これは、人々に伝わる昔話だ。空気・火・土・水という四大元素がある。これを司る者達がいた。その者達を人は王と呼んだ。莫大な力を持つ王は神がこの世を管理下に置くためにその存在事態が世界のバランスを保つのに必要なものだった。新しく生まれることもなく、消滅することもないもの・・・その四元素を一つにまとめた時、無限のエネルギーを手にするとあった。無限のエネルギーはありとあらゆるモノを作り上げ、壊すことのできる。世界を再構築するプログラムだ
神によって地上に放たれた四つの王の資格は、それぞれ違う時を過ごす少年、少女の肉体に宿った。これは世界の変革を示す小さな異常。王の資格を手にした者は覚醒と共に大切なものを失う、家族、あるいは恋人か。これは資格をひとつにまとめるためのシステムなのだ。暖かい生活を送っていた者が悲しみの中に沈むことで過去の暖かさにすがる。その想いを利用して王の資格を揃えるのだ。昔話は最後にこう締めくくられる
憎しみや悲しみといった負の感情に支配された時、王は世界を滅ぼす毒になるだろう
赤き龍をその身に宿した男が別のモノとして生まれ変わったのと同刻。太平洋上にあるとある無人島では死闘が繰り広げられていた
青年は真紅の瞳で水面に佇む少女を睨む。少女はそれを楽しむようにして見ると片手を振り上げ海を利用し巨大な水の剣を生み出した
「誰だオマエ!いきなりこんな場所に連れてきやがって!!」
青年へと振り下ろされた剣は突如生み出された炎と衝突し蒸発する。青年は肩で息をしながら少女との間合いを開けていく
「もう気づいていると思ってたけれど・・・そう。まだ、完全には目覚めていないということなのね」
少女は予想外と言わんばかりにわざとらしく驚いた素振りを見せる。青年は薄々だが少女の企みに気づいていた
「俺には炎が宿っている。お前には水が・・・俺たち四元素のバランスが崩れたら世界のバランスが崩れるも同じ。わかっててやってるのか?!」
青年の中に宿ったのは炎。この世の全ての炎とは全く異なる炎を操る王の資格を持つ者。対して少女は水の王といったところか。火を司るものと水を司るもの
過去にも王どうしの衝突があったことは火の意思に聞いたがまさか本当に来るとは・・
「当たり前でしょ。私は他の二つ・・・地と風も手に入れなくてはならないの」
少女の顔から今まで見せていた子供の表情が消えた。相手を射るように冷たい瞳を青年に向ける
「どうしてだ!こんな意味もないことを・・・!!」
「アナタにはわからないでしょうね。間抜けなアナタには。これら四元素が一人の元に集まる時そこには生も死もない無限の力が生まれると言うわ・・・」
「無限の力?」
そこまで呟くと少女の黒色だった髪が一気に蒼色へと染まっていく
「私は取り戻すの。奪われてしまった幸せを取り返すために!!無限の力があれば失った命すら取り戻せるのよ!!」
まるで水の衣を纏ったような姿へと変わった少女の指先に空気中に現れた水が凝縮されていく
「ありえない・・・一度失われたものが取り戻せるなんて・・・!!」
青年の瞳が紅く輝きはじめる
凝縮され魔力を一点に集中したレーザーを突如空中に出現した火球が迎え撃つ。しかし、レーザーは火球を一気に貫き青年を心臓を的確に貫いた。青年は残った力で火球を圧縮し爆発させた。辺り一体が炎につつまれ青年と少女を巻き込んで辺り一体を吹き飛ばした
青年は薄れゆく意識の中で少女の言葉を繰り返していた。幼い頃何かに襲われて両親を失ったことを思い出していた
「生き返る・・・か。ありえねーよ・・・ばか」
青年の意識がゆっくりと遠のいていく
一秒が数分に感じるほどにゆっくりと
最後に見えたのは自分の瞳のような、いや。それよりも明るい紅の髪。ほとんど思考すら働かない状態でただ反射的にその髪へと手を伸ばした
そしてその人影が青年の手を取ったところで青年の意識は完全に暗闇の中へと消えた