やっと始まりましたプロ野球。
ここまで本当に大変でした。
ですが依然としてヤツの脅威は勢いを無くすどころか、再加速しています。
国と観光業者としては観光地に客が集まらず、経済的にまずい事態になってるから、とりあえずみんな出かけろって感じで旅行したら幾ら補助とかやってますけど、それは感染者数を増やすための取り組みですか?と疑問を呈したくなってしまう若者です。
こうして再び感染者が増えていっており、外出は避けねばならない事態であるのに、出かけようぜキャンペーン(適当)みたいなことして、それで国としての感染対策バッチリですよWHOさんって言えるんですかね?
とまぁ、知識もない一Fラン大学生の戯言なぞ気にせず本文へレッツゴー!
今回も最後までお付き合い下さいませ。
梨子side
柚「わあっ、ここが東京!秋葉原!」
梨「ふふっ、いきなりはしゃいじゃってる♪」
柚「だってだって、こんな大都会に来るのは久しぶりだもん!うわぁ……すごい高いビルに眩しいくらいの電飾……いくらかかってるんだろう……」
梨「いきなり現実的ね……」
私と柚希くんは会話を見てもらえばわかる通り、秋葉原にやって来ています。
理由は……
自分で説明するのも恥ずかしいんだけど、その……
う、薄めの本を少々嗜むもので、それの新作の購入と新規開拓を少しばかし……///
本当は1人で来るつもりだったんだけど、柚希くんが私が秋葉原に行くって言ったら一緒に行きたいって言うから……
でも、柚希くんは私の
あ、千歌ちゃんには餌付けをしてきたので大丈夫です。
柚「ねね、どこから行く?あっちのおっきな建物?それともこっちのピカピカのお店?それとも……!」
梨「ま、待って!とりあえずまずはあのお店に行かせてもらえる?」
柚「んー、あの緑の同人誌のお店?」
梨「お、大きな声で同人誌って言わないでっ!!」
うう、やっぱり連れてきたのは間違いだったかなぁ……
私の趣味を理解してくれてるわけだけど、柚希くん自身にはその趣味がないから心理が分からないのかも……
梨「と、とにかく行こっ!」
焦った私は柚希くんの手を取り、さっさと1軒目の薄い本の販売店に入店しました。
気が動転してちゃんと考えられていなかったから、柚希くんの手をずっと握ったままお店の中を巡り始めてしまいました。
それに気付いて急いで離した時、私の顔は酷く紅潮していましたが、柚希くんは
「あれ、もう離しちゃうの?ざーんねん」
なんてあまりにも意に介していないようで、なんだかとっても悔しいです……
とにかく、天国とも呼べるこの空間で、まずは私の好きな先生が描かれていらっしゃる作品の新作をここで購入して、2軒目と3軒目で新規開拓と掘り出し物探し。
どれくらい時間がかかるのかなぁ?
柚「ねぇ梨子ちゃん、この"NTR"っていったい何?」
梨「へっ?!?!」
NTR、つまり寝とr……
柚希くんがそんな単語知ってるわけはありません。
じゃあ一般向けの作品コーナーでどうしてその単語を見つけて……
柚希くんの手に握られた作品には、丸で囲った18に斜線が入っているマークがバッチリと印字されていました。
梨「は、早くそれ戻してきて!!!」///
ふええ、やっぱり連れてくるべきじゃなかったよぉ……
さすがに柚希くん、無知すぎます……///
********************
梨「ふぅ……もう、大変な目にあったわ……」
柚「ご、ごめんなさい……まさか二次創作に、その、
18禁が二次創作品で存在しているものとは、どうやら思っていなかった様子。
理解はあっても、この世界の詳細を知らないのなら仕方ない……のかもしれないのかな?
ま、目的のものは買えたし、ある程度新規開拓は出来たからよしとするけれども……
梨「もういいわ、気にしないで。それより柚希くん、行きたいところがあるんでしょ?」
柚「あ、うん。音ノ木坂学院高校に行きたいんだ」
梨「オトノキに?」
柚「そう。梨子ちゃんが1年の間過ごした学校を見てみたい」
音ノ木坂学院高校、通称"オトノキ"。
私が浦女に転校する前に通っていた、東京は神田の国立高校。
のんびりとした雰囲気で、とても穏やかな校風の学校。
そんなゆったりできる空間が私にはとても合っていました。
ただ、有名な音楽の学校という側面を持つオトノキ。
私もピアノの実力を上げるために入学したけれど……
まあ、そんな話はいいですよね。
柚「それに、あのμ'sが生まれた場所だもんね……」
梨「μ's、やっぱりすごい存在なのね」
私がこうしてスクールアイドルを始めたのは千歌ちゃんに誘われたからです。
でも、その千歌ちゃんはどうしてスクールアイドルが好きになったのか。
それはそのμ'sの影響なんです。
初めて行った東京で見たμ'sの姿が、とても輝いていたと、私は聞いています。
そんなμ'sは私の第1の母校であるオトノキで誕生したものというのは、おそらく日本中の人ならば8割方知っていると答えると思います。
でもさっき言った通り、私はオトノキにはピアノの実力を上げるために入学したので、もちろんピアノに全力を注ぐ学生生活を過ごしていました。
ピアノ以外に目もくれなかった結果、私はその"μ's"という存在を、"スクールアイドル"という存在を、まったく知らずに過ごしてきたのです。
柚「そりゃもちろん!自分たちの力で廃校を阻止しちゃうくらいすごいんだから!それに――」
梨「キラキラ輝いてる、でしょ?」
柚「あ、あはは、その通り♪」
そうです。
千歌ちゃんはそのμ'sの輝きに憧れて、スクールアイドルを始めたんです。
梨「それじゃ、中を見て回ってみよっか?」
柚「えっ、入れるの?」
梨「申請すればちゃんと入れるわ、行きましょ」
オトノキの中に入れることがわかった瞬間、柚希くんの顔はぱあっと明るく輝き、満面の笑みを浮かべました。
ふふっ、ちょっと幼い柚希くん、かわいい♡
柚「うんっ、行こうっ!」
校門をくぐり、校舎内へ。
職員室付近の受付で申請をした後に向かった先は音楽室。
運良く誰もおらず、私たちで貸切状態に出来ました♪
それにしても懐かしい。
つい昨年まではここでただ黙々と、ピアノに向き合って、白黒の鍵盤で私の思いを奏でていたなぁ……
普通の教室よりも響くこの音楽室。
逆に何も無いとどの教室よりも静かに感じるこの空間は、ピアノと向き合うための時間として使っていた私にとっては、誰とも干渉せずにいられる極上の空間でした。
入校する時に借りたスリッパが、歩く度にリノリウムの床に擦れて出る音を聞きながら、高級感漂う黒いピアノの前にやって来ました。
柚「ここが音楽室……μ'sの西木野真姫さんが作曲に使っていた場所。そして梨子ちゃんが鍛錬していた場所」
梨「なんだかそう言われると恥ずかしいわね……」
柚「この空間からμ'sの曲が生まれて、廃校にならずに済んだから、梨子ちゃんがこの学校に来た。それで、まぁ、カクカクシカジカあって俺たちと出会えた」
梨「カクカクシカジカの部分って説明端折るのに文面で使うのにそのまま言っちゃうんだ……」
でも、本当に奇跡のような偶然で、私たちは出会い、Aqoursとしてスクールアイドル活動をしている……
改めて考えてみると、それってやっぱりすごいことです。
簡単に"奇跡"なんて言葉を使っちゃうと、あまりそのことの偉大さに迫力がつかないけれど、それでも使いたくなるくらいに"奇跡"なんです。
でも、私がオトノキに入学して、挫折して、内浦に引っ越して、柚希くんや千歌ちゃん、Aqoursのみんなに出会えたことがもし"運命"だとしたら。
神様はなんて波瀾万丈な人生を、私に歩ませようとしているのでしょう。
柚「ね、梨子ちゃん」
梨「なぁに、柚希くん?」
柚「ピアノ、聴かせてよ」
唐突なお願い。
でも、なんとなく言われるんじゃないかって思っていました。
梨「ふふっ、いいわよっ、何が聴きたい?」
すると柚希くんは、再び満面の笑みを顔に浮かべ、瞳は輝いていました。
柚「えっとね、まず海の音を聞いた時に作った曲でしょ!それから初めて3人で歌った"ダイスキだったらダイジョウブ!"でしょ!それからそれから……!」
あはは……
腱鞘炎になりそうです……
********************
柚「んーーーっ、楽しかったぁ!いっぱい弾いてくれてありがとっ、梨子ちゃん♪」
梨「ふふっ、柚希くんが楽しんでくれたのならよかったわ♪」
柚「あれだけお願いを聞いてくれたんだもん、なにかお礼がしたいなぁ……」
梨「ええっ、いいわよそんな!柚希くんの楽しそうな顔を見られて嬉しかったし……」
柚「うーん、でもなぁ……」
つくづくこの高海柚希という人間は、義理堅くて人への感謝を忘れない優しい人なんだなって改めて感じます。
そんな優しさについ甘えたくなってしまう、私は悪い人です。
梨「じゃあお礼として、私の行きたいところ、もう1つ付き合ってくれる?」
柚「えっ、そんな事でいいのなら……」
梨「うふふっ、それじゃあ行きましょ♪」
柚「あっ、ちょちょ、ちょっとまって〜!」
どうやら私は
引っ込み思案で、誰かと干渉するのが苦手で、陰と陽で分けるなら間違いなく陰にいたかった私。
だから内浦に来た時も、「私なんかがあの結束力の強い浦の星の人達の輪に入っていけるのか」とか、「きっと"地味な東京もん"ってバカにされて、東京での暮らしと変わらない」とか思っていたんです。
そんなあの頃の私に、今の私の暮らしぶりを言い聞かせてあげたい。
きっとびっくりすると思います。
"私にも、心の底から大切だと思える仲間ができたこと"
こう言うと、今までいた仲間が大切じゃなかったみたいに聞こえるけど、そういうことではなくて。
ただ、今のこの"仲間"には、不思議な繋がりがあるんです。
普通の友達とは違う、特別な何かが。
そしてその仲間の中でも一際特別だと感じてしまっている人。
私が今、手を引いている人。
初対面の私の弾く曲を、歌声を、素敵だと言ってくれた人。
私の好きなことをすんなりと受け入れてくれた人。
私が、好きな人。
********************
柚「うっわ、きれ〜〜〜〜〜い!!!」
梨「ほんと、とっても綺麗ね♪」
ずっとここで見たかった。
お台場海浜公園で望む夕焼け空。
燃えるように真っ赤な夕日と、徐々に赤へと染まっていく夕焼けのコントラスト。
まだ青空が広がっている部分や、混じりあって紫やピンクっぽくなっている部分。
どの部分もそれぞれの良さを思いのままに表現していて、まるでこの大空は芸術家が描く作品のよう。
砂浜を目の前に、板張りの歩道の端に腰を下ろし、ただ一瞬一瞬変わりゆく夕焼け空のショーに暫し見とれていました。
ふと私の右隣に視線を移すと、さっきまでの私と同じように、夕焼け空に見とれている柚希くんの横顔が私の視界に飛び込んできました。
長いまつ毛に高い鼻、横顔でも分かる端正な顔立ち。
これから訪れるであろう満天の星空よりも輝いている瞳。
こういうところを見ると、可愛い弟のようだと思っていても、やっぱり1人のかっこいい男の子です。
柚「梨子ちゃん、今日一緒に東京へ連れてってくれてありがとう」
梨「えっ?」
柚「沼津でもこの夕焼けは見られるし、梨子ちゃんとだって一緒にいられる。けどね、なんだか今この場所で梨子ちゃんとこうして夕焼けを眺めているっていうことが、とっても幸せなんだ」
上手く言葉に出来ないんだけどね。といってはにかむ彼を見て私はそっと微笑む。
柚希くんにはきっと、恋愛感情なんてものは今はないんだろうと思います。
だけど、今の言葉には間違いなく友達としてでの言葉ではない、何かが含まれていた気がしてなりません。
彼の頬がほのかに紅潮しているのがその証拠ではないのかなと。
昔から思い込みの激しかった私。
このことももしかしたら自意識過剰に捉えられてしまうかもしれません。
夕日によって照らされた頬が紅くなっているように見えただけかもしれません。
でもなんであれ、柚希くんにあんな言葉を言わせたのはあのまん丸の夕日。
だから私はこの夕日に誓いたい。
赤く燃える夕日のような、私のあなたへの熱いこの想い。
あなたに届く日まで、決して燃え尽きない炎であると。
柚「ふぇ?燃え尽きない炎?」
梨「えっ、えっ、えっ?どっ、どどどどこから聞いてたの?!」///
柚「えと、燃え尽きない炎ってしか言ってなかったけど……」
梨「ぷしゅうぅぅぅぅぅ〜〜〜……」///
柚「ぷしゅう?」
た、助かった……
どうやら漏らしたのはその部分だけでした。
九死に一生を得るとは、まさにこのことなんでしょうね……
柚「さて、名残惜しいけどそろそろ帰ろうか」
梨「う、うん、夜遅くなっちゃうものね」
柚「よし、じゃあ行こっか♪」
彼はそう言って私の手を掴んで走り出しました。
柚「さっきのお返し、しっかり握っててね?」
梨「は、はひぃ……」///
そう言った彼の頬は、夕日のせいではなく、紅かった。
梨子side off
To be continued!
いかがだったでしょーか!
んー、自画自賛じゃないですけど今回上手くいった気がします(言っちゃう)
あの緑色の同人誌のお店っていうのは、秋葉原によく行く方ならお察しじゃないですか?
秋葉原行かなくても全国展開してると思いましたけど。
この歳になってようやく行くようになりましたし、読むようになりました。
まぁでも、まだまだ全然量はないんですけど笑
さてさて、次回はソロ回ラストです!
もちろん登場するのはあのオレンジ少女です!
千「オレンジじゃなくてみ・か・ん!!!」
えっ?いやパイセン、なんの差なんですk
千「そんな違いが分からないなら……みかんの刑だよ……」
えっ、なにそれ、そんなホラーテイストに言うセリフなの?!
あっ、ちょっ、まっtギャーーーーー!!!!!
千「えへっ、それじゃあ、次回のお話でまたお会いしましょうなのだ!」
ば、(・ω・)/ばいにー☆