小学生最後の夏である。夏休みの宿題は済ませた?OK!とにかくまたまた宿題を片付け、夏休みを満喫することにしよう。
「市内のお祭り?」
「そうだよ、今年も行くでしょ?」
夏と言えば夏祭り。今年もお盆の時期に自分の住む町で行われるのだ。まあそれほど規模は大きくないが、花火の打ち上げもやったりする。そんなお祭りに自分達は今年も行く。
母さんとそんな会話をしていたら、
「ホント!?私も行きたい!!」
と今日も遊びに来てはスイカを食べていたゴモラが声をあげた。意外だな、人の多い所は余り行きたがらないと思っていたけど。
「おや、ゴモラちゃんもお祭りに行きたいの?」
「うん!連れてって連れてって!」
ゴモラは尻尾をブンブンと振る。分かったからその大きな尻尾を室内で振るのは止めなさい。
「ゴモラさん、お祭りに来るのはいいけど他の人に迷惑かけないって約束できます?」
「約束?」
ゴモラは首をかしげる。
「そうだねー、確かに公共の場で良い子にできない子は連れてけないかな~」
母さんもそう言う。いくらお祭りが楽しいからって羽目を外し過ぎるのは良くない。自分だけでなく皆が楽しんでのお祭りである。
「んー、分かった。約束するよ!」
取り敢えずゴモラは納得したようだけど、お祭りの最中は眼を放さない方が無難かな…。
「ゴモラちゃんも連れていくことに決まったけど、2人はどう?参加したいなら今の内だけど」
「はい~?」
「?」
と母さんは同じくリビングでスイカを食べていたピグモンとエレキングに視線を向けた。
◇ ◇ ◇
そして自分達は夏祭りに来た。ただいま屋台が並ぶ道を歩いている所である。
「そういえばお父さんは?」
「どうしても外せない用ができちゃったんだって。まあお父さんの分まで楽しもうか」
「そうなんだ。じゃあ俺と二人で皆のこと見ないとね」
今回は家族だけじゃなく、皆が来ているのだ。ピグモンは兎も角、ゴモラはよく動くしエレキングはこの中で一番小さいので目を放さない方がいいだろう。そんなこと考えていると
「サツキお面買ってー!!」
ゴモラが大声を出しながら手を振ってきた。どうやらお面に興味を示したらしい。
「お面?いいのかなお母さん?」
お母さんは、
「うん。じゃあ皆の分も買おうかな」
「いいの?」
「折角のお祭りだからね。サツキも楽しまなくちゃ」
そういう訳でお面屋の前にやって来た。色々なキャラのお面がある。
「どれにしようかな…」
悩んでいると、
「あっこれ私だ…!」
ゴモラがあるお面を指差した。それは怪獣ゴモラのお面だった。
「あっホントだ」
「これが欲しいなー」
と、ゴモラはねだる。まあお面を買いに来たんだし本人が気に入ったならそれでいいだろう。
「わー!私のお面もありますねー!」
ピグモンも怪獣としての自分のお面を見つけたようだ。そのお面…ガラモンかもしれない。
「あっ、エレキングのお面」
自分もエレキングのお面を見つけた。エレキングを見ると、
「…」
こっちを見ている…
「このお面いる?」
こくりとエレキングは頷いた。せっかくなので自分もウルトラマンのお面にしようか。
◇ ◇ ◇
ちょっとお母さん達とはなれてコンビニのトイレを借りた後、お面を買ったけど次はどうしようか。焼きそばでも食いに行こうかりんご飴をいただきにいこうか、そう考えていると、
「あれ?おとーさん、おかーさん?…どこ?」
迷子かなと声のした方をみると、そこには亀の甲羅のようなものを背負い、緑色の尻尾を生やし、潜水服の様な物を着た少女が居た。ああ、この格好、いつものパターンだなと思った。少女はキョロキョロと辺りを見回している。
百中一でただの迷子かもと思いながらも声を掛けてみることにした。
「あの、どうしたのかな?お父さんとお母さんとはぐれちゃった?」
「あれぇ?キミはだあれ?」
「俺は皐月。この縁日に遊びに来てるんだけど、お父さんとお母さんはどこにいったか分かるかな?」
「んー…おとーさんとおかーさん。さっきまで一緒に居たんだけど、今は分かんない」
少女は首をかしげる。やっぱり迷子のようだそして、
「君、名前言える?」
「うん!ボク、ミニトータス!」
やっぱり怪獣だった。ミニトータス…ウルトラマンタロウに登場するカメの怪獣だったか、お父さんとお母さんというものも親の怪獣であるキングトータスとクイントータスのことであろう。やっぱり怪獣墓場から来たのだろうか。
◇ ◇ ◇
「おーい」
「おーい」
取り敢えずミニトータスを連れて皆の所へ戻った。怪獣墓場に戻すことも考えたが、もしミニトータスの両親もこっちに来ていた場合、入れ違いになる可能性もあったのでまずはこっちで両親を探すことにしよう。皆は自分が見知らぬ少女を連れてきたことに少し驚いていた。お母さんが訪ねてくる。
「その子は誰かな?もしかして新しいお友達?」
「その、この子はミニトータスっていうんだけど、迷子らしいんだ。」
「おや、迷子か…じゃあ親御さんを探したほうがいいね」
「うんお願い」
「ねえお祭りは?お祭りは?」
ゴモラが訊いてくる。
「あっそうだね…じゃあミニトータスちゃんの親御さん探しを優先するけど縁日も楽しむということで。皆もそれでいいかな?」
「うん」
「はーい!」
「ん」
こうして皆で祭りの傍らミニトータスの両親を探すことにした。
◇ ◇ ◇
「そういえばミニトータスのお父さんとお母さんってどんな感じ?」
キングとクインも擬人化しているんだろうか?せめて外見くらい分からないと探しようがないし。
「ボクに似てるよっ!立派な甲羅を持ってるの!」
まあ劇中似ていたけどさ…もうちょっと他にないのかな?
するとミニトータスは俺とお母さんと見比べると。
「サツキとおかーさん似てない!」
と言った。野郎…タブーに触れやがった…
お母さんは
「血がつながってないからねー」
と苦笑いしていた。
取り敢えず自分も
「ミニトータス。血がつながって無くても家族になれることがあるんだよ」
と言った。ミニトータスは
「へー、そうなんだー」
吞気に言った。
「サツキわたあめ買ってー!!」
微妙になった空気を壊すようにゴモラが来た。
「わたあめってなあに?」
「甘くてふわふわしたお菓子だよ」
「わあ、食べてみたいな!」
「じゃあ一緒に買ってあげるから食べに行こうか」
わたあめ屋で皆はわたあめを買う。ミニトータスは渡されたわたあめを不思議そうに見ていた。
「雲みたいだねー」
「そうだね「おかわりっ!」ゴモラさん食べるの早っ!?」
ゴモラがわたあめが無くなった棒を差し出してきた。食い尽くすの早いな。遅れてミニトータスもわたあめを食べる。
「あまーい!美味しいねこれ」
気に入ったようで何よりだ。他の屋台の食べ物も見てみようかな。
◇ ◇ ◇
――りんご飴屋
「これ中身は本当に林檎なんだー!美味しいっ」
「おかわりー!」
――チョコバナナ屋
「これもふわりとして甘くていいね!」
「おかわりー!」
――焼きそば屋
「もぐもぐ」
「おかわりゴモ!」
自分達はミニトータスの両親の探しの傍ら色々な屋台の食べ物を食べた。毎回ゴモラがおかわりしてた気がするけどライブキングか己は。まあライブキングだったらここらの屋台の食べ物を食い尽くしそうだけど。あと他にもミニトータスが赤い水玉の模様が入った団扇を欲しがったのでこれも買った。
「ありがとう!これ大切にするね!」
「その団扇似合っているよ。あっもうそろそろ花火の時間じゃない?」
色々やっているうちに花火の時間が迫ってきた。花火をよく見るために自分達は高台に向かうことにした。
「ボク花火見るの初めてだな~」
「ミニトータスちゃんは花火見るの初めてかぁ」
「ふふっ、じゃあ今回はよく見たほうがいいですねー」
そんな会話をしながら自分達は高台にある公園に到着した。花火をみるためか既に人が集まってきている。念のためミニトータスに聞いた。
「ミニトータスさん。ここにお父さんとお母さんは居る?」
「うーん…居ないよ」
ここにもいないか…じゃあやっぱり怪獣墓場の方に居るのかな?まあ取り敢えず花火が終わってから考えよう。もう花火が打ち上る時間だ。
ヒュ~という音とともに一筋の光が空に上がり、ドンッという音とともに眩い色とりどりの光が夜空に弾ける。やっぱり日本の夏と言えばこれだろう。皆も空を見ながら顔を輝かせている。
「わあ~!キレーだな~!」
「夕日も良いが偶には花火もオツだね~」
「そうですねー」
「ゴモォ…」
「…」
次々に花火が上がっていき、夜空を華やかに照らす。
◇ ◇ ◇
花火も終わり、そろそろ帰る時間になった。結局ミニトータスの両親はこちらでは見つからなかったけど怪獣墓場の方に1人で帰ってもらうしかないか…
そう思っていると、
「あーっ!見つけたっ!!」
「あれ?ウインダムさん」
「あら、ウインダムちゃん」
『門』の方からウインダムが現れた。彼女は何をしに来たのだろうか。
「もしやと思ったけどサツキの所にいたか」
「ウインダムお姉さん!どうしたの?」
どうやらウインダムとミニトータスは顔見知りらしい。
「どうしたも何もお前がいなくなったって連絡を受けて皆で探していたんだよ!」
「そうだったんですか」
「そうなのー!?」
正直1人だけで向こう側に送るのは不安だったから迎えが来て一安心だ。
「というわけだ。ご両親が心配しているしさっさと帰るぞ」
「うん、分かったよ。でもちょっと待ってー」
ミニトータスはこちらに向くと。
「今日はありがとー!とても楽しかったよー!」
とお礼を言ってきた。
「どういたしまして」
「うん、良かったらまた遊びにおいでね」
「ばいばーい」
「迎えがきて良かったですねー」
こちらも口々に返す。最初はどうなるかと思ったけど良かった良かった。
「うん!じゃあまた遊びに来るねー!」
そう言ってミニトータスはウインダムとともに『門』の向こう側へ行った。
そうして自分達も帰る事になったが途中、
「かき氷買ってー!」
「まだ食べるの!?」
ゴモラがデザートを所望した。ほんとよく食べるな。
そしてまたしてもゴモラはおかわりするのだった。
◇ ◇ ◇
「――それでね、こんな団扇貰ったんだー!えっ?酷いことされなかった?全然!おとーさんおかーさん。人間っていい奴もいるんだねー!」
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