バトオペにスタークジェガン来たと思ったらEWACジェガンも来て、両方とも汎用機って事に少し面食らいました、スタークジェガンはともかくEWACジェガンの方は支援だと思ってたので。
これはA2型が強襲ですかね、ジム・カスタムとクゥエルみたいになるかな?
あ、スタークジェガンとEWACジェガンはそれぞれ十連一回ずつで来ました。
手を組むように提案された訳だが、オレとしては今のところ何のメリットも無い。
だからまず訊くだけ訊いてみる事にする。
「その場合のオレのメリットは?」
「そうね、ワタシ達が確保した技術データの共有でどうかしら?」
そして返って来た答えに割りと惹かれた、今のところ亡国機業が確保している技術がどのようなものがあるのか、宇宙に出るのに役立つ技術があるのか、場合によっては多少の協力は吝かではないとつい考えてしまう。
「逆に何かの目的があるなら、可能な範囲であれば協力出来るわよ。具体的に、貴方がワタシ達に協力する対価とするなら何を望むのかしら?」
そこに畳み掛けるように告げられるのは魅力的な言葉だ、望めば可能な限りの願いを叶えようとしてくれるだろう。
そしてオレが仮に望んだものを一つ手に入れられるなら、何を望むかは決まっている。
「スペースコロニー」
「……えっ?」
「スペースコロニー、可能ならオニールシリンダー型、島3号で頼む」
「冗談、という訳ではないみたいね」
「当然、オレも篠ノ之博士も宇宙に出ることを目的としてるんだ。その拠点となる場所が貰えるなら協力するさ。多分、篠ノ之博士も食い付くぞ」
「……初志貫徹、と言えばいいのかしら?少なくとも全く嘘を言ってないのがたちが悪いわね。でも宇宙に出て何をするというのかしら?」
「んー、篠ノ之博士は多分だけどそのうち外宇宙に向かって行くだろうな。オレは宇宙開拓が出来ればそれで。可能なら火星まで行ってテラフォーミングとかしたい」
オレの望みは宇宙世紀のような世界で生きたいというものだ、だから地球圏で遠くても火星や木星辺りまでしか行く気はない。
対して篠ノ之博士は宇宙の未知を求めている、それこそ太陽系を外れ別の銀河に行こうとするだろう。
宇宙を目指すという目的は同じでも最終的な目的は違う、何時の日か別れの時が来るだろうが、その前段階として宇宙での拠点、スペースコロニーの建造は共通の目標だ。
後はコロニーを増やすか、そのまま外に行くかの違いでしかない、ある程度形になったらオレは火星に行ってテラフォーミングに従事するつもりだ。
その間にコロニー公社やらデブリ回収のジャンク屋みたいな仕事もしてみたい、それと木星船団のような資源回収で宇宙を行く船乗りも良いな。
「何にせよ宇宙の拠点が欲しいのは事実だ。それに、お前達の機体、装甲は何を使ってる?」
「チタン合金セラミック複合材よ。他国に販売されたジェガン、その装甲を一部流して貰ったの」
「後でルート探った方が良いのかね。まあ、フェイズシフト装甲が使えないんだな。あれは低重力下か無重力下でしか精製出来ない代物だ。それ等の研究開発の為にもオレ達は宇宙に上がる、それだけだ」
「やりたい事にしか興味がない、兵士としての側面もあるけど貴方も典型的な研究者気質なのかしら?」
「まあ趣味人なのは否定しない。で、コロニーをくれるのか?」
「流石に一朝一夕には無理ね。それに、ワタシ達だと建造するにしても動きが活発になりすぎるわ。残念だけど、コロニーの提供というのは不可能ね」
「だろうな、知ってた」
とはいえ本当に貰えるなんて期待していない、そんな物が造れるならとっくの昔に発表していてもおかしくないからだ。
そうなると交渉は振り出しに戻る、まあテロリストに協力するような理由なんて早々ない訳だが、他にどんな手札があるのかは気になるからな。
「他に提供出来そうなのは……過激派の情報とかかしら?敵対派閥だから完全に情報を共有してる訳ではないのだけど、向こうはパイロットの育成に力を入れているらしいわ」
「育成か、それはどんな具合に?」
「初めから戦闘に特化した形で遺伝子操作を行ったクローンをある程度の年齢まで試験管の中で急速成長させるのよ。さっきの定義からして、コーディネイターという事かしら?」
「定義としてはな。他には?」
「体内インプラントに、薬物による強化で身体能力や反射神経を向上させているわね。反乱防止の為か、薬物には依存性を持たせてあった筈よ」
「ブーステッドマン、か?つくづくコズミック・イラの技術を多く有してるらしい」
「加えて遺伝子に何らかの細工を施して自分達に服従するように製造しているみたいよ。細かな情報は分からないのだけど、薬物で自我を消し去っているとか、眉唾物な話もあるわね」
「ソキウスシリーズ、戦闘用コーディネイターの技術だ。そうか、生まれた者達はただ命令に従い戦うだけの人形だろうな」
「貴方はその事について何も思わないの?」
「自らの意思で考え、動く者こそ人間だ。言われるがまま、状況に流されるがままの人間なんてどうでも良い。ソキウス達は薬物で自我を消されても、その範囲で自分に出来る事はやっていた。自我を焼かれずに居た個体も服従するように定められていても、より人類の為になろうと動いていた。ならお前達もやってみせろ、お前達の大本の存在はやってみせたぞ、そうとしか言えんな」
「厳しいのね……それを実際にやれる人間がどれだけ居るか……」
「少し前まで惰性で生きてきたオレが此処まで変われたんだ。出来ない筈がないだろう?」
何の目標もなく生きているより、明確な目標があった方が活力が湧いてくる、それはオレ自身が身を以て知った事だ。
ならやれ、やりもせず無理と言うな、無理だったなら改善しろ、そしてまたやれ、また無理なら改善しろ、後は繰り返せ、それだけだ。
「だが過激派のやり方が気に食わないのは確かだ。本当なのかはこの眼で確かめるとして、もしも真実なら潰しに行くかもしれん」
「あら、ならその辺は協力出来そうね。ワタシ達は過激派が邪魔で、貴方は過激派が気に入らない。共通の敵が出来たわ」
「その前に先に襲撃してきたのお前等だって忘れてないか?」
「ちょっと過激な招待だったのは自覚しているわ。けど、時間は有限よ。彼等が組織の主導権を握るのは何としても阻止しなければならない。だからこそスコールの動きに便乗したのよ」
「そういえばアイツ等はどんな派閥なんだ?過激派とも、お前達みたいな保守派とも違うように思えるんだが」
「そうね、立ち位置としては中立なのでしょうけど、保守派寄りかしら。まあ陰謀を巡らせるのを楽しむタイプではあるわね。その辺りがもう少しマトモなら協力出来るのだけど」
「煽るような事をしておいてか?」
「所属した時期が近かったからライバルのようなものなのよね。あとは予算や戦力の取り合いとか。貴重なISコアの所有権を過激派と争っていたら横から掻っ攫われた事もあるわね」
「予算の取り合いって、何処の組織も割りと世知辛いな」
明らかに世界の裏側に存在する秘密結社という感じなのに予算という一気に俗っぽい言葉が出てくるとは思わなかった。
まあこれだけの戦力を維持するにも費用は掛かるもんな、その辺りは仕方のない事だ。
「スコールも予算をドレスとかに使ってはいるけど、それ以上に社交界で出資者から引き出してくるから良いのよ。けど自分達の豪遊にも使う過激派は許せないわ。ワタシ達が技術開発に予算を回してより装備の低コスト化を目指してる中で、リゾート地に向かう?それが組織の目的とどう結び付くっていうのよ。他にもアレとかコレとか、本当にもう―――」
ジョーカーの口調だが、途中から愚痴になってきていた。
加えて少し前から嗜む程度だったワインの消費スピードが上がってきていたし、頬にも赤みが差している。
チラッと後ろに控えているハーレクインの方を見ると、気まずそうな表情を浮かべていた。
「こんな高級ディナーも貴方を饗すから用意したのよ。普段なら味気ないレーションで済ませる事もあるんだから。本当に、こんな事でもないと滅多に食べられないんだから」
「ジョーカー、その辺りにしておいた方が良い。今日のところは話し合いは此処までにしよう。紫藤康太、そちらもそれで良いだろうか?」
「ああ、それで良い」
「本当に申し訳無い。ディナーの方はゆっくり楽しんでくれ。何かあれば手元のベルを鳴らせば人が来る」
もう愚痴がメインになって来た辺りでハーレクインがジョーカーを抱えて退室していった。
仮にも誘拐した相手を一人放置していくだろうか、出入り口は施錠されているし、部屋の中に監視カメラもあるみたいだが、真面目な話をしていた筈だっただけに、その落差が酷い。
「さてはアイツ、かなりのポンコツだな?」
組織内では有能なのだろう、パイロットとしての腕も悪くはない筈だ、それでもこうして間抜けというか、何処か締まらないところがあるところ、ジョーカーという人間は完璧という訳ではないらしい。
まあそれが人間なんだが、当事者としてはどう反応すれば良いのか困惑する。
「まあ、酒が入っての言葉だから嘘って事はないと思うが……」
あれがオレを信用させる為の演技なら大したものだが、完全に素だと思う。
少なくとも、亡国機業という組織で設立当初からの理念を守ろうという保守派とも言うべき派閥は真っ当に人類の行く末を案じているというのは分かった。
対して武力による人類の管理と統治を行おうとしている過激派はガンダム世界の強化人間系の技術にも躊躇いなく手を出す存在だと分かった。
個人的にも付き合うなら保守派の方が好ましい、当然ながら実際に過激派の連中を見てみないことには分からないが、仮にジョーカーの話を真実とするなら厄介な連中なのは確かだろう。
何にせよオレは亡国機業という組織の全てを把握した訳ではない、なら暫くは様子見として組織の事を見極めるのが良いだろう。
あ、過激派に関しては本当にブーステッドマンや戦闘用コーディネイターに関与してるなら潰す、容赦無く潰すつもりだ。
しばらくは情報収集に努めるとして、可能なら連中の保有している技術は回収したい。
この艦は世界中にある亡国機業の拠点の一つに向かっているという話だ、本格的に動き出すのはそこに到着してからにして、今は大人しくしておこう。
取り敢えず繋げたままだった通信は解除、あとはその時に応じて写真や動画を篠ノ之博士に送るとしよう。
その後、試しにベルを鳴らしてやってきた人に部屋まで案内して貰い、そのまま休んだ。
広めの部屋、装飾などはないがシンプルで机やベッドなど生活に必要なものは揃っており、ユニットバスまで完備されていた。
加えて部屋も出られない訳ではない、重要な区画に入るのは禁じられているが、それでも艦内を見て回る事も出来る。
左腕に鍵としての機能を持つと共に発信機にもなっている腕輪こそあるが、それで開かない扉の向こうが立入禁止エリアという訳だ。
とはいえ腕輪も扉もハッキングすれば開く事は出来る、それをしないのは艦内で強い悪意や悲しみを感じないからだ。
ニュータイプとしての力なのか、仮に艦内に強化人間のような人間が居たりすれば違和感を感じるだろう、少なくとも夏休みに行った作戦で感じたような残留思念を此処では感じない。
その研究をするスペースがないのか、本当にその手の技術には手を出していないのかは分からないが、直ぐに敵対する必要はないという事だ。
篠ノ之博士の方も此方の動きに合わせて行動を開始するらしい、本物のネェル・アーガマが動く瞬間に居合わせる事ができないのは少し惜しいが、合流すれば幾らでも見れるから良しとしよう。
そんな訳で最近は訓練やらゴタゴタしてゆっくり休めていなかった為に大人しく過ごそうと思ったのだが、そうもいかない理由があった。
「何しに来た、織斑マドカ」
「無論、決着を着けにだ、紫藤康太」
ベッドに寝転んでいたところに部屋に入ってきたMこと織斑マドカ、その手には二振りのナイフが握られていた。