ジェガン、IS世界に立つ!!   作:RABE

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原作六巻編突入、そして前回から二ヶ月以上、大変お待たせ致しました。

書きたいシーンはある、けどそこに至るまでの内容を書く為のモチベーションが維持出来ませんでした、おまけにいつもより短めです。

次回はより早くに投稿出来るように努力しますので、今後ともよろしくお願い致します。



追伸、先日ようやくバトオペでジェガンが当たりました、Lv2でしたけれども。


人の革新
69話 高速機動訓練


九月も残すところあと僅か、つまるところIS学園でのイベントであるキャノンボール・ファストの開催が近付いてきた頃、学園でもまた高速機動を教えていた。

 

「はい、それでは皆さーん。今日は高速機動についての授業をしますよー」

 

一年一組副担任、山田真耶先生の声が第六アリーナに響き渡る。

 

「この第六アリーナでは中央タワーと繋がっていて、高速機動実習が可能であることは先週いいましたね?それじゃあ、まずは専用機持ちの皆さんに実演してもらいましょう!」

 

そういって山田先生が手で示した先にはセシリアと一秋、そしてオレが居る。

 

授業前に声を掛けられていたのだが、各タイプのISで高速機動を行う際の比較にしたいと言われ、引き受けたのだ。

 

「まずは高速機動パッケージ『ストライク・ガンナー』を装備した、オルコットさん!」

 

初めに紹介されたのはブルー・ティアーズのビット等を機体各部に固定して追加のスラスターとする事で速度と機動性を高めるという強化のなされたセシリアの機体。

 

「そして通常装備ですがスラスターに全出力を調整して仮想高速機動装備にした織斑くん!」

 

続いて一秋の白式だが、この機体はそもそも追加装備を受け付けようとしない為に通常装備ではあるが、そもそもの機動性が高速機動装備を備えた他の機体とあまり無い為にエネルギーの分配を調整するだけで済ませた機体だ。

 

「最後に、可変機構によって機動性が変わるという特殊なケースという事で、紫藤くん!」

 

最後に紹介されたオレはガンダムデルタカイ、ではなくリゼルを展開する。

 

ガンダムだと性能が過剰なのと、ガンダムデルタカイに二次移行した際に生体の量子化という機能を獲得した事で、他の可変機でも同様の能力を持たせることが可能となり、リリアナのように義肢でなければ扱えないという制約が無くなったのだ。

 

という訳でジェガンとパーツの共用可能なリゼルがラビットフット社のラインナップに加わる事となり、その宣伝を兼ねて今回のキャノンボール・ファストでオレはリゼルを使用する事となったのだ。

 

何しろ今年だけで量産機はジェガン、ストライク・ラファールと第三世代機を含めて二機もロールアウトしている、そんな中で積極的に売る事が目的ではないとはいえ、一応は可変機構により第三世代機扱いリゼルが加わるのだ、インパクトは残しておきたい。

 

なお売る事になったのはジェガンと大部分のパーツ共用が可能だからという理由だけだ、ぶっちゃけラビットフット社はストライク・ラファールやダガー系列、アストレイといった機体のライセンス料だけでかなりの利益を挙げている為に積極的に売り込む必要はない、単に世界初の量産型可変機というインパクトを刻んでおくかという目的くらいである。

 

一応、このリゼルもまた二機を学園側に提供する事になっている、サブフライトシステムとしても使えるから是非とも役立てて欲しいものだ。

 

そんな三機がスタート位置に立ち、山田先生が合図として旗を振る。

 

「では……3、2、1、ゴー!」

 

高く掲げられた旗が勢い良く振り下ろされた瞬間、それぞれのスラスターが点火され各自の機体が空へと飛び出していく。

 

そんな中でオレのリゼルは変形をする為に他より少し出遅れる事となる、変形の所要時間は0.5秒と短いが、それでも出遅れる事に変わりはない。

 

初めからウェイブライダー形態なら楽なのだが、スタート地点では人型で開始するよう指定されたので仕方がない。

 

だが動き出してからの速度は他の二人の比ではない、全身に配されているスラスターを後方の一点に集中させる事による爆発的な加速力は先行していた二人を直ぐに捉え、そのまま追い抜いていく。

 

今回はあくまでデモンストレーション、本番のように火器で相手を妨害するまでは行わない為に純粋なスピード勝負となるのだ。

 

加えて二人は第六アリーナにある学園の中央タワー外周を周る為に速度を抑えていた、そこをオレは敢えて速度をそのままに突き進む。

 

何も事故を起こす気はない、多少は曲がるように動いているし、アリーナの端を示す壁に近付いてからは人型に変形した。

 

そして迫りくる壁に向けて蹴りを放ち、その反動を利用してカーブを曲がっていく、その都合でアリーナ外縁部を通る大回りなルートとなるが、速度を可能な限りで落とさないというのと、壁を蹴る際に瞬時加速を行う事で『シャアの五艘跳び』を再現したため最終的にはよりタイムを縮める結果になっている。

 

そうやって中央タワー外周を周り切れば残りは直線、再びウェイブライダー形態へと変形し一秋とセシリアの二人をぶっ千切ってみせた。

 

そしてゴール地点に辿り着いた時に一回転ロールを行う、戦闘機などが勝利して帰還した際に空母や基地の上空で行うビクトリーロールという奴である。

 

その後は人型に変形をして減速、着陸する。

 

それから少し遅れて一秋とセシリアもゴールまで辿り着き、同じ様に着陸を完了させた。

 

「康太さん、また新しいテクニックを編み出してましたわね」

 

「蹴りとスラスター噴射の合せ技だから、多分セシリアも慣れれば出来るぞ。まあ、ミスするとそのまま壁に高速で叩き付けられる事になるんだが」

 

「確かに覚えておいて損はないテクニックですわね。でも、あくまでデモンストレーションのこの場でやる必要はありましたの?」

 

「無い。思い付いたから試しただけだ。今は練習だからな」

 

「思い付いて即実践という点で大概ですわよ」

 

それから先程の機動に関してセシリアと話し、呆れられたような顔をされたが、その辺りは可変機としての特性だからな、相棒がデルタカイになった以上は他にも模索していかなければならない。

 

デルタカイはデルタ系列でリゼルはメタス系列と可変機構が微妙に違うのだが、二つの形態を使い分けるという点では変わらない、キャノンボール・ファスト本番までに出来る事は可能な限りで増やしておきたいのだ。

 

そんな感じで話していると全員の注目を集めるように織斑教諭が手を叩く、当然それに誰もが私語を慎み織斑教諭に注目する。

 

「さて、高速機動の実演は諸君にも見てもらった通りだ。いいか、今年は異例の一年生参加だが、やる以上は各自結果を残すように。キャノンボール・ファストでの経験は必ず生きてくるだろう。それでは訓練機組の選出を行うので、各自割り振られた機体に乗り込め。ぼやぼやするな。開始!」

 

織斑教諭の言うように、本来であれば科目が整備課と分かれる事になる二年生からなのだが、今年は一年生の専用機持ちが多い事から特例として一年生も参加となったのだ。

 

それというのも今この場に居る専用機持ちがオレ、一夏、一秋の男三人と来てクロエ、リナ、箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの七人と計十人も居るのだ、まず例年通りなら有り得ない数である。

 

その為、専用機持ちは専用機持ちのみでレースが組まれている、後は他の訓練機で参加する生徒達も殆どクラス対抗の形になっている為、一学期のクラス対抗戦で結局は勝者が居なかった為に放置されていたデザート無料券など、プールされていた景品が出るようになっている。

 

なお専用機持ちは一組に集中してるのでクラス対抗戦には反映されない、そもそも専用機持ちの存在しない三組とかもあるしな。

 

さて、織斑教諭の指示で他の生徒達も訓練機で練習を始めたし、オレもオレで新しい戦術機動を練るとしようか、そう思っていたが―――

 

「紫藤、お前は機体調整はあるか?」

 

「まあ、今回使ってませんが本番ではリゼル用の追加装備を使用する予定ですよ。それのシミュレートを多少は予定していました」

 

「すまないが他の生徒達の事も気に掛けてやってくれ。初めての高速機動だからな、事故の危険性もある。私や山田先生もそれぞれ訓練機を用意しているが、目は多い方が良い」

 

「そういう事なら分かりました。シミュレートも本格的にやるのは実際に追加装備を装着してからなので問題ありません。訓練で飛びながら見ておきます」

 

「すまんが、助かる。他は調整が長引きそうだからな」

 

そうやってオレは織斑教諭からの頼まれごとというか、仕事を引き受ける事にした。

 

最近は割りとこうやって織斑教諭から授業中に頼まれる事が多い気がするが、少し気になるな。

 

「そういえば、最近割りとこんな事が多いですが、何かありました?」

 

「何か、というよりは教師達の中でお前への指導をどうするか、という話になった事はある。実を言うと、学園祭の時のお前の戦闘記録を見て、お前が並の教師であれば圧倒してしまっていると判断されてだな。加えて授業の方もISに関しては技術開発を行ったり、設計まで出来る事から必要なのかと意見が出ている。私から言わせればお前はまだタマゴの殻が取れたヒヨコといったところだが、お前は先程のように独自で新たなマニューバを編み出す事もある。だから私としても下手に型に押し込むより、自由にさせた方が良いとは思ってる。当然、何か相談があればアドバイスはしてやる。そんなところだな」

 

「はあ、割りと高評価だったんですね」

 

「さっきも言ったがお前はまだヒヨコだ、後は経験で成鳥になっていくだろう。後は、誰かに教えるという事はかなり勉強になるぞ。教える相手を見てお前も基本に立ち返る事が出来る。戦技研とやらでも教導するんだろう?その練習とでも思えば良いさ」

 

「なるほど、分かりました」

 

そこまで言われてオレは納得した、意外な高評価はむず痒い気もあるが褒められて嬉しくはある。

 

それに戦技研はキャノンボール・ファストが終わってから試験運用を挟んで本格的に動き出す予定だ、その為の準備と思えば織斑教諭の言う事もオレの利になる。

 

そんな訳でオレは改めて可変機の習熟に努めると共に、それとなく訓練機を扱う生徒達の事も気に掛ける事になったのだった。

 

 

リゼルの習熟はそれなりに済んだ、元より量産する段階でサポートプログラムを組む時に試しにサポート無しの状態でどんな機動をするのかテストを行っていたからだ。

 

ならどんな事をしているのかと言われれば、まず普通はしないマニューバをメインにやっている。

 

例えばわざと失速させて機体を下降させたり、そこから立て直したり、人型の時にスラスターの配置からどんな機動が出来るのか見たり、わざと中途半端な変形に留めて、そこからどんな動きが出来るのか模索したりだ。

 

シャンブロ戦の時にデルタプラスがウェイブライダー形態のままで腕だけ変形させてユニコーンを掴み上げたように、何も片方の形態のみでしか動けないという事はないのだ。

 

特にISにはPICがある、多少は無茶な飛行をしたところで墜落する可能性はかなり低い。

 

そうして色々と試していたのだが、飛び続ければエネルギーは使うし、瞬時加速なんかもどんどん試していただけにシールドエネルギーの残りがかなり減っていた。

 

この機体はキャノンボール・ファスト用の為にデルタカイなんかとリンクしていないから複数のISコアとのエネルギー共有という真似が出来ない為、一度補給の為に地面に降り立つ。

 

そしてエネルギー供給設備に機体を接続し、終わるまで暫く待っていた。

 

「おーい、紫藤くん!ちょっといい?」

 

すると、そこに声を掛けられた、一組の生徒ではなく二組の冬野雪菜さんだ。

 

以前、二組と合同で初めてのISの実機訓練の時に同じ班になった事のある生徒で、明るく元気な人だったと覚えている、あの後もその友人の姫島茜さん共々何度か授業で一緒になった事がある。

 

リゼルの補給が済むまでまだ時間もあるし、オレはその声に応える事にした。

 

「補給にもう少し掛かるから手は空いてるけど、何かあったのか?」

 

「うん、実はね。ちょっと操縦について教えて欲しいの。大丈夫かな?」

 

「まあ、少しだけなら」

 

「ありがとう!じゃあこっちに来て!」

 

キャノンボール・ファストでの高速機動に慣れない事からそのコツを教えて欲しいのかと思い、取り敢えず返事をすると冬野さんに手を引かれて訓練機の前まで移動する。

 

そこに置いてあるのはジェガン・ライトアーマー、学園に提供された機体の中の一機だ。

 

「みんなー!連れてきたよ!」

 

「ナイス、雪菜ちゃん!」

 

「よろしくね、紫藤くん!」

 

そしてその機体の周りには二組の生徒が何人か集まっていた。

 

「それで、オレは何を教えれば良いんだ?」

 

「それなんだけど、スピードを出すのが怖くて……」

 

「直ぐに壁が近付いてくるから、どうしても全力で行けないよね」

 

「絶対防御があるって分かってても、ケガはしちゃいそうだし」

 

「なるほど、そういう事か」

 

その彼女達に呼んだ理由を聞けば、確かに慣れてない者にとっては超音速飛行というものに恐怖を感じるだろうと納得出来た。

 

何もない空を真っ直ぐ飛ぶだけなら問題ないが、如何に広いとはいえ第六アリーナではスペースにも限りがあるし、それだけに壁が迫ってくるという恐怖感も増す。

 

本来なら臨海学校の際に海上でそれらの訓練もあったのだが、その辺りは例のデビルガンダム軍団の襲来で流れてしまった。

 

それでも本来ならキャノンボール・ファストは二年生からなので問題なかったのだが、今年は専用機持ちが多くて特別に一年生も参加となった。

 

うん、臨海学校の件はともかくとして一年生の参加はオレ達にも原因があるな、半数以上がラビットフット社に関係するパイロットだし。

 

取り敢えず詫びを兼ねてという訳ではないが協力するとしよう、まず安全なラインで超音速飛行を体験させるのが良さそうだ。

 

「ひとまずこの機体借りて良いか?オレが飛んで、その飛行ルートを同じ速度でなぞるように飛べば超音速飛行を体験出来るようにするから」

 

「良いよ!同じ機体の方が参考になるしね!」

 

「んじゃあ、少し借りてくぞ」

 

なので実際にお手本を見せる為にもオレは学園のジェガン・ライトアーマーを借りて飛行してみる事にした。

 

基になっているのはジェガンD型、それを軽量化して現在主流のISの形に落とし込んだのがライトアーマーだ。

 

とはいえ飛行してみて感じたのは鈍いという感覚であった。

 

「重いな……」

 

この世界に来た時、オレが纏っていたのはジェガンA型だった、それが一次移行してD型に、それをベースにラビットフット社はジェガンを量産してきた。

 

だがかつて乗っていた機体を軽量化した筈のこのライトアーマーは遅く感じられた、それは強化したR型に乗り換えた事も理由ではあるが、二次移行を果たした相棒(ガンダム)はより速度に特化しているからというのもあるのだろう。

 

だが何よりもオレの反応速度に追従し切れていないというのがあった、動こうとしても多少のタイムラグが発生するのだ。

 

それ等のズレと摺り合わせ行おうにもカーブが迫ってきていた、また壁を蹴ってコース修正して、お手本となるコースは改めて飛び直すかと思った時、ふと思い付いた事があった。

 

『シャアの五艘跳び』を行うには足場が必要となる、だがその足場を空中に出現させる事が出来たらどうなるだろうか。

 

例えば格闘戦では斬り結ぶにしても、地に足をつけた方が踏ん張りが利く、そして格闘技の技を宇宙でも繰り出す為に対処法を考えたガンダム作品がある。

 

ガンプラをメインとするビルドファイターズトライに登場したビルドバーニングガンダム、それが宇宙マップでやった事を再現するにはどうすれば良いか、あれは足元にプラフスキー粒子を固めていたから出来た事だ。

 

それをISでやるにはもうすれば良いか、直ぐにシールドバリアを利用する事を思い付いた。

 

普段は被弾と共に自動的に展開するようになっているそれを任意で展開し、それを足場とする。

 

設定を変更し、シールドバリアの展開を可能とする、蹴りにどれだけ耐えられるか分からないから最大出力で行動を起こす一瞬だけの展開にした。

 

そして実際にやってみると、本来は何もない筈の空中で確かに何かを踏みしめたような感覚が返ってきて、オレは壁に迫るより遥かに早い段階で壁蹴りを行った。

 

「ハハッ、なるほど!」

 

出来ると分かれば次いで改善と応用だ、最大出力で展開する必要はなかったので必要最低限の出力でシールドバリアを展開する、それが終わればこれをどう活かすか、オレはコースを飛行する事を忘れてこの機動を試した。

 

三角跳びのように左右に揺れるように跳び跳ねたり、宙返りしつつ上に向けて足場を形成する事で地上に向けて跳ねたり、色々だ。

 

そして分かった、これを利用すれば急な方向転換と急加速が両立出来る、流石に速度によっては正反対に動くのは無理だが、横や斜めに向けて移動する分には失速は少なく済むだろう。

 

空中を縦横無尽に駆け回る事が出来る事から、例え相手が進路を予測して攻撃を仕掛ける偏差射撃をして来ても、その予測を空中でのジャンプという動きで読ませない事も可能だ。

 

なおこの後調子に乗って暫く空中ジャンプの練習をしてすっかりコース取りの予定を忘れてしまった事で、思い出してから戻ってきたオレは班の全員に怒られたりするであった。

 

 




後半の冬野雪菜ちゃんは本編16話に登場して以来の登場になりますオリキャラです、友人の姫島茜ちゃん共々今後も登場予定です。

なお二人の外見のモデルはそれぞれMS少女の雪菜=シュネーライン、ヒメ=スカーレットだったりします。


そしてコウタくんが今回のキャノンボール・ファストで使う機体はリゼルです、理由は本編にあるように宣伝活動となります。

次回はキャノンボール・ファストに突入、出来るようにしたいです。
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