ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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新章突入に合わせて今までのおさらいを含めた内容です

そしてジェガンもしれっと強化が


R型の鼓動
14話 ボーイ・ミーツ・ボーイズ


六月頭、最初の金曜日、元は宇宙開発を目指し開発され現在は世界最強の兵器として君臨するインフィニット・ストラトス、通称IS、その扱いを学ぶ世界で唯一の学園であるIS学園の保有するアリーナでは二機のISが互いの武器をぶつけ合っていた

 

「クッ、流石に速い!それに、何なのよあの動きは!?」

 

一機は中国の第三世代機である甲龍と呼ばれる機体であり、パイロットは茶色のツインテールをした小柄な少女、鳳鈴音だ

 

「例え不可視の砲撃と言えど、その発射タイミングが読めるなら!」

 

対する一機は全身が装甲で覆われた機体であり、本来ならばこの世界ではなく別の世界にてリアル系ロボットアニメであるガンダムシリーズに登場するモビルスーツという兵器だった筈の機体ジェガンであり、パイロットは本来ならば女性にしか動かせないISを駆る男であるオレ、紫藤康太だ

 

元は此処ではない別の世界の人間だったオレはある日、何の因果かこのISという兵器が存在する世界へと迷い込んだ

 

そして同じ世界から来たジェガンがISとなり、オレにもIS適性があるという事からこうしてパイロットとしてIS学園に通いながら学んでいる

 

今もISの操縦技術を磨く為に学園施設のアリーナにて試合の最中だ、今は鈴と一対一で真剣勝負をしていた

 

そしてオレのジェガンだが実は原作ガンダムの物とは違い手が加えられている

 

オレは装備を変更して様々な兵装を切り替えて戦うスタイルなので割りと機体の外見が一定ではないのだが、ベースとなる本体、その頭部がガンダムタイプの物に変更された

 

これは以前、とある事件の際にジェガンの頭部を破損した為に修復ついでの強化だ

 

まあガンダムタイプとはいえ実際にはジェガンD型エコーズ仕様の頭部をバイザーではなくガンダムと同様のデュアルアイセンサーになっているだけだ、狙撃用のセンサーが搭載されたバイザーが未使用時は額部に来るのでガンダム特有のアンテナは備えていない

 

機体本体はジェガンD型のままだし、ガンダム擬きだな

 

とはいえ大事なオレの愛機だ、今もこうして試合でオレの思いに応えて存分に力を振るってくれている

 

折角新調した頭部の性能も試したいし今は射撃戦で応戦している、リゼルと同様のメガ・ビーム・ランチャーを右手に持ち、左手はバズーカを持つ

 

バズーカの弾頭は通常弾頭と散弾を交互に入れてある、二つを撃つ事で鈴の動きを牽制している

 

通常弾頭の威力と爆風で牽制、散弾で動きを鈍らせ、弾倉にある分を撃ち尽くせば次はガトリングガンとミサイルランチャーの複合武器、ヘビーガンダムの持つフレーム・ランチャー(ハンドウェポン・ヘビー・ランチャーとも言うが)を取り出す

 

高速切換(ラピッド・スイッチ)!?アンタ、そんな技まで使えるの!?」

 

「ああ、これ高速切換だったのか。割りと無意識でやってたわ」

 

「ふざけんじゃないわよ!って、ヤバッ!?」

 

「相手の得意な事を先回りして潰すのは戦闘の基本だ。甲龍は精々が中距離まで、距離を離せば龍咆の威力も落ちる」

 

後はミサイルとガトリングガンから放たれる大量の銃弾が動きを阻害、普段なら機動性の高い相手には当たらないメガ・ビーム・ランチャーも当てられる

 

結果、胴体部に直撃した事で絶対防御が発動、甲龍のエネルギーが尽きたのでオレの勝利が確定した

 

「安心しろ、レーザー兵器として使ったから貫通はしない」

 

「死ぬかと思ったわよ、このバカァッ!」

 

罵倒出来るだけの元気があるなら十分だろう、試合終了でジェガンを解除したオレは鈴の攻撃を避けながらピットまで戻るのだった

 

これが今のオレの日常だ、兵器となったISを駆りスポーツとして試合を行い腕を磨く

 

今までの平凡な生き方とは全く違う日常だが、オレはこんな日々を気に入っていた

 

 

こんな生活になってからというもの、生活リズムはかなり変化した

 

IS学園敷地内にある寮の自室、そこにあるベッドで目覚めたのは朝の五時、まだ外は薄暗い

 

だがいつも通りの時間だ、オレは運動用のジャージに着替えると自室から出て外に向かう、ランニングをするのだ

 

ISというものは戦闘機以上に加速を行いヘリコプター以上の機動性を持つ

 

特にオレは自分のスタイルから基本的に激しい機動を行う事が多くなる、故に体力という物は基本中の基本だ

 

なのでオレは朝に走る事にした、元はインドアな生活だっただけに始めた当初はキツかったものの、今ではそれなりに慣れてきた

 

というのもこの世界にはガンダムシリーズが存在しないので趣味と呼べる物が他に無くなったとも言える、それでも今までのアニメ作品のデータは持っているので禁断症状こそないものの、その量は控えめだ

 

その理由も分かっている、子供の頃の夢を、宇宙を目指すという夢をまた追っているからだろう

 

ISをより上手く操れるようになるのもその一環、それ故に今のオレは何処までも努力出来そうな程だ

 

取り敢えず日課の五キロを走り抜く、最初は一キロで息切れしていたのだが、少しずつでもこうして成果は出ている、来月までには更に倍に増やせそうだな

 

そうして自室に戻ってからはシャワーを浴びて朝食の為に食堂へ向かうのだが、部屋に戻った頃にはルームメイトも起きている

 

「おはようございます、コウタさん」

 

「ああ、おはよう、クロエ」

 

自室に戻ると声を掛けてきた銀髪の少女、彼女の名はクロエ・クロニクルという

 

オレがこの世界の人間ではない事を知っている数少ない内の一人であり、オレが所属している企業であるラビットフット社の人間だ

 

尤も、そのラビットフット社すら最初はとある人物の隠れ蓑だったのだが、最近ではそれも意味はなくなっている

 

それはさておき、クロエがオレと同室で過ごしているのは五月に起きた事件の後、クロエが転入してきた日からである

 

あの日、元は倉庫だった部屋を改造して作られた一人部屋に住んでいたオレは放課後に副担任の山田先生から部屋の移動を告げられた

 

それまでの部屋も悪くは無かったのだが他の生徒達と同じ部屋に移る事となったのである

 

移ってみて分かるがシャワー室に簡易的なキッチン付きとそれまでの部屋とは比べ物にならない程に設備が整っていた

 

そして、同時にルームメイトとしてクロエが同じ部屋に住む事も伝えられたのである

 

最初は戸惑った、年頃の女の子と同じ部屋になるという事に緊張しない思春期男子が居るか、それもクロエという美少女と言っても過言ではない容姿の女の子とだ

 

最初こそぎこちない態度になったが五月の事件、クロエが乗る機体の暴走により起きた事件の後で互いの胸の内をさらけ出した後という事もあり、今ではそこまで緊張もしない

 

それで礼節を欠くという事はないが、それでも気の抜けた様子を見せる程度には落ち着いたのだ

 

「先程、束様より連絡事項があるとメールがありました。シャワーを浴びたら一度通信をしましょう」

 

「了解、手早く済ませるよ」

 

毎日ではないが時折こうしてクロエに通信が入る事がある

 

その場合は割りと重要な事を伝える事が多いので急いだ方が良い、シャワーを浴び終えたオレは学園の制服に着替えてクロエと共に通信を開く

 

『お、早かったね、こーくん。くーちゃんから話は聞いた?』

 

「はい、篠ノ之博士。連絡事項があるという事で手早く済ませました」

 

オレのISであるジェガンの待機形態となっているハロから空中に投影されるディスプレイ、そこに映るのは不思議の国のアリスみたいなワンピースにウサミミを着けた女性、篠ノ之束博士だ

 

現在の肩書きはIS学園技術顧問とラビットフット社の社長兼技術主任となっているが、少し前まで世界中から追われていた人物である

 

理由は簡単で、世界を変えた兵器であるISの開発者でありISを構成する心臓部であるISコアを唯一製造出来る人物だったから

 

そんな人が何故こうして表舞台に出てきたかというと五月の事件での後始末からである

 

不幸な連鎖で起きた事件だが本人の思惑もあり様々な偽装工作までしてIS学園に所属した、そこは国際条約でどの国の干渉も受けないという場所だからこそとも言えるが

 

なおその際にラビットフット社の社長だとか色々暴露してくれたお陰で何処から番号を知り得たのか知らないがオレにまで世界中から電話が、それこそ重要な役職の政治家や果てには国家の首相レベルの人間から電話が掛かってくるという出来事があったのだが割愛させて頂く、出来ればあまり思い出したくもないので

 

それはそうと、篠ノ之博士が連絡してきた用件の方に入るとしよう

 

「それで博士、用件とは?」

 

『そうだね、時間もないからね。まずは嬉しいニュースからだね。まずくーちゃんの機体が完成したのです!朝食の時に渡しに行くからね、遅れちゃダメだよ』

 

「ありがとうございます、束様」

 

クロエの機体というと、例の専用機か

 

以前の機体であるブルーディスティニー1号機はEXAMの暴走の末にオレと相討ちになりコアを初期化して解体されたが、今度の機体はその心配はないだろう

 

どんな専用機か、オレも意見を出したから知っているのだが直接見るまでの楽しみとしておこう

 

「これでクロエも放課後の訓練に本格参戦だな」

 

「はい、これで皆さんと同じように戦えます」

 

暴走事件の後で約束したのだ、オレがクロエに戦い方を教えると

 

今までは学園の機体を借りていたがこれで気兼ねなく機体をぶん回せる、機体性能が低いなんて事もないからより無茶な機動も試せるというもの

 

『うんうん、くーちゃんが頑張る姿が見れて私も嬉しいよ。それと次に、こーくんの機体の強化改修ね。データをあげるから良く確認して。これも朝食の時にパパッと装備換装するよ』

 

合わせてディスプレイの隣に追加で表示されるデータ、それを見てオレは感嘆の声を上げる

 

「よく完成しましたね、ジェガンR型」

 

『そもそもD型の技術は第二世代でも初期の物と同等だったからね。でもちゃんと私が設定通りの性能に仕上げたから、真正面から第三世代機も倒せるよ』

 

そこに写っているのはジェガンの中でもF91に登場したR型だ

 

Aタイプとも呼ばれる指揮官クラスが搭乗する高機動型であり、殆んど最後に生産されたジェガンと言える

 

簡単にデータを見ただけでも主武装が大型化した代わりに威力の大幅に上がったビームライフルに両腰のビームサーベル、火力の増強したバルカンとシールド内蔵のミサイルが分かる

 

だが何より特筆すべきは今までのD型に比べて総推力が約2.5倍に跳ね上がっているという事だ

 

ガンダム本編ならば三十年程の時代が経っているので納得だがこれを短期間で用意した篠ノ之博士の頭脳には恐れ入る

 

『文句なしにジェガンの最高級モデルだよ。具体的に言うと、それだけ高性能な分、生産コストが五倍になりました。あと、エネルギー消費が少しだけ多くなってるから、長期戦は可能なら避けた方が良いかな』

 

とはいえ何処かで皺寄せは来るもの、技術の発展したガンダム本編ならば兎も角、今の技術で再現するにはコストという犠牲が必要となるらしい

 

ぶっちゃけ、数が揃えられるならば性能約2.5倍の機体一機より素の機体五機備えた方が良い、ISは数を確保出来ないからこんな高コスト機でも売れるっちゃ売れるだろうけど

 

そしてエネルギー消費は従来の三割増しである、下手にエネルギー兵器をバカスカ撃てば苦境に立たされる事は間違いない

 

つまりは性能だけを追求したエース用のピーキーな機体という訳だ

 

「分かりました、迂闊に壊さないように善処します」

 

『そこは確実に保証して欲しいところなんだけどね。まあ良いや、取り敢えず良いニュースとかはこれで終わりだね』

 

「その言い方だと、悪いニュースもあるみたいですが?」

 

『流石はこーくんだね、その通りだよ』

 

どうせなら悪いニュースなんて無い方が良いに決まっているのだが、あるのだから仕方がない

 

今までの飄々とした態度から一変、真面目な表情をした篠ノ之博士は告げた

 

『新しい漂流物を確認したよ。全部で四つ、でも確保したのは二つだけ。残りの二つは何処かへと消えている』

 

漂流物、それはオレと同じ世界から流れてきたとされる代物であり、どういう訳か現実に則したデータや現物として流れ着くものだ

 

オレ自身もまた漂流物と呼べる存在であるが、そんなデータが消えたとなれば穏やかではない

 

「あの、束様。それは海に落ちたとかで、流されたとかではないのですよね?」

 

『残念ながらね、反応があったのはどっちも地上なんだよ。一つは場所が悪かったんだ。アメリカのアラスカ州ユーコン・デルタ国立野生動物保護区。どうにも漂流物って隕石みたいに落ちてくるみたいでね、人目に触れて今頃はもう回収された頃だよ』

 

「中身がまともな物である事を願いますよ。下手に使って世界が滅びました、なんて事になったら目も当てられない」

 

ガンダムシリーズにはかなりの数、世界をも破滅させられる力がある

 

まだ宇宙に出てはいないが初代ガンダムのようにコロニー落としを行えば地図が描き換えられる程の威力があるし、更にはそれにより世界中が荒廃したガンダムXの世界がある

 

無限に増殖し進化しあらゆる物を侵食する存在がいる、最終的には地球さえも吸収しようとしたデビルガンダムが居るGガンダムの世界がある

 

地球上の文明の全てを砂にした月光蝶のあるターンエーの世界がある

 

最大出力で地上へ向けて撃てば地球上の殆んどの生物を死滅させられる巨大なガンマ線レーザー砲の存在するSEEDの世界がある

 

そんな人が手に入れてはならない力がある、もしも今回流れ着いた物がそのような代物であった場合、下手すれば世界が終わるのだ

 

『今後はもっと目を光らせておくよ。無害そうな物なら放置するけどね。そしてもう一つ、これがもっと重要かもしれないね。落ちたのは南米のギアナ高地、それも人の手が入らないだろう奥地だね。にも関わらず、即座に消えた。もしかすると、私達と同じように漂流物の事を把握している人間が居るのかもしれないよ』

 

「確かに世界を一変させる可能性がありますからね。それにしても、ギアナ高地か……」

 

『何か思い当たる節があるの?』

 

「ええ、下手をすれば世界が滅ぶかもしれない物が」

 

恐らくギアナ高地が出てくる作品としてはこれ以上の物もないだろう、機動武闘伝Gガンダムの主人公ドモン・カッシュの修める流派東方不敗の修行の原点とも言える土地だ

 

そこに流れ着いたのにもし因果関係があるとするならばシャイニングガンダムとかのデータならまだ良い、だが前述のデビルガンダムのデータだった場合が問題だ

 

その事を篠ノ之博士に伝えると目の色が変わった

 

『成る程ねえ。分かったよ、そっちを最優先で追うね』

 

「お願いします。杞憂なら良いんですが」

 

漂流物の中身は分からないが、もしも知らずに使われた場合の被害の大きさが懸念される

 

そして追跡は篠ノ之博士に任せるしかない、己の無力さをこういう時に痛感するな

 

「そういえば、四つの内の残り二つは確保したんですか?」

 

『うん、そっちは海のど真ん中だったからね。それぞれ太平洋とインド洋だったよ。片方は設計データだね。それも聞いて驚くと良いよ、なんとマスドライバー施設の図面なのです!』

 

「マジですか!?」

 

マスドライバー、それは方法は色々だが物体を第一宇宙速度まで加速させる事で宇宙へ物資の大量輸送を可能とする技術だ

 

ガンダムシリーズにも作品を問わず多く登場している、オレ達の夢である宇宙開発に近付く為の鍵だ

 

『レールで加速して、多段式のブースターで第一宇宙速度まで持っていく方式みたいだね』

 

「SEED系のマスドライバーですかね。イズモ級とかの艦船か、独自に設計する必要がありますね」

 

恐らくはSEED世界でのマスドライバーだろう

 

とはいえそれに対応する船も必要となるのでデータの回収は続けなければならない

 

『その辺りはマスドライバー建設と同時進行かな。あと、もう一つは船かな?小型なんだけど、飛行能力があったりするんだよね。これは現物だったよ』

 

続いて写されるデータ、それは写真付きなのだがかなり大きめだ、それこそモビルスーツを一機くらい載せて飛行出来そうな程に

 

「ノッセルですか。クロスボーンガンダムに出てくるサブフライトシステムですね。大気圏突入能力と飛行能力があります。それと、見た目の通りに水上艦としても使用可能です。メガ粒子砲を四門搭載してるので戦闘も可能ですよ。あと、中にキャビンがあるので長期間の移動にも耐えられます。出来ないのは単独での大気圏離脱くらいですね。まあ、その高性能とは裏腹に『単独での地球侵攻を企む者』位しか必要としない微妙なセールスポイントの機体でもあるんですが。けどオレ達みたいな少数で動くには良い機体には違いないですね」

 

控えめに言ってもこれだけで宇宙船として使えるのだ、外付けでブースターを作れば大気圏離脱も問題にはならない

 

なのでこれはかなり当たりの部類と言えるので、その辺りも説明しておいた

 

『おぉー、見事に大当たりだね!それにサブフライトシステムっていう概念も面白い。ISの長距離移動用にも同じような物を作れそうだし、良いインスピレーションが湧いてきたよ。それと、ノッセルは少し改造してから学園の敷地内に備え付けておくね。いざという時には貴重な移動手段だし』

 

なお改造の内容というのはモビルスーツ運搬用の操作ユニットの除去との事だ

 

機体上面は完全に貨物輸送用に作り替えるとの事なので、本格的に移動拠点となりそうである

 

その後、残りはあまり今後の事に関係のない内容という事なので朝食の時に済ませる事にした

 

とはいえ、その朝食の時にも一つ問題はあったのだが

 

「お?やっほー、箒ちゃん!一緒にご飯食べよう!」

 

「……結構です。それと、他にも利用している人は居るのでお静かに願います」

 

食堂で会い、クロエの機体の受け渡しやオレのジェガンのアップデートが終わった後、雑談しながら篠ノ之博士との三人で朝食を食べていた時の事だ

 

長い髪をポニーテールにし凛とした表情の女子生徒、篠ノ之博士の実の妹である篠ノ之箒と会った

 

だが箒はそれだけを告げると別の席へと向かう

 

箒と同室であり、オレと同じくラビットフット社所属の男性IS操縦者である織斑一夏もまた、軽くこっちに謝罪をしてその後を追った

 

篠ノ之姉妹の間の確執は多少は聞いている、篠ノ之博士がISを作り出した事で世界中から追われるようになり、その家族である箒も幼少の頃から転校を繰り返す羽目になったと

 

そんな何年も会わなかった姉が突然現れてIS学園の技術顧問である、全ては分からないがその胸中は察するに余りある

 

そしてそれは八つ当たりであろうとも、その存在を黙っていたオレ達にも向いている

 

想い人である一夏はまだ例外のようだが、篠ノ之博士がラビットフット社の代表であると知ってからは接し方がぎこちない

 

放課後にアリーナを借りて行っていたISでの訓練にも顔を出さなくなった辺りは頑なだ、それでも自分の感情を抑え込んでいるのか、話し掛ければちゃんと答える程度には冷静なのが救いか

 

「箒さんは、やはり私達の事もよく思ってないのでしょうか……」

 

「その辺りは本人しか分かるまい。家族と言っても、その関係はそれこそ千差万別だ。互いを思い合う関係もあれば、殺意を抱いてしまうような関係もある。そしてそれは他人が軽々しく口を挟んで良いものではない」

 

全ては自分達でしか解決出来ないのだ、だからこそオレは何も口を挟まない

 

家族というものをよく知らないクロエに答えつつ、オレは篠ノ之博士を見る

 

一見、気にしていないように見えてどこか悲しげな様子が感じられる、この人は他人にはとても冷徹だが身内にはとことん甘いのだから

 

「何にせよ、まだ面と向かって話せるだけマシというものだ。オレが言うべき事ではないかもしれないけどな」

 

「あはは、こーくんが言うと説得力あるね……」

 

「時間が必要なんだと思いますよ。でも篠ノ之博士らしくもない。相手の考えなんてお構い無しに行くかと思いましたが」

 

「どうでもいい相手ならそうするよ。でも箒ちゃんにもっと嫌われるのは嫌だからね。ちゃんと見極めて、ね」

 

この世界に来た事でオレは親父やお袋に会えなくなった

 

その事に関しては悲しくはあるが、どのように足掻いても元の世界に戻る方法が分からない以上はこの世界で生きるしかない

 

そして戻れるのだとしても、オレは別れの挨拶だけをしてこの世界に留まるだろう、此処がオレの夢を果たせる場所だから

 

この世界に於ける表向きのオレの戸籍は孤児という事になっている、両親不明で今は篠ノ之博士が保護者という形になる

 

それ以前の記録は無い、そもそも存在していないのだから当然ではあるのだが

 

そういえばオレのプロフィールが明らかになってから、両親を名乗る電話が掛かってくる事もあったか

 

大方、IS操縦者という経歴に釣られた人間だろう、当然ながら偽物と分かっているので直ぐに切ったがな

 

そこまで考えて、オレは息を吐いた

 

「難しいですね、家族って」

 

箒がこれからどうするのかによるが簡単には収まるまい

 

そこからは気分を変える意味でも話題を変えて雑談をした

 

朝食を終えて教室に到着、先に来ていたクラスの皆へと挨拶をして授業に備えておく、今日の一時限目はISの実技だったな、それも一般生徒も本格的に実機を使っての授業だったと思う

 

篠ノ之博士と話していたから少しギリギリだったか、直ぐにでもSHRが始まりそうだな

 

「諸君、おはよう」

 

『お、おはようございます!』

 

思った通りというか一年一組の担任である織斑千冬教諭、その後ろに副担任の山田先生も続く

 

山田先生はともかくとして、織斑教諭の気迫により教室内の空気が一気に引き締められた

 

黒のスーツに身を包んだ織斑教諭だが第一印象は怖いという人が多いだろう

 

実際にとても厳しい人なので恐れられている、それと同時にISの世界大会であるモンド・グロッソの初代優勝者でもあるのでカリスマ性も高いので主な感情は畏怖だろう

 

その織斑教諭は前の教壇に着くとSHRが始まった

 

「今日からは本格的な実技訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業となるので各人気を引き締めるように」

 

そして予想通りというか、今日の実技に関する話題が出た

 

その後は授業で第二グラウンドに学校指定のISスーツ着用の上で集合と注意事項になる

 

なおISスーツを忘れた場合は水着で、それも忘れた場合は下着姿らしいが、流石にISを学ぶ学園なのにスーツの用意を忘れる人間はいないだろう

 

「ああ、それと山田先生は去年二回程下着で授業を行った。悪い例なので全員真似しないように」

 

「お、織斑先生、その事は!?」

 

副担任の山田先生だが見た目は童顔で身長も低めなので同年代、下手をすると年下にも見られる

 

そしておっとりした性格でもあり生徒からも親しまれている、だからだろう、織斑教諭が暴露したエピソードを聞いてクラスの誰もが思っただろう、『山田先生ならあり得るな』と

 

「では山田先生、ホームルームを」

 

「え、えぇっ!?」

 

え、この状況で何事も無かったかのように山田先生にバトンを渡す?

 

いや、きっと織斑教諭もストレスが溜まっていてたまには発散したかったんだろうな……最近は織斑教諭の部屋に何処ぞの天災兎が我が物顔で出入りする事が多いらしいし

 

そうして織斑教諭が取り合わないまま山田先生は若干涙目でホームルームを続けた

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します!しかも二名です!」

 

「え……」

 

それは誰の呟きだっただろうか、だがその直ぐ後にクラス中が驚きの声に包まれる

 

「また転校生か。クロエ、何か聞いてたか?」

 

「いえ、私も初耳です」

 

という事は篠ノ之博士にも知らされていないという事か

 

始めから教える気がなかったのか、それとも教える暇がない程に急な事だったのか分からないが、また転校生、それも二名もとなるといきなりな話だな

 

そう考えていると教室のドアが開かれて件の転校生が現れて、クラス全員が押し黙った

 

それはそうだろう、二名の転校生の内の片方は男の格好をしていたのだから




という訳で最後のジェガンとも言えるジェガンR型の登場です、wikiで見て推力の数値見て一瞬だけ目を疑いました

クロエの専用機?次話で出せれば良いなあ
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