リナに手を引かれ地上に出た後はまず一番近くにある第二アリーナへと向かう事にした
が、今のところは部外者であるリナが出会すのはまずい人物と早々に出会したのである
「むっ、紫藤か。隣に居るのは、見ない顔だな。誰だ?」
「織斑先生……」
この場合では一番会いたくなかった相手である織斑教諭である
「あー、コイツはリナと言いましてオレの幼馴染です。簡単に言えば、オレと同郷です」
織斑教諭はオレの素性を知っている、だからその同郷という言葉で察したのか一つ頷く
「アメリカの方に向かったと連絡を受けていたが、その関係だったのか。だが一応は部外者だ。あまりうろつくのも感心はしないな」
「二学期から入学予定ではありますよ。今はその前の学校見学的な物です」
「だとしても事前に申請を出しておけ。だがお前達の事情も分かっているからな。お前が絶対に側に居る事を条件に許可してやる。後で形だけ申請を出しておけ。日付を遡って処理しておいてやる」
「ありがとうございます、織斑先生」
「なに、多少の融通は利かせてやるさ。まあ限度はあるがな」
そう言って織斑教諭は通路をオレ達とは別の方向に進んでいく、規則には厳しいが事情があるなら寛容なところに助けられたな
「あれが本物の織斑千冬……雰囲気が半端じゃないわね」
「入学試験の時、模擬戦したけどかなり気圧されたからな」
少なくとも未だに近接戦闘で勝てるビジョンが全く見えない相手である、その迫力だけでリナが圧倒されたとしても不思議はないだろう
あまり他人に出会いたくない中で織斑教諭と穏便に事を済ませられたのは運が良かった、そうして目的地である第二アリーナに到着し、中にある整備室を目指すのだが、今度はある意味で早めに会っておきたかった人物に出くわす
生徒会長であり日本の暗部の長をやっている更識楯無、その人が整備室の前でうろうろと行ったり来たりしているのが見えたのだ
リナとリリアナとミネッサの戸籍を用意して貰う事とか色々話しておきたかったのでついでに軽く報告しておくとしよう
「会長、何やってるんですか?」
「ひゃっ!?て、康太くんじゃない、びっくりしたわ。アメリカから戻ってたのね」
本当に暗部の長なのか疑いたくなる程に注意力が散漫になっていた様子の会長、明らかに不審な行動だったから別の要因があるのかもしれないけど
「おー、裸エプロン先輩ね!」
「
「オレの幼馴染で二学期から転入希望のリナ=ゴールデンバーグと言います。あと戸籍リナ含めて三人分お願いします」
「リナです。よろしくお願いします」
「私はこの学園の生徒会長の更識楯無よ、よろしく。それにしても、康太くんの幼馴染ね……」
「オレの過去を探ろうとしても無駄ですよ。口止めはしてありますから」
「それは残念ね。取り敢えず戸籍の件は分かったわ。でもね康太くん。用意はしておくけど、そろそろ私にも報酬があっても良いと思わない?」
「コアの返還の代金分ってどのくらいが相場ですかね?」
「まあ、そう言われると釣り合ってないように思えるわよね。でも適度に利益を渡す事で相手に裏切られるリスクは減らせるわよ。誰だって好き好んで自分の利益になる相手を裏切るような事はしないもの」
その辺りは承知しているが報酬にどういった物が必要かは別の問題である、暗部という性質からISによる武力が必要な事もあると考えても、ISコアを渡すのでは釣り合わないのだ
なので複数の仕事の対価となるのだろうが……まあ篠ノ之博士に相談しておこう
「そういえば、二人はどうして此処に居るのかしら?」
「リナの案内を兼ねて、リナが行きたい場所に引っ張られてます。ああ、織斑先生にさっき会いましたよ。後で学園見学の申請を出しておくように言われました」
「それなら私が何か言う理由もないわね。ところで、途中編入って事は専用機もあるのかしら?」
「ありますよ。ユニコーンタイプの三号機です」
リナと共に現れたフェネクスは現在は篠ノ之博士が解析しているが、終われば得られた技術を一夏のユニコーンとクロエのバンシィに反映する予定だ
ただ軽く解析してもNT-Dに関してはOSとして機体の根幹に組み込まれている為に手出しが出来ないらしい、そこでオレに反応する事を避ける為に感応波の送受信を行う機器を全て外すという物理的な方法で対処する
頭部もユニコーンタイプの特徴である角が無くなり、代わりに情報を投影する為にゴーグル状の装備をする事になったとか、加えて機器を外している内にクロエと同じようなMS少女のような形の形状に変わっていた
ガンダムタイプの機体なのに勿体ないが暴走すると中学生達の式典を襲撃してニュータイプの素質を持った子供達も持たない子供達もまとめて虐殺したりするから仕方ないね
「本当に専用機が増えると戦力的にありがたいわね」
「なおパイロットの技量は素人同然です」
「……夏休みの間に可能な限り訓練をしておいてね」
それは当然、技量も無いのに専用機持ちとかコネだとかの陰口の他にも亡国機業といった連中からすれば格好の的だからな
と、亡国機業で思い出した、会長に確認しておかなくては
「会長、報酬代わりと言ってはなんですが、一つ情報があります。確定ではないにしても、参考程度にはなるかと」
「あら、どんな情報なのかしら?」
「亡国機業という組織を知ってますか?」
「……何処でそれを知ったのかしら?当然、私もその組織の事は知っているわ。今のところ、一番動向に注視している組織ね」
「オレが知ったのはイギリスでのエクスカリバー事件の後です。亡国機業から直接コンタクトされたという人物から、連中がエクスカリバーに関与していたと聞かされました」
「そう……康太くん、この話は此処でするにはマズいわ。後日、正式に日時を決めて話し合いましょう。何処にその目があるか、分からないから」
「そうですね。では日程が決まったら連絡をお願いします」
「ええ、後程手形で連絡させて貰うわね」
直接紙でやり取りする事で盗聴などの危険を避ける為という訳か
確かに正体不明のテロ組織を相手するには廊下で話すというのは無用心に過ぎた
先程までの迷っていた様子は欠片も見せず、会長は暗部の長らしく真剣な表情で廊下を進んでいく
そういえば、あの人は結局ここで何をしてたんだ?
「コウが本当に大人の世界に仲間入りしてる……」
「まあ篠ノ之博士がアレだからな、交渉関係を一部引き受けたりはしている。とはいえ、本職相手は骨が折れるが」
先に釘を刺した事でリナから情報が漏れる事はなかった、空気を読んで黙っていてくれたらしい
そのお陰で助かったが、リナが単独の時とか色々聞き出そうとするかもしれないから油断ならないな
「でも、あの人が居たなら此処で間違いないわね」
「そうなのか?此処に何があるっていうんだ?」
「それは中に入れば分かるわ。という訳でコウ、扉を開けて」
「はいはい」
会長が居なくなった後、リナに促されて扉を開く
一応はISを扱う場所だ、生徒が使えるとはいえ入るにはセキュリティを通す必要がある
だから生徒であるオレがセキュリティ認証を行い扉を開く、中にはISを整備する為の設備が並んだ部屋が広がっている
そしてリナが探していた相手なのか、既に先客が居た
「だ、誰!?」
「あ、しどっちだ~、久し振り~」
「のほほんさんと、更識簪か……」
それはオレの顔見知りでもある二人だった
◆
夏休みという事もあり大して知り合いも残ってはいないだろと思っていたが、思わぬ者が残っていたという事に軽い驚きはあった
しかし直ぐに二人の近くにある物に目を引かれる、設備に固定されているのは一機のIS、既存のどの機体とも違う機体だ
そして更識簪の専用機と聞いていた打鉄弐式の存在を思い出し、この機体がそうだと思い出した
それからのほほんさんが更識簪の事を『かんちゃん』と呼んでいた気がする、リナが言っていた『かんちゃんの専用機』というのは打鉄弐式の事だったのか
「確かに夏休みの間は会わなかったから久し振り、になるな」
「そうだね~。おや、そっちは誰かな~?」
「私はリナ、リナ=ゴールデンバーグ。コウの幼馴染で、二学期から転入するの。よろしく」
「そうなんだね~。私は布仏本音だよ~、のほほんって呼んで良いからね~」
「よろしく、のほほんさん。で、そっちは……」
「あ、更識簪、です……」
「よろしく、更識さん」
「う、うん……」
互いに自己紹介を済ませる二人とリナ、リナの方は二人の事を知っているのかもしれないが、話を合わせている
「そういえば、しどっち達はどうして此処に~?」
「リナに学園内の案内をしていたところだ。アリーナに来て、整備室に入ったら偶然な」
「そうなんだね~」
「オレも聞きたいんだが、二人もどうして此処に?」
「それは……」
「かんちゃんの専用機開発だよ~」
「本音ッ……!?」
今日で何度も行ったやり取りをするが、今回は逆に夏休みというこの時期にこの二人が学園に残って整備室にいた理由が気になった
それをあっけらかんと話すのほほんさんと、対照的に咎めるような声を上げる更識簪
そして専用機開発という理由から改めて打鉄弐式を見る、装甲は大分形になっているように見えるが武装らしき物が見えない、それどころかブースターの類いも数があまり存在しないのだ
「未完成という事か?」
「それは………………そう……」
「本当は倉持技研が造ってたんだけど、白式が優先になったから開発がストップしちゃったんだよね~。で、かんちゃんがそれなら自分で造るって機体とコアを貰って来たんだ~」
「成る程な……」
白式、というよりはそのパイロットが貴重な男である事からデータ収集と解析に人手が取られているのだろう、おまけに世界でも更に貴重な二次移行を行った機体だからより力が入れられるようになった
とはいえ白式は篠ノ之博士の手も加わっているワンオフ機、技術を解析するのは良いが、だからといって次期主力機になりそうな打鉄弐式の開発をストップさせるとはな……ふーむ
「防御重視だった打鉄より機動性が上がってるのは分かるが……搭載する武装は?」
「何でそんな事を聞くの?」
「ぶっちゃけるなら単なる興味本位。それがどういう機体で、どういうコンセプトを基に考えられた機体なのか、考察やら運用やら考えるのが好きなだけだ」
「一応は、こんな予定……」
そう言って更識簪が見せてくれたのは打鉄弐式の完成予定図なのだろう、各種武装が施された機体のCGが表示されている
「夢現、春雷、山嵐……夢現はともかく、荷電粒子砲の春雷に独立稼働型誘導ミサイルの山嵐…………これが設計通りの性能を発揮するならば……」
武装のデータと設計を見てコンセプトを想像する、追尾性能の高い大量のミサイルと火力のある砲、加えて機動性の高い本体の組み合わせ、そして手持ち武器としては近接格闘戦用の超振動薙刀のみという構成、そこから設計した者の出した答えを導き出す
「ミサイルは相手の動きを封じる為の物。回避にしろ迎撃にしろ、数が多い。そして相手がミサイルに対処している間に威力の高い荷電粒子砲による攻撃を加える。当たれば良し、当たらずとも足を止めさせる事に成功すればミサイルが殺到する。そうして被弾して足の鈍った相手を荷電粒子砲や薙刀で仕留める。大体はこんなところか?」
戦術としてはクロスボーン・ガンダム ゴーストに登場したバンゾが近いだろう、あちらは事前に決めた弾道しか出せずミサイルで撃破ではなく損傷を与える事に特化し重装甲で鈍重な点を考えると別物ではあるが
そういった事もあり更識簪に確認を取ると、少し驚いたような表情をしていた
「どうして……」
「別で似たようなコンセプトの機体を知っていただけだ。まあ向こうはかなり重装甲な機体だけどな」
残念ながらバンゾのデータは作成していないので資料として見せる事は出来ない、だが更識簪はその事に興味を示したらしい
「詳しく聞かせて」
「良いぞ。軽くイラストに書いて説明するが、あの機体は―――」
データが無いので適当な紙に簡単なイラストを書いて説明する
土偶に似た独特なシルエットの機体なのだが、更識簪は大分参考になったのか聞き終えると満足そうに一つ頷く
「ありがとう、とても参考になった」
「一番の違いはミサイルの誘導性だな。自分に返ってくる心配がないから装甲を厚くする必要がない。その分を機動性に回せばミサイルに頼らない通常戦闘も可能になる」
一つの事に特化したコンセプトっていうのは強いが、逆に言えば対策されると完全な無力になる
バンゾの仕様だってミサイルの威力が低いから全身をビームシールドで覆うという手段で無効化出来る訳だ、ビームに触れればミサイルが起爆するからνガンダムのフィン・ファンネル・バリアとかの形は天敵と言えるだろう
それを考えれば他にも強みを持たせておく事で幅広く対応出来るというのは利点だ、打鉄弐式ならば機動性という強みを持っている事になる
「ところで、コレ本当に一人で完成させる気か?」
「そうだけど……何か?」
「いや、単純に凄いと思っただけだ。オレにはその辺りは出来ないからな」
少なくともオレが出来る設計はガンダムに登場する機体をモデルに組み合わせた機体くらいだ、こういった機体の設計をゼロからやれと言われてもどうしても引っ張られてしまう
そして自分では新たなテクノロジーの開発も出来ないので、自分で全てを組み上げようとしそれが出来るだろう更識簪は素直に尊敬する
「そうなの?ラビットフット社のテストパイロットなのに?」
「別にラビットフット社だからって全員が新規のISを組める訳じゃない、というか寧ろそれが出来る人間の方が少ないさ。オレは主に既存の機体と既存の技術を組み合わせてパイロットに応じたカスタマイズをする方が得意なんだよ。例えるなら、この学園の専用機ならシャルロット・デュノアのラファール・リヴァイヴ・カスタムⅢとかラウラ・ボーデヴィッヒのフルアーマー・シルヴァ・バレトみたいな機体を造るのが得意って事だ」
どちらかと言えば機体より武装のカスタマイズの方が得意なのだ、その関係で機体バランスやら出力調整やらも出来るが基本は組み合わせのみである
そして機体を設計したとしてもオレの腕が足りなければ結局は篠ノ之博士に手伝って貰う事になる、一応は簡単な開発が可能なように設計図さえ作れば製造してくれるビルダーがあるから簡単な物は自作してるが
「へぇ、それならコウは打鉄弐式の装備って作れたりするの?」
「そうだなあ。夢現と春雷は割りと早く完成するだろうけど、山嵐がなあ……ハードは頑張ればなんとかなるかもしれないが、マルチロックオンシステムが……」
別口で開発されているSNARK隊用のオレの機体のデータを転用すれば可能かもしれないが、アレを晒すのは危険だ
しかし夢現はフラッグのソニックブレイドを、春雷はSEED系ビームライフルを転用すれば作れるだろう
だが山嵐はハードなら何とか作れるだろう、ミサイルも問題ない、だが一番の目玉とも言えるマルチロックオンシステムの構築は難しい
「コウ、それなら開発を手伝ってあげるのはどう?」
と、そこにリナからそんな言葉を掛けられる
此処に来る前にリナが言っていた『かんちゃんの専用機』とやらが更識簪の打鉄弐式だという事は分かっている、だが手伝うと軽く言うが幾つか問題がある
「リナ、軽く言うがオレはラビットフット社のテストパイロットだ。そんなオレが勝手に倉持技研の新型を弄くればどうなると思う?」
「どうなるの?」
「お前な……少なくとも、表向きは打鉄弐式は倉持技研の所有物になる。それを他企業のオレが弄ったりしてみろ、訴訟起こされても文句言えんぞ。それが例え白式という存在に釣られて開発ほっぽり出した間抜け共相手であってもな」
「あ、そっか……」
やるにしても手順という物がある、とはいえ苦しい言い訳くらいはあるんだけどな
それに、オレが手伝う事を前提にしているが、それをする為の障害はまだある
「手伝いは、良い。打鉄弐式は、私が完成させるから」
そもそものパイロットである更識簪の意思を無視して開発する訳にはいかない、完成しない機体を引き取ってまで開発を続けようとしたのだ、それにも何か理由があるのだろう
だからオレは手伝わない、少なくとも今はまだな
「そういう訳で、オレは手伝えない。だけどな、更識簪。オレから一つだけ言わせてくれ」
「なに?」
「打鉄弐式、これは良い機体だ。それが兵器であれ何か別の機械であれ、これまで多くの存在が生まれてきた。だが中には歴史の表舞台から消えていった存在も数多くある。だからこそ、これだけの機体が政争やらの理由でまともに開発が進まず完成しなかった、なんて事にはなって欲しくはない。いざという時には手伝わせてくれ」
「……さっき、企業が違うから出来ないって言ってた」
「なに、その時は趣味で個人的に協力してた、とでも言い張るさ。それに、ラビットフット社が秘密裏に開発に協力していた、なんて事も倉持技研からすればプラス要素になるんじゃないか?ああ、開発ほっぽり出した連中に『お前ら居なくても学生だけで完成させたぞ』ってプライドへし折るのも面白そうだな」
苦しいかもしれないが、その時は開発を止めてた向こうが悪いって事で更識簪にも証言して貰うとしよう
そしてオレの言葉に対し、更識簪は小さく笑うと一つ頷いた
「わかった、本当にどうしようもなくなった時は助けて貰う。でも、それまで、出来る限りのところは私がやってみる」
「ああ。飛ぶために生まれてきたのに、飛べないなんて事は打鉄弐式も望んでないだろうからな」
ISにはそれぞれに意思がある、にも関わらず飛ぶ事も出来ないというのは不本意でしかないだろう
宇宙を目指す為の翼ではなくなってしまったが、それでも地上に残されたままよりは空を駆ける事を望む筈だ、だかは整備室を出る時、オレは一つだけ更識簪へと伝えた
「ISはただの機械じゃない、パイロットにとっては自らの命を預ける大事な相棒だ。信頼し愛情を以て接すれば機体は必ず応えてくれる。あまり一人で考え過ぎて、頭ハツカネズミになるなよ」
ISとは何か、その大事な事を伝えてオレは整備室を出る、なおその後置いていかれる形になったリナが追い掛けてきて怒られたりするのだった
◆
康太達が立ち去った後、簪は先程の康太の言葉を咀嚼していた
「ISは飛ぶ為の翼。ただの機械じゃない、か」
世間一般の認識からすればISは最強の兵器であり、実際の扱いも宇宙へ進出する為の物から圧倒的な性能を誇り世界の軍事バランスを左右する存在になっている
それは康太の機体であるジェガンも同様であり、そもそも学園でも上位の実力者である康太の言葉とは矛盾しているようにも思えた
ただ、そんな矛盾しているように見える康太だが、簪の目には一つ確かな事が分かった
「あの人は私が更識とか関係なく、打鉄弐式の事を考えてた。本当に、ISが好きなんだ」
少なくとも機体の設計思想を訊いてきた時の康太の顔は純粋に興味だけが存在していると言わんばかりに輝いており、その後で別の機体を解説する時も本当に楽しそうに話していた
それは好きなアニメの事を語る時の自分にも似ており、幼少の頃から更識という家に生まれた事で彼女が身に付けた人を見る目にもそう映っていた
だからこそ完成しないISを放っておく事は出来ないのだろう、色々と不利な立場になるかもしれないのに協力する事も約束してくれた
そして何よりも彼はISを相棒と称していた、ISには意思のようなものがあるかもしれないと言われているが、康太はまず意思があると断言した
それはそもそものISの開発者たる篠ノ之束に近い存在だからかもしれないが、それだけ機体を信頼しているのも事実だった
それに対して簪は己を振り返った、倉持技研の開発が停止し自分で開発を続けるのは打鉄弐式が自分の機体だからというのはあるが、それとは別に自身が抱えるコンプレックスの為でもある
簪の姉でもある更識楯無、更識の党首となった彼女は自分の機体を自分だけで組み上げた、幼い頃から周囲に優秀な姉と比較され続けた劣等感、同じように自分でISを完成させれば少しは近づけると思っての行動だった
しかし康太の言葉によってそれが揺らぐ
ISに意思があるのは確定として、康太の言うように宇宙へと飛ぶ為に生まれてきたにも関わらず、空さえも飛べない今の状況に、打鉄弐式は何を思うだろうか
そして打鉄弐式の事をただの機械、自身のコンプレックスを解消する為の手段として見ていた事を思っていた彼女は決意した
「本音」
「なに~、かんちゃん?」
「今更だけど、都合が良い事だけど、本音にも打鉄弐式の開発、手伝って貰っても良い?」
「かんちゃん……うん、もちろんだよ~!だって私は、かんちゃんの従者で~、なによりも大切な幼馴染だもんね~!」
「うん、ありがとう、本音」
姉からの指示で動いているかもしれないと疑って拒絶していた幼馴染でもある布仏本音、彼女は簪の言葉に心の底から嬉しそうな微笑みを浮かべて簪の手を取る
それを見て簪は自分の被害妄想だったと実感し申し訳ない気持ちになる、だから今度からはちゃんと本音とも向き合う事を決める
自分を心配してくれた幼馴染にもちゃんと頼る事を決め、そして簪は改めて打鉄弐式を見る
まだまだ未完成な機体、でも色々な都合に振り回され未だに空を飛ぶ事さえも出来ない
という訳で簪ちゃんとの本格的な交流となりました、これがきっと簪ちゃんに取ってもプラスになる筈
なお開発に本格的ですコウタくんが参戦するのはコウタくんが二次移行してからの予定です
そして次回は原作にもあった夏祭り篇、その後は映画の試写会の話やらシャルロットとデュノア社のストライク・ラファールの話を書いてから文化祭篇に入りたいと思います
オリジナルとかでも動き易い夏休み篇って書いてるとどんどん話が増えていってしまうんですよね……