クロエにぴったりだと思えるあの機体です
取り敢えず班分けが行われ、オレが割り振られた班の方に向かう
六機用意されていた訓練機の内の一機も既に確保済みとの事だったが、その機体を見てオレは納得する
「ジェガン・ライトアーマーか。確かにオレが教えるには打ってつけだな」
用意された訓練機の内訳は打鉄が三機、ラファール・リヴァイヴが二機、そしてジェガン・ライトアーマーが一機だった
その三機の中では一番の新型であり一機のみだから競争率も高かったらしいがオレという要素で勝ち取ったらしい、そう班の一人であったクラスメイトの四十院さんが語っていた
「しどっちが教えるならこの機体だよね~」
「まあな。軽く説明するが、全身装甲機であるジェガンを現行のスタイルに再設計した機体だ。ベースは汎用性に長けたD型で、従来の機体に慣れたパイロット向けになっている。統計で被弾率が多い箇所のみ装甲で覆い、他は可能な限り装甲を外し軽量化した。だから防御力は落ちたが機動性では上だ」
同じ班ののほほんさんに答え、軽く説明をしていく
この機体が開発された経緯としては出荷された機体を実際に使用した他のパイロットからの要望もあった
全身装甲だと圧迫感がある、直接風を感じなければ機動が取りにくい、今までと感覚が違いすぎるといった要望が寄せられたので開発され、そして概ね満足する評価を得られた
それに機動性が高いからな、キャノンボール・ファストといったレース系の装甲より速度が重視される競技であればオレでもこの機体を使う
このライトアーマーも篠ノ之博士から学園に提供された機体の内の一機だ、五機の内三機が通常のD型、二機がライトアーマーになっている
それとあまり関係ない話ではあるが顔が見えないから華がないとかいう意見は無視したがな、寧ろISジェガンとは装甲が売りの機体なんだから
「さて、取り敢えずは名前順に乗って歩いてみるか。オレ達もISを展開するな。クロエ、手伝い頼む」
「はい、分かりました」
オレはジェガンを身に纏い、クロエも今朝に篠ノ之博士から与えられた専用機を展開する
基本的な色は黒で、所々に金が入るカラーリングの機体、一夏のユニコーンと同様の形状を持つ装甲の機体、ユニコーンの2号機、バンシィだ
とはいえその外見は大きく変わっている、どのように違うのかと言えばオレのジェガンと、ジェガン・ライトアーマーくらいに
理由としては、篠ノ之博士が『くーちゃんが使うなら無骨な機体より可愛さを損なわないデザインがいいよね!』と言っていたからだ
なのでクロエの乗るバンシィはモビルスーツというよりMS少女といった方がしっくりくる姿となっていた、それを言えばジェガン・ライトアーマーも同様なのだが
「おー、くーちゃんの機体は黒いね~。でも、綺麗な配色がされてる~」
「ありがとうございます、布仏さん」
「のほほんって呼んで良いよ~。私も勝手にくーちゃんって呼んでるしね」
篠ノ之博士と同じニックネームを偶然だがのほほんさんは呼んでいる
その事で篠ノ之博士がちょっと気になってのほほんさんの事を調べてたけど『見てると敵意が抜けてく変な子』との評価だった辺り、のほほんさん恐るべしといったところか
まあそれはそうと訓練も始めないとな、最初は四十院さんからだな
搭乗者はなく、そして待機形態にもなっていないジェガン・ライトアーマーは膝立ちのような姿勢になっている
そこに四十院さんが入り込み、機体を起動していく
「まずは立ってみるところから、手助けは?」
「なんとか頑張ってみます。けど、普段とは手足の間合いが、きゃっ!?」
「おっと」
立ち上がろうとした四十院さんだが生身とは歩幅も何もかも違う為に感覚の差からか後ろに倒れそうになったので手を伸ばして支える
周囲の人間、それこそクロエも初めてISに乗って即座に飛行までしていたから此処まで馴れていない人間というのは初めてだな、まあクロエは他に持ってるISで飛んだ事があると言っていたが
「大丈夫か?慌てなくていい、まだ時間はある」
「は、はい。その、少し肩をお借りしても宜しいでしょうか?」
「ああ、何かに掴まってた方が立ちやすいからな。重量もパワーもオレの機体の方が上だ、問題ない」
ついでに足裏のツメを使って地面に機体を固定すれば安定性は更に増す、立ち上がるのに支えるくらいは簡単だ
四十院さんも今度はゆっくりと動作を確認しながら立ち上がり、しっかりと視線を前に向けた
「や、やりました!立てましたわ!」
「おめでとう。普段と比べて視点はどんな感じだ?」
「少し高く感じます。これが普段、専用機持ちの皆さんが見ている景色なのですね」
初めて乗ったIS、そこから見える周囲の様子に感激している四十院さん、だがISから見える景色はそんな物だけではない
「このまま練習すればいずれは飛行訓練にも入る。その時の景色はこんな物の比じゃないぞ。自分の意思で、自由に宙を舞う。それも飛行機とかの乗り物よりも身近に風を感じてな。今で感動していると、その時には泣くんじゃないか?」
「そうですね。でも、紫藤さんは全身装甲の機体で風を感じるのですか?」
「たまには気ままに飛びたくもなるさ。その時には頭部装甲を別のに、それこそ外したりライトアーマーと同型にしたりな」
試しにライトアーマーの頭部パーツと同じ物を装備してみる
ヘルメットの様に頭に装着された装甲と、ゴーグルのように配置されたジェガンのバイザー部分がある
逆にフェイスカバーは無くなっており、他のパイロットからの要望があった風を感じるという点に対応している
オレも実際にこの頭部パーツを使って気付いたが、風を味方につけて飛行するなんて芸当は全身装甲では分からなかった要素だ
「しどっち~、教えるならちゃんと相手の目が見えるその方が良くない~?」
「あー、それもそうだな。普段のパーツも、使ってる時は全面モニターだから圧迫感もなくて、気付かなかったし。ありがとう、のほほんさん」
「良いよ~、私もその方が良いからね~」
という訳で頭部パーツをライトアーマーに変更して訓練を続行する事になった
四十院さんも立てたし、次は歩行訓練だな
「気を取り直して、まずはゆっくり、一歩ずつ、確実に歩いてみようか」
「はい」
「歩幅にも差があるから、足元を見ながらね。慣れると生身と変わらずに動けるけど、まずは基礎からだ」
流石にそこは分かっているのか、四十院さんはゆっくりと足を前に出す
持ち上げて、前に動かして、下ろして、一歩を踏み出すのに一々動作を目で見て確認しながら
でもそれで良い、いきなり戦闘可能な一夏や一秋の方がおかしいのだ、戸惑って当たり前、初心者であればこんな物だろう
その後は倒れないように手を貸しながら少し歩き、元の場所まで戻る、一先ずはそこまでにしておいて次の人に交代だ
「それじゃあ次の人は―――」
「ねぇねぇしどっち~、これどうやって乗るの?」
「どうやってって、普通に……あっ」
次の人に気を取られていたからのほほんさんに言われて気付いた、ISが立ったまま解除されていた
織斑教諭も座らせて解除するように言ってたからな、この状態だと次の人が乗り込むのに苦労する事になる
「も、申し訳ございません!私がつい夢中になってしまったせいで……」
「いやまあ、気持ちは分かるから。うーむ、これならシールドを横にして階段にするか」
そのISを立たせたまま解除してしまった四十院さんは謝っているが、初めて乗ったISに興奮して忘れてしまったのだから無理はない
そんな事を責めるくらいなら乗り込む方法を考えた方が建設的だしな
シールドでの階段は、これもちょっと高さが厳しいか?
「ねぇねぇ紫藤くん。それならお姫様抱っこで運べば良くないかな?」
「は?いや、どうしてそうなった?」
「だって、ほらアレ」
と、同じ班になった谷本さんの指差す方を見れば織斑兄弟の班があり、そこでは一夏が他の生徒を抱えてISに乗せている姿があった
どうやらオレ達の班と同じように立たせたままISを解除してしまったらしい
「成る程な。確かに、普通の人間が乗るには厳しい高さではあるし、その方が効率的なのか?」
「そうだよ!だからほら、私の事も抱き上げて!」
「まあ、それで良いのなら」
どうせこの一回だけなんだ、それに女の子の体に触るとは言ってもジェガンの装甲で触れてる感触なんてないからな、逆に力加減を間違えて怪我をさせないように気を付けないとならないから、その調整に意識が割かれる
「それじゃあ、いくぞ」
「はい、お願いします!」
やたらと張り切っているが谷本さんの足と背中の方に手を回して抱えあげる
そのまま重力制御による飛行で駐機状態のライトアーマーの後ろに回る
そして後は同じ手順だ、機体を起動し終えた次は歩行訓練に移って交代、それを続けていくつもりだったのだが
「またか」
「いや~、ごめんね、紫藤くん。けど他の皆からの期待に逆らえなくてさ~」
「ハァ……まあ良いか、やることは変わらないし」
次ののほほんさんも、その次も、同じように抱え上げてISへの搭乗を続けていく
取り敢えず一組は終了したし、次は二組の方か
「はーい、二組の雪菜って言います!紫藤くん初めまして!」
「ああ、どうも。それで、またISは立ったまま解除されてる訳だけど……」
「私もお姫様抱っこで良いよ。むしろお願いします!」
「お、おう……」
どうして誰も彼もお姫様抱っこに拘るのか、女の子としての憧れがあるのかは分からないがそこまで勢いよく言われると少し引く
とはいえ手早く終わらせてしまう事に異論はなく、二組の……えっと、雪菜さんも抱えてISへと乗り込ませ、歩行訓練を行う
その後も一組と同じ流れで授業が進む、此処まで来るとオレもわざとISを立たせたままにしている理由に気付くさ、面倒だから指摘はしないが
だが二組の人間も半分が終わった頃、また騒動が起きた
「はい、次の人」
「姫島茜よ」
「了解。それで、姫島さんも抱えて運べば良いのか?」
「いいえ、そんな必要はないわ。アンタ、踏み台になりなさいよ」
その言葉に周囲がざわめく、のだがオレは逆に安堵していた、ようやくまともな人が来たか、と
わざわざ乗り降りするのに抱えるのが不自然なんだよ、最初から座らせて解除すれば良いのに、抱えられたいが為に立たせたまま解除するんだから
そして中にはあまり男に触れられたくないという人も居る筈だ、装甲越しとはいえ無闇に触れられるのに良い気がする筈もないからな
「なら姿勢的には片膝立ちになるか。機体の左側を掴んで登ってくれ」
左膝を地面に着いて左手を背後に回して足場にする、これなら左足、左手、左肩と足場を伝って少し厳しいものの階段のように登れるだろう
それにジェガンは掴める場所も多いからな、バックパックの左側にあるサブスラスターを掴めばより登り易くなるだろうし、悪い案じゃない
ジェガンには靴跡がつくだろうが、そんな物は磨けば落ちる、余計な波風立てるよりは面倒も少ない
それに、たまたま視界に入ったが一夏も同じような事になっているしな、箒も何やらせてるんだか
「コウタさん、それは―――」
「良いさ、クロエ。その方が楽だ」
何人か続けたから力加減も分かってきたとはいえ神経を使う作業な事に変わりはない、それが省けるならオレも楽だしな、愛機を足蹴にされるのに思うところがない訳ではないが、事故が起きる可能性よりはマシだ
なので実際に膝立ちになって待っていたのだが、その姫島さんが来ない
「どうした?やるなら早く済ませろ」
「アンタ、もしかしてMなの?もっと渋ると思ったのに……」
「抱えられるのが嫌な人も居るとは思ってたからな。それに、機体の制御を誤って事故が起きるよりはマシだ。この機体も前に比べるとレスポンスが上がってるからな。ちょっとした操作で怪我させた、なんて事にならないか不安だったし。あと、そのつもりは無いんだが、どちらかといえば周囲の評価はS……まあこれこそあまり関係ないか」
普段の放課後の訓練、オレは普通にやってるつもりなのに誰もがS認定してくるんだよなあ、ちょっと実戦形式で戦闘してるだけなのになあ
とはいえ時間は掛かったものの姫島さんはオレの機体を足掛かりにISへと乗り込んだ
そして機体を起動させて歩行訓練に移ったのだが、バランスを崩し前のめりに転倒しそうになるのを肩を抱えて止めた
「危なかったな。どうする、手を繋いでの訓練に移行するか?」
のほほんさんとか立ってるだけなのに転倒しそうになってたからな、泳ぐ練習の時みたいに両手を掴んで歩く練習をしていたから、それと同じように片手だけでも繋ぐかと思い提案するが、返答は拒絶だった
「うるさい!アンタみたいな奴に頼らなくても、アタシ一人でやれるのよ!」
「それで転倒しかけただろうが。変な意地張ってないで、必要なら頼れよ」
「ッ!?アンタなんかに何が分かるってのよ!」
「この、馬鹿野郎!」
「えっ、キャアッ!?」
反射的に掲げたシールドにライトアーマーの拳が激突する
その拳の軌道上には別の生徒の姿があり、もし振り抜かれていれば只では済まなかっただろう
ISが動いてるのに不用意に近付いた生徒にも色々言いたい事はあるが、一番の原因となるのは姫島さんだ
「感情に流されて無闇に振り回すんじゃない!」
「あ……クッ、アンタが!単に篠ノ之博士に気に入られたから専用機持ってるようなだけのアンタに、何が分かるのよ!アタシがIS学園に入学するのに、どれだけ頑張ったと!それなのに、あのブリュンヒルデの身内でもなく、ただISを動かせるってだけの男が、アタシと何も変わらない一般人だった筈のアンタが、専用機まで与えられて黙ってられる訳がないでしょうが!!」
その叫びは普段から感じていた視線そのものだった、食堂とかで他のクラスや学年の生徒から受ける嫉妬の籠った視線、それが改めて言葉として突き付けられたのだ
そんな事は分かっているさ、天才の篠ノ之博士に明らかに依怙贔屓されていると見られている事はな
それでもオレは動いていた、姫島さんがライトアーマーの右腰に備えられているビームサーベルを抜いたから、火器管制がロックされているから使えないとはいえ武器を抜いたのが問題だ
オレはシールドを格納し右手にビームライフルを出し、左手ではビームサーベルを抜き素早くライトアーマーの懐に潜り込んだ
ビームライフルの銃口を相手の眼前に突き付け、ビームサーベルはビームこそ出力していないものの発振器の部分を相手の左脇腹の部分に押し付ける形にし、警告した
「そこまでにしておけ。それ以上は遊びで済まんぞ」
自分の口から出たのは予想よりも低い声だったが、それが効果的だったのか姫島さんは右手に握っていたビームサーベルを取り落とした
これで一安心、といったところで足音が聞こえてくる、それもやけにはっきりと、威圧感と共に
「何があった?」
飛んできた言葉は端的に、しかし有無を言わさぬという気迫が籠っていた
オレは即座に武装を解き、背筋を伸ばして声の主、織斑教諭に向き直った
「訓練中に生じたミスを発端とした誤解です。今は誤解と分かり問題も解決しましたので、何も心配はありません」
「ほう、その割には両機共に武装を抜いていたようだが?」
「先程の説明と同じく、訓練中に生じたミスを発端とした誤解、些細な行き違いです」
そこだけは断固として譲らない、オレもその意思を込めて織斑教諭へと返答する
暫くの間、織斑教諭と睨み合いのような状況となるが織斑教諭は溜め息を一つ吐くと纏っていた威圧感が霧散した
「分かった。問題はないんだな?」
「はい、何も問題ありません」
「ふん、だが余計な騒動を起こした責任は取れ。具体的には、この訓練中に使った訓練機の内、三機の片付けだ。良いな?」
「了解しました」
これでやり取りは終わりとなり、織斑教諭は周囲に「何をしている、訓練を続けろ」と決して大きくはないがよく通る声で告げて別の班の監督に戻っていく
その姿を眺めていたオレはようやく緊張がほぐれ、大きく息を吐いた
「ふぅ、なんとか乗りきったか。それとクロエ、デストロイモードは解除しておけ。あとヴァイブロ・ネイルとか物騒だから普通は使うな」
「……はい」
危なかったのはもう一点、姫島さんがビームサーベルを抜いた時点でバンシィのアームド・アーマーXCを利用してデストロイモードに移行していた
それから左腕に装備しているアームド・アーマーVNを起動していたのだが、その武装は下手するとISの保護機能を突破してパイロットまでダメージがいく可能性があるから原則使用禁止の筈の武装だ
その事をクロエが覚えていない筈はないのだが、使わないで済んだのは幸いだった
そして次に不用意に近付いた生徒、ティナ・ハミルトンに訊ねた
「起動中のISには不用意に近付かない、アメリカの代表候補生なら知ってると思ったが」
「うん、確かに不注意だったよ。二人の喧嘩、というか茜ちゃんの一方的な言い掛かりを止めようと思ったんだけど、裏目に出ちゃったね。ゴメンね、紫藤くん」
「別に、気にしていないさ。それに、避けようと思えば避けられたんだろう?」
「ん~、何の事かなあ?」
白々しい真似を、とも思うが口には出さない
あの時、人影が近くに居たから咄嗟に庇ったがその時にはティナ・ハミルトンは既にバックステップをしようとしていた
オレがシールドを掲げたからか尻餅をつく形になっていたが、恐らくはISの危険性を周囲に知らしめる為の演技だろう
「今度、放課後の訓練に一緒に参加するか?その時は訓練機の使用申請は自分で出して貰う事になるが」
「おっ、それは良いね。楽しみにしているよ」
「此方こそ、と言うべきだろうな」
アメリカ代表候補生の実力にも興味はある、専用機こそ持たないが技量の高さは歩行訓練を難なくこなしていた事から予想もつく、それこそ戦闘さえも可能な練度なのだろう、どのような戦術を取るか楽しみだ
「さて、それじゃあ訓練を続けるか。姫島さんも、まだ行けるよな?」
「――でよ……」
「うん?」
「どうして、全部一人で抱え込めるのよ!?悪いのは全部アタシじゃない!それなのに、全部自分のせいにして、少しは恨みなさいよ!アンタには当然の権利じゃない!」
「ああ、その事か。別に気にしてない、そういう事を思われても仕方のない立場なのは事実だ。だから姫島さんが言っていた事も間違いではないさ。たまたまあの人に拾われただけで、そこは間違ってないんだからな」
「そういう事を言ってるんじゃないわよ!アタシがむしゃくしゃして暴れて、その責任をアンタが取らされるのよ!?なのに、何で何も言わないのよ!」
「あー、そっちか。別に、怒っても恨んでもいないさ。同じ班である以上、その責任は班長が、この場合は先生から任されている専用機持ちに責任が行くのは当然だ。ともすれば班の人間を纏められなかったオレの責任だろう?それにな―――」
任された責任感もあるし、それ以上にオレが許容出来ない事もある、それこそ愛機であるジェガンを足蹴にされる事以上にな
「―――女の子に全部の責任負わせて自分は何も悪くありませんだなんて、そんな選択こそ糞食らえだ。男らしくない、そんな情けない真似するくらいならオレはジェガンから降りるさ。だから気にするな、全部オレの自己満足だよ」
ISのパイロットだとかそういった事の前に一人の男として失格だ、だからオレが責任を負った、そこに何の問題がある
「だからまあ、気を取り直して訓練しようぜ。とは言っても、オレの手助けは借りたくないだろうけど」
「良いわよ、別に……」
「えっ?」
「だから、手を貸してって言ってるの!アタシ一人だと無理だから!それと、その、ごめんなさい……アンタの事、ちゃんと見ずに決め付けて掛かってたから、その……」
「だから気にしてないって。それに、反省するなら訓練で成果を出して返してくれ。班の練度が高ければ全員の評価も高くなるさ。それこそ、さっきの失敗も帳消し以上になる程にな」
「う、うん……あの、ありがとう……」
「どういたしまして、というのは早いか。ちゃんと歩けるようになってからもう一度頼む」
「わ、分かったわ!だから宜しく、紫藤」
「了解した」
その後、オレが頼んだ通りに姫島さんはISでの歩行を何の補佐もなくとも出来るようになった
他の人も同じように補佐がなくとも歩けるようになったし、途中にあったあのアクシデントも良い方向に作用したのかもな
そのまま授業も終わり、オレはペナルティである訓練機の片付けをするのだった
その際にISで運ぼうと思っていたら生身でやれと言われた事でちょっとだけ後悔したのだが、結果的には成果も上がったし、これはこれでトレーニングになっているので前向きに受け入れた
何事も前向きに受け取る事が疲労を感じなくする秘訣だな、全く!
書いていたらいつの間にかコウタくんが撃墜数を一つ増やしていた、もしかしたら再登場するかもしれない姫島さん
なおクロエのバンシィの姿は『ヒメ=スカーレット バンシィ』で検索して貰えるとイメージがしやすいと思います、MS少女いいよね!