ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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祝、バトオペ2にジェガン実装!

でもなんでイベント配布にしなかった運営ィィィィィィィィィィッ!!(爆死)


63話 学園祭

日付は九月の第三日曜日、新学期が始まり今日という日の為に生徒達が準備を重ねてきた事の集大成を発表する日、遂に学園祭の本番となる日が来たのだ

 

各クラスや部活でシフトなどを調整し、それぞれの出し物に生徒達は参加するが、オレは学園のアリーナにある整備室の一つを貸し切りにして貰い、この学園祭の為の準備をしていた

 

「よし、全機起動!」

 

整備室のメンテナンス設備に収まっている十機の機体、それは一見するとジェガンに見えるだろう

 

しかし実際はデュノア社でライセンス生産するようになったMS、シビリアンアストレイであり、学園の練習機の廃棄された装甲パーツをリサイクルしてガワだけジェガンの形にした無人機なのだ

 

ヴェーダに制御を任せ、今回の学園祭に於ける警備を一部担当させる事が出来る、学園祭で警備の役割を与えられているオレのように『警備』と書かれた緑色の腕章をした教師や生徒会のメンバーからの要請に応じて応援として駆け付けるようになっている、後は警察組織に対してMSの警備業務の有用性のアピールをする事も目的だ、人手が足りないから無人機だが、有人機ならもっと効率的に動けるというところも売り込まないとな

 

なおこのジェガン、無人機であり中身がMSという事でカラーリングで見分けが付くように塗装を変えてある、白と黒を基調として警察組織への売り込みを目的としているので赤色回転灯を両肩部分に装備しておいた

 

尤も、それを逆手に取って学園のISジェガンも塗り直して教師陣が乗り込んでいるので、MSと思ったら実は、という事もある訳ではあるがな

 

「会長、警備用MS、全機発進準備整いました」

 

『分かったわ。そのまま所定の位置に移動させておいて頂戴。武装はA装備よね?』

 

「ええ、問題ありません。全て非殺傷兵器で統一してあります」

 

準備が完了したところでオレは会長と通信を行う、会長は生徒会室に居て警備関係の最終確認の最中だ

 

そして話の通り、このジェガンの装備は対人用の非殺傷兵器で揃えてある、十手型のスタンロッドに、相手の動きを止める為の提灯型トリモチガン、指の間に仕込まれている腕部テーザーガンがその全てで、便宜上A装備と読んでいる

 

これが万一にでも人質事件などが発生した場合は犯人の制圧を目的として対人用に調整したリボルバー拳銃やショットガン、シールドを装備したB装備を持ち出す事になるが、そうならないように事前に不審者は排除しておかないとな

 

篠ノ之博士やエイフマン教授が居る事から例年よりも厳重な警備体勢を敷く必要があったのだ、わざわざ正門に於いて空港のように金属探知機や手荷物検査をする事が盛り込まれた事からもその本気度が伺える

 

オレは警備ジェガンこと『自衛丸(じぇがん)』に配置に着くように指示を出しアリーナを後にした、この後は規定のルートを巡回し何かあれば動く事になっている、クロエとリナの二人は生徒会のメンバーではあるが、クラスの出し物であるメイド・執事喫茶に参加している

 

のほほんさんが学園祭を楽しんでる体で巡回するが、本人の気質からあまり期待は出来ないかなぁ

 

エイフマン教授がアリーナを利用してMSの民間利用のプレゼンを行う時はクロエとリナとも合流するが、それまではオレも巡回するとしよう

 

そんな訳でオレは整備室を後にし、いつもの制服に腕章を付け、下に強化服を着込んで懐に拳銃とナイフを忍ばせて学園を進むのだった

 

 

IS学園の学園祭は中に入るには専用のチケットが必要となる、それぞれ生徒一人につき一枚と、学園側から幾つかの企業に向けて配られる物が存在する

 

今年は学園内にISの生みの親である篠ノ之束が居るという事で例年よりも多くの声が学園に寄せられる事となった、具体的には何処もチケットを欲しがり、発行数を増やせとクレーム紛いの声が殺到したのである

 

これにより流石に生徒の分は増やせないまでも、厳正な審査をクリア出来た企業には追加でチケットの配布や新たなチケットの配布も行われた

 

その企業もIS関連の企業ばかりであり、自分達がISを扱うのに馬鹿な真似はしないだろうという打算込みでの判断であった、警備を任されている者達からすれば堪ったものではないが、それだけ多くの声が寄せられたという訳である

 

ではチケットを手に入れられなかった者はどうするか、篠ノ之束という人物と接触出来る可能性がある中で何もしないというのは考えられない事であり、直接インタビューをしようと画策した命知らずなフリージャーナリストやら一国の諜報機関に所属するエージェントまで、身分も目的も様々な者達が取ったのは学園への不法侵入という手段であった

 

そして幸いな事にIS学園は海上に浮かぶ人工島、空からは目立つが海という姿を隠しながら近づくには打ってつけの地形をしていた

 

正面のセキュリティは硬いが、中に入り込めば後は一般の来客に紛れるだけ、そう計画する者達は数多く居た

 

「はい、そのまま無駄な抵抗は止めろ。感電して海に沈みたくはないだろう?」

 

尤も、そんな事は学園側も警戒している事であり、あっさりと捕まる人間が続々と陸へと釣り上げられる状況となっていた

 

何の対策もされていない筈がなく、海側には対人センサーが取り付けられ、反応があった辺りに駆け付けたら端子を落としてバッテリーと接続、スイッチを持って呼び掛けているのである

 

大人しく投降したなら竿で釣り上げてから陸で拘束、抵抗や逃亡を試みるなら電気を流して感電したところを釣り上げて拘束といった具合である

 

ただその数が多い、康太もこの場に応援として来ており、学園に配置した十機の自衛丸も半数をこの場の応援に駆り出さなければならない程であった

 

五分としない内に新しくセンサーが反応するので正に入れ食い状態である

 

結果、カツオの一本釣の如く次々と人間が海から水揚げされるというカオスな光景が学園の海に面した場所で展開される事となったのであった

 

あまりの数に康太も一々学園内に設けた臨時の拘置所に連れていくのが面倒になり、武装解除するなどした後は縛り上げ、持ってきた台車に適当に積み重ねて置いておき、ある程度溜まったら運ぶという方法を取っていた、もう既に本物の魚と大差ない扱いである

 

取り上げた荷物の中身がカメラ等の場合、中のデータを没収して本体は返却するので、荷物の入っていた防水バッグと釣り上げた人間に番号を書き込んでおく辺り、数に辟易としている事が如実に現れている

 

と、そこに新たなセンサーの反応を示す情報が康太の装着しているバイザーに表示される

 

「はあ、またか。三号、お前はA6区画に行け。オレはC2だ」

 

複数箇所からの反応に近場の区画の鎮圧の為に自衛丸の一機を差し向け、康太は遠めの場所からの反応に、近くに停めておいたエレカーのラコタに乗り込んで向かう

 

その際に牽引している荷台に載せられた人間が呻き声を上げるのだが康太は無視して現場に向かう、その様子は完全に家畜を出荷するかのような光景であった

 

 

IS学園一年一組の教室、学園祭の間、そこはメイド・執事喫茶として営業しており、更には世界でも希少な男性ISパイロットである織斑兄弟が執事として接客しており、且つ美少女揃いとして知られる各国の代表候補生もメイド服姿で接客してくれるとあって長い行列が作られていた

 

その為に朝早く入場と同時に訪れる者も居る程であり、更にはそんな織斑兄弟や実の妹を目的として篠ノ之束が現れるのではないかという推測もされている為、学園の中でも圧倒的な人口密度を達成している

 

そんな中、比較的行列の先頭に近い位置に一人の女性が居た、濃い青色のセミショートの髪をし、右の瞳は青く、しかし反対の眼は眼帯に覆われている

 

だが何よりも特徴的なのはその服装であり、黒を基調とした軍服をピシッと着こなしており、明らかに周囲から浮いていた

 

しかし当の本人はそのような事を気にしていないのか涼しい顔をしており、時折一年一組の教室の方を気にして視線を向けるなどしている

 

そう、彼女こそかつてラウラが隊長を務めていたドイツ軍のIS配備特殊部隊シュヴァルツェ・ハーゼこと黒うさぎ隊の現隊長であるクラリッサ・ハルフォーフであった

 

何故そんな人物がこの場に居るのかと言うと、話は数日前に遡る

 

急な隊長の軍籍剥奪により繰り上がりで隊長に就任し少佐へと昇進したクラリッサであるが、その混乱も収まり通常の軍務を普段通りに遂行していたある日、クラリッサ宛に一通の手紙が送られてきたのだ

 

メールが主流となった昨今、わざわざ書面に書き出して送る手紙を珍しいと思い、その差出人を見れば件のラウラ・ボーデヴィッヒではないか

 

まだ自身が副隊長ですら無かった頃、能力が落ち精神的に追い詰められていた時からずっと見てきた小さな隊長、上から突如としてISコア損失の責任を取って軍籍剥奪となったとしか知らされてなかった彼女からの手紙に、クラリッサは驚いた拍子にデスクの上に置いていたコーヒーを零してしまう程であった

 

慌てて零したコーヒー等を片付けたクラリッサは深呼吸をし、やや緊張した面持ちで手紙を開封する

 

中には一枚の便箋と、IS学園学園祭のチケットが収められていて、クラリッサは便箋に目を通す

 

そこには謝罪の言葉や近況が書き綴られており、無事に学生らしい生活を送れているのだと安堵した

 

しかしクラリッサは手紙の内容に首を傾げた、隊長だった時の部下に対する態度を自ら省みて謝罪しているのは良い、しかし和解しようと手紙を出すのはコレが最後にするという文面は理解出来なかった

 

和解を望むなら何度か試みるのではないか、そう思い続きを読めば、今までも何度か手紙を送ったが返事が無かったから、自分が赦される事はないと思っている旨が微かに感じられる文面となっていた

 

クラリッサは今までの記憶を思い返すがそのような手紙が来ていた覚えはない、最後に罪滅ぼしとしてIS学園学園祭のチケットを同封する事が記されており、もし赦さないのであればそのチケットを軍に渡して多少なりとも手柄として扱って欲しいと贖罪する旨が書かれている

 

これは流石におかしいと感じたクラリッサは直様基地司令の部屋に駆け付けた、半分脅しに近いような言葉を交えながら問い質してみれば、以前に送られてきた手紙にはISコア損失の正確な情報が記されており、隠蔽を試みた上層部により差し押さえられていた事が判明

 

それで今までラウラからの手紙が届かなかったと知ったクラリッサは激怒し、その場の勢いで休暇を申請、IS学園の学園祭に合わせて三日間の休暇を獲得し日本へ向かうのだった

 

それにはラウラとの和解の為に直接言葉を交わした方が良いという思いと、実際にラウラを見て今の状況が本当に幸せなのか確かめるという親心のようなものがあった

 

流石にISの持ち出しは許可されなかったが、それでもクラリッサは副官に三日間の業務を押し付け日本に向かう

 

まだラウラが隊長だった時はラウラの部下に対する当たりの強さと部下からの不満との間を取り持ったりと苦労をした思いのあるクラリッサだが、初めから見てきたからこそラウラの心情にも理解はあった

 

そんな彼女が良い方向に人間として成長しているのだ、にも関わらず和解する機会さえ無くして良い訳がないと、クラリッサは強く思い、こうして学園祭に朝一で並んでいる

 

なおクラリッサ本人が、個人的に小さな隊長のメイド服姿を見たいという欲求があったといのも、ほんの少しだけ、本当の本当にちょっとだけあったりするのは否定出来なかったりする、上と下との板挟みに耐え抜く事が出来たのも小さな可愛らしい隊長が小さいながらも気丈に威厳があるように振る舞おうとする姿を間近で見る事が出来たから、という可能性が微粒子レベルで存在したのかもしれない

 

さて、そんなクラリッサだが遂に列が進み入店する時がやってきた、ラウラは居るだろうか可能なら接客して欲しい、そんな事を思いながら開かれた扉から喫茶店として飾り付けられている教室の中に入った

 

「いらっしゃいませ、お嬢様……ではなかった、おかえりなさいませ、お嬢様!」

 

「んくぅっ!?」

 

次の瞬間、目の前にメイド服姿のラウラが居り、出迎えの挨拶をしてくれるという不意打ちにクラリッサは大ダメージを受けた

 

軍に居た頃は殆んど支給品の軍服や野戦服を着用していただけにフリルが多くあしらわれた、実用性ではなく可愛らしさのみを追求されたデザインの服を着ている姿は自身で妄想したものより数段は可憐に見えており、初めに挨拶を間違えた事も本来ならマイナスであるが不慣れな初々しさがあり全く魅力が損なわれる事なく寧ろプラスに働いていた

 

咄嗟に堪えたが、そのまま崩れ落ちそうになりそうな足を気合のみで抑えた事をクラリッサは自分で自分を誇っていた

 

「ク、クラリッサか!?」

 

「え、ええ、隊長。お久しぶりです」

 

「本当に来てくれたのだな、クラリッサ……それと、私は既に軍の人間ではない。適当に読んで欲しい」

 

「それでは、お言葉に甘えてラウラとお呼びさせて頂きます」

 

「うむ。と、今の私はメイドだったな。お嬢様、お席にご案内致します」

 

初めは店員として振る舞っていたラウラだが、相手がクラリッサである事に驚愕し、クラリッサもまたぎこちないながらも会話をぽつぽつと続ける

 

その中で名前呼びを許可された上にラウラがメイドとして接してくれるという事に内心舞い上がっていた

 

「うーむ、話したい事は色々とあるのに、今の私はメイドだからな……」

 

「今はお互いに個人で話しましょう。私は気にしません」

 

「そうか。ではそうさせて貰おう」

 

「そうですね。では、まずはお互いの近況からいきましょう。私はあれから臨時で隊長の後を継ぎ、その後正式に昇進と共に黒うさぎ隊の隊長へと就任しました。今は落ち着いて来ており、今回こうして日本を訪れる事が出来た訳です」

 

「なるほど、クラリッサが隊を率いているのなら私よりもよっぽど上手く部下を纏め上げる事が出来るだろうな」

 

「隊長、そんな事は!?」

 

「良いんだ。今振り返ってもあの頃の私の態度は酷いものであったのは自覚しているからな。次は私の方だが、ISコア損失の経緯は知っているか?」

 

「いえ、機密となっており私では知る由も有りませんでした」

 

「なら私から詳しい事を伝える事は出来ないな。だが事故によりISコアを失った私は、その後医務室で目覚めた時には既に除隊を決められた後だった。軍法会議も何も無かったが、意識が無かった間に素早く進められたようだ」

 

「そんな、今からでも異議を申し立てれば正式に軍法会議を受ける事は出来る筈です!隊長が再び部隊に戻ってくる事だって!」

 

「良いんだ、力を求め続けていた私よりお前の方が部隊を指揮するには適している。恨まれているであろう私が今更戻っても部下はついて来ようとは思わないだろう」

 

「しかし……」

 

「私は今の状況で満足している。互いに距離を取った方が幸せだと思えるからな。ああ、それと近況だったな。医務室で目覚めた後、私は一人の男にスカウトされた。紫藤康太と言えばお前にも分かるだろう?」

 

「はい、有名人ですので」

 

ラウラが頑なに軍に戻る意思は無いと悟ると、クラリッサはラウラの復帰を諦める事にした

 

ならばせめて今のラウラが本当に幸せかどうか見極める、そう思いを新たにした後、まず出てきた名前にクラリッサは頷く

 

紫藤康太、ラビットフット社のテストパイロット、世界でも希少な男性ISパイロットにして、あの篠ノ之束の側近である男だ

 

ドイツ軍の情報部も探ってはいるが過去の経歴が驚く程に掴めず、未確定ではあるが非正規戦(ブラックオプス)も可能なラビットフット社に於ける武力担当と目されている人物である

 

加えてラウラの同級生でもあるとなれば、接触の機会は当然ある、軍籍を剥奪されたラウラのスカウト等は可能だとクラリッサは予想がついた

 

「その康太が目覚めた時にやって来てな。ラビットフット社との契約書を持ってきてくれたのだ。それには姉上が動いたという話でな、一日考え抜いた結果、私はラビットフット社のパイロットになったのだ」

 

「成程……あの、姉上とは?」

 

「姉上は姉上だな。少し呼んで来るとしよう。クラリッサにも是非紹介したいしな」

 

あの氷のようだったラウラが無邪気に姉と慕う人物、自身もラウラからお姉様と慕われたかっただけに、本当に相応しい人物か見極めてやると、先程以上に剣呑な雰囲気で待つクラリッサ、そこにラウラが一人の少女を連れてやってくる

 

「姉上、こっちが私が軍に居た時に副官を務めてくれたクラリッサだ。クラリッサ、この人が私の姉上だ」

 

「まだ接客中だったのですが……初めまして、クロエ・クロニクルと申します。ラビットフット社にてパイロットを務めています。あと姉ではないです」

 

だが連れてこられた少女を見た途端クラリッサは目を見張った、それはラウラと似た容姿でありながら何処かミステリアスな雰囲気を持つ少女であり、姉妹と言われても何ら違和感が無いどころか納得してしまうものであったからだ

 

「お察しかと思いますが、私の出身も色々と特殊です。なのであまり深入りすると軍機に触れる可能性があるのでお気をつけ下さい」

 

「分かりました。私はクラリッサ・ハルフォーフです。ドイツ軍にて特殊部隊の隊長を務めています。以後、お見知り置きを」

 

クラリッサも自身の左目に施した施術を知っているだけに軍が後ろ暗い事をしている事は察していた、なのでクロエの言葉にも素直に頷く事が出来た

 

そして藪を突くような真似はする気がないクラリッサはその忠告を素直に受け取り、余計な口を開く事は避けた

 

「それで、私に何か?」

 

「私が姉上をクラリッサに紹介したかったのだ。今の私は幸せで、何も心配する事はないと教えておきたくてな」

 

「そうでしたか……暫く私が貴方の分の仕事も回しておきます。それまでに存分に話し合っておいて下さい」

 

「良いのか、姉上!?」

 

「貴方の過去に関する事ですから、しっかりと話し合っておいた方が良いと思っただけです。本当に、それだけです」

 

そう言うとクロエは接客の方へと戻っていった、ラウラの為に時間を作ってあげようと、自身への負担を増やすつもりで

 

その姿は妹の為に何かしてあげようとする不器用な姉のような姿であり、口で姉妹と否定してはいるが何かと気に掛けているというのが感じられる言葉であった

 

そんなクロエの様子に、この人ならば精神的に幼いところのあるラウラを任せても何も問題ない、そうクラリッサは確認出来た事から殆んどこの場に来た目的は達成されたようなものであった

 

「姉上のお陰で時間は出来たが、あまり姉上に負担を強いるのも悪いな。色々と話したい事はあるが、時間が足りぬのは明白だな」

 

「では最後に私個人の連絡先を教えます。それでいつでも電話やメールをして下さい」

 

「おお、それは良いな。では後で連絡先の交換をしよう。それで、私の今の近況だが、そうだな……実は、その…………私には、付き合っている男が居てだな……」

 

「そうですか、付き合っている男性が………………えっ?」

 

ラウラと連絡先の交換を約束した事で内心舞い上がっているクラリッサ、だがラウラが頬を赤らめながら呟くように告げた言葉に何かの聞き間違いだろうかと、己の耳を疑った

 

「隊長、その付き合っているというのは、友達としてではなく、男女の仲として、でしょうか……?」

 

「う、うむ。そうだな。既に恋人……だな。うむ、うむ」

 

頬を赤らめながら、しかししっかりとはにかみつつ答えるラウラの顔は完全に恋する乙女のものであった事に、クラリッサはここに来て一番の衝撃を受けた

 

この場で叫び出さなかった事は奇跡だと自覚していた

 

「そ、その相手というのは……」

 

まさか紫藤康太ではあるまい、もしそうなら一度しっかりと話し合う必要があると身構えつつ、その相手を訊ねる

 

「そのだな、今あそこで接客している、一秋だ……」

 

「………………は?」

 

クラリッサはラウラが示した方向に視線を向ける、そこには執事服に身を包み慣れた様子で女性客の相手をしている一秋の姿があった

 

何よりクラリッサはその相手の名前に驚いていた

 

「隊長、確か織斑一秋と言えば、ドイツに居た頃は一番に目の敵にしていた相手ではなかったでしょうか?」

 

「そ、そうではあるのだが……そのだな、私がISコアを失う事になった事件があった際に、一秋は率先して前に立ち、私を救い出してくれたのだ。その後は医務室で意識が戻らない私を心配してずっと側に居てくれたり、私の事を、あ、愛してると……だからこそ私を救い出そうと危険を厭わなかった事を教えられたりしてだな……」

 

クラリッサ自身も教導を受けた織斑千冬、その栄光に泥を塗ったと織斑一秋の事を敵視していたラウラが此処まで心を許すという事にクラリッサは信じられないものを見た思いであった

 

昔の様子からは全く想像のつかない惚気話をするラウラの姿、それを眺めながら人は変わっていくものなのだなと、クラリッサは遠い目をしながら聞いていたのだった




機体解説

自衛丸……読みはそのまま『ジェガン』、お馴染み武者系に出てくるジェガンこと慈絵丸の従兄弟。MSの中身に外装だけジェガンに似せ、ついでに警備用という事で白と黒で塗り、パトランプを搭載している。そこ、パトレイバーとか言わない。

装備は十手型スタンロッドと提燈型トリモチガンと非殺傷兵器で揃えている。が、警備レベルが上がるとリボルバー拳銃やショットガンを持ち出して来る。そこ、イングラムとか言わない。























余談だがジェガンとイングラムのデザイナーは同じ人である。
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