ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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今回から戦闘開始、なおコウタくんの正体に関する情報が他の面々にも多少は伝えられる模様

そしてボスとなる敵の影も見えてきます


30話 死の軍団

「では現状を説明する」

 

唐突に集められた専用機持ちと教師部隊の面々を前に旅館の一番奥にある大座敷、風花の間で千冬はそう切り出した

 

部屋の中は持ち込まれたパソコンや大型の空中投影ディスプレイによって臨時の司令室となっている、そしてその空中投影ディスプレイに新たな情報が映し出される

 

「二時間前、ハワイ沖で稼働試験を行っていたアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型軍用IS、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)に所属不明の武装勢力が襲撃を仕掛けた。情報によれば試験に当たっていた部隊は全滅、銀の福音とその護衛として配備されていたアメリカの第三世代機、ファング・クエイクの二機はその場を離脱、だがアメリカ本土への方向に敵の包囲網が敷かれていたらしく、この日本方面へと逃れて来ている。どうにも在日米軍との合流を目指しているらしい」

 

「織斑先生、それだと我々が召集された理由が分かりません」

 

「その疑問も尤もだと思う。今回の任務は銀の福音、ファング・クエイクの撤退支援となる。現在も二機は敵勢力の追撃を受けているとの事だ」

 

「分からないな。IS学園は如何なる組織の干渉も受けないという決まりになっている。米軍から要請があって受け入れたんですか?」

 

「それに関してもこれから説明する。今回の任務を出したのは学園上層部ではなくIS委員会だ。学園はそれを請けた形となる。そしてその理由というのが、武装勢力はISではなく、ISに似た兵器を使用しているという事だ。その数、現時点で確認されているだけでも二百機を超える」

 

「に、二百……!?」

 

「ISに対抗可能な兵器だなんて……」

 

伝えられる内容に対して違和感を感じていた康太の質問に千冬が答え、その回答に対してこの場に集まっていた誰もが驚愕していた

 

落ち着いている者と言えば千冬と康太、そして束とエイフマンくらいのものだ

 

「成る程、政治的な理由による介入ですか」

 

「そう言うな。ISの存在による影響はお前も知っているだろう?」

 

「当然ですよ。ISを倒せるのはISだけ。そんな認識によって生まれたクリーンな戦争。授業でも習いましたからね」

 

この世界ではISの数がパワーバランスをそのまま決定着けている

 

だから戦争が起きればまずIS同士がぶつかる、ISでの決着が着けばそこで勝敗は決する、それまでの兵器ではISに対抗出来ないからだ

 

そしてISが敗れればその時点で降伏する事になっている、抵抗は無意味、その後の余計な武力行使は行われない

 

そんなIS絶対論とも言える戦略がこの世界の戦争を変えた、ISも絶対防御により死者が出ない、ISの戦闘だけで誰も死者を出さないクリーンな戦争、それが歪ながらもこの世界で平和を維持していた、全てではないが金食い虫と呼ばれた通常戦力の縮小による軍人のリストラという犠牲を払いつつもだ

 

だが此処でもしもISに対抗可能な兵器が出たとしよう、それは量産可能であり、更にはISを倒せたとしよう

 

そうなるとどのような結果になるかは明白だ、ISが抑止力足り得なくなり戦争は以前と同じく無数の屍を積み上げる物となるだろう

 

その為にも今の状況で、しかも世界最強を自負するアメリカの新型ISが敗れるというシナリオだけは避けたい、そんな上層部の思惑によりIS学園に白羽の矢が立ったのだ

 

「紫藤の言ったように、今回の任務は極めて政治的な理由による物だ。だがこの先、戦争による死者を出さないよりはずっと良い。その為にも諸君の力を貸して欲しい」

 

千冬の言葉に反対する者は居なかった、教員や代表候補生、正義感の強い一夏は元より余計な戦乱により宇宙開発に支障が出る事を懸念した康太も異論はない

 

そんな全員の様子を見た千冬はディスプレイを操作、具体的な作戦の内容に移る

 

「今回の作戦は速度を重視したい。可能な限り早く米軍の二機と合流、敵部隊に打撃を与えつつ即座に撤退する。敵の航続距離は不明だがISよりは短いと見て良いだろう」

 

目的は殲滅ではなく回収、なので足の速い機体の出番となる

 

「織斑先生、敵部隊の詳細についてお願いいたします」

 

「勿論だ。敵部隊の使用する兵器は、個々の性能はISに大きく劣る。そこを数でカバーしているようだが、厄介な事に自己修復能力を備えているらしい。損傷を与えても暫くすると修復するようだ。威力の高い攻撃で大きく破損させると機能を停止するらしいが、数で押されてその隙を見出だせないらしい。それと、これが向こうから送られてきた敵機の画像だ。ISで撮影した物だから確度は高い」

 

セシリアの質問に答えた千冬はディスプレイにその敵機の姿を映し出す

 

大型の翼を備え、エネルギー兵器の砲身を兼ねた巨大な腕が大きく目を引く機体だ、その中央には暗い緑色をした機体が存在し、それがコアユニットとなるのだろう、頭頂部にある角と大きな一つ目が特徴的な機体がそこに居た

 

既存の機体とは系統が異なる敵機の姿を見て考察する面々だが、その中で大きく反応した者が居た、康太だ

 

座っていた椅子から立ち上がり驚愕した表情を浮かべていたが直ぐに視線を鋭くし、その雰囲気には殺気さえも滲んでいた

 

「紫藤、この機体について何か知っているのか?」

 

「ええ、知ってますよ。そしてこれが何で起動してるのか知りませんけど、もし何者かが目覚めさせたというならソイツを殺してやりたいと思える程ですね」

 

千冬は康太の正体を知っている、だから大きく反応を示したという事は敵機の正体に関しても掴んでいるという事だ

 

「成る程、お前の案件か。なら敵機に関する情報を頼む。それが全員の役に立つ筈だ」

 

「分かりました。以前、篠ノ之博士に聞いた話でもしやと思ってましたが、嫌な予感が当たりましたね」

 

千冬に言われて康太は前に出ると端末に自身が持っていた端末を接続、中のフォルダを開いていくとそこに先程の敵機の3Dモデルが表示される

 

「機体名デスバーディ、とある存在が自らの尖兵として生み出したデスアーミーと呼ばれる機体の空戦仕様。武装は見ての通り格闘も可能なクロー状のビーム砲。また飛行ユニットを切り離す事でデフォルトのデスアーミーになる事も出来る。その際の性能はデスアーミーと色以外差はない」

 

追加でデスアーミーのデータも表示されるが武装が金棒型ビームライフルのみと書かれている

 

まだ見ぬ敵の情報をあっさりと提示してみせた康太に事情を知らない者達は困惑するが康太は無視して説明を続ける

 

「デスアーミーを始めとしてこれ等の機体の一番の特徴はDG細胞による自己修復機能にある。これは一種のナノマシンと思って貰いたい。このDG細胞は自己再生の他にも自己増殖、自己進化の能力を持つ。よって機体のエネルギーを生み出したり、機体の構造材の生産さえも可能としている」

 

その能力に聞いていた全員がどよめく、もしもそれがISに使用出来ればその性能が何れだけ高くなるか想像したからだ

 

だがうまい話には裏がある、そんな幻想は直ぐに康太が続けた説明で砕かれる

 

「しかしその活動には健康な生命体を必要不可欠である。これはDG細胞が人の意思に大きく作用するからであり、一定のエネルギー供給が無ければ活動は促進されない。だがDG細胞は無機物でありながら有機物を侵食し個体そのものを変化させてしまうという特性がある。完全に侵食された際の姿がこれだ」

 

「ヒッ……!?」

 

ディスプレイに追加で表示されたのは体中をチューブに繋がれた、まさにゾンビとも言うべき姿であり、その姿を見て大きく悲鳴を上げた山田先生以外にも恐怖を感じた人間は多かった

 

「脳や生命器官を侵食されるとこの姿になる。最早この段階になると自我や知性は消失し、人としては死んだと言える状態となる。侵食が軽度なら侵食された場所を外科的に除去する事で助かるが、こうなると完全に息の根を止めてやるしかない。他にも今回の作戦では海が近い事から水中型のデスネービーや四脚狙撃型のデスビーストの出現も考えられる。以上がオレの知る限りの情報だ」

 

そこまで伝えると康太は自身の端末からデータをコピーして学園側の端末に移す

 

その後はまた千冬に任せる形となるが、千冬から呼び止められて席には戻らない

 

「情報提供に感謝する。各自、他に質問はあるか?紫藤が伝え忘れている、または些細な内容だと話していない内容があるかもしれない。聞いての通り今回の作戦で対峙する敵機は凶悪だ。後で後悔する事になるかもしれんぞ」

 

そう言ってパイロット達を見回すと一人の教員が手を挙げた

 

「その、織斑先生。彼は何者なんですか?此処まで詳細な情報を持っているとなると、その……」

 

「紫藤が敵と繋がっている、という可能性については無いと断言出来る。それは私と束が保証しよう。寧ろあの兵器に先程の人でなくなった者が乗せられている事に対する怒りを隠しきれていなかった点から信用して欲しい」

 

「こーくんなら信用して良いよ。詳しい事は内緒だけど、敵じゃないのは確かだからね」

 

この場で指揮を執る千冬と、ISの生みの親である束の言葉、その二人が言うのならとその教員は完全には納得していないが引き下がる

 

「はい」

 

「ふむ、どうしたオルコット」

 

「康太さんの事は信頼してますので、私がお聞きしたいのは敵の性能に関してですわ。どの程度の戦力差だとお考えですの?それと、まだ何か話してない名称等がありましたらそれもお願い致します。そこからまた何か分かるかもしれないので」

 

「成る程。オレが知る存在とかなり違うから予想だが、織斑先生と同じで単機なら圧倒的にISが上だ。けどこれは数で圧倒する機体だからタイマンは殆んど有り得ないと思ってくれ。それと、名称だが……ああ、そうだ。敵機の生体ユニットとして取り込まれた人間の成れの果てだが、ゾンビ兵と呼称してる。他はあるか?」

 

「ならば次は私だ。お前は敵機をとある存在の尖兵と呼んだな。とある存在とは、何だ?」

 

セシリアからの質問に答えた後ラウラが康太に訊ねる、だが康太はその質問に答えるべきか悩んでいた

 

「………………デスアーミーを始めとした機体は、全てデビルガンダムと呼ばれる存在の尖兵だ。時としてデスアーミーは自らをデビルガンダムのエネルギー源とする。自我を失ったゾンビ兵を統率しているのがデビルガンダムという存在だ」

 

そう言ってモニターに端末を再接続して映し出したのはアルティメットガンダムと呼ばれていた頃のデビルガンダムの姿であった

 

それに続いて様々な形状に変化しているデビルガンダムの姿も映し出される

 

「成る程、それが親玉か。しかし、デビルは分かるとして、ガンダムとは何だ?」

 

「ガンダムは……んー、改めて問われると……オレの人生の半分以上を形作ってる概念?」

 

「そ、そうか。ならば質問を変えよう。お前の機体や一夏のユニコーンが変身した姿とそのデビルガンダムと呼ばれる機体の頭部の意匠が似ているのは何か理由があるのか?」

 

「ああ、それならオレの機体は正式にはストライク・ジェガンガンダムヘッド仕様だし、一夏の機体はユニコーンガンダムだからな。目が二つついててアンテナ生えてりゃマスコミがみんなガンダムにしちまうのさ!バカのひとつおぼえだよ。とまあ、二つ目とV字アンテナがガンダムという分類の条件の一つだ。色々な種類が居るから一概には言えないけどな」

 

「う~む、どうにも要領を得ないが……取り敢えずは納得しておくとしよう」

 

ガンダムという存在を語ると康太の正体を語らなければならない、その為、康太は有耶無耶にして質問を流した

 

そしてラウラの次に手を挙げたのは鈴だ

 

「そんな危険な存在、アンタなら作られた理由も知ってるんじゃないの?」

 

「そうだな。元はアルティメットガンダムと呼ばれ、地球環境の再生を目的として生み出された。DG細胞もアルティメット細胞、U細胞と呼称されていた。それこそ汚染物質を分子レベルで除去する事が出来た。だがある時、アルティメットガンダムは自己再生・自己増殖・自己進化の三大理論を飛躍させ、一つの結論に行き着いてしまった。それが原因で人間の侵食等が始まり、その危険性からデビルガンダムと名を改められたんだ」

 

「その結論って何なのよ?」

 

「地球環境を破壊する最大要因の排除、すなわち人類の抹殺だ。だから破壊された、筈なんだけどなあ……」

 

「アンタにも予想外の事態って事ね。取り敢えず私が知りたい事は分かったわ」

 

「そうか。他は……シャルロットか」

 

「うん。そのデビルガンダムって存在が目覚めたとして、それが今米軍のISを狙うのって何か理由があるのかな?」

 

「分からん。誰かが意図的に目覚めさせて制御下に置いているなら、それは目覚めさせた連中の狙いだろう。そしてデビルガンダムが自ら目覚めたとするなら……そうだな、デビルガンダム本体の生体ユニットとする為、かもしれない。さっきも言ったがDG細胞が活動するには生体ユニットが必要不可欠だ。その大本のデビルガンダムの生体ユニットともなればそれはかなり限定される。そしてそれに対する一つの結論がある。生体ユニットとして最も適しているとされるのは『次世代の生命を生み出す力を持つもの、すなわち女性である』とな。ISの、それも新型のパイロットを任される程の女性なら、と判断してもおかしくはない」

 

「そっか……うん、ありがとう。あまり気持ちの良い物じゃないけどね……」

 

「まあな。デスアーミー軍団が居るという事は、その数だけ既に犠牲者が居るという事だ。予想だが、デビルガンダムはまだ完全に目覚めてはいないと思う。その復活の阻止、またはそれを妨害する為にも目の前の敵は放置出来ない」

 

他に質問は、と康太が促すが今度は誰もが質問を終えたのか誰も手を挙げない

 

それを見て後ろに回っていた千冬が前に出る

 

「諸君、聞いての通りだ。紫藤からもたらされた情報により、敵の強大さは良く分かった事だろう。今回の作戦、与えられた任務によるもの以上に重要な物となる。では編成を伝える。今回は速力重視だ。それと作戦目標を変更する。第一目標は米軍ISの回収、そして第二目標を敵部隊の殲滅とする。この為、部隊を三つに分ける。第一部隊を足の速い機体で構成する。これで第一目標を達成、そして敵の誘引を行う。第二部隊は主力だ。誘引した敵部隊を殲滅、また第一部隊の撤退支援だ。第三部隊はこの場の防衛、紫藤からの情報で水中にも敵が潜んでいる可能性がある以上、他の生徒の身も守らねばならない。これは足の遅い機体の他、適した者を選出する」

 

その言葉により次々と部隊の編成が行われる、第一部隊として機体特性や性能を鑑みた結果、康太、クロエ、シャルロット、箒、一夏、一秋の六名が選出された

 

これはまず康太は情報を持っている事から確定し、機体の速度がある箒と一秋が選ばれ、次に長距離の移動となるのでストライカーパックの換装によりエネルギーの補給手段があるシャルロット、そしてラビットフット社で開発していた支援機であるベースジャバー二機の操作としてクロエと一夏が選ばれた

 

康太もまた機体はストライカーパック対応型なので補給は可能だ、というよりも複数のストライカーパックを拡張領域に収納している事から一番エネルギー量に余裕が出来ていた、更には第一部隊の指揮を執る事が決まった

 

そして第二部隊だが、此方は殆んどが主力であり、セシリアと鈴、ラビットフット社の用意した無人機仕様のジェガンが八機、教員部隊からジェガンを扱う者が二名出る事になった

 

最後の第三部隊は機体が重武装となったシルヴァ・バレトを扱うラウラと残っている無人機仕様のジェガン四機、そして性能的に残された打鉄とラファール・リヴァイヴを扱う教員四名からなる部隊だ

 

そうして全ての準備が整ったのはブリーフィングから三十分が経ってから、砂浜ではスペキュラムストライカーを装備した康太のストライク・ジェガンとエールストライカーを装備したシャルロットのラファール・リヴァイヴ・カスタムⅢ、二機のベースジャバーに二人ずつ乗り込んだクロエ、箒、一夏、一秋が発進しようとしていた

 

「全員、準備は良いか?」

 

「コスモグラスパーとの連動完了。空中換装はぶっつけ本番になるけど大丈夫だよ」

 

「ベースジャバー一番機、問題ありません」

 

「二番機も同じく」

 

「よし、なら行こうか。オレ達の目標は米軍ISの回収。突っ込んで適当に敵に向かって撃った後は一目散に逃げるのが目的だ。合流したら米軍ISはそれぞれベースジャバーに乗せる。箒と一秋は自身で飛行して戻る。クロエと一夏はベースジャバーの操作。それで良いな?」

 

編成の際に伝えられた役割、それとは別に康太にはデスバーディの性能を確かめるという役割もあった

 

康太の確認に全員が返事を返したところでブースターにエネルギーが集まっていく

 

目指す先に居るのは死者の軍勢、されに対する一矢となって第一部隊の六人は太平洋へと飛翔していった

 

 

太平洋沖の海上、そこでは二機のISが戦闘を行っていた

 

一機はその名の通り全身を銀色の装甲で覆い背部に一対の翼を備える機体、銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

 

もう一機は通常の四肢に加えて背面から巨大な腕が伸びる機体、ファング・クエイクだ

 

どちらも米軍に所属する第三世代機であり世界最強の大国が威信を懸けて開発した機体である、だが今の二機はそのような事が信じられない程に追い詰められていた

 

どちらも装甲は破損し、福音の翼は片方が半分の所で千切れており、ファング・クエイクは背面の片腕が根本から無くなっていた

 

「だーッ!クソッ!こいつらうざってぇ!ナタル、そっちはどうだ!?」

 

「こっちも似たようなものよ。全く、広域殲滅型が呆れるわね。まさか火力が足りないなんて……」

 

「チッ!大体コイツ等は何なんだ!?ISに対抗出来るなんざ、どうなってんだ!?」

 

「知らないわよ。上も何も知らないみたい。けど片腕吹き飛ばしても再生してくるから無人機で間違いないでしょうね」

 

「その再生がうざってぇんだよ!で、上は増援に関して何か言ってたか?もうエネルギーが残り二割しかねえ」

 

「こっちも同じね。一応、近くに居たIS学園から何機か派遣して貰える形で話が着いているわ。私達はそこまで向かうのよ」

 

「IS学園だあ!?ガキと旧式持った民間人で何になるって言うんだ!上のクソ共め、後で締めてやる!」

 

「そう言わないの、応援に来てくれるだけでも全然違うわよ。それに、上に文句言う為にも生き残らないと―――イーリス、上よ!!」

 

「なっ!?この一つ目野郎が!!」

 

軽口を叩き合いながらも迫り来る無数のデスバーディを捌いていた二人、だが長時間の戦闘により機体へのダメージは積もり、パイロットも疲労していた

 

その注意が逸れた一瞬の隙を突いて一機のデスバーディが巨大な腕でファング・クエイクの頭部を掴んだ

 

ファング・クエイクのパイロットであるイーリス・コーリングの眼前に突き付けられるビーム砲の砲口、そこに光が集まってくるのを見てやられるとイーリスが思った時、そのビーム砲を一条の閃光が貫いた

 

「うおっ!?」

 

「イーリス、無事!?」

 

「あ、ああ……けど、何が―――」

 

自身を掴んでいた腕が突然千切れ飛んだ事で自由になるイーリス、その危機を救った閃光は立て続けに放たれ更に別のデスバーディの頭部を次々に貫いていく

 

一体何が、と二人が思っているとそこに赤と白の機体が躍り出る

 

「行くぞ一夏!」

 

「分かってる!」

 

それは紅椿とユニコーンであり、二機は周囲を囲むデスバーディにビームを放つ

 

紅椿の両の刀から放たれるビームがデスバーディを切り裂き、ユニコーンのビームマグナムが圧倒的な熱量で蒸発させていく

 

そんな二人に遅れて二機のベースジャバーと、それを護衛するラファールと白式・刃風も合流する

 

ベースジャバーの二番機、一夏と操作を代わり狙撃型のガンナーストライカーを装備した康太がライフルを構えつつ困惑していたナターシャとイーリスの二人に声を掛ける

 

「米軍の二機、ナターシャ・ファイルスとイーリス・コーリングだな?」

 

「えぇ、その通りよ。もしかしてだけど、IS学園の増援?」

 

「そうだ、学園上層部からの任務で来た。この後、少し連中に損害を与えてから撤退する。二人はこの機体に別れて乗ってくれ」

 

「分かったわ。イーリス、聞いたわね?此処は退くわよ」

 

「あいよ。おい、さっきの狙撃はお前か?ガキのくせにやるじゃねえか!」

 

「もう、イーリスったら。ごめんなさいね、彼女口が悪いけど根は良い子なのよ」

 

「問題ない。オレもタメ口だしな。一夏、箒、下がるぞ!各機、敵部隊に向け全ての火器を全力投射!一撃加えた後に反転、主力部隊との合流地点へ向かう!」

 

『了解!』

 

「同時攻撃、撃て(てぇ)ッ!」

 

康太の出した合図と同時に全ての機体が装備した火器が火を噴き、何機とのデスバーディを撃墜していく

 

それにはナターシャとイーリスも加わり、それぞれ銀の鐘(シルバーベル)と手持ち式のアサルトライフルで今までのお返しとばかりに火力を集中させた

 

「よし、退くぞ!一夏、ベースジャバーの操作を代われ!」

 

「分かった!」

 

それにより時間的に余裕が出来た事で一夏と康太はベースジャバーの操作を交代した、ガンナーストライカーからスペキュラムストライカーへと装備を換装し、シャルロットも少し離れた空域で待機していたコスモグラスパーからエールストライカーを受け取り換装、エネルギー補給を済ませると二人は最高速で飛翔する

 

クロエと一夏がそれぞれナターシャとイーリスをベースジャバーに乗せ、箒と一秋は自身の機体で飛行しその場を離脱した

 

これによりIS学園側が立てた作戦の第一段階は達成された

 

そして狙い通りに残存するデスバーディは第一部隊並びに米軍ISの追撃を開始する、だがそれを伝えられた主力となる第二部隊もまた迎撃の為に行動を開始するのであった

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