ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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前話のあとがき通り今回からは通常運転、ギャグ極フリし過ぎて真面目なテンションで書くのにちょっと苦戦しました


44話 対話

数日振りに部屋に戻ったらそこにはフォン・スパークが居た、そんな状況にあって真っ先に機体を展開しようとしたクロエを手で制する

 

「止めておけ、クロエ」

 

「ですが……」

 

「オレ達と戦うつもりならまた襲撃を掛ければ良い。オレを引っ張り出すしかない状況にすればタイマンでやれるからな。それに、殺すのが目的なら此処に爆弾でも仕掛けとけば良い。そういったやり方も得意だからな」

 

フォンを見れば余裕綽々といった笑みを崩さないまま動かない、それを確認しつつ続ける

 

「それにコイツは生身でも強い。この距離だと片方犠牲になって漸く機体展開まで持っていけるか、というところだな」

 

非武装で此処に居る訳がないからな、拳銃くらいは持ってるだろうし、そもそもガンダムを展開されれば止めるのは難しい

 

「ハッ、戦力差は分かってるみたいだな」

 

「天柱でテロリスト取り押さえたり、リジェネ・レジェッタをあっさり押さえ込んだりしたのを知っていればそう判断するさ。そこの生徒会長も、何で此処に居るのかは知らないがお前が捕らえたんだろう?ISを展開する暇も与えずに」

 

「当たりだ。それにしても監視者の件も知ってるか。やっぱりテメェの正体は―――この女は邪魔だな、ちょっと放り出すか」

 

「なら風呂場に放り込んどくか。こっちも後で聞きたい事があるし」

 

無駄に防音性は高いからな、風呂場、脱衣場と二つ扉を挟めば余程の大声でもなければ聞かれる事はない

 

という訳で簀巻きになっている生徒会長は風呂場に放り込んでおいた、もぞもぞと芋虫みたいにもがいていたが猿轡を噛まされてあったので呻き声しか聞こえない

 

「ようやく本題だな。色々と話はあるが、まずは確認だ。お前、この世界の人間じゃねえな」

 

「まあな」

 

一番最初に投げ掛けられた質問は想定内のもの、というよりガンダムを詳細に知っている事からフォンなら簡単に思い至る事だ

 

「最初はオレ様と同じ世界の未来から来たマイスターだと思った。オレ様とヴェーダが知らない、だがオレ様より後の時代を知ってる人間、その当時のソレスタルビーイングのメンバーだとな」

 

「確かに、細かな点は知らないが西暦2364年に起きた事までは分かっているさ。正確に知っているのは今のところ2314年までの出来事だけだがな」

 

「やっぱりな。けどそれは真実じゃない。その証拠がニュータイプ、そしてソレスタルビーイングの物とは違う、違い過ぎる技術系統のガンダムの存在だ。こうして別の世界にオレ様が来ている以上、更に別の世界と繋がってねえ保証はない。で、ヴェーダを通じて最終確認してみればお前の持つデータの中に答えはあった。オレ様の世界の他にもガンダムが存在する世界を、アニメ作品として視ていた。一見荒唐無稽な話に見えて、筋は通っている。別の世界があるなら、そういう事もあってもおかしくはないからな」

 

完全に見抜かれているという事だ、だが色々と話していたからそこまで辿り着いている事はまだ想定内ではある

 

「その通り、オレはガンダムという存在をアニメや漫画、小説といった媒体で見てきた一般人だ。少なくとも、何の因果かこの世界にやってくるまではな」

 

「そうだろうな。まあこれは確認だ、答えを知れただけで良い。オレ様はお前の持つニュータイプの力に興味があるだけだ。紫藤康太、お前がこの先も戦い続けるって言うならオレ様は何もしねえ。ただ見るだけだ。けど、立ち止まるって言うなら、そんな面白くねえ真似をするなら、その時はオレ様がお前を殺す。その覚悟はあるか?」

 

フォン・スパークは真っ直ぐにオレを見る、かなり自分本位な事を言っているが、それに対する答えはとうの昔に決まっている

 

「無論だ。一度立ち止まった後、オレは死んだように生きてきた。今度は違う、オレだけの夢じゃない。どんな敵が相手だろうが、どんな邪魔が来ようが前に進む。例えその先で死んだとしても、前に向かって倒れてやるさ。お前に殺されるまでもなく、な」

 

止められるなら止めてみろ、そう意気込みを籠めてフォンへと返す

 

その答えに満足したのかフォンは笑う、その名の通りに

 

「あげゃげゃげゃげゃげゃ!それでこそ見る価値がある。なに、気が向いたら手伝ってやるよ。それまでオレ様は世界を見て回る事にする。ああ、それとコイツをくれてやる」

 

そう言って手渡されたのは今の時代で使われている記録媒体、USBメモリだった

 

「これは?」

 

「ちょいと襲撃掛けたマフィアの連中が持ってたデータだ。見付けたのは偶然だが、お前なら何か知ってるんじゃねえか?」

 

「ふむ。それはそれとして、何故マフィア?」

 

「単純に金だな。この世界でメシを喰うにも金がいる。マフィアは狙い目だぜ。連中は差し押さえられる事を避ける為に現金や貴金属、宝石、美術品を溜め込んでやがる。おまけに世間様は誰も困らねえからな、警察も血眼で探そうとはしてこねえ」

 

「あー、うん、いざという時はオレもそうするわ」

 

間接的に人の世に役立つ事をしてるだけに何も言わない、というか資金を奪ってはいないが犯罪組織を潰したオレが言う資格はない

 

マフィアを襲撃してた理由は分かったからオレは受け取ったメモリをパソコンに接続する

 

中のファイルを開くとアルファベットが並んでおり、読めない

 

「……ヴェーダを使って翻訳するか」

 

「ヴェーダの無駄遣いだな。ソレスタルビーイングの連中が聞いたら泣くぜ?」

 

「読めなかったら仕方ないだろう。と、早いな、流石は量子コンピューター」

 

パソコンからISコアに繋いでコアネットワーク経由でヴェーダに翻訳を依頼、どうやら原文はスペイン語だったらしいが、日本語に訳されている

 

そしてその最初に大文字でつけられた題名を見る

 

「強化兵士計画?」

 

「多かれ少なかれ、この手の研究は何処でもやってるだろうな。このマフィア連中はその研究所と繋がってやがった。根城にしてたスラム街でオークションをやってる。出品されるのは人間だけどな」

 

「人身売買か。実験台になる人間を売ってるのか、それとも強化兵士とやらを売ってるのか」

 

「どっちも、らしいぜ」

 

資料の続きを見てみると強化兵士とやらのスペック表みたいな物があった

 

同時に施された強化内容も、である

 

体の各所を機械化したり反乱防止用に特定の化合物を定期的に摂取する必要があるように改造したり、色々だ

 

とはいえそれは人間としての限界を高める類いの物が大半でガンダムシリーズの強化人間のように脳を弄くったりという内容はあまり見られない、一応は強化兵士という言葉がない訳ではないが肉体の改造も含めて強化人間と一括で呼ばれる事が多い

 

「どうにもこの世界の技術で作られた存在のようだな。ガンダムで出てくる人工的なニュータイプの再現といった意味の強化人間なんかとはまた別物だ」

 

「そうか、違ったか。なら後はどうするかはテメェで決めな。放っておくも良し、潰すも良しだ。まあ知ったなら潰すつもりなんだろう、SNARK?」

 

そこまで知っているか、と思ったがヴェーダにアクセス可能ならその辺りのデータも見られているから納得だ

 

非人道的な実験、ガンダム世界の技術による物ではないがあの日、実験台となって死んでいった少女達への誓いを守る為にも放ってはおけないか

 

「その顔はやる気みたいだな。ならオレ様はそろそろ帰るぜ。あばよ、紫藤康太!」

 

そう言うとフォンは窓から飛び降りて空中でガンダムを展開、アブルホールを使って空へと飛翔していく

 

「可変機構が単純とはいえ、生身で搭乗して変形を可能とするか」

 

そのメカニズムも気になるが今から追い付くのは無理だな

 

それはそれとして、オレはフォンに渡されたデータを見て、そこに書かれているマフィアの本拠地が記された座標を見る

 

研究所の方が何処にあるかは分からない、フォンが潰したのはマフィアの持つ支部の一つだったらしい

 

だからなのか研究所の場所は不明、フォンは興味がないが本拠地なら詳しい情報もあるだろうとこの座標を送ってきたのだろう

 

そしてその座標が示している場所というのが―――

 

「アメリカか……」

 

カリフォルニア州オークランド、全米一危険な街とも呼ばれる場所だった

 

 

さて、フォンからの情報提供により倒すべき敵の姿が見えたのだが、その前にやるべき事がある

 

「ふう、ようやく自由になれたわ。まずはお礼を言っておくわね」

 

そう言って『感謝』と書かれた扇子を広げて口元を隠してこの学園の生徒会長である更識楯無は笑う

 

あれだけ無様な姿を晒しておいて格好をつけるのは滑稽を通り越して素直に尊敬する

 

「で、生徒会長は人の部屋で何を?」

 

「以前に私の妹を、簪ちゃんを助けてくれたでしょう?今更になっちゃったけど、そのお礼を言いたかったのよ」

 

これお礼の菓子折ね、といって包装の施された箱を渡してくる、表記から和菓子のようだ

 

それはクロエが受け取って一先ずは机に置く、簀巻きになっていたのを解放した時からずっとオレは拳銃を突き付けたままだ

 

「ところでその拳銃、あの男と同じ物よね?何処のメーカーとも違う、ラビットフット社で独自開発した物かしら?」

 

「性能が良いもので。それこそ、反動がないから無重力空間でも撃てる優れものです」

 

オレが構えている拳銃はエウクレイデスに残されていた物、ソレスタルビーイングが使用している拳銃だ

 

予備がかなりの数あったのと前述の通り性能が良いから乗り換えた物だ、他にもアサルトライフルやスナイパーライフルもあった

 

そしてそんな銃だからこそフォンも持っていたのだろう、生徒会長が何処も撃たれてない所を見るに見せただけらしいが

 

「お礼も理由なんでしょうが、不法侵入した理由は別ですよね?」

 

「そこは驚かせようとしただけよ。さっきまでの格好を見れば分かるでしょう?」

 

確かにさっきまでの格好は中々に衝撃的だった、一見裸エプロンに見える水着エプロンだったからな

 

まあシーツにくるまれて縛られて簀巻きになってたから、それが見えた途端にクロエが脱衣場まで連れていったからあまり見えてないけど、今はISに量子化しておいたらしい学園の制服姿である

 

「職業柄警戒しないといけないんですよ。ISを返したのはせめてもの誠意を見せた証なんですけどね」

 

「まあそうね。じゃあ正直に言うわ。簪ちゃんの件は私個人の更識楯無としての用件ね。大事な妹を助けてくれた事は本当に感謝しているわ。でも、お姉さんにも仕事がある。これは更識としての用件ね。キミが預かっている日本のISコア、それを引き渡して欲しいの」

 

とはいえ拳銃を突き付けていてもISは返還したので警戒しているというポーズだけだ、学園内で本気で敵対する気はない

 

ラビットフット社は篠ノ之束という存在が居る事から数多の勢力が接触しようとしてくる

 

だから日本政府も独自でコンタクトを取ろうとしているのは知っていた、生徒会長はその日本政府側の人間だ

 

「勿論タダでとは言わないけど、持ってるわよね?ヴァルハラが保有していた二機の打鉄のコアを」

 

「二機?オレが知ってるのは撮影場所を強襲しようとしてきた一機だけですよ?」

 

やはりその質問が来るか、とある程度は予想出来ていただけにスムーズに返す

 

「あら、二機であってるわよ、スナークさん」

 

「スナーク……ああ、あのニュースに出ていた。そんなテロリストがオレだと?」

 

「ええ、私の勘ではキミだと思ってるわ。こう、動きの端々がそう感じるのよね」

 

あの時は正気と言える状態ではなかったとはいえ機動を理由に正体に行き着くとは思わなかった

 

そもそもジェガン・サーガの武装と普段使いのジェガンとは意図的に装備が被らないようにしてきたのだ、同じハンドガンでもマシンピストルとハンドガンといった具合に分けてある、それで見抜くのは余程の観察眼があるのか、本人の言う通り勘が鋭いのか

 

「仮に、オレがそのスナークだとしたら?」

 

「別に私は何もしないわ。他に漏らすつもりもない。あのスナークさんのお陰で私がやろうとしていた事が楽になったもの。その上で康太くんに訊くわね。キミは何者なのかしら?」

 

「随分と曖昧な質問ですね。日本人で、ラビットフット社のテストパイロットですよ」

 

「そうね。少なくともキミは日本人だと思うわ。でも戸籍は何者かに偽造された物で、その親族は一人として知れない。その上でデビルガンダムといった機体に精通し、先日にイギリスでテロを起こしたテロリスト、フォン・スパークと知己の関係でもある。本当の貴方は誰なのかしら?」

 

その質問にオレは沈黙する、真実は並行世界から来た人間だ、だがそれを言って信じると思うか?

 

とはいえ相手も日本の暗部、オレの戸籍が篠ノ之博士の偽造した物である事を見抜いていて、それを利用する事が出来る相手だ

 

「私は確かにIS学園の生徒会長よ。でも日本の暗部である更識の当主でもあるの。そんな私からすれば正体不明の貴方は警戒しなければならない相手なのよ」

 

「………………」

 

「他には、貴方の出身となっている施設、紫藤院ね。でも名前が変えられたのは数日前。そこに居る子供達も戸籍を偽造している。ラビットフット社が絡んでいるのは知っているけど、そこの子供達は行方不明になっていた子供達と同一人物だと分かったわ。そしてその親族はヴァルハラの関係者。此処まで揃っていてスナークではないというのは無理があるわね」

 

そこまで言われてオレは降参する、フォン相手なら性格とかを知っているから出来るが、そもそも本職の人間が相手で向こうはこの短時間でどうしても整合性の取れなかった部分を突いて来ている

 

ため息を一つ吐いて、オレは銃を下ろす

 

「で、何が知りたいんです?」

 

「コウタさん、それは……」

 

「オレには無理だ。だから余程の情報でなければ素直に話す事にした」

 

「そう、ありがとう。じゃあ最初の質問に戻るわね。貴方は何者?」

 

「紫藤康太が本名なのは間違いなく、今の役職はラビットフット社のテストパイロット。そしてラビットフット社の裏の部隊とも言うべきSNARK唯一のパイロット、ですね。オレ自身の目的は宇宙開発。そして、人類進化の可能性の模索。SNARKとして動くのは違法な人体実験に対する武力介入、といったところです」

 

とはいえ並行世界人とは言わない、それはまともに聞けば荒唐無稽な話だから

 

「成る程、それぞれの理由を教えて貰っても良いかしら?」

 

「宇宙を目指すのは単に憧れから。人類進化はそもそもオレ自身が変革を始めているらしいですよ。人体実験に関しては義憤から、ですね。ヴァルハラに対する武力介入ですが、奏達に関してはこういう事です」

 

オレはジェガンのコアを通じてデータを表示していく、それはヴァルハラの拠点を襲撃した時の画像だ

 

牢獄に囚われた奏達の姿、拠点地下の研究施設、そしてその中にあったDG細胞によりゾンビ兵となった子供達の成れの果ての姿を

 

「これは……!?」

 

「恐らくは会長達も調査したとは思いますが、地下の研究施設に関しては完全に焼き払いました。そして奏達を保護して、紫藤院という孤児院を作りました」

 

「そうね、確かに報告では何らかの地下施設があったと記されていたわ。そう、人体実験にまで手を出していたのね」

 

ヴァルハラの連中が人体実験をしていたから襲撃した、と取れるように言ったが最初は報復、見付けたのは偶然、その後はオレの暴走なので全て偶然の産物だ

 

とはいえ勘違いするように誘導するようにはしよう

 

頭の良い人間なら情報を小出しにして、そこから繋げようとするだろう

 

少なくとも並行世界人だなんて答えに行き着く事はまともに話していれば有り得ないのだから

 

「取り敢えずヴァルハラと紫藤院の子供達については分かったわ。それで次はそうね、人類進化って何かしら?普通、そんな事は考えないわよね?貴方が変革しようとしているって言うけど、それも何なのか気になるわ」

 

「良いですよ。宇宙開発で人類が宇宙に進出したとして、そこは過酷な環境です。そしてそこに住まう人々はそんな極限状態に於いて適応しようとします。宇宙に適応した人類、それをニュータイプと呼んでいます」

 

「ニュータイプ、ね。康太くんはそのニュータイプなの?」

 

「元から素質があったのか、理由は分かりませんけどIS学園に来てからは戦闘による極限状態に何度も晒されて生死の境をさ迷いましたからね。まだ完全とは思えませんが高い空間把握能力と、強力な感応波を発する事が出来るようになっているみたいです」

 

「にわかには信じがたい話ね」

 

「篠ノ之博士が研究中ですから詳細はその内論文でも出るんじゃないですか?少なくとも、能力の向上は目指しますけどオレはそれだけです」

 

「それならそれを待つわ。じゃあ次、康太くんの出自についてね。どう過ごして来たのか教えてくれる?例えば住んでいた場所とか、その情報ね」

 

質問が続き、ある意味で一番の難問ではあるが時間を置いたので出自に関してでっち上げる余裕が出来た

 

なので此処からが正念場だ

 

「さあ?」

 

「さあって、何かあるでしょう?学校とか、その地域の名前とか」

 

「少なくともこの世界でオレが通っていた学校とかは無いですね」

 

嘘は言ってない、オレが通っていたのはオレの世界の学校だからだ

 

例え同じ地域に同じ学校があったとしてそこに居る人間はオレの事など知らないだろうし、オレが通っていたという記録もないのだから

 

「通っていた学校がない?」

 

「というよりもこの世界での記憶は一年あるか無いかですね」

 

この世界に来てから半年も経ってないから実際にはその半分ではあるが

 

「目覚めてみればいつの間にかIS起動してそこは見知らぬ土地で偶然に篠ノ之博士に保護されてラビットフット社のテストパイロットに。この世界でオレの一番古いの記憶はそれですよ」

 

「そう……貴方が人体実験を潰して回るのはその事が関係あるのかしら?」

 

「嫌悪とかは抱きますけど、それとは別ですね。ニュータイプは死者の念を、残留思念を感じ取る事が出来るんですが、想像出来ますか?暗い地下に押し込められた小さな子供達が泣き叫んで、一緒に耐えてきた仲間が実験でゾンビ兵にされて、その姿を見ながら自分が同じようにゾンビ兵に変わっていく感覚を」

 

ゾンビ兵やDG細胞に関する資料は生徒会長も見ているのだろう、オレが説明した状況を想像したのか眉をひそめている

 

「なのでオレは人体実験を行う国、組織、企業、その全てに対して武力による介入を行います。デビルガンダムも、強化人間も、戦いの道具という理由で人が人の命を弄んで良い訳がないんですから」

 

ガンダム00に於いてソレスタルビーイングが紛争根絶の為に戦おうとした理由が少しは分かった気がする

 

そんなオレの言葉に生徒会長は考え込むように黙っているが、少し経つと一つ頷く

 

「一先ずは康太くんの事が分かったわ。そうね、日本国内で動く時だけ事前に教えてくれるなら更識は何もしないわ。その上で利用させて貰うわね」

 

「良いですよ、秘密にしてくれるなら何でも」

 

生徒会長がオレの正体をどのように判断したか、与えた情報から恐らくは何処かで人体実験を受けた被験体として見ているだろう

 

ニュータイプ能力を持つ事、この世界でオレが居たという記録がない事、人体実験を憎悪している事、これらを組み合わせればそう思っても仕方がない

 

何しろオレは一つも嘘を言っていないのだ、生徒会長が人の嘘を見抜く能力に長けていたとしても、オレが並行世界見抜いていたなら寧ろ驚きだ

 

尤も、セシリアとかイギリスの件とは矛盾する部分もあるから照らし合わせればバレるんだけどな、どうにもフォンと戦った事は把握していても細かな所までは把握出来ていないらしい

 

「なら次は―――」

 

「この辺りが限界ですかね。流石に守秘義務とかもあるので、話せるのは此処までです」

 

「そうなの?まだ根掘り葉掘り、聞きたい事が一杯あるのに」

 

「今のはオレの事情ですからね。これ以上踏み込むと会長を殺さないといけなくなります」

 

「ふふ、一つ教えてあげるけど人間を殺した後処理って結構大変なのよ。完全犯罪がなかなか成り立たないように、何処かでボロが出るわ」

 

「いえ、先程の会長が簀巻きになってる写真と、水着エプロンの写真を新聞部に渡して、痴女な生徒会長が夜這い掛けてきたけど撃退したって言いふらすだけです」

 

「社会的に殺すつもり!?けど残念ね。記事が出る前に生徒会長権限で新聞部の予算を削ると脅は……交渉すれば良いのよ」

 

「ならサブプランとして会長の妹さん、更識簪に同様の文面で抗議しておきます」

 

「それだけはやめて!?ただでさえギクシャクしてるのにそんな情報渡ったら関係が修復不能になっちゃう!」

 

どちらかと言えば後者の方が会長へのダメージが大きそうである、いざという時はそのカードを切る事も辞さない

 

まあその後で会長からの必死のお願いで実行には移さないでおいた

 

「では、戸籍の件はお願いします。報酬は打鉄のコア一つ返還出来るように説得しときます」

 

「分かったわ。因みに回収したコアってどう使ってるのかしら?」

 

「一つは放置、もう一つは奏の専用機になってますよ。なので返還は一機だけです。それも篠ノ之博士との交渉なので確約は出来ませんが」

 

「流石に二機の損失は日本としても痛いのだからありがたいわ。でも新規のコアでも良いのよ?」

 

「テロリストにコアを好き勝手させてた日本の管理体制に問題があるので無理です」

 

「分かったわ。少なくとも、コアが一つあるか無いかで大きく変わるもの。今日はありがとう、康太くん。戸籍の件はしっかり対処してあげるわ。流石に被験体の子供達の保護をしているのを潰す真似なんて良心的にも堪えるもの」

 

「オレがやった事ですが、奏達に罪はないですからね」

 

「ええ、本当に。今日はコアに関する交渉だったけど、今度は更識との取引もお願いしたいところね」

 

そう言って生徒会長は部屋から出ようとする

 

だがそこでオレは会長に伝えるべき事を思い出すのだった

 

「あ、会長。戸籍なんですが近々海外の研究所を襲撃する予定があるので増えた時は戸籍お願いします」

 

「今すぐ詳細を話しなさい知ってる事を洗いざらい一つも余さずに!」

 

と、まだまだ会長との対話は続くのだった




前々回のちょっと出た半オリキャラの居るアメリカへの出撃の為のフォンからの情報提供でした

この後楯無さんと話して終わりました、会長としてはアメリカの弱味を、アメリカが関わっているかは兎も角としてアメリカ国内で違法な人体実験が行われている情報を得て手札が増えたとか

次回はイギリス帰りの休暇やら成果のテスト、研究所強襲の計画ですかね

前回の襲撃と今回の襲撃、対比を書けたらと思います
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