「ノイズ」
その警報が鳴り響くのを聞いた雨宮はすぐに周りを見渡す。
この世界にとって、何時起きるのか分からない、人を灰に変える災害ノイズは、雨宮達の活動中に遭遇する事はそれ程珍しくなかった。
警報と共に雨宮はその場を走り出すと、それ程遠くない所から迫っていた灰が既にノイズが出現する事を物語っており、間に合わなかった事に顔を歪ませる。
「だが、まだ」
その言葉と共に、背後から迫っていた何かを感じると、その場を離れ、手に持ったVSチェンジャーの引き金を引く。
VSチェンジャーから放たれた弾丸は、雨宮を襲おうとしていたノイズを次々と打ち抜く。
同時に宙を飛んだ事により見えたのは、女の子を連れて、逃げている響の姿だった。
「巻き込まれたのか!?」
前回の転生者の事件に引き続き、運悪く巻き込まれた響を助ける為に雨宮もその場を走り出す。
【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】
「怪盗チェンジ」
【ルパンレンジャー!】
その音声と共に、雨宮はすぐにルパンレッドへと変身すると共に迫りくるノイズを倒しながら、響達を追う。
「川に流されたか。
追いかける方からしたら、難しいが」
それでも雨宮は、響を追う為に走る。
「追いついた!!」
そうして、辿り着いた工場において、登って逃げている響を見つけ出すと腰に装着しているワイヤーで一気に近づく。
「なっ!!」
そんな雨宮の目指している先で突然のオレンジの光で一瞬だけ見え、そこにはこれまで見た事のない恰好をした響がいた。
「えっふえぇ、私どうなちゃっているの!?」
何が起きているのか、響自身も理解していない様子だった。
だが、響はまるで直感なのか、その場を飛び上がった。
「なっ」
あまりの行動に驚く事しかなかったルパンレッドだったが、響はそのまま無傷で着地した。
そのままノイズは次々と響に向かって襲い掛かるが、まるで身体が勝手に動くように走っていた。
「たく」
危ない所が目立ちながらも、響の必死な表情を見て
「きゃっ!!」
そうしている内にノイズの一体が響に襲い掛かろうとした時、ルパンレッドはVSチェンジャーの引き金を引く。
「えっ?」
そうしている間にルパンレッドは響の近くに降り立つと、VSチェンジャーを回しながら、周りにいるノイズを打ち抜いていく。
「また無茶をしたな。
だが、まぁ、今度はよくやった」
「ルパンレッドさん!」
これまで、ノイズばかりしか会っていなかった響と少女にとっては心強い味方であるルパンレッドを見つめる。
そうしていると、ルパンレッド達に迫りくる別の音が聞こえた。
「これは、バイク?」
迫りくる音の正体に気付いたルパンレッドは見つめると、その先にはノイズを蹴散らしながら、こちらに迫りくる誰かの姿が見えた、
「あれって、翼さん!」
「それって、歌手のか、だがなぜ」
そう疑問に思っている間に、翼はそのまま迫りくるノイズを切り裂いた。
その姿は、今、響が身に纏っている何かとよく似ていた。
「えっ、これって、一体何が?」
「さぁな、俺もさっぱり分からないけど、現状はまぁ味方だと考えて良いかな?」
周りを見渡す限り、ノイズという敵に対しては味方だと考えている。
「まさか、ルパンレンジャーの一人がここに」
「まぁ、今、この場においては敵じゃない事だけは覚えてほしいな」
「この場ではね」
その言葉に納得するように翼は睨みつけているが、ルパンレッドはVSチェンジャーを翼の背後から迫っていたノイズを打ち抜く。
同時に翼はルパンレッドの後ろに迫っていたノイズを短剣で貫く。
「にゃふぅ、なかなかに良いターゲットじゃないか」
そう、ノイズを倒した瞬間、まるで狙いを済ませたように強烈な風が襲い掛かる。
「えっ?」
突然聞こえてきた声と風に対して反応して、周りを見渡しても人影は見当たらなかった。
響は自身の自分の腕の中に守る女の子を庇うとしたが、ふと、その感触が無いことに気づく。
「なっ!?」
「一瞬で」
嫌な予感がした。
当たって欲しくない予感はまるで的中するように、少し離れた場所に女の子は奇妙な怪物と一緒にいた。
そこにいたのは黒い獅子を思わせる風貌をした怪物がおり、そこには尻餅をしている女の子がいた。
「そんなっ」
「さぁて、お前の実力を見させてもらうぜ」
そう言い、怪物が取り出したのは転生者達が装着しているマスクだった。
「あれは、まさかっ!!」
「さぁショータイムだ!!」
その一言と共に、怪物は少女にマスクを無理矢理装着させる。
「きゃああ!!!」
「っ!!」
少女の悲鳴が、その場で黒い煙が包み込むのと同時に、その姿を変えた。
その場に現れたのは、風を身に纏ったような虎の怪物が現れ、少女の面影はどこにもなかった。
「にゃはぁ、成功成功」
「お前、一体」
「暴走だよ、ルパンレンジャー。
人間が誰しも眠る力を無理矢理引き出しているんだよ」
「まさか」
その力の正体は特典ではないかと考えている内に、少女だった怪物は周りにあるノイズを吹き飛ばしながら、ルパンレッド達へと迫っていた。
「それじゃあ、実験の結果は見れたし、我が輩はディエゴ。
これから会う度に怪物と言われちゃ面倒だからな、まぁ、会えたらの話だけどな」
「待ちやがれ!!」
「待たないよ、ベガ!!」
ディエゴと名乗った怪物を追うとルパンレッドは手を伸ばすが、ディエゴは叫ぶと同時に背後から現れた軍服を着た怪物が現れると同時にディエゴを風で包み込み、姿を消した。
「あれは、ペルソナ!?」
自身と同じ力を使ったディエゴに対して、驚きを隠せないルパンレッドだが、それを考えるよりも先に怪物が響を襲いかかる。
「ちっ!!」
呆然としている響を助ける為に、ルパンレッドはすぐにワイヤーで響を助け出すと、次に襲いかかる怪物に対して、翼がその場で剣を受け止める。
「何をやっているんだ!!
死にたいのか!!」
「ルパンレッドさん、私聞こえたんです」
「聞こえたって、何を「助けを呼ぶ声が」はぁ?」
そう言い、響は真っ直ぐと怪物を見つめる。
「あの子、苦しんでいるんです。
無理矢理、あんな姿になって、だから助けないと」
「今のお前じゃ、無理だ。
前にも言ったはずだ」
「確かに私には力はありません。
だけど、目の前で助けを求めている手を掴めなかったら、私、絶対に後悔します」
「それは」
「確かにルパンレッドさんの言う通り、未だに力は足りません。
それでも、私は、助けたいんです!!」
その言葉を聞き、雨宮は仮面の下で驚きの表情をすると共に、笑みを浮かべた。
「そうか、だったら、助けないとな」
「はい」
そう言い、ルパンレッドはゆっくりと見つめる。
同時に、ドクンッと心臓が動く音が聞こえる。
「これは、なんだろう」
それは響も感じたのか、自然と口を開いていく。
同時にルパンレッドの目の前に現れたのは、これまで雨宮がペルソナを召還する時に使った仮面とは違うカードだった。
だが、それでも、自然と手は伸びた。
「ペルソナ!!」
その一言と共にルパンレッドは手の中に収まったカードを握りつぶした。
同時に2人の後ろから強烈な風が吹き、翼は戦闘中にそちらを見つめた。
「なっ!!」
翼が目にしたのは、2人の後ろから現れた巨人だった。
黒い長い学ランと白い鉢巻きをした存在がその場に立っていた。
「何が起きているんだ」
その疑問に感じる前に怪物が叫び声と共に、翼を放って、ルパンレッド達に襲いかかる。
「Now I face out I hold out」
そうしていると、響は目を閉じながら、ゆっくりと歌を歌い始めた。
同時にルパンレッドは手に持ったVSチェンジャーを怪物に狙いを定めた。
「イザナギ!」
ルパンレッドの言葉と同時に、背後に立っていたペルソナ、イザナギは手に持った長得物を構え、迫りくる怪物の爪を受け止める。
「I reach out to the truth of my life Seeking to seize on the whole moment yeah」
響の歌に合わせるように、イザナギは怪物を上に持ち上げ、蹴り上げる。
「なんだ、これは!!」
イザナギから感じる力に驚きを隠せない雨宮だが、その力は止まる事なく、溢れ出す程に高まっていく。
「Look man you are one who actually you detest」
同時に雨宮はふと、隣を見ると、歌を歌い続ける響からまるで力を感じるように、彼女の近くにいる程、その力は強くなっていた。
(まさか、このペルソナ。
立花さんの歌と共に強くなっているのか!!)
「Save me now, last beat in the soul 」
その事に驚きを隠せない中で、イザナギは怪物との激戦を繰り広げていく中で、イザナギは構える。
「イザナギ!!」
同時に雨宮はイザナギと合わせるように構えると同時にイザナギから真っすぐな稲妻が怪物を貫き、マスクを砕けた。
「がぁあぁ」
同時に怪物を形成していた黒い塊は崩れ落ち、その中にいた少女は横たわっていた。
「っ!!!」
響はすぐに少女の無事を確認するように抱き上げると、息をしているのに気づき、安心したように息を吐く。
「良かった」
少女の無事を確認すると共に響は涙が溢れそうになり、同時に少女の隣から別の存在が出てきた。
「まさか、まだ倒せていないのか!!」
「っ!!」
そこに現れた虎に警戒するように二人は構える中でルパンレッドはゆっくりと近づく。
「おいらを解放してくれたのはお前達か?」
「俺も少しはな」
「それだったら良かったじゃん。
正直、その子に対しては悪い事をしてしまって申し訳なかったじゃん。
暴走してしまったとはいえ、傷つけてしまって」
そう言い虎は眠っている少女に目を向ける。
「すまなかった、おいらのせいで。
そして、君もおいらを止めてくれて、ありがとうじゃん」
「えっいえ、別にそんな事は!?」
虎が喋っている事に驚きを隠せない中で虎はゆっくりとルパンレッドに向き合う。
「さて、おいらを助けてくれたお礼じゃん。
おいらの力、あんたに預けるじゃん」
そう言い、虎はゆっくりと光に包まれると、その姿を仮面に変え、ルパンレッドへと吸い込まれる。
「おいらはフェンガロン。
風を司り、音楽を愛する虎さ、よろしくな」
「あぁ」
フェンガロンが自身の中へと吸い込まれるのを確認すると、ルパンレッドは立ち去ろうとする。
「すまないが、あなたには同行をお願いしたいが」
「えっ翼さん!!」
そう翼は刀をルパンレッドに構える。
「悪いけど、俺にも用事があるから、ここで失礼するよ」
その言葉と共に忍ばせていた煙玉を地面に叩きつける。
「くっ!!」
視界を奪われた翼はすぐに刀を使い、すぐに対応するが、その場には既にルパンレッドの姿はなかった。
「奴はどこに、なに!!」
翼は周りを見渡してると、何かを聞こえるように上を見ると、そこにはダイヤルファイターに乗り、その場を去るルパンレッドがいた。
「それじゃあ、アドゥ」
その言葉と共にルパンレッドは夜の闇の中へと消えていった。
イザナギ
立花響との絆によって誕生した雨宮連のペルソナ。
日本神話において国生みの神と言われる男神、伊弉諾命として有名だが、このペルソナの最大の特徴は、絆を結んだ立花響の歌と共に強くなる事である。
結ばれたばかりでも、圧倒的な力を持つイザナギは立花響との絆次第で今後さらに強力になる可能性がある。
という事で響とのコミュで誕生したのはイザナギであり、今回響が歌ったのはペルソナ4の戦闘曲でもある「Reach Out To The Truth」です。
個人的にもお気に入りであり、イメージカラーが同じというのもあり、登場させました。
活動報告にて、まだまだペルソナの募集をしております。
その際に今回のようにキャラクターと結んだ事で得たペルソナもありですので、皆様の応募お待ちしています。