仮面ライダーEpisode DECADE   作:ホシボシ

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番外編 パラノイアインデックス(後編)

 

 

翌日、代表で司と椿、双護が文庫レーベルに向かう事になった。

リレーを証明するために最低三人以上で会社に行かなければならない。

あまり多人数で行っても込み合うだけなので椿達は最低人数の三で行く事にした。

 

 

「おい、点滅してるぞ。走ろう」

 

 

信号の点滅が見えて三人は小走りで横断歩道を渡る。

だがその勢いが結構あったのか、すぐ待ち構えていた曲がり角から飛び出してくる影に椿は対処できなかった。

 

 

「うお!」

 

「あでっ!」

 

「「「!!」」」

 

 

現れたのはこれまた椿達と同じ封筒を持った朱雀だった。

二人の勢いは強く封筒からそれぞれの書いた小説がばらまかれてしまった。まずい! 双方すぐに拾い集めるが――

 

 

「安心しろ、俺達の分だけ集めておいた」

 

「お、さすが双護さん!!」

 

 

双護は素早く舞い上がった紙を掴んでいたのかドヤ顔で椿にソレを渡す。

ちなみにこの男ドヤ顔だが実は全くもって掴み取った紙はバラバラである。何故こんなに自信があったのか、それは彼自身しか分からない事だ。

とにかくこれでただでさえふざけた出来だった小説に、朱雀たちが書いた小説が混ざり順番もバラバラになってしまった。

しかし緊張もあってか全く気づかない三人、そのまま朱雀と分かれて彼らは文庫レーベルへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小説とは世界であり、そして同時に作者が心を込めて作り上げた魂そのものだと彼は考えていた。

故に彼は小説の中にある様々なシーンにどういった作者の魂が込められているのか、書いた者は何を意図して書いたのかを考えるようにしていた。

そこにあったメッセージを理解し、読み解くことで作者の想いに触れる。そうすればおのずと作品もまた色々な顔を見せてくれるものだ、人はそんな彼独自の読法を称え――

 

その男の名を、"読み取りの哲"と証した。

 

 

「哲さん! 大変です!!」

 

「ん? どうしたの?」

 

 

文庫レーベルに勤める編集者の一人である彼は、今日から始まるコンテストの担当者が一人であった。

朝からは早速グランプリを取ろうと目を獣の様にギラつかせた若人達に溢れている。しかしそんな中で受付の女性が慌ててやってきたのだ。

一体どうしたのだろうか? 彼はすぐに詳細を問うた。

 

 

「彼です! 彼が来ました!!」

 

「彼? と言うのは?」

 

「天王路双護くんです!!」

 

「――――――」

 

 

打ちひしがれた様だった。哲は目を見開いて額に大粒の汗を浮かべる。

心臓の鼓動は破裂しそうな程に加速し、全身がビリビリと警告を告げている様に逆立っていた。

彼が、天王路双護が来た!? 哲は口の中がカラッカラに乾くのを感じていた。

それもその筈、忘れもしない……いや忘れる訳が無い。読み取りの哲として持てはやされていた自分をドン底に叩き込んだ男の名なのだから。

 

 

「そうか……彼が来たのか」

 

「――……はい!」

 

 

覚悟を決めた様な目で哲は頷く。前回、自分は彼の小説を全く理解できなかった。

糞以下の主人公、ゴリラ100%のヒロイン、恋愛ではなく宇宙戦争物になっていた展開、そしてエ●ァンゲ●オン。

彼は一体何を込めたのか、何を伝えたかったのか、自分は全く欠片とて理解できなかった。

 

あれから自分は二度とあんな事が無いように修行に次ぐ修行を重ねた。二度とあんな悲しみを生み出さない様に、二度とあんな屈辱を覚えないように。

そして今、再び彼がこの場にやってきたのか。思えば彼の詳細を調べなかったのは、自分が知りたいとも思わなかったのは、全てはこの日の為だったのかもしれない。

彼がココにくるのは必然だった。今は、それでいいだろ?

 

 

「君、彼をココに呼んでくれ」

 

「……いいんですか?」

 

 

受付の人が達観したように言う。もしかしたら、読み取りの哲が再び敗北するかもしれないのだ。

そうなればもう彼はこの二つ名を二度と名乗る事はできないだろう。もしかした文庫レーベルからも追放されてしまうかもしれない。

しかし、しかしそれでも――ッッ!!

 

 

「覚えておきなさい。男には、絶対に逃げられない戦いがやってくると言う事を」

 

 

これは男のプライドだ。神に言いたい、ありがとうと! 再びこの舞台を整えてくれた神にありったけの感謝を。

哲はコップ一杯の水を飲み干してその目に光を宿す。その目に宿る輝きこそが答えだった。受付の女性は静かに頷くと、哲に背中を向けて一歩足を進める。

そして一言だけ彼に告げて、双護を迎えに行くのだった。

 

 

「哲さん、今のアンタ……最高に輝いてるよ」

 

「……フッ」

 

 

いつからだろう、読み取りの哲と言われて浮かれていたのは。いつからだろう、編集者として上に立ったと思っていたのは。

しかし今は一人のチャレンジャーとして挑みたい。編集者になる為に田舎から上京してきたあの夢に溢れた自分に戻りたい。

でなければ、(そうご)には勝てないと知っているから!

 

 

「久しぶりだね、双護くん」

 

「はい、お変わり無い様で安心しました」

 

 

二人は静かに笑って席に着く。

 

 

「そっちはお友達かな?」

 

「ええ、今回のコンテストは彼らがいなければ何もできなかった」

 

 

そうか、哲は頭を下げる司達に軽く挨拶を済ませる。しかしもうココからは小説があればいい。

言葉なんて要らない、ただそこに小説があれば自分は読むだけだ。小説とは読み、考え、想像するものなのだから。

 

 

「じゃあ君が作品に込めたメッセージ。読み取らせてもらうよ」

 

 

これは言うなればリベンジ、哲は己の信念を賭けて司達の小説に目を通し始めた。

ただ純粋に、あの人に勝ちたい! そんな思いを抱きつつ、哲はその世界にダイブしていく。

最初のイベントはやはり主人公とヒロインが出会うものだった。デジャブを感じる、しかし前回とは違うと言う事を教えてやろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前はチンコでやんす!

 

 

(い き な り 下 ネ タ !?)

 

(ば、馬鹿な……! ありえない、ありえない!! 冗談だろコイツ、何考えてんだ……ッ! これ記念作品だぞ!! またとんでもねー爆弾持ってきやがって! ここはお前の遊び場じゃねーんだぞ!?)

 

(え? てか……! え? こ、これ主人公だよね? コイツ前もそうだけど主人公の意味分かってるのかな?)

 

 

 

嘘でやんす!!

 

 

(ああああ! そうだった! 主人公糞うざいんだったな前もぉおお!!)

 

(ってかまたこの感じの主人公かよ! 頼むから勘弁してくれよ、腹立つわぁぁあ!)

 

(あとやんすってなんだ? ナメてんのか? いいぞ、来いや、ほら来いや! 喧嘩してやるよゴルァ!! 前もそうだよ、あの主人公のせいで尿路結石できたんだぞ!!)

 

 

今日は終業式でやんす! 明日から夏休みでやんすよ! ドゥヒドゥヒ!

 

 

(やんすやんすうっせーなマジでよッッ! お前これ語尾超うぜーんだけど! え? これまさかずっと続くの? しかもお前これ笑い方もまあ腹立つしなぁあ!! おえええええええあああああああああああああああああああああ!!)

 

(――ッッ! い、いかん! また彼のペースに呑まれているじゃないか!! 読み取りの哲と呼ばれた私とした事がッ!)

 

(フッ、やはり流石だと言っておくよ双護くん。だが今回の私は違う、何故君がこんな主人公を作ったのか、読み取らせてもらう!)

 

(ずばり、これはギャップだね。あえてウザさを強調する事で今は他の面から目を逸らさせる。こうする事で後のイベントやキャラクターをより引き立たせると言う手だ)

 

(前回はここからゴリラが現れた。それは私が主人公ばかりに気を取られていたから不意打ちを受けたかの様な錯覚に陥ったんだ)

 

(そう、そうとも! 前回も幅広い視点を持っていればゴリラが登場する事は予想の範囲内に抑える事はできたし、かつヒロインとしての魅力を引き立たせる事につなげてきたのも理解できた)

 

(今なら分かるよ双護くん。どうだい? これが今の読み取りの哲だッッ!!)

 

 

 

 

鼻の穴を広げて双護を見る哲。

司と椿は気づかなかったが、双護だけはニヤリと笑っていた様な気がする。さて次はヒロインの登場だ、一体何がくるのか?

もう普通の手じゃ驚かない自信が哲にはあった。

 

 

 

 

「楽しい夏休みになるといいでやんすね!!」

 

 

終わらない夏休み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(お  わ  っ  た  !?)

 

 

哲はブルブルと震えて全身から滝の様に汗を噴出した。

青ざめる彼をみて思わず大丈夫ですかと問いかける司達、しかし哲は大丈夫だと言ってコーヒーに手を伸ばす。

落ち着け、落ち着け、まだ一ページなんだ。あとまだいっぱい紙があるのに終わる訳がない。これは完に似た別の感じなんだ、そうなんだ!

そうじゃないと……お前あとこれから何すんだよ! だから駄目なんだ!!

 

 

「ちょ、え? マジ大丈夫っすか!?」

 

 

哲は手に持ったコーヒーを飲むつもりだったのが、何故か頭からぶっかけていた。

びちょびちょになる哲、しかしぬるめのコーヒーが丁度いい具合に頭を冷やしてくれる。考えろ、読み取れ! 何故彼らはココで物語を終わらせた?

物事にはすべてにおいて何らかの理由がある筈だ。諦めるな、諦めるのは死んでからでいい!

 

 

(そうか! そういう事か! これは終わりを最初にもってくると言うタイプの作品だったのか!)

 

(流石だな双護くん。その手のタイプの作品は少なくは無い。問題はそこに至る過程。そして本当にそこで物語が終わるのか、だ)

 

(そうだ、そういう事なんだろう双護君! 今日の私は一味も二味も違うよ!)

 

 

哲は震えながら次のページをめくる。

さあ何故終わったのか、私にその答えを見せてくれぇえええええええええええええ!!

 

 

 

 

 

卵、砂糖、牛乳、バター、バニラエッセンス、薄力粉、ベーキングパウダー。

用意してください。

 

 

(な、なんだコレ? 俺は何を見てるんだ? え? おい、おいて)

 

 

これはなんだ? 哲の動きは完全に停止する。あの展開からこれ?

同時に理解する事実、これがどういう事なのかを双護達に問いかけた時点で自分は負ける。

読み取りの哲(笑)などと一生馬鹿にされて生きていくんだろう。聞いてはいけない、読み取れ、この文に込められた意味を理解しろ!!

 

 

(導入の台詞か? ならば少し特殊だが――)

 

 

用意しましたか?

 

 

(………)

 

 

用意しないといけなので、用意してください。

 

 

(おいおい、まじかよ)

 

 

この文が異常に気になってしまう。試されているのか我は? 我はこの童達に試されておるのか?

哲はチラリと双護たちを見てみる。するとどうだ、ほら見た事か! 奴らはニヤニヤと笑みを浮かべながらコチラを見ているじゃないか!

 

 

(やはりそうか! これは私を試す試練だったんだな!!)

 

 

ちなみにこの時の三人の心はこうである。

 

 

(あれ? 結構いいリアクションじゃね? これひょっとするとひょっとすっかも!)

 

 

これが椿。

 

 

(もしグランプリとったら誰に会わせてくれんのかなぁ?)

 

 

これが司。

 

 

(賞金がもらえたら真由にラー油を買ってあげよう)

 

 

双護。普通に買ってやれよそれくらい。

とまあこんな感じだったが哲は勘違いしてしまったのか、電話を手にしてスタッフルームへと繋げる。

 

 

「すまない、至急卵、砂糖、牛乳、バター、バニラエッセンス、薄力粉、ベーキングパウダーを持ってきてくれ」

 

「え?」

 

「いや、いい。何も言わないでくれ。分かってるから」

 

 

何が? 何を? 椿達の視線を振りはらい哲は再び文へと視線を移した。さあ広がれ、物語の世界よ!!

 

 

 

 

卵に砂糖を加えよく混ぜます。

 

 

(くそっ! やられた!! こんな初歩的なミスを犯すとは!!)

 

 

 

 

小説はただ文を読めばいいと言う物ではない。しっかりと文の裏側にあるメッセージを読み取る事が大切だったのだ。

しかし自分はそれを怠った。まさに怠慢、奢りが招いた結末だ。哲はすぐにボウル、泡だて器などを次々に部屋に持ってこさせた。

 

 

 

 

溶かしバター、牛乳、バニラエッセンスを加えて更にかき混ぜます。

ふるった粉類を一度に加え、粉っぽさがなくなるまでかき混ぜます。

 

 

(なるほど、こうすればいいだな)

 

(カチャカチャカチャな、これだろ? これでいいだろ? ええ?)

 

 

ホットプレート、もしくはフライパンにうすくバターを塗り、プレートをよく温めておきます。

プレートがしっかり温まったら、弱火にし生地を流しいれて蓋をします。

 

 

(なんだか随分と作風が変わったね。登場人物が一人も出てこないというか、何か違和感を感じる)

 

(そうか、導入部分か! なるほど、中々の長編になりそうだね)

 

 

まわりの色が変わったら、ひっくり返します。

 

 

(よっ! ほっ!!)

 

 

裏面に焼き色が付いたら出来上がりです。

 

 

(よっしゃ、完成♪)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ってなんなんだよコレァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!! オエエエエエエエエエエエエエエエエエ! オアアアアアアアアアアアアアアアア!!)

 

(できちゃったよ? これホットケーキできちゃったよ? どうするのコレ、つか何なのコレ本気で! 小説じゃねーよこんなん!)

 

 

 

 

「あ、あの……何でいきなりホットケーキ作り出したんですか?」

 

 

完全にやばい物を見る目で椿は哲を見ている。

でしょうね! 哲はすぐに自らの愚行に気づかされる事となる。深読みしすぎたか? でもホットケーキの作り方書いたのはお前らだからな!!

 

 

「いや、お腹がすいているかと思ってね」

 

「あ、そうでしたか! いやいいですよ!」

 

 

何とか誤解は解けたか。しかし恐ろしい、こんなトラップを仕掛けてくるなんて――ッ!

いや、だからこそチャレンジャーとしての価値があると言うもの。哲は一種の喜びさえ覚えて視線を次に移していく。

 

 

 

 

「くそッ! 早くしないと彼女が危ない!」

 

 

ノーヴェは迫る魔物を打ち抜いて夜の闇を駆ける。

しかし敵も馬鹿じゃないのかマンティスコアは自らの鎌を盾にして銃弾を防いでいった。

チリつく空気の中で下を見るノーヴェ、いけるか? 彼は意を決して屋上から思い切り自らの体をほうり投げる。

 

 

(お、まあまあ今までよりは正攻法だね)

 

(ただノーヴェって誰だ?)

 

(誰なんだよ……)

 

 

ノーヴェが銃を乱射しながら屋上から飛び降りるのをニヤリと見る者が一人。

自慢の髭を触りながらノインは豪腕で魔物の首にラリアットを仕掛けた。首がおかしな方向に曲がる魔物を見ながら、ノインは手に持っていたショットガンをぶっ放す。

 

 

「ギギギッ!」

 

「ハッ! 糞野郎が。地獄に行って遊んでろ」

 

 

ノインはスキンヘッドの頭で思い切り頭突きを繰り出して魔物の息の根を止める。

大柄の体系から繰り出される拳で、その後もノインは魔物たちを葬り去っていく。

 

 

(ノイン、仲間のおっさんと言う所か。主人公の師匠的なポジションにありがちだが?)

 

(あ! ちがうわ! 主人公ってあの下ネタやんす野郎じゃねーか!!)

 

(つかアイツどこいったんだよ! あと毎回そうだけどこのジャンルなんなんだよぉぉお!!)

 

 

 

 

「あの……ちなみにこの作品のジャンルは」

 

「ええ、既に哲さんならお分かりかもしれませんが、究極の恋愛となっています」

 

(でしょうね! ヒロインの影もないけどでしょうね!!)

 

(あと言っとくけど、一番最初から読んでるのに欠片とてストーリー入ってこねぇんだけど!

 夏休みがどうのこうのじゃねーのかよ。何だよ魔物って、何だよマンティスコアって。おもいっきり初めましてなんだけど!)

 

 

 

 

「うわあああああああああ!!」

 

 

屋上から飛んだはいい物の、やはりどうしようもないのがノーヴェである。

だが着地地点にはノインが構えていた。衝撃と共に抱きとめられるノーヴェ、助かった彼はノインにお礼を言って地面に足をつく。

 

 

「たすかったよノインちゃん。間に合ってよかった」

 

「うふっ、もう! おそいぞ!!」

 

 

(!?)

 

(あれ、ちょっと待って。ん? んん?)

 

 

「あんまり遅いから魔物は倒しちゃった」

 

「あはは、やっぱり強いなノインちゃんは」

 

 

(待て待て待て! え? あれ!?)

 

(ヒロインちゃんどこだよ。まさかこの髭か? 嘘だ、うっそだぁ!)

 

 

「でも……怖かった」

 

「ごめん、次は必ず助けるから」

 

「……馬鹿」

 

 

(おいおいおいおぃいいいいいいいいいいい! マジか!! マジでか! ノイン女なの!)

 

(え? って言うかさっき髭とか書いてあったよな? ノインちゃん髭生えてんの!?)

 

(え? 怖い怖い怖い! つかスキンヘッド!? ヒロインスキンヘッドなの!?)

 

 

ぉ ι″ レヽ 、ナ ω ー⊂ 、 ぉ レよ″ ぁ 、ナ ω レよ 木兆 太 良卩 カゞ 旅先τ″困ら ナょ レヽ ょ ぅ レニ ぉ 団 孑 を 才寺 っτ 、キ ま ι ナニ 。

、キ っ ー⊂ ⊇ @ 先辛 レヽ ⊇ ー⊂ カゞ レヽ っ レよ° レヽ ぁ ゑ カゝ も ι れ ナょ レヽ レナ ー⊂″。

ぉ 友 ぇ幸 カゞ レヽ れ レよ″安心 ナニ″ ー⊂ ぉ レよ″ ぁ 、ナ ω レよ 言 レヽ ま ι ナニ 。

レよ レヽ 、 ゎ カゝ 丶) ま ι ナニ 。 木兆 太 良卩 レよ 強 < 含頁 < ー⊂ 鬼 ぇ艮 シ台 レニ 向 カゝ ぅ 亊 を シ夬 めま ι ナニ 。

 

 

 

(待て待て待て! 呪いか? 呪いかなんかかコレ?)

 

(これ、汚ぇんだけど! 続きの文字読めねぇんだけど! 何を伝えたいんだよもうわかんねーよッッ!!)

 

 

 

 

諦めるな! 哲は首を振って小説に向きなおす。既に手汗でビチョビチョになっているが気にするな!

そもそも今のところまだ一つも繋がってないんだけど、こいつ等リレー小説の意味分かってるのかな?

 

 

 

 

○月×日

 

今日はおやつにどら焼きを食べました。

でも実はそれは椿の物だと咲夜が言っていたので、なんだかとっても悪い事をしてしまったと反省しています。

その事を近くにいた美歩や咲夜に告げると謝りに行こうとなりました。俺は代わりのプリンを持って椿の部屋に行きました。

 

椿の部屋には彼が食べたバナナの皮が捨てずに置いてあり、咲夜がそれを踏んでこけました。

美歩は笑っていたけど、何とその時の衝撃で彼が大切に飾ってあったフィギュアの手が折れました。

美歩がボンドでくっつけれると笑っていましたが、彼女が持ってきたのはマヨネーズでした。

 

形が似てるからきっとくっつくと言ったけど、結局フィギュアがぬるぬるになるだけでした。

これはまずいと思って俺達はフィギュアを奥へと隠しました。あとは手だけなのですが、食堂に捨てればバレないと言う友里のアドバイスで俺達は食堂に行きました。

ただ食堂ではもう葵さんが夕食の準備をしていて、から揚げを作っていました。

 

俺達はから揚げが好きなので喜んでいたらいつのまにか腕が無くなってました。

申し訳ないと思ったけど、とりあえずからあげの事で頭がいっぱいで忘れてました。

 

夜、椿がから揚げの中に骨が入っていたと言いました。もう飲み込んだけど小骨があったと言っていました。

全てを悟った俺達は、ただ沈黙を守るしかできませんでした。後でアキラに事情を説明すると、椿とフィギュアは一つになった。

それは一つの愛の形、だから黙っていてあげようと言ってくれました。俺はそれに甘えました。

 

なんて罪深いんだ俺はぁあああああああああああああああああああああああああ!!

すまん椿ッ! お前のフィギュアはもしかしたらまだお前の体内の中にある……と、思う

 

 

 

(椿くんメッチャ可哀相なんだけどぉおおおおおお!!)

 

(つーかもう俺には理解できねぇええええええ! これ小説だろ? これリレー小説だよな? 一つも繋がってねーんだよバーカ!! こんなに皆の気持ちがバラバラなリレーとか初めてみたわ! 個人短距離走だろもはや!)

 

(あと椿君メッチャこっち見てる! やだどうしよう! すごい見てる!!)

 

(待てよ……いや待てよ! よく考えてみれば前回のコンテストを経た彼らがこんなミスをするだろうか?)

 

(まさか! まさかッッ!!)

 

 

この世界には、いろいろな意思がある。

たとえばそれは夏休みを楽しみにしようとしている者。

 

 

(まさかッッ!! いや間違いない!!)

 

 

たとえばそれはパンケーキを食べようと店に並ぶもの。

 

 

(今の今まで、私が見ていたものは――)

 

 

たとえばそれは、大切な者の為に戦う者。

 

 

(いや、もはや疑い様が無い。今の今まで私が見てきた物は――!!)

 

 

 

伏線――ッッ!!

 

 

 

 

伏線とはのちの展開に備えてそれに関連した事柄を前の方でほのめかしておく事である。

つまり、今の今まで行われてきた茶番と思っていたオムニバスストーリーは……

 

 

(全 て こ の 時 の 為ッッ!!)

 

 

展開されてきたストーリーが――ッ!

 

バラバラだと思われていたストーリーが――ッ!

 

今、この瞬間に一つの元へ収束していく!?

 

 

(い、今までの物語は全て一つの物語を展開する礎、布石だったとでも言うのか?)

 

 

 

 

そして、毎日の記録を欠かさずにつける者。

人はこの地球で、様々な意思を持って生活していく。世界は人の意思を、魂を乗せて存在しているのだ。

 

 

(繋がっていく! 全ての物語が――ッッ!!)

 

 

そして今、新たなる物語(せかい)が導かれる。それは人の意思であり、魂であり、何よりも答えだ。

 

 

(やれたよ双護君、物語は物語を紡ぎ、そして新たなる物語を構築する!!)

 

 

だから俺は思うんだ。人は、人の人であると。

 

 

そうだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴリボォオオオオオオオオオオオオオオオン!!」

 

「ウホッ! ウホホッ! (全て破壊する)」

 

「地球破壊ブレェエエエエエエエエエエエエドッッ!!」

 

 

()()()()()の乗った機体、ティラミスボンバーが構えたブレードが地球を――そして悪を断つッッ!!

 

 

「うあああああああああああああああああああああああ」

 

「ぐわああああああああああああああああああああああ」

 

「ずぇああああああああああああああああああああああ」

 

 

地球に蔓延る悪を滅殺する事に成功したティラミスボンバー。

しかしそれは同時に多くの命を背負う運命(エグゼ)でもあった。そして遂に動き出した暗黒四天王。

ついに明かされるマサミチかまぼこ計画の謎、マサミチの妹が見た真実とは?

 

消滅する地球に不部募は何を見るのか?

そしてゴリボンを蝕むバナナウイルスの脅威。二人の間には大きな衝撃があるかもしれない、しかしきっと愛は勝つ!

二人の愛を信じて、飛べ! エグゼッッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

(全員逝ったぁあああああああああああああああああああああ!!)

 

(誰だよこいつ等! いや知ってるけど誰だよ!! 今まで欠片とて存在出てこなかったじゃねーかよぇええああああああああああ!!)

 

(伏線って何なんだよッ! 前半のホットケーキの下りは割りとマジでなんだったんだよ! なんかせめて関係あるとかにしろやぁあああああああああああ!! おあああああああああああああああああああ!)

 

(ああああああああああああああああああ!! ああああああああああああああ!! おえあああああああああああああああ!!)

 

 

 

そして時は流れ。

 

 

(まだあんのかよッ! 終わっただろさっき!!)

 

 

俺の名前は、ち――

 

 

 

 

「最後も下ネタかよッッ! つーかループ物を示唆して無理やり深めのストーリーっぽく見せるの止めろやッッ!!」

 

「「「!?」」」

 

「あっせーんだよ! 子供用プールよりあっせーわ!! つうか中身なんてねぇだろコレ! んんんんんでも凄い!!」

 

 

哲は真っ赤になって暴れまわった後に泡を吹いて倒れた。

下ネタ? 一個も入れてないが何故そんな事を言っていたんだ? 原稿を確認しようにも哲の手汗でぐしょぐしょになっている為に原型を留めていなかった。

 

 

「結局どうだったんだ?」

 

 

突然いきなりホットケーキを作り出した時はどうなるかと思ったが、最後は涙を流して原稿を破り捨てん勢いで読み進めていたじゃないか。

しかも最終的には呂律も回っていない状態で泡を吹いて倒れた。それは逆にそれだけの影響を与える事ができていたと言う事ではないか?

 

 

「かなり期待できるぜ、コレ」

 

「かもな!」

 

 

期待に胸を膨らませる椿と司、だが安心するのは早いと双護は言った。

窓の外を見れば次々に小説を持ち込もうとする者たちが見える。数は相当だ、あれだけの人がいればそれだけ競争率は高くなる訳だ。

 

 

「しかたねぇな、俺達はしばらくココで待ってるか」

 

「そうだな、その内哲さんも起きるだろ」

 

 

そしてしばらく時間が経ち、多くの人間が文庫レーベルに押し寄せてきた。

まさにお祭り状態だ、自由参加とは言えかなりの人数が押し寄せている。参加するのはタダで、優勝すれば賞金なのだからチャンスを望む人がいるのだろう。

 

 

「ま、どっちかって言うと俺達もそっちに近いからな」

 

 

そうしていると窓の外に見知った顔を見つける。

 

 

「おお、あれ亘じゃん」

 

「別の人のチームに入ったんだよな? クロークさん達もいる」

 

 

良くも悪くも目立つと言うか。そんな事に苦笑をしていた三人、しかしアレは立派なライバルだ。

勝利はこちらが頂く、ニヤリと笑って司達は亘達を睨むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、どうだったんだよ」

 

「うん、中々良かったよ」

 

 

コンテストは二日にわたって行われる。初日終わりに司は亘に評価の具合を聞いてみた。

すると亘から返ってきたのは自信の言葉だった、現に担当者からは割りといい評価をもらえたと思っている。

流助も自信がついたのかスキップで帰り道を歩いている程だ。

 

 

「はじめてだよ、面白いなんて言われたのは! いや君たちのおかげだ! 本当にありがとう!!」

 

「いやいや、お話しをつくったのは流助さんですから」

 

 

成る程、あの雰囲気を見ると嘘では無さそうだ。

しかしコチラも自信は負けない程にある。なにせ担当者が謎の号泣からの、泡を吹いて倒れたのだから。

 

 

「そ、それって凄いのかな?」

 

「凄いに決まってるだろ? 失神したんだぜ?」

 

 

それに帰り際には目覚めた哲さんは自分達に土下座までしていた。

 

 

『君達には勝てない。ありがとう、さようなら、そして初めまして』

 

 

言葉の意味は全く分からなかったが、とにかく凄いと言う事だけは分かる。

成る程、これは接戦になりそうだ。しかし気になるのは後ろで椿達が朱雀に絡まれていると言う事だが……。

 

 

「お前らのせいでコッチは台無しだったんだぞッ! がるるる!!」

 

「な、なんの事だよ!!」

 

 

ま、いいか!!

 

 

 

 

 

 

 

そして一日の期間が経ち、いよいよ結果発表という事になった。

厳正な審査の結果、多くの参加者の中からグランプリが決定する。とりあえず文庫レーベルに向かったときのメンバーで結果を聞きに行く事にした。

そう、結果は参加者全員が集められて発表という形になる。故に二日分の参加者が一気に集まる為、レーベル近くのグランドを貸しきってお祭り状態と言う訳だ。

 

司、椿、双護は早速会場へ向かう事に。やはり発表ともあってか緊張するが、もう結果は出ているのだから今更だ。

神にでも祈っておくか、そう言って三人はバイクを会場へ走らせた。

 

 

「うお、やっぱ人が多いな。ヒッキーには辛いぜ……」

 

「しかもテンションも高めだな、まあ気持ちは分かるけどさ」

 

 

会場へやってきた三人は人の多さに思わず声を漏らす。

そもそも発表五分前と言う事もあってか既にほとんどの参加者がそこにはいた。

当然亘達や海東達の姿も見える。ただ海東以外は諦めているのか、一緒についてきたリラと朱雀は何やらカラフルなチラシを見て話し合っている。

 

 

「朱雀ちゃん、どれにするか決めた?」

 

「ああ、もう頼んでおいたぜ」

 

 

何を話しているのか少し気になったが、ココでスピーカーから声が。

 

 

『はい、皆さんお疲れ様でした――』

 

 

ついに発表式が始まる。

まずは哲さんが挨拶を済ませ、文庫レーベルの歴史を語っていく。

今回で9周年、ここまで歴史を紡ぐのは相当な苦労や努力があったろう。めでたい事である。

 

 

『えー、こちらが今回皆さんに書いてもらった作品達です』

 

 

おおと歓声が上がる。

哲さんの横にあったのは文字通り紙の山、それはもう大量の小説だった。

その一つ一つを吟味し、文庫レーベルは大賞を始めとした多くの評価を与えていった。

今、ついにこの場において作品の優劣が決定するのだ。

そしてまさに、その時だった。

 

 

「「「!」」」

 

 

突如衝撃と悲鳴が響く!

何だ? 司達が混乱していると爆発が近くで発生した。幸い怪我人はいない様だが、それを合図に大きなパニックが場を包む!

そして見えるのは異形、人ならざるものだった。

 

 

「「「大ショッカー!!」」」

 

 

現れたのはクライシス怪人で構成されたガイナガモス隊、そしてもう一組の小隊であった。

周りには多くの戦闘員チャップ達の姿が見え、人々はその人とかけ離れた容姿にますますパニックとなる。

 

 

「ほう、私達の事を知っているとは――」

 

 

ガイナガモスはゼノン達も発見する。どうやらお互いに禁書黙録を諦めてはいなかった様だ。

だがもう遅いとガモスは笑う。どういう事だ? ゼノンが目を細めると彼は手をあげてその存在を知らしめた。

 

 

「禁書黙録は、我らの手中にあるのだから!」

 

「なっ!!」

 

 

驚くゼノン、何だ? ガモスが持っている本に司達は一勢に視線を移した。禍々しい本だ、ガモスが言うには我らは手を結んだと。

手を結んだ? まるでそれは禁書黙録が意思を持つ生命の様な言い方ではないか。いや、現にそうだとしたら!?

 

 

「さあ、餌の時間だ!!」

 

『ククク! では思う存分食わせてもらおうか!!』

 

「!?」

 

 

その時、確かに禁書黙録は言葉を放った。そして一人でに空中へ浮き上がるとその身を展開させる。

すると凄まじい勢いで周りから無数の紙が飛んでくるではないか。その正体はすぐに分かった、今回の9周年を記念して皆が持ってきた小説なのだ!

 

 

「ど、どうなってるんだ!?」

 

「あああ! せっかく作ったのに!!」

 

 

流助は手を伸ばすが無駄だった。他の参加者が書いた紙と共に禁書黙録へ吸い込まれていく。

やられた! ゼノンとフルーラは同時に顔を見合わせる。大ショッカーは既に禁書黙録と接触を図ったばかりか、手を組む事で洗脳の範囲外に立っている。

完全にコチラのミスだ、余裕だと馬鹿にしすぎていた。

 

 

『フハハハ! こんな屑の集まりでも腹の足しにはなる!!』

 

 

濁った声で禁書黙録は食事を続ける。

その言葉に胸を掴まれる様な感覚を覚える流助、ヤツは集まった作品を――

他人の魂がこもった作品を馬鹿にした!

 

 

「とにかくなんとかしないと!」『カメンライド』

 

 

司の言葉に頷く椿達。しかし――

 

 

「「ッ!? 変身できない!」」

 

 

椿と双護が同時に口にした。そのままの意味だ、ブレイバックルを展開しても変身できない。

カブトゼクターをどれだけ強く読んでも来ない、ディケイドに変わる司ではあるが他の二人は無理だったのだ。

何故? その言葉に答えたのは既に変身を済ませていたディエンドだった。

 

 

「変身できないのは、パラノイア・インデックスの力と言う訳さ」

 

「海東!!」

 

 

世界は常に普通でなければならない。

その普通を脅かす物は何でアレ恐怖でしかない、たとえそれが些細な物であったとしても怖いから疑う。それは過剰な被害妄想、パラノイア。

 

 

「禁書黙録は到着世界の視点で、"あり得ないモノ"を排除する力を持っている」

 

「あり得ない物?」

 

「そう。仮面ライダーに変身する人間なんて、この世界じゃテレビの中だけなんだよ」

 

 

そもそもこの世界では仮面ライダーなど存在しない為に、変身はできないのだ。

存在しない物に変わるのは普通じゃない、それを排除する能力。強力な洗脳で自発的に変身をさせない。

つまり双護と椿は変身できないのではなく、変身しないのだ。それを本人が望まないと思っていても、脳からは変身をしないと言う命令が出続けている。

破壊の力を持ち、故に変身妨害を受けないディケイドライバーと、ディエンドライバーだからこそ司と海東には変身が許されたと言う訳だ。

 

 

「とにかく禁書黙録を止めるんだ。アレを放置すればとんでもない事になる」

 

「どういう事だ?」

 

 

正直司達は禁書黙録の事を何も聞かされていない。

おそらくあの本絡みでとんでもない事になっているのだろうとは思うが。

 

 

「禁書黙録は本を吸収すればする程に強化されていく。世界移動を覚えたヤツに限界は無い、その内に神クラスにまで成長するだろうね」

 

 

つまりこの世界で倒さなければ最強の敵となる可能性が出てくる。

そんなヤツがショッカーの味方になればいよいよ止める方法が無くなってくる。だからこそココで確実に仕留めなければならないのだ。

 

 

「成る程、だいだい分かった」

 

 

しかし敵もまた動き出す。ひとしきり作品を食った禁書黙録は、ガモス隊の横に居たプローンファンガイア手に収まった。

どうやらここでガモス隊が足止めをし、その隙にプローン隊が禁書黙録を持ち帰ると言う事だろう。

早速散り散りになる大ショッカー、プローン達は踵を返して逃げていく。

 

 

「そんな! そんな!!」

 

 

せっかく皆に協力してもらったに。せっかく新しい世界に命を吹き込んだのにまた何も残せず終わるのか?

そう思ってしまえば流助はもう居ても立ってもいられなかった。自分の作品が訳の分からない化け物に食われる。

自分の作った世界が、キャラクターが生贄になって終わる。そんなのは耐えられないと彼は走り出した。

 

 

「流助さん!」

 

 

気がつけば彼は全速力で禁書黙録の後を追っていた。

すぐに後を追う亘、それを同じくしてゼノン達の周りにもチャップ達の姿が見え始める。

恐怖で震える人々、ここはなんとかしなければとフルーラが叫んだ。しかし変身はできない、さらに上級戦闘員であるスカル魔の姿も。

死神の様な風貌と巨大な鎌、人々は逃げ回り悲鳴をあげる。

 

 

「とにかくディケイド、ディエンド! 君達は向こうを頼む!」

 

「分かった!」

 

「ま、いいだろう」

 

 

その前にとゼノンはディエンドにカードを投げ渡す。

 

 

「っ?」

 

「特別だよ、使い所は君に任せる」

 

「……フッ、いいとも」

 

 

そうやって走っていく二人を見てゼノン達も武器を構えた。とにかく人々を狙うチャップやスカル魔はなんとかしなければならない。

椿達も武器だけは構えるがやはりステータスは変身していない時よりは遥かに下がってしまう。

チャップだけならまだしも複数のスカル魔相手に無傷と言うのは厳しい物だった。

 

 

「いっでっっ!!」

 

『フォフォフォ!!』

 

 

ブレイラウザーを弾いてスカル魔達の大鎌を肩に受ける椿。

双護も善戦はしているが、守りながら戦うのは厳しいと思われた。

しかし――

 

 

『フォッッ!!』

 

 

スカル魔達の体から突如火花が散る。

見ればクロークやゼノン、ゴロウが銃を持って暴れている所だった。

 

 

「ハァァアアアッッ!!」

 

 

エクストリームマーシャルアーツでクロークが飛んでくる。

舞っている様に見えるが実際は激しい蹴りでスカル魔を吹き飛ばして椿たちを解放。襲い掛かる鎌もソードガンを的確に変形させて応戦していった。

 

 

『バインド』『プリーズ』

 

 

おまけに魔法は変身していなくても使えるらしい。

クロークが発動させたバインドの力によって戦闘員達の動きが魔法の鎖によって封じられていった。

凄い、椿は改めて他世界の実力と言う物を実感する。自らの世界という環境が彼らを強くしているのだ、生身の話なら今の自分達では勝てる気がしないところだ。

 

 

「食前酒は何がいいッ?」

 

 

一方のゴロウ。彼は両手に構えたハンドガンで戦闘員達を撃つ!

 

 

「シェリー?」

 

 

銃弾を防ぎながら襲い掛かるスカル魔だが、ゴロウは彼の攻撃をヒラリとかわしてカウンターの回し蹴りを食らわせる。

 

 

「カクテル?」

 

 

回転しながら怯むスカル魔、そして一回転した所を射撃。

眉間から火花を散らしてスカル魔は倒れた。同時に背後を射撃していたゴロウ、同じく頭部から火花を散らしてチャップ達は倒れる。

 

 

「それともリキュール!」

 

 

その場で回転しながらゴロウは引き金を連続して引いた。

ただ滅茶苦茶に撃っているのではなく、しっかりと頭部を狙っている。改造人間たる彼が成せる技なのか、それとも持ち前の才能だったのか。

 

 

「――食後酒は、夢の中で」

 

 

周りにいた戦闘員達は全てノックアウト、その中心で彼は小さくお辞儀を行った。

そして少し離れた所ではクロークやゴロウとは違い刀を振るっている男が。剣丸、彼は無双セイバーと呼ばれる武器を振るい向かってくる敵を切り伏せていく。

 

 

「フッ! ハッ!!」

 

 

すり足と見切りを使い相手の攻撃を的確にかわす剣丸。

そして一閃にて相手を沈めるその目にはいつのも柔らかい雰囲気の彼は無い。

鋭く、そして美しい剣技。かとも思えば距離が離れると無双セイバーのレバーを引いて――

 

 

「御免!」

 

 

無双セイバーについている引き金を引くと備え付けの銃口から光弾が発射される。

一回のチャージで四発放たれる弾丸は全てスカル魔やチャップに命中していき動きを停止させた。

 

 

「うははは! ほらほらどうしたどうしたー!」

 

 

相手を見下した様な笑い声が響くから見てみれば、そこにはハンバーガー、ポテト、シェイクの形をしたメカに追われている戦闘員達が。

そこから離れたところで煽るだけの結弦、非常に楽しそうである。ちなみに自分が狙われたら相手に背中を向けて全力で逃げる。

そしてまた離れたところから煽る。楽しそうである。以下ループってなもんである。

 

 

「きゃー!」

 

 

フルーラは迫るチャップ達に向かってメチャメチャにメタルシャフトを振り回す。

ゴン! ガン! ボコン! 鈍い音が響いて次々に倒れるチャップ達、フルーラは尚も止まらない。

 

 

「いやー!」

 

 

わざとなのか素なのか、フルーラは怯える様に叫びながらも次々に迫る敵をブッ飛ばしていく。

さらに本当に攻撃が当たりそうならすぐにどこからでもゼノンが放つ銃弾が相手を妨害していくではないか。

 

 

「やめてー!」

 

 

フルーラはシャフトを地面に突き立て、それを軸に自分が回転蹴りを繰り出した。

絶対に怯えてなんか無いだろと言いたい。さらにメタルシャフトの頂点にはゼノンが立ってフルーラが吹き飛ばした相手に銃弾をプレゼントだ。

 

 

「決めようかフルーラ」『トリガー』『マキシマムドライブ!』

 

「了解よゼノン!!」『メタル』『マキシマムドライブ!』

 

 

フルーラがメタルシャフトを振るうと、ハートや星のエフェクトが入ったオレンジ色の光が巻き起こる。

フルールストライク、まとめてブッ飛ばされた戦闘員達に飛んでいくのは巨大な青の弾丸。

ゼノブラストを受けた相手は爆発、周りを見ればすっかり戦闘員の数は減っていた。

 

 

「コオオオオオオオオオオオオオン!」

 

「!?」

 

 

だがその時、空中から燃える赤い輪が降ってきた。

炎の車輪、それを見た椿は思い出したくない過去が脳裏に過ぎり舌打ちを一つ。

アレは見覚えのある形と声だ、輪からはすぐに狐の体が現れる。

 

そう、梵字が全身に刻まれた白い狐、首の周りに赤い装飾が目立つ輪が付けられている。

魔化魍カシャ、彼は早速とゼノン達の下へと走っていった。

赤い輪から炎のリングを発射し、彼はライダー達を亡き者にしようと試みる。

 

 

「チッ! 厄介な相手が来たね!」

 

 

変身できない今の自分達にとっては面倒極まりない相手だ。

一方でカシャをジットリと見ているのは少し離れた所でしゃがんでいた朱雀。

隣ではこの状況にリラがアワアワと震えて混乱しているが、彼女としては何の事は無く、むしろ別の事で頭がいっぱいだった。

 

 

「もうちょっとで届くって言うのに、めんどーくせーな……オイ」

 

 

グランドにある時計を確認しながら俯いて大きなため息をつく朱雀。

一方で彼女の赤い格好が色々と目に付いたのか、カシャは狙いを照準を彼女に合わせたようだ。

すぐに助けようとするゼノン達だが、カシャは自分の周りに凄まじい勢いの炎の壁を形成。生身の彼らの侵入を強制的に拒んだ。

 

 

「す、朱雀ちゃん!」

 

「うぉッ! り、リラ?」

 

 

リラは両手を広げて朱雀を守るように立ち構える。

目を丸くする朱雀、何をやっているんだと言った表情である。

 

 

「何してんだよ、オレの正体知ってるだろ? あれくらい大丈夫だって」

 

「で、でも! ぼくも一応男だし!」

 

 

男なら女を守らなければと言う考えなのだろう。

朱雀はもう一度ため息をついて、リラをどかす為に立ち上がろうとするが、ガクンと膝が折れて彼女は再び地面にへたり込んでしまった。

 

 

「やべ、腹へって動けねー……ッ!」

 

 

そうしている間に炎の輪を発射するカシャ。

あれ? コレ、もしかして本当にヤバイか? 朱雀は一瞬ヒヤリとした物を背中に感じるが――

 

 

「「「!?」」」

 

 

炎のリングは通常ならばリラに命中する筈だった。

しかしエンジン音、そしてタイアが地面に擦れる音。

それが響いたと思えばリラの視界は、カシャの視界は『赤』に埋め尽くされていた。

 

 

「なんだ……?」

 

「車?」

 

 

すぐにゼノンはデンデンセンサーを、博士はバガミールを起動させる。

と言うのも一同の前に現れたのは赤と黒と白、三色のカラーリングが目立つ車だった。

この車、形状が少し特殊で後輪の上、リアハッチにさらに二つのタイアが見えた。

それだけならばまだしも、驚くべきはその強度である。カシャの炎をその身一つでしっかりと防ぎきったと言うのは、とてもじゃないが普通の乗用車じゃあり得ない話。

 

 

「!」

 

 

ガチャっとドアが開き、中から現れたのは車と同じカラーリングのジャケットを着込んだ青年だった。

私服の類と言うよりは何かの征服、コスチュームに見える彼の格好、頭のキャップの中央には『R』の文字を強調したマークが。

なにやら名札も見え、そこには『(つき)進矛(すすむ)』と書かれている。

 

 

「どもー、お待たせしぁしたー。ドラドラピザでーす! ふぅー!」

 

「は?」

 

 

目を丸くするゼノン達を尻目に、青年は四角い箱を三つ抱えて朱雀の下に。

 

 

「お! 来たか来たかぁ! リラ、ちょっと金貸してくれ」

 

「え? えぇ!?」

 

 

言われるがままに彼は財布を出して反射的に朱雀へお金を差し渡す。

それをすぐに青年へ渡す朱雀、するとおつりと共に三つの薄い箱が朱雀の手に渡った。

 

 

「えー、ご注文はフレアにファンキー、シャドーのLサイズでオッケーっすかぁ?」

 

「ああ、いいぜ。合ってる合ってる」

 

「あざーっしゅ! ふぅ!」

 

 

キャップを取って頭を軽く下げる進矛。

少し長めの髪は茶色く、耳にはキャップに刻まれているRのマークと同じデザインのピアスが。

さらに腰には何やら派手なベルト、ドライバーが見える。ドライバー中央には円形のディスプレイが存在しており、そこには何やら顔のような物が見える。

まあとにかくと、ピザの配達が今ココで行われている訳である。

 

 

「コオオオオオオオオオオオン!」

 

 

馬鹿にしやがってとカシャは体を震わせて炎のリングを次々と連射していく。

しかしピザを届けに来た車、トライドロンは着弾する炎の中でもビクともせず止まっており、さらにどこからともなく無数のミニカーが空中を駆けてきた。

 

 

「ゴォォオッ!」

 

 

オレンジと緑と紫のミニカーは空中にできた道を文字通り走り、そのままカシャに体当たりを仕掛けていく。

たかがミニカーくらいとカシャは思っていただろうが、そのスピードと威力は凄まじく、カシャの攻撃を器用に回避したミニカー達は次々と突進を命中させて彼を大きく吹き飛ばした。

 

 

「すげーなアンタ。最近のピザ屋って強いんだな」

 

「お客様に無事に美味しいピザを届ける事が仕事でぃすんでー。ふぅ!」

 

 

軽いテンションの進矛。

すると彼のベルトにあった顔が変化し、怒った様に表情を変化させた。

 

 

『ちょっとススムちゃーん。駄目じゃないお客様にサービスを利用するか聞かないと!』

 

「あっちゃ、店長すぇぁせん! すっかり忘れてたっす! ふぅう!」

 

「べ、ベルトが喋った!」

 

 

驚き腰を抜かすリラ。

いや、ま、自分のベルトも喋るのだがソレとは違って完璧に意思を持って言葉を放った様に感じる。

さらにベルトは表情を穏やかな物へまたチェンジさせて朱雀へドラドラピザオリジナルサービスの説明を。

 

 

『お客さん、ウチのピザはね、出来立てがウリなのよ~』

 

 

口調は女性っぽいが、声は完全にダンディな男性である。

 

 

『でもね、なんか最近ああ言うヤツが増えて、ピザをゆっくり味わえなくないかしら?』

 

 

ああ言うヤツとはカシャの事。

おいしいピザを食べたいのに、それを妨害してくる者がいると言うのは非常に悲しく、腹の立つ事だ。

とは言えピザは熱々が命、カシャを追い払っていたらとろけるチーズが台無しになってしまうじゃないかと。

そんな時にオススメしたいのがドラドラピザしかやっていないオリジナルのサービスである。

 

 

『その名もグローバルフリーズ。文字通りお客様の時間を大切にするシステムですわよ!』

 

「ほうほう」

 

 

お客様にはゆっくりじっくりピザを楽しんで頂くために、ピザを食べるのを妨害する連中をドラドラピザの店員がぶっ飛ばすと言うシンプルなサービスだ。

カシャのベルトには大鷲のマーク、アレはショッカー、ドラドラピザは以前配達を彼らに邪魔された事があるらしく、既にその存在はブラックリストに入っているとか何とか。

 

 

「じゃあお願いすっかな。オレ今さ、腹へって動けないんだよね」

 

「了解しやしたぁー! フゥー!」『ありがとうございまーす! Foo!』

 

(うぜぇ……)

 

 

ふぅ↑のイントネーションに青筋を浮かべる朱雀。

そしてその瞬間、進矛の手には一台のミニカーが。

赤と黒のソレ、彼は車体の半分を回転させてレバーモードと言われる形態にミニカーを変形させた。

 

 

「行きますよ店長!」『OK! スタァートyourエンジン!』

 

 

その言葉と共に進矛は店長の顔の右隣にあった車の鍵を模した部分、アドバンスドイグニッションを捻った。

すると文字通りエンジンが入った音が聞こえ、軽快な電子音がベルトから発生する。

唸り、両腕を旋回させる進矛。彼の左手にはシフトブレスと呼ばれるブレスレットが装備されており、彼はそこへ先ほどのミニカー、ではなくシフトカー・シフトスピードを装填する。

 

 

「変身ッ!」

 

 

彼はそのままシフトスピードのレバーを倒した。

シフトカーのライトが光りを放ち、彼の体をタイヤ状のエネルギーが包み込む。

すると次々に装備されていく装甲、あっと言う間にメカメカしい姿へ彼は変身を遂げる・

黒のスーツに赤い装甲、銀の複眼。それはまさにである。

 

 

『ドラァイブ! ターイプSPEEDッ!』

 

 

トライドロンからタイヤが射出され、それが襷がけの様に進矛へ――。

ではなく、仮面ライダー『ドライブ』へと装備された。

 

 

「「「「!?」」」」

 

「ちゃっちゃと終わらせよう店長」

 

 

驚く一同を尻目にカシャを睨み、腰を落として構えるドライブ。

 

 

「オレらのハートが冷める前によ!」

 

「!」

 

 

ダンッと地面を蹴って走り出すドライブ。

大きく地面を踏み越え、彼は一気にカシャへと距離を詰める。

 

 

「ウラァアッ!」

 

「ゴッ! ゴフッ!」

 

 

ダンダン! ダンダンッ! と彼の拳や蹴りが連続して命中する音が聞こえる。

それを見ながら両手を広げてやれやれと首を振る。ゼノン、いろいろと仮面ライダーを見てきたが、もう何でもありの様な気がしてきた。

 

 

「ピザ屋がライダーって……! ライダーってなんだよ!」

 

 

しかもこの状況で変身できるんだ! ゼノンは頭を抱えてうんざりした様に彼を見ていた。

 

 

「哲学ねゼノン! ああ、でもピザおいしそう!」

 

 

羨ましそうなフルーラの視線の先には、立ち込める湯気を吸ってニンマリと笑う朱雀が。

一つ目の箱に入っていたのはドラドラピザが自信を持ってお届けする人気メニューマックスフレアである。

オーソドックスなマルゲリータ、赤いトマトは炎の様に。

 

 

『タイヤコウカーン!』

 

 

再びキーを捻るドライブ。

空中を駆けるオレンジのシフトカーを掴むと、レバーに変えてシフトブレスへ装填する。

 

 

『MAX・FLARE!』

 

 

ピザと同名のタイヤがトライドロンから射出され、襷掛けていたタイヤと入れ替わる様に装備される。

オレンジ色の、炎をイメージさせる装飾のタイヤ、これを装備した事によってドライブの性能も変化を遂げたようだ。

一発相手を殴るたびにそこから炎が溢れ、カシャに追加ダメージが入っていく。とは言え向こうは火属性、それほど期待した効果が得られず、ドライブはすぐに緑のシフトカーを掴んだ。

 

 

「うめーなコレ! リラも食え食え」

 

「え? で、でも! もがっ!」

 

 

ファンキースパイクをリラの口に突っ込む朱雀。

スパイシーなグリーンカレーをメインとしたピザで、辛いは辛いが確かに美味しいとリラも思った。

そしてドライブは同じくファンキースパイクのタイヤを装備した。トゲトゲのタイヤから無数の針が飛び出してきてカシャの体に次々と火花を散らしていく。

うめき声を上げながら倒れるカシャと、既に三台目のシフトカーを手にしているドライブ。

 

 

「これも美味しいよ朱雀ちゃん」

 

「おぉ! どれどれ!」

 

 

リラが差し出したピザを彼の手ごと食わんとばかりの勢いで口に入れる朱雀。

ミッドナイトシャドーはナスが主役のヘルシーなピザだ。いつの間にかリラもすっかり朱雀と一緒に食事中である。

そんな二人の横を飛んでいくのは紫のタイヤ、それはファンキ―スパイクと文字通り交換される訳で。

 

 

「よっ! ほっ!」『タイヤコウカーン! MIDNIGHT・SHADOW!!』

 

 

手裏剣の様なタイヤを装備すれば、文字通り闇のエネルギーを手裏剣に変えて投擲できる。

ドライブから放たれる闇の刃は次々とカシャに命中し、彼の動きを鈍らせていく。

しかしカシャもまたすぐに軌道を見切って回避を行うと、無数の炎弾をドライブに向けて発射していく。

 

 

「うっ! あっちッ! マジ燃えてるナウ!」

 

 

彼もまた手裏剣で対抗するが威力と連射力は相手の方が勝っている様だ。

すぐに炎のリングがドライブの体に着弾していく。

 

 

「あちちち! やべぇっす、べーっす店長、オレこんがりっす!」

 

『いけないわ! ススムちゃん! 分身よ!』

 

「う、ぅいっす!」

 

 

ドライブはシフトカーのレバーを三回倒す。

するとディケイドの必殺技と同じ様なスクラッチ音が流れる。

 

 

「にんにん入りまーす」『シャシャシャドー!』

 

 

ドライブの体が一瞬光ったかと思うと、すぐに彼の体が分裂して本物が分からなくなる程の分身を生み出した。

戸惑い、狙いがブレるカシャ。彼の炎は分身に命中し、代わりに本物のドライブはパワーを溜めて大きくなった手裏剣をカシャに当ててみせる。

さらに動きが止まった所へ赤い光弾。見れば彼の車であるトライドロンからビームが発射されてカシャに直撃したではないか。

 

 

「グガァァァアア!」

 

 

煙を纏い、カシャは手足をバタつかせて空中へ放り出される。

その隙にタイヤをスピードに戻したドライブ、彼はシフトカーのレバーを三回倒し、特殊能力を発動させた。

 

 

「ウララララララララララァアッ!」

 

「ガガガガガガガガガガガガガ!!」

 

 

激しく回転するスピードタイヤ。

同じくしてドライブもまた高速で移動し、地面に倒れる筈のカシャに残像が見えるほどの速さで拳を打ち当てていく。

最後はハイキックでフィニッシュ、地面を転がっていくカッシャを見てココとタイミングを見たらしい。

再びキーを捻り、シフトブレスにあるボタンを押した。

 

 

『ヒッサーツ!』

 

 

さらにシフトカーを倒す。

 

 

『フルスロットル! SPEED!』

 

 

起き上がるカシャの周りにタイヤを積み重ねた様なエネルギーオーラが現れ、彼を拘束して身動きを封じる。

一方ドライブの周りを高速で走り、円を描くように旋回していくトライドロン。

そのあまりの速さは赤い残光を残し、上から見ればまさに赤い円になっていた事だろう。

 

 

「コォォォ!?」

 

 

タイヤのオーラがカシャを弾き飛ばし、その円の中へと進入させた。

彼を待っていたドライブのとび蹴り、一発がカシャの体に直撃し、ドライブは弾かれて別の方向に飛んでいく。

このままで終わればカシャは耐えられた筈、そう、このままで終われば。

 

 

「ハァアア!」

 

「ゴッ!」

 

 

弾かれたドライブの前にあったのはトライドロン。

彼はその体を蹴って反射する様に血軌道を変えて再びカシャにキックを命中させる。

その進行方向には既に移動済みのトライドロン、ドライブはまたその体を蹴ってカシャにキックを命中させる。

 

 

「ォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

 

ドライブのスピードもあって何発もの蹴りがカシャに直撃していく。

高速旋回するトライドロンと敵を攻撃に蹴り続けるスピードロップがカシャを捉え、そして――

 

 

「ハァアアアアアアッッ!!」

 

「ゴガァアアアアアアアア!」

 

 

フィニッシュの一撃がカシャを捉えて爆散させた。

地面に着地するドライブは地面を擦り、火花を散らせながら動きを止める。

 

 

『ナイスドライブ! 上出来よススムちゃん』

 

「うぃっす店長」

 

 

シフトカーを抜いて変身を解除するドライブ。

進矛は大きく伸びを行うと再び朱雀の下へ。

 

 

「じゃあオレは次の配達があるんで」

 

「おお、サンキュー。これ超うめぇよ」

 

「どもども。今後もドラドラピザ、よろしくお願いしゃぁす! ふぅ!」

 

 

そう言うと彼はキャップを整えて何の事は無くトライドロンの中に。

ゼノンはハッと我に返ると、慌ててトライドロンの窓を叩く。

 

 

「なんすか? 注文っすか? ふぅ?」

 

「いや違うよ! って言うかそのフーフー言うのやめて! すごい腹立つ!」

 

 

ガーッと開く窓、ゼノンは素早く車内を確認するがとてもピザ屋の配達用の車とは思えない。

ましてや個人が所有する乗用車とも、だからと言ってただのスポーツカーとも思えなかった。

 

 

「君は何者なのかな? 仮面ライダーみたいだったけど?」

 

「仮面ライダー?」

 

 

知らない様だ。

いや、彼はハッと表情を変えて――

 

 

「ま、オレから言える事があればただ一つっすね」

 

「?」

 

「仮面ライダー、マジ感謝、マジリスペクト」

 

「………」(あ、コイツうぜぇ!)

 

 

メンドくせぇの増えたなコレ。

ゼノンがそう思う中で進矛はトライドロンのクラッチを踏んでギアをファーストに入れると、そのままアクセルを踏んで一同の前から何の事はなく消えていくのだった。

一体彼は何者なのか、気になる所ではあるが今一番大事なのは禁書黙録を破壊する事、ここからが本番と言えるだろう。

何とかなればいいのだが、ゼノンはハットを持ち上げてため息をついた。

 

 

「うわああッッ!!」

 

「ぐうううッッ!!」

 

 

一同から離れたところ。火花を散らしながら地面を転がるディケイドとディエンド、対面するのはガモス隊だ。

プローンファンガイア達が持ち去った禁書黙録を追いたいのだが、ガモス達が邪魔で全く先に進めなかった。

その最もな理由は一つ、ネックスティッカーの能力にある。

 

 

「ふはは! いいか、抵抗すればこいつ等の命は無いぞ!!」

 

「クッ!!」

 

 

ディケイドの前に現れるのはヘッドギアをつけた無数の人間だった。

洗脳攻撃によって強制的に兵士として操られている人々を傷つける事はできない。

故にディケイド達は相手に攻撃ができないと言う状況に陥っていたのだ。

 

 

「後ろががら空きだ!」

 

「!!」

 

 

さらに瞬間移動を繰り返すグラーミの追撃、自らのエネルギーを蛾に変換して飛来させるガモスのコンビネーションは完璧だった。

ディケイド達は瞬く間にダメージを上乗せされて地面を擦る。

 

 

「チッ!」

 

 

舌打ちをしてカードホルダーを軽く叩くディエンド。

正直受け取ったカードは持ち越そうと思ったが、どうやらそう言う訳にもいかない様だ。

これが些細な事件ならば放っておく事もできたが、ディエンド視点でも禁書黙録は邪魔で仕方ない。

加えてあんなヤツらにいい様にやられるのも屈辱的だ。それならばまだゼノン達に借りを作ったほうがいい。

 

 

「使わせてもらうよ」『アタックライド』『サモン・ゲート!』

 

 

ディエンドライバーから放たれる光、それはすぐに砂のオーロラを形成する。

なんだ!? 怪人やディケイドは突如現れた光景に怯み、その動きを停止した。ディエンドはそのままインビジブルを使用して姿を消した。

 

 

「ま、あとは頑張りたまえ」

 

「おい! 結局逃げるのかよ!!」

 

 

どうすればいいんだ、人質がいるならうかつに攻撃ができな――

 

 

「そこまでだ! クライシスッ!!」

 

「「「ッ!」」」

 

 

突如濁点交じりの怒号が聞こえ、同時に飛び上がる影はディケイドの前に着地する。

誰だ? いきなり現れた男をクライシスも、ディケイドだって知る由もない。男はそのまま構えを取ると片手を太陽に向けて突き上げる。

それはまるで太陽を掴み取るかの様に、するとどうだろう? 男の想いに応えんばかりに太陽が熱く光輝いたではないか!!

 

 

「変――ッ! 身!!」

 

 

男の目の中にスパークが起き、人の体へ黒い装甲が付与されていく。

瞬く間に男の体は黒い(ボディ)、そして真っ赤な目の戦士へと変わる。そして変わった男は再び手を天に突き上げた。

すると体に吸収した太陽のエネルギーと光が放出されて怪人たちの目をくらませる!

 

 

「くっ! 貴様、何者!?」

 

「俺は太陽の子!」

 

 

そしてビシッと風を切るように手を動かして構えをとる!

 

 

「仮面ライダーブラッック! アーッル! エックスッ!!」

 

 

手でエックスの文字を切る。仮面ライダーBLACK・RX! ぶっちぎるぜ!!

 

 

「怪魔異生獣フラーミグラーミ、怪魔ロボット・ネックスティッカー、怪魔獣人ガイナガモス!」

 

 

RXは三体の怪人を睨み拳を握り締める。

その迫力に思わず後ずさる怪人たち、何だ? RXには初めて会った筈なのに、この全身が告げる警告。この全身が告げる恐怖は!?

 

 

「自らの目的の為に夢を追う人々の思いを踏みにじったクライシス、お前らはこの俺が許゛さんッッ!!」

 

 

許さない? 何を馬鹿な! ネックスティッカーは初めに怯えこそしたが、すぐに余裕を取り戻して前に出る。

いくらRXが強かろうが、彼もまた何の罪もない人に攻撃などできない筈だ。

つまり、結局勝つのは自分たちなのだと――

 

 

「キングストーンフラッシュッ!!」

 

「な、なんだと!?」

 

 

普通に攻撃してきた!? RXのベルトから放たれた光はヘッドギアの付いた人たちに命中していく。

するとどうだろう? なんとネックスティッカーの意思でしか外せないヘッドギアが火花を散らして壊れていくではないか!

さらにこの光は人に当たってもダメージは入らない。つまりRXは誰一人傷つける事無く人質を解放したのだ!

 

 

「な、ならばもう一度!!」

 

 

再びヘッドギアを発射しようとするネックスティッカー。

しかしそれよりも先に地面から赤い車が飛び出してきた!

 

 

「ライドロン!!」

 

 

ライドロンと呼ばれたビークルマシンは倒れて気を失っている人々を一瞬で自分の中に乗せて回収していく。

そして瞬く間に怪人たちから離れていったではないか、こうしてネックスティッカーの傀儡となる人はいなくなった。

 

 

「ふざけるなぁああああああああ!!」

 

 

怒りに任せて光弾を連射するネックスティッカー、高威力の猛連打にRXはすぐに爆発の中に消えていく。

やったか!? ネックスティッカーは勝利を再び確信し――

 

 

「なんだあれは!? 爆発が吸収されていくぞ!!」

 

 

文字通り爆炎も、衝撃もすべて吸い込まれる様に消えていく。

そしてそれを行ったのはRXではなかった。爆発の中から現れたのは全く新しい姿、オレンジと黒を貴重とした重厚な姿だった。

 

 

「誰だ貴様は!?」

 

 

涙腺が目立つ赤い瞳がネックスティッカーを捉える。

その目には多くの悲しみが宿っていた。それはまるで炎の様に、それはまるで太陽の様に。彼は仮面ライダーブラックアールエックスではない。

 

 

「俺は悲しみの王子! アールエックス、ロボライダー!!」

 

「!?」

 

 

光の戦士、ロボライダーは構えを取って敵を威嚇する。姿が変わったくらいで、攻撃を吸収しただけで調子に乗っては困る。

等と思っていたネックスティッカーだが、どれだけ攻撃を繰り返しても光弾は吸い込まれる様にロボライダーの体へと消えていく。

その間もどんどん距離を詰めて来るRX、来るな! くるなッッ!!

 

 

「私に任せろ!」

 

 

前に出たのはガイナガモス。彼は自らのエネルギーを蛾に変えて飛ばした。

熱エネルギーではない純粋な衝撃波であるこれならばと。しかしRXは何も無い様にズンズンと歩いてくる。考えられる事はただ一つ!!

 

 

(……まるで、効いていない)

 

「ボルテックシューター!」

 

 

そして次はRXの番らしい。彼は銃を召喚するとソレを怪人たちに突きつける。

先ほど吸収したエネルギーを上乗せしているのだろう。銃からは溢れんばかりの光が見える。

まずい! ガモスとグラーミは身のこなしで思い切りの回避を試みるが、動きが遅いネックスティッカーは防御をするしかない!

 

 

「だが耐えて見せる! 我の防御力はクライシス一、まさに無敵の鉄壁――」

 

 

引き金を引くRX。すると文字通りそこから太陽が発射された。

吸収した熱エネルギーを倍増して攻撃に上乗せする必殺技であるサンシャインシュート、それを受けたネックスティッカーは文字通り塵となって消滅したのだった。

 

 

「くッ! おのれ!!」

 

 

グラーミは体内に宿るGクリスタルを利用してRXの背後にワープ、その首を締め上げようと試みる。

すると何故だ? グラーミの触手がRXに触れたとたん彼の体が液体となって弾けたのは。

液体をつかめる訳も無い、混乱する彼へ水の塊は突進をしかけて吹き飛ばす。

 

 

「うわああああああああああ!!」

 

 

地面に倒れるグラーミ。誰だお前は!? 彼は実体化した男へと声をかけた。

それはそうだ、なぜならば今そこにいるのはRXでもなければロボライダーでも無いのだから。

 

 

「俺は怒りの王子!」

 

 

彼は両手を広げて爪を立てる様な構えを取った。

青と銀を貴重とした体、そして真っ赤な目。永遠の為に、君のために彼は戦うだろう。

バトルOh! RXその名は――

 

 

「アールエックス! バイオ! ライダー!!」

 

 

より爪を立てるアクションを起こすバイオライダー。

なんなんだアイツは、二人の怪人はありったけの攻撃をRXへ向ける。しかしどこを攻撃しても、どんな攻撃をしても――

 

 

「「全ての攻撃がすり抜けてしまうぞ!!」」

 

「バイオブレード!」

 

 

怯んだグラーミへ刻み付ける刃。

認めない、こんなふざけた事は認めない! グラーミはワープでRXの背後に!!

 

 

「ハッ!!」

 

「ぐああああああああああああああああ!!」

 

 

後ろに回った瞬間RXは必殺技であるスパークカットを発動する。

下から上に切り上げる一閃、それは完全にグラーミの体を捉えた。

溢れるエネルギー、もうお終いなのは分かるが――

 

 

「なぜ……俺の出現位置が分かった……ッ!!」

 

「お前が現れてから行動する前に、0.1秒の隙があったのさ!」

 

「それは……隙じゃな――あああああああああああああ!!」

 

 

大爆発。残りはガイナガモス一体だけとなった。

バイオライダーは再びRXに姿を戻すと思い切り地面を叩いて跳び上がる。

 

 

「トゥア!!」

 

 

何て跳躍力だ。それは彼がバッタの改造人間だと言えば納得できるだろうか?

RXは勢いをつけ、そのまま体を捻りながらドロップキックを繰り出した。光を纏ったそれはガモスが抵抗に出した蛾を蹴散らしながら突き進む!

 

 

「アールエックス! キェァック!!」

 

「ウアアアアアッッ!!」

 

 

火花とともに吹き飛ぶガイナガモス。のけぞっている為に隙は生まれたが、吹き飛んだおかげで距離が少しできてしまう。

するとRXは自らの友を呼寄せた、それはライドロンと同じく――

 

 

「逃がさん! バトルホッパー!」

 

 

突如現れるのは緑色を基調としたバッタの様なバイクだった。

さらにそこへRXが飛び乗ると、光とともにRXの紋章が出現する。その光が晴れた時、カラーリングが緑から黄色に変わって進化を遂げた!

 

 

「いくぞ! アクロバッター!!」

 

 

アクロバッターには意思があるのか了解と告げて赤い目を光らせる。

全速力でアクセルを回すRX、みるみる敵との距離が縮んでいく。そしてRXは自分のベルトに手をかざし、そこから光る剣とも見えるロッドを取り出した!

 

 

「リボルケイン!!」

 

 

バイクの力で加速力を手に入れたRXはそのまま跳び上がる様にしてケインを突き出した。

立ち上がったガモスが気づいた時にはもう遅い、目の前に迫る裁きの光を受け入れるしか無かったのだ。

 

 

「グアアアア……ッッ!」

 

「―――――ッ!!」

 

 

シュパァァア! そんな勢いがある音とともにケインが刺さった部分から火花が花火の様に飛ぶ。

それはまるで光のシャワー、ガモスはケインを突き立てるRXを見て完全な敗北を悟る。

 

 

「おのれ仮面ライダーブラックアールエックスぅううッッ!!」

 

「覚えておけ、このRXがいる限り大ショッカーが栄える日は来ない事を!!」

 

 

ケインを引き抜くRX、そして踵を返して全身をつかってRXの文字を描く。

その軌跡が終了すると同じくして倒れるガモス、あとはもう大爆発が起きて決着がつくのみだった。

 

 

「………」

 

 

え? 凄すぎ……ディケイドは固まったままRXの戦闘を見ているだけだった。

そうしていると向こうからコチラに来て声をかけてくれたではないか、ディケイドは彼を見たことが無かったが同じライダーと言うのは分かる。

 

 

「君、大丈夫だったかい?」

 

「え!? あ、はい!!」

 

 

うなずくRX、しかし彼の体が消えかかっている事にお互いは気づいた。

 

 

「すまない、もう時間みたいだ」

 

 

後は頼む! その声に大きくうなずくディケイド、ここまで手伝ってもらったんだから当然だ。

二人は固い握手を交わすとそれぞれの目的の為に別れていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一方で流助を追っていた亘と里奈、彼らもまた苦戦を強いられていた。

待ち受けるのはプローンファンガイアを筆頭とする小隊。サイドにはジンドグマからカマキリガン、そして同じくファンガイアからサバトが待ち受けていた。

どうやら流助はその向こうにいる様だ、早く彼を助けなければならないのに逆に変身できない亘は弱い人間でしかない。

結果、現在は攻撃を里奈が受け止めて彼はそのサポートである。

 

 

「クソッ!」

 

 

やはり迂闊だったか、しかしこのままだと本当に流助が殺されてしまう。

なんとかして抜けれないかとは思うが、サバトのシャンデリアの様な巨大な体から放たれる攻撃は非常に強力だ。

 

 

「ねえ亘君ッ! あれ……ッ! 何かな?」

 

「?」

 

 

見えたのは灰色のオーロラ。

まさかまた援軍!? 一瞬ヒヤリとした亘達だったが、中から現れたのは――

 

 

「トウッ!!」

 

「ぐぇあああッッ!!」

 

 

飛び出す影、現れたのは男性。

彼は出現と同時にとび蹴りをしかけ、里奈の結界を破壊しようとしたカマキリガンを蹴り飛ばす。

誰だ? 少なくとも亘側であるとは思う。しかしこれまた亘達には見覚えの無い人だ。

 

 

「行くぞ! 変身っ!」

 

 

男は構えを取った後に手を上下に合わせて華の様な形を作りながら、手を前に突き出していく。

そして伸ばしきったら腕をグルンと回転させた、それと同時にベルトが展開して彼に新たなる姿を与える!

白と銀の体に赤い目、そして赤いマフラー。洗脳が効いていないのか? 思わずカマキリガンは驚きの声をあげた。

 

 

「な、なんだお前は!!」

 

 

それに答える男、彼の名は9番目!

 

 

「仮面ライダースーパーワン!」

 

 

スーパーワン、亘としてはその名に覚えは無いが仮面ライダーと名乗る以上味方であろう。

助かった! 希望が一気に亘達の体を駆ける。さらにオーロラから現れたのは彼だけではない!

 

 

『うおおおおおお!! いっくぜぇええええええ!!』

 

『一気にいきますよぉおおおおお!!』

 

 

何か小さな影が二つ現れて敵を攻撃していく。

目を見開く亘、あれは――

 

 

「キバット!?」

 

 

いや違う。非常に似ているがカラーリングが違うし、声も似ているがあんな荒々しい喋り方ではない。

という事は、考えられるのは一つしかなかった。亘はハッとして振り返る。そこにいたのは――

 

 

「亘君だよね」

 

「!」

 

 

そこにいた人物を亘は知っている。しかし驚きからか彼は何も言えなかった。

ただ口をあけて頷くだけだ。それを見ると青年は柔らかな笑みを浮かべ、直後真剣な表情で手を上げる。

 

 

「キバット! タツロット!」

 

『よっしゃ行くぜ渡! カブッ!』

 

『テンションフォルテッシモーッ!!』

 

「変身!」

 

 

紅渡の姿がキバへと変わる。しかしそれは亘が知っているキバの姿ではなかった。

金色の鎧、真紅のマント、その気高き姿はまさに皇帝と言うに相応しい。そして一通り肉弾戦で怯ませたのか、一旦スーパーワンは亘の元へ。

 

 

「あなたは……」

 

「沖一也だ。君とはまた会う事になるだろう」

 

 

彼は自分の手を亘の胸に当てる。すると凄まじい力が自分の体を巡るのを感じた。

ライダーパワー、これがあれば亘も再び変身を行える様になるらしい。さらにスーパーワンはその力を自らの武器にこめて拡散させる!

 

 

「チェーンジ! レーダーハンド!!」

 

 

手をグルッと回せば、金色の光が点灯して彼の腕が金色に変わった。

そこへついているのはミサイルにもなるレーダー。スーパーワンはそれを空に飛ばして爆発させる。

すると彼の力がこの世界にいるライダー達に伝わり、再び変身できる様になるのだ。

 

 

「さあ、君は先に進んでください」

 

 

キバの言葉に頷く亘。そしてそれを阻もうと立つ怪人たち。

 

 

「行かせるとでも?」

 

「もちろん」

 

 

サバトの炎をエンペラーは自身の紋章で防いだ。

さらに彼はドラゴンの様な形態へ変身、キバ飛翔態となってサバトへ空中戦を仕掛けに向かった。

そして走り出すスーパーワン。彼は襲い掛かるカマキリガンの攻撃を真っ向から受け止める。彼は拳法の達人、その拳や蹴りでカマキリガンを圧倒していく。

さらに彼はファイブハンドと言う固有能力がある。先ほど見せたレーダーハンドの他に特殊な能力を秘めた腕を持っているのだ。

 

 

「チェーンジ! パワーハンド!!」

 

 

力の赤、その拳でスーパーワンはカマキリガンの武器を粉々に粉砕した。

そしてその力で繰り出すパンチ、キック、気づけば彼は地面を転がっているではないか。今だ! スーパーワンは地面を蹴って高く跳び上がる。

 

 

「スーパーライダー!」

 

 

三つの構えを取るスーパーワン。

さらに彼は体を反らし宙返りを連続で行う。その振る舞いはまるで月の上にいる無重力が如し。

 

 

「月面ーッッ!!」

 

 

そのまま勢いをつけ、彼はとび蹴りをカマキリガンへと仕掛けた!

 

 

「キィィィィイイイイクッッ!!」

 

「ギエエエエエエエエエエエ!!」

 

 

手足をバタつかせながら後方へ飛んでいくカマキリガン。

地面に打ち付けられた彼はよろよろと立ち上がり手を伸ばす。

 

 

「―――無念ッ!」

 

 

そして倒れ、爆発するのだった。

上空では同じくしてキバ飛翔態が炎と斬撃でサバトを大きく怯ませていた。

そして彼は再びエンペラーフォームへと姿を変え、その手に皇帝の剣・ザンバットソードを構える。

ギミックを操作して赤く光輝くザンバット、エンペラーはそのまま空中から一気に剣を突き立てていった!

 

 

『ギャアアアアアアアアアアア!!』

 

「ハアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 

サバトの体が一刀両断にされ、直後爆発を起こす。

爆風になびくマント、エンペラーはザンバットを炎に変えて払いのけた。二人のライダーがそのまま向けるのは――

 

 

「く、くそっ! なんだこれは!! こんな事がッッ!!」

 

 

プローンファンガイアはサーベルで亘が変身したキバを攻撃するが、その鎧を砕く事はできない。

変身できればこっちの物だ、キバは里奈から受け取った魔皇力を開放してドガバキフォームへと変身した。

プローンの激しい攻撃もドッガの鎧を砕く事はできない、そのままキバは完全に自分のペースへ相手を引き込んでいく。

 

 

「ハッ!」

 

「なっ!!」

 

 

サーベルが粉々に砕ける。その衝撃で仰け反るプローンへキバはガルルセイバーでの猛攻を仕掛けた。

切りふせ、切り刻み、切り抜ける! さらにそこへ思い切りドッガハンマーを打ち込み、そのまま空中に投げ飛ばす!

 

 

「終わりだッッ!!」『ウェイクアップ!!』

 

 

バッシャーマグナムから放たれる水流、それにプローンが命中するとキバの紋章が刻まれた月が現れる。

月の中に閉じ込められたプローン、どれだけ暴れ様ともその拘束が解かれる事は無い。

 

 

「ハアアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 

そこへ飛んでいくキバ、両足蹴りにはヘルズゲートのエネルギーが纏われて巨大な足と変わる。

強化ダークネスムーンブレイク、それはプローンファンガイアを月ごと破壊する!

 

 

「あ! ああ!! お、覚えておけ! この……燭台と方位磁石が契る宴をぉおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 

爆発。着地するキバはすぐにスーパーワン達を見る。

しかし既に二人の体は消えかかっており、まともな会話もできそうにない。

とりあえず伝えたい事は一つだ、キバは思い切り二人に頭を下げて礼を言う。

 

 

「ありがとうございました!!」

 

 

それに手を上げて応える二人。

一番良いのはもう会う事がないと言う事だろうが、恐らくそうもいきそうに無い。

再びまた自分たちは肩を並べて戦う事になるのかもしれない。

 

 

「覚えておいてくれ」

 

 

切れる間際にスーパーワンが答える。

 

 

「俺達の心は、一つだと言う事を」

 

 

正義を心を胸に宿せば、きっと希望が死ぬ事はない。

 

 

「ええ。それに僕らは……」

 

 

いや、それはいずれ分かる事だ。

エンペラーは笑い、そして二人は消えて行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、やっと追いついた!」

 

『ん? 何だ人間か』

 

 

そして先を行った流助、彼はやっと禁書黙録との会合を果たす。

呼吸を荒げながらも、彼はすぐに本題へ移る。

しゃべる本などと言う物はずっとファンタジーの中だけだと思っていたが、今自分の目に映る物を疑う必要もあるまい。

 

 

「お願いだ、皆の作品を返してくれないか!?」

 

『ハッ! なにを言うかと思えばそんな事か』

 

「頼むよ、皆が一生懸命に書いた作品なんだ!」

 

 

そして本音を言えば自分の作品を返してほしかった。せっかく全うな評価を受けた作品なんだ、自分のこれからかもしれないんだ。

それにやっと自分の作った小説に対して顔を向き合わせられるように――

 

 

『断る! コレらは私の餌となる存在よ!!』

 

 

それにこんな駄作の集まりなど世に存在する価値がない。ひどく不味い作品ばかりだったと禁書黙録は吐き捨てる。

反論する流助、確かにプロでもない自分たちの作品なんて世界から見れば必要ないかもしれない。

しかし作った本人にとってはどんな作品も大切な存在なんだと!!

 

 

『笑わせてくれる! 貴様の様な屑が何を語るというのか!!』

 

 

禁書黙録がバラバラと高速で展開していき、そこから無数の紙が放たれた。

そして無数の紙は禁書黙録を包み込むように集まっていくと紙でできたドラゴンへと姿を変える。

両肩から鋭利な棘が生え、二本足で立つその竜は流助をかみ殺そうと足を進めていった。

 

 

「う、うわぁあああ!!」

 

 

殺される? 本に? 流助はへたり込んで悲鳴を――

 

 

「おらあぁああッッ!!」

 

「ハッ!!」

 

『グオオオオオオッ!!』

 

 

そのとき全速力でマシンディケイダーとマシンキバーが禁書黙録に突進をしかけた。

二つのバイクに押し出されて強制的に流助と距離を離される禁書黙録、さらにディケイドとキバは一気に勝負を決める為に必殺技を仕掛けていく!

 

 

「ヤアアアアアアアア!!」『ファイナルアタックライド』『ディディディディケイド!』

 

「ハアアアアアアアア!!」『ダークネスムーンブレイクっす!』

 

 

ディメンションキックとダークネスムーンブレイクが同時に禁書黙録に向かって飛んでいく。

しかし焦る素振りを欠片とて見せない禁書黙録、彼は両手を前に突き出して吼える。

 

 

『アストラルシールド!!』

 

「「ッ?」」

 

 

禁書黙録の前に巨大なシールドが出現して二人のキックを防いだではないか!

盾にヒビこそ入れどしっかりとディケイド達を弾く事に成功している。しかし何故か不満そうな禁書黙録、それは盾にヒビが入った事にあった。

 

 

『どんな攻撃でも防ぐ割には設定が不自然な……』

 

「なに言ってんだよ!!」

 

 

こうなれば少しダメージを与えるしかないか、ディケイドは剣を構えて走り出す。

同じく流助を守るように立つキバ、大丈夫ですか? その声に彼もまたキバが亘だと気づいた様だ。

 

 

「な、何者なんだ君は……」

 

「まあ、いろいろあって」

 

『ソニックブースター!』

 

「!?」

 

 

その時、再び禁書黙録の声が聞こえる。

見ると残像を残すスピードで彼がディケイドを攻撃している所だった。高速移動か、ディケイドはすぐにカブトのカードを構えるが――

 

 

『天地雷鳴剣!』

 

「うぐっ!!」

 

 

禁書黙録が剣を出現させ、それを振るうと雷が起きてディケイドに命中していく。

それだけじゃない、彼はそのままキバの眼前へと一瞬で移動する。まずい! すぐに蹴りを用意するキバであったが――

 

 

『斬空裂翔覇!!』

 

 

跳んで蹴りを交わす禁書黙録、そのまま風を纏った突きで急降下してきた。

切り裂かれ動きを止めてしまう。そこへ通常の何倍も膨れ上がった禁書黙録の拳が叩きつけられる!

 

 

『無双インパクトッッ!!』

 

「うあああああああああ!!」

 

 

吹き飛ばされるキバ、何だあの力は? ディケイドもまた禁書黙録の技で吹き飛ばされてしまった。

転がる二人を見て笑う禁書黙録、これこそが彼のブックイーターとしての力なのだ。

 

 

『私は取り込んだ本の力を使う事ができる』

 

 

つまり今まで使った技は応募作品の中にあったバトル物から引っ張ってきたと言う訳だ。

しかしその力は不安定、なぜならば取り込んだ作品は作品として微妙すぎるからだと彼は笑う。

 

 

『作品とは読者がいなければ作品として成り立たぬ。貴様らの様な屑が作った作品は、ゴミだ!!』

 

 

だから一度使えば消えてしまうし、能力も本来の記述より遥かに劣るといった。

最初に使ったシールドも書いてある文にはどんな攻撃でも防ぎ、相手に反射するとあるが実際は壊れかけで終わった。

 

 

「ば、馬鹿にしやがって!!」

 

『やがて私は全ての知識を、世界を取り込み世界を支配する!』

 

 

まず手始めにこの世界の書店をこれから襲うと彼は言った。

初めは自立すらできなかったが、文庫レーベルの社長がたまたま自分を拾った時から運は向いて来たと言う。

 

そして自分を見つけた大ショッカーと手を結び、一勢に作品があつまるココを狙った。

初めから書店を狙うことも考えたが、あの時の自分では力が足りずに取り込めなかったという。

 

 

『だが今は少しずつ力が戻ってきた!』

 

 

パーフェクトバインド、その言葉でディケイドとキバの体に無数の鎖が巻きついていく。

動きを封じて今のうちに逃げようというのだ、しかしその前にと禁書黙録は笑う。まだ取り込む作品が少ない、これでは強力な作品を取り込めないではないか。

だから今は存在が弱い作品だろうとも数を食う必要がある。そこでだ、禁書黙録はへたり込む流助に詰め寄った。睨む虚空の目。

 

 

『貴様、選べ!』

 

「っ?」

 

『今ココで死ぬか? それとも私の為に作品を書くか!』

 

「!」

 

 

つまりこうだ。今の禁書黙録はもっと作品を食わなければならない。そして流助にその役割を持たせるというのだ。

彼に禁書黙録が強力なる様な作品を書かせ、それを次々に取り込んでいく。そして徐々に力を蓄えればいずれは神話をも食える存在になろう。

神話を取り込めば、文字通り禁書黙録は神の力を手にできる。誰も逆らえない最強の存在として君臨できるのだと!

 

 

「ぼ、僕にお前を強化する作品を書けと!?」

 

『そうだ! もちろん褒美もやる! 貴様をどんな手を使っても小説家にしてやる!!』

 

「!!」

 

 

小説家に、なれる?

 

 

『夢だったんだろう?』

 

「そ、それは――」

 

「だめだ流助さん! そいつの言う事を聞いちゃ――!」

 

『黙れ! クラックエッジ!!』

 

 

苦痛の声を上げて倒れるキバ。流助は心臓が破裂しそうだった。ずっと夢見た小説家になれる。

このまま生きていたら一生その夢は叶わず、惨めに死んでいくかもしれない。禁書黙録に協力さえすれば――ッッ!!

 

 

「―――る」

 

『んん?』

 

 

だが―ッッ!!

 

 

「断る!!」

 

『!!』

 

「「!」」

 

 

震えながら、正直チビりそうになりながらも流助は断った。

青ざめ、震える声で彼は理由を続けて説明する。

 

 

「ぼ、ぼぼぼぼぼくは! ぼくは確かに才能なんて無いかもしれない!」

 

 

人に面白いと思われる作品を作れないかもしれない。

 

 

「だ、だけど! だけどなぁ! 僕は僕の作品が好きなんだ! 僕の作った世界やキャラクターが好きなんだ!!」

 

 

禁書黙録に協力すると言う事は、彼に食われる作品を作らなければならないと言う事だ。

たとえそれがどんな短い話であっても、どれだけ適当につくったキャラクターであっても。流助は涙を流しブルブル震えながら大きなメガネを整える。

 

 

「ぼ、僕の物語は人を悲しませるためにあるんじゃない!!」

 

 

そうだ、禁書黙録に協力すればいずれ多くの人が悲しむ。

そんな事をしてまで小説家になって自分は何を伝えると言うのか。自分は小説が好きで、その楽しさを多くの人に知ってもらいたいと道を目指した。

自分の作品を見て、同じく小説家を目指そうとする人がいればうれしい。なのにこのままならば自分の目指した物とは全く違う形になるじゃないか!

そんなの反吐が出る! なによりも――ッッ

 

 

「僕のキャラは、お前の餌になる為に生まれる訳じゃないんだ!!」

 

『馬鹿が! 自分の命が掛かっていると言うのに!!』

 

 

だからこそだろ! 流助は自らに眠る勇気全てを絞りつくして言い放つ。

命よりも大切な物があるから断ったんだ。

 

 

『命よりも大切な? 馬鹿な、なにがあると?』

 

 

そう。それが、それこそが――

 

 

「男のプライドだ!!」

 

「「!」」

 

 

自分が恥ずかしい、その思いをディケイドが持った時に彼のライドブッカーが光り輝く。

だがそれよりも早く禁書黙録は流助に剣を振り上げている所だった。やばい! ディケイドたちは叫ぶが間に合わない!

流助は自分の死を覚悟して目をギュッと瞑った。

 

 

「―――ッッ!!」

 

「!」

 

 

禁書黙録の振るった剣は流助を真っ二つにして絶命させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だった。

 

 

『な、何故体が動かない……ッ!!』

 

「!!」

 

 

見れば禁書黙録は流助にあと少しで刃が触れると言う所で手をとめていた。

しかもそれは明らかに彼の意思で行った事ではない、今すぐにでも禁書黙録は流助を殺したいのにできないのだ。

何故? 誰も理由が分からずに沈黙する。しかしそれは起こった!

 

 

『ぐああああああああああ!!』

 

 

禁書黙録の体から光がこぼれ、それが人の形を形成したのだ。

その光の人間は流助を守る様に抱き上げると禁書黙録から距離をとって彼を危険から遠ざける。

なんだ? だれだ? 流助はメガネを上げてその人を見る。

 

 

「え……?」

 

 

光の人間はニッコリと流助に向かって微笑みかける。そして瞬く間に消えてしまった。

残されたのは数十枚の紙、流助は何も言わずにただ一筋だけ涙を流す。どうやら彼はそれが誰だったのかを理解したようだ。

 

 

『ぐうあぁぁあッ! なにをした……! 何故体が動かない!?』

 

 

見るからにして動きが鈍っている禁書黙録。そして再び体から光の人間が飛び出してきた。

それも一人じゃない、一人が出たらまた一人と次々に飛び出していくじゃないか!!

 

 

『ぐあぁああぁああ!! な、なんだ! 何なんだッ!?』

 

 

苦痛に悶える禁書黙録。ディケイド達が確認するとその人々はバラバラの容姿をしていた。

ファンタジーな衣装に身を包むもの、はたまた現実的な衣装の者。それを見ながら流助は確信する。

そもそも分からない訳が無い。あれはだって、自分を助けてくれたあの人はだって――

 

 

「僕が、作った小説の……主人公じゃないか――っ」

 

「「ッ!!」」

 

『な、なんだとぉおおおおおおおッッ!!』

 

 

つまり、今禁書黙録の体から飛び出しているのは応募作品の中にいる数々の主人公達なのだ。

多くの作品があれば、それだけの主人公がいる。そして彼らは、彼女達は禁書黙録の体から作品ごと分離しているのだ!

 

 

『馬鹿な! 何故! 何故取り込んだ筈の作品が!!』

 

「まさか――ッ!」

 

 

魂を込めて作った作品には、同じく魂が宿ると言う話を聞いた事はないか?

まさに、今それは起こっている。多くの参加者によって作られた作品の主人公達は、自らの意思で禁書黙録の力になる事を拒んだのだ!

 

 

『馬鹿なッ! ろくに文章も書いた事のないガキ共の文章に魂!?』

 

 

幼稚な駄文しか書けないヤツの作品に魂?

恥ずかしく、痛々しいヤツの作った作品に魂?

才能も無く、絶対にプロになれないヤツらに魂だと!?

 

 

『あり得るかァァアア!! 屑が作った屑みたいな作品が私を否定する!?』

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

その時、ディケイドが咆哮を上げて自らの体を縛る鎖を引きちぎった。

そしてブッカーから、光を放つ紋章が並んでいるカードを抜き取ると、それをケータッチの中に入れて起動させる。

 

 

「禁書黙録! 確かにお前や周りの人から見ればつまらないと、下らないと思う作品は多いかもしれない!」

 

 

ディケイドは並ぶ紋章を順番に押していきながら叫ぶ。他人が下らないと思う作品でも、自分が好きで書いたなら――

自分がその作品を好きだと思えるのならば、きっと作品には作者の想いが宿る筈だ。だから登場人物達もまた作者を想ったんだろ!

作者がキャラクターをどんな形であれ作れば、それは作者と一心同体と言えるのだから!

 

 

「その心を理解できぬなら、心で楽しむ小説を語る資格は無いッッ!!」『ファイナルカメンライド』『ディケイド!』

 

 

カードのめくれる音と共にディケイドの紋章が破裂する。

中から現れたのはコンプリートフォームへと変身を完了させたディケイドだ。

一方の禁書黙録は全く予想もしていなかった事態に怒りを爆発させる。人の心? たかが小説でなにをほざくか!

 

 

『死ね! アルティメット・デス!!』

 

 

参加者の中には本当にふざけて応募した者もいる。その中にあったのがこの技だ、当たった相手を確実に殺す針。

それを発射してディケイドを絶対に殺そうと禁書黙録は狙う。いきなりだったからか、その針をディケイドは避ける事なく受けた。

勝った、死ね! 禁書黙録は歪な笑みを浮かべ――

 

 

「ハッ!」

 

『な、何故だ!?』

 

 

ディケイドはそれを避ける事無く、身に受け、そして破壊した。

針はディケイドに触れた瞬間ダメージさえ与えずに破壊されたのだ。

 

 

「何故? 教えてやるよ!」

 

 

ディケイドは手を叩き合わせて構える。

 

 

「俺は破壊者ディケイド、そんな設定なんてぶっ壊してやるッ!!」

 

『ぐぅうううううう!!』

 

 

その時、ディケイドの元へ駆けつける二人のライダー。

距離が近かった椿と双護だ。スーパーワンの力で変身できた二人はすぐにバイクで駆けつけたと言う訳。

 

 

「おー、死んで無くて椿くん安心」

 

「司、俺達を使ってくれ」

 

「ああ、頼むぜ二人とも」『ファイナルフォームライド』『ブブブブレイド!』『カカカカブト!』

 

 

右手にブレイドブレードを、左手に盾の様にしてカブトデュアルゼクターを構える。

ディケイドはそのまま禁書黙録に向かって最後の戦いを仕掛ける。当然もてる力を解放して応戦する禁書黙録だが、その展開は圧倒的なまでにディケイドが圧倒していた。

 

 

「オラァァッ!!」

 

『グアアァアアア!!』

 

 

襲い掛かる攻撃は全て回避かデュアルゼクターで防ぎ、逆に大剣を豪快に振るっていく。

凄まじい威力に角や爪を全て破壊される禁書黙録、そして吹き飛んだ所で決着の時が来た。

 

 

『THREE』『FREEZE TIME』

 

 

三番のボタンを押してディケイドはデュアルゼクターを発射する。

角の前方に光の玉ができ、禁書黙録に角が刺さると彼の動きが完全に停止した。

まさにフリーズタイム、ディケイドはその隙にケータッチを操作していく。

 

 

『ヒビキ!』『カメンライド』『アームド』

 

 

敬礼の様なポーズと共に隣に響鬼装甲が現れる。そしてディケイドはそのままブレイドと響鬼の必殺技を発動。

同時にその時を見て離れるデュアルゼクター、禁書黙録が再び動き出した時には自らの体に炎と雷の二段斬りが刻まれている所だった。

 

 

『ギエアアアアアアアアアアアアアア!!』

 

 

焼き千切れていく体、完全に禁書黙録本体が晒される。だがここからの粘りが凄まじい。

禁書黙録は千切れた紙を集めて翼を作ったのだ、そのまま猛スピードで空へ飛んで逃げる。

それだけならまだクロックアップで追えたかもしれないが、何と同時に大量の分身を召喚して目くらましを行った。

 

 

「くっ!」

 

 

ここまで来て逃がすのか?

それを思ったときに背後から聞こえる無数のエンジン音、見れば学校にいたメンバーも事態を聞きつけてやってきたのだ。

それはまさに希望、そして声をあげたのはキバだ。

 

 

「お願いだ、ボクにやらせてほしい!」

 

「いいけど、なんでまた――」

 

 

キバは胸を強く叩いて叫ぶ。

助けに来たのにまともな活躍も無しに終わるなんて自分が許せないだろう? だって自分は男なのだから。

 

 

「ボクのプライドがさ!!」

 

「ははっ! 成る程ね」

 

 

頷きあう一同。クウガ達も既にゼノンから禁書黙録の話を聞いていた為に心は一つだった。

ディケイドたちはキバを中心にして円形状に並び立つ、そしてコールしていくそれぞれの名前と浮かび上がるそれぞれの紋章。

見せてやろうじゃないか、教えてやろうじゃないか!

 

 

「男のプライドってヤツをな!!」『ディディディディケイド!』

 

「「「「「「「「「おうッ!!」」」」」」」」

 

 

キバはファイナルフォームライドであるキバアローに変形する。

さらにそこへライダーシンドロームによって生まれた10の紋章が装備されていき、あっという間に黄金の弓矢が姿を見せる。それを掴み取るディケイド、これが誇りの力!

 

 

「完成! エンペラーアロー!!」

 

 

ディケイドは思い切り矢を振り絞る。すると眩い金色の光が溢れ――ッ!

 

 

「タアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

手を離したディケイド、するとエンペラーアローから無数の矢が放たれた。

剣に蝙蝠がくっついている様なデザインの矢は、文字通り翼を広げて自動的に全ての禁書黙録を追尾して攻撃していく。

そして一番大きな矢はしっかりと本物の禁書黙録を捉えていた!

 

 

『ば、馬鹿な……ッ! こんなシナリオが、あった……なん――て』

 

 

 

爆発する禁書黙録。光に消えて、彼は完全なる消滅を遂げたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局、禁書黙録って何だったんだ?」

 

「文字通り、面倒な存在だよ」

 

 

ある世界においてモンスターとされる存在。

別にそれ以上でも以下でもない、確かに危険な存在ではある事に変わりは無いが。

現に一つの世界を滅ぼす力も持ち合わせているだろう。が、言ってしまえば一つの世界しか滅ぼせない。

 

 

「だけど、今回みたいに世界を移動すれば話は変わってくる」

 

「そうだな……」

 

 

これが世界を移動する怖さだ。今回の様な事は、以後珍しい事では無くなるかもしれない。

最悪だよ、面倒が増えるとゼノンは苦言を漏らした。確かにと頷く司、しかしと彼は笑みを浮かべる。

 

 

「世界が移動できるからこそ、得られる物もある」

 

「……なるほど」

 

 

ゼノンは少し離れたところで笑みを浮かべている亘達を見て納得した。

そして急に真面目な表情になると、司に一言だけ告げておくと言う。

 

 

「もしかしたら禁書黙録は人の闇、なのかもしれないね」

 

「なるほど、そうだな……」

 

 

やや沈黙が二人を包む。

 

 

「ねえディケイド」

 

「なんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シリアスな顔をして、"人の闇なのかもしれない"って締めたら形になるって本当だったんだね」

 

「………」

 

「適当に言ったのに、なるほどそうだなって……ぶふーっ!!」

 

 

潰す! 司はゲラゲラ笑って逃げるゼノンを追いかけていった。一瞬真面目に考えて納得した自分が馬鹿みたいじゃないか!

すると加勢すると言って飛び出してきたのは椿、彼は相当キテいる表情でゼノンの名前を叫んだ。

 

 

「おいゼノン君!? 司君とか亘君は歴代ライダーに会えたんだろ!? でも僕ね、アニメの世界に連れてってもらえてないよ!?」

 

「細かいことは気にしないでよブレイド。男のプライドじゃないのかい?」

 

「知るかそんなモン! 好きなヒロインになれるなら全裸で土下座もできるわ俺は!」

 

 

やっぱこいつ等も面倒な連中だ! ゼノンは帽子を押さえて逃げ出すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念でしたね、今回は」

 

 

一方亘と流助は笑みを浮かべて談笑していた。

結局今回のコンテストは無かったことになり、賞金は怪我をした人の手当てや破損した場所の修理費用に使われる事に。

しかし流助には確かに変わった思いがあった、彼はどんどん意欲が湧いてくると笑う。

 

 

「君達のおかげだよ! 僕はやっぱり小説家になりたい!!」

 

 

その夢は諦めたくない。それに、何と言っても楽しいからと明かした。

それに自分は自分の作品に助けられた。彼等に恩返しをしたいのだとか。

どうやらコレはまだまだ止められそうにない、困ったことに。

 

 

「応援してます」

 

「ありがとう!」

 

 

流助はメガネを整えて笑う。

 

 

「今度はね、ヒーロー物を書こうと思うんだ!」

 

 

そう言った彼。

そこにはありったけの自信と希望が感じられた。

 




このお話は時系列が本編とはめちゃくちゃな点があるので、あくまでも番外編としてお楽しみください。

ではでは
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