ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

32 / 82
コウタくんの二次移行への準備の為の装備やら経験やら、着々と積み重ねていってます


32話 最終兵士

予想だにしなかったジェガンからの不意打ちを受けたクロエとラウラは回避も反撃もする事が出来ずにビームサーベルの一撃を受け、機体の絶対防御が発動する

 

それにより二人は命に別状はない、だが戦闘で消耗した状態での絶対防御の発動は残っていた機体のエネルギーを全て使い果たし、二人の機体が強制解除される

 

ジェガンはそれを見て今度こそ止めを差そうとビームサーベルを構え直し、そこにビームライフルの射撃が割り込む

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!」

 

更に一夏がクレセントムーンを構えて瞬時加速により突進してくると執着することなく退いた

 

ジェガンが持っているビームサーベルはエールストライカーに装備されていたSEED系技術の物である、故に斬り結ぶという事が出来ないと分かっているからだ

 

「康太!お前、自分が何をしてるか分かってるのか!?」

 

振り抜いたクレセントムーンを構え直し、一夏が怒気を強めた口調でジェガンに向かって問い掛けるが返ってきたのは沈黙、そして振るわれるビームサーベルによる攻撃だ

 

先程ビームライフルを撃ったシャルロットはガーデン・ストライカーのシールドを前に向けて後ろにクロエとラウラを庇い、ライフルを向ける

 

何故味方である筈の康太が此方を狙うのか、デビルガンダムという存在を康太が予め知っていたという事を思い出したシャルロットは裏切りという可能性が脳裏を過る

 

だが後ろで倒れていたクロエが体を起こすとジェガンを見据えてはっきりした声で告げた

 

「アレは、コウタさんではありません。別の機体です」

 

「クロエ!?体は平気なの!?」

 

「はい、なんとか……それより、アレはコウタさんじゃありません。別の敵です」

 

「別って、でもストライカーパックを―――」

 

『くーちゃんの言ってる事は本当だよ。主力部隊に付けてた無人機のジェガンが一機、さっきから応答しないの。そして、こーくんは今も前線で四天王の一機と交戦してる。だから目の前のアレはこーくんを騙る偽物だ!』

 

「偽物!?良かった、なら遠慮なく行ける!」

 

康太との戦闘になるかと覚悟した一夏だったが、それが偽物と分かると躊躇う理由も無くなった

 

クレセントムーンを上段に構えての振り下ろし、ユニコーンの扱いにも慣れて生身と同じように全身を駆使して放つ一撃は並みのISでは受け止める事も出来ない

 

だがジェガンは攻撃が当たる瞬間に一歩横に動くという最小限の動きだけで避けた

 

「なっ!?」

 

自分でもかつてない程に研ぎ澄まされた一撃だった、そう確信出来ただけに一夏は此方の対応を許さないギリギリで避けたジェガンの動きに驚愕する

 

更にはクレセントムーンを振った勢いを利用され足を払われると背中から地面に投げ飛ばされ、受け身も取る事が出来ずにその衝撃を背中に受けた

 

呼吸が詰まる、痛みで視界が明滅する中でジェガンがビームサーベルを構えて突きを放とうとする

 

「一夏!」

 

しかしそれは咄嗟に箒が放った空裂によるビームで阻まれた

 

広範囲を狙うビームが横薙ぎに放たれる事で地面に倒れる一夏の眼前を通り過ぎていく

 

ジェガンは上に飛ぶ事で回避し、攻撃が通り過ぎた後に着地した

 

何処から拾ったのかジェガンのシールドを構え、片膝を着いて新たに腰からビームサーベルを抜いて持つ姿には言い知れない威圧感が感じられた

 

「何なのだ、この動きは!?あれは単なる無人機ではないのか!?」

 

『箒ちゃん、皆、良く聞いて。無人機のジェガンは全てこーくんのデータが反映されてるんだけど、その機体はリミッターが外されてる。普段は模擬戦とかやってる時のデータなんだけど、リミッターを外すと実戦の時の、IS適性Sランクの時のこーくんのデータが使われるの。正真正銘、本気のこーくんを相手にしていると思って』

 

束の説明から全員の頭に浮かんだのは圧倒的な性能差をはね除けて第四世代機である紅椿に傷を付けた程の技量を見せた康太の姿だった

 

あの時、一時的にIS適性がSランクという世界レベルまで押し上げられたと聞いている

 

そんな存在を前にして専用機持ち達は足が止まる、だがそれを真に受けていない者達も居た

 

「例えそうだとしても、相手は一機!」

 

「複数機で囲めば勝機はある!」

 

「たかが学生ごときに!」

 

それはIS学園の教員部隊の三人である、それぞれ打鉄やラファール・リヴァイヴを身に纏い貸与されているビームライフルとビームサーベルでジェガンを狙う

 

だがそれらの攻撃は全て空を切る、ビームライフルは避けられ、接近したところでビームサーベルはシールドで受け止められる

 

ならば一機が注意を引き付けている間に他の二機でと掛かるが、即座に斬り結んでいた打鉄に膝蹴りを入れると反転、ビームライフルを構えるラファール・リヴァイヴとの間にもう一機のラファール・リヴァイヴを挟みビームサーベルを構えて接近、シールドで殴り付けた所でパイロットの頭を掴み、もう一機に接近する為の楯とする

 

味方を撃つ訳にはいかないその教員はどう対処すべきか判断に迷う、そしてその迷った一瞬の間にジェガンはビームサーベルでラファール・リヴァイヴを斬り捨てた

 

絶対防御の発動、それに伴うエネルギーの枯渇による機体の強制解除、まだ残っているラファール・リヴァイヴもパイロットが殴られた事で昏倒としている間に同じ結末を迎える

 

そして最初に斬り掛かった打鉄のパイロットが腹部の痛みから立ち直り顔を上げた時、そこにはラファール・リヴァイヴが持っていたビームライフルを此方に向けるジェガンの姿があった

 

「こ、こんな事が―――」

 

普通ならば拾ったISの武器はロックが掛かっていて使えないが、ジェガンはビームライフルをDG細胞で侵食する事でロックを無効化していた為にそのまま撃てた

 

こうして第三部隊に配属されたIS学園教員部隊は全滅する事となったのである

 

僅か五秒にも満たない時間で起きた一方的な戦闘、そしてジェガンは不気味に光るバイザー部分を残る専用機持ち達へと向けるのだった

 

 

一夏達が予想もしていなかった強敵を相手にしている頃、本物の康太もまた強敵を相手に戦闘をしていた

 

ガトリングガンを備えたI.W.S.P.のコンバインドシールドを左手に、散弾を装填したバズーカを右手に構えて実弾による攻撃で空を駆ける可変型のデビルガンダム四天王、ヘブンズソードを相手にする為である

 

「慣れない武装で、狙いが……!」

 

「しっかりしなさい、セシリア!泣き言言ってる場合じゃないでしょ!」

 

「分かってますわ!けど、相手が速すぎます……」

 

康太からの情報でヘブンズソードはエネルギー吸収能力がある事が分かっていた、その為にエネルギー兵器が主体となるセシリアは康太から貸与されたジム・スナイパーⅡ用の75mmスナイパーライフルを構えている

 

鈴も同じく康太から渡されたブルパップ・マシンガンを両手に弾幕を張る、しかし空中を縦横無尽に駆けるヘブンズソードには掠りもしない

 

「厄介だな、完全に遊ばれてる」

 

「何か弱点はありませんの?」

 

「強いて言うなら可変型故の関節部の脆弱性だが、まず当たらない事にはな……」

 

ヘブンズソードの武装も基本は近接戦闘に使う為の物だ、康太達は弾幕を張る事で相手を近付けないようにしているが、その弾切れとなる瞬間を向こうはまっている

 

「残弾も残り僅か、となると向こうが接近してきた時を狙ってカウンターを放つべきでしょうか?」

 

「このままジリ貧になるよりは良いんじゃない?」

 

「他にも武器はあるが……いや、来た!追加装備のお出ましだ!」

 

リスクはあるが敵も近付いてくる事から攻撃も当たる近距離での戦闘に移行するか、そう三人で相談していると康太が受け取った信号に喜びの混じった声を上げる

 

見ればこの場へと一機の無人支援戦闘機、ラビットフット社のコスモグラスパーが向かってきている

 

それには後部にこれまでのストライカーパックとは違う装備が接続されており、康太は自分からもコスモグラスパーに向けて動く

 

「換装中の援護頼む」

 

「ちょっ、いきなりね!?」

 

「けど打開策になるならやらない手はありませんわよ!」

 

当然ながら換装中は無防備となる為、ヘブンズソードが狙ってくる可能性もあった

 

鈴とセシリアは唐突に康太から言われたものの、ちゃんと弾幕を張って康太を守る、その間に康太は換装を済ませ、それまでの比ではない速度で空へと飛翔する

 

「何よアレ、戦闘機?」

 

「変形、しましたわね」

 

その新装備を身に付けたジェガンの姿は人型とは言い難いものであった

 

背部と両足には大型のブースターを装備し、左手には機体全体を覆える程の巨大な楯を手にしている

 

だが一番の変化はその三つを合わせた時である、シールドを機体前面に固定し、シールドの端が翼として展開、センサーを備えたストライカーパックの機首と合わせて戦闘機のような姿に変わったのだ

 

Gフライト、それが康太の新たな翼だった

 

とはいえ擬似的に可変機としての能力を得ているのみに過ぎず、全体的にはヘブンズソードに劣る

 

それでも対抗は出来るようになった康太は武装として展開した複合型特殊武装シェキナーを装備してヘブンズソードを追う

 

ガトリングガンとしての機能、ビームランチャーとしての機能、マイクロミサイルランチャーとしての機能を一つに集約したペイルライダー・キャバルリーの装備である

 

連射力に長けたガトリングガンでまずは当てる事を優先してヘブンズソードを狙う

 

それを避けたヘブンズソード、後ろから追う康太、それはISの戦闘というよりは戦闘機が行うドッグファイトのようであった

 

互いに交差するような軌道を描く二機、そして不意にヘブンズソードが変形して急減速、康太の後ろを取る

 

そのまま翼を広げてヘブンズトルネードという竜巻を発生させて攻撃しようとした

 

しかしそれに対して康太も動く、変形し両足のブースターを全開にして急減速を掛ける康太、それまで前方に向かって進んでいた推力に対して正反対に掛けられた力によって康太の体にはPICでも打ち消せない程のGが掛かる

 

素人であれば意識を失う程の負荷、だが康太は普段のトレーニングと、何よりも自分の意思のみで耐えきるとヘブンズソードに向けてシェキナーを向けた

 

そしてヘブンズソードが竜巻を放つと同時にビームランチャーを発射、それはヘブンズソードの翼を撃ち抜き、竜巻がGフライトを破砕する

 

だがジェガンの姿はそこにない、見失ったその姿を探すヘブンズソードだが、不意にその機体にワイヤー付きのクローが食い込む

 

そのワイヤーの先に居たのは康太である

 

「敢えて言わせてもらおう……紫藤康太であると!!」

 

今の康太の手に握られているのは対艦刀シュベルトゲベール改、その切っ先は真っ直ぐとヘブンズソードに向けられている

 

そして逃げようにもワイヤーで繋がったヘブンズソードは逃げられない、ワイヤーを巻き取り、自身も加速しながら康太はヘブンズソードにシュベルトゲベール改を突き立てる

 

「斬り捨て、御免―――――っ!!」

 

そこで康太は止まらない、そのまま刀身にビームを展開し、突き立てた状態からヘブンズソードの頭上に抜けるようにシュベルトゲベール改を振り抜き、その上半身を両断する

 

内部の生体ユニットごと両断する一撃、これによりヘブンズソードも討たれたのだった

 

「康太、やったわね!」

 

「見事な太刀筋でしたわ、康太さん!」

 

敵四天王の撃破、それに喜ぶ鈴とセシリアが康太の側まで寄ってくる

 

だが康太は何も反応を返さない、その事を不審に思っていた二人だが、康太は左手を頭に伸ばすとジェガンの頭部を量子化させた

 

その表情は苦悶に歪んでおり、呼吸も乱れている、尋常ではないと判断した二人が焦る中、康太は吐血する

 

咄嗟に左手で口許を押さえる康太、その後でその左手についた大量の血を見た後、自嘲した

 

「この程度のGに、体が耐えきれんとはな……」

 

無理矢理に酷使した肉体から力が抜けていくのを自覚し、康太はそのまま意識を手放した

 

康太の纏っているジェガンもまた、制御を失い海へと向けて落下していく、それを慌てて鈴とセシリアが回収する為に機体を降下させていくのであった

 

 

「織斑先生、クロニクルさんとボーデヴィッヒさんの回収完了しました!」

 

「よし、後は主力部隊か。状況はどうなっている?」

 

「先程、オルコットさんより敵四天王の撃破の報がありました。ただ、その撃破した紫藤君が負傷してるとの事で……」

 

「紫藤が負傷だと!?そうか、無事であればアレを抑えられると思ったのだが……」

 

そう言う千冬の目の前の画面には旅館前で戦闘を行う一夏達の姿があった

 

圧倒的なまでの力で教員部隊を蹴散らした後、一夏がなんとか抑えている状況だ

 

「織斑先生、主力部隊から敵が退いていくと連絡が!」

 

「四天王の撃破が引き金となったか……可能ならば殲滅したかったが、此処までの被害を考えると深追いは禁物だな。主力部隊は可能ならば第三部隊の支援を行うように伝えろ。少なくとも奴等にISコアを渡す訳にはいかん」

 

幸いというべきか、デスバーディが撤退しても侵食されたジェガンが撤退する様子はない

 

だがその能力は高く、普通のパイロットでは時間稼ぎにもならないという点が厄介となる

 

一夏達が撃破されずに持ちこたえているのも機体性能によるものであった

 

自分が出撃しようにも今は機体がない、その無力さに千冬はきつく手を握り締めていた

 

 

「ブルー・ティアーズ、帰投しました!康太さんをお願いします!」

 

「分かった。にしても、これは……戦闘ログは見たけど、負荷の高い機動をして内臓破裂って……」

 

戦闘での負傷はそれなりに見てきた覚えのある校医はセシリアから受け取った康太の容態を見てそう呟く

 

このような症例などは過去に例がなく、一先ずは医療用ポッドに入れて再生治療を行おうとした

 

しかしポッドに入れる前に束がやってきた、その手は未だに端末を操作しているが、視線は康太に向けている

 

「随分とボロボロだね、こーくん。正直、もう休んで良いと思うけど、まだ戦う?」

 

「ゴフッ……やりますよ。試作品ですけど、医療用ナノマシンがありましたよね?それの投与をお願いします」

 

「んー、治療として使うだけなら分かるけど、そこまでして出撃したい?確かに私の子供とも言えるISコアを取り込んだのは許せないけど、いずれはエネルギー切れで止まるよ。こーくんがそこまでして出る必要はないと思うけど?」

 

「それでも、です。あれが過去のオレのデータなら、それを超えないとオレは前に進めない。ただのオレの意地ですよ」

 

「………………ふぅ、仕方ないね。けど無茶はしないこと。まあ、今の状態で出撃しようとしてる時点で無茶なんだけどさ」

 

「そんな道理、オレの無理で抉じ開けてみせますよ」

 

「はいはい。装備はシラヌイにしておくよ。多分、今のこーくんなら使いこなせるからさ」

 

「分かりました。感謝します、博士」

 

「無理無茶無謀、それでも前に進もうと足掻き続ける。その姿勢は私も好ましく思うからね」

 

此処に辿り着くまでに目覚めていた康太は軽く咳き込みながらもしっかりとした目で束を見る

 

束もまた、康太の目に浮かぶ尽きない闘志から止める事は出来ないと悟り、量子化していた注射器を取り出すと康太の首に当てて中のナノマシンを投与する

 

「負傷箇所を設定して傷口を塞ぐように動かすけど完治まで数分は掛かるよ。それまでに出撃準備をするね。あと、あんまり急激な機動をすれば塞ぎきれなくなった傷口が開くから注意して」

 

「善処します」

 

「そこは確証して欲しいけど、まあこーくんだしね。それじゃあ、改めて行ってらっしゃい」

 

「行ってきますよ、博士」

 

そして数分後、康太は完全に癒えてはいない体で再び飛翔した

 

 

「ぐわぁっ!?」

 

「箒!?クッソォォォォォッ!!」

 

ジェガンと対峙していた一夏、箒、シャルロットの三人は窮地に立たされていた

 

侵食されたジェガンの動きは普段の見慣れていた康太の動きでありながら、その反応速度がそれまでの比ではない為に攻撃は当たらず、防御の隙間を縫って攻撃を当てて来ていた

 

現にシャルロットはガーデン・ストライカーの楯を保持していたアーム部分を全て切断され、今もまた箒が攻撃を受けて紅椿が墜落する

 

絶対防御があるから死なないとはいえそれはISが展開されている間だけ、エネルギーが尽きれば生身になってしまう

 

今の攻撃で紅椿のエネルギーは枯渇寸前であり、一夏は箒の補給の時間を稼ぐ為に前に出る

 

クレセントムーンは初めの内に刀身の半ばを斬られた為に今はビームサーベルを抜いて対処していたが、それも限界に近づきつつある

 

ジェガンの動きに着いていく為のデストロイモードの発動、その限界時間が直ぐそこまで迫っていた

 

「一夏、箒は下がったよ!」

 

「助かった、シャル!」

 

一先ずは狙い通りに箒を退避させる事に成功した一夏は安堵する、しかしその小さな緩みを狙いジェガンが動く

 

シャルロットがカバーしようにも射線上に一夏が被るように動く為に撃てない、結果一夏はビームサーベルによる攻撃でユニコーンの装甲の一部を斬られ、体勢を崩して尻餅をつく

 

続く二撃めを放とうとビームサーベルを構えるジェガン、その刀身が振り下ろされた時、一夏とジェガンの間にビームによる幕が展開される

 

そして一夏のユニコーンに表示される新たな友軍の反応、それは康太のストライク・ジェガンを表すものだ

 

「康太!」

 

「これより戦闘を開始する。行け、ドラグーン!」

 

一夏とジェガンの間に幕を張っていた三基の砲塔、それと同様の物が更に四基、康太の機体のバックパックから飛び出し、それぞれが空中を移動して砲撃を行う

 

一撃がD型のビームライフルと同等の火力を持つその攻撃に対し侵食ジェガンは空中へと退避したが、それを追って康太と七基の砲塔、ドラグーンが追う

 

全方位からの同時砲撃、それは一夏の知るセシリアのブルー・ティアーズと同様の物だった

 

「すげぇ……」

 

セシリアもかつては四基の制御が精一杯だったそれを康太は七基動かし、更には自身も戦闘を行っている

 

それがどれだけの処理能力を必要とするものなのか、一夏には想像もつかない

 

やがてドラグーンのエネルギーが切れたのか全てが康太のバックパックに戻っていく、それまで攻撃を避け、シールドで受け止め、更にはビームサーベルで斬り払うという動きをしていた侵食ジェガンはそこを狙い康太へと迫る

 

康太もまたビームサーベルを抜き、二機のジェガンは全く同じ動きで鍔迫り合いとなる

 

そして同じタイミングで蹴りを放ち、二機はその勢いを利用して離れる

 

全く同じ動き、同じ思考、康太とそのデータを元に生まれた存在の能力は同等だった

 

しかし、明確な違いが存在する、パイロットが同じでも機体が違うのだ

 

距離が離れたと同時に康太はドラグーンを射出、射撃を行いつつ自らはビームサーベルで侵食ジェガンと斬り結ぶ

 

そして鍔迫り合いとなった時、ドラグーンが侵食ジェガンを包囲、砲撃を行おうとした時、康太と侵食ジェガンの間に放られたハンド・グレネードが炸裂する

 

侵食ジェガンの持っていた装備であり、自身が傷つく事も承知の自爆攻撃は同じ状況ならば康太も選択した事だが、機体の違いでそこまで思い至らなかった

 

機体のダメージによりドラグーンの制御が疎かとなり、その隙に侵食ジェガンがビームサーベルを振るいドラグーンを撃墜していく

 

そして康太は覆われているジェガン頭部の中で吐血する、グレネードの衝撃で傷口が開いたのだ

 

「ゴフッ、グッ……オオオォォォォォォォォォォッ!!」

 

しかしその眼から戦意は消えていない、ビームサーベルを握り直し、その切っ先を正面に向け、瞬時加速を繰り出す

 

それは侵食ジェガンも同じであり、同様にビームサーベルを構え瞬時加速を行う

 

そして二機が交差した後、決着が着いた

 

康太は左脇腹の辺りを装甲ごと斬られ、絶対防御が発動、傷口が開いた上に瞬時加速による無茶な動きにより出血が増加、そのまま意識を失い海へと沈んでいく

 

だが侵食ジェガンはそれ以上のダメージであった、その胸部、ISコアがある位置にビームサーベルが突き立てられており、致命的な損傷を受けていた

 

機体は砂浜へと落下していき、盛大に砂煙を上げて墜落したのだった

 

 

()()は間も無く活動を停止する筈だった

 

与えられた命令を果たし、敗れ、残された僅かな時間の中、()を迎える事になるまでの己を打ち倒した存在を見やった

 

敵だと言われたそれ、己の眼は確かにそれを敵だと認識している

 

だがその眼とは別の場所で、その認識を示す表示とは別に、その敵の中から何かが小さな光を放っている事に気がついた

 

海原へと沈んでいこうとしている、消えてしまいそうな光を、()()はどうすれば良いのか、知っているような気がした

 

 

「康太!康太どこだ!?」

 

「康太さん、返事をして下さい!」

 

「康太、返事しなさいよ!何処に居んの!?」

 

「康太ー!何処に居るのー!?」

 

康太と侵食ジェガンの戦闘が終わった後、一夏とセシリア、鈴、シャルロットの四人は海へと墜落していった康太の捜索をしていた

 

だが捜索を始めても康太は見つからない、ジェガンを身に纏っていたから溺死はしないだろうが、最後に確認されたバイタルから傷口が開き出血しているのは確認されていた

 

更にはジェガンの反応も確認されないのだ、機体の機能に何らかの障害が発生したと見てまだ動けた面々での捜索が行われている

 

しかもISのハイパーセンサーを利用しても見付からない、その事に捜索に当たる四人は焦りを感じていた

 

「この辺りに落ちたのは間違いない筈なのに……!?」

 

「もう一度、今度は範囲を広げてみましょう。私は沖合いに向かいますわ!」

 

「なら私は海岸に沿って探すわね。シャルロット、アンタは反対に向かいなさい!」

 

「分かった!それにしても、本当に何処に行ったんだろう、康太……」

 

何故か見付からない康太、改めて範囲を広げ探そうとした時、四人の頭にイメージが浮かぶ

 

「な、何だ、このイメージ!?」

 

「アンタもなの!?私も、何か急に頭の中に浮かんで……」

 

「皆さんもですの!?今度は何が起きたんですか!?」

 

「で、でも、このイメージって……」

 

四人の中に浮かんだイメージは座標のような物で、視界にはその地点に不思議な光が見えていた

 

ISのハイパーセンサーとも違う、不思議な光、だがそこに行かなければならないという思いに突き動かされてその場所へ、海中へと飛び込む

 

そこにはデスネービーの残骸が彼方此方に沈んでいた

 

そしてその残骸を試しに退かしてみると、そこにはジェガンが居た

 

同時にISとのリンクも復活する、康太のバイタルは出血こそしているものの命はまだ無事だった

 

『康太!生きてる、まだ生きてるぞ!』

 

『ええ、急いで治療の為、搬送しますわよ!』

 

『なら邪魔な残骸を退かさないとね!』

 

『うん!まだ怪我が分からないけど、見付かって本当に良かったよ!』

 

こうして、康太は四人の手により救助され、全ての騒動に終止符が打たれた

 

未だに全ての問題が解決している訳ではない、だが一先ずは安息が訪れる、その為にも康太を連れ五人は旅館へと帰投した




という訳でコウタくん一時期ですが覚醒しました

あとタイトルとか含めて今回はクロスボーンガンダムのオマージュがあります、上手く出来たか分かりませんけど
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。