自分は今ゲーム中だ。やっているのはマリカー。家ではTVゲームをする際のルールが幾つかあり、長くやり過ぎない事、必ず複数人ですることなどがある。
という訳で自分がゲームをやっているということは、誰かと一緒にやっていることになるのだが…
「…」
小さな手がコントローラーを操作している。その手の持ち主は、頭から角が生え、腰から魚のような尻尾が伸びた小さな女の子だ。
ゲーム画面内で勝敗が決まった。今回は相手の勝ち。今日はこれで2勝2敗だ。
「前より上手になってきたね」
「ん」
「でも、俺も負けてられないよ」
「そ」
等といった会話をしながら次の試合に移る。さっきとは違うキャラ、ステージを選択してスタートダッシュをするべく自分達はスタート前からアクセルのボタンを押す。
そうして一緒にゲームに興じている彼女はエレキング。向こう側の怪獣にして友達の一人だ。
彼女との出会いは夏休みの時庭のビニールプールで遊んでいたら例によって何の前触れもなく『門』の方から現れた。今にして思えばもし彼女が電気を発していたら危なかった。
彼女は今まであった怪獣に比べると話し方がぶっきらぼうで最初はコミュニケーションを取るのが難しかったが、一緒に遊んだりTVを見てるうちにそれなりに心を開いてきたのか、今はよくゲームを一緒にするメンバーに入っている。
「ん」
何回目かのレースが終わった後、エレキングが自分にコントローラーを手渡してくる。
「もういいの?」
「うん」
「じゃあおやつでも食べようか」
「ん」
とゲーム機を片付け、戸棚から菓子を取り出すことにする。今日は…おっとっとにしようか。
皿におっとっとを出してエレキングとぼりぼりと食べる。あっ、レアなクリオネ型あったけどエレキングに食われた。
「そういえば」
「ん?」
「なんでエレキングは大人の姿じゃなくて子供の姿なの?」
「しらん」
「そう…」
彼女との会話は何時もこんな感じだ。いやほんと何でエレキングは子供の姿でいるんだろう…確かに劇中で幼体が出てきた怪獣ではあるんだけど。…ま、いいか。
「サツキ」
「どうしたの?」
エレキングは空になった袋を自分に見せる。
「おかわり」
「えっ、もう食べ終えちゃったの?」
「おかわり」
そういいながらエレキングはぎゅうぎゅうと空になった皿を当ててくる。
「わかったから押し付けるのはやめてね」
「ん」
エレキングは皿を押し付けるのを止めた。こういうところは素直なんだけどね。
さて、どうしようか。もうおっとっとは無いんだけど。
「なにか希望はある?」
「パチパチするやつ」
「ドンパッチだっけ…?あれももう無かったような」
家には何故か生産終了した筈の菓子があることがある。しかも何故か消費期限が最近。昭和趣味の母さんの仕業なのか?兎に角エレキングはその中で食べたことのあるドンパッチと言う菓子を所望の様だ。
「じゃ、かってきて」
「しょうがない…似たようなのを買ってくるよ」
ドンパッチももう売ってない菓子であるが口の中で弾ける似たような菓子はあるだろう。
取り敢えずリビングから玄関に向かおうとした時。
「それでは、ワタシも同行しまショウ」
と声がした。声がした方を振り返ると、長い黒髪に手足等に硬質感のある衣装を着けた女性がいた。
「キ、キングジョーさん」
そう、彼女の名前はキングジョー。特撮番組ウルトラセブンを代表する怪獣の1体である。
「いつから、ここに?」
「『ゲート』を潜り抜けてきたらお二人がお菓子を食べていたので見守らせていただきマシタ」
「そ、そうなんだ…」
いきなりであるが、自分はこのキングジョーさんが苦手だ。見た目はそれはそれは麗しいものであるし、物腰も元がロボットだったとは思えない程柔らかである。しかし今まであった怪獣たちの中でも彼女を苦手としている要因は。
「外はデンジャラスがいっぱいですサツキ様。私を盾にしていくといいでショウ」
何故か彼女に一方的な主従関係を結ばれていることだ。
◇ ◇ ◇
発端は夏休みの時、色々な怪獣と知り合い、大体皆擬人化してて安全と確認された前にやってた実験の続きをやってみようと思い、メジャー所の怪獣を呼び出してみようと思ったそれで、キングジョーの呼び出しをやったのだが。
「問オウ。貴方がワタシのマスターデスカ?」
な…なぜにfate風?
「えっとどういう意味?」
するとキングジョーは
「今地球でホットなワードと聞いたのデスガ…」
と呟き。
「それでは、ワタシのご主人様になってくだサイ」
いやいやいや。なってくださいと言われても困るんだけど。
「駄目デスカ?」
「駄目も何も初対面の人?に言われても…」
なにがなんだかわからないんだけど。
「ワタシは貴方をその…気に入りマシタ。母星に来て妹を○ァックしてもいいデスヨ」
そんな清楚な顔でハートマン軍曹みたいなこと言わんでください。
「ワタシはドッグです」
「文法なんか間違えていません?」
「ワタシを地球でいう犬の様に扱ってかまいませんヨ」
「そのまんまの意味!?」
なんなの…このロボットは。キングジョーと見せかけてクレージーゴン呼び出した訳じゃないよね?
「あの…自分貴女の特殊な性癖に付き合う気はないので、呼び出して早々悪いんですけど帰って貰ってもいいですか?」
と言うとガシッと腕を掴まれ、
「じゃあ、ワタシとあなたは前世で共に闘った仲間ということにシマス。勇者様、ようやくお会いできマシタ。ずっとずっと探しておりマシタ。ワタシをお嫁にしなさ……」
「いまじゃあって言ったし絶対その場のノリで考えたよねそれ!」
確かに前世あるけどそんな電波なものじゃなかったよ。
「ご主人様、旦那様、王子様、ナイト様、マスター、ロード………」
ああ…どうしようこれ……
◇ ◇ ◇
結局彼女の執拗なお願いにより、自分は見た目大和撫子のロボットに慕われもとい傅かれることになった…
そして、彼女は自分が最高のボディーガードになると言って四六時中一緒に居ようとしてきたのだが、もう間に合ってますといったらかなりのショックを受けたようで、こっちに居っぱなしということにはならなかった。しかし
「いつかあの根暗よりワタシの方が従者としてベターだと証明するデス!」
とゼットンをライバル視している…ゼットンの方はどこ吹く風なのだが…
話を今に戻そう。
エレキングは回想の間、キングジョーの脛辺りをげしげしと蹴っていた。
エレキングは余り見慣れない相手がいるときこういう行動をとる事がある。両親にエレキングを紹介した時は触れようとした父の手をはたきおとしたし基本的に警戒心が強いのだろうか。
取り敢えずやめなさいとエレキングに蹴るのを止めさせる。
「エレキングがすみませんキングジョーさん」
「気にしていませんよサツキ様。これくらいノーダメデス」
まあ固いんでしょうね。
「それでは、一緒にお菓子を買いに行きまショウ」
あっやっぱ来るんだ…正直彼女を連れていくならゴモラ辺りの方がマシな気がするんだけど…
「大丈夫デス。ワタシ、爆弾をいくら落とされようとサツキ様を守り切りますカラ」
キングジョーがガッツポーズをする。普通買い物で爆弾は落ちないからね?
「と、とにかく買ってくるから待っててね。エレキング」
「ん」
そして自分とキングジョーは近所のスーパーに向かうのだった。
「ワタシにつかまっていけば直ぐに着きマスヨ?」
「自分の足で歩くからいいです…」
おまけ
皐月(思ったんだけど『門』にゼットンを呼んだらどうなるんだろう)
皐月「来いゼットン!」
ピロロロロロロロ
???「………」
皐月「ゼ…」
パワードゼットン「ん?」
皐月「誰!?」
おジョーさんファンの方申し訳ございません…本作のおジョーさんは少々ネジが飛んでます。
エレキング幼生体の容姿は電撃G's magazine.comで公開されているCHOCO氏の設定画からです。
駄文閲覧ありがとうございました。
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