ウルトラ怪獣擬人化計画の二次創作がもっと増えればよいのにと思う
さて、あれから時間は結構進む。まあ特筆すべきイベントが小学校に入学したくらいだし、色々端折らせてもらってもいいだろう。
自分が江戸川家に迎え入れられてから数年たった訳だが、まあ家には馴染んだと思う。
みんな自分を暖かく迎えてくれたし、特に問題のある家庭ではない。というか問題のある家庭だったらそもそも自分を引き取る許可は降りなかっただろうし。
同性夫婦だったり奇抜な格好してたり(なぜか周囲の人間からはそう見えてはいないようなのだけど)そういうのを除けば割かし普通の家だと思う。
父さんは相変わらず家に居るときはゴロゴロしてることが多いが、最近我が家でTVゲームが解禁されてからは、一緒にプレイしてくれる。ちなみに家にあるゲームはパーティゲームとかレーシングとか対戦系のものばかりだ。RPGとか一人でのめり込むタイプのは母さん的にNGらしい。
他には1回親子らしい遊びとしてキャッチボールをしてくれたのだが、その際に腰をやってしまったらしく、その日以来キャッチボールはやってない。運動は苦手なのだろうか?
流石に仕事的にも運動不足はよくないと思うので勧めたら、早朝のジョギングを始めたらしい。
母さんは専業主婦として家事と俺の子育てをやってくれてなんというか、頭が上がらない。
というか本人が主張しないだけで、現在我が家のヒエラルキー最上位なのではと思う。
母さんが好きなことは家事の合間に家の小さな和室でお茶を啜ることらしい。その際にリビングにあるものとはまた別の、小さめのちゃぶ台を使っているが、なんでも母さんが故郷から持って来たマイちゃぶ台なんだとか。最近の楽しみは其処に俺を誘って一緒にお茶を啜ることらしく、自分が部屋に入ってくる際に「ようこそサツキ。私は君が来るのを待っていたのだ」言うのが定番になっている。
後、スキンシップを取ってくることが多く、ハグや頭を撫でることをよくしてくるけど慣れてきたとはいえやっぱり人前でやってくるのは恥ずかしいので止めて欲しい。
ゼットンは母さんとは対照的にそれほど自分に触ってくることはしない。むしろ行動を共にしてる時も一定の間隔を開けている感じだ。嫌われているのだろうかとも思ったが、もしかしてあの時自分に接近して驚かせたことを反省した結果…なのだろうか?単に自分を避けているにしても家の中だと大体自分についてくるし間隔もただ離れるというよりも付かず離れずの距離感を保っているようだ。
ある夜尿意がしてトイレに行こうと起きた事があったのだが、その時暗い部屋でゼットンがこちらを見て立っていたのを見た時は危うくちびるかと思った。自分が寝たら部屋に戻っているはずじゃなかったのか……?その後、トイレにまで着いてきたのだけど頼んでもいないのにそれは止めて欲しいと思う。別に怖いとかじゃないし。
まあそんなこんなでいい暮らしさせてもらってます。家族人外疑惑も割とどうでもよくなってきた感じだ。あれから特に奇妙なことも起こってないしー優しい美人のパパ(?)ママと後お姉さん的なにかと同居できてさー結構前世で言うリア充の分類に入ってるんだと思うんだよね。
前世よく覚えてないんだけど間違いなく前世よりいい人生送ってるって感じがする。
◇ ◇ ◇
いい人生送ってるって言ったけど、問題はあるにはあった。
「ふー………」
と、一人ベンチに座って深いため息をつく。
ここは家の近所にある大き目の公園だ。今日は休日で、特に予定もなかったので小学生らしくこの公園に遊びに来ていたが、遊んでいてしばらくして自分はある悩みに気づいた。
遊具で遊んでいる子供たちを見ながら、こう呟く。
「中々友達できないなー……」
そう、どうも今世の自分は友達を作るのが苦手だった。施設では割と上手くいってた気はするんだけど、どうもこの町に越して来てからは友達らしい友達が出来た事が無い。
あれー自分こんなに友達作るのって下手だったっけ?と思う。なんか一定は親しくなれるけどそれでもそれ以上には仲良くはなれない感じなのだ。
なんなんだろうね、前世の記憶があるから精神が同年代とずれているとかそんなのだろうか。しかも肝心な前世の知識には友達の作り方とかそういうのは無いと来た。アニメだのの知識は無駄にあるのにもっと実用的な情報を前世から持って来れなかったのだろうか。
そんな訳で絶賛友達作りに苦戦中な訳である。やはりこれからの青春、友達がいるのといないのとでは大違いだろうし、あんまりにぼっちなようなら両親にもいらぬ心配をさせてしまうだろう。
しかし実際問題友達ができないのが現状なので、自分はこれからどうしようかと遊ぶ子供を遠目に眺めながら途方に暮れていたわけである。
「あー、友達が欲しいなー」
「友達が欲しいのですか~?」
「そーなのー」
「なんでですー?」
「なんでって、友達いないからだよー」
「じゃあ私が初めての友達ですね~」
と、そこまで会話が続いた段階で思う。…自分、誰と話しているんだ?
声のした方に視線を移す。そこには赤毛の少女が立っていた。
「だ、誰?」
と自分が問うと、
赤毛の少女はにぱーっという擬音がでそうな笑顔で言った。
「こんにちは~私はピグモンですよっ!」
ピグモン?ピグモンと言えばウルトラマンに登場するマスコットみたいな怪獣だけど……
改めてその少女を見てみる。
ツインテになっている長い赤髪にそれと同じ色の衣装、腰にはあのピグモンの長い手の様な装飾がついている。
なるほど、確かにピグモンが人間になったような感じではある。
でもなんでそんなのがこんな所にいるのだろう?
「俺は皐月だけど…ちょっと待って。そのピグモンがどうしてこんな公園にいるの?」
「どうしてですか~?サツキくんが私を呼んだのでは?」
え?いや、自分は彼女を呼んだ覚えなど全然ないのだが…?
「いや…俺は友達欲しいって言ったけど、誰か個人を呼んだ訳じゃないんだけど……」
「ええ~~!?そうなんですか~~?私はサツキくんの友達が欲しいって声が聞こえて来たからここまで来たんですよ?」
「えっ、どこから来たの?」
「私は、あそこの向こう側の世界からやってきたんですよ~『怪獣墓場』って所なんです」
と、ピグモンは『門』を指さす。
えっえーとつまりあの『門』は本当に怪獣墓場に続いていて、ピグモンはそこから自分の声を聞いてはるばるやって来たってことなのか?
「ほっ本当なの?」
「はい~。どうしても気になってそれであの『門』を潜り抜けたら、ここについたんですよ」
「そっ、そうなんだ…じゃあ、俺の友達になってくれるのか?」
「もちろんですよー!このピグモン一人の子供を放っておけませんからー!!」
マジか。友達が欲しいとは言ったけどまさか特撮のキャラが友達になるとは思ってなかったぞ。あの門いままでわけわかんなかったけど今初めて自分の役に立ったんじゃないだろうか。
ここは是非彼女の言葉に乗るとしよう。
「そうか!ありがとうピグモンちゃん!俺の友達第一号だな」
「ええ~!これから私がサツキくんの友達ですよ~」
「よっしゃ!じゃあ早速遊びに行こうか」
「はい、行きましょ~」
という訳で、自分達二人は公園で遊ぶことにした。ここはそれなりに広い公園なのでまあ遊ぶ場所には困らない。それにしても一人増えるだけで遊びの幅が広がる広がる。シーソーも出来るし、しりとりもあっち向いてほいだってできる。これは一人では味わえない感覚ですよ。
とにかく、いままで燻っていたものを燃焼させる勢いでピグモンと遊びまくった。
ああ、いい、実にいい、小学生の青春ってこんな感じだよな。なにか小学校に上がってからの微妙なボッチ感が馬鹿らしくなってきた。
しかしちょっと疲れて来たので小休止することになった。
そして自分は休憩がてら少し気になったことをピグモンに質問することにした。
「なあ、怪獣墓場ってどんな所なの?」
「そうですね、とても広くて~、とても静かな所ですよ」
「そうか。割と居心地のいい所なのかな?」
「はい~。みんな普段は静かに眠っていますし。でも、私はここの方が好きですね~」
「そうなの?」
「私は誰かと遊んだり話をしている方が好きなんですよ。墓場では滅多に話をしたり遊んでくれる相手がいませんから~」
「そうなんだ。ピグモンは陽キャなんだね」
「陽キャ~?」
「あっ、いや、明るい人ってことだよ」
いかんな気を付けないと変なスラングを言ってしまう。しかしなるほど、怪獣墓場はウルトラマンで言われていたように怪獣たちが静かにしている場所のようだ。
次に俺は『門』を指さして質問した。
「じゃあさ、ピグモンはあの『門』についてなにか知らない?」
「はいはい。私も余りよくは知りませんが、あの『門』は怪獣墓場と色々な宇宙と繋がっていて~、怪獣たちはそれを通じて怪獣墓場に流れてくるそうです」
「そうなのか、なんかあの『門』は俺の側に付いてくるように現れるんだけどそれについてはなにか知らないかい?」
「すみません。それは私も分からないです~。でも、それくらいの大きさの『門』は珍しいというか、私は初めて見ましたよ」
そうか。向こうの住人ならなにか分かると思ったけど結局のところこの門はなんなのかは分からないままらしい。
◇ ◇ ◇
その後もピグモンが何処からか出した風船を他の子供にも渡してみんなで遊んだりもしたが、いつの間にか空は夕焼けに染まっていてそろそろ家に帰る時間となった。家は一応門限が決まっていてそれを越えると何処からともなく現れたゼットンによって強制的に連れ帰られることになる。
別に家から遠い場所でもないしゼットンの手を煩わせる前に帰宅したほうが良いだろう。
「ピグモンちゃん。俺はそろそろ帰ろうと思うんだけど、ピグモンちゃんはどうするんだ?ちゃんと帰れる?」
「はい。大丈夫ですよ~。『門』から元の怪獣墓場に戻れると思います」
「じゃあお別れかな。今日は本当に楽しかったよありがとう」
「どういたしまして~その、サツキ君に頼みたいことがあるんですが、いいですか」
「ん?なに?」
「また、私を呼んでくれませんか。こういう色んな人がいる場所って中々いけなかったので」
「ああ、いいよ。またピグモンちゃんを呼べばいいんでしょ?また色んな所にいこうよ」
「あっありがとうございますっ~!」
ピグモンはよほど喜んでいるのかピョンピョンと跳ねていた。なんだろう可愛いじゃないか。
「それじゃあ約束ですよ、またこのピグモンを呼んでくださいね~」
そう言ってピグモンは『門』の側によると、ふっと消えてしまった。恐らく、向こう側にある怪獣墓場に戻って行ったのだろう。
それを見届けた自分は、家族に新しく友達が出来た事を報告しに、帰路に着くのだった。
今更ながら主人公の名前が怪獣娘黒のキャラの名前と被ってるのに気づいた…
一応本作の世界は怪獣娘とは別世界なのですが