ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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最近バトオペ2で水色のスプリッター迷彩のジム・カスタムを見掛けたらそれは作者かもしれませんね、ビームライフル装備つおい


12話 蒼い死神

空から地上へと向けて放たれた閃光、それに眼を焼かれないように放送設備の載った机の陰に身を潜めてから数秒、収まったらしい様子を確認したオレはアリーナに降りていく一機のISを、オレも知る機体の姿を見た

 

全身の装甲は蒼、その上に追加装甲を身に付け、両腕にはフルアーマーガンダム等と同じような、ジム・ドミナンスの試作装備であった二連装ビーム・キャノンを持ち、肩部にはガンキャノンⅡのビーム・キャノンを背負い、両肩側面には陸戦型ガンダム等が持つミサイルランチャーを改造して備えている

 

何よりもジェガンにも受け継がれているジム系統の頭部、ベースとなった陸戦型ジムの物から移植されたシステムが収まっているその頭部に備えられるバイザー状のカメラは紅く染まっている

 

ああ、知っているとも、ゲーム本編では登場しない機体、漫画版のみに登場する機体だとしてもな

 

型式番号RX-79BD-1FA、ブルーディスティニー1号機フルアームド、それが奴の、『蒼い死神』と呼ばれた機体の名だ

 

そして死神と呼ばれる所以のシステム、ニュータイプを抹殺する為だけにパイロットさえも使い捨てとする非人道的なEXAMシステムを備えている

 

それだけに疑問は尽きない、何故ガンダム世界の機体が此処に居る?パイロットは誰だ?紅く光る事からEXAMが発動している事は分かる、ならそのシステムの元になっている人物は?

 

EXAMシステムはニュータイプの意識をコピーして作られた物だ、大本となるニュータイプの意識は何処から手に入れた?

 

何もかもが不明、それでもオレは行動に移す、あの機体を止める、その為に放送室からピットへ、そしてアリーナへと

 

だが放送室から出ようとした途端、部屋の出入口を隔壁が降りてきて閉鎖された

 

ISを扱う学園の設備だ、それこそ機体を展開しなければこじ開けるなんて真似は出来ない

 

「クソッ、何だこれは!?」

 

ならば通信して状況把握をと思ったが、コンソールを利用した有線通信さえも使えないし、無線で呼び掛けようにもさっきのビーム兵器、ミノフスキー粒子の影響かノイズだらけだ

 

次にコアネットワーク、これは接続可能か

 

距離なのか、そもそも電波を使ってないのか原理は分からないがミノフスキー粒子にジャミングされないというのは都合が良い、オレはアリーナの様子を見ながら戦闘中の一夏に通信を繋ぐ

 

『聞こえるか、一夏!』

 

『康太か!?こっちは今それどころじゃねえよ!あまり余裕がない!』

 

見れば両手の連装ビーム・キャノンを一夏に集中させているブルーディスティニー、それを必死に回避しているユニコーンの姿がある

 

『良いから聞け!ソイツはブルーディスティニー1号機フルアームドだ!ジム頭だと油断するなよ、機体の方は正真正銘のガンダムだからな!』

 

『ガンダム!?何でそんな機体が!うおっ!?』

 

『ソイツは頭部カメラが紅くなっている。ニュータイプ抹殺用のシステム、EXAMが動いている証拠だ。敵の殺気を感知して動くシステム、だが複数の殺気を感知すると無差別に周囲の殺戮を始める暴走状態にもなる』

 

『殺戮って、そんなマシンが!?』

 

『一人の男の狂気から始まったマシンだ。聞け、ソイツの懐に潜り込むんだ。フルアームドは本来ならEXAMを使わせない為の足枷の役割を持つ。機体本体の速度は抑えられているんだ。ソイツがその枷を全て取り払う前に撃破、または損傷を与えろ!オレも直ぐに向かう、持ちこたえろよ!』

 

『クッ、やってやるよ!』

 

よし、取り敢えず奴の対処方法、弱点も教える事は出来た

 

本当なら機体のオーバーヒートを狙いたいが、あれが本当のブルーディスティニーと同じか分からないしな、確実な情報だけを渡した

 

後は此処から出てアリーナへ、最早待っている時間もない、ユニコーンのデストロイモードも残り短い時間しか使えないだろうからな

 

隔壁をジェガンのビーム・サーベルで焼ききる、その為にハロからジェガンを呼び出そうとした時、今度はオレに向けてコアネットワークからの通信が来た

 

送信者は、篠ノ之束

 

『こーくん、あの機体を止めて!』

 

『篠ノ之博士、つまりアレは貴方が組み上げた訳ですね。詳しい情報をお願いします』

 

『うん、まずあの機体だけどね。実はジェガンの中に丸々、欠損なしで設計図が入ってたの。試作だからデータのままで手は加えていないよ。性能はジェガンに軍配が上がると思う』

 

『EXAMさえなければ、ですけどね』

 

ジェガンの中に入っていた………………成る程、ユウ・カジマ繋がりか!

 

『でもそこはどうでも良いんだよ!問題なのは、暴走したその機体に乗っているのが、くーちゃんだって事なの!』

 

『なっ!?』

 

クロエがブルーディスティニーに乗っている?何故、どうしてそんな事に!?

 

『くーちゃんはね、自分が戦闘面で役に立たないって悩んでたみたいなの。それで自分にも戦えるだけの力をって頼まれたんだけど、私はくーちゃんを戦闘に出すつもりはなかったから、取り敢えず護身用の機体だけあげようと思って、EXAMが操縦のサポートシステムだって記載されていたから乗せたんだけど、試験中にいきなり暴走して、それで―――』

 

『分かりました、機体を止めて、クロエを助け出します。けど今現在、アリーナへの経路が封鎖されています。博士、ロックの解除は可能ですか?』

 

『任せて!恐らくはくーちゃんの力を利用してロックしてるんだろうけど、ハッキングなら私の方が上だから!ハロをコンソールに接続して!コアネットワーク経由でハッキングを行うよ!』

 

『了解、任せました!』

 

一度通話を終了、ハロの腕を伸ばしてコンソールの接続端子に繋げる

 

すると様々な情報が表示されては消え、ロックと表記されていた部分が解除されていく

 

放送室を閉じていた隔壁も上がり、外へと出られるようになる

 

『これでピットまでの道は開放したよ。ルートを送るから、ジェガンで一気に駆け抜けて!』

 

『ありがとうございます。それと、観客席の生徒達の避難の為に、他の隔壁の開放も引き続きお願いします』

 

『そんな有象無象なんか放っておいて良いよ!大事なのはくーちゃんなんだから!』

 

さっきまでの様子だとブルーディスティニーは一夏を執拗に狙っていた、理由は不明だが今は助かる

 

だがもしも肩のビーム・キャノンが観客席に向けばアリーナのシールドは抜かれる、そうなれば死者が出るだろう

 

そうでなくても流れ弾でそうなる可能性だってある、そして何よりも、これはクロエの為だ

 

『貴方はアイツに人殺しをさせたいんですか!!』

 

だから声を荒げるような形になってしまった

 

篠ノ之博士が身内と判断した人間以外はどうでも良いと考える人間なのは分かっている、それでもクロエが人を殺す姿なんて見たくはない

 

『……そうだね、ごめんね、こーくん』

 

『いえ、オレも言葉を荒げるなんて真似を……兎に角、オレはアリーナへ向かいます。観客席の件は頼みました』

 

『任された!あと少し、これで行けるよ!』

 

コンソールの表記は全ての隔壁を開放した事を示している

 

窓からも生徒達が我先にと避難を開始している様子が窺える、これでクロエが流れ弾で人を殺めるなんて事はない筈だ、後はクロエを、ブルーディスティニーを止める

 

「ミホシ先輩、今すぐに避難をお願いします。オレはアリーナへ」

 

「へっ?ま、待って康太くん!?あんな中に割って入るなんて無茶よ!?」

 

通路に出たオレはジェガンを展開、通路内を篠ノ之博士の記したマップのルートに従い飛行する

 

途中、一ヶ所だけ避難する生徒が通る道と交差する地点があるが、そこが最短経路だ

 

ブースター停止、PICを利用して慣性航行に移行、天井が高い事も幸いして頭上を抜ける

 

オレの通過に驚いたような表情をしていたが今は無視だ、曲がり角の所でAMBAC機動により方向転換、壁を蹴ると同時にブースターを点火、速度を上げていく

 

そうして何度かカーブしてピットへと辿り着く、そこではハッキングが解除されたからかアリーナへ出撃しようとしている教員部隊の姿が見えた

 

なんとか間に合ったというところか

 

「ジェガン、という事は紫藤か。何故来た。此処からは教員の仕事だ」

 

「織斑先生、数を集めてもアイツには勝てません。それに、ラファールや打鉄の火力じゃ装甲を抜けませんよ」

 

「何?紫藤、あのISについて知っているのか?」

 

「奴はガンダムです。詳しい事はプロフェッサーから、通信を繋げます」

 

ガンダム、この中だと織斑教諭くらいにしか伝わらない名前だがそれで十分だ

 

織斑教諭も出撃するつもりだったのか打鉄を纏っている、そこにジェガンを経由してコアネットワークで通信を繋げる

 

これで篠ノ之博士から説明がなされるだろう、その間にピットの画面からアリーナの様子を確認する

 

そこにはユニコーンモードに戻り地面へと倒れ伏すユニコーンの姿があった

 

 

時間は少し遡り、一夏が康太からブルーディスティニーの弱点を聞き終えた所から始まる

 

「クッ、やってやるよ、なんて言ったけど!」

 

直ぐ脇を掠めていくビームに顔をしかめつつ接近を試みる一夏だったが、それに対してユニコーンを中心に広範囲をミサイルで焼き払う事で接近を阻もうとするブルーディスティニー

 

「それは康太がやった事ある!」

 

訓練にて康太はありとあらゆる武装、戦法を用いて一夏と対戦してきた

 

その中にはミサイルを大量に装備した姿もあった為に、一夏の危機回避能力は上がっている

 

今も自分へと迫るミサイルを左手のシールドに固定した二門のビーム・ガトリングガンで撃ち落とし、このまま爆炎に紛れて接近する為に瞬時加速(イグニッション・ブースト)で加速した

 

そして爆炎を抜け相手の苦手な格闘戦に持ち込もうとしたが、視界が開けた時に見たのは肩のキャノンを向けているブルーディスティニーの姿だった

 

「しまっ!?」

 

既にチャージも終えているのか砲口からピンク色の粒子が漏れ出ているのを確認した一夏は直ぐに回避しようとする、だが瞬時加速によりついた速度を殺す事は難しく、そのまま自分からビーム・キャノンの一撃を受けに行くような形となる

 

回避不能、アリーナのシールドバリアーを貫く程の火力を前に死を覚悟する一夏、だがその身が貫かれる事はなかった

 

「こんのおぉぉぉぉぉッ!!」

 

ビーム・キャノンを発射体勢に入っていたブルーディスティニー、その横合いから双天牙月を振りかぶる鈴が乱入したからだ

 

砲撃を中止して鈴の対処をするブルーディスティニー、両手のシールドを兼用する連装ビーム・キャノンで二振りの青竜刀の連撃を防ぐと頭部と胸部、四門のバルカンにて至近距離からの銃撃を浴びせた

 

それに反応した事で回避行動をとる鈴だが距離が近かった為に数発は被弾してしまう

 

それでもダメージとしては微量、戦闘継続には問題ないレベルだ

 

「すまん、鈴。助かった!」

 

「良いから次よ!それにしてもコイツ、何なのよ!?硬いし、大火力だし、おまけに動きを予想してるみたいな動きするし!」

 

「康太が教えてくれた情報だと、殺気を感知して反応するシステムを積んでいるらしい!それで動きが読まれるんだ!あと、装甲も多分俺と同じものだ!」

 

「アイツ、何でそんな事まで知ってるのよ!もしかしてコイツもラビットフット社の新型!?なんか頭とか康太の機体に似てるし!」

 

それに対してしまったと自身が口を滑らせた事を悟る一夏、だがそれを後悔するよりも先に連装ビーム・キャノンが一夏を狙って連射される

 

ユニコーンの機動性によりそれらを回避していくが、接近する事が出来ずにいる

 

「兎に角、鈴の武装じゃ無理だ!俺が攻撃するから、鈴はサポートを!」

 

「仕方ないわね、頼んだわよ一夏!」

 

ならば二機掛かりでと一夏がメインになり挟撃しようとするも、ブルーディスティニーは冷静に受け流し、逆に反撃のビームを放つ

 

圧倒的な防御、それを突き崩そうにもなかなかに崩せない二人、やがてその攻めにも限界が訪れる

 

今までデストロイモードによる高機動により支えていた均衡、それが制限時間により強制終了されたのだ

 

「制限時間が!?まだだ、まだ戻るな、ユニコーン!戻らないでくれ!」

 

懇願する一夏、だが機体は完全にユニコーンモードへと戻ってしまい、それにより発揮されていた速度も失われる

 

そこを逃すブルーディスティニー、そしてEXAMではなかった

 

まだ使える武装が残っているにも関わらずその全てをパージ、通常の状態のブルーディスティニー1号機の姿になると脚部に装備しているビーム・サーベルを抜き一夏へ接近する

 

それを阻もうと鈴も双天牙月を振りかぶるがブルーディスティニーはそれを一蹴、右手に握る一振りのみで双剣を捌くと回し蹴りを放ち甲龍を吹き飛ばした

 

「ぐぅっ!?」

 

「鈴ッ!」

 

一夏も鈴のフォローに向かおうとするがデストロイモードの反動に体が悲鳴を挙げて思うように動けずにいる

 

地面へと倒れ伏す一夏、それにビーム・サーベルを振り下ろそうとするブルーディスティニー、だがそれを一条の閃光が、ピンク色の粒子を放つビームの一撃が阻む

 

一夏がビームの放たれた方向を見ると最近の訓練にて見慣れていた機体が居た

 

「康太ッ!」

 

「かなりギリギリだったな!ジェガン・ストライカー、紫藤康太、戦闘を開始する!」

 

それは通常のジェガンとは違う機体であった

 

高機動型ジェガンをベースとして全身にウェラブル・アーマーを装備、バックパックも変更され二本の専用ビーム・サーベルを備え、左手に先端がクロー状に変化するグラップ・シールドを装備していた

 

これこそがジム・ストライカーのデータをジェガンへと組み込んだ近接格闘用装備、ジェガン・ストライカーである

 

今はバックパックにツイン・ビーム・スピアを背負っているがヒートランス等を始め兵装も近接格闘戦に特化した物が揃っている

 

そして康太はユニコーンに通信を接続すると武装関連のシステムにパスワードを入力していく

 

「ミノフスキー粒子使用兵装制限解除。向こうがバカスカ撃って来てるんだ、今更電波障害だの何だの気にする必要はない。一夏、鈴を連れて一度退け!エネルギーを補給して来い!」

 

「そんな、康太一人でアイツを相手に出来るのか!?あんなに速いんだぞ!?」

 

「なに、やりようはある。リメイク版で疲弊していたとはいえアイツを撃破したのは量産機だからな」

 

言うと康太は右手に持っていたビーム・ライフルを量子化し、背負っていたツイン・ビーム・スピアを握る

 

その様子に一切の迷いはなく、目には確かな覚悟が表れていた

 

「それにな、アレに乗ってるのはクロエなんだ。システムに呑まれているアイツを解放する。オレと同じ世界から流れた物だ。オレの手でけりをつける」

 

「……分かった。負けるなよ、康太!」

 

「フンッ、当然!」

 

男としての覚悟を聞いた一夏はその意思を尊重して康太の指示通りに鈴の元へ向かう

 

同時に康太もブースターを噴かしてブルーディスティニーに接近、渾身の突きを放つ

 

ブルーディスティニーは可能ならば一夏への追撃を狙っていたが康太の攻撃がその隙を与えない

 

壁際まで蹴り飛ばされていた鈴を回収した一夏はまず鈴の容態を確認する、ISによってモニターされている鈴のバイタルを見て気絶しているだけだと分かると安堵の息を吐いた

 

それから鈴を抱えてピットまで戻ると待機していた千冬へと鈴を託す

 

「千冬姉、鈴を頼む!」

 

「織斑先生と、いや今はそんな事を言っている場合でもないな。校医に診て貰う、心配するな」

 

「頼んだ、俺は康太のところに!」

 

そのまま再びアリーナへ向かおうとする一夏、だがそれは千冬に呼び止められた事で停止する

 

「何でだよ!アイツが一人で戦ってるんだぞ!?」

 

「そのエネルギーが枯渇しそうな機体で出て、何をするつもりだ?」

 

「それは……けど、囮くらいなら!」

 

「場の流れを良く読め、馬鹿者!紫藤からの情報だと、奴は複数からの殺気を感知すると暴走状態になるという事だ。聞いてないのか?」

 

「それは……」

 

言われて思い出す、確かにそのような事を言っていた、周囲の存在全てを殺し尽くすまで止まらなくなると

 

「暴走した後の状態でどの程度の範囲が対象となるのかは分からない。だが此処は都市にも近い。暴走し、取り逃がすような事態となればどれだけの被害が出るか分からない。だからこそ我々も一度には出られないんだ」

 

見れば他にも複数人の教員部隊がこの場には居る、そんな彼女達がブルーディスティニーの鎮圧に乗り出せないのはその危険性を康太が報告したからだ

 

「この件はアイツ()にもイレギュラーな事態のようだ。さっき私宛にも同様の説明が来たよ。だから今は信じるしかない。確実に奴を捕縛可能となるまでに疲弊するのを待つ。残念ながらそれしか手がないんだ」

 

そう言って千冬が握り締めた手を震わせているのを見て一夏も冷静さを取り戻す、責任感の強い姉が教え子に戦わせて自分は見ているしか出来ない、それがどれだけ口惜しい事か、生まれてから一緒に居た一夏には理解出来たからだ

 

「……俺はユニコーンに補給をしてくるよ。康太に何かあったら、その時は千冬姉、頼む」

 

「当然だ、私は教師だからな」

 

答えて、千冬は視線をピットに向けた、いざとなれば即座に割り込めるよう身構えて

 

その視線の先では康太はブルーディスティニーに圧され始めていた

 

 

「これが、ニュータイプの力か!?」

 

紛い物、本物のコピーでも能力の一端を垣間見た康太の心情はその一言だった

 

己が戦闘に関してはまだ訓練を受けたプロと比較して素人である事を差し引いても力の差は大きいと感じている

 

それは単なる練度の違いではない、根本的な、戦いに関するセンスとでも言うべきものだ

 

それでも康太は食らい付こうとしていた、既にツイン・ビーム・スピアは柄を斬られて短くなった時点で破棄しており今は量子化させていたストライカー・カスタムのナックル・ダガーを装着してビーム・サーベルと斬り結んでいる

 

その中でバルカンによる銃撃を受ける康太、だが両手のナックル・ダガーのビーム発振器の部分を合わせる事でビームの形状を保っていたIフィールドを意図的に崩しビームの幕にする事で擬似的なシールドを作成、銃撃を防ぐ

 

更にはその幕により相手との視界が塞がれた事を利用、ナックル・ダガーを投擲して不意討ちを狙う

 

だが殺気を感知したブルーディスティニーは視界が塞がれて尚、その向こうからの攻撃を感知、半身になる事でナックル・ダガーを避ける

 

そしてバックパックのビーム・サーベルを二本とも抜いた康太の一閃を身を屈める事で回避、その腹部へと肩からタックルを見舞いジェガン・ストライカーを弾き飛ばす

 

「ぐあっ!?」

 

背中から地面へと打ち付けられる康太、だがその意識も両手の剣も手放してはいない、折れぬ戦意の中でそれを見る

 

次の瞬間、ブルーディスティニーの左腕、右足にビーム兵器による斬撃が見舞われた、それは康太が先程投擲したナックル・ダガーであり、ブーメランのように帰って来たそれがブルーディスティニーの背後から襲ったのだ

 

「やはり、殺気のない攻撃なら!」

 

投擲されてから時間の経っていたナックル・ダガー、康太もブーメランとしての攻撃は当たれば良いな、くらいの感覚で投げた為に殺気と言うような物は無かった

 

故に殺気を感知するシステムであるEXAMは反応しなかった、そして被弾した、それも機動力の要たる脚部に損傷を与えたのだ、康太はその気を逃さず、両手のビーム・サーベルを振るう

 

だが死神はやはり死神であった、損傷を受けたにも関わらず全く変わらないような動きで康太を迎撃していく

 

損傷を受けていない右手のみでビーム・サーベルを振るい、その場から動かずに康太が繰り出す二本のビーム・サーベルを捌く

 

康太はその動きに執念のような物を感じていた、ニュータイプを必ず殲滅するのだというEXAMの開発者クルスト・モーゼスの執念を

 

画面の向こう、ゲームとして見ていた時とは違う本物の殺意、現実の物となったEXAMの発する殺意を

 

そしてそれに対する自分自身の持つ怒りを

 

「そこまでして人類進化の道を閉ざそうとするか、クルスト・モーゼス!」

 

目指すべき場所、それを一部目の当たりにした康太が思ったのは怒りだった

 

ニュータイプという人類の進化、それがどのような形であれ戦闘能力のみに目を向け、恐れ、排除しようとする行い、その為のシステムに対する憤怒、それを赦せなかったのだ

 

「クロエを返して貰うぞ!そしてその妄執、此処で終わらせる!」

 

決意を新たにビーム・サーベルを構える康太、ジェガンの胸部装甲からは青い光が漏れ出ていた

 

康太が胸に掛けていたサイコフレーム、それが康太の怒りに反応し光を放っているのだ

 

対するブルーディスティニーもまた康太を排除すべき対象として最優先目標に設定していた、康太がニュータイプなのか、それともサイコフレームによって増幅された感応波に反応したからなのかは分からない、それでも完全に敵と認識したシステムが康太を見据える

 

次の瞬間にはどちらからともなく駆け出し、互いに光刃が宙を舞う、その動きは必ず相手を仕留めるという覚悟が現れたかのようであり、康太も被弾する事を躊躇わずに剣を振るい続けた

 

二機の装甲はあっという間に傷だらけになっていく、だが勝敗を分けたのもその装甲だ

 

康太は機体にウェラブル・アーマーを装備していた、爆発して攻撃を防ぐ代物だがビーム・サーベルに斬られる時に爆発させる事でビーム・サーベルの粒子を吹き飛ばして防いでいたのだ

 

対してブルーディスティニーは通常の装甲である、更には被弾した左腕が上手く動かない事で右手のみで武器を振るうしかなく、手数の差があったのも大きい

 

康太のジェガンも全身に損傷を受けてきてはいたが限界になるのはブルーディスティニーの方が早い、動きが鈍ったのを見て好機と捉えた康太がEXAMシステムの収まっていると思える頭部を破壊しようとビーム・サーベルを向けるが、ブルーディスティニーはその手を掴む事で頭部を破壊される事を防ぐ

 

既にウェラブル・アーマーも無く、逆に腕の装甲が軋みを上げていく中で康太は視線をブルーディスティニーに向け、バルカンポッドから銃弾を放つ

 

それと全く同じタイミングでブルーディスティニーもバルカンを放っており、ジェガンの頭部、更にはバルカンポッドまで破壊される

 

「うっ、まだだぁッ!」

 

そこでブルーディスティニーの方もバルカンは弾切れになり二機は単純な力比べの様相を呈していたが、康太はあろう事か頭突きを繰り出した

 

それによりボロボロになっていた二機の頭部に亀裂が走る、そして康太はまだ頭突きを繰り出す

 

「絶対に、負けねえ、此処で、終わらせる!」

 

康太の執念で何度も何度も激突する二機の頭部、そして二機の頭部が五度目の激突をした時、互いの頭部が砕けた

 

完全に覆われていた視界が広がり、風を感じるようになった中、康太は己の目でしっかりと見た、気を失ってはいるようだが確かに呼吸をしているクロエの顔を

 

EXAMが動かしていたブルーディスティニーも止まっているのか機体は動いていない、そこまで確認し、康太は大きく安堵の息を吐いた

 

その時、クロエの瞼がピクリと動くとゆっくりと目が開けられる

 

それは異形の眼だった、瞳が金色なのは珍しいが特別ではない、問題は白目である部分が漆黒だったのだ

 

康太はその眼を見て一瞬だけ驚いたが表情は変えない、変えられる程の余裕がない程に疲労していたとも言えるが、直ぐに珍しいが変ではない、満月のような眼だと思ったからである

 

「コウタ、さん……?」

 

「おう、目が醒めたか?体に異常を感じたりは?」

 

「大丈夫、です。それより、私は……」

 

「無理をするな、今はゆっくり休め。また後で話そう、直ぐに博士も来る筈だ」

 

全てが終わった、クロエも見たところは無事だが無理はさせない方が良い、そう考えてクロエの体を楽になるよう支えようとした時の事だった

 

「―――ッ!?コウタさん、逃げて!」

 

「―――えっ?」

 

朦朧としていた意識が覚醒したクロエが放った警告、その意味を理解する間もなく、康太の腹部に強烈な衝撃が走った

 

見れば動かなかったと思っていたブルーディスティニーの左腕、それが装備する陸戦型ガンダム等と同様のシールド、先端が打突武器としても使用出来るそれがジェガンの装甲を貫き刺さっていたのだ

 

油断した、ブルーディスティニーはモビルスーツではなくISだった、EXAMが頭部に必ずある訳ではなかった、薄れゆく意識の中で康太はそう後悔する

 

だが倒れていく視界の中で今度こそ消えていくブルーディスティニーの姿を見て今のが最期の一撃だったのだと確信し、小さく笑みも浮かんでいく

 

そのまま何度も己の名を呼ぶ声を聞きながら康太は意識を手放すのだった




以上、アリーナ襲撃篇完結!

あとはエピローグで色々やって完結です。

それと今後の構想練ってたら途中でコウタくんの機体乗り換えが行われます、ガンダムタイプの機体に。

見事にタイトル詐欺である
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