IS学園一年一組クラス代表決定戦が終了した翌日、朝のSHRにて先日の試合結果などを参照してクラス代表が決定した
「はーい、という訳で一年一組の代表は織斑一夏君に決定しましたあ。あ、一繋がりで覚えやすいですね」
「えっ?」
わああ、とクラスメイト達から拍手と歓声で応援される一夏、だが当の本人は困惑したまま周囲を見回している
「ちょ、ちょっと待ってくれ!康太、あの試合結果だとお前が三戦三勝だろう!何で俺がクラス代表なんだよ、おかしいだろう!?」
「そりゃ、当然辞退したからに決まってるだろうが」
「いやいや、辞退出来ないって言ってたじゃないか!何で辞退出来るんだよ!」
成る程、その辺りの説明からか
「確かに候補に選ばれたら拒否権はないが、誰も模擬戦で強かった奴がクラス代表だなんて言ってないぞ」
「えっ?……あっ!」
「という訳で、勝者としてお前に票を入れさせて貰った。それこそ三勝したから三票は貰えたぞ」
それ全部を一夏に投票してやった、勝利した数だけ発言力があるのだ、試合前には分からなかった事も試合を通して分かり合える事もある、故にそこからは模擬戦参加者全員で投票制となったのである
「それなら、俺が康太に投票すれば―――」
「既にお前に四票入ってるから無理だぞ、諦めろ」
「四票って……それじゃあまさか」
「ええ、私も一票投じさせて頂きましたわ」
だがセシリアがオレと一夏に一票ずつ入れたので一夏に四票入った事になり、全部で六票ある投票権の過半数以上が一夏に入った事により一夏の投票を待たずして全てが決まったのだ
「それと一つ、織斑一夏さんと一秋さんに謝罪をさせて頂きます。康太さんには昨日謝罪したのですが、お二人は医務室でしたので。男性だから等と侮った事、実際に試合を行い自らの浅慮さを後悔しましたの。康太さんは私を降し、お二人は互いに信念を持ちぶつかった、その姿勢、心の有り様に敬意を表します。今後は私もまた共に学びお互いに切磋琢磨したく思います」
「あ、ああ、別にアレは康太が暴走したような物だし、俺は気にしてないぜ」
「自分もな。というか、自分は全戦全敗、一方的に負けたしな……」
なお昨日、試合後にセシリアはピットまで来てオレと一対一で謝罪した
とはいえオレもセシリアの愛機を欠陥品と呼んだので同じように謝罪をしたのだ
その後は互いに全力を出し切った試合が出来た事を称賛し、似たような兵装を扱う者同士という事で改めてセシリアからライバル宣言をされた
オレもセシリアの実力は身を以て体感したし、何よりもあの試合は途中から相手を倒すよりも楽しさが勝っていた、だからライバルという言葉も受け入れた
とはいえ普段は共に技術を磨く為に一緒に訓練しよう、という関係なので良き友人である、付け加えると互いに認めあった仲なので名前呼びになった
以上が今朝の顛末である、そして今現在、模擬戦にて実際にISを動かしてみせたので授業の一環として他のクラスメイト達の前でISを動かしてみせるという事でオレと一夏とセシリアの三人はアリーナに来ていた
なお織斑一秋に関しては白式が大破しているので見学に回っている、壊したオレが言うのもなんだがな
それと模擬戦の後、部屋に戻ってからハロを使ってISネットワーク経由で篠ノ之博士に連絡を取ったのだが、織斑一秋に対しては現状放置、少なくともラビットフット社に篠ノ之博士が居るという情報を使って何かしてくるという事はないそうだ、そのくらいの付き合いはあると篠ノ之博士本人が言っていた
なのでオレからは特にアクションを起こす気はない、今後も普通に学生として勉学に励むつもりだ
「ではこれより実際のISの動きを見て貰う。先日、アリーナで実際に見ていたとは思うが、今回はより近くで速度を落とした状態での動きとなる。織斑弟、オルコット、紫藤、準備は良いか?」
「大丈夫です」
「問題ありませんわ」
「準備万端、いつでも行けます」
それぞれがISを展開する、のだがセシリアの銃口が一夏の方を向いていた、変にポーズをつけるから……
「オルコット、そのまま何処に撃つ気だ。私は言ったと思うのだがな。ISは扱いを間違えれば簡単に人の命を奪えてしまう。その扱いには細心の注意を払えと」
「うっ、申し訳ございませんわ……」
「次からは気をつけろ。よし、各自高さ二十メートルまで上昇、その後降下、完全制止をやってみせろ。目標は地上から十センチだ」
織斑教諭の指示を受けオレ達は上昇する
そして規定高度に達すると反転、地上へ向けて降下する
バックパックのメインブースターを利用した加速はかなりの物だ、たかが二十メートルの距離は一瞬で過ぎる
故にハイパーセンサーで強化された知覚を用いて制動をかけるタイミングをしっかりと計る、今だ!
足を蹴り上げてAMBAC機動、百八十度反転してメインブースターで急制動、ある程度まで速度を下げたところで再びAMBAC機動を行い体勢を整える
あとはPICでゆっくりと微調整すれば完了だ
「ふむ、紫藤は二センチオーバーだな。派手な機動を行わなければ行けたか?何にせよ、もっと励めよ」
「ぐっ、了解……」
とはいえオレにはあの機動がやり易いのだから同じ方法を練習するのだが
それでもAMBAC機動だけでなく通常のISの機動も訓練しないとな、瞬時加速という芸当、軌道は単調だがあの速度は魅力的だ
より上位の技もあるというし、訓練して使えるに越した事はない
「オルコットは高さも問題ない。だが少し慎重過ぎるな。より思い切りを持てれば更に切れのある機動が出来るだろう」
「精進しますわ」
「そして織斑弟、誰が着地しろと言った。全体的に精度も甘い、更なる鍛練を行うんだな」
「はい……」
他の二人もそれぞれの結果が告げられる
セシリアは兎も角として、一夏はまだ細かな動きに無駄が多い
その調整も不得手と来ているからな、今日からの訓練はオレも基礎的な技術を磨くとしよう、今までは一夏と模擬戦続きだったから尚更な
「ああ、それと紫藤。お前の特殊旋回であるAMBAC機動だがな、正式にIS委員会から新技として認定された。だがこれに傲る事なく、今後も鍛練を励めよ。気を抜いて堕落するパイロットも多いからな」
「アレは模倣だって言ったと思うんですけど……」
「宇宙飛行士の模倣とはいえそれをISの操縦技術として組み込んだのはお前だ。故にIS委員会はお前が編み出した技術として認定した。恐らくは来年から教本にも掲載されるだろうな」
「マジか……」
ガンダムの操縦技術を真似ただけの動きで、此処まで変わるとは
とはいえまだ昇華しきってはいない技術、なら更に研鑽してより鋭い機動にしてみせよう
だがその事を知らない他のクラスメイト達は首を傾げており、その中の一人、相川さんが手を挙げた
「はい、織斑先生!アンバック機動って何ですか!?」
「先日の模擬戦にて紫藤がオルコットとの試合で見せた旋回技術だ。知っての通り、ISはその移動にもエネルギーを使う。当然ながら旋回するだけでもな。だが紫藤のそれは手足を動かす事で旋回、エネルギーの消費を殆んどゼロにした。短期決戦で見れば些細な物だが長期戦に於いては長引けば長引く程にその差は大きくなる例えば短期決戦を仕掛けたが凌げば相手は残りのエネルギー残量を気に掛けて試合を続けなければならない。対して此方は温存したエネルギーを使い高機動なマニューバを仕掛けるという戦法が使える。防御が得意なパイロット等にとってその戦法を得意とする者が居るが、そういったパイロットからは重宝されるだろうよ。例えそれが僅かな差でも一線級のパイロットにとっては死活問題だからな」
そこまで織斑教諭が説明すると皆からは感嘆の声が上がる
というかこの流れ、実演しろとか言われそう
「まあ実際に見た方が早い。紫藤、簡単に幾つかやってみせろ」
「了解……」
デスヨネー、まあやるけどさ
とはいえ試合でやった時と、改めてクラスメイト達からの視線を受けているのを意識しながらだと緊張の度合いが違う
取り敢えずは適当な物を、基本的な宙返りや横旋回を行うとするか
まず右足を蹴り上げて縦に反転、足を戻して制止、そこから左手を振って旋回、戻して制止、といった具合に繰り返す
基本的にISとは地上で使う物、そういった固定観念があるからISを動かす際に上下反転した状態なんていうのは殆んどない
だがオレは反転しても飛行したりするので、割りと相手の意表を突けたりするのだ、どうやって反転している相手を斬るのか、訓練ではいつも一夏が悩んでいた
「よし、そこまでで良い。このように、ふとした拍子に新たな操縦技術を編み出す事がある。紫藤はこの動きを宇宙飛行士から得たと言っている。何事も発想だ。もしもその新技が認められれば開発者として教本等に自分の名前が載る事もある。新技開発のみに注力しろとは言わん。基本無くして発展も無いからな。だがISはまだその歴史も浅い。もしかしたらこの中でも他に新たな技を生み出す者が出るかもしれないな」
自分の名前が残るという事に沸き立つクラスメイト達だったが、授業を再開する、という織斑教諭の声で全員の意識が切り替わる
ガンダムの模倣、という事を織斑教諭は知っているのだがガンダムという存在が世界に存在しない以上はカバーストーリーというのが必要となる、それが宇宙飛行士から発想を得た、という設定だ
だが授業が終わってからオレはAMBAC機動の事でクラスメイトの皆からの質問責めに遭うことになった、確かにISで再現したのはオレだが、完全に自分で編み出した訳ではないだけに心が痛むのだった
◆
織斑一秋は模擬戦によるダメージから目覚めた後からずっと紫藤康太という男について考えていた
世間的には世界で三人目の男性IS操縦者という事になっているが弟の一夏と共に現れたその存在について色々と気になる点があった
実を言うと一秋には幼少の頃から強い既視感を感じる事があったのだ
自分の家族である織斑千冬や織斑一夏、生まれた時から一緒に居る筈の二人を、何故かそれより昔から知っていたような気がする
それは幼馴染である篠ノ之箒やその姉である篠ノ之束に対してもで、その事を昔から不思議に思っていた
篠ノ之束がISを造り上げ世界に発表した時にもその存在を知っていたように感じた、その時はいつも宇宙への夢を語る篠ノ之束の姿からそう思っただけだろうと考えたのだが、その後の世界の動きに関しても知っていた、当たり前だと思う己の事を不思議に感じている
それからの事も、白騎士事件と呼ばれるISが兵器として扱われるようになった事も、姉である織斑千冬がISを用いた世界大会の日本代表となった事も、全てに既視感があった
しかし自分でも良く分かっていないにも関わらず、はっきりと覚えているものがあった
それは一人の少女の事である、長い銀髪に紅い瞳、左目は眼帯に覆われているが何故か自分はその下に金の瞳がある事を知っている
小柄な体躯でありながら凛とした表情の彼女は、黒い機体に乗っている
今となってはそれがISだろうと分かるのだが篠ノ之束が実際にISを発表するまで知らなかった筈のそれを知っていたという矛盾がある
一秋はその少女の事を知っている気がした、そしてこの世界に確かに存在するのだと半ば確信に近いものがあった
知らず知らずの内に惹かれていく心、彼女に関して思い出す事はそう多くはないが、喜怒哀楽様々な表情を浮かべる彼女に逢いたいと、一秋はそう願う
織斑一秋にとってそんな自らの記憶は、まるで未来の出来事を教えているかのような感覚だった
テレビで夢で未来の事を視る人間が居ると知った時は己もそうなのではないかと思った、がどちらかと言えば視ているというよりは思い出したと感じるのだ
そんな事を思いながら、中学に上がって直ぐの頃、姉が二度目の連覇を賭けたISの世界大会、モンド・グロッソへ参加する
時を同じくして一夏もまた剣道の大会への出場があり、どちらを応援に行くか悩んだ
一秋は剣道を一夏の方が適性があると見て辞めており、一夏が気負わぬようバイトを始めた、元より中学になればバイトが出来るので一夏も共に働こうとしたのだが剣道を続けさせていた、その方が一夏にとって良いような気がしたからだ
己が見込んだ通りに大会への出場を決めた一夏の方を兄として誇りに思い、世界の舞台で競う姉に憧れた、その二人を天秤にかける事など、本来なら出来なかった
だが自分の中の何かが叫ぶのだ、織斑千冬の応援にドイツまで行けと、行かなければならないのだと訴えかけてくる
結局はドイツに向かう事を一夏に伝えると、一夏は世界大会の方が重要だとあっけらかんと言った
その声にも押されてドイツへと向かった一秋、だが応援している途中で、よりにもよって決勝戦を前にして一秋は何者かに誘拐された
己の中の声に従ってドイツへと応援に来たのに何という事だ、結局は姉の足を引っ張るだけなのかと一秋は自分で自分を責める
にも関わらずこれで正解なのだと感じる自分が居た
その後、織斑千冬に救助された一秋だが自分の為に決勝戦を放棄し世界連覇という偉業を達成出来なかった姉に対して罪悪感を感じる事となる
何故自分は知っていた筈なのにドイツへ向かったのか、剣道を辞めて一夏の応援に回ったのも自分が剣道から逃げたかったからではないのか、そのように考えた
およそ一ヶ月に渡り家に引きこもり自責の念に駆られていた一秋だったが、その中で天啓を得た
自分が弱いからこのような結果になったのだ、ならば強くなれば良い
引きこもる自分を支えてくれた家族の為にもバイトは復帰した、それと同時に今度は誰の足も引っ張らない為に護身の術を独学で学び始める
道場などには通っていない、それまで以上にバイトに打ち込んでいたのでそのような暇は無かった、剣道の素振りと柔道等の型の確認くらいである
正直に言えばあまり効果はないように思えたが、何もやらなければ罪悪感に押し潰されそうだから続けた
そして運命の日がやってきた、高校の受験会場にて一夏と共に迷い、偶然にも待機状態で置かれていたISを見付けた
篠ノ之束が生み出し、今となっては世界の軍事力を左右する絶対の力、女性にしか動かせないその力、一秋が求める強さを象徴するその存在に無意識の内で手を伸ばす
動かせる訳がない、頭ではそう理解している筈なのに一秋は遂にISに触れる
そこからは劇的だった、自分はISを身に纏い動かしている、一緒に居た一夏は呆けた表情をし、異変を嗅ぎ付けた人がISを扱う自分を発見、そのまま検査やら取材やら周囲が慌ただしく変化していき、殆んど強制的にIS学園への入学が決まった
だがそれさえも既視感がある、最早不快とまで思えるようになってしまったその感覚、それはいつになったら消えるのかと思い入学の日を迎えた
だがそこに一夏と、そして三人目だという紫藤康太が現れた
物覚えがついた頃から感じる既視感、そんな中で自分が全く知らないと断言出来る人間との出会い、それはとても新鮮なものだった
是非とも彼と話したい、その思いは休み時間の度に入れ替わりで話し掛けてくる他のクラスメイト達によって果たされず、いつの間にか模擬戦を行う事になっていた
その際に言葉を誤り誤解を与える事になってしまい、模擬戦にて酷い目にあったが、彼の事は嫌いではない
彼ならば自分の中にある既視感の正体を突き止められるのではないか、全く根拠のない考えだが一秋には希望が見えた
そして康太と関わりのあるクロエという銀髪の少女、自分の記憶の中にある少女と何処か似通った印象を受ける彼女の姿を見て、自分が恋い焦がれるあの少女への手掛かりが見付かったと内心で歓喜した
あのクロエという少女は、眼帯の少女の親族か何かだろうという予測が立てられる、なら一目で良いから逢いたい、そう願った
眼帯の少女と自分の中の既視感、全ての鍵は紫藤康太にある、だからこそ一秋は彼と接触しようと試みる
◆
「えっと、紫藤。少し話したい事があるんだけど、良いかな?」
オレがそう話を聞いたのはアリーナの更衣室にてISスーツ(というか軽装ノーマルスーツ)から制服に着替えていた時の事だ
授業を終えて今から昼休み、食堂にでも行こうかと考えていた時に着替える必要のない織斑一秋が来てオレにそう訊ねてきた
昨日の模擬戦での会話内容に関しては篠ノ之博士から心配はいらないと言われていたが、話の内容によっては要警戒だな
「何だ?今から昼飯だぞ。食堂で食べながら話すか?」
「いや、あまり人には聞かれたくない話なんだ。その、突然こんな話をされて、頭がおかしい奴だと思うかもしれないけど、真剣に聞いてくれるか?」
織斑一秋の態度はなかなか煮え切らないものであったが、取り敢えずは篠ノ之博士関連という訳ではなさそうだな
なので簡単に訊いてみることにした
「実はな、自分には昔から強い既視感を感じる事があるんだ。例えば束さん、篠ノ之博士がISを創った時にも、それを知っていた気がするし、今のこのISのある世界の事も、IS学園で生活する事にも、全てに既視感があるんだ。それは自分の白式も例外じゃない、初めて見た時からコイツは零落白夜を使えるって確信があったんだ」
「それで?」
「自分はこの既視感について知りたい。以前、千冬姉の第二回モンド・グロッソの応援に行った時、自分は行かなければ絶対に後悔する事が起きるっていう予感に駆られた事がある。その時はそれが正しいって思ってたんだけど、その時に自分は誘拐された。それから自分は自分の既視感が何か気味の悪いものに思えて仕方がないんだ」
「……何でそれをオレに頼む?そういうのは医者の仕事だ」
「お前だけなんだよ、自分が既視感を全く感じなかった人間は!それに、あのクロエっていう女の子の事だ。実はあの子に似た雰囲気の子をはっきりと顔まで思い出すんだ。長い銀髪で、紅い瞳で、左目は眼帯で隠していて、黒いISに乗っている。でも誰か分からない。何で自分がこんな物を視るのか、本当に分からないんだ。だから頼む、お前だけが頼りなんだ!何かを知っているなら教えてくれ」
「……残念ながら何も知らない。クロエには他に家族は居なかった筈だ。でも調べてはみよう。その黒いIS、他に特徴は?」
「確か、右肩に巨大な砲があったと思う。悪いけど、他は分からないんだ。こんな中途半端な情報しかないけど、頼む。自分は、俺はこの既視感の正体を知りたいんだ!」
「分かった分かった。確約は出来ないけどな。やれるだけやってみるよ」
「そうか!頼んだ、何か必要な事があれば言ってくれ、可能な限りで手伝うからな!」
話は終わり、一秋は機嫌良さそうに更衣室から出ていった
「さてと、この話は完全に
オレに調査なんて出来る訳ないだろう、だから出来る人に頼む、それだけだ
それに気になる事もあるしな、もしも一秋の言っている事が本当に未来の事ならば、それは予知能力だ
ニュータイプの力の一端とも言える予知能力、それが本物かどうか、確かめる必要があるからな
という訳でその日の夜、オレは自室でハロを介した通信を篠ノ之博士と行っていた
『こんな時間にこーくんから連絡なんて珍しいね。何かあったの?』
「一つ調べ物を頼まれましてね。篠ノ之博士、今現在開発中、または表にまだ発表されていないISの事って分かりますか?」
『そんな物、天才の束さんに掛かればハッキングでちょちょいのちょいだよ!でも、どうしたの?こーくんがそんな事に興味を示すなんて思えないんだよね』
「ええ、実は織斑一秋が興味深い事を相談してきましてね。実は―――」
別に黙っている、他に話さないなんて約束はしていないからな、篠ノ之博士に調べて貰う為にも情報を隠していては何も教えて貰えないだろうし、全てを話した
『へぇ、そんな事がね。つまらない人間かと思ってたけど、そんな悩みを抱えていたなんてね』
「本人にとっては気味の悪い現象なんでしょうが、ニュータイプ能力の片鱗かもしれませんからね。要観察、といったところでしょうか」
『そうだねえ。じゃあ調べたいISのキーワードを教えてくれる?簡単な物なら直ぐに分かるよ』
「はい、黒いISで右肩に巨大な砲があり、パイロットは銀髪に眼帯の人物だそうです」
その時、ほんの一瞬だけ篠ノ之博士の表情が固まったように見えた
本当か作り物かの違いはあれど基本的には笑みを浮かべている篠ノ之博士にしては珍しい事だが触れずにスルーする
触らぬ天災に祟りなし、篠ノ之博士がどういった人物かは短い付き合いながら分かっている
『ふーん、それなら知ってるよ。はい、これ資料。普通はこーくんが知る事が出来ない物まで入ってるから、見終わったら破棄してね。ハロなら削除したデータも復元させないなんて可能だから心配いらないよ』
「それはそれで不安なんですけどね、うっかりミスでとか。それは兎も角、ありがとうございます」
『良いって良いって。でもそれを伝えるのは止めておいた方が良いかもね。誤魔化しかたはこーくんに任せるよ。じゃあね』
「はい、お手数をお掛けしました」
通信終了、ハロから投影されていた篠ノ之博士の映像が消える
そしてオレは送られてきた資料を確認する
ドイツの第三世代であるシュヴァルツェア・レーゲン、それとそのパイロットであるラウラ・ボーデヴィッヒの写真、その姿は確かに織斑一秋の証言と一致する
機体は現在はドイツにて試験中、詳細なスペックデータもあるが、これが普通ならば知り得ない情報だな
機体名、パイロット名ともに軍属、機密保持の為に両方とも写真さえも公開されていない、とあるがそこは篠ノ之博士か、最初の写真もまた普通は知り得ない訳だ
だがそれを織斑一秋は知っている、本人の証言からそれも少なくとも小学生の頃から、当然その当時には第三世代機なんて存在しない訳であり、確かに予知能力は本物と言える
「さて、本物のニュータイプか、それとも何か他の要因があるのか。調査は必要だな」
取り敢えずこのデータは全て破棄だな、持っていて何らかの火種になっても困る
頼まれ事の件も適当に誤魔化すとしよう、下手に知っても面倒な事になるだけだからな
とはいえそれを抜きにしても中々に面白そうな人間だと思う、織斑一秋とは普通の友人としても付き合えそうだ
それからラウラ・ボーデヴィッヒの写真を見て確かにクロエと似た雰囲気を感じた、だが本人や篠ノ之博士が語らない事ならばオレから言うべきことは何もない
明日も学校だ、ISの試合を通して己の体力不足も感じてからは早朝のランニングと放課後のトレーニングも行っている
今も体は疲労でキツい、娯楽もあまり無いし今日も早めに寝るとしようか
以上、一秋くんでした
にしても、書けば書く程に一夏に近付いていく気がする
一秋くんは転生者ですが、当初は記憶の欠損は日常生活関連のみでIS関連は全て記憶、ブラックラビッ党だからラウラ一筋!一夏には悪いけどラウラとフラグ立てるにはIS学園に行くしかないんだ!って感じだったんですがね
殆んどの記憶の欠損、それにより既にIS世界の住人と化し、むしろ前世の記憶(原作知識)に苦しめられるというキャラに……
彼がそれを原作知識だと知るのは予定では夏休み編です
今後の構想練ってたらコウタくんのハーレムルートになってきました、なお敵味方で一人ずつオリキャラ増える予定です、亡国強化せねばイージーモードで進んでしまうんや……