特典を盗む怪盗 R   作:ボルメテウスさん

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「「ジュレ!ジュレ!ジュレ!」

「「ルブラン!ルブラン!ルブラン!」」

「これ、一体何の騒ぎ?」

「この前のルナアタックの時に店が壊れたから、別の所で再開する店の名前の会議だ」

「意見が真っ二つに割れて、今はこうして口論になっている。
あっ、店長だ」

「・・・・ナシタだ!!」

「意見がまた増えた!?」

店の名前はアンケートで


Jour du commencement RED=始まりの日 ルパンレッド~

ルナアタックが終わり、事後処理の為に現在立花響を始めとしたシンフォギア奏者達は仮基地の潜水艦の中にて、過ごしていた。

 

「それにしても、まさか、ルパンレンジャーの正体が雨宮さんだったなんて」

 

「まぁ仕事の都合でな」

 

そう言いながら、雨宮は立花の隣に座りながら、返答する。

 

あの戦いの後、訳を説明せず、石動の提案によって、二課の協力が決まってしまった。

 

そして、事後処理の為にもルパンレンジャーの活動休止と共にこれからの連携の為に彼ら三人はシンフォギア奏者と一緒に過ごしていた。

 

「それにしても、何時からルパンレンジャーだったんですか?」

 

「なんだ急に?

まぁ、俺が覚えている限りだと、そんなに経ってないな、あの時から」

 

「あの時?

もしかして、ルパンレッド誕生の物語とかですか!!」

 

そう言うとまるで新しいおもちゃを見つけたように響は雨宮に詰め寄る。

 

「なっなんだ!?」

 

「だって、この船は娯楽が少ないんですから!

それに、こういうのはお互い知った方がこれから仲良くなれるじゃないですか!!」

 

「むっ確かにな。

それもそうだな」

 

立花の提案にも納得した雨宮は頷くと

 

「それじゃあ、話すとするか。

あれはそうだな今からだいたい1年ぐらい前だったかな?」

 

そう言いながら、雨宮は最初にルパンレッドになった時の記憶を思い出す。

 

________________________________________

目が覚めると、俺は記憶を無くしていた。

 

雨の中行くあてもなく座り込んでおり、自分の名前も、何もかも分からなくなっていた。

 

「俺は一体」

 

僅かに残っていたのは、自身の名前である雨宮連という名前だけだった。

 

そんな不安の中で、こちらに近づく足音が聞こえ、見つめるとそこには傘をさしている男が一人立っていた。

 

「どうやら、ダイヤルファイターが選んだのはお前のようだな」

 

「誰だ?」

 

「俺は石動。

訳あって、お前を捜していた男だ。

とりあえずは雨の中ではなんだ、ついて来い」

 

そう言い、石動に連れられ、向かった場所は現在はnacitaとして開店する前の空き家だった。

 

「とりあえず身体を拭け。

何か暖かいのでも用意するから」

 

家に入ると、手慣れた動きでタオルを取り出し、俺に投げてきた。

 

すぐに受け止め、ずぶ濡れになっている身体を拭きながら、俺は家の中を見ていた。

 

記憶はなく、何も知らないはずの場所の光景をなぜか懐かしく思いながら、ゆっくりと近くの椅子に座った。

 

今になって、俺はその時には記憶が無くても、心の怪盗団の皆と共に過ごしたルブランだと間違えてしまう程に心細かったと思う。

 

「悪いがコーヒーしかないかいけるか?」

 

「まぁ、なんとか」

 

そう言い受け取ったコーヒーを飲みながら、俺は石動を見つめる。

 

「なぁ、さっきは俺を捜しているようだけど一体俺に何の用なんだ?」

 

「そうだな、まずは実物を見てから聞いてくれ」

 

そう言い、取り出したのは今の俺が愛用しているダイヤルファイター、レッドダイヤルファイターだった。

 

「これは?」

 

「ダイヤルファイター。

転生者と呼ばれる奴らから特典を奪う事ができるとんでもない代物だ」

 

「転生者?」

 

いきなり訳の分からない単語を聞き、困惑する俺に対して石動は笑みを浮かべる。

 

「まぁ、今は難しくて頭に入らないと思うけど、簡単に言うと一度死んで、人を超えた力を手に入れて蘇った奴らの事だ。

そして、そいつの持つ力、つまりは特典を、このダイヤルファイターで奪う事ができるんだ」

 

現実離れしている内容についていけず、俺は頭が混乱していた。

 

「そんな力を、俺に渡してどうするつもりなんだ?」

 

「単刀直入に言う。

雨宮連、お前にはルパンレンジャーとなって転生者から特典を奪ってほしい」

 

「なっ!?」

 

いきなりの事で俺は石動に詰め寄る。

 

「なんで、俺なんだ!?

俺は、今は、そんな場合じゃないんだ」

 

「分かっている。

記憶を、無くしているんだろ」

 

その言葉を聞き、すぐに警戒するように後ろに下がった。

 

「なんで、その事を」

 

「そうだな、昔、似た奴と会った気がした。

それだけだ」

 

「それだけって」

 

「案外、馬鹿にならないもんだからな。

それに雨宮連、お前の事もある程度は知っている。

その上での取引だ」

 

「取引?」

 

「あぁ、お前がルパンレンジャーとして活動していれば、お前に失われていた記憶を取り戻す事ができる」

 

「取引と言いながら、俺にはそれ以外の選択肢がないようだな」

 

「まぁな。

記憶喪失の男が暮らすには、世界はあまりにも冷たい。

それに、普通の方法ではお前の記憶は戻らない」

 

今、考えれば、石動は俺がルパンレンジャーに入る事は最初から確信を持っていた。

 

そう思える程にあの笑みは確信したように見つめていた。

 

「・・・俺は」

 

「決意は固まらないようだな。

ならば、ついてこい」

 

その言葉と共に石動は手に持った銃を地面に向けると、そこから溢れ出す煙と共にどこかへと移動した。

 

「なっ、何がっ!?」

 

「俺も色々な修羅場を抜けてきたからな。

それよりも、見てみろ」

 

そう言って、見えたのは真っ黒で、機械的な奴がそこには立っていた。

 

「あいつは」

 

「ネビュラヘルブロス、とあるガスを特典にした転生者が暴走した姿だ。

このままあいつを放っておけば、街の奴らは殺される」

 

「なっ、そんな」

 

自分の記憶すら曖昧な状況で、突然言われた人の死。

 

その事に対して、俺は

 

「何が言いたいんだ」

 

「お前がルパンレンジャーになる事を断った後の事だ。

この場は俺がどうにかしよう、だけど、その後は保証できない。

お前がこれから記憶を取り戻そうとする時に幾らでも似たような理不尽が訪れる。

その時に優しさがあっても誰も救えない。

だからこその力だ」

 

そう言い石動は俺に向けてレッドダイヤルファイターを差し向ける。

 

「選べ、ルパンレンジャーになるのか、それともならないのか」

 

「まったく、ほとんど脅迫じゃないか、だけど」

 

そう言った時の俺の顔はどうだったか分からない。

 

怒りに震えていたのかもしれない。

 

正直、今になって分からないけど

 

「俺は助ける為に戦う。

そうじゃなきゃ、俺が俺じゃなくなる気がする」

 

そう言って、俺はレッドダイヤルファイターを受け取った。

 

「ふっ、ならこれもだ」

 

そう言い石動が渡したのはVSチェンジャーだった。

 

「これは?」

 

「VSチェンジャーだ。

そいつにレッドダイヤルファイターを装填し、ダイヤルを回せ。

その時がお前がルパンレンジャーになる時だ」

 

「あぁ」

 

そう言い、俺はネビュラヘルブロスの前に立つ。

 

「すぅ、ふぅ」

 

ゆっくりと息を吸い込み、その手に持ったVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

鳴り響く音と共に、レッドダイヤルファイターを回し、その持ち手を変え、ネビュラヘルブロスに向ける。

 

「怪盗チェンジ」

 

その一言と共に引き金を引く。

 

【ルパンレンジャー!】

 

同時に俺の身体は、ルパンレッドへと姿を変わる。

 

「ぎぃ!」

 

ルパンレッドへと姿が変わった事により、気が付いたネビュラヘルブロスは振り向くと同時にその爪で襲い掛かろうとする。

 

だが、その時の俺は目の前に迫るネビュラヘルブロスの脅威よりも、聞こえてくる声の方へと耳を傾けていた。

 

『記憶を失い、何もわからないままに選択肢は本当に合っているのか?

お前の選択は、本当に合っていたのか?』

 

「分からないさ。

もしかしたら間違っていたかもしれない。

だけど、俺は、今、後悔しない道を選びたいだけだ」

 

『目の前にある事しか見ないか。

だが、しかし、立ち止まるよりは良いだろう!!』

 

その声が聞こえると共に吹きあがる炎は迫りくるネビュラヘルブロスを吹き飛ばす。

 

「まさか、もう目覚めたのか!?」

 

俺の覚醒に驚いたように、石動は目を見開きながら見つめると、その先にいたのはアルセーヌだった。

 

『我は汝、汝は我。

己の信じた正義の為、あまねく冒涜を省みぬ者よ!

その怒り、再び我が名と共に解き放て!

例え地獄でつながれても、全てを見定める、強き意思の力を!』

 

その瞬間、手慣れたようにVSチェンジャーを回しながら、その狙いはネビュラヘルブロスへと構える。

 

「奪い取れ、アルセーヌ!」

 

その言葉と共に、引き金を引く。

 

同時に飛び出た弾丸は黒い闇に染まっており、弾丸はそのままネビュラヘルブロスを貫く。

 

「お宝は頂いた」

 

その一言と共に、その手にはネビュラヘルブロスから盗み取ったと思われる宝が手に収まっていた。

 

見てみると、ネビュラヘルブロスへと変わっていた人がそこに寝ており、気絶しているようだった。

 

「ブラボーだな。

まさか初陣でペルソナも目覚めるとはな」

 

「知っていたのか?」

 

「それも目的の一つだからね。

だが、覚醒はまだまだだと思っていたが、思わぬ誤算だったがな。

これで、これからの目的も進められる」

 

「目的?」

 

石動はそう言うと、怪しく笑みを浮かべる。

 

「仲間を集める。

それもとびっきりやばい奴らだ」

 

「やばい?」

 

首を傾げながら、問いただすと

 

「あぁ、なんだって相手はこの世で最強の吸血鬼、キスショット・アセロリアン・ハートアンダーブレードだからな」

 

「名前、長いな」

 

その名前を聞くと俺は思わず呟いてしまう。

 

________________________________________

 

「キスショット?

誰ですか?」

 

「あぁそれは「おらぁ!」がぁ!」

 

「雨宮さん!!」

 

雨宮がその名前の人物を喋ろうとした瞬間、遠くから投げられた何かが雨宮に激突する。

 

見れば、それは丸められたティッシュだった。

 

「まったく、人のプライバシーにかかわる話じゃろ」

 

「えぇ忍ちゃん?

もしかして、キスショットは「それ以上は言うな」あっはい」

 

気になった響はすぐに忍に話を聞こうとするが、その余りにもの重圧にそれ以上は話さなかった。

 

「それよりも、新しく引っ越す場所は聞いておるのか?」

 

「引っ越し?」

 

「あぁあの都市は壊滅的なダメージを受けた為に別の場所へと行く事になった。

儂らの店もお前らの学校もそこに変わるぞ」

 

「新しい街かぁ?

一体どこなの?」

 

「確かな」

 

そう言いながら、忍は取り出したメモ帳に書いている文字をゆっくりと見る。

 

「海鳴市じゃな」

 

 

 

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