ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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オリ兄に関して色々構成を考えていたら不死身の炭酸ルートになっていた、でも本格的な紹介は模擬戦なのよね


5話 IS学園入学

四月のとある日、多くの学校が入学式を迎える前日というその日の朝、それは唐突に発表された

 

通勤前の時間、何気なくテレビをつけていた多くの人が目にする事になるその事実は連日報道されていた世界初のIS男性操縦者である織斑一秋に続き世界に衝撃をもたらす事となる

 

『―――世界中が注目を集めるIS学園ですが、今年は更に注目を浴びています。世界で唯一の男性操縦者である織斑一秋氏の入学が決まっており……と、速報です。えっ、嘘!?し、失礼しました!日本のISメーカーであるフジヤマ社が第二世代IS、並びに第三世代ISの開発を発表しました。そしてその搭乗者として世界で二人目と三人目となる男性操縦者を起用したとの事です。またフジヤマ社は今回の発表と共に『貴重な男性操縦者を起用する事が出来た幸運にあやかって』とラビットフット社へと社名変更を行うとの声明を出し、また操縦者両名もIS学園への入学が決定していると―――』

 

全世界で同時に通達されたその発表に加え、添付された動画データはフジヤマ社改めラビットフット社の新型機の映像であった

 

ニュースでその映像には一機のISらしき姿が映っており、現行のISでは殆んど見なくなった全身をライトグリーンの装甲で覆ったその機体は海上にて射撃を行い次々と標的であるドローンを撃墜していた

 

右手に持ったライフルから青白いレーザーが放たれる度に空中に炎の華が咲き、ドローンから放たれる火線はそのISを捉える事が出来ずにその数を減らしていく

 

そして全てのドローンを撃墜し終えた後、同空域にもう一機のISが現れる

 

それは日本の第二世代である打鉄であったが通常のそれとは姿が大分異なっていた

 

基本的に楯やアーマーを備え防御力に優れた打鉄はそれらの装備を取っ払い、機動力を確保する為に背部のカスタム・ウィングが大型化していた

 

だが多くの人が驚いたのはそのパイロットについてであろう、女性にしか動かせない筈のIS、にも関わらずそのパイロットは明らかに男性であり、更に言えばその容姿は連日報道されていた織斑一秋ととてもよく似ているのだ

 

しかしそのように驚いている暇もなく映像の中の二機は激しい空中戦を繰り広げる事となる

 

打鉄が標準装備であるアサルトライフルである【焔備】を両手に持ち放つがライトグリーンの機体はそれらを悠々と回避している

 

そのまま機動性を誇るのかと思えば、唐突に空中で静止するライトグリーンの機体、そこに追い付いた【焔備】の銃弾が殺到し、誰もが撃墜を予想した

 

だがライトグリーンの機体の装甲はそのような銃弾など物ともしなかったのである、左手に備えられたシールドすらも使わずに自前の装甲のみで受けきったのだ

 

そのあまりの装甲の頑強さに多くの人間が呆気にとられるが、【焔備】を捨てた打鉄が日本刀型のブレードである【葵】を抜きライトグリーンの機体に迫る

 

それにはライトグリーンの機体も動き出すが、右手に持っていたライフルを格納すると右腰から棒状の物を取り出し先端からエネルギーによる刃を出力し、迎え撃ちにかかる

 

空中で斬り結び一撃離脱を繰り返して飛ぶ両者ともその機動は鋭くとても素人の動きには見えない、それなりに訓練をしたのであろう動きをしている

 

互角に見えた攻防が終わりを告げたのは【葵】がエネルギーによる刃の熱量に耐えきれなくなり融け落ちた事が原因だった

 

獲物を失った打鉄、そこに叩き込まれた横薙ぎの一閃が打鉄に当たり絶対防御と呼ばれるISの搭乗者保護機能が発動する

 

なお、本来ならばそれで終了なのだがライトグリーンのISがだめ押しとばかりに蹴りを入れ、そのまま打鉄は海中に没する事になったのである

 

そして場面が切り替わり、搭乗者紹介といったタイトルが表れる

 

そのタイトルに映像を見ていた全員が注目していたのだが、次に映ったのは海岸で口論をしている少年二人の映像である

 

『お前、康太、最後なんで海に沈めやがった!?あのまま降りれば終わりだったろうが!』

 

『うるせぇ、ノリだ!それよりもお前こそなんだよ一夏!何が練習要るだ一時間もしない内にまともに動けてるじゃねえか!』

 

『あの、お二人とも。既にカメラが回っているのですが』

 

『お前だって同じだろうが!あの人から聞いたけど同じように一時間くらいしか動かしてないんだろう!?なら同じレベルって事だ!この野郎、お陰で全身海水まみれだぞ!』

 

『知るか!落とされる方が悪い!』

 

『お前の機体新型だろうが!不公平だろ!』

 

『お前の機体は第三世代機のユニコーン与えられる予定だから良いだろ!オレのジェガンあれでも分類上は第二世代機なんだぞ!』

 

『そんなの関係あるか!ほら、お前も海に落ちやがれ!』

 

『うぉっ!?おま、やめ、ヘルメットないから潜水服にはならねえんだぞ!?』

 

『知るか、お前も道連れだ!』

 

どったんばったん、取っ組みあいになって海で沈んでいく二人、画面には映っていないが後ろの方では一人の女性が爆笑していたりする

 

その後、一暴れした二人が息を切らした頃にカメラを回している少女が仕切り直し、名前のみを告げて映像は終わった

 

なおその映像を見てポニーテールの少女が驚愕していたり、スーツ姿の女性が頭を抱えて大きなため息をついていたりしたが、それはまた別の話である

 

そして時は流れ、IS学園の入学式の日が訪れた

 

 

IS学園に入学するまでの間に篠ノ之博士から知識を詰め込まれ、一夏と模擬戦による訓練を行い過ごした三日間、遂に入学式の日がやってきたのだが、オレと一夏は入学式に出席せず、既に生徒達が各自教室に居る中で廊下を歩いていた

 

というのも入学は決まっていたものの実技試験だけは受けろと言われたのだ、なので朝に到着して今まで実技試験を受けていた

 

世界で三人のみの貴重なIS男性操縦者なので試験の結果は問わず入学する事が決まってはいたのだが入学時点での実力の把握という意味があるらしい

 

そしてその試験を終え、オレ達はあの日オレを聴取したスーツ姿の女性、一夏の姉である織斑千冬教諭の後に続いて一年間学習する場である一年一組の教室前に来ていた

 

「私がまずは入る。お前達は私が指示するまで此処で待っていろ」

 

「了解」

 

「分かった、千冬姉」

 

「織斑先生だ、馬鹿者」

 

「痛っ」

 

公私はしっかりと分けるタイプらしい織斑教諭が一夏の頭にチョップを食らわせる

 

まだ軽くではあるが、本気でやると出席簿が来るらしいので怒られないように気をつけよう

 

そして織斑教諭は教室に入っていったのだが、丁度今は自己紹介の場だったらしい、聞こえてくるのは男性の声、一夏の兄だろうな

 

『―――以上です』

 

がたたっ、という椅子が動くような音が聞こえてきて『げえっ、呂布!?』『誰が三国志の英傑か、馬鹿者』などのやり取りが続いた

 

その後は女子生徒達の黄色い声が上がる、事前の学習で織斑教諭がISを用いた世界大会モンド・グロッソの初代優勝者、ブリュンヒルデだというのは聞いていた

 

そして此処はISを学ぶ為の場所、彼女達にとっては憧れのプロスポーツ選手が現れたような感覚だろう、きっと

 

そんな歓声を一喝によって封殺した後、幾つかの自己紹介を交えた後に指示が来た

 

『―――それと諸事情により遅れていた二名を連れてきた。丁度良い、自己紹介して貰うとしよう。入って来い』

 

「失礼します」

 

名前順で並んで教室に入るオレと一夏、入ってから目に入るのは殆んどが同年代の女子の姿、大半は日本人のようだがISを学べるのは世界でもここIS学園のみである為に外国人の姿も見える

 

一名のみ見える男、一夏とよく似た顔をしているのが双子の兄だという織斑一秋か

 

分かってはいたがこれだけの女子の視線に晒されるというのは中々にキツい、中学時代はあまり女子と接点がなかっただけに切実に

 

とはいえ今日からは殆んど女子しかいない学園で生活する事になるのだ、頑張って慣れよう

 

オレ達は教壇の近くに立ち、クラスの全員と相対し自己紹介を始める、名前順で一夏からだから気が楽だ、事前に考えていたとはいえな

 

「えー、世界で二人目の男性操縦者になりました織斑一夏です。ISに触れての時間はまだ短いですが精進します。よろしくお願いします」

 

「同じく世界で三人目の男性操縦者の紫藤康太です。所属は一夏と同じくラビットフット社。専用機は第二世代量産型ISジェガンです。コイツはジェガンの待機形態のハロ。色々と試験段階の機能を搭載していますが、相棒共々よろしくお願いします」

 

『ヨロシク、ヨロシク』

 

取り敢えずは順調に自己紹介が出来た、と思うがクラスは静まり返っていた

 

何か失敗したか、と思った次の瞬間、今度は逆に耳が痛くなる程の歓声へと変わる

 

「男、それも三人!」

「片方は地味だけど、専用機持ち!」

「ハロかわい~」

「担任は千冬様だし、私もう死んでも良い!」

「男子をこのクラスだけで独占!これは情報が売れるわね!」

 

等々、その反応は様々ではある、あと地味で悪かったな、自覚しとるわ

 

ただしハロを可愛いと言ってくれた子は許す、袖がやたら長いが顔は覚えた

 

そして最後の一人、勝手に人の情報を売るな、一夏のなら提供してやらんでもないが

 

と、そろそろ収拾がつかなくなりそうな雰囲気になってきたところで教壇を叩く音が響き教室に静寂が戻る

 

その音を発生させたのは他でもない、織斑教諭である

 

「色々と聞きたい事もあるだろうが今はSHRの時間である事を忘れるな。取り敢えず自己紹介は今ので最後だったか?まだの者は挙手しろ。織斑弟と紫藤は学校生活の中でクラスメイトの名前と顔を覚えろ。良いな?」

 

『は、はい……』

 

「ならば席につけ。これより半月の間にISの基礎知識を諸君に叩き込む。その後に実習となる。ISは扱いを誤れば簡単に人の命を奪えるような危険な物だ。全員、その事を念頭に真剣に授業に打ち込むよう。分かったな」

 

織斑教諭から放たれる気迫、それに気圧される全員は何度と首を縦に振った

 

そう、ISは今や兵器だ、篠ノ之博士が夢の為に作った時とは違いそのあり方は歪んでしまったが兵器である

 

そんな物を学ぶという心構え、それを織斑教諭は説いた

 

そして授業が始まる

 

 

「何とかなったな」

 

「ああ、あの頭痛に耐えた甲斐があったというものだ」

 

取り敢えず一時限目の授業を受けたのだがISの基礎についての授業であり、篠ノ之博士特性の勉強マシンで頭に刻み込まれたオレと一夏は授業内容をしっかりと把握する事が出来た

 

なおオレ達の席は教室の後ろの方である、急遽入学が決まったので追加で配置されたらしい

 

後ろの方なので授業中は女子からの視線に晒される事はない、前々から入学が決まっていて名前的にも前の席に座る事になっている織斑兄には申し訳ないがな

 

そうしてオレ達が二人で話しており、他の女子が遠巻きに見ている中で一人の女子生徒が近付いてくるのが見えた

 

「ちょっと良いか?」

 

「ん?誰だ?」

 

「おお、箒か!久し振りだな、去年の大会以来か?」

 

オレ達の方に話し掛けてきたので訝しんでいると一夏が相手の名を呼ぶ、どうやら一夏の知り合いらしい

 

「う、うむ、そうだな。あれから大事はなかったか、一夏?」

 

「はは、こうして男なのにIS学園に入学する事になったのが一大事だよ」

 

「それはそうだな。私も驚いた。一秋の件は知っていたが、お前までISを動かせるとは思わなかったからな」

 

「でもこうして一緒にまた勉強できるんだから悪い事じゃないな」

 

「そ、そうだな。私もそう思う」

 

ふむふむ、どうやら彼女は一夏に気があるらしい、やっぱり顔が良いからモテるのか

 

そして一夏だが、これ多分特別な意識とかせずに天然で言っているな、一夏は彼女に対する恋愛感情があるのだろうか

 

なんだか一方通行な気がするなあ、不憫な

 

「あ、そうだ。箒、こっちは紫藤康太、同じ会社の同僚、になる」

 

「紫藤康太だ。一夏と同じくラビットフット社のテストパイロットをしている。康太でいい。よろしく」

 

「ああ、篠ノ之箒だ。一夏とは幼馴染に当たる。私の事も箒で構わない、名字はあまり好きではないのでな……とにかく、よろしく頼む」

 

「名字……ああ、そういう事か。分かった、箒」

 

「すまない、感謝する」

 

篠ノ之博士と同じ姓、という事は箒が篠ノ之博士の言っていた妹か

 

改めて箒の事を確認するがおちゃらけた雰囲気の篠ノ之博士と凛とした雰囲気の箒とでかなり印象が異なる

 

「ふむ、なんだか侍って感じの人間なんだな」

 

「箒の実家は剣道の道場をやっていてな。俺も小さい頃に通ってたんだ。箒は実力もスゴいんだぜ、去年の全国大会の優勝者なんだ」

 

「そういう一夏も去年は中学の全国大会で優勝していたではないか。何を謙遜する必要がある」

 

「オレからすれば全国大会出場してるレベルでも十分にスゴい事なんだけどなあ」

 

というか二人とも剣道やってたのか、道理で一夏がIS乗った時は近接格闘戦がやたら強い筈だ、機体性能がなければ押されてたからな、あの模擬戦

 

それから予鈴が鳴るまで話していたが箒とは仲良く出来そうだな、他の女子も興味がありそうな様子で見ていたし、案外なんとかなる、かな

 

そして二時限目、IS関連の教育に特化しているこの学園では一日の授業の殆んどがISの授業で締められていた

 

相変わらずオレ達は授業内容をしっかりと把握出来ており、先生からの質問にもちゃんと答える事が出来る

 

この調子なら学校での勉学はなんとかなりそうだ、中学時代は平均的な成績だったのが嘘のようである

 

こうして迎えた二時限目の休み時間、そろそろ他のクラスメイトとも会話をしなければと思い一夏と回ろうとしたのだが一人の女子生徒から声を掛けられる、デジャヴ

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「む、セシリア・オルコットか」

 

「誰だ?」

 

「あら、そちらの殿方は私のことをご存知のようですわね。織斑一夏さんの方は少しお勉強が足りないのではなくて?」

 

「イギリスの代表候補生だ。事前に渡された資料にあっただろう?」

 

「あ、あれか!あまり目を通してないんだよなあ」

 

「お前な……現在学園に在籍中の代表候補生並びに専用機持ちの名前と顔は把握しろって言われただろうが。実戦を行う際に有用なデータが取れる、操縦技術の向上に役立つって」

 

「そうは言っても、あまり興味なかったからなあ」

 

ああダメだこりゃ、本当に資料に目を通してないや

 

まあ必須という訳でもなかったから仕方ないにしても、クラスメイトでもあるのだから覚えておいた方が良いぞ

 

「ちょっと、この私を無視しないで下さいます?」

 

「悪いな、えーっと、オルコット。悪気はないんだ」

 

「ふん、別に構いませんわ。男性など所詮は愚図なノロマですもの。そんな事に一々目くじらを立てていては身が持ちませんもの」

 

「良いからさっさと本題に入れ、まだるっこしい」

 

「何なんですの、その態度!この私を誰と心得て―――」

 

『コウタ、ツウシン!コウタ、ツウシン!』

 

「おっと、会社からだ。すまないが後にしてくれ」

 

まだオルコットが何かを言ってくるが意識からシャットアウトする

 

ハロ経由での通信というのは篠ノ之博士達からの連絡で重要な案件になる、些事に関わっている暇はない

 

取り敢えずは通信に出る為にハロを地面に放る

 

そのままハロの上部カバーが開いて半球状になると映写機のような光と共に人間が現れる

 

とはいってもそれはホログラムであり、映し出されたのはクロエだ

 

『コウタさん、一夏さんはそこに居ますか?』

 

「一夏、呼ばれてるぞ」

 

「俺?分かった」

 

『た……プロフェッサーからの連絡です。一夏さんの機体が完成したので、本日の放課後に受け渡しを行うとの事です。機体の調整を行いますので私が向かいます。放課後に校門前までお願いします』

 

「早いな。流石はた……プロフェッサーか」

 

『本来なら一夏さんの入学前に完成させる予定でしたが予想以上にシステム関係で手間取ったとの事です。ですが予定通りの性能に仕上がったとの事で、プロフェッサーも喜んでいましたよ』

 

「成る程。なら放課後に頼むよ。康太も来るだろ?」

 

「当然だ。じゃあクロエ、また放課後に」

 

一夏の専用機、つまりはユニコーンが完成したという事はサイコフレームの複製に成功したという事か

 

データと現物があったとはいえ、よくもまあこの短期間でと思う

 

まあ何はともあれ早く完成してよかったよかった、通信を終えてハロを拾い上げた時に丁度予鈴も鳴ったしうるさいオルコットの相手をせずに済む、良いことずくめだな

 

しかしそんな時間も長くは続かない、三時限目の授業の頭に織斑教諭が告げた出来事が事の発端である

 

「そういえば再来週のクラス対抗戦に出る代表者を決めていなかったな。誰か立候補、または他薦はあるか?」

 

その言葉に生徒全員がざわつく、そもそも説明が少ない

 

「クラス対抗戦は文字通りクラスから代表となる生徒を一人選出してISでの試合を行う。そしてクラスの代表として選ばれた者は他にも生徒会の会議や委員会への出席とまあ簡単に言えば中学までの間にもあったであろう、クラス委員長という訳だ。なお一度決定すれば一年は変更出来ん。その辺りの事をよく考えて選ぶんだな」

 

成る程、つまりは面倒な雑事もくっついてくるという事だな

 

試合だけなら出ても良い、というか戦闘経験を積むために是非とも出たいのだが篠ノ之博士からジェガンで試作兵装のテストが来る可能性があるんだよなあ、なんでもジェガンの方がデータ収集には適しているとかで

 

なら此処は辞退だな、よし、気配を消しておこう

 

地味という事はこういう時に役立つ、背景に溶け込んでしまえば人の意識から外れる事が出来るのだからな

 

「はい、織斑くんが良いと思います!」

 

「えっ!?」

 

「織斑は二人居るぞ。どっちだ?」

 

「両方を候補にして、模擬戦で決めたら良いと思います!」

 

「なっ!?ちょっと待ってくれ!」

 

「織斑弟、推薦された以上は拒否権はない」

 

「クッ、なら俺は康太を推薦します!」

 

「あ、テメェ、一夏!折角人が気配消してたのに!」

 

「お前なら俺より強いから大丈夫だろ!」

 

「機体性能考えて言え!そもそも、オレは本社から試作兵装のテストが来るからそんな暇はねえって!」

 

「二人とも黙れ。何がどうあれ推薦された以上は拒否権はないと言った筈だ。織斑兄、貴様は何かあるか?」

 

「千ふ……織斑先生に逆らえないって分かっているので反論もしません……」

 

織斑一秋か、そう言えばどういった人物なのかあまり知らないな

 

篠ノ之博士も興味ないって言ってたし、一夏から後で訊くか本人と話してみるか

 

一夏の反応から悪い人間ではないらしい、篠ノ之博士いわく面白い人間でもないようだが

 

「他に居ないか?ならこの三人で決着を―――」

 

「納得いきませんわ!」

 

何だかオレ達男性三人がクラス代表として決められそうになった時、それに待ったをかける声があがる

 

というかまたお前か、オルコット

 

「ほう、なら理由を言ってみろオルコット」

 

「勿論です。単に男性だからと、物珍しさだけで選ばれるなどあってはならない事です。クラス代表とは文字通り、そのクラスの中でも最も相応しい者にこそなる権利と義務があります。そしてこの中でそれに一番近い人物はこの私を置いて他にありません!」

 

「つまりはプライドか、下らねぇ……」

 

セシリア・オルコット、事前の資料で調べていたが彼女の実力は高い、今年の入学生では学年首席である

 

それを誇りに思うなとは言わない、だが他者を陥れるような発言だけはいただけないな

 

「聞こえてますのよ、紫藤康太さん。専用機持ちとはいえ、貴方は所詮第二世代機の、それも量産型のパイロット。第三世代機を持つ私に敵うと思ってますの?」

 

「予想以上に地獄耳か……まあいい、取り敢えず持論でよければ言わせて貰おうか」

 

第三世代機、特殊な兵装を備えたISの分類されるカテゴリーではあるが、それが総じて性能の高さを示す物ではない

 

「取り敢えずお前さんの専用機であるブルー・ティアーズについての資料は見た事がある。だがその上で言おう。人間ではなく機体が乗り手を選ぶなど、ナンセンスだな」

 

「はい?」

 

「兵器とは、万人に扱えてこその代物だ。だがお前さんの機体に搭載されているそれは適性を必要とする。そのような欠陥品を誇るか、三流め」

 

「なっ!?言うに事欠いて、私のブルー・ティアーズを欠陥品ですって!?」

 

「フンッ、事実だろうに。確かに複数方向からの射撃は脅威だ。しかし、そんな物は複数機を相手にするのと同じであり、オールレンジ攻撃ならば常人にも扱えるインコムで事足りる」

 

データがあるから後程試作で作って組み込んでみると篠ノ之博士が言っていたが、実を言うとインコムのデータも存在する

 

それもまた試作兵装の一つであり、ジェガンでテストする予定である

 

何やら色々機能をつけると言っていたのに不安を感じなくはないが、それが完成してしまえばオルコットの機体はその有用性を失う事になる

 

無線と有線、その違いはあれどオールレンジ攻撃が凡人にも可能となるのだから

 

「よくも私のブルー・ティアーズを馬鹿にしてくれましたわね……良いでしょう、紫藤康太さん、貴方に決闘を申し込みます!」

 

「ハッ、上等だ!先に第二世代機だと馬鹿にしたんだ、撃墜して赤っ恥をかかせてやる!」

 

「それと残りの二人も一緒ですわ。纏めて叩き落として差し上げます!」

 

「おい康太、こっちまで飛び火したぞ!?」

 

「うるせぇ、量産機の良さも分からねえヤツにコケにされたまま黙ってられるか!凡人には凡人の、量産機には量産機の意地があるって証明してやらぁっ!!」

 

戦闘経験を積むという目的もあるのだがそんな物はこの際放っておく、オレの愛機を馬鹿にしたんだ、コイツだけは何としても墜とす!

 

だが先にオレの頭に何かが落ちてきた、出席簿?

 

「ヒートアップしているところ悪いが少し頭を冷やせ二人とも」

 

痛みが引いてきたところで顔を上げてみれば織斑先生がオルコットの頭にも出席簿を叩き付けていた

 

「ハァ、なんにせよ決闘にてクラス代表を決めるという方向で来週の月曜日の放課後にアリーナにて四名での模擬戦を行う。それまでに全員、機体の調整を行っておけ。以上。これより授業を始める」

 

普通にまずは口頭で注意すればいいのに、真っ先に実力行使してくる織斑教諭怖い

 

だが決闘の事は容認してくれている、ならば後は模擬戦で撃墜してやるだけだ

 

オレは静かに闘志を燃やしつつ、授業へ参加していく

 

そして放課後、遂に一夏の専用機であるユニコーンの受領が行われた




誰でも自分の推し機体を馬鹿にされればキレるよね

次回、『ユニコーンの日』、束さん設計の一夏専用武装も出るよ
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