さて、今回は少し、読みづらいやも知れません。
実力不足です。もうしわけありません・・・
「――――君に、血盟騎士団に入ってもらいたい」
ヒースクリフはそういった。
単なる即戦力のスカウトに来た……ようではなさそうだ。
ヒースクリフの真鍮色の瞳が、そうでないと告げている。
では、他の目的は何だ?
それはわからない。
でも、俺の出す答えは一つだった。
「――――断る」
「……なぜだい? 確かに君はソロだったが、別にパーティやギルドを毛嫌いしているようには見えない」
「……、」
「……まぁいいだろう。私も少し急きすぎたようだ。また来るよ」
意外にも、ヒースクリフはそれだけ言って、俺に背を向けた。
「……一つ、聞いていいか、ヒースクリフ」
その紅いローブの背中に、俺は語りかける。
「……お前はこの世界を、どう思っているんだ?」
「……それが言葉通りなら、この世界は――――――――この上なく素晴らしいと思う」
振り向かずそう答えたヒースクリフの声は、恍惚としていて、どこか清々しかった。
◇ ◇ ◇
ヒースクリフがたずねてきたあと、今度はクイナがたずねてきた。
「クロスさん。この人は何なんですかッ?」
「……何ですかってどういう意味だ」
出会いがしらにこれだ。
意味がわからない。
さて、今、俺の部屋にはクイナとアギルがいる。
話を聞くには、アギルが俺の借家をたずねたところ、その周囲を不審者(クイナ)が徘徊していたらしい。
声をかけ、アギルが自身の目的を言うと、不審者……もといクイナは先ほどまでの行動はどうしたのか、一目散に俺の借家に向かっていったそうだ。
……仮にも人の家の前でいったいなにをやっているんだ。この忍者娘は。
「あ、あの……」
「どうした、クイナ?」
微妙な表情でクイナを見た。
基本的にどんな表情でも気楽に応対できるのが、最近気がついた兜の利点だ。
「あ、アギルさんは……クロスさんの……こ、恋人、だったりするんですか?」
「は? いやいや、俺とコイツが恋人なわけないだろ、釣り合わん」
なんでそうなる。
「この前告白したけどねー」
「えぇっっ?!」
クイナが机を叩いた。
はしたないからやめたほうがいいと思う。
それに、
「アギル、そういう言い方はするな。単に<大太刀>の情報と交換条件にしようとしただけだろ」
「じゃあ、もし<大太刀>の情報を渡してもよかったなら、つ、付き合うつもりだったんですか!?」
「いや、どちらにしても断る。……クイナ、何を気にしてるんだ? 別に恋人ができたとしても、お前に関係ないだろう?」
「えっ、あっ、まぁ、そそそそそうなんですけど……」
「ふふ……罪な男ねぇー」
「なんか言ったか?」
「べーつにー」
アギルはにやにやしてはぐらかした。
まったくなんなんだこいつら。
「そもそも、誰かと付き合うなんて信じられん。めんどうなだけだ」
「え? クロスって女の子と付き合いたいとか、思ったことないの?」
アギルが面白げにたずねてくる。
アギルより俺のほうが年上なのに、なぜそんな言い方なんだ。
「あぁ。好きになったことすらない」
断言できる。
俺はどちらかといえば女が嫌いなのだ。
むしろ、クイナやアギルのほうが例外だ。
「まぁ話を替えてだな。二人とも、なんのようでここに来たんだ」
なんだか世間話になりかかっていた空気を、不器用に替える。
「あ、私はさっそくパーティでレベル上げでもしよっかなって思っただけ。<大太刀>の情報を集めないといけないしー」
「わ、わたしは……わたしもです!」
「……さっきから色々と、大丈夫か、クイナ? いつも熱心にレベル上げてるんだし、たまには休んだらどうだ」
「い、いえっ、大丈夫です!」
クイナは強がって答えた。
どことなく疲労の色は見えるのに、変なところで素直じゃない奴である。
もっとも、本人がそこまで言うのなら止めることはできない。
今回は俺の知名度の関係上、あまり有名で高レベルのエリアにはいけないので、もし何かあっても助けることはできるだろう。
「まぁいいが……じゃあ行くぞ。っていっても近所だけどな」
「近所?」
「あぁ。ここからさらに西、階層の端の端、<極西の廃森>だ」
◇ ◇ ◇
暇だ。
俺、ジンはひとり思った。
朽ちかけた、荒野と平原の合間のようなエリアを、一人歩く。
今は<ラフィンコフィン>のメンバーとして活動しているから、シオンたちはいない。
もっとも、彼女たちがいたらそれはそれでやかましいのだが。
そういえば、おとといラファルが連絡を入れてきていた。
確か、やっと全員のレベルが50台に乗ったのだという。
最前線プレイヤーの平均レベルがおそらく70~80なので、攻略参加には程遠いが、中層プレイヤーとしてはかなり強い方だ。
あいつらも、なんだかんだで成長したものである。
(中層、か……)
ふと、背にある武器を見た。
他にはない、唯一無二の俺の力。
シオンやクロスが〝槍〟と呼んだそれは、相変わらず独特な形状をしている。
実際、俺自身も取得した当初はまったく扱いきれなかった、いわゆるじゃじゃ馬だ。
だが、扱いこなした今となっては、もう他に変えられない相棒でもある。
それはもう死ぬまで変わらないだろうし、このゲームをクリアするまでも変わらない。
ぼさぼさの白髪をかきあげた。
元から少し長かった前髪は、きっと今頃ナーヴギアからあふれ出すほど長くなっているに違いない。
この世界では当然髪の毛の長さはアイテムのたぐいを使わない限り変わらないし、俺の髪も、それだけでなく容姿も、全て2年前のままだ。
当時15歳だった俺も、とうとう17歳、本来なら高校生だ。
別の世界に置いて来た妹は元気にしているだろうかと、思いを馳せる。
生まれつき髪が白く、瞳が紅い――――いわゆるアルビノだった俺は、ずっと気味悪がられていた。
両親こそ優しくしてくれたものの、学校に友だちと呼べるものはおらず、一人だった。
妹もどことなく俺を避けていたし……今思えば妹と真っ向に話し合ったことはあっただろうか。
数えるほどしかない気がする。
妹も、きっと今は14歳。
俺と違って友達に囲まれ、クラブに勤しみ、楽しい中学校生活を送っているだろう。
特に羨ましいとか、ねたましいとか思わないが、それでも少し心配だった。
もし、あの世界に生きて帰れたら、もっと妹と話をしようと思う。
「……ハッ」
だが、それはないだろう。
俺の手は、もう妹に触れられないほど血に塗れ、穢れている。
この手で殺した人間の数は、もう両手の指の数では足りないほどだ。
その中に年下はいなかったし、善良なグリーンもいないが、それでも殺人者であることには変わらない。
そういえば一度、そのことをザザとジョニーブラックに言ったことがある。
――――そういやァ、俺たちって何人くらい殺ったんだろォなァ?――――
興味本位の、話題づくりに言ったその問いの答えは、とても恐ろしかった。
「えぇ~、そんなこと数えてるわけじゃないじゃん!」
「少なくとも……20、は超える、な……クックック……」
「ま、こんなにたくさん殺せるなんて、そうそうできないよな! まったくすげぇぜここは!」
「シュウシュウ……あと何人殺せるか、楽しみだ……!」
「……チッ」
嫌なことを思い出した。
地面の石ころを盛大に蹴りつけて、俺は歩みを速める。
<極西の廃森>は、もうすぐだ。
ジン「久々の登場だァー!」
ヒースクリフ「さて、どうやって彼を誘おうか……」
クロス「……、」
キリト「まさか、クロスがユニーク持ちだったとは……」
現在の各キャラのメタな心境はこんな感じですかね?
クロスは無。