光の巨人のいない世界で怪獣娘達との話   作:クォーターシェル

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17話 SIDE:おかん

この星の時間にしてAM5時頃、私は寝床から起床する。

私はメトロン星人。この家の主婦である。

 

身支度を済ませると、台所に向かい朝食の準備することにする。今日のおかずは味噌汁と小魚にしようかと米を研ぎながら思考をめぐらす。

 

昔はこの様に他の星の料理を作ったりなどと考えもしなかったが訳あって数十年間地球に潜伏した身でいつの間にかこのような技能も身に着けていた。

炊飯器を起動させ次はおかずの準備に取り掛かる。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

AM6時頃、朝食を食べにゼットン星人がリビングに顔をだす。

 

「おはよう。今日の朝食は?」

 

「お味噌汁に焼き小魚だよ」

 

ゼットン星人は数分しか眠る必要がないので、夜中は自室で仕事をやったりしているか疲労が回復するまで休んでいる。

去年までは過労死するんじゃないかってくらい働いていたけど、最近は第二陣がやって来たお陰でちょっとは楽になったかな?

まったくこの地球の調査の次は範囲を広げて星系から更に広い範囲の宇宙だからね。まあ取りあえず。文明の有無の確認くらいだから、第二陣の基地が完成すれば宇宙中に探査機を放つなどして手っ取り早く終わらせることもできるだろう。

 

「そういえば第二陣の基地の建造のほうはどうなってるの?」

 

「ああ…まあ順調といったところだな。此処よりも規模の大きいものになるから完成まで後1年ほどになるが」

 

「なるほどサツキが中学に上がる前には終わるかな?」

 

そんな会話をしながら、食卓の準備をする。そろそろあの子が起きてくるかな。

 

「おはよう」

 

とサツキがリビングにゼットンを伴って入ってきた。

ああ~そのまだ半分寝ぼけた表情、たまらないなあ。

 

「おはよう!朝ごはんできてるよ」

 

「うん、ありがとう。いただきまーす」

 

とサツキは美味しそうに私の作った朝ごはんを食べてくれる。ああ、サツキが幸せそうな顔をしてると、私も幸せになってくる。

 

それはいつからだったろう。最初は計画のために近づいたのだが、いつの間にかこの子が愛しくて仕方が無くなってしまった。

地球での思い出は色々あったが、今まで地球のことを調べてきたのもこの子に会うためだったかもしれない。

 

そんなこんなで家族との会話を弾ませる。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

AM8時頃。皆出かけて一人になったのだが…

ここ最近私を悩ませることが起こっている。

 

朝食の洗い物を済ませた後2階のサツキの部屋に向かう。

部屋の前に到着したが、本来私一人しかいない家なのに人の気配がする…

ゆっくりドアを開けると。

 

「はあっ…はあっ…サツキくんっ!サツキくぅぅぅぅぅううん!!」

 

寝床で掛け布団を被りながら悶えているガッツ星人が居た。

 

「なにをしているのかな?」

 

と布団をはぎ取る。同時に半裸のガッツ星人が床に転がった。

 

「あら、お母様。こんにちは♪」

 

「ははは、こんにちは。で、なにをしているのかな?」

 

「あはは…そりゃあ、ナニを…」

 

「勝手に人の家に入り込んで盛るな!」

 

彼女は組織の第二陣の一人であるのだが、最近こうやってサツキの部屋に忍び込んではトリップをするといううらやまけしからんことをしている。ある時にはサツキの下着を顔に被り、更に自分の下着とサツキの下着を絡めていた…

その時はサイズぴったりの新品の下着を買ってきたから取り換えるといいとほざいていた。

 

正直ぶん殴った後、怪電波と宇宙ケシの実で脳を破壊してやりたいのだが、万一の為か家に忍び込むのは分身である。しかも曲がりなりにも同僚であるため消すという手段を実行できない。

 

「だって、サツキ君の温もりと香りが残ったベッドなのよ!ダイブするしかないでしょー?」

 

頼むからそれ以上喋らないで欲しい。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

AM10時頃。ガッツ星人を追い出した後洗濯を開始する。特にサツキの掛け布団は念入りに洗っておかないと。後サツキの部屋に脱臭剤をかけるのも必要だね。

 

洗濯の途中、第二陣の一人であるペガッサ星人からメールが届いた。内容はガッツ星人がしでかしたことへのお詫びだ。ガッツ星人の侵入はここ最近ほぼ毎日起こっているので、このメールも日常の一部になってしまっている。

 

ガッツ星人は前から自らがかわいいと判断したものに対してその情報を調べ上げたり、その人物への無許可の撮影をしていたが、この星に来てから更にそんな行動がエスカレートしている気がする。

前々から親交のあったペガッサ星人も手を焼いているようで、サツキのみならず彼と親交のある怪獣や女児を中心とする他の地球人への撮影等を止めきれてないようだ。

 

前にあいつはサツキを自分の物にしたいと言っていたが、そんなことは絶対にさせない。

今現在、サツキを利用する立場ではあるのだが、それとは別に私はサツキの幸せを願っている。あんな異常者の餌になどするものか。

 

私は決意も新たに洗濯物を干しに掛かるのだった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

PM3時頃。掃除、昼食、買い物、夕食の下ごしらえなどを終えて現在和室で休憩を兼ねてサツキが学校から帰ってくるのを待っている。眼兎龍茶の準備も万全だ。

 

待つこと二、三十分。玄関のほうからただいまと声がした。こちらもおかえりーと返す。

そして、サツキが和室に入ってきた。私はいつもの通りこの台詞で出迎える。

 

 

「私は君が来るのを待っていたのだ」

 

 

そうして私たちは眼兎龍茶を飲みながら学校であったことなどを話のネタにして過ごす。

この時間は何物にも代えがたい。他愛のない話ばかりではあるのだが、他者とは物騒な話をすることも多い自分にとって心が洗われるのだ。

この次に好きな時間は夕焼けを眺めながら煙草を一服するのと夜のあの時間くらいだ。

 

そんなこんなで話をしていると、

 

「友達を家に呼びたいんだけどいいかな?」

 

とサツキはお願いしてくる。それに私は

 

「いいよ。ただしちゃんと宿題を済ませてからね」

 

と返答する。

サツキが家に友達を呼ぶ時は大抵一緒にアニメを観るかTVゲームを一緒にやるときだ。私としてはサツキに余りハイテクな機械を触らせるのは反対なのだが、彼の成長のために友達とのコミュニケーションのツールとして渋々それを認めている。

ただしSNS等のこともあって携帯電話を買い与えることは止めようと思っているが。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

PM4時頃。夕食づくりに入ろうとした時、サツキが友達を連れてきた。今日連れてきたのは三人。シーボーズちゃん、ガーディちゃん、ハネジローちゃんだ。

サツキが連れてくる友達は、地球人よりも怪獣墓場の者が多い。一時期は友達が出来ないことに悩んでいたようだがこの様に友達を連れてくる様になって私は嬉しい。

女子が多いのはちょっと気になるけど。

 

今日は四人でスマブラをするみたいだ。ちなみにサツキが言うには今日のメンバーの中ではハネジローちゃんが一番上手いらしく、よく3対1になるがそれでもハネジローちゃんが勝ち越すそうだ。

 

「それっそこだ!」

 

「うう…ハネジローさん強いです…」

 

「パムー!」

 

さて彼らが楽しんでいる間に夕食を作ってしまおう。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

PM6時頃。ゲームを終えたサツキたちと一緒に夕食を食べることにする。

今日は炒飯。サツキの友達が来たので量は多めにしてある。

 

「どう?美味しい?」

 

「うう…サツキのお母さん美味しいです~」

 

とシーボーズちゃんは泣きながら食べている。サツキの友達の中でも古参の子だけど相変わらず涙もろい子だなあ。

 

ガーディちゃんは所謂犬食いをしていた所をサツキに注意されていた。

わん!すみませんと彼女は謝っていた。

 

「パム~」

 

とハネジローちゃんは美味しそうに食べている。

 

ゼットンは我関せずといった感じと黙々と食べていた。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

PM8時頃。夕食が終わってサツキの友達も帰り、後片付け等の雑多を済ました。サツキは明日の準備も済ませ寝床に向かった。

 

私はサツキが自分の部屋に行ったことを確認すると、台所に唯一残してあった湯呑を手に取り眼兎龍茶を注いだ。

そして、それを飲む。

 

「あー!おいちーっ!」

 

この湯呑はサツキの物だ。かなり昔に間違えてサツキが口を付けた眼兎龍茶を口にした。

その瞬間衝撃が走ったのだ。う…美味い。眼兎龍茶が美味くなっている…

それからその味にハマってしまい。隙をみてはサツキの湯呑で眼兎龍茶を飲んでいる。

もちろんサツキには内緒だ。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

PM11時頃。遅くに帰ってきたゼットン星人を迎えた後、サツキの部屋に向かう。

静かに扉を開け、ゼットンに小さな声で挨拶して一日の終わりの日課をすることにする。

 

「ん…ちゅう……」

 

サツキへのお休みのキスである。かわいいサツキの寝顔にこれをしておかないと、一日が終わった気がしない。

 

「おやすみ、サツキ」

 

小声でそう言い、私は自分の部屋に向かった。

 




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