ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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私は日常パートより戦闘パートの方が書くのが早いです←ただの言い訳

すみません、暑さからかモチベーションが上がりませんでした、次はもっと早く投稿出来るようにします

なお今回は妹達の登場、そして夏祭り編になります


52話 妹たち

私には好きな人が居た、同じ学校に通う男の子で、サッカー部のエースでもあった人だ

 

ISという存在が現れてから世界は変わっていった、学校でも男子に対して大きな態度を取る女子が年々増えていったし、男子もそんな女子達に表立って逆らうような真似はしなくなっていった

 

けど彼はそんな中でひたすらにサッカーに打ち込んでいた、プロになりたいと夢を追い掛ける姿は他の女子からも人気が高かった

 

そんな彼と私が付き合う事になったのは彼の方から告白されたからだ

 

当時はまだ気になる程度だったけど、共に過ごす内に好きになっていた

 

でもそれも長くは続かなかった、原因は私の母親だ

 

私の母はISが誕生してから勢力を伸ばしてきた女尊男卑を掲げる女性権利団体である『ヴァルハラ』に参加していた

 

それも結構高い地位にいるらしい、理由は私が簡易検査でIS適性Sを叩き出した事だ

 

優秀なISパイロットの卵を産んだ女性だから、そんな理由で高い地位を得られたのだとか

 

それで私は『ヴァルハラ』によく連れ出されるようになった、そんな人達の姿を間近で見てきたから逆に私は女尊男卑に染まる事はなかったのだろう、反面教師というやつだ

 

だからだろう、私が男の子と付き合い始めたと知った時の母の怒声は

 

男は穢らわしいだの、ISパイロットとして相応しくないだの、思い出すだけでも呆れるような主張をしてきた

 

当然、そんな言葉をまともに受け止める必要もない私はそれを無視し続けた

 

そんなある日の事だった、彼は突然に逮捕された、罪状は不法薬物所持、体内からは薬物の成分が検出されていないが麻薬といった代物は所持しているだけでも罪に問われる

 

学校で手荷物の中から、女子生徒からの通報で見付かった事、その女子生徒が女尊男卑に傾倒していた事は偶然ではないだろう

 

そして『ヴァルハラ』は警察や司法にもその手を伸ばしていた、彼が有罪判決を受け少年院に送られる事になるのは間違いがなかった

 

そんな状況になって、母は「所詮は男なんてこんなものでしょう」と言った事は覚えている、私は反射的に拳を握っていた

 

その後の事はあまり覚えていない、気付けば暗い地下の牢獄に幼い子供達と一緒に押し込められていた

 

頭を冷やし悔い改めるようにと言われたが、誰がそんな事をするものかと

 

それでも同じ牢獄に捕らえられていた子供達が少しずつ連れていかれる事に私は不安を覚え、牢獄の扉が開かれる時に抵抗した

 

それは向こうがスタンロッドと呼ばれる警棒とスタンガンを併せたような武器で打ちのめされて叶わない

 

そして連れていかれた子供達は二度と戻る事はなかった、あの子達がどうなったのか、それを知ったのは後になってからだった

 

それでもろくな事にはなっていないのだろう、そう確信していた私は一つの覚悟を決めた

 

表向きは『ヴァルハラ』に従順になった振りをしよう、望んだものではないがIS適性はSランクである、ならば将来的に私にISを与えようとするだろう

 

だからその時までは堪え忍び、その時が来たならばこの手で『ヴァルハラ』を壊滅させる、だがその計画は意外な形で頓挫する事になる

 

後にSNARKと呼ばれる事になる存在、義理の兄という関係になる紫藤康太との出会いによって

 

 

「朝か……」

 

懐かしい、という程には昔でもない過去の記憶を夢で見ていた紫藤奏はそう呟くとベッドから降りる

 

枕元の時計は朝の五時を示している、いつもその時間に起床している奏は軽く身嗜みを整えるとジャージに着替えると外に出て夏ではあるが夜の間に冷えた空気を感じながらランニングを始める

 

今出てきた建物、『紫藤院』と適当に名付けられた家は奏が保護されてから他の義妹となった小さな子供達と共に暮らしている家だ

 

そして奏は義兄曰く「ISだろうが何だろうが、戦闘するなら最後は結局体力勝負」という言葉に従って体力作りとしてランニングをしていた

 

それまで住んでいた街とは違う街での新しい日常を奏は送っている

 

それから一時間程度は軽く走った奏は家に戻ると掻いた汗をシャワーで洗い流す、その頃になると義妹達も起きてくる時間だ

 

そんな義妹達の為にも朝食を用意しておく、とはいってもトーストに目玉焼きを乗せただけの簡単なものだ

 

そしてある程度朝食の用意が終わると廊下の方からパタパタと騒がしい足音が聞こえてくる

 

「おーっす、奏ー」

 

「お姉ちゃん、おはようなのです~」

 

「おはよう、奏お姉ちゃん」

 

「えぇ、おはよう、菊代(きくよ)(もえ)静流(しずる)。ほら、まずは顔を洗って来なさい。それまでにはこっちもちゃんと完成させておくから」

 

若干生意気そうな雰囲気のある菊代、おっとりとした様子の萌、一番幼いながらもしっかり者の静流、その三人が奏と同じように康太に保護され、そのまま家族となった妹達の名前である

 

それぞれ十歳、九歳、八歳と奏とは少し歳が離れるが共に同じ境遇を乗り越えた事もあり義理とはいえ姉妹仲は良好と言える、そして長女というポジションもあり奏は三人の面倒を見ていた

 

炊事洗濯掃除など、色々と大変ではあるが夏休みが明ける頃までにはイギリスに行った際の流れでこの家に康太の友人であるセシリアの使用人だったチェルシー達が来る事になっているので、奏はそれまでは頑張るつもりだった

 

黄身が半熟になるくらいに焼いた目玉焼きをそれぞれ先に焼いていたトーストの上に乗せ、エッグトーストの完成となる

 

そのタイミングで洗顔を終えた妹達も戻ってくる、その後はそれぞれ各自の分を乗せた皿を運んでテーブルに座り手を合わせる

 

「「「「いただきます(なのです)」」」」

 

そうして思い思いに食事を始める四人、奏も自分で作った朝食を食べ、一つ頷く

 

「うん、こんなところね」

 

いつもと同じように仕上がっている事に一先ずは満足し、残りを食べ進める

 

奏は塩コショウが掛かった目玉焼きのままだが、妹達はそこに醤油やらソースやらマヨネーズやらで自由に味付けしている

 

それから朝食を終え、奏は調理器具を洗いながら今日の予定を考える、世間では学校は夏休みであり、そもそも表向き前の自分達は死んだ事になっているので以前の学校には通えない奏達は学校からの宿題がある訳でもなく今の時期は割りと時間が余っていた

 

とはいえまだ中学生と小学生の年齢なので義務教育を受ける必要があるので夏休み明けから通う学校で置いていかれないようにと問題集などを買ってきてはあるのだが

 

「パンが少なくなって来たから買っておかないといけないわね。丁度良いからお昼はいつものお店で菓子パンにしようかしら」

 

そんな奏は朝の家事を終わらせた後、残っている食べ物を思い浮かべながらいつもパンを買いにいく近くの商店街にあるパン屋に寄ろうと考えていた

 

普段の朝食に使う食パンの他にも様々なパンを作っている店であり、その味も絶品なので妹達も喜ぶだろう、そう奏は決めると洗濯物を干し、妹達の勉強を見たりしながらその事を伝える

 

妹三人もそのパン屋の味は知っているので直ぐに全員一致で賛成となり昼になる少し前に商店街に向かう

 

日本の商店街にしては珍しいちょっと肥満体型な白人の中年男性の店主が営む『ぐっどパンや』にて食パンや昼食のパンを購入していった奏達、その後は適当に商店街を歩いていたが、至るところに貼られている花火大会のポスターが目に入る

 

「わあ、花火見てみたいのです!」

 

「祭りって事は屋台とかあるよな!行ってみようぜ!」

 

「良いかな、奏お姉ちゃん」

 

篠ノ之束という世界の軍事バランスを簡単に左右出来る存在との繋がりがある事から体制が整うまでは誘拐といった事を懸念してあまり外出も出来ない奏達、だが幼い妹達はそれだとフラストレーションも溜まる一方であり、奏としてもなんとかしたい事だった

 

こうして近場に買い物に来る程度なら固まっていれば専用機を持つ奏が対処も出来るから問題ないが、それでも時には遊びたいものだ

 

「分かったわ。ちょっと兄さんに応援頼むから、少し待っててね」

 

人の多い中に行くにしても奏一人だと妹達を守りきれるか不安が残る、その為に康太にも手伝って貰った方がより安全だと奏は携帯端末を操作して連絡を取る

 

忙しいかとも思ったが、直ぐに呼び出しに応えた康太に奏は事情を説明、奏は少し身構えたが康太はその事を二つ返事で了承、結果として義理の兄妹達の外出が決まったのだった

 

 

奏達から連絡を受けてオレも了承したが、その夏祭りが行われるという神社を見て少しだけ驚いた

 

神社の名前は『篠ノ之神社』と言い、篠ノ之博士の生家でもあるのだというのだから

 

しかし篠ノ之博士は今日は来ていない、此処に居るのはオレの他にはクロエとリナ、ミネッサ、そしてリリアナだ

 

神社の鳥居の部分で合流しようと約束していたがオレ達の方が早く着いたようだ

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

「リリアナ、ちょっと食べ過ぎじゃない?」

 

「ん~?まだまだ食べられるよぉ?」

 

「普通こういうのって全員集まってから店を回るものだと思うのだけど……」

 

「お腹が減っちゃったから仕方ないよねぇ」

 

そして早速とばかりにリリアナが屋台の料理を大量に買い込んでいた

 

スラム育ちという事で主にミネッサが一般常識を教え込んでいる途中であり、実践として連れてきた側面がある

 

ちゃんと事前に渡しておいたお小遣いをちゃんと使えている辺りは成長しているのだろう、最初の方は盗めば済むというスラムの常識が染み付いていた

 

まあ、ミネッサが必死に教育していても理解しなかったがオレが『日本の警察はスラムと違って賄賂が効かないから小さな犯罪やるのは割に合わんぞ』といったら直ぐに理解していた辺り、価値観が違うのだろう

 

尤も、この言い方だと割に合うならやってよし、とも受け取れるのだが武力を行使して数百人の命を奪ったオレが言える義理ではあるまい

 

と、そこに奏達がやって来た、他の妹達も一緒だ

 

「こんばんは、兄さん」

 

「おーっす、コータ!」

 

「お兄ちゃん、こんばんはなのです!」

 

「コウタお兄ちゃん、こんばんは」

 

「ああ。奏に、三人も元気そうだな。新しい生活には慣れたか?足りない物があればいつでも言ってくれよ」

 

奏に続き菊代、萌、静流の三人も挨拶してくる

 

体調などは問題なさそうだが、それでもあまり面倒を見てやる事が出来ていないから何か不足している物とかはないか訊ねる

 

「家事がちょっと大変だけど、でも直ぐにあのメイドさん達が来るから頑張るわ」

 

「そうか、苦労を掛けるな」

 

奏は一番の年長だからかあまりそういった要求を出さないのかもしれない、まあそれとは逆に―――

 

「うーん、色々用意してあるけど、やっぱずっと家に居てばっかだからゲームとかあると退屈しないかなあ」

 

「えっと、萌はぬいぐるみが欲しいのです。寝る時に抱っこできるような大きなぬいぐるみが良いのです」

 

「私は絵を書きたいから、絵の具とか貰えたら嬉しいかな」

 

子供らしく、ちゃんとわがままを言える三人が素直なだけだろう

 

とはいえ奏にも何かプレゼントを贈るとしよう、訓練に妹達の世話と色々引き受けてくれてるからな

 

「分かった、それぞれ用意しておくよ」

 

オレが約束してやると三人は無邪気に喜ぶ、今まで辛い目に遭ってきたのだからこれくらいは叶えてやりたい

 

「本当にお兄ちゃんやってるのね、コウ」

 

そしてオレが三人と話しているとオレが一人っ子だった事を知っているリナが近付いてくる

 

「えっと、どちら様なのです?」

 

「私はリナ=ゴールデンバーグ、コウの幼馴染よ。よろしく、えっと―――」

 

「萌は萌なのです!よろしくなのです、リナお姉ちゃん!」

 

「お姉ちゃん、お姉ちゃんかあ、良い響きね!よろしく、萌ちゃん」

 

「えへへ~」

 

当選ながら初対面になるリナの事を知らない萌は首を傾げるが、その後は自己紹介をして直ぐに打ち解け、リナに頭を撫でられた萌ははにかんでいる

 

ミネッサとリリアナも奏達とは初対面だし、それぞれ紹介するが二人は日本語をまだ勉強している途中なのでオレが通訳として動く

 

「ミネッサ・トムソン、ラビットフット社に新しい技術者として入る事になったわ。今回は息抜きと日本の勉強を兼ねて参加したから、これからよろしくね」

 

「もぐもぐ、リリアナ・トムソンだよぉ。もぐもぐ、よろしくねぇ、もぐもぐ」

 

「せめて自己紹介の時くらいは食べるのを止めて欲しいが……まあ良いか、今後の教育に期待しよう」

 

ミネッサはともかく、リリアナは今も食べ物を食べている

 

そしてリリアナの姓だがミネッサと同じ物を名乗る事になった、まあ紫藤を名乗っても違和感あるから仕方ないよな

 

奏達の方もそれぞれ自己紹介を終えてようやく祭りを見て回る

 

「でも、兄さんは本当に大丈夫だったの?普段、パイロットとして忙しいんじゃない?」

 

「ん?別に問題ないぞ。最近は訓練だけだし、それも日課になってるからな。教授の研究がもう少しで一段落しそうだからそこからは分からないが、折角の機会だからな。それに、子供ってのは目を離すと直ぐに何処かに行ってしまうものだ。例えば動物園でライオンの檻に入って子ライオンを鷲掴みにするとかな」

 

「いや、それは流石に有り得ないでしょう」

 

「HAHAHAHAHA」

 

「ちょっと、冗談よね?冗談の類いなのよね?」

 

流石に菊代達くらいの年齢ではないが二、三歳の頃に実際にやらかした人間は居るからな、此処に

 

「それはそれとして、オレもまだ高校一年だ。夏休みなのに撮影して出撃して教導に行って出撃して、遊んだ記憶がないのは流石に、な……」

 

普通ではないのは自覚しているし諦めた、だが大人になった時に思い返してそれは悲しすぎる、だからせめて家族と遊びに行った思い出くらいは欲しいと思ったのもある

 

という訳で今日は普段の訓練とかを忘れて遊ぶ、そう決意してオレは祭りの喧騒の中に向かうのだった

 

 

 

□金魚すくい

 

「金魚さん、かわいいのです」

 

「横に亀すくいってあるんだが……え?同じポイでやるの?マジで?」

 

ミネッサとリリアナは馴染みがないから、オレ達は夏祭りとはいえそこまではしゃぐ程でもないから見る屋台は菊代や萌、静流に任せたところ、萌が金魚すくいに興味を持った

 

が、金魚の隣の水槽に亀すくいとして小さな亀が何匹も居て、同じようにポイで掬おうとされていた

 

「おう、兄ちゃん亀すくい見た事ないのか?うちは大丈夫だぜ。ちゃんと登録もあるし、亀の種類も表示して台帳も付けてるからな!」

 

そう言って屋台には『第一種動物取扱業者標識』と書かれた紙が額に入れて屋台の見える位置に掲げられていた

 

こういったのが必要なのか、屋台も大変なんだな

 

「亀もそうだが、金魚も水槽とか用意してないからなあ」

 

「それならほれ、売ってるぜ。金魚のエサの他に水槽用の砂にエアポンプと水草、カルキ抜きも一セットで三千円、大分安めだぜ?」

 

「お願いします」

 

という訳で亀すくいはやらないが金魚すくいの代金の他に水槽他一式も購入する事となった、上手く商売しているものである

 

「ん~?魚を掬ってどうするのぉ?食べるのぉ?」

 

「流石に食べないわよ。見て楽しむペットにするの。これは有名だから私も知ってるわ」

 

やる気のある面々は既にポイを受け取って参加している、リリアナは食べ物でないからか興味が薄かった

 

「あ~、破けた!」

 

「こっちもなのです……」

 

「難しいね、これ」

 

「ははは、お嬢ちゃん達残念だったな。でもちゃんと一匹はやるから安心しな」

 

そういって予め水草と一緒に一匹ずつ袋に入れられた金魚を渡す店主、それを受け取って萌も嬉しそうな笑顔をしていた

 

「水槽も買ったんだから、ちゃんと世話するんだぞ」

 

「はいなのです!萌がしっかりとお世話するのです!」

 

生き物を飼うという事には責任があるという事だが萌がしっかりと返事をする

 

そう言って世話をしない事も多いのだが、これも経験だな

 

「ふふん、なら今度は年長組の出番ね。おじさん、次は私もやるわ!」

 

「私も、こういった事は初めてなのでやってみたいです」

 

そして年少組が終わった後はリナとクロエが参戦した

 

そうして意気揚々と挑戦するのだが―――

 

「あっ」

 

「はい、嬢ちゃんも残念だったな。ほら、金魚一匹だ」

 

「ぐぬぬ、このポイ細工してないわよね?」

 

「ははは、人聞きの悪い事を言うなあ。正真正銘、市販のポイに何の手も加えてねえぜ。それに、そっちの嬢ちゃんは上手いもんだろう?」

 

リナ、あっさりとポイが破けて失敗、一匹だけ貰って終了となる

 

そしてクロエだが初挑戦とは思えない慎重さで三匹の金魚を掬ってみせた

 

リナは小さい頃、オレと一緒に近所の祭りでの経験があるのに負けた形だな

 

結局リナはクロエに負けたのが悔しかったのか更に三回程挑戦したのだが一匹掬えただけで終わるのだった

 

 

 

□型抜き

 

「型抜きか。まだ残ってるんだな」

 

「コウタさん、これはどういう遊びなんですか?」

 

金魚すくいをした後でまた屋台を巡っていたのだが、そんな中に型抜きを見付けたオレは思わず足を止めた

 

他の面々も型抜きは知らないようで、クロエがオレに訊いてくる

 

オレも小さい頃に見ただけであまり経験はない屋台だ

 

「簡単に言えば板状のお菓子に書かれた絵を針や爪楊枝でくり貫くんだ。上手く割らずに抜けたなら景品と交換って形だな」

 

「手先の器用さが大事な遊びなのですね」

 

「まあ、そんな簡単にはいかないんだけどな」

 

具体的には上手くいっても店側が何だかんだと難癖つけてくるので実際に景品と交換可能なのは少なかったりする

 

まあ割れても食べられるし、過程を楽しむ感じの遊びだなこれは、最近は味も向上してるらしいし

 

という訳で興味のある面々でこれも参加する、リリアナが参加するのは意外だなと思っていたのだが―――

 

「もぐもぐ」

 

「せめて一度くらいは針を入れようぜ……」

 

「んー、まあまあ?」

 

実際に型を抜く以前に速攻で食べた、一応ルールは教えた筈なんだがなあ

 

と、それはそれとしてオレも自分の分を進める

 

店側に聞いたら手で折っても良いという事だから早速だ

 

「あ、割れちゃったのです」

 

「結構難しいね」

 

菊代は細かいのが合わないからと参加しなかったが萌と静流は参加していた、だが簡単な方の型でも針を入れる力が強すぎで早速割ってしまっていた

 

そしてオレはまず手で折る前に針で溝を掘っていく

 

元からある溝に沿って、真っ直ぐになるようにだ

 

掘れたら折る、そうすれば溝にそって大きなパーツが削れていく

 

無理なところは力を入れすぎないように、描かれた溝を掘り進める、削っていく針も、押さえる手も、力を入れすぎると割れるから慎重に、だ

 

そしてそれも終えると残った細い部分、そこはもう少ないから溝を掘るのは止めて直接削っていく

 

一通り終わったところでチェック、削り残しがないか確認してから終了だ

 

「ほい、難易度上、リスの完成だ」

 

曲線が多く尻尾といった細い部分もあったから難易度が高めに設定されていた、それを店主に見せると店主は渋い顔をして項垂れる

 

「ま、負けた……」

 

「よし」

 

型抜き自体は小さい頃にやったくらいだがガンプラで器用さは上がったのかもな

 

成功した景品はお菓子の詰まった大きな袋だった、難易度が上中下の三段階あって、それぞれの難易度で袋の大きさが違っていた、その袋をオレは菊代達に渡す

 

「ほら、ちゃんと仲良く分けろよ」

 

「やった、サンキューコータ!」

 

「ありがとうなのです、お兄ちゃん!」

 

「でも、折角コウタお兄ちゃんが取ったのに、良かったの?」

 

「別に良いさ。中身的に、お前達の方が良いだろうしな」

 

「そっか。ありがとう、コウタお兄ちゃん!」

 

「おう」

 

中身は駄菓子が大量に詰まっていたが、こういったお菓子なら菊代達の方が喜ぶだろう

 

そしてリリアナ、物欲しそうに見ているが流石に取るなよ、そこのりんご飴買ってやるから

 

「出来ました!」

 

「どれどれ?ふむ、難易度下のコマ、合格だ」

 

そうしているとクロエの方も終わったらしい、直線の多いコマの形をしたものは初心者であるクロエにもクリア可能であり、持ち前の集中力で合格したらしい

 

オレが取ったのと比べるとかなり小さめだが駄菓子の入った袋を受け取ったクロエは嬉しそうに微笑む

 

「やりました、コウタさん」

 

「初挑戦でいきなり成功は大したものだ。オレも初めてやった時は結構割ったからな」

 

おまけに一回百円と安かったのもあって、もう一回、もう一回とやっている内に結構お金を使ってしまうんだよなあ

 

それでも上手く抜けた時の達成感はかなりのものだ、集中して作業した後ともなれば尚更な

 

おまけに此処のはお菓子の詰め合わせだったが、大抵の店は賞金と交換という形だったから、子供ながらに熱中したのも良い思い出だろう

 

その後、ミネッサが割りと熱中して二千円くらい使い込むまでこの場に留まる事となるのだった

 

 

 

□射的

 

その後はりんご飴を人数分買い齧りながら祭りを進む、花火の時間も迫ってるし何かゲームをするなら次で最後にした方が良い時間かなと思っていると菊代が射的の屋台を見付けて走っていった

 

射的ならばオレもかなりやっている、というか現在進行形でパイロットとして訓練してるし実戦も経験してるだけに得意な部類だ

 

当然ながらコルク銃とでは勝手が違うが弾道さえ把握すれば攻略は容易い、なのでオレも乗り気で参加しようと思っていた時だった

 

「あれ、康太?久し振りだな。夏休み中あんまり会えなかったけど、元気してたか」

 

「一夏、それに一秋に箒にラウラもか。そっちは元気そうだな」

 

声を掛けられ、振り向けば普段着姿の一夏と一秋、和服姿の箒とラウラが居た

 

夏休みの間、訓練で学園に来る時以外は顔を合わせてなかったが、四人ともこの祭りに来ていたのか

 

一秋とラウラは恋人同士なので良いとして、よく見ると一夏の隣には赤毛でバンダナを巻いた和服姿の少女が立っている

 

同年代、と言うには少し下、奏と同じくらいの歳に見える少女だった




なおコウタくんが言ってたライオンの檻に入っていった子供の話、私です

赤ちゃんライオンを抱っこして記念撮影してある写真がアルバムにあって、親から伝えられた出来事です

檻に入って赤ちゃんライオンを鷲掴み、慌てて飼育員さんが助け出すも赤ちゃんライオンを離さなかったので写真撮影で妥協させた、との事で

流石に嘘だろうと思うのですが今まで明確に否定された事がないのが怖い……
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