「お願いっ!お金貸して!」
「え?」
桜の蕾が膨らんだ季節。自分はとある少女に頼み事をされた。
彼女はダダ。ウルトラシリーズに登場する宇宙人であり、初代ウルトラマンに出てきた宇宙人の中では珍しく星人と呼ばれていなかったりする。見てくれは不気味だが実際に初登場した回を見てみると世の中の世知辛さを感じさせてくれる奴だ。自分はそんなダダと知り合い。たまに家に対戦ゲームのメンバーとして呼ばれたりするくらいの仲にはなった。
怪獣と違って理性的に動くことが多い宇宙人なのでさほど問題行動を起こしてはいないはいいことだ。そんなダダは最近あるものにハマっているようだ。それは――
「ダダさん。一応最初に聞きますけど、何に使う金なんです?」
「それは…ガチャに使うお金を」
「やっぱりそうですか…」
「いや!次の給料日には返すよ!?どうしても引きたいキャラがいるんだよ!」
このダダ、こちらの世界のソーシャルゲームにドハマりしていて新キャラが出るたびにガチャを回しているらしい。まあゲームにハマるのは個人の勝手だが、だからといって知り合いに金を借りようとするのはどうかと思う。
「ギャンブルの為に子供からお金を借りようとするとか恥ずかしくないんですか?」
「うっ…辛辣…」
「いくら知り合いと言っても出来ることと出来ないことがありますよ」
「で…でもお願い…!」
ダダは涙目で土下座してくる。流石にそうまでしなくとも…
「わっ分かりましたよ…1回分だけ、ちゃんと給料日に全額返す感じで!」
「ほんと!?ありがとうサツキ~!」
と、結局ダダに金を貸すことになってしまった。
◇ ◇ ◇
さて、ダダは金を借りるとなにやら端末を取り出して操作をしている。しばらくすると。
「よしっ入金できた!」
ゲームの方の入金ができたらしい。
「ダーダー!ダーダー!」
なんだろう?この掛け声は
「一体なんですかその掛け声?」
「これは念を送っているの。1回しかできないからね」
「はあ…」
「よし!来い!」
ダダがゲーム画面を操作する。そして、
「あっ…」
ダダの顔から表情が消えた。これはダメなやつだ。
ダダが震えながらゆっくりとこちらに顔を向ける。
「サツキくん。お金「駄目です」」
「でっでも」
「でもじゃないです。1回分限りって言ったでしょ」
「くっ…こうなったら…」
ダダが腕を交差させる。すると
「ダーダー!」
ダダの衣装が微妙に変わった。具体的に言うと胸の部分の赤いパーツが青くなってその他の模様も変化している。
「ダダBです」
「…」
「さっきとは別人なのでもう1回「駄目です」あれ…?」
「別人じゃなくて同一人物でしょ」
「なっならばダダCに…」
「もう帰ってもいいですか?」
◇ ◇ ◇
「それは大変じゃったのー」
「はい…」
ダダと別れた自分は自宅でデバンとお茶をしていた。
「まったく、子供から金をたかるなど本当にしょうがないやつじゃなそのダダというのは」
「あの後ダダさんを振り切るのに苦労しましたよ」
「そのそしゃげ?とかいうのはよく分からんがサツキも賭け事の類には気を付けよ」
「はい」
そもそも自分は携帯を持っていないので手の出しようがないんだけどね。
「ああ、そうじゃ。すっかり忘れていたがサツキにも手紙が来ておるぞ」
「手紙ですか?」
『門』の向こう側へは直接呼ぶ以外にも手紙を通してやりとりができるようで最近では年賀状を怪獣達の方へ送らせてもらった。
さて、何の用事だろう。
「誰からの手紙ですが?」
「それが…分からんのじゃ」
えっなんか嫌な予感がするが
「分からないって、差出人には会ってないんですか」
向こうでは手紙でのやり取りは珍しく、デバンは直接手紙を受け取っているはずだが。
「いや、なんかいつの間にか鞄の中に入っていたのじゃ」
「そうなんですか」
なにそれ怖い
「とにかく受け取りますけどその手紙は?」
「ああちょっとまっておれ、複数枚あるのでの」
そうして自分は10枚以上の便箋を渡された。
「それじゃあ用もすんだし私はいくぞ。茶とお菓子ありがとうの」
そう言ってデバンは『門』の向こう側へ言ってしまった。
さて、差出人不明の手紙か、何が書いてあるんだろう。自分は便箋の封を1枚開けてみることにした。
そこには
『メラ』
と書かれていた。…?一体どういう意味だ?他の便箋も開けてみるが、書かれているのは何とも言えない単語だった。小一時間手紙とにらめっこしていると手紙の端に小さく番号が振られているのが分かった。もしかして、番号順に読んでいくのか?しかし一体なぜこんな真似を…?
そう思いながら手紙を番号順に並べてみる。すると
『ああ、貴方のことを考えると体がメラメラ燃え滾る。この思い貴方に届け』
と読めた。
怖っ!ストーカーか何かか!?一体何処の誰がこんな手紙を送ってきたんだ。
どうしよう…いっそのことこの手紙を見なかったことにしようか…
とりあえずこの手紙をシュレッダーにかけることにした。
◇ ◇ ◇
「――ということがあったんです」
「そう…ていうかなんで私に相談するの…?」
そんな怖いことがあった自分は金髪で黒いタイツの女性、マグマ星人に相談していた。
マグマ星人。かのウルトラマンレオの宿敵の一人でもある宇宙人でサーベルやフックを武器としている。
正直言って『門』の機能を知り始めた頃の自分なら絶対呼び出そうとしない相手だったが、なぜ相談できる仲になっているのかというと、
『友達を紹介したいの』
と先に友達になっていたローランに紹介されたのがこのマグマ星人だったのだ。
原作での関係では想像できなかったが、怪獣墓場に行ってから二人は交友を結んだらしく、偶に一緒に散歩するなどの仲に進展しているらしい。
最初は自分も相手も警戒していてぎこちなかったが色々悪さをしたのは昔の事らしく、今の性格は大分丸くなっているみたいだ。そういうことと、ある理由でこの相談をしたのだが、
「家族には話しにくいですし、それにマグマ星人さんってストーカーやってましたよね?」
「ち、ちょっと!?私はストーカーなんてやってないけど」
「いや、ローランさんに迫った挙句に殺そうとしてたじゃないですか。それを世間一般ではストーカーっていうんですよ」
「あの事については反省してるし…」
「とにかくそういう経験があるマグマ星人さんに相談したらなにかヒントが得られると思って呼んだんです」
相手が怪獣宇宙人なら警察より目には目を歯には歯をでこっちのがいいだろう。
「そ、そうね、ならあの宇宙警備隊に任せたらいいんじゃ…」
「宇宙警備隊はこの世界にはいないと思うんですけど」
確かにウルトラマンに任せるのがベターな方法かもしれないけどこの世界にはウルトラマンは実在しないのだ。
その後も話し合ったが結局いい解決方法は出なかった。
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