輝きを常に心に   作:たか丸

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みなさんこにゃにゃちわ、たか丸です。

お待たせしました、お待たせしすぎたのかもしれません。
いや、待ってなかったかもしれません。
ともかく後編です。

かなーりギュッとまとめた、それこそしじみ習慣のような内容(?)になってしまって駄文がチラホラ……
むしろ綺麗な文の方がチラ……くらいかもしれません。

そこもまたたか丸クオリティとしてお楽しみいただければ幸いです。

それでは今回もお楽しみください!


ゆづにぃ、野球見よっ! <下>

柚希side

 

千「お腹空いた〜!」

 

ドームに入場してまだ席にも着いていない時、そんな千歌ちゃんの声を聞いて腕時計を見ると、時刻は試合開始25分前の13時35分。

 

柚「よし、それじゃあ先にスタジアムグルメでも買いに行こうか?」

 

千「わーい!何食べようかなぁ〜」

 

場内マップを見てみると、ドームの内側をぐるっと1周、飲食物の販売店やグッズの販売店が並んでいるのが確認できた。

しかも各階にあるらしい、すごいな。

 

千「よし、きーめた!チカ、この選手プロデュース弁当っていうの食べてみたい!」

 

場内マップの脇にあったひとつのポスターを見ていた千歌ちゃんが、どうやらもう食べたいものが決まったようで、高らかに宣言してくれた。

見ていたポスターは、選手プロデュース弁当の販売店が書かれていたものだった。

 

柚「選手プロデュース弁当……そんなのもあるんだ」

 

うげっ、このお弁当1500円もするのか……

そんなに美味しいのか?

 

って、そんなこと考えるだけ野暮だな。

こういう所のものは少し割高でも、野球を生で観戦しながらご飯を食べられるっていう非日常を楽しめるからいいんじゃないか。

よし、俺も選手プロデュース弁当にしてみようかな。

 

柚「あれ、選手プロデュース弁当って意外と種類あるんだね……」

 

千「あ、本当だ、8種類もある!むむむ、こりゃまた悩んじゃうなぁ……」

 

和風御膳弁当に、唐揚げ弁当、肉盛りだくさん弁当、バランス重視のヘルシー弁当なんてのもある。

他にもチャーハン弁当とかロースカツ弁当、ガッツリスタミナ系のお弁当、球団のマスコットキャラクターがプロデュースしたお弁当もある。

 

こりゃさすがに迷うなぁ……

気分的には、朝を厚切りトースト1枚っていう割と控えめなもので済ませちゃったから、思いっきり食べられるものがいいんだよねぇ。

 

千「よーし、じゃあチカはこの"和風御膳 寿"っていうのにする!穴子が乗ってるご飯美味しそ〜!」

 

柚「え、は、早いな千歌ちゃん……」

 

こうしちゃいられん、俺も早く決めなきゃ。

 

ロースカツ弁当なんて絶対美味しいに決まってるし、チャーハン弁当も男の子向けって感じのやんちゃなお弁当感あって後ろ髪引かれるし……

んぐぐぐぐぅ……

 

千「ゆづにぃ?難しい顔してるけど……大丈夫?」

 

柚「よし、決めた!"圧倒的肉づくし!弁当"にする!やっぱり肉が正義でしょ!」

 

千「わわっ、このお肉とお米しか入ってないお弁当?!すっごいねぇ!」

 

柚「それじゃ、買いに行こっか?」

 

千「うんっ!」

 

 

***

 

 

外から見て既に分かっていたけど、この中すっごく広いな……

目的のお店に着くまでにかなり時間かかりそうだぞ。

 

それにしても。

 

「今日あの選手ホームラン打ってくれるかな?」

「今日勝てば首位浮上!勝たないわけにはいかないっしょ!」

「お、今日の打順だいぶ組み替えたな。かなり良さそう」

「はぁ〜〜〜、今日も推しの顔が強すぎる……!!!」

 

……最後の人は少し違うかもだけど、みんな今日の試合をどれだけ楽しみにしているかが分かるな。

それだけ野球には人々を熱狂させる力があるわけだ。

 

千「ねぇゆづにぃ」

 

柚「ん、どうした?」

 

千「なんかみんなとっても楽しそうだね!ウキウキワクワクしてるのが、みんなの顔を見てわかるよ!」

 

柚「うん、そうだね」

 

どうやら千歌ちゃんも同じこと感じてたみたい。

俺も早く試合が見たくなってきた。

 

なんて考えてたらあっという間に目的のお店に到着。

目的のお弁当も無事に購入して、売り子のお姉さんから炭酸飲料を2つ買って、いよいよ今日の試合を見るための座席へ。

 

頂いたチケットはどうやらかなり良いものだったみたい。

なんでも、ホームベースがある場所のすぐ後ろのバックネット裏って所で、そこの前から3列目の席だった。

こんなのほぼグラウンドに立ってるようなもんじゃん……

 

しかも椅子も高級な革で出来たもので、背もたれまでとってもふかふか。

そんな普段なかなか座るようなことの無い椅子に、千歌ちゃんはかなり大喜びの様子で、さっきから10秒ごとに「ふかふかだねぇ」を繰り返してる。

この椅子だけで千歌ちゃんはここに来た価値があるって考えてそう……

 

なんて他愛もない会話や思考を繰り返していると、グラウンドが騒がしくなってきた。

それと同時に場内のメインビジョンが様々な映像を流し始めた。

 

――先攻の、ブルーレオーズのスターティングラインナップをお知らせ致します。

 

そしてスタメン発表が始まる。

 

千「ねねゆづにぃ、スターティングラインナップってなに?」

 

柚「スタメンっていうのはね――」

 

両チームの先発出場する選手の打順のこと。

野球は、っていうよりセ・リーグ公式戦は、投手を含めて両チーム9人の先発出場がいる。

その9人をどう並べるかが勝敗を左右する重要なポイントでもある。

日本の野球だと1番打者に"足が早く、パンチ力があり、四球(フォアボール)も選べる"ような選手を置き、2番打者に送りバントなどの小技が上手い選手、3〜5番にホームランをたくさん打てる強打者を置く、っていう打順が昔からかなり使われている。

 

柚「って感じかな」

 

千「す、すごいねゆづにぃ!そんなしっかり答えてくれるなんて!」

 

柚「あはは……千歌ちゃんに色々聞かれるかなって思って、少しだけ勉強してきたんだ」

 

野球って難しいルールだとか言葉が多いスポーツだからね……

きっと千歌ちゃんが「これってどういうこと?」っていっぱい聞いてくるとこを見越して、ある程度は理解出来ているけど、心配な部分もあったから真面目にも勉強してきました。

 

説明している間に両チームのスタメン発表が終わり、続々と選手たちがグラウンドに現れ守備位置へとつく。

いよいよ試合開始。

 

試合は序盤から動いた。

 

先攻、レオーズの先頭打者が初球を叩いてライトスタンドへ突き刺す先頭打者ホームラン。

続く2番打者もヒットで出塁し、3番打者が四球。

そして4番打者が動揺する投手の失投を見逃さずレフトスタンド上段に特大の一発をお見舞いした。

 

幸先よく4点を先制したレオーズに沸くレフトスタンドと俺だったけど、俺の隣のみかん娘さんの機嫌はすこぶる悪くなり……

 

千「もー!なんでなんでー!すっごい点取られるじゃん!」

 

と、めちゃくちゃぶーぶー文句言ってます。

 

しかし裏の攻撃でなんと"ニャイアンツの若大将"の異名を持つ4番が満塁ホームランを放つと、みかん娘さんのテンションは一気に急上昇。

 

千「すごーーーい!!!追いついた!追いついたよゆづにぃ!!!」

 

お隣のお姉さんとハイタッチなんかもしちゃって、完全に機嫌が回復しました。

切り替えの早い子でなんとも助かる……

 

しかし試合は4-4の同点のまま両チームの投手が好投を続ける投手戦となり、スコア変動が全く起きない試合展開に、6回あたりで千歌ちゃんがとうとう飽き始めました。

 

千「どっちも全然点入らないねー……もっと最初みたいに、ぽこぽこいっぱい打つものだと思ってたよ……」

 

野球を見に来ているからこそ、初心者でも楽しめるようないっぱい点が入る展開を期待していたんだろうなと。

これじゃいくら売り子さんのアイスを買い与えてもそりゃ満足しないよね。

 

こりゃ千歌ちゃんはサッカー見るのは向いてないかもなぁ……

 

千「ん〜……ホームラン打てぇ〜……」

 

やる気は見受けられないながらも、ニャイアンツの応援をする千歌ちゃんの願いが通じたのか。

7回裏、ニャイアンツは好投を続けていた先発投手の代打に、ニャイアンツの新・元気印として今季から新たに加入したベテラン選手を送る。

カウント1-1の3球目、甘く入ったスライダーを捉えて値千金のホームランを放ち、ニャイアンツがついに勝ち越しに成功する。

お決まりのホームランパフォーマンスを決めると、千歌ちゃんのテンションは急上昇。

 

千「わわっ!すごいすごい!打ったよゆづにぃっ!!!チカの思いが通じたんだよ〜っ!」

 

柚「あはは、本当だね。よかったね千歌ちゃん」

 

千「うんっ!ナイスバッティーーーング!」

 

そして試合はそのまま9回表に。

ニャイアンツはクローザー、守護神を投入。

 

千「ゆずにぃ、くろーざーって何?」

 

柚「英語で書くとcloser、要は試合を締める人みたいなもんかな。"抑え"なんて言われ方もするんだよ。大体はチームで1番強い球を投げられる人が務めるもので、1イニングだけをピシャリと抑えるために投げるんだ」

 

千「へぇ〜っ!じゃあこの人がチームで一番強い人なんだ!」

 

うーーーん?

微妙に解釈に乖離があるな……

 

ともかく、守護神が出てきたことでドームのムードは一気に盛り上がる。

 

ドームのムード……逆から読んでもドームのムード……

へへっ、何考えてんだか。

 

しかしその守護神が今日は裏目。

絶不調だった。

レオーズの先頭8番打者に四球、9番打者に代打が送られるも死球。

そして1番打者がレフト前にヒットを放つが、外野は前進守備を敷いていたため2塁走者は3塁ストップ。

無死満塁のこの場面で、レオーズは2番打者にも代打を送る。

通算でも400本以上のホームランを放っている強打者が打席に入る。

満塁にことごとく強く、自身の持つ満塁ホームランの記録は未だ更新中。

太っててもうアラフォーなんだけど、笑顔がとってもキュートな、そんな名プレイヤー。

 

守護神対強打者の決着は初球で着いた。

完璧に捉えた当たりはあと少しでフェンスオーバーとなる、フェンス直撃の走者一掃タイムリーツーベースヒット。

この回レオーズは3点を入れて逆転に成功した。

 

ということでお隣のみかん娘さんはというと……

 

千「えぇ〜っ?!逆転されちゃったんだけど!も〜どうして〜?!」

 

現実が上手く飲み込めてないみたいです。

 

にしてもすごい当たりだった!

千歌ちゃんのメンタルケアしてる余裕が無いくらい興奮しちゃった!

 

よーし、このままレオーズも守護神投入でビシって締めてもらうしかない!

 

……って思ってたんだけど。

 

 

***

 

 

柚「ま、負けた……」

 

千「逆転に次ぐ逆転!それで勝利だなんて……なんていい試合だったんだろう……!」

 

レオーズの守護神の調子は、ニャイアンツの守護神のそれより酷いものだった。

え、3者連続ホームランって……

そんなことあんの……

最終回2点リードのあの場面で……

 

千「やっぱり〜、チカがあれだけ必死に応援したから勝ったと思うんだよねぇ〜!」

 

柚「逆転されてから声すら出してなかったのによく言うよ……」

 

千「な〜に〜か〜い〜い〜ま〜し〜た〜?」

 

柚「いーえなんにも〜」

 

9回の表にレオーズが大逆転してから、千歌ちゃんは口を閉ざしたまま試合もほぼ見ていないような状態に。

けど9回裏の先頭打者の凄まじい打撃音を聞いて、一気にテンション回復。

その次の打者もニャイアンツファンの待つ、オレンジ色のライトスタンドにボールをぶち込んでからは、もう手に負えないくらいテンション上がっちゃって。

その次の打者のサヨナラホームランで、お隣のお姉さんと抱き合うまでテンションが最高潮になって。

 

まったく、気分屋さんもいい所だなこの子は。

けどそんな気分屋さんに振り回される今も、悪くは無い……のかな?

なんだかんだでね。

 

千「さーてゆづにぃ!大いに、いやこれまた大いに盛り上がったところで、内浦に帰るまでまだ時間あるし、どこかでまた遊んでいかない?」

 

柚「まったく調子いいんだから……うん、いいよ。どこ行こっか」

 

千「そうでさぁねぇ……"東京ならでは!"っていうのがいいよね〜」

 

東京ならでは、か……

 

柚「あ、じゃあさ!」

 

 

***

 

 

千「うわぁぁぁ!すっごぉぉぉい!きれーーーい!」

 

千歌ちゃんを連れてお台場まで来ました。

東京で夕景を見るならお台場海浜公園かなって、以前梨子ちゃんと訪れてから思うようになって、東京ならではも楽しめるかなと思って。

なんたってお台場海浜公園の夕景は、高層ビル群とかレインボーブリッジとかがシルエットとなって、運が良ければ屋形船なんかもシルエットとなって、夕日がとっても映える場所だから。

 

今日の日の入りは18時20分頃。

現在の時刻は18時15分。

試合終了時刻が17時過ぎ頃だったから、結構ギリギリになっちゃったものの、なんとか見ることが出来た。

 

千「ゆづにぃ、こんな素敵な場所よく知ってたね」

 

柚「え?!ま、まぁ、一応都内の観光地とか少し調べてたから……」

 

梨子ちゃんと来たって言うとまた面倒なことになりそうって、なんとなく感じたからはぐらかすことにした。

この子意外と嫉妬深いとこあるからな……

「ゆづにぃ梨子ちゃんと2人でお出かけなんてずるい!チカも梨子ちゃんとお出かけしたいのにっ!」とかなんとか言われそうだからね……

 

千「内浦で見る夕焼けとはまた違うね」

 

柚「そうだね。あんな高いビル建ってないし、あんなおっきな橋も掛かってないしね」

 

内浦で見る夕景は自然をいっぱいに感じられる、まさに海と夕日だけの夕景として最もあるべき様式美のようなものだけど、人工の建造物を照らしてシルエットを作り出し、より夕日を目立たせるような夕景もこれまた素晴らしいもののように思える。

 

で、でも、内浦の夕景が日本で……世界で1番だと思うけどね!

誰に言ってるのかわかんないケド……

 

千「あ、野球部の人たちってさ、あの砂浜とか走って足腰鍛えてそうじゃない?」

 

柚「あー確かにね。この辺の高校の野球部はやってるのかも」

 

千「なんか、チカたちと一緒だね」

 

柚「うん。千歌ちゃんたちも砂浜ダッシュして下半身鍛えてるもんね」

 

千「となると……」

 

おもむろに目が輝き始める千歌ちゃん。

夕日のせいでなく輝いているこの目は、何かよからぬ事を考えている目にも見える。

 

千「チカたちも野球始めちゃうしか無いんじゃない!?」

 

柚「あぁ……そうきたか……」

 

またなんとも突拍子もないことを……

野球見てすーぐ影響されちゃうんだから……

 

千「よーし、それじゃ内浦に帰ったらみんな呼んで朝まで地獄のノックしよ!特訓あるのみ!早速行こーう!!!」

 

柚「ちょっ?!え、今からなの?!か、考え直して、千歌ちゃーん!」

 

 

 

 

To be Continued!




いかがでしたでしょうか?

いや野球パートがまあまあ長ぇ!(粗品)
まあ題材が題材なんでしゃーなしって感じですけど、みなさんお楽しみ頂けましたでしょうか?
ある程度の説明しかしてないんですけど、大丈夫でしたかね……
わっかんねぇ!ってのがあれば随時コメントでお待ちしてます。ちゃんと答えます。

大好きなおか○り君を出せて獅子党のたか丸は大変に満足です。
来季のライオンズの核弾頭となりうる選手は果たして出てきてくれるのか…
愛斗選手に大いに期待したいです…
あ、すみません、めっちゃ脱線しました。

てなわけで、次回はおそらく2年生の3人目になるかなと。
更新時期は未定ですが、卒論が終わり次第執筆に取り掛かりたいと思っています!多分年跨ぎます!ごめんなさい!
けど続きを楽しみにしてくださっている方がいらっしゃると分かったので、なんとか期待に応えられるように精一杯頑張ります!
応援よろしくお願いします!

それではまた次回のお話でお会いしましょう!
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