りで我を忘れたように叫んだ。
「このような都合の良い話、あってたまるかぁ!!」
その叫び声と共に現れたのは赤い巨大な竜だった。
竜はこちらに向けて襲い掛かった。
同時にラ・ウールは龍に向けて、召喚したVSチェンジャーを使い、銃弾を放った。
銃弾は竜へと当たるが、まるでダメージは通らず、そのままラ・ウールに向けて襲い掛かり、爪がラ・ウールに襲い掛かる。
「所詮、この程っ!?」
そう言おうとした時だった、
ラ・ウールの片方の翼から襲い掛かったのは雷だった。
「なにっ!?」
突然の雷に困惑しながら、竜は一瞬だけ怯むと同時に翼から現れた巨大な爪は竜を吹き飛ばし、その姿を現した。
その姿は獅子に様々な装備を身に纏い、その内の一つのマントからは雷の音が溢れ、止まなかった。
「「ヴァジュラ!!」」
雨宮とソーマ、二人の声に合わせるようにヴァジュラは咆哮を上げ、幾つもの雷の球体を作り出し、竜に襲わせる。
「ちっ、神の名を使うか!!
だが、まだだ!!」
そう言い、竜はその場で留まるのと同時に口に炎を集め始めた。
竜が口に炎を集め始めるのと同時に、地面は焦げ、溶け始めていた。
その狙いは紛れもなく、ラ・ウールとヴァジュラ、そして雨宮達だった。
「焼け死ね!!」
その言葉と共に竜は溢れるばかりの炎を放ち、放たれた炎はラ・ウール達に激突すると共に巨大な火柱を作り上げた。
「奴らはどこだっ!」
先程まで絶対的な一撃を与えたはずのフィーネだが、その顔には焦りしかなかった。
絶対的な優位のはず、確実に倒せる程の一撃を放ったが、それでも不安は無くらなかった。
そして、その不安は的中した。
「「フルークフーデ」」
「っ!!」
同時に聞こえたのは耳を抑えたくなるほどの蝙蝠の鳴き声と翼、同時に火柱から出てきた数えきれない程の蝙蝠は空へと舞うと、そこに姿を変えた。
そこに現れたのは漆黒の竜と思わせる黒い化け物であり、そこには忍が頭に乗っていた。
同時に現れたのはヴァジュラに乗ったソーマ、ラ・ウールを背後へと召喚している雨宮の姿だった。
「なっなんなんだ、貴様らはっ!!」
「言っただろ、世間を騒がせる怪盗だって。
そして、これで終わりだ」
その言葉と共に、ラ・ウールは手を翳す。
「ショータイムだ」
その一言と共に竜はその動きを止めると同時に目を徐々に閉じていった。
「なっ、馬鹿なっ!
なぜ、眠るんだっ!!」
「俺のラ・ウールは万物を盗む事ができる。
俺はそいつから時間を盗んだ」
「そんな馬鹿な事がっ」
「悪いが、決めさせてもらうぜ」
その言葉と同時に走り出した。
フルーク・フーデと忍が竜を吹き飛ばし、ヴァジュラの雷がソーマのルパンソードの切れ味を上げ、様々な部位を切り落とす。
そして、ラ・ウールと雨宮はVSチェンジャーを構え
「チェックメイト」
その一言と共に引き金を引いた。
同時に竜は完全に撃ち抜かれ、その姿を消した。
「さて、残るはお前だけだが」
「・・・既に敗北している」
その一言と共に見てみると、現実の世界で現れた竜と同じ姿をした怪物が響達によって倒された光景だった。
「だがっ諦めるつもりはないっ!!
私は「なぁ」なんだっ!」
「あんたは結局、何がしたいんだ?」
「聞いていなかったのか?
私の目的は統一言語を取り戻し、あの方へと思いを告げる事だっ!」
「あんたが何をしたいのかよく分からないけどさ、あんたの想いってそう簡単な物なのか?」
「なに、簡単な物だとっ?!」
雨宮から出ていた言葉にフィーネは睨む。
「俺は人の心なんて未だに分からないけどさ、フィーネ。
あんたは本当に真っすぐとその人と向き合っているのか」
「何を言っている」
「統一言語が無くなり、言葉が繋がらず、ぶつかり傷つくのが怖いだけじゃないのか?」
「恐怖だと?
そんなのは、私には、私には」
そう言ったフィーネの言葉は少しずつ小さくなっていき、やがて
「そうかもしれないな」
諦めがついたようにフィーネは空を見上げる。
「私は統一言語という手段がなくなり、あの方が理解できなくなり、争う事を恐れた。
だからこそ、私は傷つかない手段に手を伸ばしたが、お前の言う通りかもしれないな」
そう言ったフィーネはまるで長い間の憑き物が取れたようだった。
「誰かと分かり合う為に傷つく事を恐れてはいけない。
当たり前のようでいて、私は、見ようとしていなかった」
そう言うと同時に響との戦いに完全に決着をつけた瞬間だった。
「ありがとう、最後に気付かせてくれて」
同時に認知のフィーネは消え去れ、雨宮達もまた認知の世界から元の現実の世界へと戻る。
「うぐぅ」
「了子さん?」
「くっ、まさか、本当に奇妙な物ね。
二つの世界を認知していながら、二つ共負けてしまったというのに、ここまで清々しいとはね。
響ちゃん、ルパンレッド」
「・・・」
同時に認知の世界から戻ってきた雨宮と響はフィーネの前へと立っていた。
「あなた達の胸の中の歌を信じなさい」
その言葉を最後に完全に砂となって消え去った。
それはノイズによって灰になった人々と同じ最後だったが、その表情はどこか救われた表情であった。
「ルパンレッドさん」
「すまないな、ここまで遅刻するとは思わなかった」
「ううん、ありがとう。
事情はモルナガちゃん達から聞いていた。
もう一人の了子さんを救ってくれたんだよね、だから了子さん、最後は笑顔でいてくれた」
「そうか」
同時に空を見上げると、そこには月から欠けた欠片がゆっくりと迫っていた。
「さて、もうひと頑張りしないと」
「だったら、俺も手伝うとするか」
そう言い、手に持ったVSチェンジャーともう片方の手には竜を倒した時にできたフィーネの宝、楽譜だった。
「それは、了子さんの」
「あぁ、あの人、あぁ言っていたけど歌が好きだったんだと思うよ」
「そっか」
その言葉を聞き、安心したように響は笑みを浮かべた。
***
後日談を語ろう。
先史文明の巫女の亡霊・フィーネが企てた計画は立花響達が阻止し、その心の闇は雨宮達によって取り除かれ、成仏した。
何千年と続いた彼女の計画がここで終わったのかどうかは未だに分からないが、もしも行われていたとしても、それはきっと非道な計画ではないだろう。
そしてフィーネが行った事件の後始末でもある月の落下は見事に防がれた。
月の欠片が迫る中で、エクスドライブへと至った響とダイヤルファイターに乗ったルパンレンジャー達によって、その危機は去った。
だが、その後、彼女達の行方を知る者達はおらず、ノイズの被害は未だに続いていた。
主に集中的な被害を受けている日本は、謎の集団「心の怪盗団」によって被害は減っており、世間では謎の存在として噂されていた。
「と、吾輩が語れるのはここまでだな」
「そうなの」
その日、吾輩はとある少女と一緒に墓参りに来ていた。
吾輩達、心の怪盗団はあのルナアタックと呼ばれた事件の後、喫茶店ジュレの店長と話し合った結果、信用できる組織という事もあり二課の協力者として活動している。
ノイズに対抗できるペルソナ能力もあり、吾輩達は様々な場所に呼ばれている。
他のお偉いさん達には「シンフォギアと同様に謎のシステムで解析は不可能」と上手く説明しているようだ。
「だけど、本当に良いの?」
「それも連との約束だからな」
「そう」
そう言った彼女と共に墓参りへと向かっていた。
雨を打たれる中で響殿の墓の前で悲しんでいる。
「・・・」
悲しみに暮れる彼女を見ていると、胸が苦しくなる。
吾輩からしたらフィーネの言っていた統一言語がどれほど意味があるのか分からない。
それ程に賢い訳ではないが、未来殿が涙を流す程の価値が果たしてあっただろうか?
そんな疑問を他所に突然聞こえてくる車の衝突音が聞こえ、見てみると、そこには女性がノイズに襲われそうになっていた。
「未来殿は逃げろっ、ゾロ!」
その言葉と共に吾輩はゾロを呼び出すと共にガルでノイズを吹き飛ばし、未来殿は女性を連れて逃げ出した。
「さぁかかってこい、吾輩が相手だってっ!!」
奴らは吾輩の事を見ずに、未来殿に向かって行った。
「まさか、吾輩が人間じゃないから、狙いを逸らしたのかっ!!」
今、この時程に吾輩の身体が人間ではない事を恨みたいが、今は未来殿達を救うのが先決。
吾輩はすぐに走り出し、未来殿達が逃げ出した方へと走る。
そこには無数のノイズによって取り囲んでおり、絶体絶命の未来殿が立っていた。
「それ以上っ、近づくなっ!!」
そう言い、手を伸ばすが、間に合わないはずだった。
「ペルソナ」
その言葉と共に襲おうとしていたノイズは黒い炎がノイズを包み込み、一瞬でノイズは吹き飛ばす。
「ごめんね、また未来には内緒にしちゃって」
「響っ!」
そこには久しぶりに再会した親友達が抱き合った姿だった。
「まったく、厄介な事になったけど、まぁ結果的には良かったかもな」
「まったく、お前、死んだふりはもうするなよ」
「悪い悪い」
そう言いながら、吾輩の横にはジョーカーの時の恰好を身に纏っている連がいた。
これが、未だに終わりの見えない戦いの序章に過ぎないが、それでも今はこの光景を守れた事を誇りに思おう。