光の巨人のいない世界で怪獣娘達との話   作:クォーターシェル

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今回の話は歩輪気様のリクエストを元に書かせていただきました。ありがとうございます。


18話 食いしん坊怪獣の畑

自分達家族は父の所有する自動車に乗って、ある場所へ向かっていた。

向かう場所は郊外にある農園だった。

 

なぜそこへ向かっているのかというと、あれは数か月前――

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「もっとちょーだいよ~…これじゃあ足りないよぉ~」

 

「そうは言われても」

 

自分は困っていた。向こう側からやってきたのはモットクレロン。

兎に角野菜に目が無い怪獣で正確にはビタミンCをため込んでいるらしい。

そんな彼女がこっちに来るなり野菜を要求してきたのだ。

 

やっぱり断ると彼女は何をするか分からないし、

人間の姿になっているからそれ程でもなかろうと高を括ったのが行けなかった。

彼女、あっという間に冷蔵庫内の野菜を食い尽くしてしまったのだ。

しかもそれでまだ足りぬという。

 

「もっと野菜くれよぉ~」

 

「だからもうないんですよ…」

 

さっきからこんな感じの応答を続けているがにっちもさっちもいかない。なんとかしなければならないと焦っていると、

 

「ただいま~」

 

と帰ってきたのはお父さんだ。今日は随分早い帰りだ。

 

「あっおかえり早かったね」

 

「ああ、今日は仕事が早く終わったんだ。その子は新しい友達かな?」

 

ああ、モットクレロンのことはどうしよう。家の野菜を食い尽くしたことも説明しないと。

自分はこれからのことに頭を抱えたくなった。

 

「まあ、そうなんだけど…彼女はモットクレロンっていうんだけど、その」

 

「モットー!」

 

「…ああ、少し嫌な予感がするんだが」

 

「彼女が冷蔵庫の野菜を全部食べちゃったんです…」

 

自分は正直に話した…怒られると思ったが、

 

「そうか…いやいいんだ、野菜ならまだまだこの国にはあるから買い足せばいいし、後で母さんに一緒に謝ろう。それに事情があったんだろう?」

 

父の心は広かった。いやー良かった。そうだ。モットクレロンにも事情があるのだろう故郷にビタミンCを持ち帰るとかそういうのが。

 

「んーん?単に野菜が大好きなだけだよ」

 

その返事に眩暈がする気がした。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

落ち着いた自分達はモットクレロンと話していた。

 

「だって~野菜を食べる機会なんて久々だもの」

 

「だからといって人の物をむやみに食べるのは良くないな」

 

「ごめん…俺も途中で止めるべきだったよ」

 

といってもモットクレロンも怪獣の一種だしどうにかできなかったんだけど…

 

「帰る気はないの?」

 

「やだー。もっと野菜食べたい!」

 

うーん本当にどうしようか…

あっそうだ

 

「それなら、野菜を直接作るのはどうかな」

 

「直接?」

 

「どこか、畑を貸している所に行ってそこで野菜を栽培するんだ。自分で作った野菜ならどれだけ食べても咎められないよ」

 

「へー。そんなことがあるんだあ」

 

どうやらモットクレロンの興味を引いたようだ。うん。どれだけ彼女の腹を満たせられるか分からないが、この案はいいと思う。

 

「という訳でお父さん」

 

「うん?」

 

「貸し農園の手配をお願いします!」

 

「あー…そうきたか…」

 

やっぱ流石に渋るよね。でもここで引くわけにもいかない。

 

「俺も収穫とか手伝いに行くし、勉強の一環だと思って!」

 

と自分はお祈りのポーズをする。

 

「わかった。わかったから。その辺は父さんがどうにかしよう。けど約束として投げっぱなしにしないでちゃんと野菜作りのこと勉強するんだぞ?」

 

「ありがとう父さん。ほらモットクレロンさんも」

 

「わーい!よくわからないけど野菜が食べられるんだなー!」

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

数時間後自分たちは郊外にある畑に来ていた。ここが父さんが用意してくれた畑のようだ。

広さは某猫ロボによく出てくる空き地くらいだろうか?モットクレロンが満足するくらいの野菜を収穫できるかは分からないが、とにかく用意してもらっただけでも感謝しなければならない。

モットクレロンは辺りをキョロキョロと見回して

 

「野菜はどこだぁ?」

 

と野菜を探している。

 

「これから作るんですよ」

 

「えっそうなの?」

 

話を聞いてなかったのかな?

 

「種を持って来たよー」

 

と父さんが各野菜の種をもってきた。秋が旬の野菜が中心のようだ。

 

「じゃあモットクレロンさん。この種を畑に植えていきましょう」

 

「わかったー」

 

そうして自分たちは畑に種を植えていった。様々な形の種を畑に植え終えると、

 

「で?あとどれくらいで野菜出来るの!?」

 

とモットクレロンが聞いてきた。

 

「数か月くらいですかね」

 

「えーそれくらい待たなきゃいけないの!?」

 

「それくらい待たなければいけないんです。果報は寝て待てという言葉もありますし辛抱してください」

 

「うー…」

 

モットクレロンには悪いけどこればっかりは仕方がない。

 

「さあモットクレロンさん帰」

 

「じゃあ野菜ができるまでここから動かないぞ!」

 

「ええ!?」

 

これはどうしよう。へそを曲げてしまった。

 

「野菜が出来たらちゃんと呼びますから」

 

「やだー!」

 

すると父さんが

 

「じゃあこの畑の管理人になる気はないかい?」

 

「「管理人?」」

 

「そうだ。この畑を管理している団体が管理人を募集しているらしくてね、モットクレロンが畑の管理人になれば毎年野菜を分けてもらえるぞ」

 

「えー!本当!?」

 

モットクレロンは目を輝かせているが

 

「お父さん。大丈夫なんですか彼女が管理人なんて」

 

「まあ色々と裏技があるんだ。そうすればこの子も満足するだろう?」

 

と父さんは言うけど本当に大丈夫なのかな?

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

そして、それから数か月が経ち、野菜が収穫できる時期になったそうなので、家族で収穫体験にきたわけなのだ。

 

作業着に着替えた自分は久しぶりにモットクレロンに会った。

 

「よーこそーモットクレロンの畑へー!」

 

「モットクレロンさん久しぶり。あれからどうしてたの?」

 

「ああ!野菜を育てながら色々勉強してたんだー。今日はやっとやっと野菜が食べられる日だよね!昨日は眠れなかったよー!」

 

どうやら本当にこの日を楽しみにしていたようだ。

じゃあ収穫に取り掛かろうか。

 

「まずは白菜」

 

「白菜はねー漬物や煮物にすると美味しいよー」

 

「次は人参」

 

「人参は煮ても炒めてもいいよー」

 

とこんな風に収穫する度にモットクレロンが野菜の解説をしてくれるのだが、瞳孔開いて涎たらしながらは止めて欲しい。

 

そんなこんなで大体畑から野菜を収穫し終えた。

 

「野菜野菜野菜野菜野菜~!」

 

「モットクレロンさん落ち着いてください。一緒に食べますから」

 

近くにある施設の厨房を借りて母さんがポトフを作る事になった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

「出来たよ~」

 

と畑で収穫された野菜をふんだんに使ったポトフが出された。

 

「あっ美味しいねこれ。ゼットンもそう思うでしょ」

 

「…はい。そうですね」

 

「それなら嬉しいな。サツキの友達が育てた野菜がいいんだろうね」

 

「はあ~生もいいけど料理した野菜も美味しいな~」

 

「どうだいモットクレロン。次のシーズンも育ててみないか?」

 

「はいはい!もちろんやらせて!地球に来てよかったよ~」

 

こうしてモットクレロンさんは地球に残り、畑の管理人を続けることになったのだった。

 




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