特典を盗む怪盗 R   作:ボルメテウスさん

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La mémoire est avec la conduite du chat.~記憶は猫の導きと共に~

街中で、一人、少女は歩いていた。

 

周りの景色を眺めながら、不機嫌な気持ちを隠さないばかりに町の様子を見ていた。

 

「・・・・あたしは一体なにやってんだ」

 

そんな町の景色と自分を重ねるように少女は吐き出した言葉と共に周りにいる人々を眺め

 

「くっそっ!!

ここは落ち着かねぇ!!」

 

その言葉と共に少女は走り出そうとした時だった。

 

「うわぁと」「わぁ!?」

 

少女は何かにぶつかったのに気づき、目の前を見てみると、そこには男が一人、買い物袋を抱えていた。

 

「っ!!」

 

「あっ」

 

一瞬、謝ろうと思ったが少女だが、今は自身の気持ちが収まらない状況なのか、男を一瞬睨んだ後、すぐに走り出した。

 

「んっ?」

 

少女が走った後を見ていた男はふと、何かが落ちているのを確認すると、そこには携帯が落ちており、とても少女が持つ物とは思えない物だった。

 

「仕方ないな」

 

息を吐きながら、男はもう片方の手で拾った携帯を片手に歩き出す。

 

しばらくして、まるで道のりを知っているように男は少女の元へとたどり着く。

 

「お嬢さん」

 

「あぁ、てめぇはさっきの。

なんだよ、文句を言いに来たのかよ」

 

少女は不機嫌な様子を隠せないように、男を睨みつけるが、男が少女に見せてきた物を見ると、目を大きく開いた。

 

「落ちていた」

 

「っ!!

てめぇ、何が目的だ」

 

少女にとって、それは重要な物であり、それをわざわざ返しに来た男に対して、警戒を高めながら睨むが

 

「いや、落として困ってそうだったから、来ただけだが」

 

「それだけなのか」

 

「それだけ、はい」

 

男はそのまま笑みを浮かべながら、少女に返す。

 

その様子についていけず、ぽかんとしている少女だが、同時に彼女のお腹から可愛らしい音が鳴る。

 

「~~~!!!!」

 

その事に気付いた少女は顔を真っ赤にさせてしまうが、少年はふと何かを思い出したように取り出した。

 

「良かったら食べるか。

本当はおみあげ用に買っていたけど、お腹空いているんだったら」

 

そう言い、男が取り出したのはドーナツだった。

 

「だっ誰が」

 

そう、反論しようとしたが、腹の虫は収まる所が、むしろ鳴り続けていた。

 

その事で、既に恥ずかしくなったのか、少女は自分に差し出されているドーナツを奪い取るように口の中へと入れていく。

 

「・・・美味しい」

 

「それは良かった」

 

ドーナツを食べ始めた少女は顔を赤くさせながら、ゆっくりと食べていた。

 

数分とかからないうちにドーナツを食べ終わった少女は、未だに恥ずかしい様子で顔を横に向けていた。

 

「その、ありがとうな。

それに悪かった、ぶつかってしまって」

 

「気にしないで良いよ。

俺が勝手にやった事だから」

 

そう言い、男はふと何かに気付いてように見つめていた。

 

「どうしたんだ」

 

「いや、来た事のない場所だけど、案外、ここから見る夕日は綺麗だなと思って」

 

「夕日って、そんな訳」

 

そう少女は言い返そうと思ったが、見るとそこには既に日が沈み、町は夕日の光に包まれている光景が広がっていた。

 

その光景は確かに綺麗な光景なはずなのに、少女は、それを見てもどこか別の世界のような気がしていた。

 

「・・・あぁ、そうだな」

 

そう言って、隣にいた男にゆっくりと視線を向けた。

 

「なぁ、あんたの、その名前は」

 

「俺か、俺は雨宮連。

この町で喫茶店ジュレを経営している。

今は夜の仕込み用の材料の買い出し中だけど、たまにまこういうのも良いかもな」

 

「そうか。

その」

 

そんな雨宮に対して、少女に告げようとした時だった。

 

少女の持っている携帯から音が鳴り、急いで電話に出る」

 

「あなた、今どこにいるのかしら?」

 

電話から聞こえる声は少女にとっては聞き覚えのある声だったが、タイミングが悪すぎると思いながら

 

「あんたが町中を歩けって言うから「現在の位置を聞いているの、答えなさい」はぁ?

町のはずれだけど」

 

少女は既に電話を早く切りたくてしょうがないのか、いらつきながら答えると

 

「街はずれね、まぁいいわ。

その場にノイズを出すから戦いなさい、イチイバルで」

 

「はぁ、何を言っているんだ!!」

 

少女はすぐに電話の相手が行おうとしている事に驚きながら、雨宮を見つめる。

 

「実験の一つよ。

心配しなくても特異災害対策機動部には気付かれる事はないわ」

 

「そういう事じゃない、今はっ」

 

「あなたの目的のために必要な事よ、可愛いクリス」

 

「待っ」

 

クリスは、電話の相手に待つように声を出そうとするが、時は既に遅く、二人を囲むようにノイズが現れた。

 

「ノイズっ!!」

 

ノイズの出現と共にクリスは眼を見開くが、雨宮は手に持った荷物を捨てると、クリスの手を掴む。

 

「おいっ!!」

 

「逃げるぞ」

 

そう言った雨宮の行動に驚きを隠せないクリスだった。

 

(違う、あたしはあんたに心配されるような資格なんてない!!)

 

そう言いながら、突き放そうとしたが、雨宮の手は強く、強引に離す事ができるはずなのに、クリスには離す事ができなかった。

 

迫りくるノイズは普通ならば簡単に追いついて、殺すはずだった雨宮だったが、近くにある森の木を使い、上手く隠れながら、ノイズからクリスを守っていた。

 

会って、数分しか経っていないはずの男のはずだった。

 

だが、その笑みや見せてくれた光景が、なぜか両親との思い出が重なるように温かく感じたクリスは、涙を溜めていた。

 

(離したくないと思っているのか!

たったの数分だぞ、すぐに捨てられる、捨てられる!!)

 

そう、何度も自分で言い聞かせるが、握る手はむしろ強くなっていった。

 

そうしている間にクリスは足を滑らせてしまい、雨宮はそれを受け止めた。

 

「大丈夫か」

 

「っ!!」

 

こちらを心配するように声をかける雨宮の目を見ていると、ふと、自身に迫りくる脅威を思い出し、振り返ると既にノイズが迫っていた。

 

万事休すかと思えたその時だった。

 

ノイズを打ち抜くように青い光と黄色の光が貫く。

 

「無事のようだったな」

 

「ちっ」

 

「あいつらは、ルパンレンジャー」

 

その場に現れた青色の怪盗と黄色の怪盗を見て、クリスはその姿を驚く。

 

先程まで指示をしていた存在から、要注意するべき存在だと聞かされていたが、目の前で現れるとは思わなかった。

 

すぐにでも捕らえる為に動こうと思ったが

 

「ここは彼らがなんとかしてくれるから、逃げるぞ」

 

「えっあぁ」

 

雨宮からの声に一瞬呆けてしまい、走り出してしまう。

 

自分の目的の為の命令も、邪魔する奴らの始末もできるチャンスだったはずが、クリスは気付くと雨宮と一緒に行動するのを選んでしまう。

 

「ここまでくれば大丈夫か」

 

「あっあぁ」

 

どう答えたら良いのか分からない内に少女の懐から電話が鳴る。

 

ゆっくりと、電話に出ると

 

「何をしているのかしら?」

 

「逃げている。

あんたのせいで」

 

「はぁ、どうやら、少しお仕置きが必要のようね。

それとも、隣の彼が邪魔だったかしら?」

 

「っ!!」

 

その声の主が何をしようとしているのか、すぐに気づいたクリスはすぐに雨宮を突き飛ばした。

 

「っ!?」

 

一瞬の事で、驚く事しかできなかったが、雨宮は近くの木にぶつかり一瞬で気を失い、先程まで雨宮がいた場所にはノイズがいた。

 

「あたしのせいだ。

あたしが、求めたせいで」

 

自分の甘さに涙を流しながら、まるで覚悟を決めたように、胸元にあるブレスレットを取り出す。

 

「Killter Ichaival tron」

 

その歌声と共に形成されたガトリングガンを使い、雨宮を狙うノイズを次々と撃ち抜いていく。

 

「・・・結局、あんたに名前を告げる事はできなかったな」

 

そう言い、クリスはその場から離れていった。

 

「油断したっ!!」

 

すぐにクリスを探す為に周りを見渡すが、そこにはクリスの姿はなかった。

 

「やばいっ!!」

 

周りには灰があった。

 

「っ!!」

 

一瞬、クリスがノイズに襲われたのかと思ったが、雨宮は瞬時に自身の能力であるサードアイを使う。

 

記憶を無くし、ペルソナ能力とは別に備わっている能力であるサードアイは周りの状況を知る事ができ、ルパンレンジャーとしての活動時には重宝している。

 

そして、ノイズによって作られた灰が人なのか、それとも物なのか。

 

「これは人じゃない。

だったら」

 

その言葉と共に雨宮は懐から取り出したVSチェンジャーとレッドダイヤルファイターを装填する。

 

【RED!】 【0・1・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に、雨宮はルパンレッドへと変身すると共に、腰にあったワイヤーとサードアイを使い、ノイズが集中している場所へと向かう。

 

「遅れた」

 

「遅かったな、一緒にいた奴は」

 

「探している途中だ」

 

その言葉と共に合流したルパンブルーに背中を任せると共に、その手に持ったマジックハンドと剣が一体化した武器、ルパンソードを使い、迫りくる敵を倒していく。

 

「随分と仲良さそうじゃったな」

 

そう言いながら、手に持ったVSチェンジャーを使い、迫りくるノイズを打ち抜いていく。

 

「にゃははぁ、まさかこうして集まるとはなぁ!!」

 

「「「っ!!」」」

 

突然聞こえた声と共に、その場を散開したルパンレンジャー達の前に現れたのは、ディエゴだった。

 

「お前は」

 

「吾輩としても、これから邪魔になるという事で始末はしたいと思っていたし、ここはそれに丁度良いからな、ベガ!!」

 

その言葉と共に、ディエゴの背後からペルソナであるベガが現れ、周りにある木々から葉で視界を隠した。

 

「これじゃあ、何も見えないっ!」

 

周りの木々を使い、反動を使い、攻撃を仕掛けていく。

 

「たくっ、厄介な奴が来たな」

 

そう言いながら、下手に銃での攻撃を行う事ができず、ルパンソードを使い、防御を行っていく。

 

「ちっ、正直、これじゃあ威力にかけるが仕方ない。

二人共」

 

「あぁ」

 

「了解した」

 

その言葉と共に、ルパンブルーはその手に持ったルパンソードを構えると同時に、ルパンレッドとルパンイエローはルパンブルーを守るように立つ。

 

「にゃぁ、なんだ、ついに可笑しくなっ!?」

 

突然の行動に笑っていたディエゴだったが、ルパンブルーの持つルパンソードの刀身に黒いエネルギーに全身の毛が逆立っていた。

 

「てめぇら、何を「遅い!!」にゃぁ!!」

 

ルパンブルーの言葉を合図に、二人はその場を離れると同時に、ルパンブルーはルパンソードを叩きつける。

 

同時に周りを囲んでいた嵐を吹き飛ばした。

 

「ちぃ、ならば「アルセーヌ!」ちぃベガ!!」

 

嵐が過ぎ去った事により、ルパンレッドはすぐに呼び出したアルセーヌを使い、ベガと激突する。

 

だが、それと同時だった。

 

『おい、お前戦えるんだろ!やるぞ!』

 

そこに映っていたのは、猫のように見える奇妙な生き物だった。

 

「これは」

 

周りの光景は霧で包まれており、雨宮自身だと思われる存在とその奇妙な生き物しか見えない。

 

『来い!』

 

その声と共にその奇妙な生き物の背後に現れたのは、ペルソナだと思われる存在だった。

 

『速やかに黙らせてやる』

 

その声と共に終わりを迎えると

 

「おい、レッド」

 

「っ!!」

 

後ろにいたルパンイエローに声をかけられ、気付いたルパンレッドはすぐに前を向いた。

 

「ぐぅ、なんだ、これ?

吾輩はディエゴ、そのはずだ」

 

ディエゴはその手を頭で抑えていた。

 

「ブルー、イエロー。

一気に決める。

あの仮面を剥ぎ取る」

 

「仮面を?」

 

「なんだか、分からない。

だけど、俺はあいつを知っている気がするんだ」

 

「まぁ、元々は貴様の目的だからな、良いじゃろ!!」

 

その言葉と共に走り出すと、ディエゴの背後から現れたベガはそのままルパンレンジャーに向けて再び襲い掛かる。

 

それに対して、ルパンレッドはVSチェンジャーを、ルパンブルーはルパンソードを、ルパンイエローはマジックハンド側のルパンソードを構える。

 

「一気に決める」

 

その言葉と共にルパンイエローは一瞬で振り上げたマジックハンドから出てきた巨大な腕でディエゴとベガを拘束する。

 

同時にルパンブルーは再び作り出した巨大な剣を前を振り下ろすと、ディエゴから抜けるように黒い塊が宙に舞う。

 

「その歪んだ欲望、頂戴する!」

 

そして、最後にルパンレッドはVSチェンジャーの引き金を引くのと同時に赤と青と黄が混ざり合った弾丸が塊を打ち抜く。

 

同時に空に派手な花火が舞い上がる。

 

「さて、特典は回収したが、こいつがディエゴなのか?」

 

そう言い、地面を見てみると、そこにはディエゴだと思われる黒い猫が寝ていた。

 

「猫か?

転生者じゃないのか」

 

そう疑問に思いながら、ルパンレッドはゆっくりと手を伸ばす。

 

「んっ、あれ、お前、連なのか」

 

「モルナガ」

 

目を覚ましたモルナガの言葉を聞き、同時に連の中の記憶が蘇った。

 

「猫が、喋った!」

 

「猫じゃねぇし!!

というか、なんだここは!?

ていうか、お前、なんだその恰好は!?」

 

「色々とあった」

 

「色々とありすぎるだろ!?」

 

連の言葉に思わず突っ込んでしまうモルナガだが、ふと疑問に思うように首を傾げた。

 

「あれ、待てよ?

なんで、吾輩はこんな所に?

それに、お前と吾輩以外のメンバーの記憶がまるでないんだが?」

 

「詳しい話はあとで。

それよりも、俺は探さないといけない子がいるんだ」

 

「ふぅん、なるほどな。

まぁお前の事だから心配するつもりはないけど。

だけど、なんでだ、吾輩、身体が全然動かない」

 

久しぶりとも言える会話を行ったモルナガは身体が動かないのか、そのまま寝転がっている。

 

「どういう状況か分からないがとりあえずはこいつは俺達が連れて帰る。

お前はさっきの奴を追いかけろ」

 

「あぁ、ありがとう、頼むわブルー」

 

ルパンブルーはそのままモルナガを抱きかかえると、共にルパンレッドは走り出す。

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに再び取り戻し契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”魔術師”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・

 

その声が聞こえると共にルパンレッドはサードアイを使い、隅々まで走り抜けながら目的のクリスを見つけると共に、変身を解除する。

 

「おい、無事か!!」

 

「っ!!」

 

後ろから雨宮の声に気付き、クリスは一瞬、驚いたように目を見開くが、すぐに走り出す。

 

「おい、どうしたんだ」

 

「来るな!!」

 

すぐに止めるようにクリスの手を繋ぐと、叫んだ。

 

「あたしは、あんたに迷惑をかけてしまった。

さっきのノイズは、全部あたしが呼んでしまったようなもんだ」

 

そう言いクリスは笑みを浮かべながら

 

「あたしの周りにいると、どうせあんたもノイズの灰になるんだ。

それが分かったんなら、さっさと手を離せ」

 

そう言い拒絶するようにクリスは言うが

 

「ノイズは君のせいだとは絶対思わない」

 

「とんだお人よしだな、でもな、これは全部「嘘だとは言わせない」っ!!」

 

「あの時、確かに君は怯えていた。

それは、演技でもなんでもない本心だった。

会って少ししか経ってないけど、君がそんな事をしない子だって分かっているから」

 

「なんだよ、それ」

 

そう言いクリスは涙を隠すように顔を隠す。

 

すると雨宮はポケットに入れていたジュレの名刺を渡す。

 

「もしも、困った事があるならば、ここに来てくれ。

俺が力になる」

 

「・・・・」

 

今のクリスに対して、これ以上の言葉は無意味かもしれない。

 

そう思った雨宮はクリスに名刺を渡すのと同時に、その場を立ち去ろうとする。

 

「雪音クリス」

 

「んっ?」

 

「それが、あたしの、名前だ」

 

「雪音さんか、良い名前だな」

 

その言葉を最後にクリスはその場を去っていった。

 

我は汝・・・ 汝は我・・・

汝、ここに新たな契りを得たり・・・

 

契りは即ち、捕らわれを破らんとする反逆の翼なり

 

我、”ケセド”のペルソナの生誕に祝福の風を得たり、自由へと至る、更なる力の祝福を与えん・・・

 

再び聞こえた声に耳を傾けながら、クリスが見えなくなるまで、見送っていった。

 

そして、ジュレに戻ると、なぜか土鍋の中に入れらているモルナガがいた。

 

「なんで、土鍋?」

 

「猫を入れるベットがないから」

 

「だから、吾輩は、あぁもう良い」

 

既に聞く耳を持たないソーマに対して呆れたモルナガはため息と共に雨宮を見つめる。

 

「それよりも、連。

記憶を無くしていたのは本当か?」

 

「あぁ。

ここに来る前の記憶は」

 

「吾輩もだ。

吾輩も、ディエゴとして活動していた時の僅かな記憶しかなかった」

 

「それよりも、お前はあれを配っていた張本人だろ。

何かわからないのか?」

 

「残念ながら。

あれがなんなのかなんて、もう記憶はない。

そもそもディエゴって一体」

 

「そうだよな、モルナガのペルソナは確かゾロだったはず」

 

「ゾロにディエゴ。

なるほどじゃな」

 

その名前を聞くと興味深そうに忍は笑みを浮かべた。

 

「なんだ、この餓鬼は」

 

「忍野忍。

今は俺と一緒に怪盗団をしていて、800年生きている吸血鬼だ」

 

「はぁ?!

吸血鬼だって!?

おいおい、なんなんだよ、お前の今のメンバーは」

 

「それよりも、何を納得しているんだ?」

 

「ふぅ、まぁ良いだろう。

そこの猫が言っているゾロとディエゴは同一人物として有名だ」

 

「「???」」

 

「そうか、そういう事か」

 

忍の言葉に納得するようにモルナガは言うが、雨宮とソーマは何を言っているのか、顔を見合わせて疑問に思う。

 

「怪傑ゾロと呼ばれる義賊がその昔におったんじゃ。

そこにいる猫のペルソナはそれを元にしたペルソナを持っていたんじゃが、ゾロの正体はディエゴと呼ばれる貴族だったんじゃよ」

 

「つまりはゾロの正体であるディエゴの名前を名乗っていたという事?」

 

「まるで正反対だな」

 

「だとしたら、吾輩は何者かによって記憶を奪われ、あんな悪業を」

 

その言葉と共にモルナガは悔しそうに歯を噛みしめる。

 

「モルナガ」

 

「・・・分かっている。

過去はどうしたって、消えない。

吾輩もこれからはこの罪と向き合うよ」

 

「じゃが、この調子だと、どうやら雨宮の鍵はどうやら転生者にあるようだな」

 

「それも、元仲間か」

 

その言葉を聞き、雨宮はゆっくりと息を吐く。

 

「奪われたんだったら、奪い返してやる。

俺の記憶も、仲間も全部な」

 


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