光の巨人のいない世界で怪獣娘達との話   作:クォーターシェル

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21話 大晦日

静かに雪が降る今年最後の夜。自分たちは家で思い思いに過ごしていた。

 

「「「かんぱーい!」」」

 

大人たちはリビングで忘年会をやっている。メンバーは両親とミコさん。それから父さんやミコさんの同僚である沢中イズミさんという女性だ。彼女に最初に会った時は中学生くらいかなと思ったくらい低身長で童顔なのだが、立派に成人しているらしく。父たちと一緒にお酒を飲んでいる。

 

「結局チ…千頭たちは来ないのか?」

 

「ええ、『それより仕事を片付けなければならない』とかいって来なかったの。せっかくの年末年始なのにねー今回は私とペ…じゃないイズミちゃんだけよ」

 

「はい、本当は私も残ろうと思っていたんですけどミコさんがどうしてもと」

 

「へえ。前から思ってたけど二人とも仲がいいんだね」

 

「!い、いえ、半ば強引な形で…」

 

「もー。イズミちゃんってば照れ屋さんなんだからー」

 

と大人たちが話してるのを尻目に自分とゼットンはテレビの紅白歌合戦を見ていた。当然と言えばそうだが、今年注目された歌手が歌っている。

 

「ゴモォ…人間ってこういうのが面白いの?」

 

「まっ、そうだよー」

 

「ノイズラーがいたらどう反応するんだろ…」

 

お客さんはミコさん達だけではない。自分が呼んだ訳ではないがゴモラ、バキシム、ザンドリアスが一緒にテレビを見ている。ゴモラはいつもの如く勝手に『門』からやってきて、バキシムとザンドリアスは普通に玄関から年越しそばを土産に入ってきた。

最初は怪獣は呼ばず、家族だけで静かに年越しする予定だったが、父さんの方も同僚を連れて来てるし、まあいいかと思った。

 

「あっちで飲んでるお酒私も欲しいなー」

 

ゴモラは大人たちが囲んでいるテーブルを見ながら言う。

 

「駄目だよあれは人間の世界では大人しか飲んじゃいけないんだ。ジュースで我慢してね」

 

実際怪獣に法律が適用されるのかどうかはよく分からないが、絵面的には完全にアウトだろうな。ていうかロクな展開になる予感がしない。

 

「わかったよう、ジュースで我慢するゴモ…」

 

「うんそれがいいよ。」

 

子供はジュースを飲むのに限る。ゴモラがゴクゴクとボラジョジュースというどこかで聞いたことのあるようなないような名前の果物のジュースを飲む。どこで売ってるんだろうこのジュース?やっぱ母さんが持ってきてるのか?

ふと、母さんといえばザンドリアスの家族のことに思い至る。

 

「そういえば、ザンドリアスは家族と一緒に過ごさないの?確かお母さんがいるって聞いたけど」

 

「ちょっ、その話題を出さないでよ!いいのよ、まだまだアタシは帰る気は無いから!」

 

ザンドリアスは少し機嫌を悪くしたようだ。彼女には母、つまりマザーザンドリアスが『門』の向こうにいるようだが、どうも彼女は家出のような形でこっちに来たらしい。それでバキシムの所に居候して今日に至るのだが、彼女はまだ意地を張り続ける様だ。

 

「じゃあサツキにお母さんをこっちに呼んでもらえば~?」

 

と、お菓子をつまんでいたバキシムがそう言った。そういう問題ではないような。

 

「そういう話じゃないわよ!まあ、ママがこっちに頭を下げてくれるならいいかもしれないけど」

 

どうやら親子喧嘩はまだ続くようだ。

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

「もうそろそろ神社にお参りに行くから準備しなさい」

 

しばらくTVを観ながらお菓子を食べて過ごしていると父さんが声を掛けてきた。

 

「わかった」

 

自分も部屋にいって防寒着を取り出してこよう。

 

「そういう訳で俺達はお参りに行くけどゴモラ達はどうする?」

 

「ゴモは寒いから行かないよ」

 

この間も寒がっていたからね。ゴモラはパスと。

 

「私たちはそろそろお暇しようかな。今日はお菓子とかありがとうね」

 

「いやこちらこそ年越しそば持ってきてくれてありがとう」

 

バキシム達はもう帰るようだ。じゃあ玄関まで見送ろうか。

 

「じゃあアタシもバキシムと一緒に帰るから。サツキのパパ?さんとママさんもありがとうございました!」

 

と、ザンドリアスが父さんと母さんに声をかける。

 

「うん、もう遅いし帰り道に気をつけてね」

 

「出来れば来年もうちの子と仲良くしてやってくれ」

 

家族でバキシムとザンドリアスを見送った後、自分達はお参りの準備をすることにした。

 

そういえばミコさん達はどうするのだろう?

 

「お父さん、ミコさん達は?」

 

「ああ、二人はゴモラちゃんもいるから家に残って貰うことになったよ」

 

確かに子供一人だけ残していくのはちょっと危ない気がするな。ありがとうミコさん達。

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

家にミコさん達とゴモラを残して出発した自分達は、あと10分くらいで日付が変わるという頃に神社に到着した。神社では他にも多くの参拝客が訪れていて、お焚き上げの為のたき火にあたっている人やお参りに来た人に配られている甘酒を飲んでいる人がいた。

自分達は参拝客の並ぶ列に同じようにならんだ。

 

「ねえサツキ」

 

並んで進み、もう少しで来年になるという時、母さんが話しかけて来た。

 

「今年はどうだったかな?良かった?」

 

今年はどう…か。

 

「今年は友達が沢山できたし、良かったよ」

 

うん、人間の友達も怪獣の友達もできた。他にも色々あったけど、やっぱり友達ができるのは嬉しいからね。

 

「それなら私も良かったよ。来年も新しい友達ができるといいね」

 

「うん。そうなれば素敵だね」

 

その後、日付が変わった後本殿の前に来た自分は新年の新しい出会いに期待しながら祈るのだった。

 

 

 

 

 

 

◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

――その頃江戸川家では

 

「このマンダリン酒?ていうお酒美味しいゴモ~」

 

「ちょっ!?ガッツさん!?なんでゴモラちゃんにお酒飲ませちゃうんですか!?」

 

「ふふふ、ゴモラちゃんの酔っぱらった姿というレアな図を撮りたかったのよ!は~いゴモラちゃんこっち向いてね~」

カシャカシャカシャ

 




珍しく次回予告。ティガのあの怪獣が出ます!

駄文閲覧ありがとうございました。感想評価お待ちしております。
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