ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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夏休み編スタートです


再会、友よ
34話 撮影


『2022年4月7日

 

親愛なるコウへ

 

そちらではそろそろ入学式もあり、新しい生活が始まっていると思います。きっと新しい出会いもある事でしょう。

私の方は9月に入学式があります。此方に引っ越してからこの違いにもすっかり慣れました。

おじさん、おばさんも元気ですか?私のパパとママは元気です。

それと、今度の夏休みには家族でそちらに行けそうです。久し振りの日本でまた会える日を楽しみにしています。

 

リナより』

 

 

七月も後半に入り、世間では学校は夏休みに入る

 

それはIS学園も例外ではなく、臨海学校による事件を経た後、何事もなかったかのように期末テストを行って終業式が行われて夏休みへと入った

 

そして夏休みが始まってから数日が経った頃、織斑家のリビングには一夏と一秋の他にも箒、鈴、シャルロット、セシリア、ラウラといったIS学園一年生の専用機持ちが集まり、学園から出された課題に集中している

 

「やっぱりこれだけ居ると捗るわね。康太達も来れば良かったのに」

 

「誘ったんだけど、別で仕事が入ったんだってさ。クロエも一緒だってよ」

 

「姉上達はどうやらラビットフット社としての仕事らしくてな。篠ノ之博士が珍しく外部からの仕事を請けたと言っていた」

 

「あの篠ノ之博士が請けた仕事だなんて、何ですの?確か殆んどの仕事は蹴っていると聞いてますわよ?」

 

「それより、一夏とラウラは呼ばれなかったのだな。仮にも同じ企業だろうに」

 

「俺達はほら、あくまで籍だけ置いてある感じだから……それでいて給料が入ってくるのに、心が痛いけど……」

 

「まあパイロットと言っても私達は戦闘要員らしいからな。テストパイロットとしては康太の方が機体的にも適任らしい」

 

専用機持ち達が織斑家に集まっている理由というのは一夏が皆で勉強会を提案したからなのだが、この場に康太とクロエは居なかった

 

その時には仕事が決まっていたからである

 

「まあ康太達については分かったわ。どんな仕事か知らないけど、流石に非合法って事はないでしょう?」

 

「ですがあのメンバーというのが少し不穏ですわね。何も無ければ良いのですが……」

 

「二人とも、康太達の評価酷すぎない?」

 

「流石にあんな事があったら、ね。そういえばシャルロットの会社、新型のロールアウトが決まったって聞いたわよ。どんな感じなの?」

 

「あ、うん。今はボクの機体から得たデータの最適化作業中だよ。それで夏休みの最後、八月の三十一日に正式な発表会を予定しているんだ。実はね、そのテストパイロットとしてボクも参加する事になったんだよ」

 

「あら、それはおめでとうございます。イグニッション・プランでのライバル機ですが、お祝いさせて頂きますわ」

 

「けど確か、デュノア社の新型ってアレよね?ぶっちゃけ、他の国って勝ち目あるの?」

 

「うむ、私見だがデュノア社の新型が採用される可能性が高いだろうな。かつて私が乗っていたシュヴァルツェア・レーゲンよりも汎用性が高く、同等の砲撃能力を持たせる事も出来る機体だ。各国が開発した第三世代兵装もストライカーパックとして落とし込めば良いから、まず間違いない筈だ」

 

「そ、それでも、私のブルー・ティアーズのオールレンジ攻撃の優位性は―――」

 

「確か臨海学校の時、康太が同じコンセプトのストライカーパック装備してたわよね?しかも向こうは同時に七基動かしてたし」

 

「うっ!?」

 

「確かに私も見ていたが、素人目にも同じような兵器だったな。しかもエネルギーシールドを張っていたようにも見えた」

 

「うぅっ!?」

 

「自分も、同じ装備でも選択式に出来るならその方が良いと思う。その、セシリアには済まないが……」

 

「コフッ……」

 

「あ、死んだ」

 

デュノア社の新型機、『ストライク・ラファール』の情報は既に幾らか流れており、公式ホームページにもロールアウトの予定が掲載されている

 

既にその汎用性の高さから各国では採用の動きが出ており、欧州で行われているイグニッション・プランでは殆んど決まったと言っても過言ではない

 

だがイギリスのブルー・ティアーズを自身の専用機として持つセシリアはその事に対して机に突っ伏してしまった

 

「良いですわ、どうせ私なんて負け犬ですわよ。最近はライバル宣言した康太さんにも負け、イグニッション・プランでも負けるのですわ……」

 

「はいはい、拗ねないの。ほら、テレビでも見て気分変えなさいよ。皆もそろそろ休憩にしましょう」

 

取り敢えず昼も近くなったという事で休憩にしようと鈴がテレビを点けた

 

最初に映ったのはどうやらニュース番組らしく、鈴が番組表を見ようとした時、内容が新作映画の発表になる

 

それを見てからでも良いかとチャンネルを変えるのを待つ鈴、初公開という予告映像を見る

 

あらすじを聞くに女尊男卑が進んだ近未来を描いているらしく、行き過ぎたその思想により男性狩りとも言える迫害が起きている世界で、男女が対等に暮らしている小規模なコロニーが女性権利団体を相手に戦い抜く様子を描いているという、昨今の風潮に真っ向から対抗する作品に珍しいと思いながら見ていた

 

そして場面が切り替わると、赤と白の塗装が施されたジェガンが現れ、その背中から機体の全高程もある大剣を二本抜き放ち、地面に居た敵に向けて叩きつけた

 

『何でこんな事……また戦争がしたいのか!アンタ達は!!』

 

二本の剣の柄尻を合わせ頭上で回してから構え直すジェガン、それと同時に画面が斜めに分割され、ジェガンの顔の半分がパイロットの物と変わる

 

「「「「「「「康太ァ!?」」」」」」」

 

そしてそれはこの場の全員が良く知る人物でもあった

 

 

『じゃあ、今は映画の撮影に協力してるのか?』

 

「ああ、珍しい依頼って事で博士が興味を持ってな。映画の内容を聞いたら、そのまま引き受ける事になったんだ」

 

その話が入ってきたのは夏休みが始まって二日が経った頃だった、ラビットフット社に来る依頼と言えば新型を寄越せだの、ISコアを寄越せだの、そんな馬鹿げた内容ばかりだった

 

既に入ってくるメールは件名で判断して中身も見ずに削除していた中で、映画撮影への協力依頼という一風変わった内容に目を惹かれたのは当然の事だろう

 

そして、それが反女尊男卑的な内容であるならば以前より女性権利団体を目障りに思っていた篠ノ之博士が乗らない訳がない、こうしてラビットフット社が撮影に協力する事となったのである

 

「紫藤さーん、そろそろ次の撮影の準備をお願いしまーす!」

 

「分かりました、今行きます!そういう訳だ、一夏。また何かあれば連絡する」

 

『ああ、そっちも頑張れよ!』

 

撮影スタッフに呼ばれた為、休憩を終えて端末を閉じる

 

どうやら話に聞いていた予告映像を見たらしく、一夏からの着信があったので連絡を取っていたのだ

 

夏休みの間、学生の身でもあるという事でオレの出番のシーンだけ優先的に撮影する事になっているが、それなりに出番が多いだけに時間は掛かる

 

おまけにオレは役者としては素人だ、その演技指導を含めてそこそこの数を撮り直している

 

撮り直しが少ないシーンはそれこそ戦闘シーンのみである、実戦経験者という事があるのか、その際の撮影だけは特に指摘が入った事はない、画の為に少しばかり殺陣を入れて欲しいとは言われたけどな

 

「おー、紫藤くん。今度は戦闘シーンだから、またよろしくね」

 

「はい、佐渡監督」

 

撮影場所に向かうとこの映画を取り仕切っている佐渡監督という人に挨拶される

 

映画の内容が反女尊男卑だから監督も男性かと思っていたが、佐渡監督は女性である

 

他にも出演者やスタッフの中にも女性がそれなりに居り、反女尊男卑映画の撮影とは思えないかもしれない

 

しかし監督を始め、その女性達も心から女尊男卑を疎ましく思っている人達である

 

佐渡監督は映画業界にも女尊男卑の波が来て自由な映画を撮れなくなる事を懸念して、他にも個人で理由は違えど反女尊男卑に賛同する人達を集めて映画を撮っている

 

先程公開されたばかりの予告映像だが、早いものでインターネット上では既にSNSを中心に女尊男卑を掲げる連中からのバッシングが始まっているらしいが、そんな物は何のその、全て無視している

 

寧ろ荒れれば荒れるだけ注目度は高まる、もっとやれとまで言っていた

 

撮影に使うISは可能な限りで実機を用いている、例えばオレのジェガンだが、オレが演じる役である獅子堂劫火(ししどうごうか)の乗機という事になっている、役の名前がオレに似ているのは偶然だと思いたい……

 

そしてジェガンは今回はストライカーパックではなく、インパルスのシルエットシステムをベースにしてある

 

これは普段使用している装備を映画で映す事で手の内を晒す事を懸念しての事らしく、篠ノ之博士からの案である

 

とはいえ撮影中は火力を落としていても、いざという時には戦闘にも使える辺り、実用性は全く損なわれていないのだが

 

と、そこまで考えてフォースシルエットを装備して空へと上がる、味方機との連携しての戦闘シーンを撮る為に、オレは意識を切り替えるのだった

 

 

本日の撮影を終え、オレは用意されていたホテルの自室に戻る

 

取り敢えずは慣れてきた事から撮影もスムーズに進むようになった為、今日で予定されているシーンの半分は消化した形となる

 

第三次大戦を経て荒廃した世界、男性狩りに遭遇し、そこで撃墜され行方不明とされたISを偶然に発見、起動した少年、獅子堂劫火、それがオレの役だ

 

そしてコロニーに拾われたところから物語の始まりである、なおオレは物語の鍵扱いで、男でもISを扱える理由を解き明かす設定である

 

「お疲れ様です、コウタさん。外出の準備は問題ありません。それとも先にシャワーを浴びられますか?着替えの方も用意してあります」

 

「ああ、ありがとう、クロエ。悪いけど、先にシャワーを浴びるよ。流石にこの時期にずっと外だとな」

 

「大丈夫ですよ。コウタさんのサポートは私の役目ですから」

 

今回の依頼を請ける時にクロエがサポート要員として一緒に来ていた

 

依頼では最初は男性パイロットとしてオレだけが呼ばれたのだが、佐渡監督はクロエを見た時にミステリアスな雰囲気のある事から急遽出演させる事を決定し、その撮影は既に終わっている

 

それで今は本来の目的だったサポート要員としての仕事をしようとしてくれているのだ

 

そんな訳でクロエが用意してくれた着替えを持ってシャワーを浴びた後、外出して適当な飲食店で食事を済ませる

 

費用は映画制作チームの方で負担となる、最初はもっと高いホテルだったが、辞退してある

 

そこに費用を掛けるなら他に、と遠慮させて貰ったからだ

 

予定ではあと五日、細かなシーンの撮影が残っている

 

上手くいけば四日で終わるかもしれないが、その為にも真剣に打ち込むとしよう

 

 

撮影に協力して更に三日が経過した、今回で実機を使った撮影は終了となる予定だ、ラビットフット社で用意出来る機体は今のところ、権利的な問題でもジェガンしかないので敵機は後でCGで差し替えの予定だ

 

そして最後の撮影に向けて監督との打ち合わせをしていた昼頃の事だった

 

「コウタさん、警戒待機中だった無人機のセンサーが近付いてくるISの反応を捉えました。機種は打鉄です」

 

「今日予定されていた、近くを飛行予定のISは?」

 

「ありません。事前に撮影場所としてこの辺りの空域も此方が貸し切っています。ISどころか民間機ですら立ち入り出来ません」

 

「そうなると黒か。監督、招かれざるお客さんが来たみたいですね。迎撃に出ますので撮影スタッフには退避をお願いします」

 

「分かったよ。やれやれ、予想はしていたとはいえ仕方のない連中だねえ。悪いけど紫藤くん、お願いね」

 

「そういう契約でしたからね。フォースシルエット装備で出ます」

 

映画の内容から女性権利団体の横槍が何らかの形で入ってくるのは予想されていた事だ

 

それがどのような手段に出るかは兎も角、最悪としてISの投入も想定していた

 

だからISが出てきた時はオレ達で対処する、そういう契約が事前に交わされていたのだ

 

丁度装備は速度に優れたフォースシルエットを装備していたので迎撃に出るのは問題ない、なのでオレは空へと上がっていく

 

 

その頃、撮影スタッフ達が避難した車内では―――

 

「撮影用ドローンの方は大丈夫?」

 

「バッチリですよ、監督!様々な角度で高解像度で撮れますぜ!」

 

「うんうん、紫藤くんには悪いけど、生の戦闘の画なんてそうそう撮れないからね。戦闘には全く参加出来ないけど、この映像を使って映画のクオリティを上げるのと、誰か知らないけど面倒な連中に打撃を与える為に協力するから、許してね」

 

―――退避中もドローンにて撮影を行うという、なかなかに逞しいスタッフ達であった

 

 

さて、遠くから撮影されているとは知らない康太は所属不明の打鉄を迎え撃つべく、高度を上げて飛行していた

 

そしてあと少しで射程圏内に入るというところで警告を出す

 

「接近中のISに告げる。これより先は現在立入禁止区域となっている。直ちに進路を変更されたし。繰り返す、これより先は現在立入禁止区域となっている。直ちに進路を変更されたし」

 

コアネットワークを利用した通信であり、IS同士であればまず間違いなく聞こえているだろうそれに対する返答が来た

 

『男!?そう、貴様が世界で三人の例外ね!丁度いいわ。神聖なISを崇めないばかりか、醜い男共の味方をするような連中共々、此処で始末してあげる!』

 

「そうか。所属不明機を敵と断定。撃墜する」

 

相手の言葉から女性権利団体の手の者だと判断した康太は即座に戦闘体勢に移る

 

右手のビームライフルを接近中の敵ISに向けてロックするとまずは一撃、挨拶代わりに撃ち込む

 

『クッ!?』

 

「威勢の良い事を言っていた割には大した腕じゃないな」

 

『黙りなさい!たかが一撃程度で!!』

 

牽制になれば良いな、程度で撃ったビームは打鉄の左肩を貫き、シールドエネルギーを減少させる

 

あの程度の攻撃は専用機持ち達ならば簡単に避けられるものであり、相手の技量の低さを見た康太は拍子抜けといった表情を浮かべる

 

そして康太の挑発により距離を詰めた打鉄は標準装備であるアサルトライフルの焔備を使い康太を狙う

 

だが康太はバレルロールという飛行中に回転する技で銃弾を避けるとビームライフルからビームサーベルに持ち変えて更に距離を詰める

 

打鉄の方も武装を日本刀型のブレードである葵に変えようとしたが、それより先に康太のビームサーベルの方が早い

 

左肩から袈裟斬りにされ、大きくシールドエネルギーを減らした打鉄、康太はその横を通り抜けるように進んだ後、足を蹴り上げてAMBAC機動により反転、背を向ける打鉄に対して瞬時加速で接近、左手にもビームサーベルを握りその背中をX字に斬り裂いた

 

「そ、そんな!?」

 

「正規パイロットかと思ったが、所詮はテロリスト風情か。代表候補生にも遠く及ばないな」

 

機動力を担う背部のカスタムウイングが斬られた事でまともな戦闘も出来なくなった打鉄にそう言い放つと康太は駄目押しとばかりに蹴りを入れて打鉄を地面へと叩き落とす

 

それによって打鉄の減りに減ったシールドエネルギーがゼロとなり機体が解除される、康太は痛みに呻くパイロットを無視して落ちていた打鉄の待機形態であろうペンダントを拾い上げる

 

「篠ノ之博士、襲撃者のISを確保しました。コアの照合をお願いします」

 

『おっけー!ふんふん、それは日本にあげたコアで間違いないね。確か研究用に回されたコアの一つの筈だよ』

 

それから今頃は学園に設けたラボに居るだろう束と連絡を取りコアの照合を行う

 

そしてコアの出所が判明した後は倒れているパイロットに向き直る

 

「さて、お前には色々と聞きたい事がある。覚悟しておくんだな」

 

「グ……男、なんかに……」

 

この後、拘束されたパイロットは司法機関に引き渡される前にラビットフット社からの尋問を受ける事になるのであった

 

 

あの後、パイロットと機体を確保してからオレは一度IS学園内の篠ノ之博士のラボに向かった

 

撮影スタッフには念のためにクロエと無人機のジェガンを四機つけてある、生半可な戦力では仕掛けようとは思わないだろう

 

そしてそんなラボの一室に机と椅子を設置し捕らえたパイロットへの尋問を行っていた

 

ラボはIS学園のある人工島の地下にある為、こういう時は便利と言えた

 

「もう一度聞こうか。所属する組織の名、そしてその拠点は何処にある?」

 

「だから誰が答えるものですか!早く私にISを返して解放しなさい!」

 

しかし終始このような調子だ、無能で下等で醜く役立たずな男が話し掛けるな、ISを返せ、お前のISも寄越せ、罵詈雑言ばかりで聞き飽きた

 

だが根気よく付き合ってやった、そして今ので三回目、仏の顔も三度までとは言うが、そろそろ良いだろう

 

「仮にその要求を叶えてやったとして、戻れると本気で思っているのか?」

 

「当たり前じゃない!?私はISパイロットなのよ!ISを持つ私が戻れば歓迎されるに決まっているわ!」

 

「そして隙を見てISを奪い、無能なパイロットは始末されるだろうな」

 

「な、何を……」

 

「お前はISパイロットじゃない。お前の仲間が言う、下等な男に負けた無能なパイロットだ。そんなお前が戻れば歓迎される?馬鹿を言え、表向きは歓迎しておいて薬を盛って始末しISを奪うに決まっている。分かるか?元より貴様はもう戻れないんだよ」

 

「そ、それは……」

 

自分の置かれた状況が理解出来たのか、みるみる顔を青ざめさせる女

 

そこに部屋の扉が開かれて篠ノ之博士が入ってくる、いつものニコニコした表情で

 

「こーくん、もう大丈夫だよ。ISのログを確認して連中の正体は分かった。女尊男卑を掲げる世界的な女性権利団体ヴァルハラ、それが連中の名前だよ」

 

「成る程。けど、それならこの尋問の意味はなかったんじゃないですか?コアの確保で済んだでしょうに」

 

「ふふ~ん、分かってないねえ、こーくん。私はこれにチャンスを与えてやったんだよ。ちょっと頭を働かせれば分かる事なのに女尊男卑だなんて下らない事に囚われて思考を鈍らせないかどうかをね。もしも自力で答えに行き着いたなら、そうだねえ、まあパイロットとしての技量は低いけど飼っても良かったかもねえ」

 

「そ、そんな!?篠ノ之博士、私は―――」

 

「けど駄目だったからね。警察にでもあげようかと思ったけど、別の拠点に戦闘時のログ付きで届けてあげよっか」

 

「あっ……ああ……」

 

最早希望など何処にもない死刑宣告にも等しい篠ノ之博士の言葉に顔色を青から白に変えていた

 

そしてあまりのショックにそのまま意識を手放してしまう、その様子に篠ノ之博士も呆れた顔をしている

 

「ハァ、こんなのがISに乗れるんだからね。殺す気も失せたから警察にでも投げといてあげるよ。それでこーくん、女性権利団体ヴァルハラに対する報復なんだけど、ちょっと良いかな?」

 

「何ですか、博士?」

 

「此処ではなんだから部屋を移そっか。流石に機材とかないとね」

 

もう興味がないパイロットは部屋の中に放置されオレは篠ノ之博士に言われるがまま後ろをついていく

 

出る時に部屋の鍵をロックしたからあのパイロットが目覚めても出てくる事はない、そしてついていった先は篠ノ之博士の研究室であり、中ではエイフマン教授が機体の作成を行っていた、あの形状、まだ完全ではないがフラッグか?

 

「お爺ちゃん、前に頼んでた装備って出来てる?」

 

「ミス・シノノノか。前に聞かされた、わしの世界で後の世に出るガンダムを基にした装備の事かね?」

 

「そうそれ。今から行う作戦に使いたいんだけど」

 

「それならば向こうの2番と書かれたコンテナの中だ。しかし、その装備を使うという事は、対ISではなく、対人戦か」

 

エイフマン教授はそう言うとオレを見た、その目には複雑な色が見てとれる

 

「その歳で、と思ってはいたがな」

 

「次の作戦で何が起こるか、察しましたよ。ですけど、いつかは覚悟していた事です。きっと、必要な事になる時が来ると、そう考えてはいました」

 

そうだ、いつかは来ると思っていた、試合ではなく、自分のエゴで引き金を引く時が来るという事を

 

そして予想は篠ノ之博士がモニターに表示した情報から現実に変わる

 

「これより報復行動として女性権利団体ヴァルハラの日本国内支部の一つに強襲を掛ける。目標は施設の破壊、そして目撃者全員の殺害」

 

この世界に来て、宇宙を目指し、必ず邪魔になる物が出ると、それをどうするのか、考えていた

 

そして今日この日、オレは人を殺す事になる

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