光の巨人のいない世界で怪獣娘達との話   作:クォーターシェル

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スランプ気味ですが、それでも続けられるなら続けたいと思っています。


11話 重い子との距離は

こんにちは、皐月です。

 

「ぐー…ぐー…」

 

早速ですがピンチです…

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「スカイドンさん。眼兎龍茶です」

 

「あら、どうも」

 

まだ夏休みの最中。自分は最近知り合った怪獣。スカイドンと家の縁側で過ごしていた。

 

このところ、ゴモラやレッドキングといった原作では暴れていたが擬人化してそうでなくなった怪獣に会ったお陰か怪獣達への警戒は大分薄れていた。

みんな割と人(?)当たりがいいな。この間出会ったバキシムも流石に警戒したけど話してみたら割とフレンドリーだったし。

 

「ねえサツキくん」

 

「なんですか?スカイドンさん」

 

「ちょっとお願いがあるんだけど」

 

「お願い?」

 

「一度私の抱き枕になってくれない?」

 

「ぶーっ!」

 

思わず口に含んでいた眼兎龍茶を噴き出してしまった。

 

「サツキくん、行儀悪いわよ」

 

「そんなこと言われれば噴き出しますよ…」

 

そりゃ誰だって抱き枕宣言されれば驚くだろう。

 

「なんでいきなりそんなことを?」

 

「サツキくん…私はね、質の高い眠りを求めているの」

 

そういえばスカイドンと言えば重さの話が出るが劇中よく眠っていた怪獣でもあった。

 

「君と初めて出会った時からね、良さそうだなぁって思ってたの」

 

「良さそうって…?」

 

「抱き心地」

 

「そうなんですか…」

 

「うん、だから一緒に眠りたいなって」

 

「で、でもなんか恥ずかしいんですけど」

 

「大丈夫、少しの間ギュってするだけだから」

 

「いやでも…」

 

「人間と怪獣だからいいじゃない。お試しでね?」

 

「は、はい…」

 

結局折れてしまった…しょうがないだろう。自分も男だし、美少女に抱き枕にされるという魅惑のシュチュエーションに抗いきれなかったのだ。

 

しかし、自分はここでどうにかして断っておくべきだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「それじゃあいくよー」

 

「う、うん」

 

スカイドンが自分に覆いかぶさって来た。そしてその腕が自分の身体に回されて――自分の視界に空が映っていた。

 

「え?」

 

―――!?おっ重い…!?

その時ようやく自分の身体がスカイドンと一緒に庭に横たわっているのに気づいた。

今、自分に掛かっているこの重さは十中八九自分に抱き着いて来ているスカイドンのものだろう。

油断した。スカイドンは重いのが特徴の怪獣だというのに、その外見に騙されてまんまとどつぼにはまってしまった。メガトンとはいかないが彼女の質量はその華奢な見た目から想像もつかないほどの重さであった。

 

「ちょ、スカイドンさん…ちょっとタンマ…」

 

たまらず自分はスカイドンに事の中止を求めるが、

 

「すーすー…」

 

「スカイドンさん!?」

 

彼女は既に眠っていた。なんという寝入りの速さだ。しかし起きてもらわないとまずい。

 

「スカイドンさん!起きてください!」

 

「ぐー…」

 

「スカイドンさんってば!」

 

「ふふふ…えっちーすぅ…」

 

ダメだ。全然起きてくれない。ここまでならわざわざ質の良い睡眠とか求めなくともいいではないだろうか。

 

そんな訳で冒頭にいたるのだが、本当にどうしよう。今はまだいいが、このままスカイドンが寝返りでもしようものなら最悪圧死しかねない。両親が帰ってくるまで時間あるし、ゼットンも何処にいるか分からないし。

そんな感じに悩んでいると、

 

「んー…友達ぃ―?…」

 

スカイドンが寝言を言ったので思いついた。

そうだ!こんな時こそ友達怪獣を呼べばいいじゃないか。ちょっと力の有りそうな子をよんでスカイドンをどかしてもらおう。

 

そうと決まれば早速自分は『門』へ向かって念じた。

 

すると、

 

「やっほー!サツキよんだー?」

 

とバッファローのような角を生やした褐色女子が現れた。カプセル怪獣の1体、ミクラスである。

 

「あっミクラスさん…」

 

「やあ!サツキ…ん?んん!?」

 

ミクラスはこちらに気づくと面食らったような表情になって頬を赤らめた。

なんか…勘違いされてないか…?

 

「ちょ、ちょっとサツキ!そういうのはまだ子供には早いと思うぞー…」

 

「いや違うんですミクラスさん!話を聞いてください!」

 

と自分は事の経緯を説明した。多少なりとも下心があったのは隠して…

 

「そ、そうなのか…?じゃあサツキはこの子をどけて欲しいんだな!」

 

「そうです。お願いだから助けて…」

 

「ぐー…」

 

「よぉーし!この私に任せろー!」

 

どうやらやる気になってくれたようだ。

 

「んぅー!」

 

「ミクラスさん頑張って!」

 

「zzz…」

 

ミクラスはスカイドンの身体を掴みどかそうとするが、その腕力をもってしても苦戦する重さのようで、中々持ち上がらない。

 

ウルトラマンでも苦戦した重さだし、ミクラス一人ではダメなのか…?

ならば数だ!こうなったらカプセル怪獣の残りも呼び出してみよう。

 

自分は再び『門』に念を送った。すると――

 

「なにか用か?サツキ」

 

「助けを呼ばれた気がしたんだけど…どうしたの?」

 

と、ウインダムとアギラが来てくれた。三人がかりならきっとどかせるはずだ。

 

「あっウインちゃん!アギちゃん!ちょうどいいから手伝ってくれー!」

 

「二人ともお願いします…」

 

「すーすー…」

 

「?一体何してるの?」

 

「状況が分からんぞ…」

 

二人とも困惑してるみたいなので訳を話す。

 

「――という訳なんです」

 

ウインダムは呆れた顔で

 

「お前何をしてるんだ…スカイドンの重さを知ってたのにそんな頼みを受けたとか、歳の割にかしこい子だと思ってたのに…」

 

とこぼす。ミクラスは

 

「そんなこと言わずに助けようよ!サツキだって友達だぞー!」

 

とフォローしてくれる。アギラは

 

「でも三人でもこの子どかせられるかな?」

 

と疑問を呈す。

 

「皆さん本当にお願いします!このままだと死ぬかもしれないし…」

 

「しょうがないな…」

 

どうやらカプセル怪獣たちはやる気になってくれたようだ。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「んーしょ!」

 

「ぐぬぬ…」

 

「重たい…」

 

カプセル怪獣達は三人がかりでスカイドンをどかそうとしているが、それでも彼女の重さは凄まじいのかさっきよりは重さが軽くなった気もするが中々スカイドンはどいてくれない。

とうとうカプセル怪獣達は疲れたのか座り込んでしまった。

 

「はあ…はぁ…しんどいなあ…」

 

「なんて重さ…セブンさんのウルトラ念力でもどうにかできるかどうか…」

 

「zzz…もう寝れないよ…」

 

「てか結構騒いでるのに全然起きんなコイツ…」

 

そういえばカプセル怪獣達が登場して結構経つのだがやっぱりスカイドンは寝たままだ。本当にいつ起きるんだろう…

 

「あー…こうなったら奥の手だ。サツキ、動くんじゃないぞ」

 

とウインダムが立ち上がった。

 

「えっ、ウインダムさんどうしたの?」

 

「いいか、絶対に動くんじゃないぞサツキ」

 

そう言うとウインダムの頭から光線が発射された!

 

「うわぁ!」

 

思わず目をつぶったがどこも痛くない。眼を開けてみるとスカイドンの顔が煤を被ったようになっていた。どうやら光線が命中したらしい。

すると、

 

「んぅ…ふぇ?あれ寝ちゃってた?」

 

スカイドンが目を覚ました。顔面に喰らった光線が目覚ましになったようだ。

 

「やっと起きたか…ごめんサツキ。いっそのことこうした方が早いんじゃないかと思ったんだ」

 

ウインダムが謝ってくる。ちゃんとスカイドンが起きたからいいけど、下手したら自分に命中してたかもしれないしいきなりやるのはやめてほしい。

 

「私もびっくりしたよー。ウインちゃんいきなりレーザーショット出すんだもん」

 

「セブンさんが見てたらたぶん怒られると思う…サツキは怪我はない?」

 

「うん、ないけどスカイドンさんは大丈夫?」

 

「んん…なんの話ですかサツキくん?というかこの人達は誰ですか?」

 

スカイドンは殆どダメージを受けてないようだ。ウインダムが手加減してたかもしれないけど頑丈だな。なにはともあれこれで自分は圧死の危機から解放された訳だ。

 

「スカイドンさんがいきなり眠っちゃって…友人を呼んで助けてもらったんです」

 

「あら…そうだったの。ご友人の手を煩わせちゃってごめんないね。サツキくんの抱き心地が良かったものだからついね…」

 

「そうなんですか…」

 

「いいんだ…抱き心地…」

 

「それでね、サツキくんにお願いしたいんだけど、また今度抱き枕になってくれない?」

 

「勘弁してください」

 

彼女の昼寝の度にカプセル怪獣を総動員する事態になるのは流石に…。

 

「えー、減るものじゃないのにー」

 

「減るというかなんというか…」

 

「しょうがないなー、今日はもう帰るけど、サツキくんの気が変わるのを待っているわ」

 

そう言い残してスカイドンは門の向こう側へ行ってしまった。

これエライことになったんじゃないだろうな…

 

「私たちも帰っていいか?」

 

「あっウインダムさん今日はありがとうございました。帰る前に眼兎龍茶飲んでいきませんか?」

 

「わー!私飲んでくー!」

 

「僕も」

 

「お前たち…そうだな、じゃあ頼むよ」

 

「わかりました」

 

そう言って家の中の茶とお菓子を取ってくるときふと、今度スカイドンが来て一緒に寝るのを頼まれたとき自分はちゃんと断れるのだろうかとか、抱き着かれている最中重さで気がそっちに行ってたけどなんかいい匂いしたな…とか考えてしまうのだった。

 

 




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