それでは、どうぞ。
「ん、んん……?」
ジャベリンは、瞼をゆっくりと開き、目を覚ました。
「ここは……何処だっけ?」
目の前に広がるのは、見たことのない天井。自分が横になってる場所はソファだろうか。
「ジャベリン、起きた」
「おはよう~」
体を起こすと、向かい合うように設置されていたソファに、ラフィーとユニコーンが座っていた。
「そうだ……。確か私たち、嵐に遭って……」
「大きな船に助けられたの。そしたら、眠くなっちゃった」
「それで私も寝ちゃってたのね」
すると、ドアがノックされた。ジャベリンが返事をすると、驚くべき人物が入ってきた。
「お目覚めになったようね」
「え……? アークロイヤル、さん……?」
自分が所属する『アズールレーン』。そこへ同じく所属している、ロイヤルの空母『アークロイヤル』が居たのだ。
しかし、服装が違う。自分が知ってるのは黒髪で青い服を着ていて、そして……可愛いものに目が無い。だが目の前の女性は違う。全体的に白っぽい服を着ているし、不思議なことに、顔は同じでも雰囲気が違うのだ。まるでお嬢様のように感じる。
すると、目の前の女性は怪訝な顔になる。
「私のモデル艦は、確かにアークロイヤルですわ。ですが……。ふむ、どうやら貴女の知り合いに似ているようね」
「え? モデル艦? それに知り合いって……」
「他人の空似と言うものですわ。私の名前は、『聖グロリアーナ女学院』、通称リーナですわ」
「が、学院???」
ジャベリンたちの頭に、大量のハテナマークが浮かぶ。聞き慣れない単語も出てきて、ますます混乱してきた。
「詳しいお話は、私やその仲間がしてくれますわ。起きたばかりで申し訳ないけれど、来てくれるかしら?」
「は、はい……」
とりあえず、頭を空っぽにしておこう。ジャベリンはそう決意した。
3人は、巨大空母のブリッジにいた。そこには9人の女性と1人の少女、合わせて10人が自分たちを見ている。
(何で、重桜の人も居るんだろう……?)
少女と割烹着を着た女性、そして茶色いジャケットのようなものを着ている人。この人たちは、動物の耳や尻尾が生えているため、分かりやすかった。
だが、ダークグレーの軍服を着た女性、嵐の時に助けてくれたマントの女性、ジャージのような恰好で楽器を弾ている女性に、少女ほどではないが小柄な女性は分かりにくい。
そして、カウボーイの格好をしている女性。恐らくユニオンだろうが、ラフィーが何も反応しない事を見ると、違うようだ。自分も見たことが無い。
本来ならば、すぐ戦闘が勃発してもおかしくないというのに、そのような空気が全く感じられなかった。
「起きて早々、申し訳ないな。まずは自己紹介しよう。私の名前は黒森峰。正式名は黒森峰女学園だがな」
軍服の女性が名乗ってくれた。そして気付いた。胸にある黒十字のマーク。確かあれは鉄血の艦も持っていた筈だ。つまり、今この場には、アズールレーンとレッドアクシズの2つの派閥が居ることになる。
「アンツィオ高校だ! アンツィオでもドゥーチェでも、好きなように呼んでくれ!」
「ボクは継続高校。よろしくね」
「プラウダ高校よ! 体はちっちゃいけど、そこは弄らない事! 良いわね?」
「知波単学園であります! どうかよろしくお願いします!」
「私はサンダース! サンダース大学付属高校ってのが正しいけど、長いからサンダースでOKよ!」
「BC自由学園のフリーよ~」
「改めまして、聖グロリアーナ女学院こと、リーナですわ」
多くの女性が名乗ってきた。いずれも個性豊かな人たちだ。
「県立大洗女子学園こと、大洗です~。こちらは娘の愛ちゃん~」
「愛です! よろしくお願いします!」
(娘!? KAN-SENの親子!?)
確かに二人は、親子のようによく似ている。だが姉妹艦の繋がりはあっても、親子関係というのは聞いたことが無かった。
しかし、驚いて固まってる暇はない。相手が名乗ってくれたのだ。自分たちも名乗らなければ。
「えっと、私たちは、“アズールレーン”ロイヤル所属の、ジャベリンです!」
「け、軽空母のユニコーン……」
「ユニオン所属のラフィー」
すると、女性たちがざわめきだした。何か失礼な事を言ってしまったのだろうか。もしかしたら、アズールレーン所属と言うのがいけなかったのかもしれない。何せ向こうには、鉄血や重桜の人もいるのだから。
「す、すまない……。アズールレーンとかロイヤルとか、
「「「…………え?」」」
ブリッジに、奇妙な空気が流れた。
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