光の巨人のいない世界で怪獣娘達との話   作:クォーターシェル

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たぶんまたしばらく間隔空くと思います。悪しからず。


19話 火山怪鳥

今、自分達は公園で「路上ライブ」を鑑賞していた。

 

「……」

 

「……」

 

「――~~♪」

 

聴いているのは二人。自分とザンドリアス。そして自分達の前でギターをかき鳴らしているのは怪獣ノイズラーだ。

 

このノイズラーは音が食事的な意味で大好きな怪獣で人化してからは何故かギターを装備するようになり、地球のエレキサウンドを気に入って自分でも演奏するようになったらしい。

それで、自分のギターの腕前がどんなものか自分達に聴いてもらうよう頼んできた。そうして自分と前から知り合いだったらしいザンドリアスが聴き手になったのだが――――

 

ノイズラーの演奏は一息ついたのかギターを演奏する動作を止めた。

自分はパチパチと拍手をしておいた。

 

「ありがとう!――で、どうだった?私の演奏」

 

と、ノイズラーは感想を聞いてきた。

自分は音楽に余り詳しくなく、良し悪しを評価できる立場に立てるのか微妙なのだが今のはその――

 

「ええと」

 

「アンタ途中から音喰ってたでしょ。聞こえなくなってたわよ」

 

とザンドリアスがずばりと言ってしまった。

そう、彼女の演奏は途中から全くの無音になってしまっており、後半自分達は無音の中ギターを弾く動作をしているシュールな構図を眺めていた。

 

「あれ?そうだった?」

 

「白々しいわねー、いくら気に入った音だからってつまみ食いするのは止めなさいよ。何のために付き合っていると思ってるの?」

 

「そうですね。ちゃんと1曲聴かないとどうにも評価しづらいと思います」

 

「あはは、ごめんごめん。もう一度弾きなおすから~」

 

こうしてもう一度ライブはやり直されることになった。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

――同時刻・公園近くの建物の屋上――

パシャ、パシャ、パシャ

「ふふふ~今日もサツキ君は可愛いなぁ~」

 

「……」

 

「今日の友達は初めて見る子ね。サツキ君って意外と気が多いタイプなのかしら?まあ可愛い子を撮影するのに好都合なんだけど」

パシャ、パシャ、パシャ

 

「……」

 

「あら、ゼットンさんこんにちはー。今日もサツキ君の監視かしら?」

 

「……」

 

「ちょっとー反応してくれてもいいじゃないの」

 

「貴女とは最低限の会話にしないと変態がうつると言われましたので」

 

「ちょっ!なにそれひどーい!だれがそんなこと言ったのよ!」

 

「……」

 

「また無視?それならそれでいいもん。貴女のことも撮っちゃうから」パシャ

 

「あれ?いない…」

 

「……」

 

「いつの間に後ろに!?」パシャ

 

「また消えた!?減るもんじゃないしいいじゃないのよー!」

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

今度こそライブが終わった自分達はベンチで休んでいた。

 

「どーだったかな、私の演奏は?」

 

「まあ良かったんじゃないんですか?」

 

「さっきよりは大分良いわね」

 

そんなことを話していると。

 

「……よいしょ」

 

声のした方を見ると、『門』の傍に赤青黄の三色に彩られた髪をして腕に何かひらひらとした装飾品をつけた女性が居た。

例によって怪獣だろうか。

その怪獣らしき女性はこちらに気づくとじっとこちらを見てくる。

 

「ねえ、あの人サツキの知り合い?」

 

とザンドリアスが訊いてくる。いや、自分もこの怪獣さんに出会うのは初めてだ。

一体何の怪獣だろう。ひらひらしていたり羽毛のような装飾をしている所をみると鳥の怪獣だろうか?

 

そんなことを考えていると女性はこっちに歩いてくる。そしてベンチに座っている自分の前まできた。何か用かと思い言葉をかけようとすると女性は両手を自分の肩の上に置いた。

そして

 

「君が欲しい」

 

「え?」

 

「へ?」

 

「ん?」

 

自分たちは間の抜けた声を出してしまった。

えっこれは何?告白されたの?初対面の女性に?

と混乱する自分はいつの間にか女性に担がれていた。

 

そして女性はその場から走り出した。

 

「えっ、え?」

 

「サツキが誘拐されたー!?」

 

怪獣二人を残して。

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

――公園近くの建物の屋上――

 

「はあっはあっ…やるわね、流石はゼットンといった所かしら。全然隙見せてくれないんだもの」

 

「……」

 

「あー、今日は降参。貴女を撮影するのはまた別の機会にね。さて撮影の続き続き…あれ?サツキ君がいない…」

 

「しまった…」

 

「あれ!?ゼットンさんもいない!?もしかして私おいてかれた…?」

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

女性に担がれて運ばれて数十分。自分は住宅街から離れた野原にいた。もちろんあの女性も一緒である。

 

そして降ろされた自分は何故か体の各所を揉まれていた…。

 

「あのう…何をやっているんですか?そもそも貴女は誰なんですか?」

 

本当に訳が分からない。告白?されたと思ったらこんな所に連れてこられて体を揉まれてるのだ。一体どうすればいいのか。

 

「私はバードン」

 

と女性改めバードンさんがここでやっと名前を言ってくれた。バードンといえば火山に生息する鳥怪獣で、ウルトラ兄弟2人を葬ったこともある強豪だ。

そんな怪獣がなにをやっているんだろう?

 

「ちょっと君のことを調べているの」

 

調べている?なにを?

 

「ふむり」

 

バードンが自分の体から手を放す。

 

「肉付きはそこそこ、脂肪分は少なめ。やっぱり子供だからかしら適度に柔らかい…」

 

えっなにそれ肉の質かなにか!?

そういえばバードンって肉食だったよね?えっなに自分食べられちゃうの!?

 

「俺を食べる気なんですか!?」

 

「大丈夫、あくまで非常用だから」

 

全然安心できない返答が帰ってきたんですけど!

 

「あのー俺帰ってもいいですか?」

 

「駄目。私と来てもらう」

 

と自分はバードンに掴まれてずりずりを引きずられていく。その先は『門』だ。

 

「えっちょ、ちょっと待ってください!」

 

「待たない」

 

そしてバードンの体が『門』に沈み込む。しかし――

 

「あいたたた!」

 

「あれ?」

 

「俺はこの門を通れないんですよ!」

 

そうなのだ。人間だからなのかどうかは分からないが怪獣達が割と自由に出入りできるのに対して自分は『門』を視認することはできるがそこを通り抜けたりはできないのだ。

 

「そう…」

 

バードンは『門』に自分を連れ込むのを止め、『門』から離れた。

何処かに連れ去られるのは無くなったけどどうしよう。助けを呼ぼうにも辺りに人の影はないし。

 

「ふむう…」

 

バードンは何やら考えていたようだが、自分の腕を掴んだまま自分と向き合う。

 

「あの、バードンさん…?」

 

「本当は私の縄張りに連れて帰りたかったのだけど…」

 

バードンはじっと自分を見つめる。

 

「ちょっと横になって」

 

「はい?」

 

「いいから」

 

「え?なにをする気なんですか」

 

「気持ちいいこと」

 

「えっ。えーー!!」

 

ちょちょちょなんで初対面の人に逆レ○プされそうになってるの!?

 

「なっなんでですか!?」

 

「君を一目見たときから私は二つの感情を抱いた。一つは食欲で一つは性欲」

 

「やっぱり食べる気だったんですか!?」

 

「いや、食べちゃうとそれで終わりだから。私は長く楽しみたいから。あくまで非常用ね」

 

まずい、このままでは二つの意味で美味しく頂かれてしまう!

なんとか脱出しなくては!

この場をどうにかする方法を考えていると、

 

「ん…ちゅう、ちゅ」

 

「んう!?」

 

バードンが自分に口づけをしてきた。それと同時に口内に何かが流れ込んできた。

自分はとっさに吐き出そうとしたが、彼女はそれを許さなかった。というかキスうまくない!?この人?なにかとても気持ちよく感じるんだけど!?

 

そうこうしているうちに何かフワフワとしたような酔いに近い感覚が来た。思わずその場にへたり込んでしまう。

そこにバードンが覆いかぶさってくる。

 

「私のクチバシ攻撃はどうだった?これはほんの序の口ですよ。本番はこれから…」

 

ああ、もうこの雰囲気に流されてもいいかなぁなんて思い始めていると、

 

「!」

 

バシッという音と共に黒い影がバードンを弾き飛ばした。

その影の正体は――

 

「ゼ、ゼットン!」

 

そこには家のボディーガードが立っていた。

 

「…サツキ、大丈夫ですか?」

 

とゼットンに助け起こされる。まだふらつき、立てるまでもう少しかかりそうだ。

弾き飛ばされたバードンは体勢を整えると、

 

「誰ですか貴女は?せっかくのお楽しみが台無しなんですが」

 

「……」

 

ゼットンと対峙する。しばらくにらみ合いが続くが、次の瞬間――

 

「…」

 

「ッ!」

 

ゼットンが瞬時にバードンの背後に移動し首筋に手刀を炸裂させた。

バードンはうめき声すら立てずにその場に崩れ落ちた。

 

自分はやっと回復しゼットンの所に行った。

 

「ありがとうゼットン」

 

危なかった。もう少しで貞操がどうにかなってしまう所だった。

 

「怪我はないですかサツキ」

 

「うん。その辺は大丈夫だよ」

 

「そうですか。話は変わりますが」

 

「うん?」

 

ゼットンは倒れているバードンに視線を移し、

 

「この女はどうすしますか?よろしければ止めを刺しますが」

 

「いや!そこまでしなくてもいいよ!!」

 

よろしければじゃない。いくら逆レされかけた相手とはいえそれは後味が悪すぎる。

こちらは怪獣と出来る限り仲良くしたいと思ってるし。

 

「ではどうしますか?」

 

「そうだね、この場に放置するのも何だし取りあえず…」

 

自分達はバードンの体を抱え、『門』に接触させた。するとバードンの姿は消えた。ちゃんと向こう側に行ってくれたようだ。

さようならバードン。こんど会う時には体は差し出せないが焼肉でもご馳走しようかな?

 

その後、徒歩で帰ったが体がクタクタになった。誘拐されかけたことは内緒にしてもらったけど、それからしばらくゼットンが『門』のように自分について回るようになった。

 

 

 

おまけ

 

ノイズラー「新しい曲覚えたから聴いてくれー!」

 

サツキ「何の曲かな?」

 

ゴモラ「楽しみー!」

 

~レッドキック♪ レッドチョップ♪

 

ゾワッ

 

ゴモラ「………なんか気分が」

 

サツキ「どうしたの?」

 

おまけ2

 

ノイズラー「続けていくぜー!」

 

ゴモラ「おーっ!」

 

サツキ「おー」

 

~宇宙の王子♪ 平和の戦士♪

 

ゾワッ

 

ゴモラ「……なんか…もういいかな」

 

サツキ(トラウマかなにかかな?)

 




駄文閲覧ありがとうございました。

おまけ2の歌詞瞬時に分かった方は多分かなりのウルトラ通。
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