PS4を起動してバトオペ2やって、デイリー任務終わらせて、電源落としてPS3を起動する、そんな生活です
今月発売のデスリク2楽しみです(コンパイルハート好き)
24話 誕生日
六月も下旬に入ったとある土曜日、アリーナでは二機のISがテストを行っていた
片方は宇宙世紀のガンダムシリーズに出ていながらSEED系のストライカーパックであるI.W.S.P.を装備したジェガン、【ストライク・ジェガン】だ
対するもう一機は一見するとフルアーマーZZガンダムに見えるが右肩に巨大なビーム砲を担いでおり、備えていた変形機構はオミットされている
元よりモビルスーツであるならば兎も角、人間大のISでの変形機構の搭載はかなり無理がある、だがこの機体にはそもそも変形機構は搭載されていない
元となるZZガンダムより総合的なスペックでは劣るが火力は寧ろ上回る点もある、その典型とも言える武装が今オレへと向けられているハイパー・メガ・カノンだ
コロニーレーザーの二割の威力とかいうとんでも設定なZZガンダムのハイ・メガ・キャノンの六割増しという、ぶっ飛んだ火力を誇る
まず既存のISが直撃すれば一撃で撃墜必至な火器だ
戦艦の主砲と遜色ないとされるその一撃、まず掠りそうになる時点で危険な為にI.W.S.P.の肩部から伸びるレールガンにて牽制、その下に備えられている単装砲で追撃を仕掛けて撃たせる真似はしない
とはいえ向こうもパイロットの腕は一流だ、その火力に固執する事なく全身に装備された大量の小型ミサイルを撃って此方の動きを抑えようとする
この対処に追われている間にハイパー・メガ・カノンを撃とうというのだろう、だがオレはジェガンの頭部バルカンポッドと左腕に装備しているコンバインドシールドのガトリング砲で迎撃、進路を確保してミサイルの雨を切り抜ける
機体重量も増えているがI.W.S.P.はそれで尚、モビルスーツに大気圏内で飛行能力を与える推力を誇る装備だ、その速度は強化されR型となったジェガンのそれを更に上回り直線での加速は最近になって二次移行した一秋の白式・刃風にも劣らない
弾幕を突破してきたそんなオレをFAZZはバックパックの左側に備えたビームカノンを抜く、元になった機体はビームサーベル機能を備えていないがこの機体はZZガンダム同様にハイパービームサーベルとして使えるのだ
それに対してオレもコンバインドシールドを捨てて両脇に備えられている対艦刀を抜く
そして二刀とビームサーベルが触れそうになった時、ブザーが鳴りオレとFAZZは動きを止めた
「お二人共、これはテストなので熱くなり過ぎないで下さい。機体の損傷は無しでお願いします」
バンシィに身を包み今までのテストの情報収集をしていたクロエからの制止により取り敢えずISを解除するオレ達
ストライク・ジェガンのパイロットであるオレの相手をしていたのは様々な事情からラビットフット社のパイロットに正式に加入したラウラ・ボーデヴィッヒである
今はラウラの専用機の選定を兼ねた機体の評価試験となっている、その模擬戦なので本来なら機体が壊れるところまでは行わないのだが、少し熱くなり過ぎたようだ
とはいえ今ので機体の候補は全て試した、後はラウラの好みになる
「それで、ラウラはどの機体にするんだ?」
「そうだな。私としては今のFAZZの火力は惜しいが、少し重量が気になる。機体としてはシルヴァ・バレトが気に入ったから、それにあのハイパー・メガ・カノンを装備して欲しい」
「……そうすると機体の重心が右に傾くぞ」
「重心が左後方に傾いてる機体を使う男が何を言う」
「ご尤もで」
その他にも要望を聞き入れていき、言われた内容でクロエが持つ端末でデータ上のシルヴァ・バレトに手を加えていく
そうして生まれたのは右肩にハイパー・メガ・カノンを備え、全身にFAZZのミサイルポッドを外付けした機体であり、フルアーマーシルヴァ・バレトとも言える仕様だ
「ミサイル撃ちきった順にパージするから機動性の低下は抑えられるか。ハイパー・メガ・カノンに対するカウンターウエイトにもなるし、有効だな。敵陣に乗り込んで大火力をブッ放す戦術になりそうだ」
「うむ、武装を全て使い切れば後は通常のシルヴァ・バレトとして使える。だから汎用性を損なう心配もない。だが良かったのか?新参の私が初期から居る貴様より先にワンオフの機体など」
「気にするな。オレのジェガンも原型機とは比べ物にならない程のカスタムがされているからな。そこに加えられた手間はワンオフ機にも引けを取らない。それにジェガンは思い入れもある。まだ使える内は大事に乗っていくさ」
いずれ機体性能で大きく離される日が来るかもしれないが、オレが乗り換えるとしたらそんな時だろう
愛着はある、誇りもある、だがそれに固執して敵に後れを取る事だけはしたくない
それにほいほい新型に乗り換えるよりも一つの機体を極めるのも悪くない、コイツだって色々改修されているがオレと一緒にこの世界に来た存在だからな、オレはコイツを誰よりも扱いこなして見せるさ
「そういえば時間は良いのか?そろそろ夕食の時間だろう。約束があると聞いているが」
「なに!?」
「片付けと篠ノ之博士への報告はオレ達でしてるから行ってこいよ」
「すまない、助かる!ではな康太、姉上!また月曜日に会おう!」
「姉ではないです。でも、また月曜日に」
テストも終わりキリのいいところで解散しようと思ったがラウラはこの後で一秋と共に夕食を食べる約束をしていた
暗くなるのも遅くなってきた中で、その時間が近付いている事を教えるとラウラは大急ぎでアリーナを去っていった
先日の学年別トーナメントでの一件の後、ラウラと一秋は付き合う事になったのだ
それもクラスの中でラウラから告白し、その唇を奪うという積極的な行動でだ
その後で喜びの余り昇天した一秋を蘇生したり、他にもシャルロットがちゃんと女の子として転入し直してきたり、一夏とシャルロットが同じ風呂に入っていた事が発覚して隣のクラスから殴り込んで来た鈴に一夏がノックアウトそれたりと、色々だ
そんなゴタゴタした日々も落ち着きを取り戻してラウラがラビットフット社への加入を決め、距離のあったクロエとの関係も改善されてきている
なお遺伝子的にはクロエはラウラの姉になるらしいがクロエはその事を頑なに認めようとしない
普段のクロエからは考えられない事だが、自分にはその資格がないとの事らしい
オレは気にする事はないと思っているのだが本人が認めないので特には介入する気はない、なおラウラがクロエを姉と呼ぶのは遺伝子的なものの他にもかつての部隊で一部にあった「尊敬する女性の事をお姉様と呼ぶ」という事かららしい、同じ生まれで自分より人間らしいクロエに対する尊敬からのようだ
何にせよ、この不思議な姉妹の今後はこれからだ、少しずつ歩み寄っていけばいつか本物の姉妹になれるさ
「さて、オレ達も行くか」
「はい、機体は待機状態にしました。データも纏めたので後は束様に提出するだけです」
クロエの手には先程のFAZZの待機形態である赤色のハロがある
オレのジェガンと違い機能は多くない代わりにコンパクトなハロ、SEED系のサイズだ
オレのハロもその位に小さければもう少し持ち歩きが楽になるんだがなあ、バスケットボールサイズで持ち歩くのはちょっと面倒だ
一応、機能制限すればこのサイズに収まるらしく、近い内に何とかするとは言われたがこうして実際に見るとそれも近そうだ
それからアリーナを出て寮に向かうオレ達、一階にある寮長室が目的地になる
「失礼します。篠ノ之博士、テスト結果のデータとISを持ってきました」
「いい加減に離せ束!紫藤達が来たぞ!」
「やだやだやだ~!私もちーちゃんや箒ちゃん達と臨海学校に行くの~!」
織斑教諭による監視という名目で寮長室に居る篠ノ之博士に会いに来たのだが、そこでは部隊のスーツとは違いTシャツに短パンというラフな格好の織斑教諭にしがみつくウサミミの生えた不思議の国のアリスといったいつもの格好な篠ノ之博士の姿があった
「大体の事情は分かりました」
「だな」
オレとクロエはその様子を見て大体の事の顛末を把握した、そのくらいの付き合いはある
「だってちーちゃんだけじゃなくて、こーくんもくーちゃんも、箒ちゃんもいっくんもカズくんも海に行って私一人だけお留守番なんだよ!?そんな中に私一人くらい入り込んでも良いじゃない!」
「お前の立場を考えろというんだ!セキュリティの充実したIS学園ならいざ知らず、バスでの移動中に善からぬ事を企む輩が狙ってこない道理はないだろう!お前だけならまだしも他の生徒も居るのにそのようなリスクは取れない!」
子供のように駄々をこねる篠ノ之博士に対して正論をぶつける織斑教諭、普通なら織斑教諭が正しいのだが自分が正義なこの人には言葉で納得させるのは並大抵の苦労ではない
なのでオレ達が出来るのは仲介というか妥協案を出すくらいだ
「織斑先生、篠ノ之博士の同行は認める方向で進めた方が早いですよ」
「しかしだな、紫藤」
「さっすがこーくん!キミは私の味方だって信じてたよ!」
「考えても見てください。一人置いていったとしても、絶対について来ますよ。だったら始めから手綱握ってた方が良くありませんか?」
「む、確かに一理あるな」
「こーくんも私の扱い酷くない!?でも置いていかれたら絶対にやるから間違いないね!」
少しは悪びれる事をしないのだろうかこの人は……しないな、してたら明日は雨を通り越して槍が降る
そして予め篠ノ之博士が同行する前提で考えた方が建設的である以上、織斑教諭も本格的に検討を始める
「束、お前が防御策を講じるとしてどれだけの性能がある?」
「まず無人機を12機は動かせるよ。前に作ってたシミュレータでこーくんの指揮したようなジェガンD型がね。それを連れていけば表向き私を狙う輩は慎重になるでしょう?」
「一国の戦力と同等か、悪くない」
「後は携行式の簡易シールドバリアだね。ポールを設置して、それを線で結んだところにアリーナと同等のシールドバリアを張れるよ。動力に関しては一緒に小型の核融合炉を持ってくから安心してね。その二つで何処でも要塞に出来るから防御は簡単だよ」
「……理由をつけて同行を無しにしようかと思ったが、無理だったか。良いだろう、その防御策を使いお前だけでなく他の生徒達の身を護る。それに同意出来るならば同行を認める。私から学園長に伝えよう」
割りと無理難題に思えて篠ノ之博士には難しい事なんて全くなかったようである
調整はあるかもしれないが、こうなると既に篠ノ之博士の参加は決まったような物である
「まっかせてよ!ふふ~ん、箒ちゃんの専用機の為にも絶対に間に合わせるよ!」
「待て束。お前、今何と言った?」
「だから~箒ちゃんの専用機だよ。誕生日プレゼントとしてあげるの!ほらほら、こーくんの意見も取り入れて箒ちゃん用に調整したんだよ!」
「あれ完成したんですね。というか箒の奴、誕生日なんですか?何も聞いてないんですけど」
「箒ちゃんは自分から言わないだろうね。七月七日だからよかったらこーくんもプレゼントをあげてね。箒ちゃんきっと喜ぶから」
「そうですね、臨海学校用の水着も必要なので明日一度買い物に行ってきます」
「それなら私も行きます。コウタさん、一緒に行きませんか?」
「そうだな、そうするか」
わざわざ別れて行く必要もないだろう、何かあれば荷物持ちとしても手伝えるし
オレの返事にクロエは嬉しそうに微笑むが、何かを思い出したかのように訊ねた
「そういえばコウタさんの誕生日はいつなのですか?」
「オレか?九月十八日だ。三ヶ月くらい先だな」
何の因果か、宇宙世紀0079に於いて同日はガンダムが大地に立った日でもある、乙女座の私にはセンチメンタリズムな運命を感じられずにはいられない
それはさておき、訊かれたからには訊きたくなるというものだ
「そういうクロエは?」
「私は決まった誕生日がありません。なので便宜上、束様に拾って頂いた日を誕生日としています。六月一日です」
「成る程、六月一日か。ふむ………………過ぎてるじゃねえか!?」
これによって明日の休日に遅くなったがクロエの誕生日プレゼントを購入する事も追加されたのだった
◆
という訳で休日となった日曜日、オレはモノレールを使いIS学園のある人工島から本土に渡った
あまり学園の外に出る事の少ないオレ達だが目的地はレゾナンスという名前のショッピング・モールだ
駅舎を含む建物であり様々な物を扱っているこの施設は以前に買い物先としてオススメを聞いた際に『此処に無ければ市内の何処にも無い』くらいだという、なお情報提供者は同じクラスの相川さん達である
IS学園と本土を結ぶモノレールは利用者の少なさから駅が違う為に一度外に出る必要がある、そして駅前の噴水がある広場に行くと目当ての人物を見付けた
「すまない、待たせた」
「大丈夫です、私も今来たばかりですから」
その相手とはクロエである、最近は学園の制服姿だったので久し振りに見る白と青のゴスロリドレスに身を包んだ姿で噴水前に立っていた
少し用事があるからとオレより先に本土に渡っていたクロエだが、その用事とやらは終わり待ち合わせ場所としていた此処に先に着いていたようだ
というか、このやり取りだとまるでデートの待ち合わせだったかのように思えて何だか気恥ずかしい……周囲の野郎共の視線も痛いし
分かっていた事だがクロエは美少女だ、さっきもオレを待って噴水前に立っていた姿は周囲から一際目立って見えた程に
ミステリアス系な美少女のクロエと頬に傷があるものの顔立ちは平凡なオレ、どうみても釣り合っていないだろうオレ達二人が恋人だとしたら周囲の野郎共が納得いかないような顔をしているのも頷ける、オレも端から同じような光景を見たらそう思うだろうし
「どうかされましたか、コウタさん?」
「いや、何でもない。それより、行こうか」
「はい!」
このまま此処に居ても野郎共からの嫉妬の視線か、何だか微笑ましい物を見たかのような温かい視線だけなので早々に移動する事にした
その際、クロエが自然とオレの左手をとり手を繋いできた、滑らかで柔らかい、オレとは違う手の感触と体温にちょっと緊張したが、これは人が多いからはぐれないようにする為の行為だ、そう納得してショッピング・モール、レゾナンスに入る
外から見てもかなりの大きさなのは分かっていたが、こうして中に入ると多種多様な店が出店しているのに圧倒される
そんな中でまずは最初の目的であった水着を探す事にした、地図によると二階か
エスカレーターを使い二階に上がった後、その水着売り場に辿り着いたのだが、何やら見知った顔が
「あ、康太にクロエじゃないか!二人も水着を買いにきたのか?」
「そういう一夏もな。それにシャルロットと一緒か。そっちはデートか?」
そこに居たのは一夏とシャルロットだった
二人とも私服姿で他のいつもの面子の姿は見えない、つまりは二人っきりで来たという事だ
「デデデデートォッ!?」
「いやいや、単に買い物に来ただけだって。なあシャル」
「あ、うん、そうだね……」
オレが言ったデートという言葉に過剰に反応していたシャルロットだが、一夏の反応で一気に冷めた反応になる
うーむ、これが唐変木として有名な一夏の対応か、そりゃ箒や鈴も苦戦するわな
「そういえば、そっちはどうなんだ?俺達がデートに見えるなら、そっちもそうだろう?」
「オレ達も水着選びと、プレゼント探しだ。箒が今度誕生日だって篠ノ之博士から聞いてな」
「康太も聞いたのか。俺も久し振りに誕生日を祝うからな、後で選ぶつもりだぜ」
「そうか。なら後で一緒に回るか。箒の好みとか、和風というくらいしか知らないからな」
「確かに和風が好きだから、その辺りを選べば間違いないと思うぜ。けど後で一緒に回るのは賛成だ。だから先に水着を選んでおこうか」
シャルロットには気の毒であるが、箒との付き合いが長い一夏には箒の好みとかで色々聞きたいからな
とはいえ今ので大体分かったから、後でアクセサリーの店とかで髪飾りでも買おうと思っているのだが
「ねえ、そこの男二人」
「ん?」
一先ずは水着選びから、そう思っていたのだが見知らぬ女性から話し掛けられる
何処かで会った事があるのかと記憶を探るが思い出せない、恐らくは初対面だな
「どっちでもいいけど、そこの水着、片付けておいて」
「は?何で?」
「何でって、あんた男でしょう?」
「そうだな」
「なら黙って女の言うことに従っておけばいいのよ!」
「その理由が分からないから聞いてるんだがな」
いきなり見ず知らずの人間に、自分が見ていた商品を片付けろと言われて『はいそうですか』となる訳がない
それに、男だ女だと、何を言ってるんだ?
「たくっ、これだから男は!いい、今の世界で国を護ってるのは私達女なのよ!男が使えないISを使って、私達女が国を護ってあげてるの!だから役立たずの男は女の命令に黙って従ってれば良いのよ!」
「成る程、そういう理屈か」
確かに既存の兵器を上回るISは基本的に女性にしか扱えない、そしてISにはISで対抗するのが手っ取り早い、というかIS以外だと一気に勝率が低くなる
だから女が国を護っているという理屈はまあ頷けるものではある
「分かった?ならさっさと片付けなさいよ」
「だが断る」
理解はしたのだが、オレの結論としては『だからどうした?』である
確かに国防を担うのは女性だが、目の前の女がISのパイロットという訳ではない
なのに実際に現場で身を張っている人間の力を笠に着ているだけの人間に従う義理も何もない
「別におかしな話じゃないだろう?そこまでISを誇示するならば、お前のISを展開してみろ。その上でオレに勝ったなら話を聞いてやろう」
「はあ?馬鹿じゃないの?ISは貴重なのよ?私が持ってる訳がないじゃない」
「ならお前が威張れる理由もないな」
「グッ、けどいざという時にはISを起動出来る。起動すら出来ないあんたとは比べ物に―――」
「起動出来ますよ」
痛いところを突いてやったが、尚も屁理屈を捏ねようとする女に横からクロエが言葉を挟んだ
「誰よ、あんた」
「私はコウタさんと同じ企業に所属する者です。そして、コウタさんはISを起動出来ます」
「はあ?こいつは男なのよ?男がIS、なん、て……まさか!?」
「はい、コウタさんはラビットフット社のテストパイロットで、世界で三人しか居ない男性操縦者の一人です。そして専用機としてストライク・ジェガンを与えられています。そして、私も同じくラビットフット社のパイロットです。専用機はバンシィと言います」
「なっ……あっ……!?」
「序でに俺もラビットフット社のパイロットで、専用機はユニコーンだぜ!」
「あ、ボクはデュノア社だけどテストパイロットをやってるよ。専用機はラファール・リヴァイヴ・カスタムⅢね」
どうやらオレがISの操縦者だと思い至ったらしく、クロエがオレのプロフィールを簡潔に話す
そしてクロエもまた専用機持ちであり、更に便乗して一夏とシャルロットもまた専用機持ちだと明かすと女の顔色がどんどん悪くなっていく
「す……」
「す?」
「すみませんでしたぁぁぁぁぁッ!?」
次の瞬間、女は脱兎の如く逃げ出していった、女という特権を振りかざしていたら、本物のISパイロットに遭遇したのだから仕方あるまい、というかIS学園に程近いこの場所で専用機持ちに遭遇しないと何故思ったのか、男の操縦者が今年から入ったからか?
まあ何にせよ、頭のおかしな女が走り去っていったから問題ないか
「そういえば康太、アイツ片付けろとか言ってた水着、そのまま置いていってるけど、どうする?」
「あっ」
しまった、そもそもの原因となった水着がそのままだ
しかも女物の水着だからな、それを男のオレが片付ける?うん、社会的に死ねるな
さてどうするか、そう思っていると救世主が現れた
「何をしているんだ、お前達は?」
「あ、織斑先生。それと山田先生と……あの、出てきて大丈夫なんですか、篠ノ之博士」
「仕方あるまい、コイツも一緒に行く以上は水着が必要になるんだ」
「その為に学園の機体の持ち出し許可まで降りたんです。一時的とはいえ専用機なんて、学生の時以来ですよ」
「それに、束さんの事を本人って思う人は少ないよ!この天才の私が此処に居るなんて思う人間は少ないって、こーくん!」
現れたのは織斑教諭と山田先生、そして篠ノ之博士の三人である
昨日、買い物する予定は話していたがこうして会うとはあまり考えてなかった
「それで、何かあったのか?先程、顔色の悪い女性が此方から走ってくるのを見たが」
「千冬ね……織斑先生、実は―――」
「今は学園の外だから普段通りの態度で構わないぞ、一夏」
「あ、そうなのか?なら言うけど、実はな―――」
そう言って一夏は先程の顛末を説明していく
それを聞いた三人は納得し、そして織斑教諭と山田先生は頭を押さえていた
「前にも増して女尊男卑の影響が強くなってきたと思っていたが、そこまでか……」
「身近だとオルコットさんがそんな感じでしたね。今は紫藤君との試合から改善されましたけど、もしあのままだったらと思うと頭が痛くなります。他のクラスでも幾らかは存在しているみたいですし、悩ましいですね」
「う~ん、そんな連中は皆吹っ飛ばしちゃえば良いんじゃないかな?私はそんな下らない事の為にISを作ったんじゃないのにさ」
と、このように三者三様の反応を返された
篠ノ之博士だけは平常運転だが、やはり先程の女性のような人間は増えてきているらしい
「オレには全く実感のない事ですね。そこまで酷いんですか?」
「そうか、紫藤は思えばそういう生まれだったな。なら仕方ないか」
「え?………………あっ、そうでした!紫藤君は生まれが特殊なのを忘れてました」
女尊男卑という思想の事だが普通の世界に居たオレにはあまり分からない、だからその一片を目の当たりにしても、実感が湧かないのだ
だが今の状態が続くようなら、先程の女性よりも更に酷い思想の人間が居るというのなら、きっとその跳ね返りは存在する
「もしもISに対抗可能な男でも扱える兵器が出てきたら。そう考えると恐いな」
自然と呟いたその一言、それが後々になって現実となるなんて事をオレはこの時はまだ知らなかった
途中に出てきたクロエの誕生日に関してはオリジナルです
そういえばクロエってなんだかコウタくんと恋人になったりした後で依存度が凄そう
コウタくんは無事にクロエと結婚して小さな飲食店を開きつつ一子を授かる事が出来るのか(クロエ繋がり)
なおクロエは今はまだ積極的に恋人になろうとはしていません、宇宙を目指すコウタくんには余計な事に気を取られたくないから、と
二人の関係が進むのはもう少し先の方です