仮面ライダーEpisode DECADE   作:ホシボシ

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ちよっとパソコンが使えない状態にあるので、ストックとして保存してたこちらを更新します。

この作品は移転ものなんですが、今回の話はその前の場所で記念作品として書かせてもらったものです。
ココに載せるかどうかはちょっと悩んだんですが、まあせっかくなので。

本編に関係あるかは微妙なラインです。
まああくまでも番外編として、頭をからっぽにしてお楽しみ頂ければなと!



超番外編
番外編 小説コンテスト


 

 

 

ある日の事、大きな屋敷の書斎では――

 

 

「ほっ!」『コネクト・プリーズ』

 

 

魔方陣が青年の前に出現、彼はソファに寝転びながら魔方陣の中に手を入れる。

そして手を引き抜くと青年の手には一冊の本が。実に便利でよろしい、本棚まで移動する事無く本を取れるなんて。

 

 

「く、クローク様! また横着して!!」

 

「あ、あはは。シェリー……見てたんだ」

 

 

クロークは目の前にいるメイド・シェリーに苦笑いを向けた。今の時間彼女は夕食の準備だとばかり思っていたが甘かったか。

シェリーは手におたまを持ちながらクロークをジトリと見つめる。彼の手には本とドーナッツ、寝転びながらって――

 

 

「太りますよ、ブクブクに」

 

「う゛っ!」

 

 

それに、そう言ってシェリーは少し残念そうに微笑んだ。

 

 

「今食べてしまうとお腹がふくれてしまいます」

 

 

夕飯を作るのは彼女だ、それを理解するとクロークはドーナッツを持って口笛を吹く。

すると小さい鳥の様な生き物が彼の元にやってきて代わりにドーナッツを口にくわえた。

 

 

「ガルーダ、ユニコーンとクラーケンとバジリスクにも分けてあげるんだよ」

 

 

その言葉にガルーダと呼ばれた赤い鳥は了解の声をあげる。

そしてドーナッツを加えたままどこかへ飛び去っていくのだった。

どうやらシェリーは今日の夕飯をビーフシチューにするかクリームシチューにするかを聞きに来たらしい。

 

 

「君はどっちがいい?」

 

「私はどちらでも、クローク様が好きなほうをどうぞ」

 

 

じゃあビーフ、それを告げてクロークは手に持っていた本を開く。

いつもの資料集めだろうか? シェリーは少し興味本位で何を読んでいるかを問うた。

すると首を振るクローク、どうやらただの小説だったらしい。冒険小説の様で、娯楽の為の本だった。

 

 

「おいでシェリー」

 

「はい」

 

 

クロークはシェリーを呼んで手に持っていた本を見せた。この手の本はシェリーも読んだ事がある。

 

 

「面白いと思わない?」

 

「ええ、そうですね。私も見た事が――」

 

「いや、そうじゃないよ」

 

「?」

 

 

内容じゃない、そうクロークは静かに笑う。

 

 

「ページを開けば、そこにはもう別の世界があるんだから」

 

「え?」

 

「この世界とは全く違う世界が本の中に広がっている。そしてその世界を僕達は神の視点で観測できる」

 

 

そして読むだけじゃない、やろうと思えばいつでも人は世界を作れる。

紙を持ち、ペンを持ち、話に聞けばキーボードと言う物を叩くだけで世界を作れる世界があるらしい。

 

 

「人は誰もが神になれる可能性を秘めている。だから人は物語を書くのかもしれない」

 

 

だからこそ。

 

 

「もしかしたら僕達もまた誰かの作った――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

人は誰でも世界を創れるか――

 

 

「なるほどね……」

 

「?」

 

 

別の世界、別の場所、全ては変わりを告げる。それは物語でさえもだ。

ソファに座っている青年は別の自分と言ってもいいクロークの言葉を確認する事ができた。

人は誰でも世界を創れる。今この物語を見ているだろう『誰か』も例外ではない。今すぐに物語を作れるのだ、世界を創れるのだ。

 

 

「どうしたの? 晴人」

 

 

美しい人形の様な少女コヨミ。

彼女は隣に座っていた青年・晴人の様子が少しおかしい事に気がついた。

楽しそうとは言えないが、普段よりも笑みが多い様な気がする。そう、これはまさに期待と言えばいいか?

 

 

「希望の種が増えるのは良い事だって話」

 

「???」

 

 

よく分からない。そんな様子でコヨミは晴人を見つめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を巡る戦い、その合間に訪れる休息の世界と呼ばれるもの。

流石に戦いばかりでは疲れるとの配慮なのか、少なくない程度にソレは用意されていた。

多くの場合が異形の者が存在しない、つまりは自分達の世界と類似しているもの。そこで皆はそれぞれ各々で過ごすと言う訳だった。

 

 

「………」

 

 

そして椿も今日は一人で休日を過ごしていた。彼は今街のゲームショップに訪れている。

と言うのも椿は休憩の世界が与えられる度、その世界のゲームショップを覗くのが決まり事になっているのだ。

ゲームが好きな彼にとって他の世界のゲームなんて夢にまで見た代物とも言っていい。

まして自分の世界と一部リンクしていた場合掘り出し物が見つかる場合もある。

 

 

「………?」

 

 

そして椿は一つの棚の前に立ち止まっ――

 

 

「オウフ!!?? コポォwww!!!」

 

 

バっと口を塞いで周りを見回す椿。いかんいかん、興奮してついキモオタの様な音が漏れてしまった。

誰かに見られてないだろうか? 汗を垂らしながら、かつ興奮した様子で椿は棚にあったゲームを見る。

 

 

(おいおい、とんだレア物があるじゃないですか……!)

 

 

椿の世界で幻のギャルゲーと呼ばれた『お前のお茶漬けにお湯は無い』。

七年間の発売延期、特典抱き枕がモブキャラのおっさん、お茶漬けと言う単語が本編に出てこない。と言うかお茶漬け全くゲームに関係ない。

極めつけはヒロインがボイス無し、なのにモブのおっさんだけボイス有り等のクソゲーが約束されたゲーム。

に、思われたが、そのあまりの泣けるシナリオにファンの間では神と称される伝説のギャルゲー。

何と限定ボックスが今椿の目の前にあるのだ。

 

 

「ほしい……ッ!」

 

 

元々あまり数が無いゲームだったからか椿の世界では既に元のゲームすら入手不可能と呼ばれた代物。

なのにそのボックスがあるのだから、これは買わない訳には行かないだろう。と言う事で早速――

 

 

「い゛ッッ!!」

 

 

しかし手を止める。値段を見てみれば――

 

 

(二万ってマジか……ッ! 高すぎだろ――! いや、限定を考えるとこれくらいか。高いけど安いって何か……)

 

 

財布の中にはせいぜい一万と少し。

椿達は現在小遣い制である、命を賭けて戦っているのだから金の面はサービスするとのゼノン達。

しかし保護者二人が言うには――

 

 

『駄目だよ、いくらお金があっても無駄遣いを覚えちゃ元の世界に帰った時に浪費癖が染み付いちゃうだろ?』

 

 

である。

まあ確かにそれは皆感じている部分があり、誰もが小遣い制を反対する事は無かった。

結果、今こうして金が足りない状況にあるのだが――……

 

 

「しかたねぇな。数はあるし、一回学校に帰って誰かに借りるか」

 

 

椿は頭をかくと踵を返した。あまり歩きたくは無いが背に腹は変えられないものである。

 

 

「まあ誰か一万くらい持ってるだろ。駄目ならかき集めればいい訳だし――」

 

 

これ、フラグである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一万貸してくれ? ねぇよ、二円しか持ってないわ」

 

「すんません、ボクももう二百円しか無いっすわ」

 

「マジか!? 冗談だろ?」

 

 

食堂、そこにいた聖兄弟の一言で椿は崩れ落ちる。

学校に帰ってから校内にいたメンバー全員に声をかけたが誰一人金を貸してくれる人がいないものである。

確かに小遣い前と言う事もあってかほとんどが残金ゼロ状態、貯金をしている連中などいるわけも無く、かつ保護者組みには頼みにくい。

 

 

「くぁー! 誰か金貸してくれるヤツはいねーのかよッ!」

 

 

崩れ落ちる椿、しかしその時!!

 

 

「アーッハハハ!!」

 

「「「!?」」」

 

 

オーロラが出現、中から現れたのはやっぱりと言うかゼノン達である。

 

 

「うわぁめんどくせぇな(何か様か?)」

 

「気持ちがいいくらい建前と本音が逆だね、撃つよ?」

 

 

トリガーマグナムを椿の眉間に押し当ててゼノンは笑う。

隣にいるフルーラもやれやれと首を振っていた、せっかく助けてあげるのにと。

その言葉を聞いて椿はゼノンの手に一万円が握られているのに気がついた、まさか――

 

 

「ボク達は君たちのサポーターでもあるんだ!」

 

「困っていたら助けるのがお仕事なのよ!!」

 

「じゃ、じゃあ一万円くれるのか!!」

 

 

二人は笑って頷いた。

 

 

「「あげるよ!!」」

 

 

二人は腕を絡ませて椿に一万円を差し出す。

思わず涙ぐむ椿、何だかんだ言ってやっぱりこの二人は自分達を助けてくれる頼もしい味方なんじゃないか!

疑って申し訳ない! めんどくさいなんて思って申し訳ない!! 椿はそう思いながら一万円を受けと――

 

 

「………え?」

 

 

一万円はスルリと椿の手を抜けて。ゼノンは一万円を天高くにかざす。

え? え? え、何コレ、何コレどゆこと? 何、何してんのよコイツ。

ゼノンは下卑た笑みを浮かべて呟く。

 

 

「はい、あぁぁげぇたぁああああ」

 

「―――――――」

 

 

ペシーン、ペシーンとゼノンは一万円を椿の頬にぶつけていく。

そのまま彼は一万円を自分の財布にしまった、そして代わりにポケットに入っていたレシートを椿の手に握らせる。

隣にいるフルーラはケラケラ笑いながらソレを見ている辺りがもうね。

 

 

「げらぷー! あげる訳ないじゃん! 馬鹿じゃん! 馬鹿! 馬鹿!!」

 

(ふぅー! 一万いらねぇからこいつ等●してぇぇええ……絶対に記念作品で言う言葉じゃねぇけどブチ殺してぇぇえ――……ッッ!!)

 

 

あ、いや……でもやっぱり一万円は欲しいな、椿は頭を抱えたまま悶える。そんな彼の前に現れる一枚の紙。

 

 

「?」

 

「クプププ……! まあ、一万円はあげられないけど自分の手で掴みとるのもいいんじゃないからしら?」

 

 

そう言い放ちフルーラが椿に差し出した紙、それは何かの広告だった。

椿は何とか冷静さを保ちつつ紙に目を向ける。これでまだ何か意味不明なことが書いてあったら手に持ったラウザーで真っ二つに――

 

 

「っ!?」

 

 

しかし紙の内容を見て椿の動きが止まる。

どうしたのか、興味が湧いて司と亘も椿同様紙を覗き込んだ。

なになに? 司と亘がまず確認したのは大きく分けて二つの単語。

 

 

『君の作品(しょうせつ)がすぐに評価!』『入賞賞金あり!! すぐにその場で届けます!!』

 

「こ、これは――ッ!!」

 

 

ニヤリと笑って消えていくゼノン達、対して紙を持ったまま震える椿。

逃げる司、亘。追いかける椿、捕まる聖兄弟……

 

 

「おい、お前まさか……」

 

「あ、あたりまえだろコレ!」

 

 

いける! そう笑って椿は紙を握り締めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後、食堂にはユウスケの姿が。

椿が校内にいるメンバーを集めたのだが運悪くユウスケしかいない状況だった。

 

 

「見事に野郎だけだな。まあいい、早速はじめるか」

 

「待て待て、おれ達何もしらないんだけど」

 

 

ユウスケの言葉にそうだったと椿は頷く。

彼は食堂にあるホワイトボードに紙を貼り付けて説明を行った。単刀直入に言うと、今から彼らは小説を書くと言う事。

 

 

「この世界にあるとある文庫レーベルがどうやら8周年を迎えるらしい。めでたいね」

 

 

と言う事でノベルコンテストが開催されるらしい。

編集員総動員で行われる持込企画、誰でも書いた小説を持参すればその場で評価を受けられると言うものだ。

しかもその短編が編集員のお気に入りになればその場で参加賞として賞金が振舞われるらしい。

さらにそこから審査員達の目に通り、最終的に大賞作品は商品として販売されると来た。

 

 

「まあ流石に販売が決まるまでは時間が掛かりすぎるが――」

 

 

入賞するだけならあるいは、そう椿は笑う。

すぐれた作品ならば最高で5万もの大金がもらえるらしい。

 

 

「つ、つまりお前は今から小説書いて持っていくって事?」

 

「その通り!! 現金はその場で受け取れるらしいからな」

 

 

しかしそう簡単には言うが当然そのコンテストにはプロを目指そうとする者も多くいるだろう。

彼らと自分達を比べればそれは当然レベルが違うと言うもの。

 

 

「ナメすぎだろ、コンテスト」

 

「もちろんソレは俺も分かってる。だから目指すとは言えど入賞で十分だ、頼むから協力してくれ!」

 

 

彼の言いたい事とやりたい事は分かった。

しかし根本的な問題が一つ、当たり前の事だが賞を取る為には小説を書かなければならない。

だがココにいるメンバーは椿を含め誰も小説を書いた事の無い者ばかり。いきなり書いて賞を取る事は可能なのだろうか?

 

 

「確かに、普通に狙うのはキツイかもしれない」

 

 

文章力、表現力、ストーリー、キャラ。全てが凡以下になってしまうのは容易に想像がつく。

これでは当然コンテストには受からない、それもまた椿は考えていた。

 

 

「だからこそ慎重にいく。俺はラノベを書いたことは無いが読んだ事はある!」

 

 

まずは一番大事なジャンルを決める事、そう椿は言いながらホワイトボードに文字を羅列させていった。

ファンタジー、バトル、ミステリー、恋愛、冒険、それは実に様々である。

 

 

「何でいくんすか?」

 

「ああ、やはり恋愛でいく」

 

 

椿はそう行って恋愛の文字に赤線を引く。

 

 

「ブッ! ……あ、いや。いいですね!」

 

「おう亘、今なんで笑った。言ってみろや」

 

「だってww椿さんww恋愛小説なんてww書けるんすかww?」

 

「"www"じゃねぇよブッ飛ばすぞ、ってか最近そういう所あるよ。最初の謙虚さ忘れてるよね」

 

 

すいませーん、亘は頭を下げて沈黙した。

しかし彼の言った事は尤もではないか? ユウスケも司もそれを椿に問いかけた。

対して鼻を鳴らす椿。分かってないな、彼は言う。

 

 

「いいか、本物の恋愛なんてつまんねーもん書いてどうするよ?」

 

「?」

 

「友達の紹介で知り合って、他愛ないメール、数回の食事……それはリアル恋愛だ。確かに俺はそんなモンしたことがねぇ!!」

 

 

だが――

 

 

「それは短編には向いてない。ましてインパクトが薄い、それで賞を取るのは相当な技術が必要だ」

 

「成る程な、読めてきた。要はありえない恋愛を書くって事か」

 

 

その通り、テンションを上げて椿は手を叩いた。

要はインパクトを与えれば入賞くらいはできるんじゃないかとの考えだ。

宇宙人との恋、たとえばそんな感じだと彼は言う。

 

 

「具体的な考えはあるのか?」

 

「例えばゴリラみたいな女が徐々にデレていく話とかかな! もちろん名前は咲夜な! だってアイツは本物のゴリラだもんな!!」

 

 

上機嫌に語る椿だが、亘の表情は引きつっているものである。

 

 

「つ、椿さん……」

 

「分かってるよ! どうせ後ろにいるっつんだろ? いいか、振り向くぞ。はい振り向いた! そら、そらいたぞ! やっぱりいなすった!! オラ来いよッ! どうせ俺の尻を蹴るんだろ!? 分かってんだよゴリラが! オラ早く来いや! 今日の俺は一味違うぜ! どうした? こねぇのか!? こねぇんだな! じゃあ俺の勝ちだな!! オラ! 勝っ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      アッー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――って事なんだが」

 

「くだらん、勝手にやってろ」

 

 

話を聞いた咲夜、彼女は椿の事を可哀想な物を見る目で見ていた。対して尻を押さえて倒れている椿、何してんだコイツ。

しかしココで朗報が一つ、咲夜の財布には一万円が入っていると言う事だった。もう早い話彼女に借りれば全て解決である。

 

 

「と言う訳でゴリ夜さん、一万貸してや。ホレ、ホレ早く」

 

「お前借りる気無いだろ」

 

 

今度は回し蹴りを受けている椿を見て司はため息をついた。

どうやら彼女の協力は期待できそうに無い、まあ分かっていたと言えばそうなんだが。

咲夜は鼻を鳴らすとそのまま退出せず、近くの椅子に腰掛けた。

 

 

「何だ? ツンデレか?」

 

「馬鹿が、下らんが様子くらいは見てやろうと思ってな」

 

 

そう言って笑ってみせる咲夜、椿も舌打ちをしつつ了解した様だ。

彼女から金を借りられない以上はやはり小説で戦うしかない。話を戻そう、とにかくインパクトで攻めると椿は言った。

 

 

「まあさっきのは言い過ぎたが、だいたい似た様な感じだ」

 

「宇宙人のお姫様と地球に住む平凡な学生の恋愛ストーリーとかだな」

 

「そう、最近は多少ぶっ飛んでても受け入れられる傾向にある」

 

 

とりあえず仮で大まかなストーリーを決定させる。次は一番大事なキャラだと彼は告げた。

ココが一番重要と言ってもいいのではないだろうか? ストーリーが良くてもキャラがクソだと一気に物語の価値は下がる。

もちろんストーリーも大切だが、やはり小説には魅力的なキャラが必要なのではないだろうか?

 

 

「だけどコレは短編だ。長期にわたってキャラの魅力を伝えていく方法はできない」

 

「なるほど、じゃあどうする?」

 

「そこはベタで攻めるしかないだろ。属性付けでいこう」

 

 

属性? 亘は首をかしげる。

そんな彼の表情を読み取ったか、椿はキャラの属性について説明を始めた。

要はカテゴリ訳された性格にするというだけ、どんな個性的で魅力的なキャラであったとしてもキチンと属性には分かれていると椿は言う。

 

 

「ヒロインの属性を何にするかが問題だな、ツンデレかおっとり、電波って手もある」

 

「何が一番人気なんだ?」

 

「やっぱツンデレ辺りが安定しているわな。ただツンデレは短編には向いていないってのもあるし、案外ツンデレってのは難しい」

 

 

主人公に対して暴力を振るうタイプにするとただの害悪女に変わる可能性が高いからだと椿は言う。

ボコデレと言うジャンルと言えばそうだが、その場合はやはり短編では不向きだろう。

時間をかけてデレていくのを楽しむ場合が主だからだ。

 

 

「まあだが適度なツンはあってもいいと思う。短編で魅せる場合はより多くのイベントがあった方がいいからな」

 

 

ホワイトボードに書いていく椿、なかなか悪くないのではないか? 若干の期待が辺りを包む。

 

 

「ギャップとかもいい。例えば名前はゴツイが見た目は超かわいいとかな」

 

「へー……厳蔵(ごんぞう)みたいな?」

 

「いねぇよそんな名前のヒロイン! ってかソレ完全におっさんの名前じゃねぇか!!

 まあ簡単に言うと咲夜(ゴリラ)みたいなヤツだよ。あ、でも咲夜は見た目も中身もゴツ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ヤメテー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まあヒロインは一応そんな感じだ。次は主人公な」

 

 

尻をさすりながら椿は咳払いを一つ、彼曰く短編である以上キャラクターはそんなにいらない。

せいぜい主人公とヒロイン、数人のモブ、その他の重要人物くらいでいいと。

ともなればやはりヒロインの相手、つまり主人公は重要になってくる。

 

 

「これは主人公だけじゃないが、キャラクターの名前はなるべくこだわりが無い以上現実に無さそうな方がいい」

 

「へぇー、どうして?」

 

「被るからだよ、現実と。まあリアルな作風ならまだしもファンタジー入ってるなら名前は多少派手な方がいい」

 

 

派手な名前に抵抗があるのならば漢字を派手にするとか、そう椿は強く主張した。

 

 

「例えばよ、ヒロインの名前がカズヨとかだったら俺はそれがどんなに素晴らしいと言われる作品だろうが見ないね」

 

「カズヨ? 別に俺は大丈夫だけど?」

 

「俺の母親の名前なんだよッッ!!」

 

 

成る程、この場にいる誰もが椿の言った事に対して納得した。

それならばやはり登場人物の名前は多少ありえなくても現実離れした方がいいか。

 

 

「あと恋愛ものの主人公はまた難しいからな。ヘタレにするか鈍感か……」

 

「何が人気なんだ?」

 

「いや悲しいかなこの手の主人公はあまり人気じゃないのが多い」

 

 

やはり短い時間で恋愛を運ぼうとするとヒロインの高感度の上昇に若干の無理やり感が出てしまう。

そこをリアルと比較されるとどうにもご都合主義的な面は否めない。それが結果主人公に対する不満となるのだろうと彼は言う。

 

 

「へぇー、意外っすね。"主人公が人気ない"って、つまり"主人公はいらない"って事じゃないっすか」

 

「………」

 

「まああくまでも一部の意見だ。今回はヒロインがボケだから主人公のツッコミは必要になってくる。たとえ"主人公は人気じゃなくても"な」

 

「"主人公って人気なくなる"んだ……知らなかったな」

 

 

"主人公って人気ない"よね、その内サブキャラのほうが人気出てきたりしてさ。

"主人公って人気なかったり"、"主人公って人気下がっていったり"。

"主人公ってどうしても一番にはなれなかったり"、"主人公"って人気が――

 

 

「ん? どうした司、何か気分悪そうだぞ」

 

「分からない、分からないが猛烈に胃が痛い……ッッ」

 

「?」

 

 

そんな感じで主人公は単調に決まっていく。

大まかなストーリーに重要なキャラも決まってだんだん形は決まっていった。

そのまま場面をパソコン室に移す一同、椿は仮のストーリーを元にほぼ直感でキーボードを叩いていく。

さすがと言うべきか椿のタイピング速度はかなり速く、これなら今日中に提出できそうなものである。

 

 

「へぇ、結構進むんだな。どれどれ……」

 

 

司はパソコンの画面を見てみる。

どうやら主人公とヒロインが始めて出会う場面らしい、遅刻しそうな主人公が曲がり角でヒロインとぶつかると言うベタなものだが――

 

 

「え? ぶつかるんじゃねぇの? 何かヒロイン破壊光線撃ってるけど」

 

「インパクトだ」

 

「え? ヒロイン足八本あるけど。最早人間の容姿じゃないけど」

 

「インパクトだ」

 

「え? 何? 主人公ってドラゴンなの? 口から火出てるよ」

 

「インパクトだ」

 

「地球爆発したけど」

 

「インパクトだ」

 

 

「ざけんなぁあああああああああああああ!! シナリオクソすぎるだろうが! いや俺もつくれないけどさ!! いくら何でも――」

 

 

司は視線をユウスケと亘に移す。もちろん同意を求めようと――

 

 

「破壊光線系ヒロインって結構可愛いっすね……」

 

「おいマジで言ってんのか弟よ!! つか破壊光線系ヒロインって何だよ聞いた事ねーよそんなもん!!」

 

「足八本ってかわいいな……」

 

「嘘だろユウスケ! かわいくねーよ!! 考え直せって!! アレ? これ俺がおかしいのかな――ッ!?」

 

 

吼える司だがとにかく作業は進んでいく。

ユウスケ、亘、不本意ながらも司もパソコンで彼の作業を手伝っていく。

興味が無いと言った咲夜、そんな雰囲気の中ついに――

 

 

「うし! とりあえずはできた」

 

「やりましたね椿さん!」

 

「やったな椿!!」

 

「………」

 

 

相変わらず首をかしげる司だが、他のメンバーは満足そうである。しかしココで椿はある事を危惧していた。

それは最初に言われたとおり、いくらぶっ飛んだ恋愛物だとしても自らに恋愛経験がまるで無い以上どうにも判断が鈍る。

これは果たして恋愛ものとして成立しているのか、それが問題である。

 

 

「だから助っ人を呼んだんだが……」

 

「?」

 

 

そこでタイミングよく椿の携帯が音をあげる。来たかと反応する椿、誰かが来た様だが?

とにかく椿はその来客をパソコン室に案内した。そこから数分でパソコン室の扉が開く、誰が? 一同は視線をソチラに向けた。

 

 

「はぁい、こんにちは」

 

「アンタ……巳麗!」

 

 

チームディエンドの一人である巳麗、椿は彼女を呼んでいたのだった。

恋愛経験が多そうで、何でも執筆面に関しても期待できそうなメンバーを探していた所彼女が浮かんできたという。

椿は事情を巳麗に話し、かつオーケーをもらっていた。早速椿はできあがった作品を巳麗に見せる。

 

 

「どうだ? 女性視点で感想頼む」

 

「うーん……」

 

 

巳麗はパラパラと原稿をめくり、そして数分後――

 

 

「ちょっとぬるいわね、最後が手を繋いで終わりってのが」

 

「や、やっぱりか……ッ! 全年齢対象って事で臆病になりすぎたかな」

 

 

巳麗の感想は正直椿も予想していた物だった。

この作品は恋愛でありながらヒロインと主人公が手を繋ぐ事しかしていない。

全年齢向けと言う枷から抱きしめたりキスしたりは書けなかったのだ、それが逆にインパクトを弱めてしまったと巳麗は言う。

 

 

「今時の子供はむしろもう少し過激でも大丈夫なのよ」

 

「た、たしかに……」

 

「私に任せてくれれば修正するけど?」

 

「頼めるか!?」

 

 

オーケーと巳麗は頷く。

これは頼もしい! 椿達は彼女にまかせてしばらく時間を潰した。

そして数十分と言うところ、巳麗が修正が完了した事を告げる。

 

 

「お! いいね! なになに~……彼は私の●●●を●●●に、●●●で●●●だった。

 ふーん、で? ●●●を彼の●●●私の●●●が熱く●●●がもう限界に●●●だった………」

 

 

目を擦る椿、落ち着けと何度も呟いて彼はもう一度冷静に原稿へと目を向けた。

これは8周年記念作品だ、こんな――

 

 

「彼は結局の所私の●●●に●●●を●●●でしかない。

 つまり●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●!!! アンタは結局全裸レインボーブリッジやんか!!」

 

 

椿はニヤリと笑って床に座り込む。

そうか、全裸レインボーブリッジか――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふッッざけんなあああああああああああああああああああああッッッ!!」

 

「あら? 意外ね」

 

「意外でもなんでもねーよ! おいおいおい何で全部官能小説になってんだよ!! 刺激が弱いとかじゃねぇぞコレ、えぐいわ! お前コレ8割下ネタじゃねぇか!! 8周年だっつってんだらぁああああが! 記念作品にこんなもん贈れるかぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ……ッッ!!」

 

「み、巳麗さん……ぜ、全裸レインボーブリッジって一体――」

 

「ああ、それはねぇ――」

 

「興味を示すな亘ッ! 絶対に答えるなよ巳麗! どうしてくれんだよ! 多感な年頃の中学生刺激してくれてんなよ!!!」

 

 

ギャーギャー吼える椿、彼から少し離れた所では司が誰かに電話をしている所だった。

電話の声は誰にも聞かれる事無くひっそりと。

 

 

「あ、もしもし海東さん? ちょっとソチラが派遣してくれたお仲間さん変なんですけど――え? 知ってた? ――いや、その――ちょ!!」

 

 

切れた。あ、巳麗さん満足そうな笑みで帰って行かれた……

プルプルと震える椿、当然修正された所はまた元に戻さなければならないじゃないか。

それだけ時間も費やす事になる、とにかく早くしなければ。釈然としない物を誰しもが抱えながら作業は再開されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして――

 

 

「だあああああああ! 完成だ! これでいく!」

 

「いろいろ不安だがまあ仕方ないな。早く持っていこう!」

 

 

頷く一同、しかしここから文庫レーベルの会社までは中々距離がある。

いちいち電車やバイクじゃ他の者に先を越される場合が。どうしたものか、そんな迷いが生まれたとき――!

 

 

「俺が行こう」

 

「「「!?」」」

 

 

パソコン室の向こうからムクリと立ち上がったのは何と双護だった!

いないと思われていた彼だが、実は食堂で寝ていた為に最初からこの場にいたのだ。

そして話を端的に聞くうちに彼もまたパソコン室に来ていたのだった! 正直全然気がつかなかった!!

 

 

「でも双護さんなら!!」

 

高速移動(クロックアップ)か! 成る程、それなら早い! 頼めるか!?」

 

 

まかせろと双護はうなずく。

彼は椿から原稿が入った封筒を受け取ると早速変身して姿を消した。

彼のスピードならばすぐに編集者達に作品を届ける事ができる。場所も伝えたし、双護ならば安心だろう。

 

 

 

 

安心だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

一方の双護(カブト)、クロックアップで順調に進んでいたのだが――

 

 

「!!」

 

 

そこでとんでもない物を見てしまう。

パッと見は川原で泣いている少年、カブトはすぐに変身を解除して少年に駆け寄った。

双護を確認してなにやら助けを求める少年。それもそう、なんと川のほうで少年の友人らしき別の少年が溺れていたのだ。

 

 

「待ってろ! すぐに助けるッッ!!」

 

 

双護はすぐに持っていた原稿を投げ、川に飛び込む。

成る程、確かに川は見た目よりもずっと深く、落ちてしまえば覚えれる程のものだった。

しかし双護はカブトゼクターの助けを借りて少年をスムーズに救出する。双護は少年を抱えて無事に安全な場所まで戻ってくる事ができた。

 

 

「大丈夫か?」

 

「は、はい……!」

 

 

呼吸は荒いが、どうやら落ちて間もない事が幸いして少年に怪我は無かった。

しかし何かあると厄介だ、双護は近くの大人にタクシーの電話番号を聞き少年を病院に送ってもらう事に。

 

 

「じゃあな、川は危ないから迂闊に近づくなよ」

 

 

タクシーが到着して双護は運転手に金を渡す。

これで病院に運んでくれるはずだ、自分も着いていくべきなのだろうが椿の原稿を――

 

 

「………」

 

 

沈黙、停止。

 

 

「………ッッ!」

 

 

しまった!! 双護はすぐに川原に逆戻り、先ほど飛び込んだ場所まで走っていく。

そして周りを見回した時に、それを見つけた。

 

 

「!!」

 

 

あの時は少年を助ける事に夢中で気がつかなかったが、原稿を投げた勢いが強かったのか原稿そのものが川に落ちると言う事態が起きていたのだ。

すぐに双護は再び川へダイブ、素早く原稿を広いあげて川から出るものの。

 

 

「な、なんて……事だ」

 

 

膝を着く双護。

紙は水には勝てない、双護が届けると約束した椿の原稿は見るも無残な程にグシャグシャに変わってしまった。

両手をついて頭を下げる双護、せっかく椿達が努力して作り上げた大切な作品を自分が台無しにしてしまったのだから。

 

 

「俺は――ッッ!!」

 

 

びしょ濡れになりながら双護は後悔と罪の意識にとらわれる。

友との約束を自分は守れなかった。これじゃあせっかくのコンテストも――

 

 

「これで顔を拭け」

 

「!?」

 

 

そんな時、誰とも知らぬ青年の声がして双護の頭にタオルがかけられる。

視界がゼロと言うのに加え、いきなり青年の声がして双護も混乱。それが誰なのか確かめる前に言われるがまま、タオルで顔を拭き始めた。

 

 

「お婆ちゃんが言っていた、二兎を追う者は二兎とも取れ……と」

 

「!!」

 

 

なんと言う強力なエネルギーに満ちた言葉か。

双護はその言葉をかけてくれた男の姿を確かめる為にタオルを取った。

 

 

「ッ!?」

 

 

だが周りを見回すがそこには青年はおろか誰一人存在していない。

そんな馬鹿な、自分がタオルで顔を拭いていた時間なんてたかが知れている。

なのに男の影すらない? 全力で走っていたとしても姿くらいは見える筈なのに!!

 

 

「………ッ」

 

 

夢だったのだろうか? いや、しかしタオルは確かにココにある。

これは真昼の夢でも幻でもない。ならばアレは一体誰だったのだろうか?

心なしか懐かしい雰囲気もあった。もちろんそんな事はありえないのだろうが。

 

 

「二兎を追う者は二兎とも取れ……か」

 

 

そうだ、ここで諦めてはいけない。

双護はグシャグシャになった原稿を確認する、中身はもうとても見れるレベルではない。

しかし、まだ端的ではあるが自分は椿の話を覚えていた。加えて自分に存在するクロックアップの存在……

双護は周りを確認、すると目に付いたインターネットカフェ。そこには"ワードと印刷機あります"の文字が。

これは運命か、双護は頷くと再びカブトゼクターを呼ぶ。

 

 

「行くぞ、カブトゼクター!」

 

『いいね。俺、サービスのソフトクリームが食べた――』

 

「変身!」『え? 変身すん――』『HENSHIN』

 

 

六角形の光に包まれて双護はカブトへと姿を変えた。

そして頷くと一歩足を踏み出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのネットカフェ、今日も今日とてバイト君(18)が受付である。

やはりこういっては何だが暇なものだ、毎回やってくる客をチェックするが面白い脚も今日はいない。

帰って何をしようかな、そんな事を考えていると自動ドアの開く音。

 

 

「いらっしゃいま……」

 

 

仮面ライダーカブト、入店。

 

 

(え? 何、何コレ? 誰、誰なのこれ。コスプレ? コスプレなのコレ?)

 

 

明らかに人間じゃないけど? バイト君は震える声で何とか冷静さを保つ。

コスプレでやってくる客は始めてだ、メタリックに輝く赤色がまぶしい。

 

 

「あのすいません、ここのパソコンってワードありますよね?」

 

「え、ええ……! い、いいいいい印刷もできますよ」

 

 

震える声と手で部屋番号を言うバイト君。

カブトはお礼を言うとベルトにあるボタンをタッチした。

 

 

『Clock Up』

 

 

そして――

 

 

「ありがとうございました。お金丁度なんで、レシートいいです」『Clock Over』

 

「は?」

 

 

いつのまにか目の前には金、そしてカブトの手には分厚い原稿が。

そのまま店を出て行くカブト、ブルブル震えながら見送るバイト君。

凄い人だった、バイト君はカブトの背中を見ながらそう思うのだった。

 

 

「助かった、何とか椿の作品に近いといいんだが」

 

 

双護はクロックアップを使って一から小説を書いていた、内容は端的だが椿の話を聞いたおかげで覚えている。

ジャンルは恋愛、名前がゴツイ宇宙人ゴリラ女王が暴力系ツンデレを使って主人公と恋に落ちていくストーリーだった筈。

主人公の名前はありえないもので不人気になりそうなヤツ、キャラ数はどうだったか? 覚えていないが多いほうがいいだろう。

 

名前は可愛くないほうがいいと言っていたな、そう言えば全裸のレインボーブリッジがどうとかも言っていた。

あとは記憶に残っているほかの作品をくっつけて作った双護の作品だ。正直椿達には申し訳ないが、とりあえずこの作品で入賞を目指そう。

双護は強く頷いて進むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「8周年、本当におめでとうございます」

 

「ああ、ありがとう」

 

 

文庫レーベルの会社に無事たどり着いた双護、そこには自分以外にも多くの人がやってきていた。

当然だ、皆真剣にコンテストに参加している。その希薄に負けないようにしなければ。

 

受付を済ませて数分、一人の編集者に呼ばれて双護は会社の一室に来ている。

要はこの人に作品を見せて気に入られればオーケーと言う事。自己紹介をして早速読んでもらう事にする。

 

 

「君は運がいいよ、僕は読み取りの哲さんと呼ばれていてね」

 

「はぁ」

 

「君が作品に込めたメッセージ。読み取らせてもらうよ」

 

 

そう笑う読み取りの哲さん、さっそく彼は双護作の小説に目を通し始めた。

最初のイベントは主人公とヒロインが出会うもの。

 

 

 

 

 

 

やべー! 俺は走っていた。何故なら学校に遅刻しそうだからだ。

 

 

(さあ、どんな作品がくる? 主人公は遅刻しそうだが……? お手並み拝見と行こうか、双護くん!)

 

 

俺の名前は罵鼻(ばび)不部募(ぶべぼ)! やべー朝までカバディやってたら寝過ごしちったZE☆ 失敗失敗テヘペロリン!

とにかく学校までもう少しだ、早く行かないと!

 

 

(やべー……どうしよう主人公超ウゼぇ。

 つか罵鼻不部募って名前つける親この世にいんのかよ――ッ! 腹立つわぁぁ……)

 

(いや、ちょっと待て! ここは作者の心を読み取るんだ!)

 

(名前はカオスだがこれならば現実に同じ名前の人間がいる事はない。ましてこの性格はあえてウザくする事で後の改変をスムーズに行う為か?)

 

(成る程。双護くん、そういう事だったのか……中々できるかもしれないな)

 

 

丁度俺が曲がり角にやってきた時、丁度アイツとぶつかっちまったんだZE!!

 

 

(あああやっぱウゼぇなこの最後のローマ字が……ッッ!)

 

(いやしかしこの時代にこの手で攻めてくるとは中々冒険に出たね。ベタすぎる出会いだが逆に今どきやる人間はすくない)

 

(成る程、読み取ったよ双護くん! 君はあえてベタを選ぶ事で新鮮さを出している。ベタを理解せぬ者にいい物は書けないとはよく言ったものだ)

 

 

「いてて、誰だよ!」

 

 

(さあ、ヒロインのご登場だ。どんな属性でくるのか……この手の場合はツンデレか? いや、逆をついて――)

 

 

俺にぶつかってきた愚かなメス豚、コイツは本気で天罰決定。しかも――

 

 

「ゲッ! お前ゴリラじゃんか!!」

 

 

(ちょいちょいで主人公の言葉が鼻につくなぁ。死なねぇかなコイツ……)

 

(そしてヒロインのあだ名はゴリラか。読めたよ双護くん、これは名前ギャップだね。

 ゴリラと呼ばれるが実は可愛いと言うギャップをついたうまい――)

 

 

「ウホッ! ウホホッ!!(訳・あ! そう言うお前は不部募!)」

 

 

(落ち着け俺、落ち着け俺、落ち着け俺、落ち着け俺、落ち着け俺)

 

(これまさかアレか? モノホンなのか?

 いやそれは無いだろ俺、だって一応会話はしている訳だしさ。っていうか訳って何? なんでこの娘ウホウホ言ってんの?)

 

 

俺は前から現れたゴリラ、通称ゴリボンとぶつかってしまった。まったく、女のくせに毛深いっての!

 

 

(やべーよ本物だったよコレー、しかもゴリラ本名だったよー。

 ゴリボンって何だよー、白ボンの仲間? 全然可愛くないんですけどーっ)

 

 

「ウホッ! ウホホ! ウホッ!(訳・やだ! パンツみないでよ!!)」

 

「相変わらず何言ってるかわかんねーな。まあいいや、ゴリボンいい加減服着た方がいいよ。最近寒いからさ」

 

 

(おっと訳の意味がないぞ? え? 何? お前ら会話できないの? あと今の内に言っておくけどゴリラ好きの人本当にすいません!!)

 

(え? っていうかゴリボン裸なの? これ大丈夫? ってかコレが本気でヒロインなの?)

 

(待てッ! 読み取れ!! そうか分かったぞ! これはヒロインが魔法か何かで姿をゴリラに変えられて――)

 

 

「ウホッ!(訳・何言ってんのよエッチ! 死ね! 破壊光線パンチ!!)」

 

「ぐわぁぁぁぁああぁぁぁぁああああああああぁぁぁ―――………」

 

 

俺は、死んだ。

 

 

(逝ったぁああああああああああああああああああ! 主人公逝ったぁああああああああああああああああああ!!)

 

(嘘だろ!? 何だよコレ本気で!! いや確かにさっきそう言う事思ったけどさ!! つかコレ記念作品だぞ! 不謹慎なんてモンじゃねぇだろうが!!)

 

(あと細かいけど破壊光線パンチって何だよ!! どっちかにしろやッッ!!)

 

 

うそー! ごめんぴー! 死んでませんえーん!!

 

 

(あああああああああああウゼェェエエエエエエエエエ!! やっぱ俺主人公大ッッッ嫌いッッだわぁッッ!!)

 

 

 

 

息を荒げる読み取りの哲さん、そんな彼を見て双護は手ごたえを感じていた。

小説を書くのは初めてだったがさすがは椿と言った所か、彼の言うとおりにしたら読み取りの哲さんも原稿を握る力が強くなっている。

 

 

「そ、双護くん………」

 

「はい」

 

「こ、これは……ギャグなの――かな――……ッッ」

 

「いえ、スペースファンタジーです」

 

「マジか……ッ、マジかよ……ッッ、マジなのかよぉぉ……ッッッ」

 

 

何故か苦悶の表情を浮かべて大量の汗を流す読み取りの哲。

彼は二度くらい頷くと再び原稿に目を向けた。哲さんは思う、本当に申し訳ないが少しページを飛ばそう。

別につまらないとかじゃない、いろんな意味で続きが気になって仕方ないからだ。

 

 

 

 

俺は目の前に広がる景色を見て切に思う。

 

 

(どんなシーンなんだ……? アレから少しは二人の仲は縮まったんだろうか?)

 

 

地球は、青かったんだな。

 

 

(――――――)

 

 

「ゴリボォオオオオオオオオオオオン!!」

 

「ウホホホッ!!(訳・分かってるわよ、敵の数は百! いけるわ!!)」

 

 

そう言うと俺とゴリボンは互いにエクスバースを発動、目の前からやってくる無数の無敵艦隊エグゼシブと対峙しあった。

成る程、敵を率いるのは暗黒帝国第一隊代表"漆黒のアバロン"か。"マンティスコア"に乗り込み俺を睨んでやがる。

いいぜ、俺もゴリボンも分かっていた。ここで引けば地球は細切れ、アーハン?

 

 

「ゴリボン! ブースターモードは?」

 

「ウホホホッ!! (訳・いける!)」

 

「オーケー! 止めとこう! 何言ってるかやっぱワカンネーわ!」

 

 

そこでまた爆発、おいおい運命の女神様が敵とあっちゃな俺も困る。

ユニゲートを通ってきたのは皆さんご存知第二隊代表、"噴煙のオルトリー"。あの女、魔界戦艦で倒した筈なのにしぶとくやってきやがる。

 

 

「世界は滅びる。この世はフェイクだ」

 

「心は氷、俺は炎ッ!」

 

 

現れた新たなる敵、"ポセイドン軍団"。"トマホーク"に"エリブルグ"、"ランスザパー"に"オクロークアポインド"。

おまけに"ストリーム"に"セントパール"までいやがる。面白くなってきやがった、俺のテンションも上がってくるってもんよ。

 

 

「くらえッ! ラスト・ストライク・マシンガン・アタック!!」

 

 

俺はゴリボンのアシストを受けて翼になる。神よ、俺に力を――ッッ!!

地球を守る、意思(エクゼ)を!!

 

 

(もヤダぁあああああああああああああああ!! もう読み取れねぇよこんなんよぉおおおおおおおおッッ!!)

 

(ラブコメじゃねーのかよッ! なんで俺の知らない専門用語しかねぇんだよッ! つか何で宇宙で戦ってんだよぉぉぉ……)

 

(つかキャラい過ぎだろ、何だよ暗黒帝国とかポセイドン軍団とかさぁ!

 コレ短編だって言ってんだろうがぁぁ……ッ! 分からない、何ももう信じられないッッ!)

 

 

 

 

哲の目から涙があふれてくる。読み取りの哲と言われてて正直調子に乗っていた事がよく分かった。

分からない、もう何も理解できない。双護は何が書きたかったのか、それを読み取れる力が俺には無いのか?

哲は震える手でページを飛ばす。せめて最後のシーンくらいは分かって――

 

 

 

 

「なあ、ゴリボン。伝えたい事って……なんだよ?」

 

 

(告白! 分かる、コレなら分かる!!)

 

 

ゴリボンは俺の前で恥ずかしそうにモジモジとしている。

なんなんだろうか? 俺はゴリボンの言葉を待った、彼女が言いたい事って?

 

 

(いいぞ! ゴリボン!! 想いを伝えるんだ!!)

 

 

「ウホ――」

 

 

(いけッ! ゴリボ――)

 

 

「あんたはホンマ全裸レインボーブリッジやッッ!!」

 

 

(誰か助けてぇえええええええええええええええッッ!! 喋れた、ゴリボン実は喋れた!! でも意味わかんねーよッッ!!)

 

(全裸レインボーブリッジって何なんだよぉ。あと何回も言ってるけどコレ記念作品なんですけど! コイツ何とんでもない爆弾持ち込んで来てるんだよぉ……ッッ!!)

 

(で、でも一応ゴリボンは告白した……筈だ! どう返す罵美不部募ぉおおおッッ!!)

 

 

「………ゴリボン、おめでとう」

 

 

(ファッ!?)

 

 

「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」

 

「ありがとう」

 

ゴリボンに、ありがとう。

ゴリボンに、さようなら。

そして、全てのゴリラ達に、おめでとう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

 

 

「ゲリオンッッ!!」

 

「!!」

 

 

哲は勢いにまかせて原稿を破る。

口をついて出た謎の言葉、そして物語の終わり。

読み取りの哲は涙と汗に塗れて息を吐く、こんなに精神を消耗したのは初めてかもしれない。

 

 

「ご、ごめん双護くん……つい力が――」

 

「いや、いいんです。どうでしたか?」

 

 

ふざけんな。

そう言うつもりだった、だが哲の口から出た言葉はそれとは全く別の物だった。

彼は双護に手を差し伸べる。これは感謝の意を込めて、まごころを君に。

 

 

「負けたよ双護くん。世界は広かった、俺は勉強不足だったようだ……」

 

「!」

 

「君には、審査員特別賞を送る。これからも小説を書く楽しさを忘れないでくれ」

 

「ありがとうございます!」

 

 

固い握手を交わす二人。

その時部屋の電話が勢いよく音を立てる、なんだろうか? 哲は受話器をとって応答を行う。

どうやら電話の向こうは大きく動揺している様だ。焦りからか声が大きく、震える声が双護にまで聞こえてきた。

 

 

「もしもし、何があった?」

 

『――――ッ!! ―――!!』

 

「なんだとッッ!!」

 

 

悪いが双護くん、急な事態が入った。

そう言おうと振り返る哲、だがもうそこに双護の姿は無かった。

 

 

「ッ?」

 

 

どこに行ったんだろうか?

しかし緊急事態が発生した今、申し訳無いがコンテストどころではない。哲はすぐに部屋を出て事態の解決を急ぐのだった。

さて、ここで思うのは何が起きたかだ。それは事件、文字通り事件だった。

コンテストはその場で賞金を渡すために、今日は会社に大量の現金が集まっていた。

そこを狙われた、会社に強盗集団が進入して集まっていた賞金を全て奪われてしまったと言う。

幸い怪我人はでなかったものの賞金がほぼ全て奪われると言う事態に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アハハハッ! すげー金だよ本当!!」

 

「これなら一生遊んで暮らせるぜぇ」

 

 

車に大量の金を詰め込み逃走している犯人グループ。

このまま逃げ切ればこの現金全てを手に入れる事ができるのだと彼らは笑った。

そして橋に車が差し掛かった時――

 

 

「あ?」

 

 

運転席から見えるのは道路のど真ん中に並列している少年集団。

何をしているのか? 周りには他の車が無いものの目の前から来る自分達に気がつかない筈が無い。

 

 

「邪魔だなッ! 何なんだよあいつ等はッ!!」

 

 

犯人の一人がイライラした様にクラクションを鳴らす。

余計な事件を起こす気は無いが、場合によってはこのまま引き逃げて――

 

 

「あの車だな、双護」

 

「ああ、電話で言っていた特徴と合致している」

 

 

休憩の世界なのに面倒な事をしてくれる。

司はため息をついてディケイドライバーを構えた、両隣ではゼクターを構える双護、キバットを構える亘が。

そしてポーズを取るユウスケ、最後にエースのカードをバックルに装填する椿。

 

 

「お前らぁぁぁ……皆さんが命を賭けてるこのコンテストを――」

 

 

椿は珍しく睨みをきかせて――

 

 

「邪魔すんなぁああああああああああッッ!!」『ターンアップ』

 

 

エレメントを潜り抜けて椿はブレイドに変身する。

同じく変身を完了させる一同、クウガとディケイドは射撃で犯人グループの車をパンクさせる。慌てふためく犯人達を待っていたのは――

 

 

『ファイナルフォームライド』『ブブブブレイド!』

 

 

大剣、ブレイドブレードを持ったディケイドは車を真っ二つに。

金が入っていた荷台部分と、犯人たちが乗っていた運転席部分に車は分離。

そこへ音速の追撃、カブトとキバの目にも止まらぬ動きで犯人たちは一瞬で気絶させられる。

 

 

「よし、これで――」

 

「ちょっと待てやああああああッッ!!」

 

「!」

 

 

荷台から聞こえる声、一同が視線を移すとそこには会社で働いていただろう女性にナイフを構えている男が見えた。

成る程、人質をとって荷台にもいたと言う訳か。女性はブルブル震えてディケイド達に助けてを求めていた。

 

 

「野郎ッ!」

 

 

ブレイドはタイムのカードを構える。これで一気に――

 

 

「ゴブァアアアアアアアアッ!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

しかしまさにその時。

人質だった女性に向かって光の玉の様な物が飛翔してきたかと思うと、女性の目つきが一気に変わった。

 

 

「俺、参上!」

 

 

赤いメッシュが入った女性、彼女はそれと同時に犯人を一気に殴り飛ばしたのだ!!

何がどうなって? 驚く一同の前に現れたのは――

 

 

「よかった、間に合って」

 

「良太郎! って事は――」

 

 

犯人を殴り飛ばした女性にはモモタロスが憑依していたと言う事。

良太郎はたまたま近くにいたおかげでココに来る事ができたのだ、双護から連絡を受けた彼は素早く事情を理解して今に至ると言う訳。

ただ人質の女性には負担が多すぎるので、モモタロスには素早く憑依を解除してもらう。これで全て終わった?

 

いや、案外しぶといものである。

 

 

「くそ……が――ッ」

 

 

犯人は気絶まぎわ服の裏にあったボタンを押す。

すると車が爆発して宙を舞った、どうやら何かあった時の為に爆弾をセットしていた様だ。

せめてもの抵抗か、爆発には誰も巻き込まれなかったが衝撃で空高く跳ね上がった車が街に落ちるのは避けたい。

 

 

「俺が行く!」『アブソーブクイーン』『フュージョンジャック!』

 

 

ジャックフォームに変わるブレイド、彼は翼を広げて空に舞い上がった車を追った。

だが車は大きく二つに分離している、対してブレイドは一人だ。ディケイドも加勢しようとカードを構え――

まさに、その時。

 

 

「もう一つは任せろッ!!」

 

「え?」

 

 

聞きなれない声、誰もが彼の方を見た。そこにいたのは――

 

 

「セイリィィィング・ジャァァンプッッ!!」

 

 

黄緑色の仮面。まさに風の様に現れた彼はブレイド同様空に舞い上がり車へと狙いを定めた。

混乱するライダー達だが時間は進む、ブレイドは現れた黄緑色の戦士にもう一つの破片部分を任せる事を決める。

 

 

「ウェアアアアアアアアアアッッ!!」『キング』『ライトニングソニック』

 

「スカァァァイキックッッ!!」

 

 

二人のキックが車を吹き飛ばして誰もいない川へ叩き落す。

これで完璧に終わりだ。金はカブトがクロックアップを発動して回収済みだし人質に怪我は無い、犯人一味はクウガとキバが縛り上げている。

 

 

「あなたは……」

 

 

地上は全て解決、だが上空では残る疑問が一つ。

ブレイドは目の前にいる仮面の戦士を見つめ、そして問うた。

風になびくマフラー、そして複眼やクラッシャーを見るに彼は間違いなく――

 

 

「話は聞いてるよ」

 

「え?」

 

「俺も君たちと同じ仮面ライダーさ」

 

 

その名も――

 

 

「八番目、スカイライダー筑波(つくば)(ひろし)

 

「………!!」

 

 

今は詳しい事は話せない、だが必ずまた会う日が来ると彼は言いそのまま空に飛んでいってしまった。

その姿を一同はしばらく目を離さずに見ている。

 

 

「スカイ……ライダー……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――すまん、椿」

 

「ああ、いやいいんだ。いろいろ悪かったな双護さんよ」

 

 

あれから学校に戻った一同、双護は原稿の事を含めて全てを椿に打ち明けた。

椿も元々は自分の我がままで皆をつき合わせてしまった点を自負している、だから怒る事は無いのだ。

 

 

「それに、もう移動しちゃったしな」

 

 

椿は窓から外を見た。

どうやら世界は移動を始めたらしく、もうゲームを買う事は不可能となってしまった。

それは残念だったが、今回は諦めるとするか。椿はため息をついて元気なく教室を出ようと――

 

 

「ん?」

 

 

教室を出ようとした椿の足元に置かれていたソレ、椿は『その箱』を拾い上げると動きを完全に停止させた。

どうしたのだろうか? 司は気になって椿が持っている箱を覗いてみる。するとどうだろうか、彼が持っていた箱は――

 

 

「やったああああああああああああッッ!!」

 

「!?」

 

 

突如声をあげてはしゃぎまわる椿、理由を聞いてみると彼の持っていた箱が答えだと言う。

目を凝らしてみる一同、するとなんとそこにあったのは椿が求めていた限定版ボックスではないか!

 

 

「な、なんで!?」

 

「お、俺にも何が何だか! でもコレって幻じゃねぇよな!! うっひょぉぉおお!!」

 

 

飛びはね、転がり、笑いながら走り回る椿。

天からの奇跡だの、運命が齎した勝利品だのと彼は大きく声をあげてはしゃぎまわった。

努力した者には必ずご褒美が貰える、そんな事を言って椿はしばらくそのテンションを維持し続けたのだった。

 

 

「………」

 

 

そして、それを遠めで見る者が一人。

 

 

(頑張った者にはご褒美か……まあ、今回は認めてやろう)

 

 

そう思いながらニヤリと笑ったのは咲夜、彼女の手には限定ボックスのレシートが握られていた。

いつの間にか皆の前から姿を消していた咲夜、いろんな事があって誰も彼女に気がつかなかったのだが……

どうやら彼女はしっかりと椿達を見ていた様だ、咲夜は自分の財布から一万円が消えているのを見て苦笑する。

まだまだ甘い。なんだかんだ言って――と。

 

 

(暫くあのままにしておいてやるか)

 

 

だが金は必ず返してもらうぞ、そう思いながら咲夜は踵を返して歩き出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、翌日。

 

 

「よし真由! じゃあゴリボンVSメカゴリボンの続きを書くぞ!」

 

「頑張ってね…お兄ちゃん……!」

 

「ああ! 小説を書くって楽しいな!!」

 

 

 

 

 

 





ブレイドのドラマCDが最終回後の話って聞いてふと思ったんですが、最近のライダーはテレビ、ムービー大戦、下手すりゃ小説と三回最終回あるんですよね。
結構印象変わるのが冒険的ですよね、小説版クウガやウィザードはメインライターが書いてた分、より正史感があると言うか。

楽しみな分ちょっと怖くもありますけどね。
正直ウィザードはちょっとショックだった面もあったと言うかw

クウガの漫画といい、終わったライダーもまだまだ新たなストーリーが見られる可能性もあるかもしりませんね。個人的には龍騎をまた(ry

まあ、そんな感じでした。
ちょっとリアルの関係で今年はコレが最後になります。
来年にまたお会いしましょう。ではでは。


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