特典を盗む怪盗 R   作:ボルメテウスさん

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Les pirates se souviennent de l'amitié dans les flammes~海賊は炎の中で友情を思い出す~

(ちっ)

 

その日、クリスはある場所に座っていた。

 

雨宮達がモルガナを取り戻した夜と同じ頃に起きた翼との闘いにおいて、絶唱を正面から受けた事により、ネフシュタンの鎧は調整の為に手元にはなかった。

 

それを含め、ソロモンの杖を保管し、手元にあるのはイチイバルだけだった。

 

「ちくしょぉ」

 

任務に失敗をしてしまったクリスはそのまま悔しさと共に、手を握りしめていた時だった

 

「おっ今日は会えたか」

 

「その声は」

 

ふと聞こえた声に気付くと、そこに立っていたのは雨宮だった。

 

「ドーナツ、食べるか?」

 

「あっあぁ、悪いな」

 

そう言い、変わらぬ態度で渡されたドーナツに戸惑いを見せながら、受け取る。

 

「にしても、お前も変わった奴だな。

わざわざ、そのこんな所に来て」

 

「なかなかにお気に入りの所だからね。

それにモルナガにも見せたかったからな」

 

「モルナガ?」

 

「ほら」

 

そう言い、取り出したカバンから出てきたモルナガの姿を見て、驚いたように見つめる。

 

「おいおい、カバンの中に入れたら、駄目だろ」

 

「いやぁ、なんだかんだカバンの中が気に入っているようなんだよ」

 

『移動の為に入っているだけだ。

まぁ気に入っていないと言うのは嘘になるからな』

 

クリスにはモルナガはそのまま聞こえない声で呟きながら、クリスはモルナガを見つめる。

 

「触るか?」

 

「いっいや、別にあたしは、その」

 

そう言いながら、ちらちらとモルナガを見つめながら、ゆっくりとモルナガの頭を撫でる。

 

「なんか、良い感触だな」

 

「だろ」

 

『おいおい、あんま乱暴に触るなよ』

 

モルナガを撫でながら、クリスは雨宮と過ごす時間に、クリスは先程までの悔しい思いは消えつつあった。

 

「おい」

 

そんなゆっくりとした空気に聞こえてきた声に気付き、雨宮達はその方向を見ると

 

「こんな所でさぼっていたのか」

 

「おう忍」

 

「誰だ?」

 

その方向を見ると、白いワンピースを身に纏っている忍が立っていた。

 

「こいつは?」

 

「俺の家で一緒に住んでいる忍野忍だ。

忍、こっちは「雪音クリスじゃな」んっ知っているのか?」

 

「あぁ、よくな」

 

そう言いながら、クリスを睨みつける忍。

 

「お前の家、どうなっているんだ?」

 

「まぁ色々と訳アリでね」

 

「そうじゃな、お前では踏み入れない程の関係じゃがらな」

 

そう言って、忍は雨宮の腕を掴む。

 

「そうかよ」

 

そう言いながらも、クリスは反対側で手を握る。

 

「えっ?えっ?」

 

何が起きているのか分からない雨宮は左右で睨みあっている二人を見ながら、モルナガに視線を向ける。

 

『これはいわゆる修羅場だな。

吾輩が見る限りじゃと、忍はわざとで、雪音の方はなんとなくだな』

 

モルナガの意見を聞こえた雨宮だが、そんな事よりも助けてほしいと視線で訴えるが

 

「おい、離したらどうだ?」

 

「そっちこそ、離さないんじゃないか?」

 

そんな雨宮を他所に睨んでいる二人にどうするか考えていると

 

『んっ?

おい、連、このビリビリとした感じ。

間違いないディーチだ』

 

「っ!!」

 

モルナガの声を聞き、雨宮は立ち上がる。

 

「えっ?」

 

「んっ?」

 

呆けた声で見つめていたクリスとモルナガの声が聞こえた忍は手を離した。

 

「ごめん、モルナガが逃げたから、ちょっと追いかける」

 

「おい!?」

 

突然走り出した雨宮に驚き、クリスはそのまま立っていた。

 

「じゃあな」

 

そして、そんなクリスに向けて挑発するように笑みを浮かべた忍もまた雨宮の後ろについていく。

 

「ちっ、待てよ」

 

忍の態度と雨宮の事もあり、クリスもついていく。

 

その先には古い建物があり、その建物内に入った雨宮とモルナガはゆっくりと、パレスでの侵入方法を思い出すように歩いていく。

 

「ちっあぁくそぉ!!」

 

そうして、聞こえてきた声の方向を見てみると、苛立ちを隠せないディーチが近くにある物を鉄パイプで叩き潰していた。

 

「あの野郎!!

俺をよくも利用しやがって、馬鹿にしやがって!!

今度会ったら、絶対に叩きのめす!!」

 

「ほぅ、まさかこんな所に隠れていたとはな」

 

「ギャングラーがこっちの世界にいる時の基地の一つだと予想はできるんじゃな」

 

やがて合流した忍は、近くで会話を続ける。

 

「どうやら、こっちには気付いていないようだな」

 

「あぁ、ゆっくりと一気に」

 

そう言いながら、ディーチの仮面へと目を向けていると

 

「おい、なんか大きな音が聞こえたけど」

 

「あっ」

 

『しまった!』

 

こちらを心配して来たクリスに気付いた雨宮とモルナガ。

 

同時にこちらに気付いたディーチは3人の方を睨む。

 

「なんだぁ、てめぇらぁ!

見せもんじゃないぞ、おらぁ!!」

 

その叫び声と共にディーチはその手に持った鉄パイプを地面に叩きつけると共に強烈な雷が辺り一面に広がり、雨宮達を襲いかかる。

 

「うわぁ!?」

 

「なんだ、これはっ!?」

 

襲いかかってきた一撃から身を守る為にその場から離れ、近くの建物に入った雨宮達だが、雷は収まる事なく、建物の壁を軽々と砕け散った。

 

「あいつ、とんでもない化け物だ」

 

「あぁ、しかも、ああ言う単純な奴は暴れても気にしないタイプだ。

下手に街へと行くと、被害が広がるぞ」

 

忍はそのまま考察を語ると、雨宮は眼鏡をかけ直すと共に

 

「ここは俺が囮になる。

どうせこのままじゃ、全員が危険だ」

 

「はぁ何を言っているんだ!!

お前一人で何ができるんだよ!!」

 

「何にもできないかもしれない。

だけど、クリスと忍が助かる可能性がある」

 

その言葉と共に雨宮は飛び出す。

 

すぐに呼び止めようとするクリスだが、忍の引っ張る手によって、それは遮られてしまう。

 

「何をするんだ!!」

 

「それはこっちの台詞じゃ。

お前、どこに行くつもりだ?

まさか、何の策もなく、行くつもりか?」

 

「お前こそ、散々あいつと仲良いとか言って、自分の命が大事になったら、見捨てるのか!!」

 

そう、忍の掴んだ手を無理矢理離すと、雨宮の元へと走り出す。

 

「ちっ、だから、餓鬼の面倒を見るのは嫌いなんじゃよ」

 

そう言いながら、クリスが見えなくなった所で、忍は影の中から勢いよく飛び出したVSチェンジャーとイエローダイヤルファイターを取り出し、装填する。

 

【YELLOW!】【3・6・0!怪盗チェンジ!】

 

「怪盗チェンジじゃ」

 

【ルパンレンジャー!】

 

その音声と共に忍の身体に合わせた小さなルパンレンジャー、ルパンイエローへと変身すると同時に、目を瞑る。

 

同時に、近くの樹に触れると共に、樹の影を通した光景を見つめていく。

 

「ちっ、さすがに音しか聞こえないが、だいたい分かった」

 

言葉を言い終えると共にルパンイエローはその足に力を籠めて、走り出した。

 

「ちぃ」

その場では、イチイバルを身に纏ったクリスがボーダマンと戦っていた。

 

「てめぇら、邪魔だ!!」

 

その言葉と共に、手に持ったイチイバルをガトリングへと変え、周りにいるボーダマンを撃っていく。

 

「まだ、こんな所か」

 

「おめぇは」

 

そう言いながら、ルパンイエローに気づいたクリスは銃口をルパンイエローに向けるが

 

「私を狙っている場合か?」

 

「っ!!」

 

その言葉と共に、本来の目的を思い出したように振り返ろうとした時だった。

 

「おいおい、邪魔者を始末しようとしていたら、まだここにいるのかよ」

 

「お前」

 

クリスが見つめた先にいたのは、ディーチだった。

 

「てめぇ、雨宮をどうした?」

 

「あぁ知らねぇよ。

でも、まぁ、途中で憂さ晴らしに雷を鳴らしたから、どっかでくたばったかもな」

 

「てめぇ!!」

 

その一言に切れたクリスはその手に持ったイチイバルを変形させ、ディーチへ狙いを定め、放つ。

 

「なかなかに思い切った一撃じゃないかよ。

でもなぁ、その程度がどうなんだよ!!」

 

ディーチはイチイバルの攻撃を正面から受け止めるが、まるで何もダメージを受けてなかったように走り出し、その手に持った鉄パイプを投げる。

 

「ぐっ、ただの鉄パイプだろ、これっ!!」

 

鉄パイプを受け受け止めたボウガンは簡単に砕けてしまい、文句を言おうとしたが、ディーチは既にドレイクを呼び出していた。

 

「ぶっ飛べ、ドレイク!」

 

その一言と共に辺り一面に雷を放つ。

 

すぐにその場を避けるが、雷の光によって、クリスは目を閉じてしまう。

 

「はぁ!」

 

「がはぁっ!!」

 

目の前に迫っているディーチの攻撃に反応する事ができず、吹き飛ばされる。

 

「さぁ、まずはてめぇからだ!!」

 

そう言い、ディーチはドレイクに乗り込み、クリスに襲いかかる。

 

「っ!!」

 

避けきれない攻撃に目を見開き、覚悟をした時だった。

 

ルパンイエローがクリスを蹴り飛ばし、クリスの代わりにその攻撃を受け止める。

 

「お前っ!!」

 

「へっ、どうやら想像とは別の奴を捕らえたようだな」

 

すぐにルパンイエローを助ける為にクリスは近づく。

 

「なんで」

 

「あいつが助けるつもりだったからな。

お前を見捨てたら、あいつが悲しむからな」

 

「あいつって」

 

そう誰か知らない人の為に貫かれた身体を見て、クリスは困惑していた。

 

「纏めて丸焦げにしてやるよ、ドレイク!!」

 

その言葉と共に、上空へと飛び上がったディーチは、ドレイクに雷が集い始める。

 

余りにも現実味のない光景に、クリスは睨みながら

 

「どうにか、できないのか」

 

「どうにかしてやるよ」

 

その言葉が聞こえると共に、ディーチは突然襲いかかる闇に落とされる。

 

「ちっ、これは!!」

 

「間に合った」

 

その言葉と共に出てきたのはルパンレッドと、そのペルソナ、アルセーヌだった。

 

「間に合っていない。

あたしのせいで、雨宮も、こいつも」

 

「ぴぃぴぃ五月蠅いぞ」

 

「えっ?」

 

その言葉と共に見つめると、先程まで身体に穴が開いていたルパンイエローは起き上がった。

 

「なんで」

 

「私がこの程度で死ぬわけないだろうが。

たく、面倒な事をさせおって」

 

そう言いながら、首を回しながら、答える。

 

「お前の事を心配したんだぞ」

 

「それがうざいんだ。

さっさと片付けるぞ」

 

「どういう事なんだ」

 

困惑しているクリスを余所にディーチは

 

「ちっ、同じペルソナ使いであるルパンレッドだけでも厄介なのに、まさかルパンイエローは怪物だとはな」

 

「へっ、化け物みたいな連中と戦うんだ。

化け物ぐらいが、丁度良いんだよ」

 

そう言い、ディーチに向けて、銃口を構える。

 

「いけるか、小娘」

 

「小娘じゃねぇ、雪音クリスだ」

 

その言葉と共にディーチに向けて、銃口を構えると同時にルパンレッドの手元にはVSチェンジャーとは違う物があった。

 

「やるぞ、クリス」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、ルパンレッドは引き金を引く。

 

「コール」

 

その一言と共に、銃から出てきたのは魔法陣だった。

 

「なんだ、これはっ!!」

 

魔法陣に驚いたディーチに対して、襲いかかったのは、魔法陣から飛び出した紫色の犬の鋭い牙だった。

 

「ケロベロス」

 

突然の事で、驚きを隠せないディーチにダメージを与えた後、ケロベロスは3人の元へと来る。

 

「なんだ、これ」

 

驚きを隠せなかったクリスだったが、その口は自然と歌を歌い始めた。

 

「Ain't it's great how we met each other」

 

まったく知らない歌詞のはずだったが、その言葉は自然に現れ、歌い始めた。

 

嫌いだったはずの歌が、今ではまるで、歌わなければならないと思える程に気持ちは高ぶっていた。

 

「そんな、犬擬きでぇ!!」

 

その言葉と共にディーチは巨大な大砲を作り出し、ルパンレッドへと構える。

 

「今こそ、新たなペルソナの力を」

 

どこから聞こえてきたラヴェンツァの声と共に、ルパンレッドの手元には黒い銃があった。

 

「あぁ」

 

その一言と共に、構えると、ケロベロスは銃へと吸い込まれ、その形は変わる。

 

「ペルソナが、変わった」

 

驚きを隠せない忍を余所に、新たな武器をVSチェンジャーに重ねる。

 

 

「Welcome to this wild Maze of life!」

 

【怪盗ブースト】

 

「インフェルノ!」

 

その一言と共に引き金を引くと、ルパンレッドはその余りにも強すぎる威力に吹き飛ばされそうになる。

 

「「っ!!」」」

 

そのルパンレッドを支えたのは歌を歌い続けるクリスと、ルパンイエローだった。

 

2人の支えを受けたルパンレッドはまっすぐとディーチへと狙いを迫る。

 

「なっ!!」

 

ディーチの攻撃は瞬く間に飲み込まれ、そのまま業火と共にディーチを飲み込んだ。

 

「やったのか」

 

「あぁ、そのようだな」

 

その言葉と共に、ディーチはゆっくりと地面へと落ちていく。

 

そこには既にボロボロになっているディーチが苦しそうにしながら、こちらを睨む。

 

「ここで、負ける訳にはいかねぇ!

俺は、力をつけてやる!!

誰よりもなぁ!!」

 

そう言って、ディーチは走り出す。

 

「あいつ、まだ!!」

 

そう言って、クリスは構えるが、ルパンイエローはそれを止める。

 

「おい」

 

「見ていろ、あれがルパンレッドだ」

 

そこにはルパンレッドも走り出しており、背中からはアルセーヌが現れる。

 

ディーチとの距離が縮まると共に、ルパンレッドは拳を構え

 

「奪え、アルセーヌ!」

 

「ぶっ潰せ、ドレイク!」

 

その言葉と共に交差するようにルパンレッドとディーチ、アルセーヌとドレイクの拳が互いの顔へと吸い込まれる。

 

殴られた事により、ルパンレッドの仮面が僅かにヒビが入る。

 

だが、同時に、ディーチの仮面は徐々に割れ、その素顔が現れる。

 

「「っ!!」」

 

『俺達、怪盗団なら、助けられるんじゃないのか?』

 

『身勝手で、人の事を見下す糞な大人共を改心する事ができるんじゃねぇ?』

 

「っ!!」

 

互いに記憶を取り戻すと共に、ルパンレッドは倒れそうになっている手を掴む。

 

「目覚めたか、スカル」

 

「あぁ、悪いな、目覚めるのが遅れて、悪いな、ジョーカー」

 

「えっ、どういう事なんだ?」

 

その状況にまるでついて来られないクリスは驚いていると、周りに未だに残っていたボーダマンが銃を構えていた。

 

「こいつら」

 

「状況は分からないが、一気に片付けるぜ」

 

「あぁ」

 

その言葉と共に、スカルと背中合わせに構えるルパンレッド。

 

「おい、そいつは敵じゃないのか?」

 

「今は味方だ」

 

「そういう事だ。

迷惑かけた分、ここで払うぜ!!」

 

その言葉と共にスカルは構えると

 

「行くぜ、キャプテンキッド!!」

 

「奪え、アルセーヌ」

 

その声と共に、スカルの背中から現れたのはドレイクとは違うペルソナだった。

 

ドレイクがまるで戦艦を思わせる船だとすれば、キャプテンキッドはたった一つしかない船で冒険する海賊を思わせるペルソナだった。

 

キッドが現れると同時に、アルセーヌは構えると、キッドから放たれる雷とアルセーヌの闇が合わさり、辺りにいた全てのボーダマンを吹き飛ばす。

 

「何が起きてって!!」

 

予想外の攻撃に驚きを隠せないクリスだが、その場には既に誰もいなくなっていた。

 

「何が「おーい」っやばっ!!」

 

聞こえてきた雨宮の声に気づき、シンフォギアを解除させたクリスは声の方向を見る。

 

「無事だったか?」

 

「あっあぁ、お前は、その怪我はなかったか?」

 

「なんとかな、雪音さんは」

 

「あたしもなんとかな」

 

そう言いながら、笑みを浮かべながらもゆっくりと下がる。

 

「それじゃあ、あたしは「あっそうだ」なんだ」

 

「これ」

 

そう言って、雨宮が取り出したのはドーナツだった。

 

「忍の奴が心配していたから、会ったら渡していてくれって」

 

「あいつが?」

 

そう言われながらも受け取ったクリスは少し複雑な表情をしながらも。

 

「・・・ありがとうな」

 

その言葉と共に、クリスは背中を見せ、ゆっくりと歩き始める。

 

「雪音さん、またねっ!!」

 

「っあぁ」

 

その言葉を最後に今度こそ、クリスはその場を去って行った。

 

「おい、勝手な事を言うな」

 

クリスがその場から去っていたのを確認したのを合わせるように出てきた忍は雨宮を睨みつけながら、言う。

 

「えっ、でもモルナガから聞いたけど、雪音さんを庇ってくれたと聞いたんだけど」

 

「報酬目当てじゃよ。

さっさと帰って、ドーナツを食べるぞ」

 

「そうだな、モルナガ!」

 

その声と共にモルナガはモルナガカーとなって、現れる。

 

「たく、こっちは車だから動けないんだぞ」

 

「あはは、ごめん」

 

そう言いながら現れたモルナガに謝りながら、連と忍はモルナガカーに乗り込み、走り出す。

 

 

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