仮面ライダーEpisode DECADE   作:ホシボシ

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第76話 世界の破壊者

 

 

激闘の末、立っていたのは――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガァッ! ッッ! グゥウ……ッッ!!」

 

「ハァ……ハァ――ッッ!!」

 

 

立っていたのは、ディケイドだった。

地面に倒れたCOBRAは変身が解除されて秋人の姿に戻っている。彼は呼吸を荒げ苦しそうにディケイドを見て笑っていた。

司も変身を解除して秋人に視線を合わせる。二人は笑う、面白くも無いのに笑っていた。お互い何故かよく分からないがそれでも浮かべる表情は『笑み』だった。

 

 

「まさか……僕が負けるなんて――ッッ」

 

「悪いな、俺はこの世界のためにもココで負ける訳にはいかないんだ」

 

 

そう言って歩き出した司、しかしそこで秋人は司を呼び止める。

まだだ、まだ一番大切な事を残していると彼は言った。大切な事? 司が言うと、彼は含みを持った笑みを向ける。

 

 

「止めを刺せよ」

 

「………」

 

 

まさかココで見逃すなんてないよな? 秋人は自分が既に人を何人も殺めている事を告げる。

ココでもしも司が見逃せば、きっとまた自分は人を殺すはずだ。それは司の正義とはかけ離れる行動。

同時にして、それがショッカーの中で生きると言う事なのだから。

 

 

「殺れ、僕を。正義と甘えは違うだろ? 安心して僕を殺せよ」

 

「………」

 

「気にする事は無いさ、キミは今日一人の悪党を殺すんだ」

 

 

 

司はその目に光を灯してライドブッカーを剣に変える。

そして秋人へ近づき、一言彼に問うた。それは以前自分達を襲ってきた時、何故彼は一度自分達を逃がしたのかと言う事だ。

別に自分が試練者だと継げず、あのまま殺せばよかったのに彼は自分達に一度チャンスを与えた。

 

 

「お前は、本当は――……」

 

「やめろ」

 

 

司は彼の制止を無視して続ける。何故彼があの場で自分達を逃がす行動をとったのか、簡単じゃないか。

彼はまだ完全に闇には堕ちていないと言う事だ、彼は自分達を助けようとした。それだけじゃないか。

 

 

「お前はまだ、"コッチ"がいいと思ってるんじゃないのか」

 

「………」

 

 

秋人は何も言わなかった。

ただ一言だけ、彼は小さな声で強く言い放つ。それは彼の答えなのだろうか? 司は何も言わずに彼の言葉を聞いていた。

 

 

「僕は、大ッ嫌いなんだよ……大ショッカーも、お前等も」

 

 

そして――

 

 

「僕自身もな!」

 

「ッッ!?」

 

 

その時だった。無数の蝙蝠が現れて司の視界を奪う!

すぐに剣を振り回して状況を確認する司、蝙蝠が散っていくとソコにはもう秋人の姿は無かった。

 

 

「………」

 

 

無言の司、確かに彼はココで殺しておかなければならなかった。しかし何故だろう、少しだけ安心してしまった自分がいるもの事実だ。

本気で殺すつもりだっただけに、ライドブッカーを持つては未だに震えている。果たしてこれは司が甘かっただけなのか、それとも秋人の運が良かったのか。

それとも運命が彼を生かしたのか、それは誰にも分からない。

 

 

「兄さん!」

 

「!!」

 

 

司が振り返るとマシンキバーに乗った亘と、その背中にもたれ掛かっている夏美が見えた。

どうやら亘が夏美を回収してココまできたらしい、彼の背後には自動操縦のマシンキバーラが見えた。

 

 

「もう時間が無い、まだ抵抗力は一定値には達してないらしいし……」

 

 

結構やばいぜ、亘の言葉に司は頷く。

フィロキセラがどこにいるか分からない以上、とにかく仲間と合流して作戦を立てるしかないのか。

もう迷っている時間は無い、司はマシンディケイダーを召喚すると勢い良く乗り込んだ。そして――

 

 

「夏美、お前は学校に戻るんだ」

 

「………」

 

 

無言の夏美、彼女は疲労しきった表情で不満げに頷く。

自分の事は自分が一番知っている。既にもう自分が動けない事が彼女にはよく理解できている。

 

 

「分かりました……」

 

 

少し涙を浮かべて夏美は了解する。

亘が既に応援を頼んでいたのか亘達が来た道からマシンゼロホーンに乗ったハナが駆けつける。

小さい身体に合わせてなのか、サイズが小さくなっているマシンゼロホーン。普通に子供が乗っている状況なのだが、ゼノン達が施した補正がかかっているおかげで誰も不思議がる事はないのだろう。

彼女は夏美を護衛してくれると言い、胸を張る。

 

 

「任せよう」

 

「お願いします。ハナさん」

 

「うん、わかったわ!」

 

 

ハナはピョコンと音がする様に勢い良くバイクから降りると、へばっている夏美を抱えてマシンゼロホーンへ戻る。

夏美のバイクは自動操縦ができる為に彼女が乗っていなくても問題ない、夏美は今にも気絶しそうな目で二人を見ると少しだけ笑みを浮かべる。

 

 

「司くん、亘君……頑張ってく―――ぃ」

 

 

ゆっくりと目を閉じる夏美、どうやら限界が来た様だ。

まるで子供のように眠りこける夏美を見て三人はヤレヤレと笑う。さあ本当に時間が無い、それぞれは頷くとすぐに行動を。

 

 

「司、亘」

 

「?」

 

 

ハナは去り際に笑みを浮かべて二人を見る。

もうすぐ世界が滅びるかもしれないと言う焦りは彼女にない様だ。何故ならば彼女は信じている。

この世界が滅びる事はないと。

 

 

「貴方達ならできるわ、応援してる」

 

「ああ、最強に心強いぜ」

 

「ういっす! 行ってきます!!」

 

 

それを聞くと満足そうに笑って手を振るハナ、二人は頷くとテレビ局に向かって一気にスピードを上げる。

その最中、亘の携帯に着信が入る。キバットに手伝ってもらい電話を取る亘、相手は我夢だった。どうやら亘に告げたい事があったらしい。

 

 

『惠理さんを探してみたんだけど、どこにもいないんですよ』

 

「マジか……」

 

 

日向惠理、生放送中にナンバーファイブに連れられてスタジオを後にしたらしいがソレから彼女の行方がどうも分からない。

既にテレビ局の中は機動隊が突入しており、人質達もライダーの活躍があってほとんどが無傷と言う状況だった。

しかしテレビ局内のどこを探しても惠理の姿がない。そして彼女を連れ出したとされるナンバーファイブと、ボスであった筈のフィロキセラの姿もだ。

 

 

「じゃあ普通に考えてもうテレビ局にはいないって事か?」

 

『うん。話によれば――』

 

 

我夢達が戦っている間にテレビ局から一機のヘリコプターが飛んでいくのを確認した人がいるらしい。

目撃者も曖昧な様子だったが、ヘリコプターの扉が開いておりソコに軍服の兵士と女性が乗っていたとか。

女性は何かを叫んでいる様だったが聞こえなかったとか。

 

 

「ん! って事はそれが惠理さん?」

 

『可能性はありますね、ただちょっとコッチも厄介な事になって……て!』

 

 

どうやら時間が経った証拠なのか、テレビ局の上層部にショッカー戦闘員の姿が見えてきた。

それに屋上に何か異変が起きたとブレイドやクウガが見つけた様だ、今から急いで響鬼も其方に向かうらしい。

了解して電話を切る亘、再び変身を行うとディケイドと共にブロンブースターを発動して一気にスピードを上げる。

 

 

「兄さん!」

 

「あぁ!? 何か言ったか?」

 

 

風を切り裂く音とエンジン音でかき消される二人の声、キバは少し大きめな声でディケイドに向かって叫ぶ様に声をかける。

 

 

「こんな所で負けるなんてねぇよな!」

 

「当たり前だろ!!」

 

 

ニヤリを笑う二人、仮面でお互いの顔は見えないが確実に笑っていると双方核心を持つ。

珍しい、いきなり気が合うなんて。そんな事をキバが言うとディケイドは当たり前だと笑って見せた。

 

 

「俺たちは兄弟だからな」

 

「ああ、腐ってもな!」

 

 

爆発的な加速力のおかげか、二人は一気にテレビ局の前までやって来る事に成功した。

しかしそこで二人の前に姿を見せたのは響鬼とブレイド、それだけなら何らおかしな点は無いが問題は二人が上空から落ちてきたという事だ。

 

 

「椿!?」

 

「が、我夢!?」

 

 

地面に叩きつけられた二人の装甲はボロボロ、さらにダメージが大きいのかブレイド達の変身が強制解除されてしまう。

姿を見せたのは全身から出血が見られる椿と我夢だった。

 

 

「いってぇ……!」

 

「クッ! なんて奴等だ――ッ」

 

 

相当ダメージを負っていると言う事が二人の様子から分かる。

しかし我夢はつい先ほどまで普通に自分と会話をしていた筈、ならばその短時間で彼はココまでのダメージを負ったと言う事になる。

すぐに何があったのかを聞くディケイド、比較的にダメージが軽い我夢が全てを彼に説明し始めた。

 

それは我夢が言っていた屋上に起こった異変。

どうやら大ショッカーの増援部隊が屋上にやってきた様なのだがソレがとんでもない強さなのだと言う。

たまたま近くにた響鬼、ブレイド、クウガ、アギトが合流して挑んだのだが結果は惨敗だった。

向こうにまともなダメージすら与えられずに自分達の戦いは終わったと言う。

おそらく近くにアギトとクウガが一緒に落ちている筈、彼らもまた大きなダメージを受けて自分達と同じような状況になっているだろうと。

 

 

「今……良太郎先輩が、戦って――」

 

 

少し遅れてきた電王が今屋上で戦っていると言う。

喉を鳴らすキバ、四対三でコチラが負けるとは、つまりそれほどショッカー側の怪人が実力を持っていると言う事だ。

しかし逆にコレはチャンスでもある。フィロキセラを倒せなくても恐らく屋上にいる三体の怪人を倒す事ができればノアの進行を防げるのでは?

 

 

「確かに、そうかもしれない」

 

 

頷く二人、そうと決まれば早く屋上に行かなければ。

ディケイドはブレイドジャックフォームに変身するとキバを掴んで飛翔、一気に屋上に向けて翼を広げた。

そして屋上についたディケイドはそこに見えた光景に再び絶句する事となった。脳裏に焼きついた恐怖と怒り、悔しさが焦がれる。

 

 

「おりゃあああ!!」

 

「ゼイッ!!」

 

 

屋上にいたのは三体の怪人と火花を散らしている電王だ。

クライマックスフォームとなった彼は三体の怪人と互角、いやもしかしたら押しているくらいの勢いで戦っている。

しかしそれでも一対三ともなればダメージを受けるなと言う方が不可能だろう。電王は背後から受けた巨大な刃の一撃にてディケイドの所まで吹き飛ばされる。

 

 

「いててっ! って、おうお前等か」

 

「だ、大丈夫っすか?」

 

「………」

 

 

電王を支えるキバと拳を握り締めて三体の怪人を睨むディケイド、キバも異変に気がついたのか改めて三体の怪人を見てみる。

それは巨大な刃を持った者、それは蜘蛛の化け物、それは緑の棘を持った怪人――

 

 

「ムッ! お前は――!」

 

 

どうやら向こうも向こうでディケイドの姿に気づいたらしい。その怪人達、"ハサミジャガー"隊は並び立ちディケイドを威嚇する。

てっきり死んだかと思っていたら別世界で再会するとは思っていなかったのだろう。別人なのか、はたまた同じ人間なのか、疑問は強いが――

 

 

「まあいい、たとえどんな事情があるにせよショッカーの敵となる者は皆殺しだ」

 

「うむ、それが掟と言うものだ」

 

「ギシャシャシャ!」

 

 

思い出すのは敗北の記憶、全ての攻撃が通用せずに負けただけではない。

特にハサミジャガーにはライドブッカーを破壊され、かつ夏美にもその刃で瀕死の傷を負わせた怪人だ。

 

 

「……なあ亘、モモタロス」

 

「ん?」

 

「あ?」

 

 

ディケイドは言う、どうか下に降りてくれないかと。

それが意味するのは一つ、ディケイドは個人で三体に戦いを挑むつもりなのだ。

既にクウガ達と戦っているにも関わらず余裕を見せている三体、それにディケイドだけで勝つのはほぼ不可能な話にしか聞こえない。

 

 

「おいおい、何言ってんだ馬鹿か!? 死ぬぞ!」

 

「そうだぜ兄さん! 時間もないしボク達三人で――!!」

 

「頼む!」

 

「「!」」

 

 

もうノア到着まで一時間もない筈。

あの三体を倒す事ができても一定値に抵抗力が届くかどうか分からないのに、いくらなんでも危険な賭けが過ぎる。

キバも電王も一度は止めるのだが――

 

 

「そう。でも……! あいつ等だけは俺が倒さなきゃいけない気がするんだ!」

 

「!」

 

 

それはキバにも電王にもよく分かった事だ。何故か今回の世界で特定の敵にそう言った思いを抱いてしまう。

早くしなければならないのに、それでもアイツだけは倒さないといけない。倒さなければ前に進めないんじゃないかと思ってしまう。

ディケイドにとっての相手があの三体だという事なのだろう。

 

 

「チッ! 仕方ねェな、負けたら速攻で俺がぶっ倒してやるぜ」

 

 

そう言ってソードフォームに戻った電王は屋上から跳んで下に降りていく。

迷うキバ、しかし彼もディケイドの気持ちが分かる。仕方なく電王の後を追って飛び降りたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アデーッッ!!」

 

「ドゥエア!!」

 

 

ちなみに譲るぜ、などと言う雰囲気でカッコよく飛び降りた二人だが流石に高さがあったのか電王はへばりつく様に地面に叩きつけられて着地に失敗。

キバも着地を決めたはいいが足に伝わる振動と衝撃でしりもちをついてしまった。

 

 

『はぁ、本当に先輩って馬鹿なんだね』

 

『やーい、バーカバーカ!』

 

『かぁ、鍛えとらん証拠やなモモの字!』

 

「う、うるせぇ! ちょっと滑っただけじゃねぇか!!」

 

 

フラフラになりながら立ち上がる電王と尻を押さえて転がるキバ、果たしてどうなるか?

ココが最大のラインになりそうだ。良太郎はソレを感じて喉を鳴らすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ!!」

 

 

一方屋上のディケイド、彼はまずカブトにフォームチェンジを行う。

クロックアップを発動して奇襲を狙うつもりだったが、既に前回の戦いで対処していたのかサボテグロンが瞬時にサボテンの檻を形成してディケイドを閉じ込めた。

囲まれたディケイドもまた次の行動を察知してマスクドフォームへ変身。おかげでとんできた針の連射を防ぐ事ができた。

 

 

『アタックライド』『キャストオフ!』

 

 

装甲の破片を周囲のサボテンに向けて発射するディケイド、しかし驚くべきなのはサボテンの強度。

何とキャストオフの破片ではサボテンを破壊する事ができなかった。さらにサボテグロンはディケイドがカードを発動する前に周囲の爆発させ、彼に大きなダメージを与える。

 

 

「クッ!」

 

 

煙を上げてよろけるディケイド、そこへ跳んでいくのは蜘蛛の巣を盾としていた蜘蛛男。

ディケイドは冷静に起動を見極め、あわせる様にしてライダーキックを発動してみせる。

 

 

「ラァッ!!」

 

「ギギギッ!!」

 

 

しかしまたも驚くべきは蜘蛛の巣の強度、蜘蛛男の糸はライダーキックを打ち弾き逆にディケイドへ隙を生ませる。

その胴体に向けて蹴りを放つ蜘蛛男、吹き飛ぶディケイドは地面に叩きつけられながらも龍騎へ変身。

ストライクベントの炎弾を三体に向けて放つ。

 

 

「無駄だと言うのが分からないらしいな!」

 

 

拳を叩くサボテグロン、するとサボテンの壁が現れて炎をかき消した。向こうは草、しかも自分はパワーアップを果たしたと言うのにこの現実。

迫ってくるハサミジャガーに向けてディケイドは剣を振り回すが、何のダメージも与えられず弾かれていく。

最終的には――

 

 

「シッザァアアアアアアアアアアアアアスッッ!!」

 

「うぐぁあああああああああああああああッッ!!」

 

 

突き出された刃をその身で受けるディケイド、バックルを捉えたのかディケイドは転がりながら司の姿に戻ってしまう。

苦痛の声を漏らして地面に倒れる彼へ、武器を構えたそれぞれの怪人が迫ってくる。

 

 

「やはりあの時の男か、何故ココにいる?」

 

「言う訳……ねぇだろうが!!」

 

 

ライドブッカーを持ち走る司、しかし生身の彼では勝てる訳もない。

簡単にサボテグロンは司の攻撃を弾き返して腹部に蹴りを入れる。もう一度だけと言って同じ質問を行うハサミジャガー達、しかし司の答えもまた同じだった。

 

 

「ならば死ね、今度こそな」

 

 

刃を振り上げるハサミジャガー、再び変身を行おうとカードに手をかける司――

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

「「「!!」」」

 

 

突如空間が割れて、そこから赤い龍が姿を見せる。

ドラグレッダー、彼は呆気に取られているハサミジャガー達に向けて赤い炎を発射した。

それは地面に向けれて放たれたものであり、爆発を起こす屋上と爆風で吹き飛ばされる司。

 

 

「ってうわぁ!!」

 

 

彼はそのまま吹き飛ばされて屋上の下へと落ちてしまった。

落ちて行く司と姿を消すドラグレッダーを見て鼻をならず怪人達。何やら意気込んでいた様だが雑魚は雑魚、自分達の相手では無いと。

 

 

「さあ、ノアの座標位置を指定しましょう」

 

「ああ、空間を認証する必要があるからな」

 

 

どうやらハサミジャガー達はノアをこのテレビ局の前に出現させるつもりらしい。

その為の位置を本部に連絡しようと機械を動かしていた。

 

 

「う、ウオオオオオオオッッ!!」

 

 

一方で変身が解除され生身のまま落下していく司、このまま地面に激突するのはヤバイ!

何とかドラグレッダーには助けられたが彼はもう消えてしまった、変身しようにもディケイドのカードを取り出そうと焦ってしまいうまくいかない。

そうしている内に近づいてくる地面、激突すれば恐らく――

 

 

「!!」

 

 

今に激突と言うところで司の体がフッと軽くなる。

何が起こったのか、司が体に感じる感触を確かめるとどうやら誰かに掴まれていると言う事が分かった。

要するに誰かが司を掴んで助けてくれたのだ。見ればそれは――

 

 

「大丈夫? 司君」『Reformation』

 

「拓真!」

 

 

アクセルフォームの変身を解除する拓真、どうやら彼がそのスピードで司を助けたらしい。

同時に上から龍騎が降ってきて司に駆け寄る、先ほどのドラグレッダーは彼が召喚してくれたものらしい。

 

 

「兄さん!」

 

「大丈夫か司!」

 

 

他のメンバーも既に合流していたのかユウスケ、翼、龍騎、ファイズ、椿、我夢、良太郎、キバがそれぞれ司に駆け寄っていく。

さらに猛スピードで駆けつけたのはカブトとガタック、こうして全員が合流を果たす。

 

 

「やっぱ駄目だったんだ」

 

「流石に……三体は厳しいな」

 

 

司は悔しそうに頭をかく。

もういよいよ時間がない、司としては不本意だったが全員であいつ等に挑むしかないと――

 

 

「だったら、リベンジをすればいい」

 

「は?」

 

 

カブトがニヤリと笑って司に提案する。

 

 

「お前の大切な物はあいつ等に砕かれたんだろ? だったら、このまま終わるのはお前としても不満が残る筈だ」

 

「そ、それはそうだけど……一人じゃあいつ等には勝てない」

 

 

悔しいが流石にこれ以上粘ると時間が危ない、それに自分の命だってそうだ。

 

 

「だがあいつ等を倒さなければ、お前は前に進めない」

 

「……確かに、そんな気はする」

 

 

だったらと、カブトは変身を解除して司に指を向ける。

 

 

「一人で勝てないなら、俺たちの力を使え」

 

「ッ!」

 

 

そこで手をバンと叩き合わせて変身を解除する龍騎、真志もまた双護と同じような事を言ってみせる。

しかしそんな事は――

 

 

「ライダーシンドロームだったな、アレだよアレ」

 

「ッッ!!」

 

 

真志の言葉で目を見開く司。そうか、アレがあった! まだ自分達にはとっておきに切り札が残っているじゃないか。

クウガからディケイド、10人の力を合わせた力を解き放つライダーシンドローム。その力があればきっとこの状況を覆す事ができる筈だ。

 

 

「珍しい事だが、今俺たちの想いは驚くべきほどに一つだ。そうだろ? 皆」

 

 

らしくないと言えばそうだが、双護の言葉に一同は頷く。

性質状力を与える事はできないが、鏡治もウンウンと頷いて司に笑みを向ける。

じゃあと彼は手を叩いてガッツポーズを決めた。

 

 

「ああそうさ! じゃあ皆司を中心に並ぼうぜ!!」

 

『お前が言うモンなのか……』

 

 

ガタックゼクターは呆れた様に言うがユウスケ達や司は鏡治の言葉に強く頷き陣形を取る。

司を中心にして並び立つ9人、司は変身を解除したままでバックルを展開する。ライドブッカーから10の紋章が並んだカードを引き抜く司。

10人の心は一つだ。この世界を守る、そして旅を続ける。心にあるのは皆同じ――

 

正義の心だった。

 

 

『ファイナル・カメン・アタック・フォームライド――』

 

 

全員の腹部にそれぞれのベルトが現れて激しい光を放つ!

それぞれのメンバーは司に一番大事な所を譲るために全ての力をベルトに乗せていった。

悪いな、司が笑うとそれぞれは笑みを浮かべて気にするなと笑う。

 

 

「親友だろ、司!」『ククククウガ!』

 

 

クウガの構えを取って笑うユウスケ、彼は司の事を親友と言った。

 

 

「頼りにしているよ、司君」『アアアアギト!』

 

 

アギトの構えを取って笑う翼、彼は司の事を頼りにしていると言った。

 

 

「お前はオレと似てる気がするぜ、だからオレみたいに後悔すんなよ!」『リュリュリュリュウキ!』

 

 

ファイナルベントの構えを取って笑う真志、彼は司と自分が似ていると。

 

 

「司君、もっといろいろな事を教えて欲しい。僕は知りたいんだ」『ファファファファイズ!』

 

 

手首をスナップさせる拓真、彼は司の事が知りたいと笑う。

 

 

「おいおい、お前は面白いヤツだ。こんなつまんねぇ相手に負けるなんて許しまへんで!!」『ブブブブレイド!』

 

 

剣を突き立てる動作を行う椿、司を面白いと言った。

 

 

「司先輩、貴方は僕のヒーローですよ」『ヒヒヒヒビキ!』

 

 

シュッと手を敬礼の様に払う我夢、彼は司が主人公だと笑う。

 

 

「お前は凄いヤツだ、それを誇りに思え」『カカカカブト!』

 

 

指を天に向けて指す双護、彼は司の事を凄いヤツだと言った。

 

 

「そうだね、司君は凄いよ。憧れるよ」『デデデデオンオウ!』

 

 

モモタロスの真似をする良太郎、彼は司を憧れると言った。

 

 

「ボクは……に、兄さんには負けたくない! だから他のヤツに負けんなよ!!」『キキキキバ!』

 

 

両手を広げてキバの構えを取る亘、彼は司には負けたくないと笑う。

 

 

「ありがとう皆――!」

 

 

激しく旋回する紋章の中で、司は両手を叩き合わせる。

 

 

「そうだ、俺はあんな奴等には負けない!」

 

 

決めたじゃないか! 司の目の前に一瞬だけ秋人が写る。

 

 

「そうだ、大ショッカーは俺が潰す!」『ディディディディケイド!』

 

 

俺は破壊者ディケイド、司は最後に構えをとって自らの紋章を出現させる!

 

 

「大ショッカーを破壊するッッ!!」

 

 

9人の男達はソレを確認すると手を一勢に司へとかざした。ベルトからは彼らの魂の輝きが放たれて一つになる。

声を重なり合わせて叫ぶ10人のライダー、そこに己の想いを全て乗せて咆哮をあげる。

 

 

「ライダァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

吼えろ! そこに正義を乗せて。

 

吼えろ! そこに魂を乗せて。

 

吼えろ! そこに全ての想いを乗せて!!

 

吼えろ、吼えろ、吼えろ吼えろ吼えろ吼えろ!!

 

 

「「「「「「「「「「シンドロォオオオオオオオオオオオオオオムッッ!!」」」」」」」」」」

 

 

一つになる紋章、激しい光を放ち何か一つの"アイテム"を作り出した。

跳ね上がるアイテム、それはしっかりと鏡治がキャッチする。

 

 

「おっと! って……ん?」

 

 

生まれたアイテムを見る鏡治、何やらディケイドを模したゲーム機のような形をしているが――?

 

 

「ああそうだ、使い方分かるのか司」

 

「お、サンキュー」

 

 

鏡治が投げたアイテムを受け取る司、彼はそれを見るとニヤリと笑う。

 

 

「ああ、だいたい分かった。変身!」『カメンライド・ディケイド!』

 

 

ディケイドのカードを構える司。そうだ、自分はこんな所じゃ負けていられない。

彼は再びディケイドに変身すると屋上を睨む。おそらくハサミジャガー達は自分が負けるとは欠片とて思っていないのだろう。

上等だ、そのふざけた自信を破壊してやる。ディケイドが構えると彼の肩を叩くカブト、いつの間にか変身していた双護は自分を使えと提案してきた。

 

 

「ああ、助かる」『ファイナルフォームライド』

 

 

デュアルゼクターとなったカブト、ディケイドがジャンプすると彼はその角を使ってディケイドを一気に上空へ打ち上げる。

小さくなっていくディケイドを見てユウスケ達は応援の意味を込めてグッと拳を握り締めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッ!」

 

「「「!」」」

 

 

屋上に着地するディケイド、それを三体の怪人は確認する。

嘲笑を投げ掛けるハサミジャガー、弱いくせに何度も向かってくる姿は虫けらと同じだと彼は告げる。

そして何度挑んできても自分達には勝てない、ハサミジャガー隊は再びディケイドに向かって足を進めてきた。

 

 

「しかし分からん、貴様一体何者だ?」

 

「―――ッ」

 

 

その言葉を聞いた時、脳裏にショーで話した男の声が響く。

 

 

『ありがたく思え、使わせてやる』

 

「………」

 

 

その言葉を聞いてニヤリと笑うディケイド。

彼はその左手に先ほどライダーシンドロームを使用する為に使ったコンプリートカードを持っていた。

ディケイドはそのカードを、自分達の想いによって生まれたアイテム・『ケータッチ』の中に挿入する。

 

するとケータッチの中に入ったコンプリートカードが光を放ち、電子音と共に起動。

ディケイドはケータッチの画面に並ぶ紋章に指を乗せた。思い出す、自分はいつもこの紋章たちと共にあった。

 

 

『クウガ』

 

 

クウガの紋章をタッチする。

電子音がクウガの名を告げた。笑顔の為に、自らが苦しんだとしても――

 

 

『アギト』

 

 

アギトの紋章をタッチする。

神の力を持ったとしても、望んだのは人の未来と生。

 

 

『リュウキ』

 

龍騎の紋章をタッチする。

生きる事は、人を守る事は間違いなんかじゃない。

 

 

『ファイズ』

 

 

ファイズの紋章をタッチする。

どんな存在だったとしても、どれだけ迷ったとしても、自分自身の意思を輝かせた。

 

 

『ブレイド』

 

 

ブレイドの紋章をタッチする。

決して諦めない強さ、それは絶望を切り裂く切り札になってくれる。

 

 

『ヒビキ』

 

 

響鬼の紋章をタッチする。

鍛える想い、心の強さを彼は教えてくれた。

 

 

『カブト』

 

 

カブトの紋章をタッチする。

大切な者の為に戦い抜く、それが正義。

 

 

『デンオウ』

 

 

電王の紋章をタッチする。

友情や愛情、未来へ紡ぐ大切な絆がある。

 

 

『キバ』

 

 

キバの紋章をタッチする。

家族や友人、想い人へ伝える愛は強さへと変わる。

 

 

「何者? ハッ、知りたいなら教えてやるよ!」

 

 

ディケイドは、司は最後の紋章へ指を移動させた。

紡ぐのは歴史、紡ぐのは想い、そして紡ぐのは正義!

ディケイドは最後に自らの紋章をタッチする。

 

 

「通りすがりの、仮面ライダーだ!!」『ファイナルカメンライド――』

 

「「「!!」」」

 

「変身!!」『ディケイド!!』

 

 

バックルを開くディケイド、すると全ての紋章が解き放たれる。

さらにディケイドの紋章が王冠の様に頭部へ装備、するとディケイドの姿がモザイクの様に変動して変わっていった。

色がマゼンダを中心としたものからシルバーとブラックを基調とした物に変わり、パラパラとカードがめくられる音が響く。

胸部には"ヒストリーオーナメント"と呼ばれる九分割された装甲が加えられ、それぞれクウガからキバの紋章が輝いている。

 

さらに"ディケイドクラウン"と呼ばれる頭部の装備にはディケイド自身の紋章が。

元に戻るバックルをディケイドは右にスライドさせ、ベルトの中心にケータッチを装備する。

すると衝撃波が発生、妨害しようと動いていた怪人達を一気に吹き飛ばした!

 

 

「「「ぐあぁあッッ!!」」」

 

 

輝くディケイドの複眼、オーナメントに輝く紋章達が左端のブレイドから順番に一瞬だけ浮かび上がっていく。

そして最後の響鬼が浮かび上がるとケータッチからも10の紋章が出現、それぞれ電子音と共に枠組みの中へマゼンダの輝きを満たす。

全ての紋章に色がつくとディケイドクラウンから衝撃波が発生、こうして"ディケイド・コンプリートフォーム"の変身は完了した!

 

 

「クッ! ひ、怯むな!!」

 

「来い、破壊してやる!」

 

 

刃を構え走り出したハサミジャガー、ディケイドも負けじとライドブッカーをなぞり歩き出す。そこからの戦闘はまさに圧倒的だった。

コンプリートフォームは常時スラッシュとブラストを発動している状態だとは言え、襲い掛かる三体の怪人達の攻撃をディケイドは確実に受け止め、弾き、反撃していく。

バッタバッタと豪快に怪人達を切り伏せるディケイド、その姿はまさに圧倒的な破壊者の姿だった。

 

 

「フッ! ハァアッッ!!」

 

「グァアアッッ!!」

 

 

蜘蛛男を蹴り飛ばし、サボテグロンに剣を突き入れるディケイド。

動きが止まった隙に襲い掛かるハサミジャガーの攻撃をかわし、彼を掴んで思い切り投げ飛ばす。

最後にサボテグロンを刺したまま剣を掴み、ディケイドは同じく彼を二体のところへ。

 

 

「チィイイ! ば、馬鹿な! こんな事が!!」

 

 

三体の怪人は信じられないと言った表情でディケイドを見ていた。

ありえない、あんなに弱いと思っていた相手の筈! あんなに簡単に勝てたと思っていた相手に気圧されている!?

 

 

「これは俺たちの分」

 

 

そう言ってディケイドはケータッチを取り外して画面に並ぶ紋章の一つに指を置いた。

 

 

『リュウキ!』

 

 

電子音が告げる名前、ディケイドはそのまま画面右上の『F』のマークをタッチする。

すると再び電子音が屋上に鳴り響く!

 

 

『カメンライド』

 

 

軽快な電子音と共にディケイドの隣に出現するは等身大の龍騎の紋章。

さらにカードをめくる様なパラパラと言う音と共にヒストリーオーナメントが回転、全ての紋章を龍騎へと変えた。

そして驚くべきは次に鳴り響く電子音だった。

 

 

『サバイブ』

 

 

ディケイドの隣に現れた龍騎の紋章から、気合を入れる動作と共に現れたのは龍騎サバイブ。

これは真志ではない、手に入れてゆく強さのカード、司が駆け抜けていった歴史の物語で見た力だった。

ディケイドはさらに龍騎の紋章が刻まれたカードを手にする。ここで分かったのは隣に現れた龍騎はディケイドの動きにシンクロしていると言う事。

龍騎サバイブもまたディケイドと同じくカードをバックルに入れる動作を行う。

 

 

『ファイナルアタックライド』『リュリュリュリュウキ!』

 

 

ディケイドが剣でクロスを描くと、同時に龍騎サバイブも同じくドラグバイザーツバイの剣で同じようにクロスを描く。

炎を纏ったクロスの斬撃、龍舞斬の進化系であるバーニングセイバーを二人は発射する!

 

 

「フン! こんな物!!」

 

 

前に出るサボテグロン、彼は地面を叩き自分達の前にサボテンを何重にも重ね合わせて盾とした。

龍騎のストライクベントの炎弾をも簡単に弾くサボテン、それが重なり合った訳だから打ち破れる訳が無いと彼は笑――

 

 

「グアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「「!?」」

 

 

マゼンダと赤の炎は何の障害もなくサボテンを切り裂いた!

さらに炎はサボテグロンを捉え焦がす!

 

 

「ば、馬鹿な……! な――んだ、コレは!!」

 

 

あれだけ見下していた相手が一撃で自分の力を打ち破っただと!?

サボテグロンはあまりにも一瞬で起こった事実に信じられないと何度も言い放つ。

何とか回避に成功したハサミジャガーと蜘蛛男だが、彼らもまた信じられないと言う表情でサボテグロンを見ている。

 

 

「み、認めん……こんな事は――ッッ」

 

 

地面に手をつくサボテグロン、彼はディケイドの周りにサボテン無数のサボテンを出現させて閉じ込める。

しかし彼の体から溢れていく炎、さらにサボテンの向こうから聞こえてくるディケイドの声。

 

 

「諦めろ、それがお前の実力だ」

 

「おのれぇええええええ!! 認めんぞォオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

両手を広げ倒れるサボテグロン、彼は命の炎によって爆散する。

絶句するハサミジャガー達、しかしサボテグロンはディケイドを道連れにするつもりだった。

大量のサボテンはメキシコの花を一勢に咲かせていき爆発するつもりだ。だがディケイドに焦りは無い、彼は再びケータッチを手にする。

 

 

『ファイズ!』『カメンライド』

 

 

ピロリロリンと軽快な電子音、ヒストリーオーナメントがファイズに染まりディケイドの背後に彼の紋章が現れる。

全てのシーンが心に映る、それは彼が歩んできた道なのだから。

 

 

『ブラスター』

 

 

普段のディケイドライバーよりは感情を抑えた電子音、紋章から手首のスナップと共に現れたのはファイズ・ブラスターフォームだった。

龍騎とは出現場所が違うだけで彼もディケイドと同じ動きで銃を構える。

感情がないデータの塊とでも言った所か、ディケイドとファイズは背中合わせとなり必殺技を発動する。

 

 

『ファイナルアタックライド』『ファファファファイズ!』

 

 

それぞれ巨大なビームを発射するファイズとディケイド。

それは一撃でサボテン達を破壊しディケイドはそのまま右回り、ファイズはシンクロするように左回りで次々にサボテンを破壊する。

蜘蛛男は危険を察知してハサミジャガーを連れて上空へ跳んで逃げたが、屋上にはもう一つのサボテンも残っていなかった。

 

 

「クッ! 何がどうなって――」

 

「調子に乗るなよ糞ガキがぁああああああああ!!」

 

 

蜘蛛男は糸を使って勢いをつけ、そのままディケイドに向かって飛び蹴りを仕掛ける。

先ほどと同じく糸を盾にしている蜘蛛男、カブトのライダーキックすらも通さなかった強度だが――

 

 

「これは夏美の分だ!」『カブト!』『カメンライド』『ハイパー』

 

 

データの残骸となり消えるファイズ。

続いて現れたのはカブトの紋章、そこから現れるのは天を指差すカブトハイパーフォームだった。

それに構わず突っ込んでいく蜘蛛男、どんな攻撃が来ても弾き返すのが考えだ。

 

 

「ギシャシャ! 死ねェエエエエ!!」

 

「来い、破壊してやる」『ファイナルアタックライド』『カカカカブト!』

 

 

その時、世界が加速する。

ゆっくりとコチラに向かってくる蜘蛛男、ディケイドとカブトは同時に飛び上がり蹴りを彼へ向けて放った。

駆け抜けていくそのクロニクル、負ける理由は無い。ダブルハイパーキック、二つの力が蜘蛛男に直撃しその糸を簡単に吹き飛ばした!!

 

 

「そ、そんなぁああぁああぁあああああああッッ!!」

 

 

その事実を理解した時、蜘蛛男は空中で爆発する。

着地するディケイド、それをみたハサミジャガーは何度も否定の言葉を繰り返していた。

ありえない、ありえて良い筈がない。自分達は人間を超越した存在、その自分達が人間に負ける!?

 

 

「その様な事はあってはならないッッ!!」

 

 

叫び走り出すハサミジャガー、彼は力に任せ死の刃を振るうがディケイドはそれを全て弾き返して彼の身体に斬撃を刻み込む。

圧倒されるハサミジャガーに更なる連撃を加えるディケイド、これで終わりだ! 彼は踏み込んでライドブッカーを振った。

 

 

「ハァアアアアアアアアッッ!!」

 

「ガアアアアアアアアアア!!」

 

 

ハサミジャガーの両手にあった刃が粉々に砕け散る。

多くの人を傷つけ、夏美を貫いた血塗れの刃をディケイドは破壊した。

さらに蹴りを受けて転がるハサミジャガー、彼はよろよろと立ち上がり尚も否定の言葉を向ける。

 

 

「馬鹿なぁぁあ……そんな馬鹿な――ッッ!!」

 

「最後だ、これはお前達が傷つけてきた人の……世界の分!」『ディケイド!』

 

 

ディケイドはケータッチから自分の紋章をタッチすると、続いてコンプリートカードを取り出した。

有りえない、認めないを連呼するハサミジャガーをディケイドは一蹴する。何の罪もない人を傷つけた罪、何の罪もない命が集まる世界を滅びした罪――

 

 

「後悔させてやるッ!!」『ファイナル・カメン・アタック・フォームライド』

 

「!!」

 

 

ディケイドがそのカードを発動させると、辺りの空間がテレビ局の屋上ではなく文字通り宇宙の様な場所に変わった。

広がる星の中に10の惑星が輝いている。怯むハサミジャガーだが、彼は左右から迫ってきたディケイドの紋章に気がつかなかった。

二つに割れたディケイドの紋章はハサミジャガーを捉えるようにして一つになると彼の動きを完全に拘束する。

 

 

「こ、これはァ!!」

 

 

必死に抵抗を試みるが拘束は剥がれない。

そこへさらに並び立つ紋章、ディメンションキックのカード代わりにクウガからキバの紋章が金色の色を持って並んでいく。

飛び上がるディケイド、紋章たちも彼へ道を作るように移動する。

 

 

「終わりだァアアアアアアアアアアア!!」

 

「あり得ん、あり得んぞぉおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

キバの紋章を通り抜けたディケイド、すると彼の身体がキバエンペラーへと変わる。

そして次は電王の強化態、そうやって次々に各ライダーの最強フォームとなり紋章を蹴破っていく。

最後のクウガを通り抜けディケイドの紋章に磔になっているハサミジャガーに蹴りを命中させた時、彼の周りにクウガからキバまでのライダーが強化態となって出現した。

 

 

「タアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

ライダー達はディケイド達に収束すると一気に力を与える。

10人の仮面ライダーの力を凝縮して放つコンプリートライダーキック、それにハサミジャガーが対抗できる訳もない。

彼はその力によって大爆発を起こし、その存在を完全に破壊される。元に戻る空間、そこにディケイドはしっかりと立っていた。

しばらくして屋上にやってくるユウスケ達、彼らはソコに立っていたのがディケイドだけだと理解して勝負の結末を知る。

 

 

「やったな司!」

 

「ああ、問題は――」

 

 

そこで屋上に現れるオーロラ。青と赤、ゼノンとフルーラはその顔に笑みを浮かべて屋上に降り立つ。

司の疑問は今の戦いで抵抗値が一定に達したのかどうかだ、そしてその答えはどうやらゼノン達が知っていた物らしい。

流石は観測者、この世界の抵抗値を有る程度理解できているらしい。二人はいつもみたいな演劇調の喋り方で大げさなリアクションをとってみせる。

 

 

「すごい! すごいよフルーラ!!」

 

「まあどうしたのゼノン!?」

 

「実はね、今のハサミジャガー隊を倒した事で抵抗値が一定に達したの!」

 

「なんだって!! ッてことはノアはこの世界にこれない!!」

 

「そういう事になるわゼノン!」

 

 

安心だね☆ 二人はそう言ってウインクを決める。

しかしとそこで大きなため息をつくゼノン、フルーラが不安そうに問い掛けると彼は彼女を抱きしめて耳元でささやくように――

 

 

「まあでも、君への愛情は値でなんか示せない程大きいけどね」

 

「!!」

 

 

真っ赤に変わるフルーラ、彼女はゼノンを抱きしめると彼への愛情を空に叫ぶ!

 

 

「ワタシも愛してるわゼノンんんんんんん!!」

 

「ボクもだよフルゥウウウウラアアアアアアア!!」

 

「うるせぇえええええええええええええええ!!」

 

 

コッチはもうヘロヘロのボロボロなんだ、変身を解除した司達はジットリとした目で二人を睨む。

ノアがやって来ないのは朗報だが、今にも倒れそうなこの時にそんな茶番を続けられても困るってもんだ。

それを聞くとヤレヤレと首を振る二人、ノリが悪いの損するわよ、フルーラはそんな事をいいつつ指を鳴らす。

 

 

「「「!!」」」

 

 

すると巨大なオーロラが現れて一同を一瞬で通過する。

瞬時に変わる景色、何がどうなった!? あまりにも一瞬の出来事で誰もが混乱してしまう。

椿なんていきなり目の前に現れた咲夜を見て目を丸くするだけだった。

 

 

「は?」

 

 

まして彼は疲労のためか手を膝に置いて中腰、咲夜も咲夜で歩いていた時に椿が目の前に現れたせいで彼にぶつかってしまう。

中腰の椿、前進する咲夜。結果、椿の顔は咲夜の豊満な胸に沈む事に。どうやら男子一同は女子達がいる学校に転送されたらしい。

とはいえ咲夜も椿も意味も分からず固まるだけだが。

 

 

「………」

 

 

顔を真っ赤にして引きつった笑みを浮かべる咲夜、椿もブラックアウトした視界から逃れるために一歩後ろへ下がって立ち上がった。

彼にしてみればいきなり柔らかい物が顔に当たって視界がブラックアウトしたのだから。

 

 

「なんだよこの柔らかいの? クッションか? 何か良い匂いがす――」

 

 

意味を理解して白目になる椿、どういう事だコリャおい! 彼は真っ青になってブルブルと震え始める。

対して真っ赤になっていく咲夜、待て! 椿は冷静に思考を回転させる。

ここで何かいい事をいえば彼女に誤解だと言う事と、悪気がなかった事を伝える事ができるじゃないか!

待て、落ち着け、落ち着いて考えれば――

 

 

「も、桃まんみたいですね。ソレ」

 

 

ゴッと言う重い音と共に椿の身体が空に舞う。三回転くらいした後に椿は地面に叩きつけられて動かなくなった。

何とかピクピクと顔を動かし、胸を押さえて走り出す咲夜を見る椿。相変わらずふざけた威力のキックだ、完全に人に向けてやる攻撃じゃないよね?

 

 

「つか、理不尽だろ……コレ」

 

 

がくっ! 気を失う椿を汗を浮かべながら見つめる他の男性陣。

 

 

(半分はお前が悪い)

 

(半分はアイツが悪い)

 

(半分は椿先輩が悪いと思います)

 

(半分は椿くんが悪いんじゃないかなぁ)

 

(オレじゃなくてよかったぁ!)

 

(クッ! 椿さん、なんて羨ま……けしからんぞ!)

 

 

若干おかしな意見もあったが、とにかく食堂に揃う特別クラスのメンバー。

何故ゼノンが男性陣をココに呼んだのか分からない程司も鈍くは無い、要するにゼノン達は全ての人間に揃っていて欲しかったのだ。

つまり、時間はやってきたと。

 

 

「さあ、選択の時だ」

 

「貴方達の答えを聞かせてちょうだい」

 

 

頷く司、ただその前に聞きたいことがあると。

ゼノン達は抵抗値を知っていた、という事はもちろんブレイクエネミーの事もだろう。

それを問うと頷くゼノン、彼らはソレを既に理解していたらしい。ならば何故今までそれを教えてくれなかったのか、それが司の質問である。

 

 

「別に、この世界が終わって尚戦う意思がある者には教えていたよ」

 

「そうか、だったら問題はないな」

 

「?」

 

 

司はニヤリと笑ってゼノンとフルーラを見る。

その迷いのない瞳は前回の世界の彼とはまるで別人だ、思わずゼノンもフルーラも呆気に捕らえた表情で司を見ていた。

そして胸を張る司、問題は無いと。

 

 

「俺達の心は、俺達の選択は一つだ」

 

「………」

 

 

目を細めるゼノン、それはつまり――

 

 

「いや、あえて聞こうか。君たちの答えを」

 

「ああ、俺たちは――」

 

 

その場にいた全員が笑みを浮かべる。

しっかりとその意味を理解して、かつ自分で考えた結果でだ。

 

 

「俺たちは旅を続ける。大ショッカーを倒すんだ!」

 

「そう……それが答えなんだね?」

 

 

いいのかい? ゼノンは念を押すようにして一同に問い掛ける。

 

 

「今更さ、おれは戦うぜ!」

 

「ええ、くどいわよ!」

 

「もう決めた事だしね」

 

「ええ、本当に皆ったら」

 

 

サムズアップを行うユウスケと薫、周りの皆を暖かい目で見て笑う翼と葵。

 

 

「行動には責任が伴うだろ、オレはそれを放棄したくない。だから戦う」

 

「アタシはアタシのできる事をやりたい!」

 

「僕は……戦うよ!」

 

「うん! もちろんあたしもね!!」

 

 

強い信念を目に灯す真志と美歩、しっかりと決意を示す拓真と友里。

 

 

「俺のブレイドは、闇を切り裂くぜ……! はい、かっこいいー。はい俺かっこいいー」

 

「コイツを一人にしておくと何をするか分からんのでな、ワタシも残ろう」

 

「……と、とにかく僕には僕のできる事がある筈です。それを大切にしたい」

 

「はい、私も我夢君と同じ気持ちです」

 

 

盛り上がる椿、そしてそれを見て笑みを浮かべる咲夜、我夢、アキラ。

 

 

「俺の正義を示し続ける。それだけだ」

 

「ボク……みんなと、ずっと…一緒に!」

 

「ああそうだ! 俺はやってやるぜぇえええええええ!!」

 

「ぼくは皆を助けるって決めたから、最後までやり通すよ」

 

「ええ、わたしも皆を守るんだから!」

 

 

それぞれの構えをとって勢いを出す双護、真由、鏡治。そしてみんなを見守る様にして笑う良太郎とハナ。

 

 

「私たちの答えは一つ! だよね?」

 

「ああ、旅は終わらない。終われないんだ!」

 

「私達はこれからも旅を続けます!」

 

 

里奈、亘、夏美の言葉を聞いて頷く司。

つまりそういう事だ、司はそう言ってもう一度ゼノン達に答えを示す。自分達はリタイアをせず、これからも戦い続けると言う選択を。

 

 

「そう、それが答えなんだね」

 

「しっかりとその選択、聞いたわよ」

 

 

頷く一同、それを見てゼノン達はニンマリと笑う。

どこか嬉しそうな表情にも見えたが、どうなのだろう?

 

 

「それよりフィロキセラはどうなった!? アイツを倒さないと終わらないぞ!」

 

 

そうだと騒ぎ出す一同、亘と里奈は惠理の事も気になる。

それを聞くと大丈夫だと笑うゼノン達、彼らは面白い物を見せてあげると言って10人の男性陣に変身を促がした。

どうやらソレがフィロキセラにたどり着く為の準備だとか何とか。色々と気になるが黙っていても仕方ない、司達は言われたとおり変身する。

 

 

「クウガから始まり、神々が認識せし新世代は君で10の数を刻み込んだ」

 

 

そう言ってディケイドを指差すゼノン。

同時にフルーラが指を鳴らすとオーロラが出現してクウガからディケイドのライダーを学校から移動させる。

その最中でゼノンは言葉を続けた。

 

 

「そして、ボク達ダブルは新世代第12番目」

 

 

オーズ達は13、フォーゼは14、そしてウィザードは15。

となると当然ディケイドとダブルの間には11番目が存在する事になる。

番号は変身した時期で決まる物ではない、長い間11番目の新生代は眠っていたと言う。

 

 

「だが今日、その封印が解き放たれた」

 

「っ?」

 

「つまり、全ての新世代が解放されたのよ!!」

 

 

要するに、新しいライダーが生まれたと言う事か? ディケイドが問うと大体そんな感じだと。

そしてそのライダーは今ピンチに陥っているらしい。どうやら君たちの声が必要の様だ、ゼノンはそう言って指を鳴らす。

変わる景色、ディケイドは最後にそのライダーの名前を問うた。

 

 

「彼の名前は――」

 

 

そこで景色が変わる。最初に降り立ったのはディケイドだけだ、彼は周りの景色を確認して状況を把握する。

場所は工場だろうか? そして彼は見つけた、この世界のブレイクエネミー・フィロキセラワームと戦っている新世代第11番目のライダーを!

 

 

「―――ッ」

 

 

どんな状況なのか詳しくは分からない、ただ膝をついて呼吸を荒げている所を見るとゼノンが言う通り不利な状況だと言うのが分かる。

そして言葉は自然と出ていた、彼が何者なのかは分からないが直感で理解できた事が一つだけある。

それをディケイドは彼に言うだけ、それが自分にできる事だと悟って。

 

 

「この世界を救えるのは――」

 

「!」

 

 

向こうも自分に気づいたのかコチラの方を見る。

成程、その姿はまさにライダーだ。赤と黒のカラーリングが基本となる身体、そして黄色の複眼が自分を捉えている。

装飾のデザインがどことなくアルファベットのGを模している様な気が。

 

 

「この世界を救えるのは、君だけだ」

 

「――……あれは」

 

 

そこでディケイドの背後にオーロラが。

どうやら他のメンバーも到着したらしい、クウガからキバがディケイドを中心として並び立つ。

ゼノンからより詳しい話を聞いたのか、それとも自分と同じ様に直感で理解したのか。とにかく10人のライダーは新世代11番目にエールを送る。

 

 

「立ち上がれ!」

 

 

クウガが叫ぶ。

 

 

「愛の為に戦うライダー!」

 

 

龍騎もまた彼に応援の言葉を投げる。そう、彼は惠理の為にシェードを裏切ったのだ。

どうやらシェードは彼の身体は改造できても、心までは改造しきれなかったと言う事なのだろう。

最後に10人のライダーは彼の名前を呼ぶ。第11番目、その名は――

 

 

「「「「「「「「「「(ジー)!!」」」」」」」」」」

 

「………!!」

 

 

仮面ライダーG、彼はその言葉を聞いて守るべき者の方へ顔を向ける。

同じく其方を見て反応を示すキバ、そこには必死に祈りを捧げる惠理の姿が見えた。やはりGは彼女が言っていたソムリエの友人だったのか。

 

 

「………」

 

 

一度を下を見るG、彼は拳を握り締めて決意の言葉を口にした。

 

 

「受け取ってもらおう――ッッ!」

 

 

彼は立ち上がると視線をフィロキセラに合わせる。

そこにいるのはかつての同胞、そして今は倒すべき敵だ。

一度は仲間だったフィロキセラを倒す、それは悲しい戦いでもある。しかし彼は――

 

 

「僕の……悪と正義のマリアージュ!」

 

 

彼は戦う道を選んだ、同時にフィロキセラは咆哮を上げ両手を広げる。

挑発のポーズか、そのままその構えて彼はGを倒すために走り出す。

 

 

「ガァアアア!!」

 

「タァァア! ハァアアッ!!」

 

「ググッッ!!」

 

 

向かってきたフィロキセラの腕を弾き怯ませるG。

彼はワインオープナーを模したベルト・ジードライバーを操作してベルトの中心にある小型のワインボトルからパワーエネルギーソースを全身に供給する。

ボトルから全身にまるでワインが流れるように紅く光るエネルギーが満たされていく。それは彼の胸部にあったGの形をした装甲を輝かせ、存在を圧倒的に示した。

 

 

 

「スワリング――ッ! ハァッ!」

 

 

その場で手を広げ旋回して腰を落とすG、紅いエネルギーが舞い散る!

 

 

「ライダーキック!!」

 

 

装甲に溜まったエネルギーは一気に装甲のラインを辿って彼の左足に収束する!

 

 

「トオッ!!」

 

 

掛け声と共に飛び上がるG。

飛び上がった際に地面に紅い波紋が広がり、それはまるでワインに一滴の水滴が落ちた様。

 

 

「ハァアッッ!!」

 

 

右足を突き出して蹴りを繰り出すG。

フィロキセラは抵抗する為に触手を伸ばして彼を迎え撃とうとするが、左足に供給されていたエネルギーが解放されてドリルの様にGのキックをアシストする!

 

 

「―――ッ!」

 

 

さらにG自身も旋回、その貫通力はフィロキセラの触手をどんどんと破壊していく威力を見せた。

そうやって確実に彼はフィロキセラに近づいていき――

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

スワリングライダーキックがフィロキセラに炸裂、彼は大きく吹き飛び工場の柱を壊して地面に叩きつけられた。

Gに負けた事が信じられないのか、フィロキセラは両手を上に伸ばして立ち上がろうとする。

そしてその胸にナンバー3の顔が浮かび上がった。

 

 

「まだぁ……まだ終わってないぞぉおおおお!!」

 

 

しかし、もう終わりだった。エネルギーがあふれ出し――

 

 

「ホアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

爆発。後ろを振り返り構えるG、すると爆発の中に彼の紋章が浮かび上がった。

ブレイクエネミーであるフィロキセラの死、これで全てが終わる。

ディケイド達は安心した様にうなずき、そして気がつけばゼノンが発生させたオーロラの中に消えていったのだった。

 

 

「………」

 

 

これは希望だ、ゼノンは最後にそう言っていた。

長い戦いの中で特別クラス以外にも大ショッカーと戦う意思を持った者達がいる。

悪が強大になっていけばそれだけ正義もまた大きくなっていく。これからも色々な世界に行き、そこできっと良い出会いがあるだろうと。

 

 

「あ、戻った」

 

 

学校に転送される一同。

 

 

「じゃあ次の世界に行くけど、良いんだね?」

 

 

ゼノンはニヤリと笑って問い掛ける。すると食堂にいた全員が同時に頷いた。

 

 

「ああ、頼む」

 

 

司の言葉に頷く二人、指を鳴らすと学校の外が光に包まれていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして世界を移動していく司達、しかし良い事ばかりではなかった。

シェードの創始者である徳川は既にショッカーの手によって世界から救出されていたのだ。

彼は当然ナンバー5の裏切りを知らされる事となる。ショッカーは裏切り者を許さない、そしてそれはシェードもまた同じ。

 

 

「裏切り者には――」

 

 

ショッカー本部にて、徳川は一本のバラを手にする。綺麗な色だ、まるでそれは血の様に赤い色。

 

 

「死のバラを贈ろう……!」

 

 

そして徳川はバラを捨てる。

そのバラは先ほどとは違い、くすんだ色に枯れ果てているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

テレビ局の屋上で沈む夕日を見つめるG、彼は仮面を脱ぎその素顔を晒す。

風が彼の髪を揺らした、夕焼けが彼の顔を紅く染めている。

 

 

「この世界は、僕が守ってみせる」

 

 

思い出すのは彼女の笑顔。

 

 

「そしていつか戦いが終わったとき……君ともう一度――」

 

 

彼はそう言って踵を返した。

ここに孤独な愛の戦士『G』が誕生した。しかしその時――

 

 

「この世界はもう安心でしょう」

 

「!」

 

 

彼の背後に現れるオーロラ、そこから聞こえてくる声。

 

 

「ですが、このままならばいずれ全ての世界は滅んでしまう」

 

「猫……?」

 

 

オーロラから現れたのはシャルル、当然その姿にナンバー5も怯んでしまう。

シャルルは彼にお辞儀をすると端的に自分の存在を話す。とはいえいきなりの話にナンバー5も混乱するだけだが――

 

 

「とにかく、仮面ライダーG・歌夜(うたや)ゴロウ、貴方の力が必要なのです」

 

 

そしてシャルルはゴロウに全てを話す事となる。

それを知ったとき、彼が選ぶ選択とは――?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのーすいません」

 

「?」

 

 

メタ世界の深部、そこで紅茶を飲んでいた魔女はゼノンからの報告を受けるのだが今回はいつもと違っていた。

それを問う魔女、するとゼノンは少し困ったように笑って頭をかく。

 

 

「なんかディケイドが会いたいってしつこいんですけど」

 

「破壊者か。別に私は用はない、追い払え」

 

 

と、思ったが――魔女は笑ってゼノンを引き止める。

 

 

「呼びます?」

 

「……そうだな」

 

「じゃあ――」

 

「いや、気が変わった。やはり呼ぶな」

 

「そう? じゃあ――」

 

「まて、やはり呼べ」

 

「………じゃあ」

 

「しかし意味などないか、やはり呼ぶな」

 

「―――」

 

「待てゼノン、私は退屈している。呼べ」

 

「あの――」

 

「いやいや、我が話す価値などないか、呼ぶな。時間の無駄だ」

 

「だから――」

 

「ふむ、しかしたまには下等生物と会話を行うのも悪くないか」

 

「あんた、ボクで遊んでるでしょ」

 

「………」

 

 

両手を広げてニヤニヤと笑うフェザリーヌ、ゼノンはため息をついて指を鳴らす。

どうやら独断で呼ぶ様だ、彼が消えると入れ替わる様にして司が姿を見せる。魔女の威圧感に怯んで少し後ずさる彼を見て、またも魔女は笑う。

 

 

「何だ? 愛の唄でも歌いに来てくれたか?」

 

「い、いや違う。貴女にどうしても聞きたい事があるんだ」

 

 

一応敬意を示しているのか跪いている司、少し気を良くしたのか魔女は司の話を聞く事を決めた様だ。

何が聞きたい? 魔女が問うと司は少し汗を浮かべてフェザリーヌと視線を合わせる。

 

 

「大ショッカーに傷つけられた人を、全て助ける方法はあるのか?」

 

「………」

 

 

笑みを貼り付けたままのフェザリーヌ、彼女は特に動揺する事無く答えを告げる。

 

 

「ある訳がない」

 

「………ッ」

 

 

歯を食い縛り下を向く司、すると魔女は言葉を続ける。

 

 

「と、思うか? 人の子よ」

 

「!!」

 

 

顔を上げる司、彼はすぐに魔女に答えを示した。

 

 

「必ずある筈だ、世界は無限の可能性を俺達に示してくれた!」

 

「ふむ、正解だ」

 

「!」

 

 

世界はそれだけの力を持っている物なのだから。

となれば司が問うのはその方法だ。どうすればいいのか、それを聞くとフェザリーヌは欠伸を一つ。

どうやら説明するのが面倒らしい、面倒だからこそ――

 

 

「ゲームを一つ、そなたに持ちかける」

 

「?」

 

 

フェザリーヌは一つのゲーム、賭けを司に持ちかけた。

内容は簡単だ、彼女としても大ショッカーが神なる世界にたどり着くのは喜ばしい状況ではない。

よってフェザリーヌが提案するのは大ショッカーの壊滅。

 

 

「最終的には大首領を倒せばいい。雑魚は少し残っていても問題は無い、何としても頭を潰せ」

 

「そのつもりだ」

 

「ならばいい、とにかくお前は大ショッカーを破壊しろ。そうすればお前の望む救済を与えよう」

 

 

フェザリーヌが指を鳴らすと書斎の壁がモニターとなり一つの世界を写す。

それはもう世界と呼べる程の物では無い、全てが破壊された荒野。これは司達がハサミジャガーに敗北したあの世界だった。

ノアによって全てが破壊された世界、司はその光景を見て絶句する。

 

 

「このようにな」

 

 

しかしそこで指を鳴らす魔女、するとどうだろう?

先ほどの景色が嘘のように次々に木やビルが再生していくではないか!

 

 

「なっ!!」

 

 

さらにそれは人々も同じだ、あれだけ殺戮の限りを尽くされた状況なのに次々と人が姿を形成していく。

数十秒後には何の違和感もなく元に戻る世界、司はそのあまりの光景に口をパクパクと動かしていた。つまりなんだ、今彼女はあれだけの命を再生させたのか?

 

 

「無かった事にしてやった。便利な力だろう? フフフ」

 

「……ッ」

 

「だが、もちろん無償ではない。コチラからも条件がある」

 

「!」

 

 

そこで歪んだ笑顔に変わる魔女、やはりその表情は魔女と言うに相応しいものだった。

 

 

「以後、お前のリタイアは許さんぞ」

 

「……ッ」

 

 

どんなピンチになろうとも司は逃げる事ができない、許されない。

 

 

「そしてもし、ショッカーを倒す事ができなかった場合――」

 

 

魔女は司の心臓を指差す。

 

 

「お前を殺す」

 

「!」

 

「そして、この世界を再びあるべき姿に戻してやろう。そうすれば奴等は再び死の恐怖に震える事となる」

 

 

つまり、一世界分の命が司が背負うと言う訳だ。

 

 

「……ッ」

 

 

そんな魔女の言葉に司が浮かべた表情。

それは恐怖――も、多少はもちろんあったろうが、何よりも少し捻くれた笑みだった。

 

 

「上等だぜ……! どうせ大ショッカーは潰すつもりだったんだ、その賭け乗らせてもらう!」

 

「フッ! ならば交渉成立だな」

 

 

しかし面白い物だ、これは人の命を左右する提案。

まさに神の領域たる話ではないか、文字通り司は神になろうというのか。

 

 

「これは酷い反逆だ、そなたが信仰していた神が泣くぞ」

 

 

その言葉にも司は笑みで返す。

 

 

「ハッ! 俺が信仰してる神は生まれた時からただ一つ! 幼い時も今も未来も変わってない! 人を悲しみから救うヒーローだ!!」

 

 

悲しみの歴史に包まれた世界など、破壊してやる!

彼はそれをあろう事か魔女に誓った。

 

 

「フッ、面白い。ならば示してみよ、お前の正義を」

 

 

ブラックアウトしていく世界の中、司は決意を胸にディケイドライバーを握り締めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――って事なんだよねぇ」

 

「中々彼も面白い発想をしますね」

 

 

フェザリーヌがパフォーマンスで復活させた世界にゼノン、フルーラ、シャルルは立っていた。

そこで各自報告を行う観測者達、何やら司が大層な賭け事に手を出したと思えば、シャルルは新しい仲間を引き連れてきた。

 

 

「Gだね。それにしても何の略なんだろうね?」

 

「グレート……グランド、いろいろありますね」

 

 

いろいろと例を挙げていくシャルル、フルーラも思いついたのか指を立てて笑う。

 

 

「ゴロウじゃないかしら?」

 

「「………」」

 

 

いやいやいやいや、首を振る二人だが――いやちょっと待て、あながち間違いじゃない気がしてきた。

というかソレが一番しっくりする様な気がする。納得する三人、そんな彼等が見ていたのは結婚式だ。

ショッカーの進撃によって血に染まった純白のドレス、しかし今はあるべき輝きを取り戻して花嫁は幸せそうに笑っている。

彼女達らからは死の記憶が消され、全てはあるべき姿に戻った。三人はボーっとその結婚式を見つめていた。

もちろん結婚式場だけの話ではなく、この世界に存在する全ての人があの悪夢の様な時間を忘れ、あるべき姿に戻っている。

 

 

「軽いねぇ、人の命は」

 

 

皮肉めいた笑みを浮かべながらゼノンが辺りを見回した。

軽い、それは色々な意味で。それは全てを知っているゼノンだからこそ言えたものだろう。

 

 

「だからこそ、人は命の価値を必死に説き示すのです」

 

 

シャルルもまた達観した様な表情で言う。

猫なのに表情がしっかりと読み取れるのは彼の特徴であった。

 

 

「そして、その軽さ、儚さ、弱さが分かってしまうから今の状態が危険なのです」

 

「まあ、それは確かに」

 

 

他世界を知れば知るほど、人は人としての価値観や感情を欠落させていく。

だからこそ魔女は人では無くなった。知る事は神に近づく事、それは良い意味でも悪い意味でも。

 

 

「おや、ブーケを投げるみたいですね」

 

「まあ! じゃあアレを取ればゼノンと結婚できるのね!!」

 

 

花嫁の動きを見て身を乗り出して走っていくフルーラ。

ゼノンもまた一瞬で学ランに着替えると応援団長の如くフルーラを応援し始める。

一瞬の変わりように苦笑するシャルル、すると花嫁が振りかぶってブーケを投げる!!

 

 

「お」

 

 

マジックハンドを手に大ジャンプまでしてブーケを掴もうとしたフルーラ、しかし彼女の努力虚しくブーケはシャルルの首にすっぽりとハマった。

花嫁の証を猫が取ったとなって笑いが起こる会場、彼はバレるとまずいのでただの猫のフリを行う。

ソレをニヤニヤと見つめるゼノン、フルーラも残念そうに笑っていた。

 

 

「今度いい雌猫ちゃんと出会えるかもね」

 

「品種は何でもいいですよ、性格がよければ」

 

 

シャルルはゼノン達にだけ聞こえる様に言うと、花嫁にブーケを返しに走っていくのだった。

その後もしばらくゼノン達は幸せそうな世界を見つめ、平和な町を歩いていった。

 

 





はい、と言う訳でディケイド編はこれでおしまいでございます。
ちょっとね、分からない人には分からない作りをしてしまったんですが、コレは仮面ライダーGとリンクしているって設定です。
まあパラレルって言えばそうなんですが、一応はGが頑張っている裏でって感じに書いてました。


それでGとは何ぞやって人は、一度ググってもらえると助かります。
簡単に言うとディケイドとダブルの間にあった、物凄い微妙な立ち位置の仮面ライダーです。
バラエティ番組の中で放送された一話だけのスペシャル放送で、一部の設定がディケイドに逆輸入されました。って言うか確かディケイドの公式ホームページにいます。

今回はちょろっとしか出ませんでしたが、普通にダブルや他の二期組み同じく準レギュラーキャラとなっています。
まあ変身者は一応原作のオリジナルですが、司が最後に関わっているのでパラレルキャラと言えばそうなります。あとちょっとオリジナルフォーム等を出そうかなとは思ってます。
あとはゴロウの苗字が無かったんで、そこはちょっと適当に考えました。あと本当に言っておきたいのは、実際の人物とは何の関係もありません。



『仮面ライダーキバーラ』

全体的に武装がオリジナルでございます。
キバ本編にはガルルだのバッシャーだのファンガイア以外にもいろいろと種族がありましたが、裏設定では結構いろんな種族がいたんでソレを。
キバと違ってフォームチェンジじゃなく、フォーゼみたいな武器変化となっています。
あとベルト部分のキバーラには『』をつけて書き分けをしています。


『ドロロス・ローブ』

幻影効果を持った羽衣。自身を透明にしたり、一定時間攻撃がすり抜ける様にする事ができる。
伸縮も自在で相手を翻弄する武器にもなる。


『ザッパーヒール』

腕にはヒレの様な刃、足にはスケート靴状の刃がそれぞれ装備される近距離系の武器。
人魚化する事ができ、地面を泳ぐ事ができる。


『ヒュースウィップ』

鞭にもなる蛇腹剣。切った、もしくは打ち付けた部分が凍りつき冷気を操る事も可能。
鞭は伸縮自在で、離れた相手も攻撃できる。


『グオーグアックス』

巨大な斧。攻撃力はかなり高いが、重いのでキバーラの力では振り回すだけで体力がみるみる削られていく。
取り得のスピードも失われるので、ここぞと言う時に使う諸刃の刃。




『ディケイドコンプリートフォーム』

ディケイドが新たなる力を得て変身した強化フォーム。
常にアタックライドスラッシュ、ブラスト状態であり、スペックも大幅に跳ね上がる。

基本的には原作と一緒です。
一応胸のオーナメントはカードじゃなくて紋章となっています。
特別深い意味はありませんが、今は差別化と言う事で。

ライダー召喚については、出現時に紋章が現れて、そこから最強フォームが出てくる形になります。
出現場所は指定でき、背後や離れた所でも召喚可能。
使用できるのは一世界で一回。加えてディケイドのテンションによって発動不可の可能性も。
さらに使えば使うほどレベルアップしていくフォームです。

ハサミジャガーに放った必殺技は、半オリジナルです。
ディケイドがカードを発動すると、ディケイド自身が簡易的な別世界を生み出して相手をそこに引きずりこむ。
そして自身の紋章で相手を拘束し、10人の仮面ライダーの力を一点に凝縮して相手に打ち込むライダーキックを放つコンプリートライダーキック。
その威力は凄まじく、生み出した世界ごと消滅させる力を持っています。
ゲーム、クライマックスヒーローズシリーズのディケイドを意識しました。


まあそんなところですね、長々と申し訳ない。
次はちょっと未定。少し遅れるかも、ではでは。
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